JP3692822B2 - 電荷輸送性ポリエステル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な有機電子デバイス用の電荷輸送性ポリエステルに関する。
【0002】
【従来の技術】
有機電荷輸送性材料は、有機電界発光素子、電子写真感光体等の種々の有機電子デバイスに用いる材料として非常に有用なものである。特に、電子写真感光体の分野では数多くの電荷輸送性材料が提案され、有機感光体として商品化されるに至り、すでに広く用いられている。
【0003】
さらに近年、有機感光体は、その高性能化に伴い、高速の複写機やプリンターにも使用されるようになってきたが、高速の複写機やプリンターに用いる場合、その性能は必ずしも十分ではないので、その改善、特に一層の長寿命化が切望されている。有機感光体の寿命を決定する重要な因子の一つが、最表面層の電荷輸送層が摩耗することである。現在の主流となっている低分子分散系の電荷輸送層については、電気的な特性に関しては十分に満足できる性能のものが得られつつあるが、低分子化合物をポリマー中に分散して用いるために、機械的強度が劣り、摩耗に対して本質的に弱いという欠点があった。
【0004】
このような欠点を改善するための方法として、以下のような種々の方法が提案されている。
(1)フィラーの添加
感光層に強固な樹脂の微粒子を添加する方法が提案されている。例えば、特開昭60−177349号公報には、メラミン樹脂微粒子を添加する例が示されている。しかしながら、電荷輸送材料および結着樹脂と微粒子との相溶性が悪いため、感光層中で層分離を引き起こし、不透明な膜になり電気特性の悪化を招くという問題がある。
【0005】
(2)潤滑性物質の添加
感光層の表面の潤滑性を高めるために、潤滑性物質を添加することが提案されている。例えば、特開平2−144550号公報には、フッ素系ポリマー微粒子を添加することが、また、特開昭63−65449号公報には、シリコーン系微粒子を添加することが提案されている。しかしながら、いずれも潤滑性物質と電荷輸送材料および結着樹脂との相溶性が悪く、感光層中での層分離を引き起こし、不透明な膜になり電気特性の悪化を招くという問題がある。
【0006】
(3)バインダーポリマーの硬化
また、低分子電荷輸送材料をバインダーポリマー、またはポリマー先駆体中に分散させ、その後バインダーポリマーまたはポリマー先駆体を反応硬化させる方法が数多く提案されている。その中の一例を挙げると、例えば、特開昭56−48637号公報、特開昭56−42863号公報には、アクリル系ポリマーを用いることが示されている。更に特公平5−47104号公報、特公昭60−22347号公報には、シリコン系のポリマーまたはポリマー先駆体を用いる系がそれぞれ示されている。しかしながら、電子写真感光体としての十分な特性を得るためには、低分子電荷輸送材料の濃度を30〜50%と高くする必要があり、バインダーの硬化反応が十分に進まなくなり、十分な強度の膜が得られない。
【0007】
(4)表面保護層
感光層の表面を保護するために、表面保護層を設けた電子写真感光体が提案されている。例えば、特開昭61−217052号公報には、メラミン系の樹脂を設けた系が、特開平8−15886号公報には、シリコン系の樹脂を設けた系が提案されている。しかしながら、これらのものは電荷輸送能を持たないため、残留電位を上昇させる等の欠点がある。
【0008】
(5)電荷輸送性ポリマーの利用
ポリビニルカルバゾール(PVK)に代表される電荷輸送性ポリマーは、高い電荷輸送能と強度を両立できる可能性があるため、現在盛んに研究が行われている。本発明者等は、以前に特開平8−253568号公報において、電荷輸送性のポリエステルおよびそれを用いた電子写真感光体を提案した。この電子写真感光体においては、低分子分散系の有機感光体に比べて耐摩耗性が向上しているが、将来、複写機、プリンターをさらに小型化するためには、更に耐久性を向上させる必要がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題点を解決することを目的としてなされたものであって、その目的は、有機感光体を製造した場合に、耐摩耗性が飛躍的に向上する新規な電荷輸送性ポリエステルを提供することにあ
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の目的を達成するべく鋭意検討した結果、主鎖、末端または側鎖に、芳香環と共役していない不飽和結合を含有する電荷輸送性ポリエステルを製造することが可能であり、得られた電荷輸送性ポリエステルは、電荷輸送性、耐摩耗性に優れた薄膜形成が可能であり、電子写真感光材料として有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明の新規な電荷輸送性ポリエステルは、主鎖、末端または側鎖に、芳香環と共役していない不飽和結合(「重合性不飽和結合」という。)を有するものであって、下記一般式(I)で示されることを特徴とする。
【0012】
【化10】
Figure 0003692822
(式中、A及びBの少なくともいずれか一方は、不飽和脂肪族炭化水素基が置換されていてもよい電荷輸送性成分含有基を表し、他方は2価の芳香族炭化水素基、飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基を表し、Dは、水素原子、不飽和脂肪族基または不飽和脂肪族カルボニル基を表し、nは5ないし1000の整数を意味する。ただし、A、B及びDのいずれか一つには不飽和結合を有する脂肪族炭化水素基が存在する。)
なお、本明細書において、上記一般式(I)で示される重合性不飽和結合含有電荷輸送性ポリエステルを用いて導電性支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体における上記感光層とは、単層型感光層、積層型感光層の電荷発生層及び電荷輸送層のみならず、それら単層型感光層、積層型感光層に設けられる表面保護層をも意味する。
【0013】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の重合性不飽和結合含有電荷輸送性ポリエステルについて説明する。本発明の電荷輸送性ポリエステルは、主鎖、末端または側鎖に重合性不飽和結合を有する3つの態様に大別される。
【0014】
(1)第1の態様の電荷輸送性ポリエステルは、主鎖に重合性不飽和結合を含有するものであって、下記一般式(IA)で示される化合物である。
【化11】
Figure 0003692822
[式中、A1 及びB1 の一方は、下記式(IIA)で表される電荷輸送性芳香族アミン残基を表し、
【化12】
Figure 0003692822
(式中、R1a及びR2aは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルキニル基、アルコキシ基、置換アミノ基、置換または未置換の芳香族基またはハロゲン原子を表し、Xは二価の芳香環含有炭化水素基を表し、Yは、芳香環を有してもよい飽和または不飽和脂肪族炭化水素基を表し、kは0または1を意味する。)
他方は飽和または不飽和脂肪族炭化水素基を表し、ただしYおよびB1 の少なくとも一方には、不飽和脂肪族炭化水素基が存在し、nは5ないし1000の整数を意味する。]
【0015】
(2)第2の態様の電荷輸送性ポリエステルは、側鎖に重合性不飽和結合を含有するものであって、下記一般式(IB)で示される化合物である。
【化13】
Figure 0003692822
[式中、A2 及びB2 の少なくとも一方は、下記式(IIB)で表される電荷輸送性芳香族アミン残基を表し、
【化14】
Figure 0003692822
{式中、R1b及びR2bのうちの少なくとも一部は、アルケニル基、アルキニル基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、または基:−CH=CH2 COOR4 (ただし、R4 は、水素原子、アルキル基または基:−R5 −Si(R6 3 (ここで、R5 はアルキレン基を表し、R6 はアルコキシ基を表す。)を表し)を表し、その他のR1b及びR2bは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、置換アミノ基、置換または未置換の芳香族基、またはハロゲン原子を表し、Xは二価の芳香環含有炭化水素基を表し、Y1 は、芳香環を有してもよい飽和脂肪族炭化水素基を表し、kは0または1を意味する。}
他方は芳香環を有してもよい飽和脂肪族炭化水素基を表し、nは5ないし1000の整数を意味する。]
【0016】
(3)第3の態様の電荷輸送性ポリエステルは、両末端に重合性不飽和結合を含有するものであって、下記一般式(IC)で示される化合物である。
【0017】
【化15】
Figure 0003692822
[式中、A3 及びB3 の少なくとも一方は、下記式(IIC)で表される電荷輸送性芳香族アミン残基を表し、
【化16】
Figure 0003692822
(式中、R1a及びR2aは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルキニル基、アルコキシ基、置換アミノ基、置換または未置換の芳香族基またはハロゲン原子を表し、Xは二価の芳香環含有炭化水素基を表し、Y1 は、芳香環を有してもよい飽和脂肪族炭化水素基を表し、kは0または1を意味する。)
他方は芳香族または飽和脂肪族炭化水素基を表し、D1 は、不飽和脂肪族基または不飽和脂肪族カルボニル基を表し、pは5ないし1000の整数を意味する。] 本発明の上記式(IIA)〜(IIC)において、基Xの二価の芳香環含有炭化水素基の具体例としては、下記式で示されるものをあげることができる。
【0018】
【化17】
Figure 0003692822
[ここで、R8 は水素原子、アルキル基、置換もしくは未置換の芳香族基を表し、R9 〜R14は水素原子、アルキル基、置換もしくは未置換の芳香族基、またはハロゲン原子を表し、Zは、二価の有機基を表し、具体的には、下記式のものがあげられる。
【0019】
【化18】
Figure 0003692822
(ここで、aは1〜10の整数を示し、bは1〜3の整数を示す。)]
本発明において、基Xとしては、下記の構造式で表されるものが電気特性上、特に好ましい。
【0020】
【化19】
Figure 0003692822
(式中、R3 は、水素原子またはアルキル基を表す。)
本発明における上記一般式(IA)〜(IC)で示される電荷輸送性ポリエステルの重合度は、5〜5000の範囲、好ましくは10〜3000、より好ましくは15〜1000の範囲に設定される。重合度が上記の範囲よりも低くなると成膜性に劣り、強固な膜が得られにくくなり、また、高くなると溶剤への溶解度が低くなり、加工性が悪くなる。
【0021】
本発明の電荷輸送性ポリエステルは、以下の方法で製造することができる。すなわち、上記電荷輸送性ポリエステルは、(A)重合性不飽和結合を有するモノマーの縮重合、(B)ポリマーの側鎖の修飾(側鎖への重合性不飽和結合の導入)、(C)ポリマーの末端の修飾(末端の変性による重合性不飽和結合の導入)等により製造することができる。以下にこれら3つの方法について説明する。
【0022】
(A)重合性不飽和結合を有するモノマーの縮重合
下記のモノマー[1]および[2]の脱ハロゲン化水素縮合反応、エステル交換反応等による重合法による方法。
[1]二価のアルコールまたはその誘導体
[2]二価のカルボン酸またはその誘導体
ここで、[1]および[2]の少なくとも一つは電荷輸送性芳香族アミン残基を含有し、かつ少なくとも一つは重合性不飽和結合を有する。
【0023】
以下、本発明で用いるモノマーについて例をあげて詳しく説明するが、本発明の範囲を逸脱しない限りこれらに限定されるものではない。
【0024】
[1]二価のアルコールまたはその誘導体
[1−1]電荷輸送性成分含有基および重合性不飽和結合を共に有さない二価アルコール
下記表1に示すようなHO(CH2 2 OH等の直鎖脂肪族二価アルコール、HOCH2 CH(CH3 )CH2 OH等の分枝鎖脂肪族二価アルコール、I(CH2 2 I等の上記二価アルコールの誘導体等をあげることができる。これらの化合物は多種多様のものが市販されているので、比較的容易に入手することができる。
【0025】
【表1】
Figure 0003692822
【0026】
[1−2]電荷輸送性成分含有基を有さず、重合性不飽和結合を有する二価アルコール
下記表2に示すような、HOCH=CHOH等の不飽和結合を含有する脂肪族二価アルコール、ICH=CHI等の不飽和結合を含有する脂肪族二価アルコールの誘導体をあげることができる。これらの化合物は多種多様のものが市販されているので、比較的容易に入手することができる。
【0027】
【表2】
Figure 0003692822
【0028】
[1−3]電荷輸送性成分含有基を有し、重合性不飽和結合を有しない二価アルコール
電荷輸送性成分含有基を有するジオールとしては、ベンジジン骨格、トリフェニルアミン骨格、ブタジエン骨格等、一般に用いられている任意の電荷輸送性物質の骨格を有するものを選択することができる。その中でも、下記一般式(IV)で示される電荷輸送性成分含有基を有するジオールが特性上特に好ましい。
【0029】
【化20】
Figure 0003692822
(式中、R1a、R2a、およびXは前記と同意義を有し、Y1 は芳香環を有してもよい飽和脂肪族炭化水素基を表す。)
上記一般式(IV)で示されるモノマーの具体例としては、下記表3および表4に示すものがあげられる。
【0030】
【表3】
Figure 0003692822
【0031】
【表4】
Figure 0003692822
【0032】
また、これらのモノマーは所望の置換位置にカルボン酸基またはカルボン酸エステル基を有するハロゲン化ベンゼン等をアリールアミンまたはジアリールベンジジンと反応させ、その後カルボン酸基もしくはエステル基を還元することによる得ることができる。これらのモノマーのうち、窒素原子に対しパラ位に水酸基を導入する時には、トリアリールアミン、ベンジジン等の骨格を形成後、ホルミル基を導入し、還元することにより得ることも可能である。また、ホルミル基を導入した後、後に詳細を示すKnoevenagel反応等を用いて、不飽和カルボン酸基または不飽和カルボン酸エステル基に誘導し、水素添加および還元することにより所望のモノマーを得ることもできる。
【0033】
[1−4]電荷輸送性成分含有基および重合性不飽和結合の両者を有するアルコール
電荷輸送性成分含有基を有するジオールとしては、ベンジジン骨格、トリフェニルアミン骨格、ブタジエン骨格等、一般に用いられている任意の電荷輸送性物質の骨格を有するものを選択することができる。その中でも、下記一般式(V)で示される電荷輸送性成分含有基を有するジオールが特性上特に好ましい。
【0034】
【化21】
Figure 0003692822
(式中、R1a、R2a、およびXは前記と同意義を有し、Y2 は不飽和脂肪族炭化水素基を表す。)
上記一般式(V)で示されるモノマーの具体例としては、下記表5に示すものがあげられる。
【0035】
【表5】
Figure 0003692822
【0036】
また、これらのモノマーは所望の置換位置に不飽和結合を有するカルボン酸基またはカルボン酸エステル基を有するハロゲン化ベンゼン等を、アリールアミンまたはジアリールベンジジンと反応させ、アルキレンカルボン酸エステル基を有する化合物を合成し、その後エステルを還元することによって得ることができる。これらのモノマーのうち、窒素原子に対しパラ位に水酸基を導入する時には、トリアリールアミン、ベンジジン等の骨格を形成した後、ホルミル基を導入し、Knoevenagel反応等を用い、不飽和カルボン酸基または不飽和カルボン酸エステル基に誘導し、エステルを還元することにより所望のモノマーを得ることができる。
【0037】
[2]二価のカルボン酸またはその誘導体
[2−1]電荷輸送性成分含有基および重合性不飽和結合を共に有さないカルボン酸およびその誘導体
下記表6に示すような芳香族ジカルボン酸および飽和脂肪族ジカルボン酸、それらのエステル、カルボン酸無水物、カルボン酸ハライド等をあげることができる。また、これらの化合物は多種多様のものが市販されているので、比較的容易に入手することができる。
【0038】
【表6】
Figure 0003692822
【0039】
[2−2]電荷輸送性成分含有基を有さず、重合性不飽和結合を有するカルボン酸およびその誘導体
下記表7に示すようなハロゲンが置換されていてもよい不飽和脂肪族二価カルボン酸、そのエステル、カルボン酸無水物、カルボン酸ハライド等をあげることができる。
【0040】
【表7】
Figure 0003692822
【0041】
[2−3]電荷輸送性成分含有基を有し、重合性不飽和結合を有さないカルボン酸およびその誘導体
電荷輸送性成分含有基を含有するカルボン酸としては、ベンジジン骨格、トリフェニルアミン骨格、ブタジエン骨格等、一般に用いられている任意の電荷輸送性物質の骨格を有するものを選択することができる。その中でも、下記一般式(VI)で示される電荷輸送性成分含有基を含有するカルボン酸またはその誘導体が特性上特に好ましい。
【0042】
【化22】
Figure 0003692822
(式中、R1a、R2a、およびXは前記と同意義を有し、Y1 は、芳香環を有してもよい飽和脂肪族炭化水素基を表し、R7 は水素原子またはアルキル基を表す。)
上記一般式(VI)で示されるモノマーの具体例としては、下記表8に示すものがあげられる。
【0043】
【表8】
Figure 0003692822
【0044】
これらのモノマーは[1−3]の項に示すように、所望の置換位置にカルボン酸基またはカルボン酸エステル基を含む一価の基、またはカルボキシアルキル基を有するハロゲン化ベンゼン等を、アリールアミンまたはジアリールベンジジンと反応させることにより得ることができる。これらのモノマーのうち、窒素原子に対しパラ位に飽和カルボン酸エステル基を導入する時には、トリアリールアミン、ベンジジン等の骨格を形成した後、ホルミル基を導入し、後に詳細を示すKnoevenagel反応等を用い、不飽和カルボン酸基または不飽和カルボン酸エステル基に誘導し、接触還元することにより所望のモノマーを得ることもできる。
【0045】
[2−4]電荷輸送性成分含有基および重合性不飽和結合を共に有すカルボン酸およびその誘導体
電荷輸送性成分含有基を含有するカルボン酸としては、ベンジジン骨格、トリフェニルアミン骨格、ブタジエン骨格等、一般に用いられている任意の電荷輸送性物質の骨格を有するものを選択することができる。その中でも、下記一般式(VII )で示される電荷輸送性成分含有基を含有するカルボン酸またはその誘導体が特性上特に好ましい。
【0046】
【化23】
Figure 0003692822
(式中、R1a、R2a、およびXは前記と同意義を有し、Y2 は不飽和脂肪族炭化水素基を表し、R7 は水素原子またはアルキル基を表す。)
上記一般式(VII )で示されるモノマーの具体例としては、下記表9に示すものがあげられる。
【0047】
【表9】
Figure 0003692822
【0048】
これらのモノマーは[1−3]の項に示すように、所望の置換位置にカルボン酸基またはカルボン酸エステル基を含む一価の基、またはカルボキシアルキル基を有するハロゲン化ベンゼン等を、アリールアミンまたはジアリールベンジジンと反応させることにより得ることができる。これらのモノマーのうち、窒素原子に対しパラ位に不飽和カルボン酸エステル基を導入する時には、トリアリールアミン、ベンジジン等の骨格を形成した後、ホルミル基を導入し、後に詳細を示すKnoevenagel反応等を用い、不飽和カルボン酸基または不飽和カルボン酸エステル基に誘導することにより所望のモノマーを得ることもできる。
【0049】
次に、本発明の電荷輸送性ポリエステルの製造方法についてより具体的に詳しく説明する。
本発明の重合性不飽和結合を有する電荷輸送性ポリエステルは、原料として前記の[1]の二価のアルコールまたはその誘導体および[2]の二価のカルボン酸またはその誘導体から、少なくとも一方は重合性不飽和結合を持ち、かつ少なくとも一方は電荷輸送性成分含有基を有すような原料を任意に選択し、重合することにより製造することができる。重合方法については、第4版 実験化学講座28巻等に記載された公知の種々の方法を採用することができる。例えば、以下の様な方法をあげることができる。
【0050】
<1>二価のアルコールと二価のカルボン酸の重合
この場合には、二価のアルコールと二価のカルボン酸とを、ほぼ当量混合し、酸触媒を用いて重合する。酸触媒としては、硫酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等、通常のエステル化反応に用いるものが使用でき、モノマー1重量部に対して、1/10000〜1/10重量部、好ましくは1/1000〜1/50重量部の範囲で用いられる。重合中に生成する水を除去するために、水と共沸可能な溶剤を用いることが好ましく、トルエン、クロロベンゼン等が有効であり、モノマー1重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは2〜50重量部の範囲で用いられる。反応温度は任意に設定できるが、重合中に生成する水を除去するために、溶剤の沸点で反応させることが好ましい。反応終了後、溶剤を用いなかった場合には、溶解可能な溶剤に溶解させる。溶剤を用いた場合には、反応溶液をそのまま、メタノール、エタノール等のアルコール類や、アセトン等のポリマーが溶解しにくい貧溶剤中に滴下し、電荷輸送性ポリエステルを析出させ、電荷輸送性ポリエステルを分離した後、水や有機溶剤で十分洗浄し、乾燥させる。さらに、必要であれば適当な有機溶剤に溶解させ、貧溶剤中に滴下し、電荷輸送性ポリエステルを析出させる再沈殿処理を繰り返してもよい。再沈殿処理の際には、メカニカルスターラー等で効率よく撹拌しながら行うことが好ましい。再沈殿処理の際に電荷輸送性ポリエステルを溶解させる溶剤は、電荷輸送性ポリエステル1重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは2〜50重量部の範囲で用いられる。また、貧溶剤は電荷輸送性ポリマー1重量部に対して、1〜1000重量部、好ましくは10〜500重量部の範囲で用いられる。
【0051】
また、酸性度の高い二価のアルコール類をモノマーとして用いる場合には、界面重合法も用いることができる。すなわち、二価アルコール類を水に加え、当量の塩基を加えて溶解させた後、激しく撹拌しながら2価アルコール類と当量の電荷輸送性モノマーの溶液を加えることによって重合することができる。この際、水は2価アルコール類1重量部に対して、1〜1000重量部、好ましくは2〜500重量部の範囲で用いられる。もう一方のモノマーを溶解させる溶剤としては、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トルエン、クロロベンゼン、1−クロロナフタレン等が有効である。反応温度は任意に設定でき、反応を促進するために、アンモニウム塩、スルホニウム塩等の相間移動触媒を用いることが効果的である。相間移動触媒は、モノマー1重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部の範囲で用いられる。
【0052】
<2>二価のアルコールと二価のカルボン酸エステルの重合
二価のアルコールを二価のカルボン酸エステルに加え、硫酸、リン酸等の無機酸、チタンアルコキシド、カルシウムおよびコバルト等の酢酸塩または炭酸塩、亜鉛または鉛の酸化物を触媒に用いて加熱し、エステル交換により合成することができる。
【0053】
特に二価のカルボン酸エステルとして、沸点の高い電荷輸送性モノマーを用いる場合は、比較的沸点の低い二価のアルコールを、カルボン酸エステルに対し過剰に用いることが好ましい。二価のアルコールは、電荷輸送性モノマー1当量に対して、2〜100当量、好ましくは3〜50当量の範囲で用いられる。触媒は電荷輸送性モノマー1重量部に対して、1/1000〜1重量部、好ましくは1/1000〜1/2重量部の範囲で用いられる。反応温度200〜300℃で行い、エステル交換終了後は、二価のアルコールの脱離による重合を促進するため、減圧下で反応させることが好ましい。また、二価のアルコールと共沸可能な1−クロロナフタレン等の高沸点溶剤を用いて、常圧下で二価のアルコールを共沸で除きながら反応させることもできる。
【0054】
<3>二価のアルコール誘導体と二価のカルボン酸の重合
二価のアルコール誘導体としては、二価のハロゲン化合物が好ましく用いられる。この場合には、二価のハロゲン化合物と二価のカルボン酸をほぼ当量になるように混合し、塩基性触媒を用いて重合すればよい。塩基性触媒としては、トリエチルアミン、ジエチルアミン、DBU、DABCO、ピリジン、ピペリジン等の一般の有機塩基、K2 CO3 、Na2 CO3 等の無機塩基が使用でき、モノマー1molに対して1 〜100mol、好ましくは1〜10molの範囲で用いられる。反応に使用する溶剤は特に制限はないが、塩基として無機塩基を用いる場合はDMF、DMSO等の非プロトン性極性溶剤が特に好ましい。反応温度は特に制限はなく自由に設定できるが、0度〜反応溶剤の沸点に設定することが望ましい。
【0055】
(B)ポリマー側鎖の修飾(変性)
電荷輸送性ポリエステルの側鎖に非両端共役不飽和結合を導入するためには種々の方法が実施可能である。例えば、以下の工程(1)〜(3)の経路に従うことにより、側鎖の修飾を容易に行なうことができる。また、側鎖の修飾は必要に応じ、すべての活性部位を修飾してもよいし、一部を修飾してもよい。修飾の割合(変性率)は、0.5〜100%、好ましくは5〜100%、より好ましくは20〜100%の範囲である。
【0056】
(1)電荷輸送性ポリエステルのホルミル(−CHO)化
(2)−CHO基から−CH=CHCOOH基への変換
(3)−CH=CHCOOH基から−CH=CHCOOR4 基への変換
側鎖の修飾を行なう電荷輸送性ポリエステルは、下記一般式(ID)で示されるポリエステルを用いることができ、好ましくは式(ID−1)で示されるものである。このポリエステルは、前記(A)で示される方法により、または対応する原料を選択することにより同様にして合成することができる。なお、(ID)で示されるポリエステルには、重合性不飽和結合が含まれていてもいなくてもよい。
【0057】
【化24】
Figure 0003692822
(式中、A3 、B3 は、式(IIC)におけるR1aおよびR 2a の少なくとも一方が水素原子を表わす以外はA3 、B3 と同意義を有する。また、D、nは、前記と同意義を有する。)
上記一般式(ID)において、A3 は、特に、下記式(VIII)で示される基であり、具体的には、下記一般式(ID−1)で示されるポリエステルである。
【0058】
【化25】
Figure 0003692822
[式(ID−1)中、A3 およびnは前記したものと同意義を有し、Y2 は芳香環を有してもよい飽和脂肪族炭化水素基を表し、mは1または2の整数を意味する。また、式(VIII)中、R1c、R2cの少なくとも一方は水素原子を表わし、他方は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、置換アミノ基、置換または未置換の芳香族基、またはハロゲン原子を表し、X、kは前記したものと同意義を有し、cは1〜10の整数を示す。)
側鎖の修飾に使用される上記一般式(ID−1)のポリエステルの具体例を表10および表11に示す。
【0059】
【表10】
Figure 0003692822
【0060】
【表11】
Figure 0003692822
【0061】
次に、上記各工程について以下に詳しく述べる。
(1)電荷輸送性ポリエステルのホルミル(−CHO)化
電荷輸送性ポリマーは「第4版 実験化学講座21」(丸善、1991年出版)の110頁に示されるような、DMF(N,N−ジメチルフォムアミド)−POCl3 を用いるVilsmeir反応が最も簡便であり好ましい。なお、同様な反応を行なうための他の試薬としては、ホスゲン、塩化オキサリル、塩化チオニル、トリフェニルホスフィン−臭素、ヘキサクロロトリホスファザトリエン等のハロゲン化試薬とN−メチルホルムアニリド、N−ホルミルモルホリン、N,N−ジイソプロピルホルムアミド等を組み合わせたものを用いることができる。
【0062】
なお、Vilsmeir反応は、求核性の高い部位にホルミル基の導入が起こりやすいため、トリフェニルアミン類やベンジジン類では芳香環の窒素原子に対し4位にホルミル基の導入が起こりやすい。そのため、側鎖に重合性不飽和結合を導入するポリエステル原料としては、電荷輸送性成分として、トリフェニルアミン類やベンジジン類の芳香環の4位が未置換のものが特に好ましい。
【0063】
反応溶剤は、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、DMF、DMSO等の一般の有機溶剤を用いることができるが、反応の後処理の容易さ、試薬としての役割を兼ねることができる等の利点によりDMFが特に好ましい。反応温度は任意に設定することができるが、あまり温度が高いと高分子主鎖の切断反応が進行してしまい、逆にあまり温度が低いとホルミル化の進行が遅くなる為、−30℃〜150℃に設定することが好ましく、特に30℃〜90℃が好ましい。
【0064】
用いる試薬の量により、修飾する部位の量を調節することができる。用いる試薬の量は、修飾可能な活性部位のmol数に対し、0.001〜100molが好ましく、特に0.01〜10molが好ましい。なお、反応溶剤として、DMF、N−メチルホルムアニリド、N−ホルミルモルホリン、N,N−ジイソプロピルホルムアミドを用いる場合は、それらを過剰に用いることができる。また、カップリング反応後に多量の水、あるいは弱塩基性水溶液に滴下し、加水分解を行なう。
【0065】
(2)−CHO基から−CH=CHCOOH基への変換
−CHO基の−CH=CHCOOH基への変換には、Knoevenagel反応、Perkin反応、Stobbe縮合、Wittig−Horner反応等が用いる事ができるが、反応の選択性の高さ、コスト等の面でKnoevenagel反応を用いる方法が最も好ましい。
【0066】
Knoevenagel反応を用いる方法は、上記工程(1)でポリマー側鎖に導入された−CHOとCH2 (COOR4 2 (ここで、R4 は水素原子またはアルキル基を表す。)とを塩基性物質の存在下で脱水縮合させ−CH=C(COOR4 2 に変換させ、さらに−CH=CHCOOR4 基に変換することができる。脱水縮合の際に用いる反応溶剤は、トルエン、THF、DMF、DMSO等一般の有機溶剤を適宜用いる事ができるが、原料、生成物の溶解性を考慮するとDMF、DMSO等の非プロトン性極性溶剤が特に好ましい。用いる塩基としては、アニリン等の1級アミン、ピペリジン、ジエチルアミン等の2級アミン、トリエチルアミン等の3級アミン等があげられるが、反応の選択性の高さを考慮すると2級アミンが最も好ましい。反応温度は30℃〜100℃が好ましい。用いる試薬の量は、電荷輸送性ポリエステル中の−CHO基1molに対して1〜100mol程度が好ましい。
【0067】
なお、R5 が水素原子ではない原料物質を用いた場合には、表10および表11に示したポリマーの電荷輸送成分であるベンジジン、トリフェニルアミン類の窒素原子の4位をα, β−不飽和エステルで修飾したポリマーが直接得られる。
【0068】
(3)−CH=CHCOOH基から−CH=CHCOOR4 基への変換
−CH=CHCOOH基のエステル化には、▲1▼酸、あるいはアルカリ触媒の下、アルコールを用いる通常のエステル化、▲2▼トリアルキルオキソニウムテトラフルオロホウ素酸等のアルキル化剤を用いる方法、▲3▼塩基性物質の存在下ハロゲン化物を用い、脱ハロゲン化水素反応を利用する方法等を用いることができる。
▲1▼と▲3▼の方法は汎用性があり好ましい。更に、▲3▼は弱塩基で反応が進行する為に、高分子主鎖の切断反応が起きにくく特に好ましい。
【0069】
以下、▲3▼の方法について詳しく説明する。
エステル化は1種のみのハロゲン化物を用いて行なうこともできるし、2種以上のものを用いることもできる。特に2種以上のハロゲン化物を利用する場合には一つの高分子中に2種以上のエステルを導入する事が可能であり、混合して用いることにより、ポリマーの溶解度、粘度、硬化度等の種々の物性をコントロールすることができる。
【0070】
用いられるハロゲン化物(hal−R4a;halはハロゲン原子を表し、4aはアルキル基または基:−R5 −Si(R6 3 を表す。)は,特に限定されないが、以下の様なものを例としてあげることができる。
【0071】
CH3 hal、CH3 CH2 hal、CH3 (CH2 3 hal等の直鎖のハロゲン化アルキル、(CH3 2 hal、(CH3 3 Chal等の分岐のハロゲン化アルキル、CF3 CF2 hal、CF3 (CF2 7 hal等のハロゲン化パーフルオロアルキル、CF3 CF2 CH2 CH2 hal、CF3 (CF2 7 CH2 CH2 hal等のハロゲン化パーフルオロアルキルエチル、(CH3 O)3 Si(CH2 3 hal、CH3 (CH3 O)2 Si(CH2 3 hal、(CH3 2 (CH3 O)Si(CH2 3 hal、(C2 5 O)3 Si(CH2 3 hal、(CH3 O)3 Si(CH2 11hal等のハロゲン化シランカップリング剤。なお、halとしては、よう素、臭素が反応時間を短くできるために、特に好ましい。
【0072】
塩基性物質としては、トリエチルアミン、ジエチルアミン、DBU、DABCO、ピリジン、ピペリジン等の一般の有機塩基、K2 CO3 、Na2 CO3 等の無機塩基を使用することができる。また、塩基として有機溶剤に難溶性の無機塩基を用いる場合には、反応の促進の為、18−クラウン−6、15−クラウン−5等の相間移動触媒を用いることも可能である。
【0073】
上記(1)〜(3)の方法にしたがうことにより、表9および表10に示したポリマーの電荷輸送成分であるベンジジン、トリフェニルアミン類の窒素原子の4位を−CH=CHCOOR4 で修飾したポリマーを得ることができる。なお、R4 の例としては、メチル基、エチル基等の直鎖のアルキル基、(CH3 2 CH−、(CH3 3 C−等の分岐のアルキル基、CF3 CF2 −、CF3 (CF2 7 −等のパーフルオロアルキル基、CF3 CF2 CH2 CH2 −、CF3 (CF2 7 CH2 CH2 −等のパーフルオロアルキルエチル基、(CH3 O)3 Si(CH2 3 −、CH3 (CH3 O)2 Si(CH2 3 −、(CH3 2 (CH3 O)Si(CH2 3 −、(C2 5 O)3 Si(CH2 3 −、(CH3 O)3 Si(CH2 11−等のアルコキシシリル基等をあげることができる。
【0074】
(C)ポリマーの末端の修飾
前記▲1▼、▲2▼の様な方法により合成した電荷輸送性ポリエステル(非両端共役不飽和結合を有していても有さなくても良い)の末端を修飾することにより非両端共役不飽和結合を導入することができる。末端の修飾が可能な電荷輸送性ポリエステルとしては、下記式(IE)で示されるポリマーをあげることができる。その例は、前記表10および表11にあげるポリマーの他に、下記表12および表13に示されるものをあげることができる。
【0075】
【化26】
Figure 0003692822
[式中、A4 は下記式(IX) で示されるものを表わし、その他の符号は前記と同意義を有する。
【化27】
Figure 0003692822
(式中、各符号は前記したと同意義を有する。)]
【0076】
置換可能な重合性基としては、オレフィン、アクリル、メタクリル等種々のものを用いることができるが、以下にアクリル、メタクリル基について説明する。電荷輸送性ポリエステルの末端−OHを−O−CO−(R15)C=CH2 (ただし、R15は、水素原子またはアルキル基を表す。) で置換する際には、hal−CO−(R15)C=CH2 で示される原料を用い、塩基性触媒の存在下カップリングさせることができる。用いる塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、ジアザビシクロウンデセン等があげられる。また、用いる塩基性触媒の量はポリマー末端基1 に対し1〜100当量、より好ましくは2〜20当量で用いられる。また、置換反応の際の反応温度は、低すぎると反応の進行が遅くなり、高すぎると重合反応が進行してしまいゲル化を生じてしまうので、−70℃〜150℃で行なうことが好ましく、更に好ましくは0℃〜70℃である。更に生成物のゲル化を防ぐ為、重合禁止剤を用いることが好ましい。重合禁止剤としては、酸素、一価または多価のフェノール誘導体、キノン類、アミン塩類、4級アンモニウム塩、ヒドラジン塩類、アルデヒド類、アスコルビン酸等の還元性物質をあげることができる。中でもヒドロキノン、モノ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン等のヒドロキノン類、2,5−ジフェニルパラベンゾキノン、2,5−ジアセトキシパラベンゾキノン、2,5−ジカプロキシパラベンゾキノン等のベンゾキノンが特に好ましい。
【0077】
【表12】
Figure 0003692822
【0078】
【表13】
Figure 0003692822
【0079】
次に、本発明のポリエステルについて例示する。
1)直鎖に重合性二重結合を有する電荷輸送性ポリエステルの例(一般式(IA)の繰返し単位の部分を示す。)
【表14】
Figure 0003692822
【0080】
【表15】
Figure 0003692822
【0081】
2)側鎖に重合性二重結合を有する電荷輸送性ポリエステルの例(一般式(ID−1)で示されるポリマーを修飾したものを示す。)
【表16】
Figure 0003692822
【0082】
【表17】
Figure 0003692822
【0083】
【表18】
Figure 0003692822
【0084】
3)末端に重合性二重結合を有する電荷輸送性ポリエステルの例(式(IE)で示されるポリマーを修飾したものを示す。)
【表19】
Figure 0003692822
【0085】
【表20】
Figure 0003692822
【0086】
【表21】
Figure 0003692822
【0087】
次に、本発明の重合性不飽和結合を有する電荷輸送性ポリエステルを用いた電子写真感光体について説明する。
本発明の電荷輸送性ポリエステルは単層構成のもの、電荷発生層、電荷輸送層からなる積層構成のもの、更にその上に表面保護層を設けた構成などいかなる構成のものにも使用が可能である。本発明の電荷輸送性ポリエステルはこれらの如何なる層に含まれていてもよいが、最表面層の電荷輸送層、表面保護層に含まれている場合が最も効果的である。
【0088】
以下、積層構成の電子写真感光体について説明する。
電荷発生層、電荷輸送層等が形成される導電性支持体としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス鋼、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属又は合金を用いた金属板、金属ドラム、金属ベルト、あるいは導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニウム、パラジウム、金等の金属又は合金を塗布、蒸着、あるいはラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルト等があげられる。さらに必要に応じて、導電性支持体の表面は、画質に影響のない範囲で各種の処理を行うことができる。例えば、表面の陽極酸化被膜処理、熱水酸化処理、薬品処理および着色処理等、または、砂目立て等の乱反射処理等を行うことができる。
【0089】
電荷発生層に用いる電荷発生材料には、例えば、アゾ系顔料、キノン系顔料、ペリレン系顔料、インジゴ系顔料、チオインジゴ系顔料、ビスベンゾイミダゾール系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、キノリン系顔料、レーキ系顔料、アゾレーキ系顔料、アントラキノン系顔料、オキサジン系顔料、ジオキサジン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、アズレニウム系染料、スクアリウム系染料、ピリリウム系染料、トリアリルメタン系染料、キサンテン系染料、チアジン系染料、シアニン系染料等の種々の有機顔料、染料や、更にアモルファスシリコン、アモルファスセレン、テルル、セレン−テルル合金、硫化カドミウム、硫化アンチモン、酸化亜鉛、硫化亜鉛等の無機材料があげられるが、縮合環芳香族系顔料、ペリレン系顔料、アゾ系顔料が、感度、電気的安定性、さらに、照射光に対する光化学的安定性の面で好ましい。光導電層に用いる電荷発生材料は、その使用に際しては、ここにあげたものを単独で用いることもできるが、2種類以上の電荷発生材料を混合して用いることもできる。
【0090】
電荷発生層は電荷発生材料を真空蒸着により形成するか、あるいは有機溶剤中の結着樹脂に電荷発生材料を分散し塗布することにより形成することができる。塗布する場合、電荷発生層における結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルアセタール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル型ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルアントラセン樹脂、ポリビニルピレン等がある。これらの中で特にポリビニルアセタール系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、フェノキシ樹脂および変性エーテル型ポリエステル樹脂が好ましい。これらの樹脂は、顔料を良く分散させ、顔料が凝集せず長期にわたり分散塗工液が安定で、その塗工液を用いることで均一な被膜を形成し、その結果、電気特性を良くし画質欠陥を少なくすることができる。しかしながら、通常の状態で被膜を形成しうる樹脂であればこれらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は、単独または2種以上混合して用いることができる。電荷発生材料と結着樹脂との配合比は、体積比で、5:1〜1:2の範囲が好ましい。
【0091】
塗工液を調製する際に用いられる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、クロロベンゼン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム等の通常使用される有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。塗工液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常使用される方法を用いることができる。電荷発生層の厚みは一般的に0.01〜5μm、好ましくは0.1〜2.0μmが適当である。この厚さが0.01μmよりも薄いと、電荷発生層を均一に形成することが困難になり、5μmを越えると電子写真特性が著しく低下する傾向がある。また、電荷発生層中に酸化防止剤、失活剤などの安定剤を加えることもできる。酸化防止剤としては、例えば、フェノール系、硫黄系、リン系、アミン系化合物等の酸化防止剤があげられる。失活剤としてはビス(ジチオベンジル)ニッケル、ジ−n−ブチルチオカルバミン酸ニッケル等があげられる。
【0092】
電荷発生層と、導電性支持体との間に下引層を設けることもできる。下引層に用いる結着剤としては、以下のものをあげることができる。ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ジルコニウムキレート化合物、チタニルキレート化合物、チタニルアルコキシド化合物、有機チタニル化合物、シランカップリング剤等の公知の材料を用いることができる。これらの材料は単独であるいは2種以上混合して用いることができる。さらに、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、シリコーン樹脂等の微粒子と混合することができる。下引層を形成する際の塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法が採用される。下引層の厚みは0.01〜10μm、好ましくは0.05〜2μmが適当である。
【0093】
電荷輸送層に、本発明の電荷輸送性ポリエステルを用いる場合は、単独で用いてもよいが、次のような電荷輸送剤、結着樹脂等と混合して用いてもよい。また、後述の方法により電荷輸送層を硬化させるのが好ましい。それによる塗膜の強度が上昇する。
【0094】
用いることができる電荷輸送剤としては、低分子化合物としては、例えば、ピレン系、カルバゾール系、ヒドラゾン系、オキサゾール系、オキサジアゾール系、ピラゾリン系、アリールアミン系、アリールメタン系、ベンジジン系、チアゾール系、スチルベン系、ブタジエン系等の化合物があげられる。また、高分子化合物としては、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ハロゲン化ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルアンスラセン、ポリビニルアクリジン、ピレン−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾール−ホルムアルデヒド樹脂、トリフェニルメタンポリマー、ポリシラン等があげられる。
【0095】
結着樹脂が併用される場合には、電気絶縁性のフィルム形成可能な高分子重合体が好ましい。このような高分子重合体としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルフォルマール、ポリスルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、フェノール樹脂、ポリアミド、カルボキシメチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーラテックス、ポリウレタン等があげられるが、これらに限定されるものではない。これらの結着材は、単独又は2種類以上混合して用いられるが、特にポリカーボネート、ポリエステル、メタクリル樹脂、アクリル樹脂が、電荷輸送材料との相溶性、溶剤への溶解性、強度にすぐれ好ましい。
【0096】
また、これらの結着材と共に、可塑剤、表面改質剤、酸化防止剤、光劣化防止剤等の添加剤を使用することもできる。可塑剤としては、例えば、ビフェニル、塩化ビフェニル、ターフェニル、ジブチルフタレート、ジエチレングリコールフタレート、ジオクチルフタレート、トリフェニル燐酸、メチルナフタレン、ベンゾフェノン、塩素化パラフィン、ポリプロピレン、ポリスチレン、各種フルオロ炭化水素等があげられる。酸化防止剤としては、例えば、フェノール系、硫黄系、リン系、アミン系化合物等の酸化防止剤があげられる。光劣化防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ヒンダードアミン系化合物等があげられる。塗布溶剤は、材料の種類によって異なり、最適なものを選択して用いることが好ましい。そのような有機溶剤の例としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルセロソルブ等のエーテル類; 酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド及びスルホン類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼン等の芳香族類等があげられる。
【0097】
電荷輸送層の厚みは一般に5〜50μmの範囲であり、好ましくは10〜40μmの範囲に設定される。この厚さが5μmよりも薄いと、帯電が困難になり、50μmを越えると電子写真特性が著しく低下する傾向がある。
【0098】
電子写真感光体の最表面には、表面保護層を設けることもできる。表面保護層に、本発明の電荷輸送性ポリエステルを用いる場合は、単独で用いてもよいが、必要に応じて、アルミニウム系カップリング材、シラン系カップリング材、チタネート系カップリング材等のカップリング材、あるいは前記の電荷輸送層および電荷発生層に用いたような一般的な結着樹脂、市販のハードコート材と混合して用いてもよい。本発明の電荷輸送性ポリエステルと他の材料を混合させて用いる際には、その比率は重量比で100/1〜1/100好ましくは90/10〜10/90、更に好ましくは70/30〜20/80で用いられる。また、後述の方法により表面保護層を硬化させると、膜の強度があがる為より好ましい。
【0099】
また、保護層の厚さは0.1〜10μm、好ましくは0.5〜7μm、更に好ましくは1〜5μmで用いられる。この保護層を設ける際の塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
【0100】
本発明の電荷輸送性ポリエステルを電子写真感光体等の有機電子デバイスとして用いる場合は、塗布後に以下のようなシステムにより硬化することにより、高強度の薄膜が形成可能である。
なお、両端が芳香環と共役した不飽和結合を有する電荷輸送性ポリマーを用いた場合は、硬化反応がスムーズに進行せず高強度の薄膜を形成することができない。理由は明らかになっていないが、恐らく電子の非局在化による反応性低下が原因と思われる。
【0101】
本発明の重合性不飽和結合を有する電荷輸送性ポリエステルは、熱、光等により、硬化させることが可能である。また、熱による硬化反応は無触媒で行なうこともできるが、適切な触媒を用いることもできる。用いる触媒としては、以下のようなものをあげることができるが、本発明の範囲を逸脱しない限りこれらに限定されるものではない。
【0102】
t―ブチルヒドロパーオキシド(BHP)、キュメンヒドロパーオキシド(CHP)、パラメンタンヒドロパーオキシド(pMHP)、ジキュミルパーオキシド(DCP)、ジ−t−ブチルパーオキシド(DBP)、ジ−t −ブチルジパーフタレート(DBPP)、t−ブチルパーベンゾエート(BPB)、t−ブチルパーアセテート(BPA)、過酸化ベンゾイル(BPO)、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド(ClBPO)、ラウリルパーオキシド(LP)、メチルエチルケトンパーオキシド(MEKP)、ヒドロキシヘプチルパーオキシド(HHP)、シクロヘキサノンパーオキシド(CHNP)、2,5−ジメチルヘキサン−2、5―ジヒドロパーオキシド(DHDHP)等を単独あるいは混合させて用いることができる。更に促進剤と混合させて用いることもできる。促進剤としては、パラトルエンスルホン酸、4級アンモニウム塩、アミン類、スチレンオキシド等をあげることができる。触媒および促進剤の添加量は、ポリマー1部に対し1/1,000,000〜1/10部の範囲が好ましく、より好ましくは1/100,000〜1/100の範囲である。
【0103】
光による硬化反応も単独で行なうこともできるが、適切な増感剤を用いることが好ましい。用いる増感剤としては、以下のものをあげることができるが、本発明の範囲を逸脱しない限りこれらに限定されるものではない。p−ニトロジフェニル、p−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン等のニトロ化合物;ベンズアルデヒド、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ジベンザルアセトン、ベンジル、ミヒラーズケトン等のケトン類;ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン等のキノン類;アンスロン、1,9−ベンズアンスロン、3−メチル−1,3−ジアザ−1,9−ベンズアンスロン等のアンスロン類。触媒を加える量は、電荷輸送性ポリエステル1部に対し1/1,000,000〜1/10部の範囲が好ましく、より好ましくは1/100,000〜1/100である。また、使用する光源としては低圧水銀灯、高圧水銀灯、アーク灯、キセノンランプ等をあげることができる。
【0104】
更にアルコキシシリル基を有する電荷輸送性ポリエステルの場合は、酸、アルカリ性触媒等によるSi−O−Si結合形成による硬化が可能である。
【0105】
また、以下のような方法でも硬化することができる。本発明の重合性不飽和結合を有する電荷輸送性ポリエステルは、重合性成分の添加による硬化が可能である。例えば、Si−Hを二つ以上持つ化合物を添加し、適当な触媒を用いることによってヒドロシリル化反応により収縮率の低い硬化が可能である。Si−Hを二つ以上持つ化合物の例としては、以下のようなH末端シロキサンをあげることができる。DMS−H03、DMS−H21、DMS−H25、DMS−H31、DMS−H41、HMS−013、HMS−031、HMS−071、HMS−151、HMS−301、HMS−501、HMS−991、HMS−993、HES−992、HDP−111、HPM−502(チッソ社製)。
【0106】
また、ヒドロシリル化の触媒としては、白金−カルボニル錯体、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、白金―シクロビニルメチルシロキサン錯体、H2 PtCl6 ・6H2 ORhCl(PPh3 3 、IrCl(CO)(PPh3 2 、Co2 (CO)8 、Pt(C2 4 )(PPh3 2 、[Pt(C2 4 )Cl2 2 等があげられる。
なお、上記の硬化反応を2つ以上組み合わせて用いることも可能である。
【0107】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳しく説明する。
実施例1
〔主鎖に不飽和結合を含有する電荷輸送性ポリエステル4の合成〕
ジエチルホスホノアセチックアシッドエチルエステル13.5gを二口フラスコに採取し、無水ジメチルホルムアミド100mlに溶解させた。その後反応系を0℃に冷却し、攪拌しながら油性水素化ナトリウム2.8gをゆっくり加え、徐々に室温まで温度を昇温し、15分攪拌した。下記構造式で示される(ビスホルミル体−1)15.8gをゆっくり加え、室温で3時間攪拌した。
【0108】
【化28】
Figure 0003692822
反応の終了を確認し、エタノール15mlにより反応を停止させ、トルエン200mlに溶解させ、200mlの蒸留水で二度洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下溶剤を留去した後、シリカゲルによりカラム精製(溶剤: トルエン/酢酸エチル=5/1)を行い、更に再結晶法(溶剤: 酢酸エチル/エタノール=1/1)により精製し、淡黄色のカルボン酸誘導体([2−4]−1)13.5gを得た。融点162−164℃。生成物のIRスペクトルを図1に示す。
【0109】
窒素雰囲気下300mlの三つ口フラスコに上記のカルボン酸誘導体([2−4]−1)を10g、エチレングリコール30ml、Ti(OBu)4 を5滴採取し、200℃で2時間攪拌した。その後230℃、減圧下で5時間エステル交換反応により重合を行い、重合終了後塩化メチレン100mlを加え、不溶分をろ過により取り除き、メタノール1000ml中に再沈殿し、乾燥し、淡黄色の下記構造式で示される不飽和結合含有電荷輸送性ポリエステル4を7.5g得た。得られたポリマーの分子量は1.9×104 であった(GPC;ポリスチレン換算) 。生成物のIRスペクトルを図2に示す。
【化29】
Figure 0003692822
【0110】
実施例2
〔側鎖に不飽和結合を含有する電荷輸送性ポリエステル25の合成〕
窒素雰囲気下、2Lの三つ口フラスコに下記構造式のビスホルミル体−2を100g採取し、トルエン500mlに溶解させた。攪拌しながら、マロン酸72.7g、ピペリジン70mlをゆっくり加え16時間加熱還流した。
【化30】
Figure 0003692822
【0111】
その後反応系を冷却し、メタノール500ml、硫酸100mlからなる混合液をゆっくりと滴下し、徐々に温度を上げ1時間加熱還流した。トルエン500mlを加え、1Lの飽和食塩水、蒸留水で洗浄した後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。活性白土500gを加え、共沸脱水処理を行い、減圧下溶剤を留去した。THF700ml、メタノール700mlからなる混合溶剤に溶かし、更に5%Pd/C 20gを加え、フラスコ内を水素で置換した後、フラスコの口に水素供給源をつなぎそのまま、16時間反応をさせた。Pd/Cをろ過により取り除き、減圧下溶剤を留去した。得られた粗生成物をトルエン/へキサン1/1からなる混合溶剤から再結晶し、無色の結晶(カルボン酸誘導体[2−3]−2)101gを得た。生成物のIRスペクトルを図3に示す。
【0112】
窒素雰囲気下300mlの三口フラスコに上記のカルボン酸誘導体([2−3]−2)を25g、エチレングリコール30ml、Ti(OBu)4 を5滴採取し、200℃で2時間攪拌した。その後230℃、減圧下で5時間エステル交換反応により重合を行い、重合終了後THF100mlを加え、不溶分をろ過により取り除き、メタノール3L中に再沈殿し、乾燥し、白色の電荷輸送性ポリエステル(表10の例示化合物No.9)を21.1g得た。得られたポリマーの分子量は4.1×104 であった。生成物のIRスペクトルを図4に示す。
【0113】
窒素雰囲気下1Lの3口フラスコに上記のようにして得られた電荷輸送性ポリエステルを20g取り、無水DMF200mlに溶解させた。そこに、あらかじめ調製しておいた無水DMF200mlとオキシ塩化リン40mlよりなるVilsmeire試薬を、攪拌しながら30分かけてゆっくりと滴下し、1時間攪拌した後、60度に昇温し15時間攪拌を続けた。
【0114】
蒸留水4Lをビーカーに取り、激しく攪拌しながら、室温まで冷却した上記の溶液を30分かけてゆっくり滴下し、ポリマーを再沈殿させた。析出させたポリマーをろ過し、THF200mlに溶解させ、4Lのメタノール中に上記と同様の操作により再沈殿させた。析出したポリマーをろ過し、減圧下乾燥させ、黄土色の下記構造式で示されるホルミル基含有電荷輸送性ポリエステルを17g得た。得られたポリマーの分子量は3.1×104 だった(GPC;ポリスチレン換算)。生成物のIRスペクトルを図5に示す。
【0115】
【化31】
Figure 0003692822
【0116】
窒素雰囲気下500mlの3口フラスコに上記の方法で合成したホルミル基含有電荷輸送性ポリエステルを15g取り、THF200mlに溶解させた。更に、マロン酸20gとピペリジン40mlを加え、70度で15時間攪拌し、DMF100mlを加えた。メタノール2Lをビーカーに取り、激しく攪拌しながら、上記の溶液を30分かけてゆっくり滴下し、ポリマーを再沈殿させた。析出させたポリマーをろ過し、THF200mlに溶解させ、2Lのメタノール中に上記と同様の操作を繰り返し精製した。析出したポリマーをろ過し、減圧下乾燥させ、黄色の下記構造式で示される不飽和カルボキシル基含有電荷輸送性ポリエステルを13.8g得た。得られたポリマーは難溶性のため分子量の測定はできなかった。生成物のIRスペクトルを図6に示す。
【0117】
【化32】
Figure 0003692822
【0118】
実施例3
〔側鎖に不飽和結合を含有する電荷輸送性ポリエステル26の合成〕
窒素雰囲気下3口フラスコに上記実施例2で合成した不飽和カルボキシル基含有電荷輸送性ポリエステル5g、K2 CO3 15g、ヨードヘキサデカン42.5g、DMF100mlを採取した。温度を室温から徐々に90度まで昇温した所、約二時間でポリマーが溶解した。そのまま15時間攪拌を続けた後、トルエン500ml、飽和食塩水500mlを加え洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶液が約200mlになるまで留去した。
【0119】
メタノール2Lをビーカーに取り、激しく攪拌しながら、上記の溶液を30分かけてゆっくり滴下し、ポリマーを再沈殿させた。析出させたポリマーをろ過し、THF200mlに溶解させ、2Lのメタノール中に上記と同様の操作を繰り返し精製した。析出したポリマーをろ過し、減圧下乾燥させ、淡黄色の不飽和カルボン酸エステル基含有電荷輸送性ポリエステルを3.5g得た。得られたポリマーの分子量は1.8×104 であった(GPC;ポリスチレン換算)。生成物のIRスペクトルを図7に示す。
【0120】
【化33】
Figure 0003692822
【0121】
実施例4
〔側鎖に不飽和結合を含有する電荷輸送性ポリエステル27の合成〕
窒素雰囲気下3口フラスコに実施例2の方法で合成した不飽和カルボキシル基含有電荷輸送性ポリエステル5g、K2 CO3 15g、ヨードエタン10g、DMF100mlを採取した。温度を室温から徐々に70度まで昇温した所、約3時間でポリマーが溶解した。そのまま15時間攪拌を続けた後、トルエン500ml、飽和食塩水500mlを加え洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶液が約200mlになるまで留去した。
【0122】
メタノール2Lをビーカーに取り、激しく攪拌しながら、上記の溶液を30分かけてゆっくり滴下し、ポリマーを再沈殿させた。析出させたポリマーをろ過し、THF200mlに溶解させ、2Lのメタノール中に上記と同様の操作を繰り返し精製した。析出したポリマーをろ過し、減圧下乾燥させ、淡黄色の不飽和カルボン酸エステル基含有電荷輸送性ポリエステルを4g得た。得られたポリマーの分子量は3.3×104 であった(GPC;ポリスチレン換算)。生成物のIRスペクトルを図8に示す。
【0123】
【化34】
Figure 0003692822
【0124】
実施例5
〔側鎖に不飽和結合を含有する電荷輸送性ポリエステル28の合成〕
窒素雰囲気下3口フラスコに実施例2の方法で合成した不飽和カルボキシル基含有電荷輸送性ポリエステル5g、K2 CO3 15g、ヨードプロピルトリイソプロポキシシラン8g、DMF100mlを採取した。温度を室温から徐々に60度まで昇温し、そのまま15時間攪拌を続けた後、不溶分をろ過により取り除き、トルエン500ml、飽和食塩水500mlを加え洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶液が約100mlになるまで留去した。
【0125】
メタノール2Lをビーカーに取り、激しく攪拌しながら、上記の溶液を30分かけてゆっくり滴下し、ポリマーを再沈殿させた。析出したポリマーをろ過し、減圧下乾燥させ、淡黄色の不飽和カルボン酸エステル基含有電荷輸送性ポリエステルを1.5g得た。得られたポリマーの分子量は2.7×104 であった(GPC;ポリスチレン換算)。生成物のIRスペクトルを図9に示す。
【0126】
【化35】
Figure 0003692822
【0127】
実施例6
〔末端に不飽和結合を含有する電荷輸送性ポリエステル66の合成〕
[表12の例示化合物No.35の末端メタクリル化]
カルボン酸誘導体[2−3]−1 10g、エチレングリコール20g及びテトラブトキシチタン7 滴を200mlのフラスコに入れ、窒素気流下で3時間加熱還流した。カルボン酸誘導体が完全に消費されたことを確認し、0.5mmHgに減圧しエチレングリコールを留去しながら230℃に加熱し1時間反応を続けた。その後室温まで冷却し、塩化メチレン150mlに溶解し、不溶分をろ過により取り除き、ろ液をメタノール500ml中に攪拌しながら滴下し、ポリマーを析出させた。更に得られたポリマーを乾燥させ、例示化合物No.35を5.3g得た。得られたポリマーの分子量は1.9×104 (GPC;ポリスチレン換算)であった。NMRスペクトルを図10に示す。
【0128】
上記で合成した例示化合物No.35を5g、テトラヒドロフラン(THF)100ml、トリエチルアミン50ml、ヒドロキノン0.1gをフラスコにとり、メタクリル酸クロライド1.5gをTHF50mlに溶解させたものを滴下し、60℃で3時間反応させた。その後室温まで冷却し、不溶分をろ過により取り除き、ろ液をメタノール1L中に攪拌しながら滴下し、ポリマーを析出させた。得られたポリマーを乾燥させ、例示化合物No.35の末端をメタクリル基で修飾したポリマー3.3gを得た。得られたポリマーの分子量は1.9×104 (GPC;ポリスチレン換算)であった。NMRスペクトルを図11に示す。
【0129】
実施例7
本発明の製造方法により得られた不飽和結合含有電荷輸送性ポリエステルを電荷輸送層に用いて、電子写真感光体を作製した。
円筒状のAl基板上にジルコニウム化合物(商品名:オルガチックスZC540、マツモト製薬社製)10部、シラン化合物(商品名:A1100、日本ユニカー社製)1部、イソプロパノール40部、及びブタノール20部からなる溶液を浸せき塗布し、150℃にて、10分間加熱乾燥し、0.1μmの下引き層を形成した。次いで、電荷発生材料としてヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶0.1部をポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−S、積水化学社製)0.1部及び酢酸ブチル6部と混合し、ガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間処理して分散させた後、得られた塗布液を上記下引き層上に浸積塗布し、100℃において10分間加熱乾燥し、膜厚約0.2μmの電荷発生層を形成した。次に実施例1で合成された不飽和結合含有電荷輸送性ポリエステルを2部、過酸化ベンゾイル0.01部をトルエン15部に溶解させ上記電荷発生層上に塗布し、120℃にて2時間加熱し、膜厚約15μmの電荷輸送層を形成した。
【0130】
このようにして得た電子写真感光体をレーザービームプリンター(XP11改造品;富士ゼロックス社製)に搭載し、A4 PPC用紙にて、1000枚コピーを行い、1000枚コピー後の画像、感光体表面の傷、付着物、感光体摩耗量の評価をした。結果を表22に示す。
【0131】
実施例8
電荷輸送成分として、実施例6で合成したものを用いた以外は、実施例7と同様にして電子写真感光体を製造し、評価を行なった。結果を表22に示す。
【0132】
実施例9
実施例7と同様にして電荷発生層を形成した後、実施例3で合成された不飽和結合含有電荷輸送性ポリエステルを2部、ミヒラーズケトン0.01部をトルエン15部に溶解させ、電荷発生層上に塗布し、指触乾燥後、UV照射(USHIO社製)を1分間行い、更に120℃にて2時間加熱し、膜厚約15μmの電荷輸送層を形成し、評価を行なった。結果を表22に示す。
【0133】
実施例10
実施例7と同様にして電荷発生層を形成した後、実施例4で合成された不飽和結合含有電荷輸送性ポリエステルを2部、DMS−H03(チッソ社製)0.05部、H2 PtCl6 ・6H2 O 0.01部をトルエン15部に溶解させ、電荷発生層上に塗布し、指触乾燥後、120℃にて2時間加熱し、膜厚約15μmの電荷輸送層を形成し、評価を行なった。結果を表22に示す。
【0134】
実施例11
実施例7と同様にして電荷発生層を形成した後、実施例5で合成された不飽和結合含有電荷輸送性ポリエステルを2部、Si(OCH3 4 0.05部、イソプロパノール3部、1N−HCl 0.01部をトルエン15部に溶解させ、室温で10分攪拌した後、電荷発生層上に塗布し、指触乾燥後、120℃にて2時間加熱し、膜厚約15μmの電荷輸送層を形成し、評価を行なった。結果を表22に示す。
【0135】
比較例1
実施例7と同様にして電荷発生層を形成した後、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン2部と、1,1′−ジ−(pフェニレン)シクロヘキサンカーボネート3部を、モノクロロベンゼン20部に溶かし、電荷発生層上に塗布し、指触乾燥後、120℃にて2時間加熱し、膜厚約15μmの電荷輸送層を形成し、評価を行なった。結果を表22に示す。
【0136】
比較例2
実施例7と同様にして電荷発生層を形成した後、表9の例示化合物No.9のポリエステル3部を、モノクロロベンゼン20部に溶かし、電荷発生層上に塗布し、指触乾燥後、120℃にて2時間加熱し、膜厚約17μmの電荷輸送層を形成し、評価を行なった。結果を表22に示す。
【0137】
【表22】
Figure 0003692822
【0138】
【発明の効果】
本発明の電荷輸送性ポリエステルは、主鎖、側鎖または末端に重合性不飽和結合を有するものであって、種々の有機電子デバイスに応用可能であり、特に、電子写真感光体において、感光層における電荷輸送材料として、また表面保護層における結着樹脂としてに用いた場合、優れた特性及び耐久性を示すという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1における原料カルボン酸誘導体のIRスペクトル図を示す。
【図2】 実施例1の電荷輸送性ポリエステルのIRスペクトル図を示す。
【図3】 実施例2における原料カルボン酸誘導体のIRスペクトル図を示す。
【図4】 実施例2における修飾される原料ポリエステルのIRスペクトル図を示す。
【図5】 実施例2におけるホルミル中間体のIRスペクトル図を示す。
【図6】 実施例2の電荷輸送性ポリエステルのIRスペクトル図を示す。
【図7】 実施例3の電荷輸送性ポリエステルのIRスペクトル図を示す。
【図8】 実施例4の電荷輸送性ポリエステルのIRスペクトル図を示す。
【図9】 実施例5の電荷輸送性ポリエステルのIRスペクトル図を示す。
【図10】 実施例6における修飾される原料ポリエステルのIRスペクトル図を示す。
【図11】 実施例6の電荷輸送性ポリエステルのIRスペクトル図を示す。

Claims (7)

  1. 下記一般式(I)で示される重合性不飽和結合含有電荷輸送性ポリエステル。
    Figure 0003692822
    (式中、A及びBの少なくともいずれか一方は、不飽和脂肪族炭化水素基が置換されていてもよい電荷輸送性成分含有基を表し、他方は2価の芳香族炭化水素基、飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基を表し、Dは、水素原子、不飽和脂肪族基または不飽和脂肪族カルボニル基を表し、nは5ないし1000の整数を意味する。ただし、A、B及びDのいずれか一つには重合性不飽和結合を有する脂肪族炭化水素基が存在する。)
  2. 不飽和脂肪族炭化水素基を有していてもよい電荷輸送性成分含有基が、下記一般式(II)で示される芳香族アミン残基であることを特徴とする請求項1に記載の重合性不飽和結合含有電荷輸送性ポリエステル。
    Figure 0003692822
    (式中、R1 及びR2 は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、置換アミノ基、置換または未置換の芳香族基、カルボキシル置換もしくはアルコキシカルボニル置換アルケニル基、またはハロゲン原子を表し、Xは二価の芳香環含有炭化水素基を表し、Yは、芳香環を有してもよい飽和または不飽和脂肪族炭化水素基を表し、kは0または1を意味する。)
  3. 一般式(II)において、Xが下記一般式(III )で示される請求項2記載の重合性不飽和結合含有電荷輸送性ポリエステル。
    Figure 0003692822
    (式中、R3 は、水素原子またはアルキル基を表す。)
  4. 下記一般式(IA)で示されることを特徴とする主鎖に重合性不飽和結合を有する請求項1記載の重合性不飽和結合含有電荷輸送性ポリエステル。
    Figure 0003692822
    [式中、A1 及びB1 の一方は、下記式(IIA)で表される電荷輸送性芳香族アミン残基を表し、
    Figure 0003692822
    (式中、R1a及びR2aは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルキニル基、アルコキシ基、置換アミノ基、置換または未置換の芳香族基またはハロゲン原子を表し、Xは二価の芳香環含有炭化水素基を表し、Yは、芳香環を有してもよい飽和または不飽和脂肪族炭化水素基を表し、kは0または1を意味する。)
    他方は、飽和または不飽和脂肪族炭化水素基を表し、ただしYおよびB1 の少なくとも一方には、不飽和脂肪族炭化水素基が存在し、nは5ないし1000の整数を意味する。]
  5. 下記一般式(IB)で示されることを特徴とする側鎖に重合性不飽和結合を有する請求項1記載の重合性不飽和結合含有電荷輸送性ポリエステル。
    Figure 0003692822
    [式中、A2 及びB2 の少なくとも一方は、下記式(IIB)で表される電荷輸送性芳香族アミン残基を表し、
    Figure 0003692822
    {式中、R1b及びR2bのうちの少なくとも一部は、アルケニル基、アルキニル基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、または基:−CH=CH2 COOR4 (ただし、R4 は、水素原子、アルキル基または基:−R5 −Si(R6 3 (ここで、R5 はアルキレン基を表し、R6 はアルコキシ基を表す。)を表し)を表し、その他のR1b及びR2bは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、置換アミノ基、置換または未置換の芳香族基、またはハロゲン原子を表し、Xは二価の芳香環含有炭化水素基を表し、Y1 は、芳香環を有してもよい飽和脂肪族炭化水素基を表し、kは0または1を意味する。}
    他方は芳香環を有してもよい飽和脂肪族炭化水素基を表し、nは5ないし1000の整数を意味する。]
  6. 下記一般式(IC)で示されることを特徴とする両末端に重合性不飽和結合を有する請求項1記載の重合性不飽和結合含有電荷輸送性ポリエステル。
    Figure 0003692822
    [式中、A3 及びB3 の少なくとも一方は、下記式(IIC)で表される電荷輸送性芳香族アミン残基を表し、
    Figure 0003692822
    (式中、R1a及びR2aは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルキニル基、アルコキシ基、置換アミノ基、置換または未置換の芳香族基またはハロゲン原子を表し、Xは二価の芳香環含有炭化水素基を表し、Y1 は、芳香環を有してもよい飽和脂肪族炭化水素基を表し、kは0または1を意味する。)
    他方は芳香族または飽和脂肪族炭化水素基を表し、D1 は、不飽和脂肪族基または不飽和脂肪族カルボニル基を表し、nは5ないし1000の整数を意味する。]
  7. 不飽和脂肪族炭化水素基が、式:−CH=CH2 COOR4 [ただし、R4 は、水素原子、アルキル基、パーフルオロアルキル基または基:−R5 −Si(R6 3 (ただし、R5 はアルキレン基を表し、R6 はアルコキシ基を表す。)を表す。]で示される請求項5記載の重合性不飽和結合含有電荷輸送性ポリエステル。
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