JP3692267B2 - カッタヘッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネルボーリングマシンやシールドマシン、あるいは立坑掘削機などに装着されたカッタヘッドに関し、特に、このカッタヘッドに装着された先行ビットの交換に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、シールド掘削機は、円筒形状をなす掘削機本体の前部に駆動回転可能な円盤形状をなすカッタヘッドが回転自在に装着され、このカッタヘッドには先行ビット及びカッタビットが多数取付けられる一方、後部には掘削機本体を前進させる多数のシールドジャッキが装着されると共に、既設トンネルの内壁面にセグメントを組み付けるエレクタ装置が装着されて構成されている。従って、カッタヘッドを回転させながらシールドジャッキを伸長させると、既設セグメントからの掘削反力を得て掘削機本体が前進し、先行ビット及びカッタビットが前方の地盤を掘削し、トンネルを形成することができる。
【0003】
このようなトンネル掘削作業では、カッタヘッドに装着された先行ビットが前方の地盤表面に傷を付けて掘削し易くし、カッタビットが掘削し易くなった地盤を掘削して掘進していく。そして、トンネルを掘削中に、前方の地盤に予期せぬ障害物、例えば、シートパイルやH型鋼杭、鉄筋コンクリート杭などが発見された場合、先行ビットはこれらの障害物を破砕することができずに先端が破損してしまう。そのため、カッタヘッドに装着された先行ビットを杭切りビットに交換し、この杭切りビットにによりコンクリート杭や木杭などの障害物を切削、破砕して土砂と一緒に外部に排出している。
【0004】
また、近年、トンネルは長距離化の傾向にあり、トンネル掘削の作業中にカッタヘッドに装着された先行ビットやカッタビットが摩耗してしまう。この先行ビットやカッタビットが摩耗すると、地盤の掘削効率が低下するので掘削作業を停止して磨耗した各ビットを交換しなければならない。
【0005】
従来、この先行ビットの交換は、前方の地盤を薬液の注入や凍結などにより固化改良し、この地盤改良地点まで掘削した後に後退してチャンバ内の掘削土砂を全て排出し、作業者がこのカッタヘッドの前方やチャンバ内に入ってディスクカッタやカッタビットの交換作業を行っていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような交換作業では、地盤の改良を行うために使用する薬液などに費用がかかって不経済であると共に、作業時間が長くかかってしまい作業性が良くない。また、作業者はカッタヘッドの前方やチャンバ内などの狭い空間で作業を行うことなり、不自由な作業となって作業者にかかる負担が大きくなってしまうという問題がある。
【0007】
本発明はこのような問題を解決するものであって、先行ビットの交換作業を容易に且つ短時間で行い、作業者にかかる負担を軽減して安全性の向上を図ると共に、掘削作業効率の向上を図ったカッタヘッドを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するための請求項1の発明のカッタヘッドは、掘削機本体の前部に回転自在に装着された円盤形状をなす回転体と、該回転体の前面部に放射状に設けられて前後方向に沿って形成された取付孔が長手方向に沿って複数並設されたスポークと、該スポークの複数の取付孔に移動自在で且つ後方に引抜き可能に装着された複数の先行ビットと、該先行ビットを先端部が前記回転体の前面から突出した位置に固定する固定手段と、前記先行ビットが後方に引抜かれたときに前記取付孔を閉塞するゲート手段とを具え、前記ゲート手段は、前記取付孔に合致して前記先行ビットが移動自在な貫通孔を有し、前記先行ビットが前記取付孔から引抜かれたときに該先行ビットを保持したまま移動することで前記取付孔を閉塞するバルブプレートであることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項2の発明のカッタヘッドでは、前記バルブプレートは、前記スポークの裏面に複数回動自在に支持されていることを特徴としている。
【0010】
また、請求項3の発明のカッタヘッドでは、前記バルブプレートには、前記貫通孔が径方向に沿って複数並設されると共に、該貫通孔の並設方向に交差する方向に沿って前記バルブプレートを所定の位置に位置決めする位置決めピンが複数並設されていることを特徴としている。
【0011】
また、請求項4の発明のカッタヘッドでは、前記バルブプレートは、前記スポークの裏面にその長手方向に沿って移動自在に支持され、前記複数の先行ビットを保持可能であることを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
図1に本発明の第1実施形態に係るカッタヘッドの正面視、図2に本実施形態のカッタヘッドが装着されたシールド掘削機の概略断面、図3にリレービットの取付状態を表す図2の要部拡大断面、図4に図3にIV−IV断面、図5に図3のV−V断面を示す。
【0014】
本実施形態のシールド掘削機において、図1及び図2に示すように、掘削機本体11は円筒形状をなして前胴11aと後胴11bとからなり、この掘削機本体11の前端部には軸受12によってカッタヘッド13が回転自在に装着されている。そして、このカッタヘッド13の前面部には放射状をなしてカッタスポーク14,15が取付けられており、各カッタスポーク14の前面部にはリレービット(先行ビット)16が、側部にはカッタビット17がそれぞれ装着され、各カッタスポーク15の前面部にはリレービット(先行ビット)18が、側部にはカッタビット19がそれぞれ取付けられている。また、カッタヘッド13の後部にはリングギア20が固定される一方、掘削機本体11には油圧モータ21が取付けられ、この油圧モータ21の駆動ギア22がこのリングギア20に噛み合っている。従って、油圧モータ21を駆動して駆動ギア22を回転駆動すると、リングギア20を介してカッタヘッド13を回転することができる。
【0015】
また、掘削機本体11の前部にはカッタヘッド13の後方に位置してバルクヘッド23が取付けられており、カッタヘッド13とこのバルクヘッド23との間にチャンバ24が形成されている。そして、このチャンバ24には一端が掘削機の外部に延設された送泥管25及び排泥管26の他端が開口しており、排泥管26の開口部分の近傍には掘削土砂と泥水とを攪拌、混合するアジテータ27が設置されている。更に、掘削機本体11の後部内周辺に周方向に複数のシールドジャッキ28が並設されており、このシールドジャッキ28が掘進方向後方に伸長して既設のセグメントSに押し付けることで、その反力により掘削機本体11を前進することができる。また、29は掘削機本体11の前胴11aと後胴11bとを連結する折曲ジャッキである。更に、掘削機本体11の後部には既設トンネルの内壁面にこのセグメントSを組立てるエレクタ装置30が設けられている。
【0016】
このように構成された本実施形態のシールド掘削機にあっては、前述したカッタヘッド13の4つのカッタスポーク14に装着された各リレービット16が交換可能となっている。即ち、トンネルを掘削中に、リレービット16が前方の地盤中の予期せぬ障害物、例えば、シートパイルやH型鋼杭、鉄筋コンクリート杭などに接触して破損したときや、前方探査装置によって前方に地盤中にこれらの障害物が発見されたときには、リレービット16を杭切りビットに交換し、各障害物を切削、破砕することができる。また、長距離トンネルの掘削作業中に、リレービット16が摩耗して掘削能率が低下したときには、新しいものと交換して掘削作業を継続することができるようになっている。
【0017】
上述したカッタヘッド13において、各カッタスポーク14は同様に箱型をなし、中央部の回転筒31に連通し、この回転筒31の後部には掘削機本体11内から作業者が侵入可能かマンホール32が形成されている。そして、図3乃至図5に示すように、このカッタスポーク14は複数のブロックに分割され、各ブロックでリレービット16の交換が可能となっている。このカッタスポーク14の一つのブロックにおいて、カッタスポーク14の前壁14aには上下に2つの取付孔33が形成され、この取付孔33を取り囲むように円形の嵌合溝34が前壁14aの裏面に形成されている。ゲート手段を構成するバルブプレート35は外周前部がこの嵌合溝34にシール36,37を介して嵌合すると共に、外周鍔部がカッタスポーク14に固定されたガイド38に支持されることで、同じくカッタスポーク14に固定された支持軸39を中心として周方向に回動自在に支持されている。
【0018】
このバルブプレート35には2つの取付孔33と合致する位置に貫通孔40がそれぞれ形成されており、この回動位置でボルト41によりカッタスポーク14に固定されている。リレービット16は刃部16aとガイド部16bとが複数のボルト16cにより一体に結合されてなり、ガイド部16bの後端部にフランジ部16dが一体に形成されている。そして、このリレービット16はバルブプレート35の貫通孔40及びカッタスポーク14の取付孔33内にパッキン42を介して貫入して刃部16aの先端部がカッタスポーク14の前面から突出する一方、フランジ部16dがバルブプレート35の後面に密着して複数のボルト43によって固定されている。なお、リレービット16のフランジ部16dに螺合して先端部がバルブプレート35の後面に当接しているそれぞれ2本のボルト44はリレービット16を引き抜くためのジャッキボルトである。
【0019】
また、カッタスポーク14の一つのブロックにおいて、前壁14aの裏面には左右に2つの位置決め凹部45が形成され、バルブプレート35にはこの2つの位置決め凹部45と合致する位置に貫通孔46がそれぞれ形成されている。位置決めピン47は先端部が閉塞した円筒形状をなし、後部にフランジ部47aと小嵌合部47bが一体に形成されている。そして、この位置決めピン47はバルブプレート35の貫通孔46及びカッタスポーク14の位置決め凹部45に貫入し、フランジ部47aがバルブプレート35の後面に密着して複数のボルト48によって固定されている。なお、位置決めピン47のフランジ部47aに螺合して先端部がバルブプレート35の後面に当接しているそれぞれ2本のボルト49はリレービット16を引き抜くためのジャッキボルトである。
【0020】
ここで、このように構成されたシールド掘削機によるトンネル掘削作業、並びにリレービットの交換作業について説明する。
【0021】
トンネルを掘削形成するには、図1及び図2に示すように、油圧モータ21によってカッタヘッド13を回転させなから、複数のシールドジャッキ28を伸長して既設セグメントへの押し付け反力によって掘削機本体11を前進させることで、多数のリレービット16,18及びカッタビット17,19によって前方の地盤を掘削する。そして、掘削された土砂はチャンバ24内に取り込まれ、排泥管26によって外部に排出される。次に、シールドジャッキ28の何れか一つを縮み方向に作動して既設のセグメントSとの間に空所を形成し、エレクタ装置30によってこの空所に新しいセグメントSを装着する。この作業の繰り返しによって所定長さのトンネルを掘削形成していく。
【0022】
このようなトンネル掘削作業を実施していく過程で、リレービット16が前方の地盤中の障害物に接触して破損したり、予め前方に地盤中に障害物が発見されたときは、リレービット16を図示しない杭切りビットに交換する必要がある。また、長期間にわたるトンネルの掘削作業によりリレービット16が摩耗して掘削能率が低下したときには、新しいものと交換する必要がある。
【0023】
このリレービット16の交換作業を行う場合、図2に示すように、カッタヘッド13を回転して交換するリレービット16のカッタスポーク14を上方に位置させ、掘削機本体11にいる作業者がマンホール32から回転筒31を通ってカッタスポーク14内に侵入し、上部のブロックのリレービット16から交換していく。
【0024】
図3及び図4に示すように、まず、複数のボルト43を弛緩してから各ジャッキボルト44をねじ込むことで、フランジ部16dを介して各リレービット16の先端部とカッタスポーク14の取付孔33との嵌合を解除し、図示しない工具を用いてリレービット16をバルブプレート35の貫通孔40を後方へ移動してこの取付孔33から引き抜く。次に、複数のボルト48を弛緩してから各ジャッキボルト49をねじ込むことで、フランジ部47aを介して各位置決めピン47の先端部とカッタスポーク14の位置決め凹部45との嵌合を解除し、図示しない工具を用いて位置決めピン47をバルブプレート35の貫通孔46を後方へ移動して引き抜く。
【0025】
そして、引き抜いた各位置決めピン47を逆にして小嵌合部47bをバルブプレート35の貫通孔46に嵌合してボルト48により締結した後、ボルト41を弛緩してバルブプレート35を回動可能とする。この状態で、図示しないジャッキを用いてバルブプレート35を90度回動する。この場合、例えば、ジャッキの基端部をカッタスポーク14の側壁に当接し、伸長した駆動ロッドの先端部により位置決めピン47の側部を押圧することで、バルブプレート35を所定角度回動し、この作業を数回繰り返すことで、バルブプレート35を90度回動するようにすればよい。
【0026】
このようにしてバルブプレート35を90度回動すると、カッタスポーク14の各取付孔33はバルブプレート35及び各位置決めピン47により閉塞され、カッタヘッド13の前方からカッタスポーク14内への泥水や泥土の浸入が防止される。そして、バルブプレート35に設けられた図示しない点検ポートから泥水や泥土の浸入阻止を確認してから、複数のボルト16cを弛緩してリレービット16の刃部16aからガイド部16bを分離して貫通孔33から引抜き、続いて図示しない補助プレート及び引抜きジャッキを用いてリレービット16の刃部16aを貫通孔33から引抜く。
【0027】
そして、引抜いた刃部16aを杭切りビットの刃部、あるいは新しいリレービットの刃部と交換し、交換後の刃部を貫通孔33に押込み、更に、ガイド部16bを押込んでボルト16cにより両者を結合し、前述とは逆の操作により杭切りビットあるいはリレービットを所定の位置に移動して固定する。
【0028】
このようにしてカッタスポーク14の上部のブロックにあるリレービット16を交換すると、続いてその下部のブロックにある各リレービット16を順次交換する。そして、一つのカッタスポーク14にある全てのあるいは特定のリレービット16を交換すると、カッタヘッド13を90度ずつ回動していき、随時該当するリレービット16を交換していく。
【0029】
このように本実施形態のトンネル掘削機にあっては、作業者がカッタスポーク14内に入り、ここでリレービット16の交換作業を行うことで、前方の地盤の改良のために薬液の注入等が不要となると共に、作業時間も短縮して作業コストを低減できると共に、作業者はカッタヘッドの前方やチャンバ内など機外へ出る必要がなくなり、作業者にかかる負担が減少して安全性が向上する。そして、カッタスポーク14にバルブプレート35を回動自在に支持し、このバルブプレート35にリレービット16を支持したことで、リレービット16の交換時にバルブプレート35が取付孔33からの泥水等の浸入を阻止することとなり、カッタスポーク14内への泥水等の浸入を確実に防止して作業の安全を十分に確保できる。更に、リレービット16が後方に引抜かれたときにカッタスポーク14の取付孔33を閉塞するゲート手段をリレービット16を支持するバルブプレート35としたことで、別途ゲートを設ける必要がなくなって構造を簡素化できると共に、シール性を向上できる。
【0030】
なお、上述の実施形態において、バルブプレート35を嵌合溝34とガイド38と支持軸39によってカッタスポーク14に回動自在に支持したが、支持部材としてはいずれか一つであってもよい。
【0031】
図6に本発明の第2実施形態に係るカッタヘッドにおけるカッタスポークの縦断面、図7に図6のVII−VII断面を示す。なお、前述した実施形態で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0032】
本実施形態のカッタヘッド51において、各カッタスポーク52は箱型をなして複数のブロックに分割され、各ブロックでリレービット16の交換が可能となっている。このカッタスポーク52の一つのブロックにおいて、前壁52aの中央部には取付孔53が形成されている。ゲート手段を構成するバルブプレート54は扇形状をなし、基端部がカッタスポーク52に固定された支持軸55に枢着されると共に、外周部がカッタスポーク52に固定されたガイド56に支持されることで、支持軸55を支点として回動自在に支持されている。なお、カッタスポーク52の前壁52aとバルブプレート54との間にはシール57が装着されている。
【0033】
このバルブプレート54には取付孔53と合致する位置に貫通孔58が形成されており、この回動位置でボルト59によりカッタスポーク52に固定されている。リレービット16はバルブプレート54の貫通孔58及びカッタスポーク52の取付孔53内にOリング60を介して貫入して刃部16aの先端部がカッタスポーク52の前面から突出する一方、フランジ部16dがバルブプレート54の後面に密着して複数のボルト61によって固定されている。
【0034】
従って、リレービット16の交換作業を行う場合、カッタヘッド51を回転して交換するリレービット16のカッタスポーク52を上方に位置させる。そして、まず、複数のボルト61を弛緩してから図示しないジャッキボルトをねじ込むことで、フランジ部16dを介して各リレービット16の先端部とカッタスポーク52の取付孔53との嵌合を解除し、リレービット16をバルブプレート54の貫通孔58を後方へ移動してこの取付孔53から引き抜く。次に、図示しないジャッキを用いてバルブプレート54をほぼ60度回動すると、カッタスポーク52の取付孔53はバルブプレート54により閉塞され、カッタヘッド51の前方からカッタスポーク52内への泥水や泥土の浸入が防止される。そして、前述の実施形態と同様に、リレービット16のガイド部16b、刃部16aを順に貫通孔58から引抜く。
【0035】
その後、引抜いた刃部16aを杭切りビットの刃部、あるいは新しいリレービットの刃部と交換し、前述とは逆の操作により杭切りビットあるいは新しいリレービットを所定の位置に移動して固定する。
【0036】
このように本実施形態のカッタヘッド51にあっては、カッタスポーク52の一つのブロックに一つのリレービット16が着脱自在に装着されており、一つのリレービット16が前方の地盤中の障害物に接触して折れ曲がり、刃部16aがカッタスポーク52の取付孔53から抜き取れなくなることで交換不能となるリレービット16は一つだけであり、多数のリレービット16の交換不能による掘削能率の低下、あるいは掘削不能となることはなく、信頼性を向上できる。
【0037】
なお、上述した各実施形態において、作業者がカッタスポーク内に持ち込んだジャッキによりバルブプレート35,54を回動したが、ジャッキを予め所定位置に装着しておいてもよく、また、バルブプレート35,54の回動手段としてはジャッキに限らず、駆動モータ等であってもよい。
【0038】
図8に本発明の第3実施形態に係るカッタヘッドにおけるカッタスポークの正面視、図9に図8のIX−IX断面を示す。
【0039】
本実施形態のカッタヘッド71において、各カッタスポーク72は箱型をなし、前壁72aには長手方向に等間隔で取付孔73が複数形成されている。ゲート手段を構成するバルブプレート74は棒状をなし、カッタスポーク72内にてその長手方向に沿って移動自在に支持され、一対の油圧ジャッキ75によって移動可能となっている。このバルブプレート74には取付孔73と合致する位置に貫通孔76が複数形成されており、この移動位置で図示しないボルトによりカッタスポーク72に固定されている。リレービット16はバルブプレート74の貫通孔76及びカッタスポーク72の取付孔73内に貫入して刃部16aの先端部がカッタスポーク72の前面から突出する一方、フランジ部16dがバルブプレート74の後面に密着して複数のボルト77によって固定されている。
【0040】
従って、リレービット16の交換作業を行う場合、カッタヘッド71を回転して交換するリレービット16のカッタスポーク72を上方に位置させる。そして、まず、複数のボルト77を弛緩してから図示しないジャッキボルトをねじ込むことで、各リレービット16の先端部とカッタスポーク72の取付孔73との嵌合を解除し、リレービット16をバルブプレート74の貫通孔76を後方へ移動してこの取付孔73から引き抜く。次に、油圧ジャッキ75を収縮してバルブプレート74をカッタヘッド71の中心側に移動すると、カッタスポーク72の取付孔73はバルブプレート74により閉塞され、カッタヘッド71の前方からカッタスポーク72内への泥水や泥土の浸入が防止される。そして、前述の実施形態と同様に、リレービット16のガイド部16b、刃部16aを順に貫通孔76から引抜く。
【0041】
その後、引抜いた刃部16aを杭切りビットの刃部、あるいは新しいリレービットの刃部と交換し、前述とは逆の操作により杭切りビットあるいは新しいリレービットを所定の位置に移動して固定する。
【0042】
このように本実施形態のカッタヘッド51にあっては、カッタスポーク52の長手方向に沿って一つのバルブプレート74を移動自在に支持し、この一つのブロックに多数のリレービット16を着脱自在に装着されており、1回のバルブプレート74の移動により全てのリレービット16の交換が可能となり、交換作業を容易に短時間で行うことが可能となる。
【0043】
なお、上述した各実施形態において、リレービット16が後方に引抜かれたときにカッタスポーク14,52,72の取付孔33,53,73を閉塞するゲート手段をバルブプレート35,54,74としたが、カッタスポーク14,52,72とバルブプレート35,54,74との間に、取付孔33,53,73を閉塞する板状のゲートを設けてもよい。
【0044】
【発明の効果】
以上、実施形態において詳細に説明したように請求項1の発明のカッタヘッドによれば、掘削機本体の前部に回転自在に装着された円盤形状をなす回転体と、該回転体の前面部に放射状に設けられて前後方向に沿って形成された取付孔が長手方向に沿って複数並設されたスポークと、該スポークの複数の取付孔に移動自在で且つ後方に引抜き可能に装着された複数の先行ビットと、該先行ビットを先端部が前記回転体の前面から突出した位置に固定する固定手段と、前記先行ビットが後方に引抜かれたときに前記取付孔を閉塞するゲート手段とを具え、前記ゲート手段は、前記取付孔に合致して前記先行ビットが移動自在な貫通孔を有し、前記先行ビットが前記取付孔から引抜かれたときに該先行ビットを保持したまま移動することで前記取付孔を閉塞するバルブプレートであるので、作業者がスポークの後方先行ビットの交換作業を行うことで、前方の地盤の改良のために薬液の注入等が不要となると共に、作業時間も短縮して作業コストを低減できると共に、作業者はカッタヘッドの前方やチャンバ内など機外へ出る必要がなくなり、作業者にかかる負担が減少して安全性を向上することができると共に、掘削作業効率の向上を図ることができ、また、先行ビットの交換時にはゲート手段により取付孔からの泥水等の浸入が阻止されることとなり、スポーク内への泥水等の浸入を確実に防止して作業の安全を十分に確保することができる。また、ゲート手段をバルブプレートとしたので、別途ゲートを設ける必要がなくなって構造を簡素化することができると共に、シール箇所を少なくしてシール性を向上することができる。
【0045】
また、請求項2の発明のカッタヘッドによれば、バルブプレートをスポークの裏面に複数回動自在に支持したので、先行ビットを各ブロックごとに交換可能となり、一つの先行ビットが前方の地盤中の障害物に接触して折れ曲がり、取付孔から抜き取れなくなることで交換不能となるみのはブロックごととなり、多数の先行ビットの交換不能による掘削能率の低下、あるいは掘削不能となることはなく、信頼性を向上することができる。
【0046】
また、請求項3の発明のカッタヘッドによれば、バルブプレートに、貫通孔が径方向に沿って複数並設されると共に、この貫通孔の並設方向に交差する方向に沿ってバルブプレートを所定の位置に位置決めする位置決めピンを複数並設したので、掘削作業中に先行ビットに作用する掘削反力を確実に受け止めることができる。
【0047】
また、請求項4の発明のカッタヘッドによれば、バルブプレートをスポークの裏面にその長手方向に沿って移動自在に支持し、複数の先行ビットを保持可能としたので、1回のバルブプレートの移動により多数の先行ビットの交換が可能となり、交換作業を容易に短時間で行うことが可能となり、作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係るカッタヘッドの正面図である。
【図2】 本実施形態のカッタヘッドが装着されたシールド掘削機の概略断面図である。
【図3】 リレービットの取付状態を表す図2の要部拡大断面図である。
【図4】 図3にIV−IV断面図である。
【図5】 図3のV−V断面図である。
【図6】 本発明の第2実施形態に係るカッタヘッドにおけるカッタスポークの縦断面図である。
【図7】 図6のVII−VII断面図である。
【図8】 本発明の第3実施形態に係るカッタヘッドにおけるカッタスポークの正面図である。
【図9】 図8のIX−IX断面図である。
【符号の説明】
11 掘削機本体
13,51,71 カッタヘッド
14,15,52,72 カッタスポーク
16,18 リレービット(先行ビット)
17,19 カッタビット
21 油圧モータ
28 シールドジャッキ
30 エレクタ装置
33,53,73 取付孔
35,54,74 バルブプレート
38,56 ガイド
40,58,76 貫通孔
43,61 ボルト(固定手段)
45 位置決め凹部
47 位置決めピン
75 油圧ジャッキ
Claims (4)
- 掘削機本体の前部に回転自在に装着された円盤形状をなす回転体と、該回転体の前面部に放射状に設けられて前後方向に沿って形成された取付孔が長手方向に沿って複数並設されたスポークと、該スポークの複数の取付孔に移動自在で且つ後方に引抜き可能に装着された複数の先行ビットと、該先行ビットを先端部が前記回転体の前面から突出した位置に固定する固定手段と、前記先行ビットが後方に引抜かれたときに前記取付孔を閉塞するゲート手段とを具え、前記ゲート手段は、前記取付孔に合致して前記先行ビットが移動自在な貫通孔を有し、前記先行ビットが前記取付孔から引抜かれたときに該先行ビットを保持したまま移動することで前記取付孔を閉塞するバルブプレートであることを特徴とするカッタヘッド。
- 請求項1記載のカッタヘッドにおいて、前記バルブプレートは、前記スポークの裏面に複数回動自在に支持されていることを特徴とするカッタヘッド。
- 請求項2記載のカッタヘッドにおいて、前記バルブプレートには、前記貫通孔が径方向に沿って複数並設されると共に、該貫通孔の並設方向に交差する方向に沿って前記バルブプレートを所定の位置に位置決めする位置決めピンが複数並設されていることを特徴とするカッタヘッド。
- 請求項1記載のカッタヘッドにおいて、前記バルブプレートは、前記スポークの裏面にその長手方向に沿って移動自在に支持され、前記複数の先行ビットを保持可能であることを特徴とするカッタヘッド。
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