JP3688887B2 - バランス補正装置及びこれを備えた回転装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、モータ等の回転装置に取り付けられ、その回転時におけるアンバランスを修正するバランス補正装置及びこれを備えた回転装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、モータには各種のものがあり、そのひとつにデータの記録・再生を行うための記録ディスク駆動用のものがある。そして、その記録ディスクには、CD、FD、MO、MD、DVD等種々のものがある。これらの記録ディスクは、記録・再生方式やデータ容量、回転速度、記録密度等の仕様あるいはディスクの材料、価格が異なるため、各ディスクごとにそれを駆動するモータとして種々のものが存在する。
【0003】
近年、電子情報が文字から画像へと移行し、それに伴う情報の高度化、大容量化によって、その情報を大量にかつ素早く記録・再生ができること、更には低コストであることなどが記録ディスク及びこれを駆動する駆動装置に対して要求されている。
【0004】
例えばCDの場合、当初は音楽再生用として登場したが、その利点を生かしCD−ROMとしてコンピュータ用へと用途が拡大した。これにより、データ容量が増大し、動作時間(シークタイム)の短縮化と共に記録ディスク側を速く回転させること、即ち記録ディスク駆動用モータが高速化されるに至り、最近では音楽用CDを基準速度として、20倍速を超えるものが実現化されている。
【0005】
ところで、従来の記録ディスク駆動用モータの具体的構成について図6を参照して説明する。
【0006】
図6に示すように、シャーシ等の固定部材1に形成された開口にほぼ円筒状を成す保持部材2の下端部が嵌着され、保持部材2の底面開口部が閉塞板3により閉塞され、スラスト受4が閉塞板3上に載置されて保持部材2内の底部に配設され、滑り軸受5が保持部材2の内側に嵌着されている。
【0007】
更に、保持部材2の外側にはコア7aが嵌着され、このコア7aに巻線7bが巻装されステータ7を構成している。また、シャフト8が滑り軸受5に嵌入され、その下端がスラスト受け4に当接し上端部が保持部材2の上方に突出して配設されている。シャフト8の上端部にはアルミニウム等の非磁性材から成るハブ部材9が嵌着され、鉄等の磁性材から成る回転部材であるヨーク部材10がハブ部材9に取り付けられている。
【0008】
このヨーク部材10は、ほぼ円板状の基部とこの基部の周縁に下方に垂下して一体形成された垂下部とにより構成され、その基部の中央部に形成された開口の周りの部分がハブ部材9の下端部に加締めにより取り付けられている。更に、駆動用マグネット11がヨーク部材10の垂下部の内側に嵌入され、ステータ7に相対向する位置に配設されている。
【0009】
また図6に示すように、ハブ部材9の外側にターンテーブル部13が形成され、このハブ部材9の中央にこの上面とほぼ同一面を形成するようにクランプマグネット14が埋設され、このクランプマグネット14により図示しない駆動装置側のディスク押圧手段が磁気吸引されて記録ディスクDが固定される。そして、ステータ7の巻線7bへの電流の通流方向が制御されてステータ7が回転磁界を発生し、この回転磁界と駆動用マグネット11との静磁界との吸引及び反発の繰り返しによって、静止状態のステータ7に対して駆動用マグネット11、ヨーク部材10、ハブ部材9及びシャフト8が回転し、これによりターンテーブル部13及び記録ディスクDが一定方向に回転する。
【0010】
ところで、CD−ROM等の記録ディスクDでは、その記録面と反対側の面に様々な印刷がなされ、印刷に使用されるインクの重量に起因して記録ディスクDの回転時に重量バランスの偏り(アンバランス)を生じ、モータの回転振れの原因となることがある。これは、上述したモータの高速化により、微量なインクの重量でさえも影響を及ぼすようになっているという背景によるためである。またモータの高速化は、それまで問題にはならなかったような各部の寸法誤差によるアンバランスをも招来する。
【0011】
そこで、このようなアンバランスを補正するバランス補正装置として、従来例えば図6に示すように、ハブ部材9におけるターンテーブル部13の下面とヨーク部材10の基部とで環状空間の収容部16を形成し、この収容部16に複数個の球体17を周方向に移動自在に収容することが行われている。このとき、アンバランス補正の広範囲化、高精度化を図るために、複数の収容部16を同心に形成し、各収容部16にそれぞれ複数個の球体17を収容し、各収容部16内を各球体17が周方向に移動するようにしたものも提案されている。
【0012】
このような構成によると、記録ディスクDを載置した状態でモータが所定の回転速度に到達すると、各球体17がアンバランス位置と対称な位置に移動し、モータのアンバランスが各球体17により補正されて回転振れを防止することができるのである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記したバランス補正装置を備えたモータは、モータが起動してからそのバランス補正装置が作用する所定の回転数までの間においては、球体17は収容部16内を周方向や径方向に振動を拡大する位置に転動するため、モータの不安定な回転が一層助長されるといった問題がある。
【0014】
更に、そのモータが例えば上記したような記録ディスク駆動用モータから成るCD−ROM駆動装置を搭載したノートパソコンのように、携帯或いは移動可能な状況下で使用される場合には、外力により収容部16内の球体17同士が衝突し、或いは球体17が収容部16の内周面に衝突するので、携帯或いは移動中に耳障りな不快音が生じるといった問題もある。
【0015】
また従来、モータ等の各種回転装置に着脱自在に装着が可能なバランス補正装置はなく、各回転装置毎にバランス補正装置を組み込まなければならず、組立作業の煩雑化を招くという問題もある。
【0016】
更に、ノートパソコンに装備されたCD−ROM等の記録ディスク駆動用モータでは、回転装置及びバランス補正装置をより小型化する必要がある。
【0017】
この発明が解決しようとする第1の課題は、モータ等の回転装置に着脱自在に装着が可能で、アンバランスを補正し、しかもバランス体の不要な移動に関連する不具合が生じることのない汎用性を有し、かつ小型化が可能なバランス補正装置を提供することにある。
【0018】
また、この発明が解決しようとする第2の課題は、バランス体の不要な移動に関連する不具合が生じないようにして良好なバランス補正を行え、かつ小型化が可能なバランス補正装置を備えた回転装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記した第1の課題を解決するために、本発明におけるバランス補正装置は、回転軸に連動して回転する第1部材と、前記第1部材の回転の軸方向に沿って一方向及びその反対の他方向に移動自在に且つ前記第1部材に接離自在に設けられた第2部材と、前記両部材の間に前記回転軸と同心の環状に形成された移動路と、前記移動路内を周方向に移動自在に前記移動路に収容され前記第2部材の下方への移動により前記両部材間に挟持され前記第2部材の上方への移動により前記両部材による挟持状態から解放されるバランス体と、前記第1、第2部材の相互の当接部位に上下方向に波打って前記回転軸に同軸に形成された当接面と、前記第1部材に対する前記第2部材の回転にずれが生じたときにこのずれを減少する方向に前記第2部材を付勢する付勢手段とを備えている。
【0020】
このような構成によれば、第1部材の始動直後は、第1部材及び第2部材の両当接面間の摩擦力により、第2部材が第1部材と一緒に回転しようとする。そして、第1部材が加速してその回転数が上昇すると、第2部材に働く慣性力が第1部材及び第2部材の両当接面間の摩擦力を上回り、第2部材が第1部材の回転に追随できなくなって、第2部材が第1部材に押し上げられるようにして上方へ移動する。このときの第2部材の移動量はせいぜい当接面の山−谷間の高さ程度である。
【0021】
このような第2部材の上方への移動により、バランス体が第1、第2部材による挟持状態から解放され、バランス体は移動路内をアンバランスを補正する位置に移動することが可能な状態になる。
【0022】
このとき、第2部材が第1部材の回転に追随できなくなると、第1、第2部材間に回転ずれが生じるが、付勢手段によってこの回転ずれが減少するように第2部材が付勢されるため、定速に達して慣性力が作用しなくなると、第1、第2部材間の回転ずれがなくなると共に、第2部材が下方に移動して両当接面が再び当接し、バランス体が両部材により挟持されるようになり、バランス体が両部材により挟持された状態のまま第2部材が第1部材と一緒に回転する。バランス体は、その解放状態から定速時の挟持状態までの間にアンバランスを補正する位置に移動しているため、この位置で挟持される。
【0023】
一方、第1部材が減速を始めると、減速開始当初は第2部材が慣性力により第1部材の減速に追随できないため、第2部材が第1部材に対して加速時とは逆方向に相対的に回転し、第2部材が押し上げられて再びバランス体が挟持状態から解放される。その後、第1部材が減速するに連れて第2部材が次第に第1部材の回転に追随するようになり、第2部材は下方に移動し始めると共に、減速当初に生じた第1、第2部材の回転ずれによる付勢手段の付勢力が、この両部材間の回転ずれを減少するように作用し、やがて第2部材と第1部材の当接面同士が再び当接するようになり、第1、第2部材間にバランス体が再び挟持される。このとき、バランス体は任意の位置に挟持されている。
【0024】
ここで両当接面は、曲線状に滑らかに変化するものであっても、直線状に変化するものであってもよい。また、両当接面は、全く同じように変化するものであっても、変化が若干異なるものであってもよい。更に第1、第2部材間がバランス体を挟持から解放した状態に保持されるように、両当接面の形状を工夫してもよい。具体的には、両当接面に突起を設け、両突起が係合した状態で第2部材が付勢手段に引っ張られて第1部材の回転に追従するようにすること等が考えられる。
【0025】
ところで、この場合のバランス体は、複数個の球体やその他の転動体であるのが望ましい。また、移動路は第1または第2部材に形成されたリング状の凹陥部であったり、第1または第2部材に円形の仕切部材を設けることによって形成されたものであるのが好ましい。このときの移動路は、同心に複数設けられていてもよく、第1部材に形成された1つの凹陥部内を仕切って2以上の移動路を形成したり、複数の円形仕切部材により第1または第2部材間を複数に仕切ることによって形成するとよい。但し、このように複数の移動路を設ける場合には、隣接する移動路にバランス体が侵入できないようにするのが望ましい。
【0026】
更に、ここでいう第1部材及び第2部材とは円盤状のものが望ましく、要するに上記した凹陥部を形成することを考慮した厚みを有していればよく、凹陥部を形成せずに円形仕切部材により移動路を形成する場合には薄板状であっても構わない。
【0027】
また、本発明におけるバランス補正装置は、前記付勢手段を、その両端が前記第1、第2部材に係止して設けられた渦巻きばねにより構成している。
【0028】
この付勢手段には、両端が第1部材及びと第2部材に係止されたゴムやばね等を用いるのが望ましいが、特にこのような渦巻きばねを用いると、装置への組み込みを容易に行うことが可能になり、第1部材が回転していない静止状態で装置全体に外部から衝撃が加わったときにも、渦巻きばねの付勢力により、第2部材が第1部材に対して勝手に回転することが防止される。
【0029】
また、本発明におけるバランス補正装置は、前記第2部材を前記第1部材に当接する方向に付勢する他の付勢手段を備えている。
【0030】
このようにすれば、第1、第2部材の両当接面間の摩擦力を調節して第2部材が第1部材の回転に追随できる回転数を調整することが可能になる。また、バランス体の挟持力を増大して、バランス体の挟持をより確実に行うことができる。
【0031】
また、本発明におけるバランス補正装置は、前記第1部材と前記第2部材との回転ずれを規制する規制手段を備えている。
【0032】
このようにすると、第1部材が定速状態から減速して第2部材側に慣性力が作用したときに、第1部材に対する第2部材の回転ずれが規制手段により規制されるため、バランス体は定速時にアンバランスを補正する位置で挟持された状態に維持されたままとなり、第1部材が更に減速して停止するまで、バランス体はアンバランスを補正する位置で挟持されたままとなる。従って、第1部材の減速から停止までの間におけるバランス体の騒音や振動の発生を防止できる。
【0033】
また、本発明におけるバランス補正装置は、前記バランス体は、前記第1部材が所定回転数以下において前記第1、第2部材により挟持されるようにしている。
【0034】
この場合、第1部材が始動してからある所望の回転数(所定回転数)に達するまでの間、或いは第1部材が所望の回転数(所定回転数)まで減速した後、バランス体を第1、第2部材により挟持して拘束できるため、同じ条件で第1部材が再び始動したときに、バランス体を拘束した状態のまま始動することが可能になり、始動直後におけるバランス体の騒音や振動の発生を確実に防止できると共に瞬時にアンバランスが補正される。なお、所望の回転数とは、例えば本装置が装着される回転装置の共振回転数である。
【0035】
また、上記した第2の課題を解決するために、本発明における回転装置は、静止部材及びこの静止部材に対して回転自在に設けられた回転部材とにより構成され、前記回転部材の回転軸に連動して回転する第1部材と、前記第1部材の回転の軸方向に沿って一方向及びその反対の他方向に移動自在に且つ前記第1部材に接離自在に設けられた第2部材と、前記第1、第2部材の間に前記回転軸と同心の環状に形成された移動路と、前記移動路内を周方向に移動自在に前記移動路に収容され前記第2部材の下方への移動により前記第1、第2部材間に挟持され前記第2部材の上方への移動により前記両部材による挟持状態から解放されるバランス体と、前記第1、第2部材の相互の当接部位に上下方向に波打って前記回転軸に同軸に形成された当接面と、前記第1部材に対する前記第2部材の回転にずれが生じたときにこのずれを減少する方向に前記第2部材を付勢する付勢手段とから成るバランス補正装置を備えている。
【0036】
このような構成によれば、回転装置が始動してその回転軸に連動する第1部材が始動した直後は、第1部材及び第2部材の両当接面間の摩擦力により、第2部材が第1部材と一緒に回転し、回転装置の回転数が上昇するのに伴い、第2部材に働く慣性力が第1部材及び第2部材の両当接面間の摩擦力を上回り、第2部材が第1部材の回転に追随できなくなって、第2部材が第1部材に押し上げられるようにして上方へ移動し、バランス体が第1、第2部材による挟持状態から解放され、バランス体は移動路内をアンバランスを補正する位置に移動することが可能な状態になる。
【0037】
このとき、第2部材が第1部材の回転に追随できなくなると、第1、第2部材間に回転ずれが生じるが、付勢手段によってこの回転ずれが減少するように第2部材が付勢されるため、定速に達して慣性力が作用しなくなると、第1、第2部材間の回転ずれがなくなると共に、第2部材が下方に移動して両当接面が再び当接し、バランス体が両部材により挟持されるようになり、バランス体が両部材により挟持された状態のまま第2部材が第1部材と一緒に回転する。バランス体は、その解放状態から定速時の挟持状態までの間にアンバランスを補正する位置に移動しているため、この位置で挟持される。
【0038】
一方、回転装置が減速を始めると、減速開始当初は第2部材が慣性力により第1部材の減速に追随できないため、第2部材が第1部材に対して加速時とは逆方向に相対的に回転し、第2部材が押し上げられて再びバランス体が挟持状態から解放される。その後、回転装置が減速するに連れて第2部材が次第に第1部材の回転に追随するようになり、第2部材は下方に移動し始めると共に、付勢手段の付勢力が第1、第2部材間の回転ずれを減少するように作用し、やがて第2部材と第1部材の当接面同士が再び当接するようになり、第1、第2部材間にバランス体が再び挟持される。このとき、バランス体は任意の位置に挟持されている。
【0039】
従って、バランス体の不要な移動に関連する不具合が生じないようにして良好なバランス補正を行え、かつ小型化が可能なバランス補正装置を備えた回転装置を提供することが可能になる。
【0040】
また、本発明における回転装置は、前記付勢手段を、その両端が前記第1、第2部材に係止して設けられた渦巻きばねにより構成している。
【0041】
こうすると、渦巻きばねの装置への組み込みが容易に行え、第1部材が回転していない静止状態で装置全体に外部から衝撃が加わったときにも、渦巻きばねの付勢力により、第2部材が第1部材に対して勝手に回転することが防止され、バランス体の不要な移動に関連する不具合が生じないようにして良好なバランス補正を行え、かつ小型化が可能なバランス補正装置を備えた回転装置を提供することが可能になる。
【0042】
また、本発明における回転装置は、前記第2部材を前記第1部材に当接する方向に付勢する他の付勢手段を備えている。
【0043】
この場合、第1、第2部材の両当接面間の摩擦力を調節して第2部材が第1部材の回転に追随できる回転数の調整が可能で、バランス体の挟持をより確実に行うことができ、バランス体の不要な移動に関連する不具合が生じないようにして良好なバランス補正を行うことのできるモータ等の回転装置を提供することが可能になる。
【0044】
また、本発明における回転装置は、前記第1部材と前記第2部材との回転ずれを規制する規制手段を備えている。
【0045】
このようにすれば、第1部材が定速状態から減速して第2部材側に慣性力が作用したときに、第1部材に対する第2部材の回転ずれが規制手段により規制されるため、バランス体は定速時にアンバランスを補正する位置で挟持された状態に維持されたままとなり、第1部材が更に減速して停止するまで、バランス体はアンバランスを補正する位置で挟持されたままとなる。従って、第1部材の減速から停止までの間におけるバランス体の騒音や振動の発生を防止できる。
【0046】
また、本発明における回転装置は、前記バランス体は、前記第1部材が所定回転数以下において前記第1、第2部材により挟持されるようにしている。
【0047】
この場合、第1部材が始動してからある所望の回転数(所定回転数)に達するまでの間、或いは第1部材が所望の回転数(所定回転数)まで減速した後、バランス体を第1、第2部材により挟持して拘束できるため、同じ条件で第1部材が再び始動したときに、バランス体を拘束した状態のまま始動することが可能になり、始動直後におけるバランス体の騒音や振動の発生を確実に防止できると共に瞬時にアンバランスが補正される。なお、所望の回転数とは、例えば本装置の共振回転数である。
【0048】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施形態について図1ないし図5を参照して説明する。本実施形態は、バランス補正装置を備えた回転装置としての記録ディスク駆動用モータの例であり、図1は切断正面図、図2は一部の斜視図、図3は他の一部の斜視図、図4及び図5それぞれ他の一部の異なる変形例の概略図である。
【0049】
図1、図2において、21はシャーシに固定されたプリント基板等の固定部材、22は固定部材21に形成された開口23に下端部が嵌着された静止部材としてのほぼ円筒状の保持部材、24は保持部材22の底面開口部を閉塞した閉塞板、25は閉塞板24上に載置されて保持部材22内の底部に配設されたスラスト受、26は滑り軸受であり、保持部材22の中心部に形成された貫通孔の内側に嵌着されている。
【0050】
更に、28は保持部材22の外側に嵌着して設けられたコア28a及びこのコア28aに巻装された巻線28bから成るステータ、29は滑り軸受26に嵌入され下端がスラスト受け25に当接し上端部が保持部材22の上方に突出して配設された回転部材としてのシャフト、30は底部を上にしてその中心部がシャフト29に軸止された磁性材から成る回転部材としての有底円筒状のヨーク部材、31は駆動用マグネットであり、ヨーク部材30の内周部に嵌入され、ステータ28に相対向する位置に配設されている。
【0051】
また、32は円板の周縁部が上方に折れ曲がった形状を有しヨーク部材30に載置されるようにしてその中心部がシャフト29に軸止された第1部材としての受け部材、33はこの受け部材32の中央部分に上方に膨出して一体形成された円筒部、34は受け部材32の上面に取り付けられたシャフト29に対して半径の異なる同心円状の複数の環状突起、35は径の異なる複数の環状の移動路であり、受け部材32と、各環状突起34と、後述する第2部材としての押え板とにより、受け部材32の上面に各移動路35が形成されており、これら各移動路35には各移動路35内を周方向に移動自在にバランス体としての鋼球等から成る同一径の複数個の球体37が収容されている。
【0052】
更に、39は短い円柱の下面中央部を凹状に切除した形状を有し中央部の透孔40にシャフト29が遊通された回転体、41a、41bは円筒部33と回転体39が当接する各々の部位に上下方向にほぼ同じように波打って形成された平面視円形の当接面、42は付勢手段としての渦巻きばねであり、回転体39及び円筒部33を取り巻くように配設され、その両端が後述する押え板及び受け部材32に係止され、受け部材32に対する押え板の回転にずれが生じたときにこのずれを減少する方向に押え板を付勢する。
【0053】
また、43は回転体39の上方に配設されワッシャ44によりシャフト29からの抜け止めが施され回転体39を下方に付勢する他の付勢手段としての皿ばね、45は回転体39の外周に固着されて回転体39と共に第2部材を構成する円盤状の押え板、46はターンテーブルであり、シャフト29の上端部に軸止され、CD−ROM等の記録ディスクが載置される。このとき、例えば記録ディスクを搭載した状態におけるモータの固有振動数に共振する共振回転数(所定回転数)を超えるまでの間、摩擦力により両当接面41a、41bが密着した状態を維持しながら回転体39及び押え板45が受け部材32の回転に追随するように、皿ばね43の回転体39に対する付勢力を設定しておくとよい。また、皿ばね43の付勢力の調節により、回転体39及び押え板45が受け部材32により押し上げられるようにして上動するときのモータ回転数を任意に調整することができる。
【0054】
更に、図1、図3において、47a、47bは規制手段としての第1、第2規制部材であり、第1規制部材47aが回転体39の上底部の内面側に固着され、第2規制部材47bが受け部材32の円筒部33の内側であって第1規制部材47aに対向する位置に固着され、第1規制部材47aの下端部と第2規制部材47bの上端部とが互いに当接することで、受け部材32と押え板45との回転ずれが規制されるようになっている。このとき、第1規制部材47aの下端部と第2規制部材47bの上端部とは、受け部材32と押え板45との間の距離がどのように変動しても当接可能なように、第1規制部材47a及び第2規制部材47bの長さが設定され、第1規制部材47a及び第2規制部材47bはモータの始動時に互いに当接する位置に各々配置されている。
【0055】
このように、受け部材32、各環状突起34、各移動路35、各球体37、回転体39、両当接面41a、41b、渦巻きばね42、皿ばね43、ワッシャ44、押え板45及び第1、第2規制部材47a、47bにより、モータのアンバランスを補正するバランス補正装置48が構成されている。
【0056】
次に、記録ディスクを搭載したときのモータの動作について説明する。但し、記録ディスクを搭載したモータにアンバランスがあるものとして説明する。
【0057】
いま、記録ディスクを搭載した状態でモータの一連の回転を済ませた後に、その記録ディスクの着脱をせずに前と同じ状態でモータを始動させる時には、後で詳述するように、各球体37はアンバランスを補正する位置において押え板45及び受け部材32の間に挟持されている。
【0058】
そして、モータがこのように再始動するとシャフト29に連動して受け部材32が回転を開始し、受け部材32の回転数がモータ等の回転装置の固有振動数に共振する共振回転数を超えるまでの間、皿ばね43の付勢力等により円筒部33及び回転体39の両当接面41a、41b間に大きな摩擦力Ftが働いているため、回転体39及び押え板45は、押え板45と受け部材32との間に各球体37を挟持したままの状態で受け部材32と一緒に回転する。このように、回転体39及び押え板45が受け部材32と一緒に回転する起動時には、第1規制部材47a及び第2規制部材47bは互いに当接している。
【0059】
従って、モータの始動直後は若干不安定な回転となるものの、各球体37がこの不安定な回転を助長する位置に移動することがなく、しかも各球体37同士が衝突して騒音を発生することもないため、モータは各球体37が自由に移動できる状態で回転する場合に比べ安定して且つ静かに回転する。
【0060】
その後、モータが加速して共振回転数を超えると、回転体39及び押え板45に働く慣性力Fαが両当接面41a、41b間の摩擦力Ftを上回り、回転体39及び押え板45が受け部材32の回転に追随できなくなって、回転体39及び押え板45が受け部材32に押し上げられるようにして皿ばね43に抗して上方へ移動する。このときの回転体39及び押え板45の移動量は、せいぜい当接面41a、41bの山−谷間の高さ程度である。このとき、回転体39及び押え板45が受け部材32の回転に追随できなくなって回転体39及び押え板45が受け部材32に対して相対的に回転すると、第2規制部材47bに当接していた第1規制部材47aは第2規制部材47bから離れることとなる。
【0061】
このように回転体39及び押え板45が上方へ移動すると、各球体37が押え板45及び受け部材32による挟持状態から解放され、各球体37は移動路35内をアンバランスを補正する位置に移動することが可能な状態になり、各球体37は各移動路35をアンバランスを補正する位置に移動してアンバランスが補正され、モータは安定して回転する。
【0062】
このとき、各球体37は、後に詳述するようにすでにアンバランスを補正する位置近くで予め挟持されているため、各球体37が挟持状態から解放されても、各移動路35内における各球体37の移動は殆どなく、このような各球体37のアンバランス位置への移動は瞬時に行われる。
【0063】
ところで、回転体39及び押え板45が受け部材32の回転に追随できなくなると、受け部材32と回転体39及び押え板45との間に回転ずれが生じるが、この回転ずれにより渦巻きばね42に復元力Fkが生じてその回転ずれが減少するように回転体39及び押え板45が付勢されるため、受け部材32と回転体39及び押え板45との間の回転ずれが小さくなる。
【0064】
そして、モータが定速回転状態になると、回転体39及び押え板45に働く慣性力Fαはなくなり、渦巻きばね42の復元力Fkにより受け部材32と回転体39及び押え板45との間の回転ずれがなくなると共に、回転体39及び押え板45が下方に移動して両当接面41a、41bが再び当接し、各球体37が押え板45及び受け部材32により各球体37はアンバランスを補正する位置に挟持されるようになり、各球体37が押え板45及び受け部材32により挟持された状態のまま、回転体39及び押え板45が受け部材32と一緒に回転する。このように、回転体39及び押え板45と受け部材32との間の回転ずれがなくなると、再び第1規制部材47a及び第2規制部材47bが互いに当接する。
【0065】
一方、モータが定速回転している状態から減速を始めると、減速開始当初は回転体39及び押え板45が慣性力Fαにより受け部材32の減速に追随できないため、回転体39及び押え板45が受け部材32に対して加速時とは逆方向に相対的に回転しようとするが、このとき上記したように第1規制部材47a及び第2規制部材47bが互いに当接しているために、回転体39及び押え板45の受け部材32に対する回転ずれが規制され、受け部材32及び押え板45により各球体37がアンバランスを補正する位置に挟持された状態のまま、回転体39及び押え板45が受け部材32と一緒に減速する。その後、モータが停止すると、回転体39、押え板45及び受け部材32が停止し、各球体37は受け部材32及び押え板45によりアンバランスを補正する位置に挟持されたままとなる。
【0066】
その結果、次にモータが同じ条件で再始動する際には、各球体37はすでにモータのアンバランスを補正する位置に留まっていることになり、上記したように各球体37が解放されてアンバランスを補正する位置への移動が瞬時に行われ、アンバランス補正が迅速に成される。
【0067】
ところで、モータがバランスしている正常な場合には、モータが共振回転数を超えて各球体37が移動可能な状態になると、各球体37はそれぞれの移動路35内をほぼ等間隔となるように位置するため、このようにアンバランスがない場合には、球体37自身が回転のバランスを乱さないように分布してモータは安定して回転する。
【0068】
なお、モータを回転させた後に記録ディスクの着脱を行って再度回転させる場合は、アンバランスの位置が変わってしまうので、各球体37のアンバランスを補正する位置も変わる。それ故に、この場合のアンバランスが補正されるまでの時間は、同じ記録ディスクを搭載した(着脱なし)状態で回転させる場合に比べて多少長くなるが、アンバランスの補正動作に何ら問題はない。
【0069】
従って、上記した実施形態によれば、モータが始動し共振回転数を超えるまでは、各球体37はアンバランスを補正する位置に拘束された状態のまま保持できるため、従来のようにモータの始動後における球体等のバランス体の不要な移動による不安定な回転や騒音等を防止することができる。
【0070】
また、モータの回転が共振回転数に達し、各球体37の押え板45及び受け部材32による挟持状態が解除されて各球体37が各移動路35内を移動できるようになると、各球体37はアンバランスを補正する位置に即座に移動した後、再度押え板45及び受け部材32によってその位置に挟持されて良好なバランス補正を行うことができる。
【0071】
更に、モータが定速で回転している状態から減速を開始すると、回転体39及び押え板45が下動して、各球体37が押え板45及び受け部材32により挟持されるため、各球体37を次の始動時にアンバランスを補正する位置に拘束しておくことができ、モータを再始動する際において、モータの不安定さが助長されるのを防止することができると共に、各球体37が衝突することもなく、騒音の発生を防止することができる。
【0072】
このとき、球体を拘束する手段として、例えば磁石により球体を吸着することが考えられるが、移動路が複数あるときには各移動路毎に磁石を設ける必要があるため、磁石の配置スペースを確保するのに伴って装置全体が複雑かつ大型化するのに対し、上記したように、押え板45及び受け部材32により複数の移動路35に配設された各球体37を一括して挟持することで、複数の移動路35内の各球体37を簡単に拘束することができ、モータの薄型化、小型化を図る上で非常に有利である。
【0073】
また、モータの構成部品とバランス補正装置48の各構成部材とが完全に分離されているため、バランス補正装置48を単体としてモータに着脱することができ、各種のモータ及びその他の回転装置に対してこのバランス補正装置48を装着することが可能になる。
【0074】
更に、渦巻きばね42の復元力Fkは、回転体39及び押え板45の受け部材32に対する相対的な回転ずれを制御する上で有効に作用するのに留まらず、この渦巻きばね42により、停止状態のモータに何らかの外力が加わっても、回転体39及び押え板45が受け部材32に対して勝手に回転してしまうことを防止でき、モータが停止している間押え板45及び受け部材32による各球体37の挟持状態を確実に維持することができる。
【0075】
また、皿ばね43を設けて回転体39を下方に付勢するようにしたため、両当接面41a、41b間の摩擦力を調節して回転体39及び押え板45が受け部材32の回転に追随できるようになるときのモータ回転数を調整することが可能になる。尚、上記した実施形態では、このモータ回転数が、記録ディスクを搭載したモータの固有回転数に共振する共振回転数になるように皿ばね43の付勢力を設定した場合について説明しているが、このような共振回転数に限られるものではなく、任意のモータ回転数となるように皿ばね43の付勢力を設定してよいのはいうまでもない。
【0076】
更に、皿ばね43の付勢力によって各球体37の挟持力を増大することができるため、各球体37の挟持をより確実に行うことが可能になり、軸が水平になる場合でも重力の効果を考慮する必要がなくなり、バランス補正装置48は通常の軸を垂直にして回転させる場合と同じ動作を果たすことができ、その設置状態が限定されない。
【0077】
また、上記した実施形態では、受け部材32と押え板45との回転ずれを規制する規制手段としての第1、第2規制部材47a、47bを設けた場合について説明したが、規制手段はこのような第1、第2規制部材47a、47bに限るものではないのはいうまでもない。
【0078】
更に、規制手段としての第1、第2規制部材47a、47bは特に必要ではなく、規制手段を設けなくても、モータが停止する際には各球体37を拘束状態に維持することができる。
【0079】
即ち、規制手段を設けない場合に、モータが定速回転している状態から減速を始めたときに、減速開始当初は回転体39及び押え板45が慣性力により受け部材32の減速に追随できず、回転体39及び押え板45が受け部材32に対して加速時とは逆方向に相対的に回転して回転ずれが生じ、回転体39及び押え板45が押し上げられるようにして瞬時に上動し、各球体37が押え板45及び受け部材32による挟持状態から解放される。このように、減速当初に生じた受け部材32と回転体39及び押え板45との回転ずれにより、渦巻きばね42に復元力が発生し、モータの回転が共振回転数まで低下したときに、皿ばね43の付勢力により回転体39が下方に移動し始め、それと同時に渦巻きばね42の復元力が受け部材32と回転体39及び押え板45との間の回転ずれを減少するように作用し、円筒部33及び回転体39の両当接面41a、41bが摺接してやがて完全に当接すると同時に、各球体37が押え板45及び受け部材32により再び挟持されて拘束され、その後モータが停止しても各球体37の拘束状態は維持されることになる。
【0080】
このとき、各球体37は任意の位置に挟持されているため、同じ条件での次の始動時はアンバランスが補正されていないことによる不安定な回転となるが、バランス補正に何ら問題はない。従って、上記の通り規制手段を設けないと、減速時から停止時にかけて騒音、振動を発生すること、及び各球体37の任意位置での挟持となることがあるため、例えばモータの始動及び減速時における騒音、振動を考慮しないような場合に適している。
【0081】
なお、円筒部33及び回転体39の両当接面41a、41bの形状は完全に同一である必要はなく、上記した実施形態の変形例として、図4に示すように両当接面41a、41bの形状が若干のずれLを有する波状であってもよい。この場合、両当接面41a、41bの形状にずれLを設けることで、回転体39及び押え板45が受け部材32により押し上げられるようにして上動する時期(上動するときのモータ回転数)を、上記した実施形態の場合よりも遅らせることができる。
【0082】
また他の変形例として図5に示すように、両当接面41a、41bが、両側に段差がある1個若しくは複数個の突起50を有する形状であってもよい。
【0083】
この場合、モータが停止しているときには、図5(a)に示すように両当接面41a、41bの突起50の先端が互いに深い方の段差部分41a1 、41b1 に当接し、モータが始動して共振回転数に達するまでは、図5(b)に示すように両当接面41a、41bの突起50の先端が互いに深い方の段差部分41a1 、41b1 に当接した状態を維持しつつ、突起50の傾斜部分同士が当接する。尚、モータの始動から共振回転数までの間における両当接面41a、41b間の距離は、受け部材32と押え板45との間に各球体37が挟持されるまで押え板45が下動できる程度にしておく。
【0084】
そして、モータが共振回転数を超えると、図5(c)に示すように、回転体39及び押え板45は受け部材32の回転に追随できなくなって回転体39及び押え板45が受け部材32に対して相対的に回転するようになり、両当接面41a、41bの突起50の先端が互いに乗り越えようとして突起50の傾斜部分が互いの傾斜部分を摺接し、このような動きに伴って回転体39及び押え板45が上動し、やがて両当接面41a、41bの突起50の先端が互いの先端を完全に乗り越えてしまう。
【0085】
更に、モータが定速で回転する状態では、前述と同様に渦巻きばね42の復元力により受け部材32と回転体39及び押え板45の回転ずれが減少するので、図5(d)に示すように、両当接面41a、41bの突起50の先端が互いに浅い方の段差部分41a2 、41b2 に当接した状態で回転体39及び押え板45が受け部材32と一緒に回転するようになる。
【0086】
なお、定速回転時には渦巻きばね42による復元力を受けるものの、突起50を乗り越えるほどの力は作用しない。そのため、図1、図2及び図4に示したものと異なり、図5に示す形状に当接面41a、41bを変更することで定速回転時に解放状態を維持することができる。また、減速時、渦巻きばね42による復元力と同一方向に回転体39及び押え板45に対して慣性力が働くことで、突起50を乗り越えるだけの力を得ることができ、そのため減速及び停止時には、回転ずれ分が復元して図5(a)に示した状態に戻り、再び挟持状態となる。
【0087】
従って、両当接面41a、41bを図5に示すような形状にすることで、モータの定速回転時に、各球体37を押え板45及び受け部材32による挟持状態から解放状態を維持することができる(図1、図2及び図4に示す形状では不可能である)。
【0088】
尚、両当接面41a、41bの形状は、図2、図4及び図5に示すものに限定されないのは勿論である。
【0089】
また、上記した実施形態では、第1部材である受け部材32に環状突起34を設けることで受け部材32側に複数の移動路35を形成した場合について説明したが、第2部材である押え板45側に環状突起34のような仕切用の部材を設けて複数の移動路を形成してもよいのはいうまでもない。
【0090】
更に、上記した実施形態では、複数の移動路35を設けた場合について説明したが、移動路は1個であってもよいのは勿論である。
【0091】
また、上記した実施形態のように移動路35が複数の場合において、各移動路35の直径や数、更には各移動路35に収容する各球体37の径や個数は、上記した実施形態に限定されるものではなく、モータの形状や補正すべきアンバランス量に応じて適宜設定すればよい。例えば、内周側の移動路に質量の小さいものを配置して外周側の移動路に質量の大きいものを配置したり、移動路の幅を変更して球体の可動量を変えたりしてもよく、こうすることでアンバランスの補正精度の向上を図ることが可能になる。
【0092】
但し、移動路毎に球体の径を変える場合には、第1、第2部材により挟持するために第1部材或いは第2部材の形状を工夫する必要がある。具体例として、押え板45を平板状ではなく段差を有する断面形状にすること等が考えられる。
【0093】
更に、上記した実施形態では、他の付勢手段として皿ばね43を用いた場合について説明したが、他の付勢手段はこれに限るものではなく、第2部材を下方に付勢し得るものであればよい。
【0094】
また、上記した実施形態では、バランス体を球体37とした場合について説明したが、バランス体は必ずしも球体である必要はなく、他の転動体であってもよい。
【0095】
更に、上記した実施形態では、シャフト29が回転するタイプのモータにこの発明を適用した場合について説明したが、その他にインナーロータタイプのモータやシャフトが固定されたタイプのモータにもこの発明を適用することができるのは勿論である。
【0096】
また、この発明は、上記した実施形態のようにモータに対して適用できるのに留まらず、回転軸を有し回転時にアンバランスを生じ得る全ての回転装置に対しても適用することが可能である。
【0097】
更に、この発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
【0098】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載の発明によれば、モータ等の回転装置に着脱自在に装着でき、その回転装置の回転時のアンバランスを補正することができ、安価で汎用性を有し、かつ小型化が可能なバランス補正装置を提供することが可能になる。
【0099】
更に、回転装置に装着したときに、回転装置の回転軸に連動して第1部材が始動して暫くは、アンバランスを補正する位置にバランス体を拘束した状態のまま保持することができるため、従来のように回転装置の始動後におけるバランス体の不要な移動による不安定な回転や騒音等を防止することができると共に、回転数がある程度上昇したときに瞬時にアンバランスを補正することが可能になる。
【0100】
また、請求項2に記載の発明によれば、渦巻きばねを用いるため、装置への組み込みを容易に行うことが可能になり、第1部材が回転していない静止状態で装置全体に外部から衝撃が加わったときにも、渦巻きばねの付勢力により、第2部材が第1部材に対して勝手に回転することを確実に防止できる。
【0101】
また、請求項3に記載の発明によれば、他の付勢手段により第2部材を第1部材に当接する方向に付勢するため、第1、第2部材の両当接面間の摩擦力を調節して、第2部材が第1部材の回転に追随することが可能な回転数を調整することができるのは勿論のこと、バランス体の挟持力を増大してバランス体の挟持をより確実に行うことができる。
【0102】
また、請求項4に記載の発明によれば、第1部材が定速状態から減速して第2部材側に慣性力が作用したときに、第1部材に対する第2部材の回転ずれが規制手段により規制されるため、バランス体は定速時にアンバランスを補正する位置で挟持された状態に維持されたままとなり、第1部材が更に減速して停止するまで、バランス体はアンバランスを補正する位置で挟持されたままとなるため、第1部材の減速から停止までの間におけるバランス体の騒音や振動の発生を防止できる。更に、同じ条件での次の始動時に安定な回転となると共に、アンバランスの補正が瞬時になされる。
【0103】
また、請求項5に記載の発明によれば、第1部材が始動してからある所望の回転数(所定回転数)に達するまでの間、或いは第1部材が所望の回転数(所定回転数)まで減速した後、バランス体を第1、第2部材により挟持して拘束できるため、その回転数以下におけるバランス体の騒音や振動の発生を確実に防止できる。
【0104】
また、請求項6に記載の発明によれば、バランス体の不要な移動に関連する不具合が生じないようにして良好なバランス補正を行うことが可能で、かつ小型化が可能なバランス補正装置を備えた回転装置を提供することができる。
【0105】
また、請求項7に記載の発明によれば、付勢手段としての渦巻きばねの装置への組み込みを容易に行うことができ、簡単な構成で、良好なバランス補正を行うことのできるモータ等の回転装置を提供することが可能になる。
【0106】
また、請求項8に記載の発明によれば、他の付勢手段により、第1、第2部材の両当接面間の摩擦力を調節して第2部材が第1部材の回転に追随できる回転数の調整が可能で、バランス体の挟持をより確実に行うことができ、良好なバランス補正を行うことのできるモータ等の回転装置を提供することが可能になる。
【0107】
また、請求項9に記載の発明によれば、第1部材が更に減速して停止するまで、アンバランスを補正する位置でバランス体を挟持状態に維持できるため、第1部材の減速から停止までの間におけるバランス体の騒音や振動の発生を防止でき、静音特性の優れたモータ等の回転装置を提供することが可能になる。更に、同じ条件での次の始動時に安定な回転となると共に、アンバランスの補正が瞬時になされる。
【0108】
また、請求項10に記載の発明によれば、第1部材が始動してからある所望の回転数(所定回転数)に達するまでの間、或いは第1部材が所望の回転数(所定回転数)まで減速した後、バランス体を第1、第2部材により挟持して拘束できるため、その回転数以下におけるバランス体の騒音や振動の発生を確実に防止でき、静音特性の優れたモータ等の回転装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態の切断正面図である。
【図2】一実施形態の一部の斜視図である。
【図3】一実施形態の他の一部の斜視図である。
【図4】一実施形態の変形例の概略図である。
【図5】一実施形態の異なる変形例の概略図である。
【図6】従来例の切断正面図である。
【符号の説明】
22 保持体(静止部材)
29 シャフト(回転部材)
30 ヨーク部材(回転部材)
32 受け部材(第1部材)
33 円筒部
35 移動路
37 球体(バランス体)
39 回転体(第2部材)
41a、41b 当接面
42 渦巻きばね(付勢手段)
43 皿ばね(他の付勢手段)
45 押え板(第2部材)
48 バランス補正装置
Claims (10)
- 回転軸に連動して回転する第1部材と、
前記第1部材の回転の軸方向に沿って上方及び下方に移動自在に且つ前記第1部材に接離自在に前記第1部材の上方に配置された第2部材と、
前記両部材の間に前記回転軸と同心の環状に形成された移動路と、
前記移動路内を周方向に移動自在に前記移動路に収容され前記第2部材の下方への移動により前記両部材間に挟持され前記第2部材の上方への移動により前記両部材による挟持状態から解放されるバランス体と、
前記第1、第2部材の相互の当接部位に上下方向に波打って前記回転軸に同軸に形成された当接面と、
前記第1部材に対する前記第2部材の回転にずれが生じたときにこのずれを減少する方向に前記第2部材を付勢する付勢手段と
を備えたことを特徴とするバランス補正装置。 - 前記付勢手段は、その両端が前記第1、第2部材に係止して設けられた渦巻きばねから成ることを特徴とする請求項1に記載のバランス補正装置。
- 前記第2部材を前記第1部材に当接する方向に付勢する他の付勢手段を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のバランス補正装置。
- 前記第1部材と前記第2部材との回転ずれを規制する規制手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のバランス補正装置。
- 前記バランス体は、前記第1部材が所定回転数以下において前記第1、第2部材により挟持されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のバランス補正装置。
- 静止部材及びこの静止部材に対して回転自在に設けられた回転部材とにより構成され、前記回転部材の回転軸に連動して回転する第1部材と、前記第1部材の回転の軸方向に沿って一方向及びその反対の他方向に移動自在に且つ前記第1部材に接離自在に設けられた第2部材と、前記第1、第2部材の間に前記回転軸と同心の環状に形成された移動路と、前記移動路内を周方向に移動自在に前記移動路に収容され前記第2部材の下方への移動により前記両部材間に挟持され前記第2部材の上方への移動により前記第1、第2部材による挟持状態から解放されるバランス体と、前記第1、第2部材の相互の当接部位に上下方向に波打って前記回転軸に同軸に形成された当接面と、前記第1部材に対する前記第2部材の回転にずれが生じたときにこのずれを減少する方向に前記第2部材を付勢する付勢手段とから成るバランス補正装置を備えていることを特徴とする回転装置。
- 前記付勢手段は、その両端が前記第1、第2部材に係止して設けられた渦巻きばねから成ることを特徴とする請求項6に記載の回転装置。
- 前記第2部材を前記第1部材に当接する方向に付勢する他の付勢手段を備えていることを特徴とする請求項6または7に記載の回転装置。
- 前記第1部材と前記第2部材との回転ずれを規制する規制手段を備えていることを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の回転装置。
- 前記バランス体は、前記第1部材が所定回転数以下において前記第1、第2部材により挟持されることを特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載の回転装置。
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