JP3692696B2 - コンデンサの電解質溶液塗布方法およびその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品のコンデンサを構成する連続帯状で厚みが0.1mm以下のアルミニウム箔の素材に電解質溶液を塗布するコンデンサの電解質溶液塗布方法およびその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のコンデンサの電解質溶液塗布方法およびその装置に応用できる技術に関しては、例えば特開平5−123621号公報に開示されている。
【0003】
その装置の全体構成概要図を図5に示しており、31,32,33,34,35,36,37は、それぞれ塗料や溶剤などが塗布される板状の塗布対象物41を搬送する第1,第2,第3,第4,第5,第6,第7搬送部である。
【0004】
38,39は各々片面の塗布を行なう第1,第2塗工機、40は塗布対象物41の上下面を反転する反転機である。
【0005】
そしてその動作は、第1搬送部31により塗布対象物41を搬送し、第1塗工機38で塗布対象物の片面に塗料や溶剤を塗布し、第2搬送部32、第3搬送部33、第4搬送部34により矢印方向に搬送し、反転機40により塗布対象物41の上下面を反転して、第5搬送部35、第6搬送部36により矢印方向に搬送し、第2塗工機39でもう一方の片面を塗布して、両面を塗布された塗布対象物41を第7搬送部37により次の工程に搬送されるというものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記特開平5−123621号公報に開示されている技術を応用した塗料や溶剤の塗布方法およびその装置においては、塗布対象物の両面に塗布するために塗布対象物を反転する反転機が必要であり、連続帯状の塗布対象物、特に厚みが0.1mm以下のアルミニウム箔の両面に均等に塗布することは困難であるという課題がある。
【0007】
また、装置構成の部品点数の増加による装置の複雑化、大型化、コストアップ、信頼性の低下、およびメンテナンスが難しいなどの課題を有していた。
【0008】
本発明は、従来のこのような課題を解決しようとするものであり、連続帯状で厚みが0.1mm以下のアルミニウム箔の両面に対する塗布が容易で、前記アルミニウム箔の両面に均等に塗布することができ、簡単な構成の小型で、メンテナンス性に優れ、しかもコストダウン、操作の簡素化が図れるコンデンサの電解質溶液塗布方法およびその装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明のコンデンサの電解質溶液塗布方法およびその装置は、回転自在で、XおよびY方向に移動自在な、送入ローラおよび送出ローラでなる位置調整部と、送入ローラと送出ローラ間を360度ねじられて移送される経路中の両側帯に突起部を設けた連続帯状の厚みが0.1mm以下のアルミニウム箔が、ほぼ垂直になる直下の2箇所の位置に、電解質溶液を塗布するための、中心部に電解質溶液を供給する中空部を設け、その上部先端の開口部に電解質溶液を盛上げる塗布ノズルでなる塗布部と、側帯の突起部に塗布された余分な電解質溶液を除去する塗布量調整部で構成されたコンデンサの電解質溶液塗布方法および装置としたものである。
【0010】
本発明によれば、連続帯状体で厚みが0.1mm以下のアルミニウム箔の両面へのムラの少ない塗布が可能であり、メンテナンスが容易で、しかもコストダウン、操作の簡素化が図れるコンデンサの電解質溶液塗布方法およびその装置を得ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、複数の突起部を両側帯に設けた連続帯状で厚みが0.1mm以下のアルミニウム箔を、360度ねじって移送される移送経路中に、前記アルミニウム箔の一方の突起部を電解質溶液中を通過浸漬させ、一方の突起部の両面に電解質溶液を塗布し、それから180度ねじられたアルミニウム箔の他方の突起部を電解質溶液中を通過浸漬させ、他方の突起部の両面に電解質溶液を塗布するコンデンサの電解質溶液塗布方法としたものであり、アルミニウム箔の反転機構が不要で、両側帯の突起部の両面に電解質溶液を均等に連続塗布できるという作用を有する。
【0014】
請求項2に記載の発明は、回転自在で、X方向およびY方向に移動自在な、送入ローラおよび送出ローラでなる位置調整部と、送入ローラと送出ローラ間を360度ねじられて移送される経路中の連続帯状で厚みが0.1mm以下のアルミニウム箔がほぼ垂直になる直下の2箇所の位置に、中心部に電解質溶液を供給する中空部を設け、その上部先端の開口部に電解質溶液を盛上げる塗布ノズルにより、前記アルミニウム箔の両側帯の両面に電解質を塗布する塗布部を設置して構成した、コンデンサの電解質溶液塗布装置としたものであり、厚みが0.1mm以下のアルミニウム箔の両面に、電解質溶液を均等に塗布でき、塗布装置の簡単化や小型化、操作の簡素化、そしてメンテナンス性が向上するという作用を有する。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図1は本発明の実施の形態におけるコンデンサの電解質溶液塗布装置の構成要部斜視図、図2は同金属箔の部分平面図、図3は同塗布装置の塗布構成概要平面および正面図、そして図4は同塗布部分拡大斜視図である。
【0018】
本発明の構成は、図1から図4に示すように、回転自在でXおよびY方向に移動自在なローラでなる位置調整部12と、電解質溶液を塗布するため360度ねじられて移送される厚みが0.1mm以下のアルミニウム材でなる箔1がほぼ垂直になる直下の2箇所の位置に設けられた塗布部11、電解質溶液の塗布量を調整するために、塗布部11に隣接して気体を箔1の電解質溶液塗布部分に吹付ける塗布量調整部13で構成されている。
【0019】
以下に各部の詳細および動作について図1〜図4により説明する。
本実施の形態における塗布対象物は、機能性高分子アルミニウム電解コンデンサ(以下コンデンサと称する)に使用され、連続した帯状の両側帯にコンデンサの素子となる突起部1aと切欠部1c、突起部1bと切欠部1dを複数個定間隔で設け、厚みが0.1mm以下のアルミニウム材でなる箔1であり、例えば厚みが0.02〜0.1mm、幅が約16mm、突起部1a,1bの幅が約3mm、切欠部1c,1dの幅が約1mmそして深さが約4mmである。
【0020】
2は樹脂材や金属材などでなる送入ローラであり、厚みが0.1mm以下のアルミニウム材でなる箔1を巻回する幅が箔1よりやや広く、また中央部分の直径が図3に示すように、両端より大きい太鼓形状の円筒形である。そして、中心部にシャフト3を挿通固着させており、回転自在で、かつXおよびY方向に移動自在に配設されている。
【0021】
同じく4は送出ローラであり、太鼓形状の円筒形で、シャフト5を挿通固着させて回転自在で、かつXおよびY方向に移動自在に送入ローラ2と対応して配設されており、送入ローラ2と送出ローラ4で位置調整部12を構成している。
【0022】
6,7は塗布部11を構成する金属材などでなるX,Y、およびZ方向に移動自在な塗布ノズルであり、厚みが0.1mm以下のアルミニウム材でなる箔1がほぼ垂直となる側帯の位置の2箇所に垂直に配設され、中心部を挿通した中空部6b,7b(図示せず)に圧送され供給された電解質溶液8,8aが上端の開口部6a,7a(図示せず)に表面張力により半球状に盛り上がっている。
【0023】
そして、厚みが0.1mm以下のアルミニウム材でなる箔1の移送により前記移送経路中の塗布ノズル6,7の電解質溶液8,8a中を箔1の突起部1b,1aを通過させて、突起部1b,1aの両面に各々に電解質溶液8,8aを塗布する。
【0024】
9,10はそれぞれ対の吹付ノズル9a,10aを先端に設けた吹出パイプであり、それぞれ塗布ノズル6,7に隣接してかつ、同期して移動自在に傾斜して設置されており、塗布量調整部13を構成している。
【0025】
そして、対の吹付ノズル9a,10aの間に移送経路中の厚みが0.1mm以下のアルミニウム材でなる箔1を移送により通過させて、圧搾気体例えば空気などを箔1に吹き付け(圧搾機構などは図示せず)、突起部1b,1aの部分に塗布された余分な電解質溶液8,8aを吹き飛ばして、所定の塗布量に調整して、塗布済み突起部1eが形成される。
【0026】
厚みが0.1mm以下のアルミニウム材でなる箔1は位置調整部12の送入ローラ2から送出ローラ4に至る経路中、360度ねじられて定ピッチで連続あるいは間欠移送され、塗布部11、塗布量調整部13を通過するように設定されている。
【0027】
なお、図1、図3において表示の複雑化を防ぐために、突起部1a,1bそして切欠部1c,1dの記載表示を省略している。
【0028】
なおまた、前記厚みが0.1mm以下のアルミニウム材でなる箔1を使用する装置においては、送入ローラ2と送出ローラ4の直径は約90mm、幅は約25mm、そして設置間隔は約300mmである。
【0029】
さらに、塗布ノズル6,7の外径は約20mm、長さは30mm、そして送入ローラ2、塗布ノズル6、塗布ノズル7との設置間隔はそれぞれ約75mm、150mmである。
【0030】
次に動作について説明する。まず、送入ローラ2と送出ローラ4を水平方向(図1におけるX方向)に移動させて厚みが0.1mm以下のアルミニウム材でなる箔1が垂直になる位置を調整して設定し、また、垂直方向(図1におけるY方向)に移動させて塗布ノズル6,7の電解質溶液8,8aに箔1の突起部1b,1aが浸漬する範囲に調整し設定する。
【0031】
送出機構(図示せず)により送出され、送入ローラ2により案内されて移送された厚みが0.1mm以下のアルミニウム材でなる箔1は、約90度ねじられ垂直となった突起部1bが塗布ノズル6の開口部6a上の電解質溶液8中を通過浸漬して、突起部1bの両面に電解質溶液8が塗布される。
【0032】
続く、対の吹付ノズル9a間を通過中に吹付けられた空気により突起部1bの余分な電解質溶液8を吹飛ばして、所定の塗布済み突起部1eが形成される。
【0033】
さらに、約180度ねじれながら厚みが0.1mm以下のアルミニウム材でなる箔1は移送され、垂直となった突起部1bの反対側の突起部1aが、塗布ノズル7の電解質溶液8aと対の吹出ノズル10a間を通過浸漬および通過吹付けされて、前記と同じ電解質溶液8aが所定量塗布される。
【0034】
そして、さらに約90度ねじれて移送され送出ローラ4に案内された後、巻取機構(図示せず)により巻取られるのである。
【0035】
なお、塗布量調整部13は、厚みが0.1mm以下のアルミニウム材でなる箔1の突起部1a,1b各々に塗布された余分な電解質溶液8,8aを吸引ノズルにより真空吸引で吸引し、電解質溶液8,8aの塗布量を所定量に調整するようにしてもよい。
【0036】
なおまた、本実施の形態では、コンデンサを例とし、コンデンサの電解質溶液塗布方法およびその装置として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の電子部品や電子部品以外の分野の塗布にも応用することができる。
【0037】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、連続帯状で厚みが0.1mm以下のアルミニウム箔の両面への均一な塗布が可能であり、塗布対象物すなわちアルミニウム箔を反転するための別個の反転機構が不要で、操作の簡素化、簡単で小型化、そしてコストダウンが図れるとともに、メンテナンス性の向上を図ることができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるコンデンサの電解質溶液塗布装置の構成要部斜視図
【図2】同金属箔の部分平面図
【図3】(a)同塗布装置の塗布構成概要平面図
(b)同正面図
【図4】同塗布部分拡大斜視図
【図5】従来の塗布装置例の全体構成概要図
【符号の説明】
1 金属箔
1a 突起部
1b 突起部
1c,1d 切欠部
1e 塗布済み突起部
2 送入ローラ
3 シャフト
4 送出ローラ
5 シャフト
6 塗布ノズル
6a 開口部
6b 中空部
7 塗布ノズル
8,8a 電解質溶液
9 吹出パイプ
9a 吹付ノズル
10 吹出パイプ
10a 吹付ノズル
11 塗布部
12 位置調整部
13 塗布量調整部
Claims (2)
- 複数の突起部を両側帯に設けた連続帯状で厚みが0.1mm以下のアルミニウム箔を、360度ねじって移送される移送経路中に、前記アルミニウム箔の一方の突起部を電解質溶液中を通過浸漬させ、一方の突起部の両面に電解質溶液を塗布し、それから180度ねじられたアルミニウム箔の他方の突起部を電解質溶液中を通過浸漬させ、他方の突起部の両面に電解質溶液を塗布するコンデンサの電解質溶液塗布方法。
- 回転自在で、X方向およびY方向に移動自在な、送入ローラおよび送出ローラでなる位置調整部と、送入ローラと送出ローラ間を360度ねじられて移送される経路中の連続帯状で厚みが0.1mm以下のアルミニウム箔がほぼ垂直になる直下の2箇所の位置に、中心部に電解質溶液を供給する中空部を設け、その上部先端の開口部に電解質溶液を盛上げる塗布ノズルにより、前記アルミニウム箔の両側帯の両面に電解質を塗布する塗布部を設置して構成した、コンデンサの電解質溶液塗布装置。
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