JP2002194995A - シールドマシンにおけるカッタビットの交換方法 - Google Patents

シールドマシンにおけるカッタビットの交換方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】安全で効率的なシールドマシンにおけるカッタ
ビットの交換方法を提供する。 【解決手段】 カッタヘッド3の外縁部に設置されたコ
ピーカッタ4の設置位置をスキンプレート5から貫入リ
ング2の内径部へ伸縮移動させ、貫入リング2の内径部
に設けられた嵌合溝へコピーカッタ4を嵌合させた後、
カッタヘッド3を回転させて貫入リング2を回転させる
とともに、貫入リング2を切羽方向に押し出しながら、
地盤改良体10を切削する。ある一定距離で切削を停止
した後、カッタヘッド3をカッタヘッドスライド装置2
6によりシールドマシン1の躯体内に後退させ、貫入リ
ング2内において切羽12とカッタヘッド3の間に空間
11を設ける。空間11を利用してカッタヘッド3の前
面に設置されたカッタビットの摩耗・欠損状況を確認
し、劣化が認められるカッタビットについて、交換作業
を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シールドマシンに
おけるカッタビットの交換を好適に実施するための交換
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シールドマシンによるトンネルの長距離
施工では、カッタヘッドの前面に配置されている複数の
カッタビットの摩耗・欠損が生じやすいため、施工の途
中段階においてこれらカッタビットの交換が必要になる
場合が多い。これまでに、複数のカッタビットを一連の
カートリッジと見立て、カートリッジごと交換する方法
や球体式シールドマシンを利用し、カッタヘッドを切羽
側から坑内側に回転させて摩耗・欠損が生じているカッ
タビットを交換する等の方法が採用されている。しか
し、カートリッジ式では交換の必要がないカッタビット
も同時に交換されることとなる、カッタヘッドの回転式
ではシールドマシン自体がコスト高となる等、デメリッ
トが生じる。このような中、もっとも多く実施されてい
る方法は、切羽を含む広い範囲を地盤改良し、シールド
マシンから地山部に位置するカッタヘッド前面に作業員
が出て、摩耗・欠損が生じているカッタビットを作業員
の手により交換する方法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように、カッタビ
ットの交換には様々な方法が採用されているが、それぞ
れ一長一短ある場合が多く、現状でもっとも一般的に用
いられている方法で、カッタヘッド前面の地山部におい
て作業員が交換作業を行う方法は効率的であるが、作業
員の安全の確保が困難であり、安全確保のために切羽の
地盤改良範囲を大きくとる必要がある等、経済的とはい
えなかった。
【0004】本発明は上述する課題を解決するもので、
カッタヘッド前面で作業員が交換作業を行う方法におい
て、地盤改良範囲を低減するとともに、作業員が地山部
に出るときの安全性を向上させることのできるシールド
マシンにおけるカッタビットの交換方法を提供すること
を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、切羽
を地盤改良し、その後カッタヘッドをスキンプレートの
前部に設けた貫入リング内に収まるように縮径させ、次
いで貫入リングを回転させつつ前進させて前記地盤改良
した切羽分に貫入させ、貫入リング内の前記カッタヘッ
ドを坑内側へ後退させて、切羽とカッタヘッドの間に空
間を形成し、この空間を利用してカッタヘッドの前面に
設置されているカッタビットの交換を行うことを特徴と
している。
【0006】請求項2の発明は、シールドマシンのカッ
タビットの交換方法について、メンテナンスが必要な前
記カッタビットのみの交換を行うことを特徴としてい
る。
【0007】請求項3の発明は、シールドマシンのカッ
タビットの交換方法において、切羽の安定性の状態に応
じて、切羽崩壊の防止手段を講じることを特徴としてい
る。 〔発明の詳細な説明〕
【0008】
【発明の実施の形態】図1および図2は、本発明に係る
シールドマシンの実施形態、および同シールドマシンに
おけるカッタビットの交換方法を順を追って示す。図
中、符号1はシールドマシン、2は貫入リング、3はカ
ッタヘッド、4はコピーカッタを示している。また、図
3は、シールドマシン1の前部に位置するカッタヘッド
3の詳細を示すものである。通常のトンネル掘進時には
(a)に示すようにコピーカッタ4がシールドマシン1
のスキンプレート5と同じ場所に位置しているが、カッ
タビット9の交換作業時には貫入リング2の内径に収ま
る位置にまでスキンプレート5の半径方向に伸縮移動し
ている。
【0009】図4は、切羽12が不安定で切羽崩壊の防
止手段を講じる必要が生じた際に、シールド工法毎によ
る切羽崩壊の防止手段を示したものである。
【0010】本発明のシールドマシン1は、切羽12を
掘削するためのカッタヘッド3と、カッタヘッド3を後
方から支持するシールド本体6と、シールド本体6に設
けられた貫入リング2と、シールド本体6の後方に連な
る筒状のスキンプレート5、から構成される。
【0011】前記スキンプレート5は、カッタヘッド3
の後方に円筒状に連なるものであり、カッタヘッド3と
スキンプレート5は外径が同一となっている。このスキ
ンプレート5の内側には、セグメントが順次覆工されて
いく。
【0012】前記シールド本体6内のスキンプレート5
の内側には、押圧ジャッキ(図示しない)が備えられて
いる。この押圧ジャッキは、スキンプレート5の内側に
順次覆工されていくセグメントを押圧し、その反力でシ
ールドマシンを掘進させるものである。
【0013】前記カッタヘッド3は、円盤形状をなし、
その前面に配置された切羽12を掘削するカッタビット
9と、スキンプレート5の半径方向に伸縮が可能な伸縮
ジャッキ7を介してカッタヘッド3の外縁部に設置され
てトンネルの外周部を掘削するコピーカッタ4、カッタ
ヘッドを前後方向へスライドさせるカッタヘッドスライ
ド装置26、から構成される。
【0014】該カッタヘッド3が回転することにより、
切羽12と対向する位置に設けられたカッタビット9に
よって坑を掘進するようになっている。カッタヘッド3
の前面には土砂25をシールド本体6内に取り込むため
の孔(図示省略)が設けられている。
【0015】トンネル掘削時は、伸縮ジャッキ7が延伸
された状態で、コピーカッタ4がスキンプレート5と同
位置にあり、スキンプレート5とカッタヘッド3が同断
面となっているが、カッタビット9交換時には、伸縮ジ
ャッキ7が収縮されて、コピーカッタ4は前記貫入リン
グ2の内径部に位置し、カッタヘッド3全体が該貫入リ
ング2内に収まるように縮径される。
【0016】一方、前記カッタヘッド3の回転動力部に
は、カッタヘッドスライド装置26が設けられている。
該カッタヘッドスライド装置26は、該カッタヘッド3
全体縮径されて該貫入リング2内に収まる状態時におい
て、該カッタヘッドスライド装置26に設けられたジャ
ッキの伸縮により、該カッタヘッド3をシールド本体6
の前面からチャンパー11aの間でシールド本体6の前
後方向に移動させるものである。
【0017】前記貫入リング2は、切羽12の切削を補
助する切削用補助リング18と、該切削用補助リング1
8をシールドマシン1から前方に押し出す押し出しリン
グ19、とからなり、これらが断面鉤型に組み合わさっ
て貫入リング2を構成している。該貫入リング2は、ス
キンプレート5の前部に配置され、前端に切羽12を切
削する貫入用カッタビット17を有するとともに、前記
スキンプレート5に対して回転可能、かつ前後方向への
移動可能となっている。
【0018】スキンプレート5の内周面には、貫入リン
グ2を格納するリング室15が設けられて、通常のトン
ネル掘削時では、前記貫入リング2は該リング室15に
格納されている。該リング室15の出入り口部には、リ
ング室内15に土砂25が入り込まないように、出入り
口の隙間を覆う土砂シール21が取り付けられている。
【0019】また、該貫入リング2の内周面、詳しくは
切削用補助リング18の内周面において、シールドマシ
ン1の回転軸方向に数本の嵌合溝8が設けられており、
貫入リング2内に収まるように縮径された前記カッタヘ
ッド3のコピーカッタ4を該嵌合溝8に嵌合することに
より、カッタヘッド3が回転すると、貫入リング2も連
動して回転するよう構成されている。ただし、該貫入リ
ング2が前記シールドマシン1の前後方向に移動する際
には、コピーカッタ4は定位置のままで貫入リング2の
みが該嵌合溝8をスライドして、単独で前後に移動する
こととなる。
【0020】さらに、該貫入リング2をシールドマシン
1から押し出す押出し手段は、貫入リング2の一部を構
成している前記押し出しリング19の後部で、リング室
15の外側に設置されている押し出し用ロッド20と、
押し出し用ロッド20を介して押し出しリング19をシ
ールドマシン1の前後方向へスライドさせる、スキンプ
レート5の内周面で回転軸方向に固定されたリングスラ
イドジャッキ16、から構成されている。
【0021】次に、上記構成のシールドマシン1を設け
たトンネルの施工方法を説明する。まず、シールドマシ
ン1の前進方向で地盤改良を実施する範囲を決定し、地
盤改良の実施個所とシールドマシン1の躯体前面との間
に薬液注入を行う際のバルクヘッド14を設けた後、薬
液柱入管をカッタヘッド3の前面で土砂25をシールド
本体6内に取り込むための孔(図示省略)から地盤改良
の実施個所に差し込み、薬液注入による地盤改良を行う
(図1(a))。
【0022】前記薬液注入管13を取り除いて地盤改良
体10までシールドマシン1により掘進し、シールドマ
シン1が地盤改良体10に達した時点で掘進を停止する
(図1(b))。前記カッタヘッド3の外縁部に設置さ
れているコピーカッタ4の伸縮ジャッキを縮小させ、コ
ピーカッタ4の設置位置をスキンプレート5から前記貫
入リング2の内径部へ伸縮移動させる。前記貫入リング
2を切羽12方向へ一定距離押し出し、前記貫入リング
2の内径部に設けられている嵌合溝8へ前記コピーカッ
タ4を嵌合させた後(図1(b))、前記カッタヘッド
3を回転させて貫入リング2を回転させるとともに、リ
ングスライドジャッキ16を延伸させて貫入リング2を
切羽方向に押し出しながら、地盤改良体10を切削す
る。
【0023】リングスライドジャッキ16は延伸するこ
とにより、前記押し出し用ロッド20がリング室15内
に格納されている前記押し出しリング19を切羽12側
に押し出して、前記貫入リング2全体をスキンプレート
5より前方に突出させる(図1(c))。
【0024】ある一定距離で切削を停止した後、地盤改
良体10内に押し込まれている前記貫入リング2の周囲
に対して、貫入リング2を構成する前記押し出しリング
19にあらかじめ取り付けられた、図示しない止水材注
入管を用いて止水材を注入した後、止水状況を確認す
る。
【0025】止水状況を確認した後、カッタヘッドスラ
イド装置26を短縮させて、切羽12に位置しているカ
ッタヘッド3を貫入リング2の前記嵌合溝8にスライド
させながらシールドマシン1の躯体内に後退させ、該貫
入リング2内において切羽12とカッタヘッド3の間に
空間11を設ける(図2(e))。作業員はシールドマ
シン1の躯体内より該貫入リング2内の空間11、ない
しシールドマシン1のチャンバー11aの中に出てカッ
タヘッド3の前面に設置されているカッタビット9の摩
耗・欠損状況を確認するとともに、劣化が認められるカ
ッタビット9について、交換作業を行う。
【0026】このとき、切羽12の安定に問題がない場
合には、地盤改良のみで前記貫入リング2を用いてカッ
タビット9の交換作業を行うが、切羽12が安定しない
場合にはカッタビット9の交換作業用に切羽12と前記
カッタヘッド3の間にあけた空間11に圧気22を供給
し、図4(a)に示すように切羽12に圧気22による
圧力をかける。もしくは図4(d)に示すように前記カ
ッタヘッド3のカッタスリット(図示しない)から山止
めジャッキ23を出す等の措置を行い、切羽12を安定
させる。
【0027】本発明は、機械堀式シールドの場合に適用
したが、泥水加圧式、土圧式のいずれの場合のシールド
工法においても採用することが可能である。ただし、切
羽12が安定しないような現場においては、その安定措
置の方法が異なる。
【0028】各シールド工法における切羽12の安定措
置としては、工法が泥水加圧式の場合には、図4(b)
に示すように、カッタビット9の交換作業用に切羽12
と前記カッタヘッド3の間にあけた空間11に対して、
下半に泥水24を張るが、状況に応じてさらに圧気22
を施す措置を執る。さらに土圧式の場合には、図4
(c)に示すようにカッタビット9の交換作業用に切羽
12と前記カッタヘッド3の間にあけた空間11に対し
て、下半に土砂25を残す、また状況に応じてさらに圧
気22を施す等の補助工法を採用する。
【0029】以上の手順により前記カッタヘッド3に配
置されたカッタビット9の交換が終了次第、該カッタヘ
ッド3を切羽12まで前進させるとともに、該貫入リン
グ2を回転後退させながらシールドマシン1の躯体内に
設けられたリング室15に収める。前記コピーカッタ4
がシールドマシン1のスキンプレート5と同径になるよ
う、前記伸縮ジャッキ7を延伸移動させた後、掘進作業
を再開する(図2(f)(g))。
【0030】上述の構成によれば、従来のシールドマシ
ン1に対して、前記貫入リング2、前記カッタヘッドス
ライド装置26、および前記コピーカッタ4を装備すれ
ば良く、前記貫入リング2の回転動力についても、前記
嵌合溝8に嵌合された状態の縮径されたカッタヘッド3
を回転させることによって、貫入リング2を回転させる
ことが可能であり、新たなモータも必要ないことから、
簡略な構造で安全で確実なカッタビット9の交換作業を
実施することができる。
【0031】前記貫入リング2内で切羽12とカッタヘ
ッド3の間にできる空間11を作業空間として、カッタ
ヘッド3の前面に設置されているカッタビット9の交換
作業を行うことが可能なため、地盤改良範囲を広くとる
必要がなく経済的であるとともに、直に地山部に出て作
業をする必要がなく、安全性が向上する。
【0032】前記カッタビット9の交換作業は、必要に
応じて上述した手順を繰り返し実施すれば良く、実施回
数に制限がないため、本発明のシールドマシン1は長距
離トンネルの施工に適した構造である。
【0033】前記カッタビット9の交換について、現況
を目視により確認しながら点検作業が行うことができる
とともに、劣化したカッタビット9のみの交換が実施で
きることから、作業効率の良いメンテナンスが実現でき
ることとなる。
【0034】切羽12の地盤改良について、路上ないし
トンネル坑内から行うが、その手法は薬液注入工法、噴
射攪拌工法、凍結工法といった従来工法とすることによ
り、施工方法が簡便でカッタビットの交換作業に係る負
担が少ない。
【0035】
【発明の効果】請求項1のシールドマシンにおけるカッ
タビットの交換方法によれば、切羽を地盤改良し、その
後カッタヘッドをスキンプレートの前部に設けた貫入リ
ング内に収まるように縮径させ、次いで貫入リングを回
転させつつ前進させて前記地盤改良した切羽分に貫入さ
せ、貫入リング内の前記カッタヘッドを坑内側へ後退さ
せて、切羽とカッタヘッドの間に空間を形成し、この空
間を利用してカッタビットの交換を行うことから、カッ
タビットの交換作業実施のための地盤改良範囲を低減す
ることが可能であるとともに、目視確認の後に劣化した
カッタビットのみを交換することができ、かつカッタヘ
ッド前面のあらゆるカッタビットを交換することが可能
となる。さらには、カッタビット交換の際には同じ作業
を繰り返し実施すれば良く、交換作業の回数に制限がな
いため、長距離トンネル施工への採用が可能となる。
【0036】請求項2のシールドマシンのカッタビット
の交換方法によれば、メンテナンスが必要な前記カッタ
ビットのみの交換を行うことから、効率的で経済的にカ
ッタビットの交換作業を行うことができる。
【0037】請求項3のシールドマシンのカッタビット
の交換方法によれば、切羽の安定性の状態に応じて、切
羽崩壊の防止手段を講じることから、より安全な作業環
境を作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るシールドマシンにおけるカッタ
ビットの交換方法を示す手順図である。
【図2】 本発明に係るシールドマシンにおけるカッタ
ビットの交換方法を示す手順図である(図1の続き)。
【図3】 本発明に係るシールドマシンのカッタヘッド
を示す詳細図である。
【図4】 本発明に係るシールド工法毎の切羽崩壊防止
工法を示す詳細図である。
【符号の説明】
1 シールドマシン 2 貫入リング 3 カッタヘッド 4 コピーカッタ 5 スキンプレート 6 シールド本体 7 伸縮ジャッキ 8 嵌合溝 9 カッタビット

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 切羽を地盤改良し、その後カッタヘッド
    をスキンプレートの前部に設けた貫入リング内に収まる
    ように縮径させ、次いで貫入リングを回転させつつ前進
    させて前記地盤改良した切羽分に貫入させ、貫入リング
    内の前記カッタヘッドを坑内側へ後退させて、切羽とカ
    ッタヘッドの間に空間を形成し、この空間を利用してカ
    ッタヘッドの前面に設置されているカッタビットの交換
    を行うことを特徴とするシールドマシンにおけるカッタ
    ビットの交換方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のシールドマシンのカッタ
    ビットの交換方法において、メンテナンスが必要な前記
    カッタビットのみの交換を行うことを特徴とするシール
    ドマシンにおけるカッタビットの 交換方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のシールドマシンのカッタ
    ビットの交換方法において、切羽の安定性の状態に応じ
    て、切羽崩壊の防止手段を講じることを特徴とするシー
    ルドマシンにおけるカッタビットの交換方法。
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