JP3691987B2 - リチウム二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウムイオンの吸蔵・離脱現象を利用したリチウム二次電池に関し、特にその負極の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】
リチウム二次電池は、高エネルギー密度であるという理由から、携帯電話、パソコン、ビデオカメラ等の小型化に伴い、通信機器、情報得関連機器等の分野で既に実用化され広く普及するに至っている。また、他の用途、例えば、電気自動車用電源、電力貯蔵システム等への適用も検討されつつある。
【0003】
現在、リチウム二次電池は、負極に炭素材料を用いたロッキングチェア型のいわゆるリチウムイオン二次電池が主流となっている。負極活物質として炭素材料を用いるリチウム二次電池では、初期の充電によって負極に吸蔵されたリチウムが負極内にトラップされその後の放電によっても放出されずに不可逆容量として残存するという、いわゆるリテンションの問題を抱えている。
【0004】
負極のリテンションは、二次電池の急激な容量変化となるだけでなく、二次電池の容量を減少させないためには、対向させる正極にその不可逆容量に相当する量のリチウムを過剰に有するようにリチウム二次電池を構成しなければならず、正極活物質のロスをも生じさせることとなる。したがって、リチウム二次電池の場合、この負極のリテンションを有効に緩和させる手段が望まれている。
【0005】
また、炭素材料は、理論容量において、大きいものでも350〜400mAh/g程度であり、大容量化を図る目的においては、さらに大容量の負極活物質材料を選択する必要に迫られている。大容量負極活物質材料として、最近脚光を浴びつつあるのが、Al、Sn、Pbおよびその合金等である。特にSn−Sb系合金では、1000mAh/gを超える理論容量を有するものとされている。
【0006】
ところが、負極のリテンションの問題は、炭素材料に限られず、他の活物質材料についても付きまとう。例えば、上記Sn−Sb系合金では、1000mAh/gを超える理論容量に対して、550〜600mAh/g程度の実効容量しか得られず、大きな不可逆容量が存在する。
【0007】
一方で、大容量負極活物質材料として、特開平11−3707、特開平9−29806号公報等に示されるように、Liサイトの一部を遷移金属Mで置換した組成式Li3-xMxNで表されるリチウム窒化物を用いる試みもなされている。このLi3-xMxNは、既にリチウムを含有しているためリテンションは存在しない。ところが、リチウム二次電池では対向する正極活物質としてLiCoO2等が一般的に用いられるため、Li3-xMxNでは、含有するリチウムを例えば電気化学的な手段で予め離脱させなければならない。このリチウム離脱工程を行わなければならないことは、Li3-xMxNを負極活物質として用いることの実用化を妨げる一因ともなっていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記Li3-xMxNがリチウムを含有するという特徴を積極的に利用し、Li3-xMxNと他の負極活物質材料とを複合させることで、Li3-xMxNが含有するリチウムを他の負極活物質材料に吸蔵させることができるとの知見を得た。本発明は、この知見に基づくものであり、2以上の活物質材料を複合させて互いの欠点を補うことで、効率よく負極のリテンションが緩和され、容量の急激な変化がなく、正極活物質のロスの少ないリチウム二次電池を提供すること課題とする。
【0009】
さらに本発明は、複合させる他の負極活物質材料を選択することにより、負極のリテンションを緩和させつつ、より容量の大きなリチウム二次電池を提供することをも課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のリチウム二次電池は、組成式SnSb y (0.1≦y≦0.35)で表されるSn−Sb合金からなる第1活物質材料と、組成式Li3-xMxN(Mは遷移金属から選ばれる少なくとも1種以上、0<x≦0.7)で表されるリチウム窒化物からなる第2活物質材料とを、負極活物質として含むことを特徴とする。つまり本発明は、第1活物質材料と第2活物質材料という2種類の活物質材料を、複合させて、言い換えれば混合して負極活物質に用いるリチウム二次電池である。
【0011】
第1活物質材料としてのSn−Sb合金は、初期充電容量とその後の放電容量との容量差が存在し、不可逆容量として取込まれるリチウム量の多い活物質材料である。これに対し、第2活物質材料であるLi3-xMxNは、予めLiを含んでおり、不可逆容量は理論的には存在しない。ところが、予めLiを離脱させなければ大きな容量を得られない活物質材料である。
【0012】
この2種類の活物質材料を混合させて負極を構成し、この負極を電解質と接触させれば、両者のもつ電位差により、自然に(他に何らのエネルギーを加えることなく)、Li3-xMxNからLiが離脱し、第1活物質材料中にそのLiが吸蔵されることとなる。その結果、第1活物質材料は不可逆容量に相当するLiが充てんされて、リテンションのない活物質材料となり、同時に、Liが離脱した第2活物質材料は、容量の大きな活物質材料となる。このように、複合させて負極を構成するという極めて簡便な手段により、本発明のリチウム二次電池は、効率よく負極リテンションが緩和され、容量が大きくまた容量の急激な変化のない良好な特性を有する二次電池となる。同じ容量であっても過剰量の正極活物質を必要としないことから、コスト面でも優れたリチウム二次電池となる。
【0014】
また、Sn−Sb合金は、Liを吸蔵してLi合金化し、極めて大きな容量をもつ活物質材料となる。Sn−Sb合金を第1活物質材料として選択することで、本発明のリチウム二次電池は、極めて容量の大きな(容量密度の高い)二次電池となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
〈第1活物質材料〉
本発明のリチウム二次電池において、負極活物質として含まれる第1活物質材料は、Sn−Sb合金からなる。この第1活物質材料は、本電池において、主たる負極活物質となるものである。
【0017】
Sn−Sb合金は、Liを吸蔵することでそのLiと合金化し、可逆的にLiを吸蔵・離脱可能な領域に至る。しかし、この可逆的領域に至る過程において、比較的多くの量のLiをその物質内に取り込み、その後の離脱しない不可逆容量に相当するLi量も比較的多い。したがって、後に詳しく説明する第2活物質材料との複合効果についても大きいものとなる。
【0018】
Sn−Sb合金は、粉末状のものを活物質材料として用いる。従来から、Liの吸蔵・離脱に伴う体積膨張・収縮が大きく、二次電池のサイクル特性を悪化させることが懸念されている。そこで、これらの物質を用いる場合は、粉末における粒子サイズを小さくすることによって、サイクル特性を改善でき、その粒径において0.1〜5μmのものを活物質材料として用いるのが望ましい。
【0021】
さらに、組成式SnSbyで表されるSn合金は、SnにSbを加えることで、Liの吸蔵・離脱におけるサイクル特性の向上が見られる。この場合、SnSbyにおけるSbの合金組成比つまり組成式中のyの値は、0.1≦y≦0.35とされる。y<0.1の場合は、Liの吸蔵・離脱におけるサイクル特性において若干劣るものとなり、y>0.35の場合は、Liに対する電位が上昇し、負極として用いた場合に適当な電位とならない可能性があるからである。
【0022】
上述した第1活物質材料は、その製造方法を特に限定するものではなく、既に一般的に行われている方法で製造すればよい。例えば、上記組成式SnSbyで表されるSn−Sb合金は、適応する塩化物を水に溶解し、適当な還元剤(例えばNaBH4)を含む水溶液を加え、金属に還元するという方法によって製造すればよく、その後、溶液中でのエージング、数百℃での熱処理等の方法によって粒度調整すればよい。
【0023】
〈第2活物質材料〉
本発明のリチウム二次電池において、負極活物質として含まれる第2活物質材料は、組成式Li3-xMxN(Mは遷移金属から選ばれる少なくとも1種以上、0<x≦0.7)で表されるリチウム窒化物からなる。Li3Nのリチウムサイトの一部を、遷移金属元素Mで置換したものであり、そのリチウム窒化物から離脱するLiを上記第1活物質材料中に吸蔵させ、第1活物質材料のリテンションを緩和させるといういわば補完的な役割を果たす。また、Liを離脱させることで、Li吸蔵能力の高い、つまり容量の大きな負極活物質となる。置換元素Mの種類およびその置換割合によって種々のリチウム窒化物を用いることができ、それらの中から1種類のもの単独で第2活物質材料とするものでもよく、また2種類以上のものを混合して第2活物質材料とするものでもよい。
【0024】
置換元素Mは、遷移金属の中から選ばれ、1種類の元素で置換してもよく、2種以上の元素で置換するものであってもよい。また、置換元素Mは、遷移金属の中でも、Li3Nの構造を容易に合成し得るという理由から、Co、Ni、Cuを選択するのが望ましい。さらに、Liの吸蔵・離脱量が大きいという利点を考慮すれば、Coを選択するのがさらに望ましい。
【0025】
置換元素Mでの置換割合つまり組成式中のxの値は、0<x≦0.7とする。この理由は、x>0.7の場合、Mでの置換が行われずMが不純物として共存し、容量が低下するからである。さらに、Coを選択した場合、その置換割合は、0.3≦x≦0.5とするのがより望ましい。これは、Coでの置換割合がx<0.3の場合は、Liの吸蔵・離脱量が少なくなり、x>0.5の場合は、Liの吸蔵・離脱の可逆性が低下するからである。
【0026】
なお、上記リチウム窒化物を第2活物質材料として用いる場合、第1活物質材料の場合と同様、その粒度についても適正な範囲が存在する。第1活物質材料との混合性、および粒子同志の有効な接触の実現のためには第1活物質材料とほぼ同粒径であるのが望ましいという点を考慮し、リチウム窒化物は、その粒径において、0.1〜5μmのものとするのが望ましい。
【0027】
リチウム窒化物Li3-xMxNの製造方法は特に限定するものではなく、既に公知の方法によって製造すればよい。製造方法の一例として、例えば、Li3-xCoxNを製造する場合は、Li3NとCo金属粉末をN2気流中600〜800℃で数時間反応させるという方法によって製造すればよい。
【0028】
〈第1活物質材料と第2活物質材料との複合〉
本発明のリチウム二次電池では、上記第1活物質材料と上記第2活物質材料とを複合させて、つまり混合させて負極活物質として用いる。混合割合は、両活物質材料の役割に応じた割合とするのが望ましい。第1活物質材料中に第2活物質材料から離脱したLiが吸蔵し、第1活物質材料のリテンションを緩和すると同時に、第2活物質材料の容量を大きくするという作用を鑑み、その混合割合を決定すればよい。
【0029】
例えば、第1活物質材料にSnSbxを用い、第2活物質材料にLi3-xCoxNを用いた場合、実際に負極を構成し、この両者を電解質に接触させることにより、両者の反応電位が平衡に達するまで、次式で表される電気化学的反応が生じる。
【0030】
Li3-xCoxN+SnSbx → Li3-x-ZCoxN+LiZSnSbx
したがって、Li3-xCoxNの全体量を、平衡電位に達したときに、SnSbx全体の有する不可逆容量に相当するLiがすべてSnSbx中に吸蔵されるのに必要な最小量とするのが理論的に理想な混合割合である。この混合割合は、第1活物質材料と第2活物質材料の種類によって異なるものとなり、あらかじめそれぞれの充放電特性を調べ、その結果に応じた量を決定すればよい。ちなみに、例えば、第1活物質材料としてSnSby(0.1≦y≦0.35)を、第2活物質材料としてLi3-xCoxN(0.3≦x≦0.5)を用いた場合には、SnSby:Li3-xCoxNをその重量比で80:20〜60:40とするのが実用的な混合割合となる。
【0031】
第1活物質材料、第2活物質材料とも粉末状のものを用いるが、両者の混合方法は特に限定するものでない。例えば、ボールミル等を用い充分に均一に混合して混合粉末とすればよく、その後その混合粉末を、一般的なリチウム二次電池の負極形成工程に供すればよい。
【0032】
〈リチウム二次電池〉
本発明のリチウム二次電池は、上記負極活物質を除き、その構成を特に限定するものではない。正極、負極、その間に挟装するセパレータ、非水電解液、電池ケース等、一般的なリチウム二次電池に採用される構成要素を組み合わせ、目的に応じた構成のリチウム二次電池とすることができる。以下に、本発明のリチウム二次電池の一構成例を示す。
【0033】
負極は、上記第1活物質材料および第2活物質材料を含んだ負極活物質材料を負極活物質とし、この負極活物質材料と必要に応じ導電助材を混合し、結着剤で負極集電体表面に結着させて形成することができる。導電助材は、負極自体の電気伝導を確保するためのものであり、負極中に存在させることが望ましい。導電助材としては、金属Ni粉末、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素材料粉末等を用いることができる。結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂等を用いることができる。また、結着剤の溶剤(活物質材料の分散媒)としては、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。
【0034】
負極の形成は、まず、上記負極活物質材料に、上記導電助材、上記結着剤を混合し、適量の上記溶剤を加え、ボールミル等で充分に混練し、ペースト状の負極合材を調製し、次いで、この負極合材を、塗工機等により、Ni箔、Cu箔製等の集電体の表面に層状に(膜状に)塗布し、その後乾燥させることによって、シート状のものを形成することができる。
【0035】
正極は、リチウム含有遷移金属酸化物を正極活物質として構成することができる。例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4等は、上記負極活物質と組み合わせることで、4V近い電池電圧を得ることのできる正極活物質材料となる。正極は、上記正極活物質材料と導電助材を混合し、結着剤で正極集電体表面に結着させて形成することができる。導電助材としては、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素材料粉末を用いることができ、結着剤としては、負極同様、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂等を用いることができる。また、結着剤の溶剤についても、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。
【0036】
正極の形成は、負極の場合と同様、まず、上記正極活物質材料に、上記導電助材、上記結着剤を混合し、適量の上記溶剤を加え、ボールミル等で充分に混練し、ペースト状の正極合材を調製し、次いで、この正極合材を、塗工機等により、Al箔製等の集電体の表面に層状に塗布し、その後乾燥させることによって、シート状のものを形成することができる。
【0037】
上記正極と負極との間に挟装させるセパレータは、正極と負極とを分離し非水電解液を保持する役割を果たす。このセパレータには、ポリエチレン、ポリプロピレン等の薄い微多孔質シートを用いることができる。
【0038】
非水電解液は、電解質としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解させたものである。リチウム塩は有機溶媒に溶解することによって解離し、リチウムイオンとなって電解液中に存在する。使用できるリチウム塩としては、LiBF4、LiPF6、LiClO4、LiCF3SO3、LiAsF6、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2等が挙げられる。これらのリチウム塩は、それぞれ単独で用いてもよく、また、これらのもののうち2種以上のものを併用することもできる。
【0039】
リチウム塩を溶解させる有機溶媒には、非プロトン性の有機溶媒を用いる。例えば、環状カーボネート、鎖状カーボネート、環状エステル、環状エーテルあるいは鎖状エーテルの1種または2種以上からなる混合溶媒を用いることができる。環状カーボネートの例示としてはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等が、鎖状カーボネートの例示としてはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等が、環状エステルの例示としてはガンマブチルラクトン、ガンマバレルラクトン等が、環状エーテルの例示としてはテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等が、鎖状エーテルの例示としてはジメトキシエタン、エチレングリコールジメチルエーテル等がそれぞれ挙げられる。
【0040】
上述したセパレータと非水電解液との代わりに、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2等のリチウム塩をそのマトリクス中に包含でき、フイルム状に加工できるような高分子(例えばポリエチレンオキサイド(PEO)等の高分子量ポリマー)を用いた高分子固体電解質(SPE)を使用することもできる。
【0041】
以上のもので構成される本発明のリチウム二次電池であるが、その形状は、コイン型、円筒型、積層型等、種々のものとすることができる。いずれの形状を採る場合であっても、正極および負極にセパレータを挟装させ電極体とし、正極集電体および負極集電体から外部に通ずる正極端子および負極端子までの間を集電用リード等を用いて接続し、この電極体に非水電解液を含浸させ、電池ケースに密閉してリチウム二次電池を完成させることができる。
【0042】
【実施例】
本発明のリチウム二次電池の特徴部である負極活物質の優位性を確認すべく、第1活物質材料にSnSb0.14あるいはSnOを用い、第2活物質材料にLi2.6Co0.4Nを用いて、その充放電特性を調査し評価した。なお、評価の前提として、Li2.6Co0.4NおよびSnSb0.14それぞれ単独の場合の充放電特性をも調査した。以下に、第1活物質材料にSnSb 0.14 これらを用いたものを実施例として掲げ、第1活物質材料にSnOを用いたものを参考例として揚げる。
【0043】
〈Li2.6Co0.4Nの充放電特性〉
活物質としてLi2.6Co0.4Nを85wt%、導電助材としてアセチレンブラックを10wt%、結着剤としてテフロン(PTFE)を5wt%配合した電極を作製した。そしてこの電極と金属Li電極とを対向させ、非水電解液としてエチレンカーボネートとジメトキシエタンとを体積比で1:1に混合させた混合溶媒にLiPF6を1Mの濃度で溶解させたものを用いた電気化学セルを構成した。その電気化学セルに対し、室温にて、0.5mA/cm2の電流密度で繰り返し充放電させた場合における、Li2.6Co0.4Nの充放電特性曲線を図1に示す。
【0044】
なお、この電気化学セルでは、上記実施形態に基づく本発明のリチウム二次電池の場合と異なり、Li2.6Co0.4Nが正極側となる。このことから、「二次電池」と呼ばず、敢えて「電気化学セル」と呼ぶことにする。そして、この電気化学セルにおけるLi2.6Co0.4NにLiが吸蔵される放電側を吸蔵側と、Li2.6Co0.4NからLiが離脱する放電側を離脱側と表すことにする(以下も同様)。また、容量は、活物質単位重量当たりの容量とする(以下も同様)。
【0045】
Li2.6Co0.4Nは、既に充分なるLiを含有しており、この充放電サイクルが離脱側からスタートしたものであることから、図1に示す充放電特性曲線から明らかなように、1サイクル目では、Liに対して約0.7V程度の電位からLiの離脱開始の早期に約1.1Vまで上昇し、その電位で約700mAh/gのLiを離脱する。この電位が一定の部分は、活物質材料の構造変化を生じ非晶質になる過程の領域であると考えられる。その後に続く吸蔵側では、なだらかに電位を下降させつつ約900mAh/gに相当するLiを吸蔵する。2サイクル目以降は、0〜1.4V(平均0.7V)の範囲のなだらかな電位変化を伴いながら、吸蔵側、離脱側ともほぼ同じ容量の充放電を繰り返す。
【0046】
1サイクル目の離脱側と吸蔵側との容量差は約200mAh/gあることから、このLi2.6Co0.4Nをそのまま、負極活物質として用いた場合、Liを吸蔵できる容量は、約200mAh/g程度しかないことが分かる。これに対し、一旦Li2.6Co0.4NからLiを離脱させた後には、約900mAh/gの容量をもつ負極活物質材料となり得ることが確認できる。
【0047】
〈SnSb0.14の充放電特性〉
活物質としてSnSb0.14を76wt%、導電助材としてNi粉末を12wt%、結着剤としてポリエチレンオキサイド(PEO)とポリエチレン(PE)をそれぞれ7wt%ずつ配合した電極を作製した。そしてこの電極と金属Li電極とを対向させ、PEOのマトリクスにLiCF3SO3を重量において20%の濃度で包含させた固体電解質を用いた電気化学セルを構成した。その電気化学セルに対し、80℃の温度下、0.1mA/cm2の電流密度で繰り返し充放電させた場合における、SnSb0.14の充放電特性曲線を図2に示す。
【0048】
この充放電サイクルは吸蔵側からスタートしたものである。図2から明らかなように、1サイクル目の吸蔵側では1000mAh/gを超える大きな容量を示すのに対し、2サイクル目以降では、離脱側、吸蔵側とも約600mAh/g程度の容量となっている。このことから、SnSb0.14は、大きな不可逆容量を有する活物質材料であることが確認できる。
【0049】
また、図1に示すLi2.6Co0.4Nの1サイクル目の離脱側の充放電特性曲線と、図2に示すSnSb0.14の1サイクル目の吸蔵側の充放電特性曲線を比較して判るように、両者の間には、平均で約0.3Vの電位差が生じている。両者の間に存在する電位差により、Li2.6Co0.4NとSnSb0.14とを複合させて電解質に接触させるだけで、Li2.6Co0.4Nに含有するLiがSnSb0.14中に吸蔵されることが確認できる。
【0050】
〈実施例1〉
第1活物質材料としての75重量部のSnSb0.14と、第2活物質材料としての25重量部のLi2.6Co0.4Nとを混合することにより複合活物質材料を調製し、この複合活物質材料を80wt%、導電助材としてNi粉末を10wt%、結着剤としてポリエチレンを10wt%配合した電極を作製した。そしてこの電極と金属Li電極とを対向させ、非水電解液としてエチレンカーボネートとジメトキシエタンとを体積比で1:1に混合させた混合溶媒にLiPF6を1Mの濃度で溶解させたものを用いた電気化学セルを構成した。この電気化学セルを実施例1の電気化学セルとした。
【0051】
実施例1の電気化学セルを、室温で10時間保存し、SnSb0.14とLi2.6Co0.4Nとの電位差により、Li2.6Co0.4N中のLiをSnSb0.14に吸蔵させた。この電気化学セルに対し、室温下、電位差0.1〜1.3Vの範囲において、電流密度0.5mA/cm2で充放電を繰り返す充放電サイクル試験を行った。なお、充放電サイクル試験は吸蔵側から開始するものとした(以下同様)。
【0052】
実施例1の電気化学セルと比較すべく、SnSb0.14のみを活物質とした電極を用いて比較例1の電気化学セルを構成した。また、Li2.6Co0.4Nのみを活物質とした電極を用いて比較例2の電気化学セルを構成した。そして、これら比較例の電気化学セルに対し、同様の試験を行った。なお、活物質材料を除き、電極の構成、電気化学セルの構成および充放電サイクル試験の条件は実施例1の電気化学セルの場合と同様とした。
【0053】
図3に、実施例1、比較例1、2のそれぞれの電気化学セルの1サイクル目の充放電特性曲線を、図4に、実施例1および比較例1の電気化学セルの各サイクルにおける吸蔵側の容量および離脱側の容量を、図5に、比較例1の電気化学セルの1、2、10、20サイクルにおける充放電特性曲線を、図6に、実施例1の電気化学セルの1、2、10、20サイクルにおける充放電特性曲線を、それぞれ示す。
【0054】
図3において、SnSb0.14のみを活物質とした電極を用いた比較例1の電気化学セルでは、1サイクル目の吸蔵側の容量と離脱側の容量とに差があり、その電極に不可逆容量が存在していることが分かる。これに対して、複合活物質材料を用いた電極を有する実施例1の電気化学セルでは、吸蔵側の容量と離脱側の容量との間に差は殆どなく、複合活物質材料を構成するLi2.6Co0.4N中のLiがSnSb0.14に吸蔵されて、SnSb0.14に存在したはずの不可逆容量を極めて小さくする効果があることが確認できる。このことは、図4からも、また図5と図6との比較からも同様に確認できる。
【0055】
また、図3において、Li2.6Co0.4Nのみを活物質材料とした電極を用いた比較例2の電気化学セルの場合、Li吸蔵から始まる1サイクル目の吸蔵側の容量が極めて小さく、予めLiを離脱させずして大きな容量を得ることができないことが確認できる。
【0056】
なお、実施例1および比較例1の電気化学セルの各サイクルにおける容量を比較した図4から、複合活物質材料を用いた電極を有する実施例1の電気化学セルのほうが、サイクル経過に伴う容量低下が少なく、よりサイクル特性に優れる電極を有していることが判る。この良好なサイクル特性は、両活物質材料が互いに接触を保持することにより、SnSb0.14単独の場合に見られたLi吸蔵・離脱に伴う体積変化による剥離等が抑制されていることに起因するものと考えられる。したがって、複合活物質材料を負極活物質として用いた本発明のリチウム二次電池は、サイクル特性についても良好となることが確認できる。
【0057】
〈実施例2〉
本実施例は、上記実施例1の場合と異なる構成の電極を用いて行った実施例である。第1活物質材料としての75重量部のSnSb0.14と、第2活物質材料としての25重量部のLi2.6Co0.4Nとを混合することにより複合活物質材料を調製した。この複合活物質材料については、実施例1の場合と同様である。この複合活物質材料を83wt%、導電助材としてアセチレンブラックを5wt%、結着剤としてポリエチレンを10wt%配合した電極を作製した。そしてこの電極を用い実施例1の場合と同様の電気化学セルを構成し、実施例2の電気化学セルとした。
【0058】
また実施例2の電気化学セルと比較すべく、SnSb0.14のみを活物質とした電極を用いて比較例3の電気化学セルを構成した。活物質材料を除く、電極の構成および電気化学セルの構成は、実施例2のものと同様のものとした。
【0059】
実施例2および比較例3の電気化学セルに対して、上記実施例1の場合と同様の条件の充放電サイクル試験を行った。図7に、比較例3の電気化学セルの1、2、10、15サイクルにおける充放電特性曲線を、図8に、実施例2の電気化学セルの1、2、10、15サイクルにおける充放電特性曲線を、そして図9に、実施例2および比較例3の電気化学セルの各サイクルにおける吸蔵側の容量および離脱側の容量を、それぞれ示す。
【0060】
それぞれの図から明らかなように、実施例2の電気化学セルと比較例3の電気化学セルとを比較すれば、上記実施例1の場合と同様、複合活物質材料を用いた電極を有する実施例2の電気化学セルのほうが、1サイクル目における吸蔵側と離脱側との間で容量差がなく、不可逆容量の小さな電極を有するものであることが確認できる。したがって、電極の構成を変更した場合であっても、リテンションの緩和効果は充分に発揮されることが確認される。
【0061】
なお、実施例1の電気化学セルに対して、実施例2の電気化学セルのほうが容量の大きいものとなっている。この理由は、実施例2で導電助材として用いたアセチレンブラックが、実施例1で導電助材として用いたNiよりも密度が小さく、導電助材としてより効率的であるためと考えられる。
【0062】
〈実施例3〉
本実施例は、上記実施例1の場合と異なる混合割合をもつ複合活物質材料を用いた電極を使用した実施例である。第1活物質材料としての65重量部のSnSb0.14と、第2活物質材料としての35重量部のLi2.6Co0.4Nとを混合することにより複合活物質材料を調製した。実施例1の場合と同様に、複合活物質材料を80wt%、導電助材としてNi粉末を10wt%、結着剤としてポリエチレンを10wt%配合した電極を作製した。そしてこの電極を用い実施例1の場合と同様の電気化学セルを構成し、実施例3の電気化学セルとした。
【0063】
この実施例3の電気化学セルに対して、上記実施例1の場合と同様の条件の充放電サイクル試験を行った。図10に、実施例3の電気化学セルの各サイクルにおける吸蔵側の容量および離脱側の容量を示す。
【0064】
図4に示す実施例1の電気化学セルと比較して判るように、図10に示す実施例3の電気化学セルは、2サイクル目の吸蔵側の容量より1サイクル目の吸蔵側の容量が小さくなっている。これは、第2活物質材料であるLi2.6Co0.4Nの混合割合を大きくしたことで、不可逆容量を超えるLiが、第1活物質材料であるSnSb0.14中に吸蔵されたためである。したがって、本発明のリチウム二次電池では、第1活物質材料と第2活物質材料との混合割合について、適正な範囲が存在することが確認できる。
【0065】
〈参考例4〉
本参考例は、Sn−Sb合金に代え、第1活物質材料としてSnOを混合した複合活物質材料を用いた電極を使用したものである。SnOとLi2.6Co0.4Nとを、重量比で65:35および60:40に混合することにより、2種類の複合活物質材料を調製した。それぞれの複合活物質材料を80wt%、導電助材としてNi粉末を10wt%、結着剤としてポリエチレンを10wt%配合した電極を作製した。そしてこの電極と金属Li電極とを対向させ、非水電解液としてエチレンカーボネートとジメトキシエタンとを体積比で1:1に混合させた混合溶媒にLiPF6を1Mの濃度で溶解させたものを用いた電気化学セルを構成した。SnOの混合割合が65wt%の複合活物質材料を用いた電気化学セルを参考例4−1の電気化学セルとし、60wt%の複合活物質材料を用いた電気化学セルを参考例4−2の電気化学セルとした。
【0066】
参考例4−1、4−2の電気化学セルを、室温で10時間保存し、SnOとLi2.6Co0.4Nとの電位差により、Li2.6Co0.4N中のLiをSnOに吸蔵させた。この電気化学セルに対し、室温下、電位差0.1〜1.3Vの範囲において、電流密度0.5mA/cm2で充放電を繰り返す充放電サイクル試験を行った。この試験の結果として、図11に、参考例4−1の電気化学セルの1サイクル、5サイクルにおける充放電特性曲線を示し、図12に、参考例4−1、4−2それぞれの電気化学セルの各サイクルにおける吸蔵側の容量および離脱側の容量を示す。
【0067】
図11および図12から明らかなように、1サイクル目の吸蔵側の容量と離脱側の容量の差は大きくない。また、1サイクル目の吸蔵側の容量と2サイクル目以降との吸蔵側の容量を比較しても大きな変化は見られない。このことから、参考例4−1、4−2の電気化学セルは、不可逆容量の小さい電極を有するものであることが判る。したがって、Sn酸化物を第1活物質材料として用いるリチウム二次電池にあっても、負極のリテンションが効率よく緩和されることが確認できる。
【0068】
〈実施例5〉
本実施例は、有機電解液に代え高分子固体電解質を用いた実施例である。第1活物質材料としての65重量部のSnSb0.14と、第2活物質材料としての35重量部のLi2.6Co0.4Nとを混合することにより複合活物質材料を調製し、この複合活物質材料を76wt%、導電助材としてNi粉末を12wt%、結着剤としてポリエチレンおよびポリエチレンオキサイドをそれぞれ7wt%および5wt%配合した電極を作製した。そしてこの電極と金属Li電極とを対向させ、PEOのマトリクスにLiCF3SO3を重量において20%の濃度で包含させた固体電解質を用いた電気化学セルを構成した。この電気化学セルを実施例5の電気化学セルとした。
【0069】
実施例5の電気化学セルを、室温で10時間保存し、SnSb0.14とLi2.6Co0.4Nとの電位差により、Li2.6Co0.4N中のLiをSnSb0.14に吸蔵させた。この電気化学セルに対し、80℃の温度下、電位差0.1〜1.3Vの範囲において、電流密度0.1mA/cm2で充放電を繰り返す充放電サイクル試験を行った。
【0070】
実施例5の電気化学セルと比較すべく、SnSb0.14のみを活物質とした電極を用いて比較例4の電気化学セルを構成した。そして、この比較例4の電気化学セルに対しても、同様の試験を行った。なお、活物質材料を除き、電極の構成、電気化学セルの構成および充放電サイクル試験の条件は実施例5の電気化学セルの場合と同様とした。これらの試験の結果として、図13に、実施例5、比較例4のそれぞれの電気化学セルの1サイクル目の充放電特性曲線を示す。
【0071】
図13から明らかなように、比較例4の電気化学セルは吸蔵側の容量と離脱側の容量に大きな差があり、大きな不可逆容量が存在することが判る。これに対し、複合活物質材料を用いた実施例5の電気化学セルは、吸蔵側と離脱側に容量差が殆どなく、不可逆容量の小さな電極を有するものとなっている。したがって、複合活物質材料を用いた本発明のリチウム二次電池は、高分子固体電解質を用いる態様であっても、負極に生じるリテンションが効率よく緩和されるものであることが確認できる。
【0072】
【発明の効果】
本発明のリチウム二次電池は、Sn−Sb合金からなる第1活物質材料とリチウムサイトの一部を遷移金属で置換させたリチウム窒化物からなる第2活物質材料とを複合させた複合活物質材料を負極活物質として用いるように構成している。このように構成することで、電位差により第2活物質材料に予め存在するLiを第1活物質材料に吸蔵さることができ、本発明のリチウム二次電池は、負極に生じるリテンションを効率的に緩和されたリチウム二次電池となる。また第1活物質材料にSn−Sb合金を用いることで、より容量の大きなリチウム二次電池とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 Li2.6Co0.4Nの充放電特性曲線を示す。
【図2】 SnSb0.14の充放電特性曲線を示す。
【図3】 実施例1、比較例1、2のそれぞれの電気化学セルの1サイクル目の充放電特性曲線を示す。
【図4】 実施例1および比較例1の電気化学セルの各サイクルにおける吸蔵側の容量および離脱側の容量を示す。
【図5】 比較例1の電気化学セルの1、2、10、20サイクルにおける充放電特性曲線を示す。
【図6】 実施例1の電気化学セルの1、2、10、20サイクルにおける充放電特性曲線を示す。
【図7】 比較例3の電気化学セルの1、2、10、15サイクルにおける充放電特性曲線を示す。
【図8】 実施例2の電気化学セルの1、2、10、15サイクルにおける充放電特性曲線を示す。
【図9】 実施例2および比較例3の電気化学セルの各サイクルにおける吸蔵側の容量および離脱側の容量を示す。
【図10】 実施例3の電気化学セルの各サイクルにおける吸蔵側の容量および離脱側の容量を示す。
【図11】 参考例4−1の電気化学セルの1サイクル、5サイクルにおける充放電特性曲線を示す。
【図12】 参考例4−1、4−2それぞれの電気化学セルの各サイクルにおける吸蔵側の容量および離脱側の容量を示す。
【図13】 実施例5、比較例4のそれぞれの電気化学セルの1サイクル目の充放電特性曲線を示す。
Claims (2)
- 組成式SnSb y (0.1≦y≦0.35)で表されるSn−Sb合金からなる第1活物質材料と、
組成式Li3-xMxN(Mは遷移金属から選ばれる少なくとも1種以上、0<x≦0.7)で表されるリチウム窒化物からなる第2活物質材料と、
を負極活物質として含むことを特徴とするリチウム二次電池。 - 前記リチウム窒化物は、組成式Li3-xCoxN(0.3≦x≦0.5)で表される請求項1に記載のリチウム二次電池。
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