JP3659611B2 - バランス補正装置及びこれを備えた回転装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、モータ等の回転装置に取り付けられ、その回転時におけるアンバランスを修正するバランス補正装置及びこれを備えた回転装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、モータには各種のものがあり、そのひとつにデータの記録・再生を行うための記録ディスク駆動用のものがある。そして、その記録ディスクには、CD、FD、MO、MD、DVD等種々のものがある。これらの記録ディスクは、記録・再生方式やデータ容量、回転速度、記録密度等の仕様あるいはディスクの材料、価格が異なるため、各ディスクごとにそれを駆動するモータとして種々のものが存在する。
【0003】
近年、電子情報が文字から画像へと移行し、それに伴う情報の高度化、大容量化によって、その情報を大量にかつ素早く記録・再生ができること、更には低コストであることなどが記録ディスク及びこれを駆動する駆動装置に対して要求されている。
【0004】
例えばCDの場合、当初は音楽再生用として登場したが、その利点を生かしCD−ROMとしてコンピュータ用へと用途が拡大した。これにより、データ容量が増大し、動作時間(シークタイム)の短縮化と共に記録ディスク側を速く回転させること、即ち記録ディスク駆動用モータが高速化されるに至り、最近では音楽用CDを基準速度として、20倍速を超えるものが実現化されている。
【0005】
ところで、従来の記録ディスク駆動用モータの具体的構成について図5を参照して説明する。
【0006】
図5に示すように、シャーシ等の固定部材1に形成された開口にほぼ円筒状を成す保持部材2の下端部が嵌着され、保持部材2の底面開口部が閉塞板3により閉塞され、スラスト受4が閉塞板3上に載置されて保持部材2内の底部に配設され、滑り軸受5が保持部材2の内側に嵌着されている。
【0007】
更に、保持部材2の外側にはコア7aが嵌着され、このコア7aに巻線7bが巻装されステータ7を構成している。また、シャフト8が滑り軸受5に嵌入され、その下端がスラスト受け4に当接し上端部が保持部材2の上方に突出して配設されている。シャフト8の上端部にはアルミニウム等の非磁性材から成るハブ部材9が嵌着され、鉄等の磁性材から成る回転部材であるヨーク部材10がハブ部材9に取り付けられている。
【0008】
このヨーク部材10は、ほぼ円板状の基部とこの基部の周縁に下方に垂下して一体形成された垂下部とにより構成され、その基部の中央部に形成された開口の周りの部分がハブ部材9の下端部に加締めにより取り付けられている。更に、駆動用マグネット11がヨーク部材10の垂下部の内側に嵌入され、ステータ7に相対向する位置に配設されている。
【0009】
また図5に示すように、ハブ部材9の外側にターンテーブル部13が形成され、このハブ部材9の中央にこの上面とほぼ同一面を形成するようにクランプマグネット14が埋設され、このクランプマグネット14により図示しない駆動装置側のディスク押圧手段が磁気吸引されて記録ディスクDが固定される。そして、ステータ7の巻線7bへの電流の通流方向が制御されてステータ7が回転磁界を発生し、この回転磁界と駆動用マグネット11との静磁界との吸引及び反発の繰り返しによって、静止状態のステータ7に対して駆動用マグネット11、ヨーク部材10、ハブ部材9及びシャフト8が回転し、これによりターンテーブル部13及び記録ディスクDが一定方向に回転する。
【0010】
ところで、CD−ROM等の記録ディスクDでは、その記録面と反対側の面に様々な印刷がなされ、印刷に使用されるインクの重量に起因して記録ディスクDの回転時に重量バランスの偏り(アンバランス)を生じ、モータの回転振れの原因となることがある。これは、上述したモータの高速化により、微量なインクの重量でさえも影響を及ぼすようになっているという背景によるためである。またモータの高速化は、それまで問題にはならなかったような各部の寸法誤差によるアンバランスをも招来する。
【0011】
そこで、このようなアンバランスを補正するバランス補正装置として、従来例えば図5に示すように、ハブ部材9におけるターンテーブル部13の下面とヨーク部材10の基部とで環状空間の収容部16を形成し、この収容部16に複数個の球体17を周方向に移動自在に収容することが行われている。このとき、アンバランス補正の広範囲化、高精度化を図るために、複数の収容部16を同心に形成し、各収容部16にそれぞれ複数個の球体17を収容し、各収容部16内を各球体17が周方向に移動するようにしたものも提案されている。
【0012】
このような構成によると、記録ディスクDを載置した状態でモータが所定の回転速度に到達すると、各球体17がアンバランス位置と対称な位置に移動し、モータのアンバランスが各球体17により補正されて回転振れを防止することができるのである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記したバランス補正装置を備えたモータは、モータが起動してからそのバランス補正装置が作用する所定の回転数までの間においては、球体17は収容部16内を周方向や径方向に振動を拡大する位置に転動するため、モータの不安定な回転が一層助長されるといった問題がある。
【0014】
更に、そのモータが例えば上記したような記録ディスク駆動用モータから成るCD−ROM駆動装置を搭載したノートパソコンのように、携帯或いは移動可能な状況下で使用される場合には、外力により収容部16内の球体17同士が衝突し、或いは球体17が収容部16の内周面に衝突するので、携帯或いは移動中に耳障りな不快音が生じるといった問題もある。
【0015】
また従来、モータ等の各種回転装置に着脱自在に装着が可能なバランス補正装置はなく、各回転装置毎にバランス補正装置を組み込まなければならず、組立作業の煩雑化を招くという問題もある。
【0016】
更に、ノートパソコンに装備されたCD−ROM等の記録ディスク駆動用モータでは、回転装置及びバランス補正装置をより小型化する必要がある。
【0017】
この発明が解決しようとする第1の課題は、モータ等の回転装置に着脱自在に装着が可能で、アンバランスを補正し、しかもバランス体の不要な移動に関連する不具合が生じることのない汎用性を有し、かつ小型化が可能なバランス補正装置を提供することにある。
【0018】
また、この発明が解決しようとする第2の課題は、バランス体の不要な移動に関連する不具合が生じないようにして良好なバランス補正を行え、かつ小型化が可能なバランス補正装置を備えた回転装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記した第1の課題を解決するために、本発明におけるバランス補正装置は、回転軸に連動して回転する第1部材と、前記第1部材の回転の軸方向に沿って一方向及びその反対の他方向に移動自在に設けられた第2部材と、前記両部材の間に前記回転軸と同心の環状に形成された移動路と、前記移動路内を周方向に移動自在に前記移動路に収容されたバランス体と、前記第1部材と同軸に設けられ慣性力により前記第1部材に対して相対的に双方向に回転する回転体と、前記回転体の前記第1部材に対する相対的な回転を前記軸方向への直線的な移動に変換して前記第2部材に伝達する変換手段と、前記第2部材に形成された係合手段と、前記係合手段に摺接するように前記第1部材に形成され摺接時の摩擦力により前記回転体の前記第1部材に対する相対的な回転を阻止して前記第2部材の移動を規制する当接体と、両端が前記第1部材と前記回転体とに係止して設けられ前記第1部材に対する前記回転体の回転にずれが生じたときに前記回転体を付勢する渦巻きばねとを備え、前記第2部材の前記一方向への移動により、前記両部材間に前記バランス体を挟持して前記バランス体を拘束状態に保持し、前記第2部材の前記他方向への移動により、前記バランス体を拘束状態から解放して前記バランス体を移動可能な状態にするようにしている。
【0020】
このような構成によれば、回転軸が始動して所定回転数を超えるまでの間において、回転軸が始動する際には当接体が係合手段に当接して両者間に摩擦力が働き、一方回転体に対しては回転軸の回転方向と反対方向に慣性力が働き、この慣性力に当接体による摩擦力と渦巻きばねの復元力との和が釣合う。そのため、回転体の第1部材に対する相対的な回転が阻止され、第1、第2部材が一緒に回転する。
【0021】
そして、回転軸が更に加速して所定回転数を超えると、回転体に働く慣性力が次第に大きくなり、やがてこの慣性力と、当接体による摩擦力及び渦巻きばねの復元力の和との釣合いが崩れ、回転体が第1部材に対して相対的に回転してこの回転体の回転が変換手段により第2部材に伝達され、第2部材が第1部材の回転の軸方向に沿って第1部材との間にバランス体を挟持する方向と反対方向に移動し、バランス体がアンバランスを補正すべく移動路内を移動する。このとき、当接体は係合手段に当接していないため、当接体による摩擦力は作用せず、回転体に働く慣性力と渦巻きばねの復元力との差に相当する分だけ回転体と第1部材との間に回転ずれが生じた状態となる。
【0022】
その後、回転軸が定速回転するようになると、回転体に働く慣性力が小さくなり、渦巻きばねの復元力によって回転体と第1部材との間の回転ずれが減少し、再び当接体が係合手段に当接して、そのときの当接体に作用する摩擦力の方向が渦巻きばねの復元力の方向と逆方向であるため、この摩擦力によって渦巻きばねの復元力による回転体と第1部材との間の回転ずれの減少が制限され、回転体と第1部材との間の回転ずれはある程度以上には減少しない。従って、このときの当接体による摩擦力と渦巻きばねの復元力とを、第2部材が第1部材との間にバランス体を挟持しない程度に第2部材が第1部材から離間した状態となるように調整しておくことで、回転軸が定速回転している間、バランス体は第1、第2部材により拘束されることなく解放された状態に維持される。
【0023】
次に、回転軸が所定回転数より高い回転数で回転している状態から減速すると、回転体に先程の加速時とは逆方向への慣性力が働き、この慣性力により、定速時における当接体による摩擦力と渦巻きばねの復元力との釣合いが崩れ、回転体が第1部材に対して相対的に回転する。このときの回転体の回転方向は加速時とは逆方向である。
【0024】
この回転体の回転が変換手段により第2部材に伝達されて第2部材が第1部材の回転の軸方向に沿って第1部材との間にバランス体を挟持する方向に移動し、バランス体がアンバランスを補正する位置で第1、第2部材により挟持されて拘束された状態となり、やがて回転軸が停止しても、バランス体の第1、第2部材による拘束状態は維持される。
【0025】
また、渦巻きばねを設けることにより、第1部材が回転していない静止状態で装置全体に外部から衝撃が加わったときにも、渦巻きばねの付勢力により、回転体が第1部材に対して勝手に回転することが防止される。
【0026】
ところで、この場合のバランス体は、複数個の球体やその他の転動体であるのが望ましい。例えば、バランス体が複数個の球体から成る場合には、第1,第2部材により全ての球体が一度に挟持されることになる。
【0027】
また、移動路は第1または第2部材に形成されたリング状の凹陥部であったり、第1または第2部材に円形の仕切部材を設けることによって形成されたものであるのが好ましい。このときの移動路は、同心に複数設けられていてもよく、第1部材に形成された1つの凹陥部内を仕切って2以上の移動路を形成したり、複数の円形仕切部材により第1または第2部材間を複数に仕切ることによって形成するとよい。但し、このように複数の移動路を設ける場合には、隣接する移動路にバランス体が侵入できないようにするのが望ましい。
【0028】
更に、ここでいう第1部材及び第2部材とは円盤状のものが望ましく、要するに上記した凹陥部を形成することを考慮した厚みを有していればよく、凹陥部を形成せずに円形仕切部材により移動路を形成する場合には薄板状であっても構わない。
【0029】
このとき、第1部材の回転が始動から所定回転数を超えるまでの間、回転体の第1部材に対する相対的な回転を阻止できるように、当接体と回転体との間の摩擦力を調整しておく。具体的には、当接体と回転体との接触面積と当接力を調整し、或いは材質の選定によって摩擦係数を調整する方法等が考えられる。
【0030】
また、本発明におけるバランス補正装置は、前記変換手段を、前記回転体及び前記第2部材に形成されて互いに螺合したねじにより構成している。
【0031】
こうすると、一般のボルト及びナット等の雄ねじと雌ねじの組み合わせにより変換手段を簡単に構成することができ、特に複雑な加工技術は必要としない利点がある。尚、変換手段を形成すべき回転体及び第2部材のうち、どちら側を雄ねじ或いは雌ねじにするかは特に明確に決める必要はない。
【0032】
また、本発明におけるバランス補正装置は、前記第1部材の回転が所定回転数になるまで前記バランス体の拘束状態が維持され、前記第1部材の回転が所定回転数を超えると前記バランス体を拘束状態から解放されるようにしている。
【0033】
このようにすれば、第1部材の回転数がある所望の回転数(所定回転数)になるまでバランス体を拘束しておいて、その所望の回転数を超えたときにバランス体を解放してアンバランスを補正する位置に移動させることができ、バランス体の移動によるアンバランス補正の開始タイミングを所望のタイミングに設定することが可能になる。
【0034】
また、上記した第2の課題を解決するために、本発明における回転装置は、静止部材及びこの静止部材に対して回転自在に設けられた回転部材とにより構成され、前記回転部材の回転軸に連動して回転する第1部材と、前記第1部材の回転の軸方向に沿って一方向及びその反対の他方向に移動自在に設けられた第2部材と、前記第1、第2部材の間に前記回転軸と同心の環状に形成された移動路と、前記移動路内を周方向に移動自在に前記移動路に収容されたバランス体と、前記第1部材と同軸に設けられ慣性力により前記第1部材に対して相対的に双方向に回転する回転体と、前記回転体の前記第1部材に対する相対的な回転を前記軸方向への直線的な移動に変換して前記第2部材に伝達する変換手段と、前記回転体に当接するように前記第1部材に形成され摩擦力により前記第1部材の回転が始動から前記所定回転数を超えるまでの間は前記回転体を前記第1部材の回転に追随させて前記回転体の前記第1部材に対する相対的な回転を阻止して前記第2部材の移動を規制する当接体と、両端が前記第1部材と前記回転体とに係止して設けられ前記第1部材に対する前記回転体の回転にずれが生じたときに前記回転体を付勢する渦巻きばねとから成り、前記第2部材の前記一方向への移動により、前記第1、第2部材間に前記バランス体を挟持して前記バランス体を拘束状態に保持し、前記第2部材の前記他方向への移動により、前記バランス体を拘束状態から解放して前記バランス体を移動可能な状態にするバランス補正装置を備えている。
【0035】
このような構成によれば、第1部材の回転が始動から所定回転数を超えるまでの間は、回転体に働く慣性力と、当接体の係合手段との間における摩擦力及び渦巻きばねの復元力の和との釣合いによって、回転体の第1部材に対する相対的な回転が阻止されて第2部材の軸方向への移動が規制され、第2部材が第1部材と一緒に回転するため、バランス補正装置は実質的にはアンバランスを補正するようには作用しない。
【0036】
そして、第1部材の回転が更に加速して所定回転数を超えると、上記した慣性力と摩擦力及び復元力の和との釣合いが崩れ、回転体が第1部材に対して相対的に回転し、変換手段により回転体の回転が第2部材に伝達されて第2部材が第1部材の回転の軸方向に沿って第1部材との間にバランス体を挟持する方向と反対方向に移動し、バランス体が両部材による挟持状態から解放されて移動路内を移動可能になり、バランス体がアンバランスを補正する位置に移動してバランス補正装置によるアンバランス補正が行われる。
【0037】
一方、第1部材が所定回転数より高い回転数で回転する状態から減速すると、回転体に加速時とは逆方向への慣性力が働いて回転体が第1部材に対して相対的に回転し、この回転体の回転が変換手段により第2部材に伝達されて第2部材が第1部材の回転の軸方向に沿って第1部材との間にバランス体を挟持する方向に移動し、バランス体がアンバランスを補正する位置で第1、第2部材により挟持されて拘束された状態となり、その後回転軸が停止しても、バランス補正装置のバランス体は第1、第2部材によりアンバランスを補正する位置で拘束された状態のままとなる。
【0038】
従って、バランス体の不要な移動に関連する不具合が生じないようにして良好なバランス補正を行え、かつ小型化が可能なバランス補正装置を備えた回転装置を提供することが可能になる。
【0039】
また、本発明における回転装置は、前記変換手段を、前記回転体及び前記第2部材に形成されて互いに螺合したねじにより構成している。
【0040】
こうすると、一般のボルト及びナット等の雄ねじと雌ねじの組み合わせにより変換手段を簡単に構成することができ、簡単な構成で、良好なバランス補正を行うことのできるモータ等の回転装置を提供することが可能になる。
【0041】
また、本発明における回転装置は、前記第1部材の回転が所定回転数になるまで前記バランス体の拘束状態が維持され、前記第1部材の回転が所定回転数を超えると前記バランス体を拘束状態から解放されるようにしている。
【0042】
このようにすれば、回転装置の回転軸が例えば回転装置の共振回転数等の所望の回転数になるまでバランス体を拘束しておいて、その所望の回転数(共振回転数)を超えたときにバランス体を解放してアンバランスを補正する位置に移動させることができ、バランス体の移動によるアンバランス補正の開始タイミングを所望のタイミングに設定することが可能になる。
【0043】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
この発明の第1の実施形態について図1及び図2を参照して説明する。但し、本実施形態はバランス補正装置を備えた回転装置としての直流モータの例であり、図1は切断正面図、図2は一部の平面図である。
【0044】
図1、図2において、21はシャーシに固定されたプリント基板等の固定部材、22は固定部材21に形成された開口23に下端部が嵌着された静止部材としてのほぼ円筒状の保持部材、24は保持部材22の底面開口部を閉塞した閉塞板、25は閉塞板24上に載置されて保持部材22内の底部に配設されたスラスト受、26は滑り軸受であり、保持部材22の中心部に形成された貫通孔の内側に嵌着されている。
【0045】
更に、28は保持部材22の外側に嵌着して設けられたコア28a及びこのコア28aに巻装された巻線28bから成るステータ、29は滑り軸受26に嵌入され下端がスラスト受け25に当接し上端部が保持部材22の上方に突出して配設された回転部材としてのシャフト、30はアルミニウム等の非磁性材から成る回転部材としてのハブ部材であり、円板状の基部30aとこの基部30aの周縁に垂直に垂下して一体に形成された縁部30bとにより構成され、基部30aの中央の透孔にシャフト29が挿通されてハブ部材30がシャフト29の上端部に嵌着されている。
【0046】
また、31はハブ部材30の縁部30bの外側に取り付けられた鉄等の磁性材から成る第1部材としての円盤状のターンテーブル、32はターンテーブル31の周縁に一体的に形成された鉄等の磁性材から成る短円筒状のヨーク部材、33は駆動用マグネットであり、ヨーク部材32の内側に嵌入され、ステータ28に相対向する位置に配設されている。そして、シャフト29、ハブ部材30、ターンテーブル31、ヨーク部材32及び駆動用マグネット33が一緒に回転する。尚、ターンテーブル31の上面には図示しない緩衝材を介して、CD−ROM等の記録ディスクが載置されるようになっている。
【0047】
更に、35はターンテーブル31の下面に同軸に取り付けられた径の異なる複数の円形の仕切部材、36は径の異なる複数の環状の移動路であり、ターンテーブル31と、各仕切部材35と、後述する第2部材としての押え板とにより、ターンテーブル31の下面に形成されており、これら各移動路36には各移動路36内を周方向に移動自在にバランス体としての鋼球等から成る同一径の複数個の球体37が収容されている。
【0048】
ここで、仕切部材35の上下方向の高さは、後述する第2部材としての押え板が下動したときに各移動路36内それぞれにおける各球体37が隣接する移動路36に侵入せず、押え板が上動したときに押え板と仕切部材35とが当たらないような寸法に設定することが好ましい。更に、球体37が各移動路36を占有する範囲は、各移動路36それぞれのほぼ半周程度であることが望ましい。
【0049】
また、39は保持部材22の上端部に遊貫された移動手段を構成する回転体としての円筒体、40は変換手段としてのねじであり、ハブ部材30の縁部30bの内周面に形成された雌ねじ40aと、円筒体39の外周面に形成された雄ねじ40bとから成り、円筒体39の雄ねじ40bがハブ部材30の雌ねじ40aに螺合することによって、ハブ部材30に対して円筒体39が軸方向(上下方向)に移動自在に取り付けられている。
【0050】
更に、42はハブ部材30の内側に設けられ内終端及び外終端がそれぞれハブ部材30の下面中央及び円筒体39の上面に固着された渦巻きばね、43はターンテーブル31よりも若干小径の円盤状を有し円筒体39の下部に取り付けられ第1部材であるターンテーブル31との間に各球体37を挟持する第2部材としての押え板、44はハブ部材30の縁部30bの外側に配置されて押え板43に直接固定された回転体としての円形の重り体、45は規制手段としての突起状の当接体であり、ターンテーブル31の下面であって重り体44の上方位置に設けられ、この当接体45が重り体44の上面の一部に形成された係合手段としての突出部44aに当接し、重り体44のターンテーブル31に対する相対的な回転を規制する。
【0051】
但し、重り体44は、上記したように押え板43に直接固定するのではなく、梁を介して円筒体39の下部に固定されていても構わない。また、突出部44aは重り体44に一体的に形成しても、或いは別体の突出部44aを重り体44に取り付けるようにして形成してもよい。
【0052】
このとき、雌ねじ40a及び雄ねじ40bの螺合により円筒体39がハブ部材30に対し上方に移動した状態において、この当接体45が重り体44の突出部44aに当接し、そのときの当接体45と突出部44aとの間の摩擦力と渦巻きばね42の復元力とにより、重り体44、円筒体及び押え板43のターンテーブル31に対する相対的な回転が規制され、重り体44、円筒体39及び押え板43がターンテーブル31と一緒に回転する。
【0053】
尚、当接体45としては、図2部示すように1個だけに限らず2個以上設けてもよく、要するに、シャフト29及びターンテーブル31が始動してから記録ディスクを搭載した状態のモータの固有振動数に共振する共振回転数(所定回転数)に達するまでの間において、渦巻きばね42の復元力を加味して重り体44のターンテーブル31に対する相対的な回転を規制でき、しかもモータの定速回転時に、後述するように渦巻きばね42の復元力と釣合うように、突出部44aとの間での摩擦力が得られるようにしておけばよい。
【0054】
このように、ターンテーブル31、各仕切部材35、各移動路36、各球体37、円筒体39、ねじ40、渦巻きばね42、押え板43、重り体44、突出部44a及び当接体45により、モータのアンバランスを補正するバランス補正装置46が構成されている。
【0055】
次に、記録ディスクを搭載したときのモータの動作について説明する。但し、記録ディスクを搭載したモータにアンバランスがあるものとして説明する。
【0056】
いま、同じ記録ディスクを搭載した状態でモータの一連の回転が終了した後に再びモータが始動する時には、後で詳述するように、各球体37がアンバランスを補正する位置においてターンテーブル31及び押え板43との間に挟持されている。
【0057】
そして、モータが始動してから次第に加速し、記録ディスクを搭載した状態でのモータの固有振動数に共振する共振回転数(所定回転数)を超えるまでの間において、モータが始動する際には当接体45が突出部44aに当接して両者間に加速時の摩擦力Ft1 が働き、一方重り体44にはモータの回転方向と反対方向への慣性力Fαが働き、この慣性力Fαに当接体45の摩擦力Ftと渦巻きばね42の復元力Fkとの和(Ft1 +Fk)が釣合う(Fα=Ft1 +Fk)。
【0058】
そのため、円筒体39のターンテーブル31に対する相対的な回転が阻止され、重り体44及び押え板43が当接体45及びターンテーブル31と一緒に回転し、これによって押え板43はターンテーブル31との間に各球体37を挟持したままの状態でターンテーブル31と一緒に回転する。
【0059】
従って、モータの始動直後は若干不安定な回転となるものの、各球体37がこの不安定な回転を助長する位置に移動することがなく、しかも各球体37同士が衝突して騒音を発生することもないため、モータは各球体37が自由に移動できる状態で回転する場合に比べ安定して且つ静かに回転する。
【0060】
続いて、モータが更に加速して共振回転数(所定回転数)を超えると、重り体44に働く慣性力Fαが次第に大きくなり、重り体44及び押え板43が共にターンテーブル31の加速する回転に追随できなくなり、慣性力Fαと当接体45による加速時の摩擦力Ft1 及び渦巻きばね42の復元力Fkの和との釣合いが崩れ(Fα>Ft1 +Fk)、重り体44、押え板43及び円筒体39がターンテーブル31に対して相対的に回転し始め、円筒体39の雄ねじ40bがハブ部材30の雌ねじ40aに対して緩む方向に回転し、円筒体39がハブ部材30に対して下方に移動する。
【0061】
このように、円筒体39がハブ部材30に対して下方に移動することによって、押え板43がターンテーブル31に対して下方に移動し、各球体37が押え板43及びターンテーブル31による挟持状態から解放され、各球体37は各移動路36内をアンバランスを補正する位置に移動してアンバランスが補正され、モータは安定して回転する。
【0062】
このとき、同じ記録ディスクを搭載したままでこれを脱着することなしにモータが再始動することを前提にしているので、各球体37は、後に詳述するようにすでにアンバランスを補正する位置近くで挟持されている。そのため、各球体37が挟持状態から解放されても、各移動路36内における各球体37の移動は殆どなく、このような各球体37のアンバランス位置への移動は瞬時に行われる。また、当接体45は突出部44aに当接していないため、当接体45による摩擦力は作用せず、重り体44に働く慣性力Fαと渦巻きばね42の復元力Fkとの差に相当する分だけ、円筒体39及び押え板43とターンテーブル31との間に回転ずれが生じた状態となる。
【0063】
その後、モータの回転が定速になると、重り体44に働く慣性力Fαが小さくなり、渦巻きばね42の復元力Fkによって円筒体39及び押え板43とターンテーブル31は互いに引き寄せられて両者の回転ずれが減少し、再び当接体45が突出部44aに当接して、そのときの当接体45に作用する摩擦力の方向が渦巻きばね42の復元力Fkの方向と逆方向であるため、この摩擦力によって渦巻きばね42の復元力Fkによる円筒体39及び押え板43とターンテーブル31との間の回転ずれの減少が制限され、円筒体39及び押え板43とターンテーブル31との間の回転ずれはある程度以上には減少しない。
【0064】
従ってこのとき、押え板43がターンテーブル31との間に各球体37を挟持しない程度に押え板43がターンテーブル31から離間した状態となるように、当接体45による摩擦力と渦巻きばね42の復元力Fkとを調整しておくことで、モータが定速回転している間、各球体37は押え板43及びターンテーブル31により拘束されることなく解放された状態に維持される。
【0065】
一方、モータが共振回転数を超える回転数(或いは定格回転数)で回転している状態から減速すると、重り体44に先程の加速時とは逆方向への慣性力Fαが働き、この慣性力Fαにより、当接体45による減速時の摩擦力Ft2 と渦巻きばね42の復元力Fkとの釣合いが崩れ(Ft2 <Fk+Fα)、重り体44、押え板43及び円筒体39がターンテーブル31に対して加速時とは反対方向に相対的に回転し始める。
【0066】
そして、このような押え板43の回転により、円筒体39の雄ねじ40bがハブ部材30の雌ねじ40aに対して締まる方向に回転し、円筒体39がハブ部材30に対して上方に移動し、円筒体39がハブ部材30に対して上方に移動することによって、押え板43がターンテーブル31に対して上方に移動し、各球体37がアンバランスを補正する位置で押え板43及びターンテーブル31により挟持されて拘束され、やがてモータが停止しても各球体37の拘束状態は維持される。なお、前記摩擦力Ft1 、Ft2 は同程度の摩擦力であってもよいし(Ft1 =Ft2 )、逆に、摩擦力を向きによって大きさを異ならせる(Ft1 ≠Ft2 )ようにしてもよい。後者のようにすると、起動及び停止時におけるバランス体の解放及び挟持させる回転数を設定することができる。摩擦力の向きによって大きさを異ならせるには、公知技術により、例えば当接体45及び突出部44aの当接面のうち一方を平面状にすると共に、他方を断面が鋸歯状であってそのひとつの歯の断面が左右非対称になるような形状にすればよい。
【0067】
その結果、次に同じ記録ディスクを搭載したままのモータが再始動する際には、各球体37はすでにモータのアンバランスを補正する位置に留まっていることになり、上記したように各球体37が解放されてアンバランスを補正する位置への移動が瞬時に行われ、アンバランス補正が迅速に成される。
【0068】
ところで、モータがバランスしている正常な場合には、モータが共振回転数を超えて各球体37が移動可能な状態になると、各球体37はそれぞれの移動路36内をほぼ等間隔となるように位置するため、このようにアンバランスがない場合には、球体37自身が回転のバランスを乱さないように分布してモータは安定して回転する。なお、モータの回転後に記録ディスクの脱着を行って回転させる場合は、アンバランスの位置が変更されるので、各球体37のアンバランスを補正する位置も変更される。それ故、このようにして使用する場合にアンバランスが補正されるまでの時間は、同じ記録ディスクを搭載した状態(脱着なし)で使用する場合に比べて幾分長くなるが、アンバランスの補正に問題はなく、実際の記録ディスク装置の動作上の不具合はない。
【0069】
従って、第1の実施形態によれば、モータが始動し共振回転数(所定回転数)を超えるまでは、各球体37はアンバランスを補正する位置に拘束された状態のままとなり、従来のようにモータの始動後における球体等のバランス体の不要な移動による不安定な回転や騒音等を防止することができる。
【0070】
また、モータの回転が共振回転数に達し、各球体37の押え板43及びターンテーブル31による挟持状態が解除されて各球体37が各移動路36内を移動できるようになると、各球体37はアンバランスを補正する位置に即座に移動し、良好なバランス補正を行うことができる。
【0071】
更に、モータが共振回転数を超える回転数で回転している状態から減速を開始すると、押え板43が各球体37を挟持する方向に移動し始め、各球体37が押え板43及びターンテーブル31により挟持されるため、各球体37を次の始動時にアンバランスを補正する位置に拘束しておくことができ、モータを再始動する際において、モータの不安定さが助長されるのを防止することができると共に、各球体37が衝突することもなく、騒音の発生を防止することができる。
【0072】
このとき、球体を拘束する手段として、例えば磁石により磁性体から成る球体を吸着する方法が考えられるが、移動路が複数あるときには各移動路毎に磁石を設ける必要があるため、磁石の配置スペースを確保するのに伴って装置全体が複雑かつ大型化するのに対し、上記したように、押え板43及びターンテーブル31により複数の移動路36に配設された各球体37を一括して挟持することで、複数の移動路36内の各球体37を簡単に拘束することができ、モータの薄型化、小型化を図る上で非常に有利である。
【0073】
また、円筒体39とハブ部材30とに作用する渦巻きばね42の復元力Fkは、円筒体39のターンテーブル31に対する相対的な回転を阻止する上で有効に作用するのに留まらず、この渦巻きばね42により、停止状態のモータに何らかの外力が加わっても、円筒体39が回転してねじ40が勝手に緩んでしまうことを防止でき、モータが停止している間押え板43及びターンテーブル31による各球体37の挟持状態を確実に維持することができる。
【0074】
なお、各移動路36に収容する各球体37は全て同一径である必要はなく、移動路36毎に収容する球体37の径を変えてもよい。
【0075】
(第2の実施形態)
この発明の第2の実施形態について図3及び図4を参照して説明する。本実施形態は、ユニット化されたバランス補正装置の例であり、図3は切断正面図、図4は一部の平面図である。
【0076】
本実施形態は、基本的に上記した第1の実施形態におけるバランス補正装置46(図1、図2参照)とほぼ同様の構成を有するが、上下が逆転している点が主として相違しており、以下にその構成について詳細に説明する。
【0077】
図3及び図4に示すように、回転体としての軸体51の下端部に、円板の周縁部が上方に折れ曲がった形状を有する第1部材としての受け部材52が図示しない軸受などを介して回転自在に軸着され、軸体51に対して半径の異なる同心円状の複数の環状突起53が受け部材52の上面に同軸に取り付けられて移動路54が複数形成され、これら各移動路54にバランス体である各球体37が周方向に移動自在に収容されている。
【0078】
また、図3及び図4に示すように、軸体51の上半部には雄ねじ56が形成され、この雄ねじ56にナット57の雌ねじ58が螺合し、これら軸体51の雄ねじ56及びナット57の雌ねじ58により変換手段が形成されている。更に、ナット57の下部には受け部材52の周側部内径より若干小径の第2部材としての円盤状押え板59が固着され、軸体51に対してナット57が回転することでこの押え板59が軸体51に沿って上下方向に移動するようになっている。このとき、受け部材52の周側部の上端内周側には一対の内方への凸部52aが一体的に形成され、押え板59の周縁部にはこの凸部52aが嵌挿するような一対の凹部59aが形成されている。
【0079】
ところで、受け部材52の上方で押え板59の下方には、図4に明確に示されている係合手段としての一対の梁61が配設されて軸体51の中央下寄り部分の両側に固着され、両梁61の先端に円形の重り体62が固着され、梁61を介して重り体62が軸体51と一体的に回転するようになっている。
【0080】
また、図3及び図4に示すように、小さい円柱状の当接体64が受け部材52に植設され、更に図3に示すように、軸体51の受け部材52の下方に突出した部分には渦巻きばね65が巻装され、この渦巻きばね65の両端が軸体51及び受け部材52に係止されている。そして、当接体64が梁61の下面に当接するときの摩擦力及び渦巻きばね65の復元力の和により、受け部材52の回転が始動してから所定回転数までの間、重り体62の受け部材52に対する相対的な回転を規制するようになっている。
【0081】
このように、軸体51、受け部材52、各環状突起53、各移動路54、各球体37、ナット57,雄ねじ56、雌ねじ58、押え板59、両梁61、重り体62、当接体64及び渦巻きばね65により、バランス補正装置66が構成されている。
【0082】
次に、動作について説明すると、まず記録ディスク駆動用モータ等の回転装置の回転軸に連動して受け部材52が回転するように、上記した構成の補正装置66を回転装置に装着する。
【0083】
いま、この記録ディスク駆動用モータ等の回転装置がアンバランスを生じている場合において、この回転装置が一連の回転を終了した後に、同じ記録ディスクを搭載したまま、即ち同じ条件のまま再始動すると、後で詳述するように、各球体37はアンバランスを補正する位置において押え板59及び受け部材52の間に挟持されている。
【0084】
そして、回転装置の回転軸がこのように再始動するとこれに連動して受け部材52が回転を開始し、受け部材52が加速してその回転数がモータ等の回転装置の固有振動数に共振する共振回転数(所定回転数)を超えるまでの間、当接体64が梁61に当接して両者間に加速時の摩擦力Ft1 が働き、一方重り体62には回転軸の回転方向と反対方向への慣性力Fαが働き、この慣性力Fαに当接体64の摩擦力Ftと渦巻きばね65の復元力Fkとの和(Ft1 +Fk)が釣合う(Fα=Ft1 +Fk)。
【0085】
そのため、軸体51及び重り体62の受け部材52に対する相対的な回転が阻止され、押え板59と受け部材52との間に各球体37を挟持した状態のまま、軸体51、ナット57及び押え板59は受け部材52と一緒に回転する。
【0086】
従って、回転装置の始動直後は若干不安定な回転となるものの、各球体37がこの不安定な回転を助長する位置に移動することがなく、しかも各球体37同士が衝突して騒音を発生することもないため、回転装置は各球体37が自由に移動できる状態で回転する場合に比べ安定して且つ静かに回転する。
【0087】
更に、回転装置が更に加速して受け部材52の回転が所定回転数を超えると、重り体62に働く慣性力Fαが次第に大きくなり、重り体62及び軸体51が共に受け部材52の回転に追随できなくなり、慣性力Fαと当接体64による加速時の摩擦力Ft1 及び渦巻きばね65の復元力Fkの和との釣合いが崩れ(Fα>Ft1 +Fk)、重り体62及び軸体51が受け部材52に対して相対的に回転し始める。
【0088】
このとき、押え板59の凹部59aに受け部材52の凸部52aが嵌挿しているため、押え板59及びナット57が受け部材52と一緒に回転しようとするのに対して、上記したように軸体51が相対的に回転することで、ねじ56、58が互いに緩む方向に回転し、これによりナット57及び押え板59が軸体51に沿って上方へ移動し、各球体37が押え板59及び受け部材52による挟持状態から解放される。これによって、各球体37は各移動路54内をアンバランスを補正する位置に移動して回転装置のアンバランスが補正されるのである。
【0089】
尚、同じ記録ディスクを搭載したままでこれを脱着することなしにモータが再始動することを前提にしているので、各球体37は、後述するようにすでにアンバランスを補正する位置近くで挟持されている。そのため、各球体37が挟持状態から解放されても、各移動路54内における各球体37の移動は殆どなく、このような各球体37のアンバランス位置への移動は瞬時に行われる。更に、当接体64は梁61に当接していないため、当接体64による摩擦力は作用せず、重り体62に働く慣性力Fαと渦巻きばね65の復元力Fkとの差に相当する分だけ、軸体51と受け部材52との間に回転ずれが生じた状態となる。
【0090】
その後、回転装置の回転が定速になると、重り体62に働く慣性力Fαが小さくなり、渦巻きばね65の復元力Fkによって軸体51と受け部材52とは互いに引き寄せられて両者の回転ずれが減少し、再び当接体64が梁61に当接するようになると共に、そのときの当接体64に作用する摩擦力の方向が渦巻きばね65の復元力Fkの方向と逆方向であるため、この摩擦力によって渦巻きばね65の復元力Fkによる軸体51と受け部材52との間の回転ずれの減少が制限され、軸体51と受け部材52との間の回転ずれはある程度以上には減少しない。
【0091】
また、軸体51と受け部材52との間の回転ずれの減少により、雄ねじ56及び雌ねじ58が締まる方向に多少回転して押え板59が少し下動するものの完全に下動した状態とはならず、押え板59の凹部59aに受け部材52の凸部52aが若干嵌挿した状態となるものの完全に嵌挿した状態とはならず、各球体37は押え板59と受け部材52により挟持されることはなく、定速回転している間、各球体37は押え板59と受け部材52により拘束されることなく解放された状態に維持される。このとき、押え板59が受け部材52との間に各球体37を挟持しない程度に押え板59がターンテーブル31から離間した状態となるように、当接体64による摩擦力と渦巻きばね65の復元力Fkとを調整しておく。
【0092】
一方、回転装置が共振回転数(所定回転数)を超える回転数(或いは定格回転数)で回転している状態から減速すると、重り体62に先程の加速時とは逆方向への慣性力Fαが働き、この慣性力Fαにより、当接体64による減速時の摩擦力Ft2 と渦巻きばね65の復元力Fkとの釣合いが崩れ(Ft2 <Fk+Fα)、重り体62及び軸体51が受け部材52に対して加速時とは反対方向に相対的に回転し始める。
【0093】
そして、このような軸体51の回転により、雄ねじ56及び雌ねじ58が締まる方向に回転してナット57が締まり、押え板59が更に下動し、押え板59と受け部材52により各球体37が挟持されて拘束され、やがて回転装置が停止しても各球体37の拘束状態は維持される。なお、前記摩擦力Ft1 、Ft2 は同程度の摩擦力であってもよいし(Ft1 =Ft2 )、逆に、摩擦力を向きによって大きさを異ならせる(Ft1 ≠Ft2 )ようにしてもよい。後者のようにすると、起動及び停止時におけるバランス体の解放及び挟持させる回転数を設定することができる。摩擦力の向きによって大きさを異ならせるには、公知技術により、例えば当接体64及び梁61の当接面のうち一方を平面状にすると共に、他方を断面が鋸歯状であってそのひとつの歯の断面が左右非対称になるような形状にすればよい。
【0094】
その結果、次にに同じ記録ディスクを搭載したままの回転装置が再始動して受け部材52が回転する際には、各球体37はすでに回転装置のアンバランスを補正する位置に留まっていることになり、上記したように各球体37が解放されてアンバランスを補正する位置への移動が瞬時に行われ、アンバランス補正が迅速に成される。
【0095】
ところで、回転装置である記録ディスク駆動用モータ等がバランスした正常なものである場合には、回転装置が共振回転数を超えて各球体37が移動可能な状態になると、各球体37はそれぞれの移動路54内をほぼ等間隔となるように位置するため、このようにアンバランスがない場合には、球体37自身が回転のバランスを乱さないように分布して回転装置は安定して回転する。なお、回転装置の回転後に記録ディスクの脱着を行って回転させる場合は、アンバランスの位置が変更されるので、各球体37のアンバランスを補正する位置も変更される。それ故、このようにして使用する場合にアンバランスが補正されるまでの時間は、同じ記録ディスクを搭載した状態(脱着なし)で使用する場合に比べて幾分長くなるが、アンバランスの補正に問題はなく、実際の記録ディスク装置の動作上の不具合はない。
【0096】
従って、第2の実施形態によれば、モータ等の回転装置に着脱自在に装着できるため、その回転装置の回転時のアンバランスを補正することができ、汎用性のある安価で静音型のバランス補正装置を提供することが可能になる。
【0097】
なお、上記した各実施形態では、第1部材に仕切部材を設けることで第1部材側に複数の移動路を形成した場合について説明したが、第2部材側に仕切部材を設けて複数の移動路を形成してもよいのはいうまでもない。
【0098】
また、上記した各実施形態では、複数の移動路を設けた場合について説明したが、移動路は1個であってもよいのは勿論である。
【0099】
更に、移動路が複数の場合において、各移動路の直径や数、更には各移動路に収容する各球体の径や個数は、上記した各実施形態に限定されるものではなく、モータの形状や補正すべきアンバランス量に応じて適宜設定すればよい。例えば、内周側の移動路に質量の小さいものを配置して外周側の移動路に質量の大きいものを配置したり、移動路の幅を変更して球体の可動量を変えたりしてもよく、こうすることでアンバランスの補正精度の向上を図ることが可能になる。
【0100】
但し、移動路毎に球体の径を変える場合には、第1、第2部材により挟持するために第1部材或いは第2部材の形状を工夫する必要がある。例えば第1の実施形態では、押え板43を平板状ではなく段差を有する断面形状にすることなどが考えられる。
【0101】
また、上記した各実施形態では、バランス体を球体37とした場合について説明したが、バランス体は必ずしも球体である必要はなく、他の転動体であってもよい。
【0102】
更に、上記した第1の実施形態では、シャフト29が回転するタイプのモータにこの発明を適用した場合について説明したが、その他にインナーロータタイプのモータやシャフトが固定されたタイプのモータにもこの発明を適用することができるのは勿論である。
【0103】
また、この発明は、上記した各実施形態のようにモータに対して適用できるのに留まらず、回転軸を有し回転時にアンバランスを生じ得る全ての回転装置に対しても適用することが可能である。
【0104】
更に、上記した各実施形態では、バランス体である各球体37をモータ等の回転装置の共振回転数まで挟持して拘束状態に維持し、共振回転数を超えるとその拘束状態からバランス体を解放するようにした場合について説明したが、バランス体を拘束状態から解放するときの回転数は、このような共振回転数に限定されるものでないのはいうまでもなく、実際に使用するときの状況に応じた回転数に設定すればよい。
【0105】
また、この発明は上記した各実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
【0106】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載の発明によれば、モータ等の回転装置に着脱自在に装着でき、その回転装置の回転時のアンバランスを補正することができ、汎用性のある安価で汎用性を有し、かつ小型化が可能なバランス補正装置を提供することが可能になる。
【0107】
更に、回転装置に装着したときに、回転装置の回転軸に連動して第1部材が始動し所定回転数を超えるまでの間、簡易な構造により、アンバランスを補正する位置にバランス体を拘束した状態のまま保持することができるため、従来のように回転装置の始動後におけるバランス体の不要な移動による不安定な回転や騒音等を防止することができると共に、所定回転数を超えた後は瞬時にアンバランスを補正することが可能になる。このことは、特に複数の移動路を有する場合により効果的である。
【0108】
また、請求項2に記載の発明によれば、変換手段として一般のボルト及びナット等の雄ねじと雌ねじの組み合わせにより簡単に構成することができ、特に複雑な加工技術が不要となる。
【0109】
また、請求項3に記載の発明によれば、第1部材の回転数がある所望の回転数(所定回転数)になるまでバランス体を拘束しておくため、バランス体の移動によるアンバランス補正の開始タイミングを所望のタイミングに設定することが可能になる。
【0110】
また、請求項4に記載の発明によれば、バランス体の不要な移動に関連する不具合が生じないようにして良好なバランス補正を行うことが可能で、かつ小型化が可能なバランス補正装置を備えた回転装置を提供することができる。
【0111】
また、請求項5に記載の発明によれば、一般のボルト及びナット等の雄ねじと雌ねじの組み合わせにより変換手段を簡単に構成することができ、簡単な構成で、良好なバランス補正を行うことのできるモータ等の回転装置を提供することが可能になる。
【0112】
また、請求項6に記載の発明によれば、回転装置の回転軸が回転装置の共振回転数等の所望の回転数になるまでバランス体を拘束しておくため、バランス体の移動によるアンバランス補正の開始タイミングを所望のタイミングに設定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態の切断正面図である。
【図2】第1の実施形態の一部の平面図である。
【図3】この発明の第2実施形態の切断正面図である。
【図4】第2実施形態の一部の平面図である。
【図5】従来例の切断正面図である。
【符号の説明】
22 保持体(静止部材)
29 シャフト(回転部材)
30 ハブ部材(回転部材)
31 ターンテーブル(第1部材)
36、54 移動路
37 球体(バランス体)
39 円筒体(回転体)
40 ねじ(変換手段)
40a、58 雌ねじ
40b、56 雄ねじ
42、65 渦巻きばね
43、59 押え板(第2部材)
45、64 当接体
46、66 バランス補正装置
51 軸体(回転体)
52 受け部材(第1部材)
【発明の属する技術分野】
この発明は、モータ等の回転装置に取り付けられ、その回転時におけるアンバランスを修正するバランス補正装置及びこれを備えた回転装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、モータには各種のものがあり、そのひとつにデータの記録・再生を行うための記録ディスク駆動用のものがある。そして、その記録ディスクには、CD、FD、MO、MD、DVD等種々のものがある。これらの記録ディスクは、記録・再生方式やデータ容量、回転速度、記録密度等の仕様あるいはディスクの材料、価格が異なるため、各ディスクごとにそれを駆動するモータとして種々のものが存在する。
【0003】
近年、電子情報が文字から画像へと移行し、それに伴う情報の高度化、大容量化によって、その情報を大量にかつ素早く記録・再生ができること、更には低コストであることなどが記録ディスク及びこれを駆動する駆動装置に対して要求されている。
【0004】
例えばCDの場合、当初は音楽再生用として登場したが、その利点を生かしCD−ROMとしてコンピュータ用へと用途が拡大した。これにより、データ容量が増大し、動作時間(シークタイム)の短縮化と共に記録ディスク側を速く回転させること、即ち記録ディスク駆動用モータが高速化されるに至り、最近では音楽用CDを基準速度として、20倍速を超えるものが実現化されている。
【0005】
ところで、従来の記録ディスク駆動用モータの具体的構成について図5を参照して説明する。
【0006】
図5に示すように、シャーシ等の固定部材1に形成された開口にほぼ円筒状を成す保持部材2の下端部が嵌着され、保持部材2の底面開口部が閉塞板3により閉塞され、スラスト受4が閉塞板3上に載置されて保持部材2内の底部に配設され、滑り軸受5が保持部材2の内側に嵌着されている。
【0007】
更に、保持部材2の外側にはコア7aが嵌着され、このコア7aに巻線7bが巻装されステータ7を構成している。また、シャフト8が滑り軸受5に嵌入され、その下端がスラスト受け4に当接し上端部が保持部材2の上方に突出して配設されている。シャフト8の上端部にはアルミニウム等の非磁性材から成るハブ部材9が嵌着され、鉄等の磁性材から成る回転部材であるヨーク部材10がハブ部材9に取り付けられている。
【0008】
このヨーク部材10は、ほぼ円板状の基部とこの基部の周縁に下方に垂下して一体形成された垂下部とにより構成され、その基部の中央部に形成された開口の周りの部分がハブ部材9の下端部に加締めにより取り付けられている。更に、駆動用マグネット11がヨーク部材10の垂下部の内側に嵌入され、ステータ7に相対向する位置に配設されている。
【0009】
また図5に示すように、ハブ部材9の外側にターンテーブル部13が形成され、このハブ部材9の中央にこの上面とほぼ同一面を形成するようにクランプマグネット14が埋設され、このクランプマグネット14により図示しない駆動装置側のディスク押圧手段が磁気吸引されて記録ディスクDが固定される。そして、ステータ7の巻線7bへの電流の通流方向が制御されてステータ7が回転磁界を発生し、この回転磁界と駆動用マグネット11との静磁界との吸引及び反発の繰り返しによって、静止状態のステータ7に対して駆動用マグネット11、ヨーク部材10、ハブ部材9及びシャフト8が回転し、これによりターンテーブル部13及び記録ディスクDが一定方向に回転する。
【0010】
ところで、CD−ROM等の記録ディスクDでは、その記録面と反対側の面に様々な印刷がなされ、印刷に使用されるインクの重量に起因して記録ディスクDの回転時に重量バランスの偏り(アンバランス)を生じ、モータの回転振れの原因となることがある。これは、上述したモータの高速化により、微量なインクの重量でさえも影響を及ぼすようになっているという背景によるためである。またモータの高速化は、それまで問題にはならなかったような各部の寸法誤差によるアンバランスをも招来する。
【0011】
そこで、このようなアンバランスを補正するバランス補正装置として、従来例えば図5に示すように、ハブ部材9におけるターンテーブル部13の下面とヨーク部材10の基部とで環状空間の収容部16を形成し、この収容部16に複数個の球体17を周方向に移動自在に収容することが行われている。このとき、アンバランス補正の広範囲化、高精度化を図るために、複数の収容部16を同心に形成し、各収容部16にそれぞれ複数個の球体17を収容し、各収容部16内を各球体17が周方向に移動するようにしたものも提案されている。
【0012】
このような構成によると、記録ディスクDを載置した状態でモータが所定の回転速度に到達すると、各球体17がアンバランス位置と対称な位置に移動し、モータのアンバランスが各球体17により補正されて回転振れを防止することができるのである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記したバランス補正装置を備えたモータは、モータが起動してからそのバランス補正装置が作用する所定の回転数までの間においては、球体17は収容部16内を周方向や径方向に振動を拡大する位置に転動するため、モータの不安定な回転が一層助長されるといった問題がある。
【0014】
更に、そのモータが例えば上記したような記録ディスク駆動用モータから成るCD−ROM駆動装置を搭載したノートパソコンのように、携帯或いは移動可能な状況下で使用される場合には、外力により収容部16内の球体17同士が衝突し、或いは球体17が収容部16の内周面に衝突するので、携帯或いは移動中に耳障りな不快音が生じるといった問題もある。
【0015】
また従来、モータ等の各種回転装置に着脱自在に装着が可能なバランス補正装置はなく、各回転装置毎にバランス補正装置を組み込まなければならず、組立作業の煩雑化を招くという問題もある。
【0016】
更に、ノートパソコンに装備されたCD−ROM等の記録ディスク駆動用モータでは、回転装置及びバランス補正装置をより小型化する必要がある。
【0017】
この発明が解決しようとする第1の課題は、モータ等の回転装置に着脱自在に装着が可能で、アンバランスを補正し、しかもバランス体の不要な移動に関連する不具合が生じることのない汎用性を有し、かつ小型化が可能なバランス補正装置を提供することにある。
【0018】
また、この発明が解決しようとする第2の課題は、バランス体の不要な移動に関連する不具合が生じないようにして良好なバランス補正を行え、かつ小型化が可能なバランス補正装置を備えた回転装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記した第1の課題を解決するために、本発明におけるバランス補正装置は、回転軸に連動して回転する第1部材と、前記第1部材の回転の軸方向に沿って一方向及びその反対の他方向に移動自在に設けられた第2部材と、前記両部材の間に前記回転軸と同心の環状に形成された移動路と、前記移動路内を周方向に移動自在に前記移動路に収容されたバランス体と、前記第1部材と同軸に設けられ慣性力により前記第1部材に対して相対的に双方向に回転する回転体と、前記回転体の前記第1部材に対する相対的な回転を前記軸方向への直線的な移動に変換して前記第2部材に伝達する変換手段と、前記第2部材に形成された係合手段と、前記係合手段に摺接するように前記第1部材に形成され摺接時の摩擦力により前記回転体の前記第1部材に対する相対的な回転を阻止して前記第2部材の移動を規制する当接体と、両端が前記第1部材と前記回転体とに係止して設けられ前記第1部材に対する前記回転体の回転にずれが生じたときに前記回転体を付勢する渦巻きばねとを備え、前記第2部材の前記一方向への移動により、前記両部材間に前記バランス体を挟持して前記バランス体を拘束状態に保持し、前記第2部材の前記他方向への移動により、前記バランス体を拘束状態から解放して前記バランス体を移動可能な状態にするようにしている。
【0020】
このような構成によれば、回転軸が始動して所定回転数を超えるまでの間において、回転軸が始動する際には当接体が係合手段に当接して両者間に摩擦力が働き、一方回転体に対しては回転軸の回転方向と反対方向に慣性力が働き、この慣性力に当接体による摩擦力と渦巻きばねの復元力との和が釣合う。そのため、回転体の第1部材に対する相対的な回転が阻止され、第1、第2部材が一緒に回転する。
【0021】
そして、回転軸が更に加速して所定回転数を超えると、回転体に働く慣性力が次第に大きくなり、やがてこの慣性力と、当接体による摩擦力及び渦巻きばねの復元力の和との釣合いが崩れ、回転体が第1部材に対して相対的に回転してこの回転体の回転が変換手段により第2部材に伝達され、第2部材が第1部材の回転の軸方向に沿って第1部材との間にバランス体を挟持する方向と反対方向に移動し、バランス体がアンバランスを補正すべく移動路内を移動する。このとき、当接体は係合手段に当接していないため、当接体による摩擦力は作用せず、回転体に働く慣性力と渦巻きばねの復元力との差に相当する分だけ回転体と第1部材との間に回転ずれが生じた状態となる。
【0022】
その後、回転軸が定速回転するようになると、回転体に働く慣性力が小さくなり、渦巻きばねの復元力によって回転体と第1部材との間の回転ずれが減少し、再び当接体が係合手段に当接して、そのときの当接体に作用する摩擦力の方向が渦巻きばねの復元力の方向と逆方向であるため、この摩擦力によって渦巻きばねの復元力による回転体と第1部材との間の回転ずれの減少が制限され、回転体と第1部材との間の回転ずれはある程度以上には減少しない。従って、このときの当接体による摩擦力と渦巻きばねの復元力とを、第2部材が第1部材との間にバランス体を挟持しない程度に第2部材が第1部材から離間した状態となるように調整しておくことで、回転軸が定速回転している間、バランス体は第1、第2部材により拘束されることなく解放された状態に維持される。
【0023】
次に、回転軸が所定回転数より高い回転数で回転している状態から減速すると、回転体に先程の加速時とは逆方向への慣性力が働き、この慣性力により、定速時における当接体による摩擦力と渦巻きばねの復元力との釣合いが崩れ、回転体が第1部材に対して相対的に回転する。このときの回転体の回転方向は加速時とは逆方向である。
【0024】
この回転体の回転が変換手段により第2部材に伝達されて第2部材が第1部材の回転の軸方向に沿って第1部材との間にバランス体を挟持する方向に移動し、バランス体がアンバランスを補正する位置で第1、第2部材により挟持されて拘束された状態となり、やがて回転軸が停止しても、バランス体の第1、第2部材による拘束状態は維持される。
【0025】
また、渦巻きばねを設けることにより、第1部材が回転していない静止状態で装置全体に外部から衝撃が加わったときにも、渦巻きばねの付勢力により、回転体が第1部材に対して勝手に回転することが防止される。
【0026】
ところで、この場合のバランス体は、複数個の球体やその他の転動体であるのが望ましい。例えば、バランス体が複数個の球体から成る場合には、第1,第2部材により全ての球体が一度に挟持されることになる。
【0027】
また、移動路は第1または第2部材に形成されたリング状の凹陥部であったり、第1または第2部材に円形の仕切部材を設けることによって形成されたものであるのが好ましい。このときの移動路は、同心に複数設けられていてもよく、第1部材に形成された1つの凹陥部内を仕切って2以上の移動路を形成したり、複数の円形仕切部材により第1または第2部材間を複数に仕切ることによって形成するとよい。但し、このように複数の移動路を設ける場合には、隣接する移動路にバランス体が侵入できないようにするのが望ましい。
【0028】
更に、ここでいう第1部材及び第2部材とは円盤状のものが望ましく、要するに上記した凹陥部を形成することを考慮した厚みを有していればよく、凹陥部を形成せずに円形仕切部材により移動路を形成する場合には薄板状であっても構わない。
【0029】
このとき、第1部材の回転が始動から所定回転数を超えるまでの間、回転体の第1部材に対する相対的な回転を阻止できるように、当接体と回転体との間の摩擦力を調整しておく。具体的には、当接体と回転体との接触面積と当接力を調整し、或いは材質の選定によって摩擦係数を調整する方法等が考えられる。
【0030】
また、本発明におけるバランス補正装置は、前記変換手段を、前記回転体及び前記第2部材に形成されて互いに螺合したねじにより構成している。
【0031】
こうすると、一般のボルト及びナット等の雄ねじと雌ねじの組み合わせにより変換手段を簡単に構成することができ、特に複雑な加工技術は必要としない利点がある。尚、変換手段を形成すべき回転体及び第2部材のうち、どちら側を雄ねじ或いは雌ねじにするかは特に明確に決める必要はない。
【0032】
また、本発明におけるバランス補正装置は、前記第1部材の回転が所定回転数になるまで前記バランス体の拘束状態が維持され、前記第1部材の回転が所定回転数を超えると前記バランス体を拘束状態から解放されるようにしている。
【0033】
このようにすれば、第1部材の回転数がある所望の回転数(所定回転数)になるまでバランス体を拘束しておいて、その所望の回転数を超えたときにバランス体を解放してアンバランスを補正する位置に移動させることができ、バランス体の移動によるアンバランス補正の開始タイミングを所望のタイミングに設定することが可能になる。
【0034】
また、上記した第2の課題を解決するために、本発明における回転装置は、静止部材及びこの静止部材に対して回転自在に設けられた回転部材とにより構成され、前記回転部材の回転軸に連動して回転する第1部材と、前記第1部材の回転の軸方向に沿って一方向及びその反対の他方向に移動自在に設けられた第2部材と、前記第1、第2部材の間に前記回転軸と同心の環状に形成された移動路と、前記移動路内を周方向に移動自在に前記移動路に収容されたバランス体と、前記第1部材と同軸に設けられ慣性力により前記第1部材に対して相対的に双方向に回転する回転体と、前記回転体の前記第1部材に対する相対的な回転を前記軸方向への直線的な移動に変換して前記第2部材に伝達する変換手段と、前記回転体に当接するように前記第1部材に形成され摩擦力により前記第1部材の回転が始動から前記所定回転数を超えるまでの間は前記回転体を前記第1部材の回転に追随させて前記回転体の前記第1部材に対する相対的な回転を阻止して前記第2部材の移動を規制する当接体と、両端が前記第1部材と前記回転体とに係止して設けられ前記第1部材に対する前記回転体の回転にずれが生じたときに前記回転体を付勢する渦巻きばねとから成り、前記第2部材の前記一方向への移動により、前記第1、第2部材間に前記バランス体を挟持して前記バランス体を拘束状態に保持し、前記第2部材の前記他方向への移動により、前記バランス体を拘束状態から解放して前記バランス体を移動可能な状態にするバランス補正装置を備えている。
【0035】
このような構成によれば、第1部材の回転が始動から所定回転数を超えるまでの間は、回転体に働く慣性力と、当接体の係合手段との間における摩擦力及び渦巻きばねの復元力の和との釣合いによって、回転体の第1部材に対する相対的な回転が阻止されて第2部材の軸方向への移動が規制され、第2部材が第1部材と一緒に回転するため、バランス補正装置は実質的にはアンバランスを補正するようには作用しない。
【0036】
そして、第1部材の回転が更に加速して所定回転数を超えると、上記した慣性力と摩擦力及び復元力の和との釣合いが崩れ、回転体が第1部材に対して相対的に回転し、変換手段により回転体の回転が第2部材に伝達されて第2部材が第1部材の回転の軸方向に沿って第1部材との間にバランス体を挟持する方向と反対方向に移動し、バランス体が両部材による挟持状態から解放されて移動路内を移動可能になり、バランス体がアンバランスを補正する位置に移動してバランス補正装置によるアンバランス補正が行われる。
【0037】
一方、第1部材が所定回転数より高い回転数で回転する状態から減速すると、回転体に加速時とは逆方向への慣性力が働いて回転体が第1部材に対して相対的に回転し、この回転体の回転が変換手段により第2部材に伝達されて第2部材が第1部材の回転の軸方向に沿って第1部材との間にバランス体を挟持する方向に移動し、バランス体がアンバランスを補正する位置で第1、第2部材により挟持されて拘束された状態となり、その後回転軸が停止しても、バランス補正装置のバランス体は第1、第2部材によりアンバランスを補正する位置で拘束された状態のままとなる。
【0038】
従って、バランス体の不要な移動に関連する不具合が生じないようにして良好なバランス補正を行え、かつ小型化が可能なバランス補正装置を備えた回転装置を提供することが可能になる。
【0039】
また、本発明における回転装置は、前記変換手段を、前記回転体及び前記第2部材に形成されて互いに螺合したねじにより構成している。
【0040】
こうすると、一般のボルト及びナット等の雄ねじと雌ねじの組み合わせにより変換手段を簡単に構成することができ、簡単な構成で、良好なバランス補正を行うことのできるモータ等の回転装置を提供することが可能になる。
【0041】
また、本発明における回転装置は、前記第1部材の回転が所定回転数になるまで前記バランス体の拘束状態が維持され、前記第1部材の回転が所定回転数を超えると前記バランス体を拘束状態から解放されるようにしている。
【0042】
このようにすれば、回転装置の回転軸が例えば回転装置の共振回転数等の所望の回転数になるまでバランス体を拘束しておいて、その所望の回転数(共振回転数)を超えたときにバランス体を解放してアンバランスを補正する位置に移動させることができ、バランス体の移動によるアンバランス補正の開始タイミングを所望のタイミングに設定することが可能になる。
【0043】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
この発明の第1の実施形態について図1及び図2を参照して説明する。但し、本実施形態はバランス補正装置を備えた回転装置としての直流モータの例であり、図1は切断正面図、図2は一部の平面図である。
【0044】
図1、図2において、21はシャーシに固定されたプリント基板等の固定部材、22は固定部材21に形成された開口23に下端部が嵌着された静止部材としてのほぼ円筒状の保持部材、24は保持部材22の底面開口部を閉塞した閉塞板、25は閉塞板24上に載置されて保持部材22内の底部に配設されたスラスト受、26は滑り軸受であり、保持部材22の中心部に形成された貫通孔の内側に嵌着されている。
【0045】
更に、28は保持部材22の外側に嵌着して設けられたコア28a及びこのコア28aに巻装された巻線28bから成るステータ、29は滑り軸受26に嵌入され下端がスラスト受け25に当接し上端部が保持部材22の上方に突出して配設された回転部材としてのシャフト、30はアルミニウム等の非磁性材から成る回転部材としてのハブ部材であり、円板状の基部30aとこの基部30aの周縁に垂直に垂下して一体に形成された縁部30bとにより構成され、基部30aの中央の透孔にシャフト29が挿通されてハブ部材30がシャフト29の上端部に嵌着されている。
【0046】
また、31はハブ部材30の縁部30bの外側に取り付けられた鉄等の磁性材から成る第1部材としての円盤状のターンテーブル、32はターンテーブル31の周縁に一体的に形成された鉄等の磁性材から成る短円筒状のヨーク部材、33は駆動用マグネットであり、ヨーク部材32の内側に嵌入され、ステータ28に相対向する位置に配設されている。そして、シャフト29、ハブ部材30、ターンテーブル31、ヨーク部材32及び駆動用マグネット33が一緒に回転する。尚、ターンテーブル31の上面には図示しない緩衝材を介して、CD−ROM等の記録ディスクが載置されるようになっている。
【0047】
更に、35はターンテーブル31の下面に同軸に取り付けられた径の異なる複数の円形の仕切部材、36は径の異なる複数の環状の移動路であり、ターンテーブル31と、各仕切部材35と、後述する第2部材としての押え板とにより、ターンテーブル31の下面に形成されており、これら各移動路36には各移動路36内を周方向に移動自在にバランス体としての鋼球等から成る同一径の複数個の球体37が収容されている。
【0048】
ここで、仕切部材35の上下方向の高さは、後述する第2部材としての押え板が下動したときに各移動路36内それぞれにおける各球体37が隣接する移動路36に侵入せず、押え板が上動したときに押え板と仕切部材35とが当たらないような寸法に設定することが好ましい。更に、球体37が各移動路36を占有する範囲は、各移動路36それぞれのほぼ半周程度であることが望ましい。
【0049】
また、39は保持部材22の上端部に遊貫された移動手段を構成する回転体としての円筒体、40は変換手段としてのねじであり、ハブ部材30の縁部30bの内周面に形成された雌ねじ40aと、円筒体39の外周面に形成された雄ねじ40bとから成り、円筒体39の雄ねじ40bがハブ部材30の雌ねじ40aに螺合することによって、ハブ部材30に対して円筒体39が軸方向(上下方向)に移動自在に取り付けられている。
【0050】
更に、42はハブ部材30の内側に設けられ内終端及び外終端がそれぞれハブ部材30の下面中央及び円筒体39の上面に固着された渦巻きばね、43はターンテーブル31よりも若干小径の円盤状を有し円筒体39の下部に取り付けられ第1部材であるターンテーブル31との間に各球体37を挟持する第2部材としての押え板、44はハブ部材30の縁部30bの外側に配置されて押え板43に直接固定された回転体としての円形の重り体、45は規制手段としての突起状の当接体であり、ターンテーブル31の下面であって重り体44の上方位置に設けられ、この当接体45が重り体44の上面の一部に形成された係合手段としての突出部44aに当接し、重り体44のターンテーブル31に対する相対的な回転を規制する。
【0051】
但し、重り体44は、上記したように押え板43に直接固定するのではなく、梁を介して円筒体39の下部に固定されていても構わない。また、突出部44aは重り体44に一体的に形成しても、或いは別体の突出部44aを重り体44に取り付けるようにして形成してもよい。
【0052】
このとき、雌ねじ40a及び雄ねじ40bの螺合により円筒体39がハブ部材30に対し上方に移動した状態において、この当接体45が重り体44の突出部44aに当接し、そのときの当接体45と突出部44aとの間の摩擦力と渦巻きばね42の復元力とにより、重り体44、円筒体及び押え板43のターンテーブル31に対する相対的な回転が規制され、重り体44、円筒体39及び押え板43がターンテーブル31と一緒に回転する。
【0053】
尚、当接体45としては、図2部示すように1個だけに限らず2個以上設けてもよく、要するに、シャフト29及びターンテーブル31が始動してから記録ディスクを搭載した状態のモータの固有振動数に共振する共振回転数(所定回転数)に達するまでの間において、渦巻きばね42の復元力を加味して重り体44のターンテーブル31に対する相対的な回転を規制でき、しかもモータの定速回転時に、後述するように渦巻きばね42の復元力と釣合うように、突出部44aとの間での摩擦力が得られるようにしておけばよい。
【0054】
このように、ターンテーブル31、各仕切部材35、各移動路36、各球体37、円筒体39、ねじ40、渦巻きばね42、押え板43、重り体44、突出部44a及び当接体45により、モータのアンバランスを補正するバランス補正装置46が構成されている。
【0055】
次に、記録ディスクを搭載したときのモータの動作について説明する。但し、記録ディスクを搭載したモータにアンバランスがあるものとして説明する。
【0056】
いま、同じ記録ディスクを搭載した状態でモータの一連の回転が終了した後に再びモータが始動する時には、後で詳述するように、各球体37がアンバランスを補正する位置においてターンテーブル31及び押え板43との間に挟持されている。
【0057】
そして、モータが始動してから次第に加速し、記録ディスクを搭載した状態でのモータの固有振動数に共振する共振回転数(所定回転数)を超えるまでの間において、モータが始動する際には当接体45が突出部44aに当接して両者間に加速時の摩擦力Ft1 が働き、一方重り体44にはモータの回転方向と反対方向への慣性力Fαが働き、この慣性力Fαに当接体45の摩擦力Ftと渦巻きばね42の復元力Fkとの和(Ft1 +Fk)が釣合う(Fα=Ft1 +Fk)。
【0058】
そのため、円筒体39のターンテーブル31に対する相対的な回転が阻止され、重り体44及び押え板43が当接体45及びターンテーブル31と一緒に回転し、これによって押え板43はターンテーブル31との間に各球体37を挟持したままの状態でターンテーブル31と一緒に回転する。
【0059】
従って、モータの始動直後は若干不安定な回転となるものの、各球体37がこの不安定な回転を助長する位置に移動することがなく、しかも各球体37同士が衝突して騒音を発生することもないため、モータは各球体37が自由に移動できる状態で回転する場合に比べ安定して且つ静かに回転する。
【0060】
続いて、モータが更に加速して共振回転数(所定回転数)を超えると、重り体44に働く慣性力Fαが次第に大きくなり、重り体44及び押え板43が共にターンテーブル31の加速する回転に追随できなくなり、慣性力Fαと当接体45による加速時の摩擦力Ft1 及び渦巻きばね42の復元力Fkの和との釣合いが崩れ(Fα>Ft1 +Fk)、重り体44、押え板43及び円筒体39がターンテーブル31に対して相対的に回転し始め、円筒体39の雄ねじ40bがハブ部材30の雌ねじ40aに対して緩む方向に回転し、円筒体39がハブ部材30に対して下方に移動する。
【0061】
このように、円筒体39がハブ部材30に対して下方に移動することによって、押え板43がターンテーブル31に対して下方に移動し、各球体37が押え板43及びターンテーブル31による挟持状態から解放され、各球体37は各移動路36内をアンバランスを補正する位置に移動してアンバランスが補正され、モータは安定して回転する。
【0062】
このとき、同じ記録ディスクを搭載したままでこれを脱着することなしにモータが再始動することを前提にしているので、各球体37は、後に詳述するようにすでにアンバランスを補正する位置近くで挟持されている。そのため、各球体37が挟持状態から解放されても、各移動路36内における各球体37の移動は殆どなく、このような各球体37のアンバランス位置への移動は瞬時に行われる。また、当接体45は突出部44aに当接していないため、当接体45による摩擦力は作用せず、重り体44に働く慣性力Fαと渦巻きばね42の復元力Fkとの差に相当する分だけ、円筒体39及び押え板43とターンテーブル31との間に回転ずれが生じた状態となる。
【0063】
その後、モータの回転が定速になると、重り体44に働く慣性力Fαが小さくなり、渦巻きばね42の復元力Fkによって円筒体39及び押え板43とターンテーブル31は互いに引き寄せられて両者の回転ずれが減少し、再び当接体45が突出部44aに当接して、そのときの当接体45に作用する摩擦力の方向が渦巻きばね42の復元力Fkの方向と逆方向であるため、この摩擦力によって渦巻きばね42の復元力Fkによる円筒体39及び押え板43とターンテーブル31との間の回転ずれの減少が制限され、円筒体39及び押え板43とターンテーブル31との間の回転ずれはある程度以上には減少しない。
【0064】
従ってこのとき、押え板43がターンテーブル31との間に各球体37を挟持しない程度に押え板43がターンテーブル31から離間した状態となるように、当接体45による摩擦力と渦巻きばね42の復元力Fkとを調整しておくことで、モータが定速回転している間、各球体37は押え板43及びターンテーブル31により拘束されることなく解放された状態に維持される。
【0065】
一方、モータが共振回転数を超える回転数(或いは定格回転数)で回転している状態から減速すると、重り体44に先程の加速時とは逆方向への慣性力Fαが働き、この慣性力Fαにより、当接体45による減速時の摩擦力Ft2 と渦巻きばね42の復元力Fkとの釣合いが崩れ(Ft2 <Fk+Fα)、重り体44、押え板43及び円筒体39がターンテーブル31に対して加速時とは反対方向に相対的に回転し始める。
【0066】
そして、このような押え板43の回転により、円筒体39の雄ねじ40bがハブ部材30の雌ねじ40aに対して締まる方向に回転し、円筒体39がハブ部材30に対して上方に移動し、円筒体39がハブ部材30に対して上方に移動することによって、押え板43がターンテーブル31に対して上方に移動し、各球体37がアンバランスを補正する位置で押え板43及びターンテーブル31により挟持されて拘束され、やがてモータが停止しても各球体37の拘束状態は維持される。なお、前記摩擦力Ft1 、Ft2 は同程度の摩擦力であってもよいし(Ft1 =Ft2 )、逆に、摩擦力を向きによって大きさを異ならせる(Ft1 ≠Ft2 )ようにしてもよい。後者のようにすると、起動及び停止時におけるバランス体の解放及び挟持させる回転数を設定することができる。摩擦力の向きによって大きさを異ならせるには、公知技術により、例えば当接体45及び突出部44aの当接面のうち一方を平面状にすると共に、他方を断面が鋸歯状であってそのひとつの歯の断面が左右非対称になるような形状にすればよい。
【0067】
その結果、次に同じ記録ディスクを搭載したままのモータが再始動する際には、各球体37はすでにモータのアンバランスを補正する位置に留まっていることになり、上記したように各球体37が解放されてアンバランスを補正する位置への移動が瞬時に行われ、アンバランス補正が迅速に成される。
【0068】
ところで、モータがバランスしている正常な場合には、モータが共振回転数を超えて各球体37が移動可能な状態になると、各球体37はそれぞれの移動路36内をほぼ等間隔となるように位置するため、このようにアンバランスがない場合には、球体37自身が回転のバランスを乱さないように分布してモータは安定して回転する。なお、モータの回転後に記録ディスクの脱着を行って回転させる場合は、アンバランスの位置が変更されるので、各球体37のアンバランスを補正する位置も変更される。それ故、このようにして使用する場合にアンバランスが補正されるまでの時間は、同じ記録ディスクを搭載した状態(脱着なし)で使用する場合に比べて幾分長くなるが、アンバランスの補正に問題はなく、実際の記録ディスク装置の動作上の不具合はない。
【0069】
従って、第1の実施形態によれば、モータが始動し共振回転数(所定回転数)を超えるまでは、各球体37はアンバランスを補正する位置に拘束された状態のままとなり、従来のようにモータの始動後における球体等のバランス体の不要な移動による不安定な回転や騒音等を防止することができる。
【0070】
また、モータの回転が共振回転数に達し、各球体37の押え板43及びターンテーブル31による挟持状態が解除されて各球体37が各移動路36内を移動できるようになると、各球体37はアンバランスを補正する位置に即座に移動し、良好なバランス補正を行うことができる。
【0071】
更に、モータが共振回転数を超える回転数で回転している状態から減速を開始すると、押え板43が各球体37を挟持する方向に移動し始め、各球体37が押え板43及びターンテーブル31により挟持されるため、各球体37を次の始動時にアンバランスを補正する位置に拘束しておくことができ、モータを再始動する際において、モータの不安定さが助長されるのを防止することができると共に、各球体37が衝突することもなく、騒音の発生を防止することができる。
【0072】
このとき、球体を拘束する手段として、例えば磁石により磁性体から成る球体を吸着する方法が考えられるが、移動路が複数あるときには各移動路毎に磁石を設ける必要があるため、磁石の配置スペースを確保するのに伴って装置全体が複雑かつ大型化するのに対し、上記したように、押え板43及びターンテーブル31により複数の移動路36に配設された各球体37を一括して挟持することで、複数の移動路36内の各球体37を簡単に拘束することができ、モータの薄型化、小型化を図る上で非常に有利である。
【0073】
また、円筒体39とハブ部材30とに作用する渦巻きばね42の復元力Fkは、円筒体39のターンテーブル31に対する相対的な回転を阻止する上で有効に作用するのに留まらず、この渦巻きばね42により、停止状態のモータに何らかの外力が加わっても、円筒体39が回転してねじ40が勝手に緩んでしまうことを防止でき、モータが停止している間押え板43及びターンテーブル31による各球体37の挟持状態を確実に維持することができる。
【0074】
なお、各移動路36に収容する各球体37は全て同一径である必要はなく、移動路36毎に収容する球体37の径を変えてもよい。
【0075】
(第2の実施形態)
この発明の第2の実施形態について図3及び図4を参照して説明する。本実施形態は、ユニット化されたバランス補正装置の例であり、図3は切断正面図、図4は一部の平面図である。
【0076】
本実施形態は、基本的に上記した第1の実施形態におけるバランス補正装置46(図1、図2参照)とほぼ同様の構成を有するが、上下が逆転している点が主として相違しており、以下にその構成について詳細に説明する。
【0077】
図3及び図4に示すように、回転体としての軸体51の下端部に、円板の周縁部が上方に折れ曲がった形状を有する第1部材としての受け部材52が図示しない軸受などを介して回転自在に軸着され、軸体51に対して半径の異なる同心円状の複数の環状突起53が受け部材52の上面に同軸に取り付けられて移動路54が複数形成され、これら各移動路54にバランス体である各球体37が周方向に移動自在に収容されている。
【0078】
また、図3及び図4に示すように、軸体51の上半部には雄ねじ56が形成され、この雄ねじ56にナット57の雌ねじ58が螺合し、これら軸体51の雄ねじ56及びナット57の雌ねじ58により変換手段が形成されている。更に、ナット57の下部には受け部材52の周側部内径より若干小径の第2部材としての円盤状押え板59が固着され、軸体51に対してナット57が回転することでこの押え板59が軸体51に沿って上下方向に移動するようになっている。このとき、受け部材52の周側部の上端内周側には一対の内方への凸部52aが一体的に形成され、押え板59の周縁部にはこの凸部52aが嵌挿するような一対の凹部59aが形成されている。
【0079】
ところで、受け部材52の上方で押え板59の下方には、図4に明確に示されている係合手段としての一対の梁61が配設されて軸体51の中央下寄り部分の両側に固着され、両梁61の先端に円形の重り体62が固着され、梁61を介して重り体62が軸体51と一体的に回転するようになっている。
【0080】
また、図3及び図4に示すように、小さい円柱状の当接体64が受け部材52に植設され、更に図3に示すように、軸体51の受け部材52の下方に突出した部分には渦巻きばね65が巻装され、この渦巻きばね65の両端が軸体51及び受け部材52に係止されている。そして、当接体64が梁61の下面に当接するときの摩擦力及び渦巻きばね65の復元力の和により、受け部材52の回転が始動してから所定回転数までの間、重り体62の受け部材52に対する相対的な回転を規制するようになっている。
【0081】
このように、軸体51、受け部材52、各環状突起53、各移動路54、各球体37、ナット57,雄ねじ56、雌ねじ58、押え板59、両梁61、重り体62、当接体64及び渦巻きばね65により、バランス補正装置66が構成されている。
【0082】
次に、動作について説明すると、まず記録ディスク駆動用モータ等の回転装置の回転軸に連動して受け部材52が回転するように、上記した構成の補正装置66を回転装置に装着する。
【0083】
いま、この記録ディスク駆動用モータ等の回転装置がアンバランスを生じている場合において、この回転装置が一連の回転を終了した後に、同じ記録ディスクを搭載したまま、即ち同じ条件のまま再始動すると、後で詳述するように、各球体37はアンバランスを補正する位置において押え板59及び受け部材52の間に挟持されている。
【0084】
そして、回転装置の回転軸がこのように再始動するとこれに連動して受け部材52が回転を開始し、受け部材52が加速してその回転数がモータ等の回転装置の固有振動数に共振する共振回転数(所定回転数)を超えるまでの間、当接体64が梁61に当接して両者間に加速時の摩擦力Ft1 が働き、一方重り体62には回転軸の回転方向と反対方向への慣性力Fαが働き、この慣性力Fαに当接体64の摩擦力Ftと渦巻きばね65の復元力Fkとの和(Ft1 +Fk)が釣合う(Fα=Ft1 +Fk)。
【0085】
そのため、軸体51及び重り体62の受け部材52に対する相対的な回転が阻止され、押え板59と受け部材52との間に各球体37を挟持した状態のまま、軸体51、ナット57及び押え板59は受け部材52と一緒に回転する。
【0086】
従って、回転装置の始動直後は若干不安定な回転となるものの、各球体37がこの不安定な回転を助長する位置に移動することがなく、しかも各球体37同士が衝突して騒音を発生することもないため、回転装置は各球体37が自由に移動できる状態で回転する場合に比べ安定して且つ静かに回転する。
【0087】
更に、回転装置が更に加速して受け部材52の回転が所定回転数を超えると、重り体62に働く慣性力Fαが次第に大きくなり、重り体62及び軸体51が共に受け部材52の回転に追随できなくなり、慣性力Fαと当接体64による加速時の摩擦力Ft1 及び渦巻きばね65の復元力Fkの和との釣合いが崩れ(Fα>Ft1 +Fk)、重り体62及び軸体51が受け部材52に対して相対的に回転し始める。
【0088】
このとき、押え板59の凹部59aに受け部材52の凸部52aが嵌挿しているため、押え板59及びナット57が受け部材52と一緒に回転しようとするのに対して、上記したように軸体51が相対的に回転することで、ねじ56、58が互いに緩む方向に回転し、これによりナット57及び押え板59が軸体51に沿って上方へ移動し、各球体37が押え板59及び受け部材52による挟持状態から解放される。これによって、各球体37は各移動路54内をアンバランスを補正する位置に移動して回転装置のアンバランスが補正されるのである。
【0089】
尚、同じ記録ディスクを搭載したままでこれを脱着することなしにモータが再始動することを前提にしているので、各球体37は、後述するようにすでにアンバランスを補正する位置近くで挟持されている。そのため、各球体37が挟持状態から解放されても、各移動路54内における各球体37の移動は殆どなく、このような各球体37のアンバランス位置への移動は瞬時に行われる。更に、当接体64は梁61に当接していないため、当接体64による摩擦力は作用せず、重り体62に働く慣性力Fαと渦巻きばね65の復元力Fkとの差に相当する分だけ、軸体51と受け部材52との間に回転ずれが生じた状態となる。
【0090】
その後、回転装置の回転が定速になると、重り体62に働く慣性力Fαが小さくなり、渦巻きばね65の復元力Fkによって軸体51と受け部材52とは互いに引き寄せられて両者の回転ずれが減少し、再び当接体64が梁61に当接するようになると共に、そのときの当接体64に作用する摩擦力の方向が渦巻きばね65の復元力Fkの方向と逆方向であるため、この摩擦力によって渦巻きばね65の復元力Fkによる軸体51と受け部材52との間の回転ずれの減少が制限され、軸体51と受け部材52との間の回転ずれはある程度以上には減少しない。
【0091】
また、軸体51と受け部材52との間の回転ずれの減少により、雄ねじ56及び雌ねじ58が締まる方向に多少回転して押え板59が少し下動するものの完全に下動した状態とはならず、押え板59の凹部59aに受け部材52の凸部52aが若干嵌挿した状態となるものの完全に嵌挿した状態とはならず、各球体37は押え板59と受け部材52により挟持されることはなく、定速回転している間、各球体37は押え板59と受け部材52により拘束されることなく解放された状態に維持される。このとき、押え板59が受け部材52との間に各球体37を挟持しない程度に押え板59がターンテーブル31から離間した状態となるように、当接体64による摩擦力と渦巻きばね65の復元力Fkとを調整しておく。
【0092】
一方、回転装置が共振回転数(所定回転数)を超える回転数(或いは定格回転数)で回転している状態から減速すると、重り体62に先程の加速時とは逆方向への慣性力Fαが働き、この慣性力Fαにより、当接体64による減速時の摩擦力Ft2 と渦巻きばね65の復元力Fkとの釣合いが崩れ(Ft2 <Fk+Fα)、重り体62及び軸体51が受け部材52に対して加速時とは反対方向に相対的に回転し始める。
【0093】
そして、このような軸体51の回転により、雄ねじ56及び雌ねじ58が締まる方向に回転してナット57が締まり、押え板59が更に下動し、押え板59と受け部材52により各球体37が挟持されて拘束され、やがて回転装置が停止しても各球体37の拘束状態は維持される。なお、前記摩擦力Ft1 、Ft2 は同程度の摩擦力であってもよいし(Ft1 =Ft2 )、逆に、摩擦力を向きによって大きさを異ならせる(Ft1 ≠Ft2 )ようにしてもよい。後者のようにすると、起動及び停止時におけるバランス体の解放及び挟持させる回転数を設定することができる。摩擦力の向きによって大きさを異ならせるには、公知技術により、例えば当接体64及び梁61の当接面のうち一方を平面状にすると共に、他方を断面が鋸歯状であってそのひとつの歯の断面が左右非対称になるような形状にすればよい。
【0094】
その結果、次にに同じ記録ディスクを搭載したままの回転装置が再始動して受け部材52が回転する際には、各球体37はすでに回転装置のアンバランスを補正する位置に留まっていることになり、上記したように各球体37が解放されてアンバランスを補正する位置への移動が瞬時に行われ、アンバランス補正が迅速に成される。
【0095】
ところで、回転装置である記録ディスク駆動用モータ等がバランスした正常なものである場合には、回転装置が共振回転数を超えて各球体37が移動可能な状態になると、各球体37はそれぞれの移動路54内をほぼ等間隔となるように位置するため、このようにアンバランスがない場合には、球体37自身が回転のバランスを乱さないように分布して回転装置は安定して回転する。なお、回転装置の回転後に記録ディスクの脱着を行って回転させる場合は、アンバランスの位置が変更されるので、各球体37のアンバランスを補正する位置も変更される。それ故、このようにして使用する場合にアンバランスが補正されるまでの時間は、同じ記録ディスクを搭載した状態(脱着なし)で使用する場合に比べて幾分長くなるが、アンバランスの補正に問題はなく、実際の記録ディスク装置の動作上の不具合はない。
【0096】
従って、第2の実施形態によれば、モータ等の回転装置に着脱自在に装着できるため、その回転装置の回転時のアンバランスを補正することができ、汎用性のある安価で静音型のバランス補正装置を提供することが可能になる。
【0097】
なお、上記した各実施形態では、第1部材に仕切部材を設けることで第1部材側に複数の移動路を形成した場合について説明したが、第2部材側に仕切部材を設けて複数の移動路を形成してもよいのはいうまでもない。
【0098】
また、上記した各実施形態では、複数の移動路を設けた場合について説明したが、移動路は1個であってもよいのは勿論である。
【0099】
更に、移動路が複数の場合において、各移動路の直径や数、更には各移動路に収容する各球体の径や個数は、上記した各実施形態に限定されるものではなく、モータの形状や補正すべきアンバランス量に応じて適宜設定すればよい。例えば、内周側の移動路に質量の小さいものを配置して外周側の移動路に質量の大きいものを配置したり、移動路の幅を変更して球体の可動量を変えたりしてもよく、こうすることでアンバランスの補正精度の向上を図ることが可能になる。
【0100】
但し、移動路毎に球体の径を変える場合には、第1、第2部材により挟持するために第1部材或いは第2部材の形状を工夫する必要がある。例えば第1の実施形態では、押え板43を平板状ではなく段差を有する断面形状にすることなどが考えられる。
【0101】
また、上記した各実施形態では、バランス体を球体37とした場合について説明したが、バランス体は必ずしも球体である必要はなく、他の転動体であってもよい。
【0102】
更に、上記した第1の実施形態では、シャフト29が回転するタイプのモータにこの発明を適用した場合について説明したが、その他にインナーロータタイプのモータやシャフトが固定されたタイプのモータにもこの発明を適用することができるのは勿論である。
【0103】
また、この発明は、上記した各実施形態のようにモータに対して適用できるのに留まらず、回転軸を有し回転時にアンバランスを生じ得る全ての回転装置に対しても適用することが可能である。
【0104】
更に、上記した各実施形態では、バランス体である各球体37をモータ等の回転装置の共振回転数まで挟持して拘束状態に維持し、共振回転数を超えるとその拘束状態からバランス体を解放するようにした場合について説明したが、バランス体を拘束状態から解放するときの回転数は、このような共振回転数に限定されるものでないのはいうまでもなく、実際に使用するときの状況に応じた回転数に設定すればよい。
【0105】
また、この発明は上記した各実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
【0106】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載の発明によれば、モータ等の回転装置に着脱自在に装着でき、その回転装置の回転時のアンバランスを補正することができ、汎用性のある安価で汎用性を有し、かつ小型化が可能なバランス補正装置を提供することが可能になる。
【0107】
更に、回転装置に装着したときに、回転装置の回転軸に連動して第1部材が始動し所定回転数を超えるまでの間、簡易な構造により、アンバランスを補正する位置にバランス体を拘束した状態のまま保持することができるため、従来のように回転装置の始動後におけるバランス体の不要な移動による不安定な回転や騒音等を防止することができると共に、所定回転数を超えた後は瞬時にアンバランスを補正することが可能になる。このことは、特に複数の移動路を有する場合により効果的である。
【0108】
また、請求項2に記載の発明によれば、変換手段として一般のボルト及びナット等の雄ねじと雌ねじの組み合わせにより簡単に構成することができ、特に複雑な加工技術が不要となる。
【0109】
また、請求項3に記載の発明によれば、第1部材の回転数がある所望の回転数(所定回転数)になるまでバランス体を拘束しておくため、バランス体の移動によるアンバランス補正の開始タイミングを所望のタイミングに設定することが可能になる。
【0110】
また、請求項4に記載の発明によれば、バランス体の不要な移動に関連する不具合が生じないようにして良好なバランス補正を行うことが可能で、かつ小型化が可能なバランス補正装置を備えた回転装置を提供することができる。
【0111】
また、請求項5に記載の発明によれば、一般のボルト及びナット等の雄ねじと雌ねじの組み合わせにより変換手段を簡単に構成することができ、簡単な構成で、良好なバランス補正を行うことのできるモータ等の回転装置を提供することが可能になる。
【0112】
また、請求項6に記載の発明によれば、回転装置の回転軸が回転装置の共振回転数等の所望の回転数になるまでバランス体を拘束しておくため、バランス体の移動によるアンバランス補正の開始タイミングを所望のタイミングに設定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態の切断正面図である。
【図2】第1の実施形態の一部の平面図である。
【図3】この発明の第2実施形態の切断正面図である。
【図4】第2実施形態の一部の平面図である。
【図5】従来例の切断正面図である。
【符号の説明】
22 保持体(静止部材)
29 シャフト(回転部材)
30 ハブ部材(回転部材)
31 ターンテーブル(第1部材)
36、54 移動路
37 球体(バランス体)
39 円筒体(回転体)
40 ねじ(変換手段)
40a、58 雌ねじ
40b、56 雄ねじ
42、65 渦巻きばね
43、59 押え板(第2部材)
45、64 当接体
46、66 バランス補正装置
51 軸体(回転体)
52 受け部材(第1部材)
Claims (6)
- 回転軸に連動して回転する第1部材と、
前記第1部材の回転の軸方向に沿って一方向及びその反対の他方向に移動自在に設けられた第2部材と、
前記両部材の間に前記回転軸と同心の環状に形成された移動路と、
前記移動路内を周方向に移動自在に前記移動路に収容されたバランス体と、
前記第1部材と同軸に設けられ慣性力により前記第1部材に対して相対的に双方向に回転する回転体と、
前記回転体の前記第1部材に対する相対的な回転を前記軸方向への直線的な移動に変換して前記第2部材に伝達する変換手段と、
前記第2部材に形成された係合手段と、
前記係合手段に摺接するように前記第1部材に形成され摺接時の摩擦力により前記回転体の前記第1部材に対する相対的な回転を阻止して前記第2部材の移動を規制する当接体と、
両端が前記第1部材と前記回転体とに係止して設けられ前記第1部材に対する前記回転体の回転にずれが生じたときに前記回転体を付勢する渦巻きばねと
を備え、
前記第2部材の前記一方向への移動により、前記両部材間に前記バランス体を挟持して前記バランス体を拘束状態に保持し、前記第2部材の前記他方向への移動により、前記バランス体を拘束状態から解放して前記バランス体を移動可能な状態にすることを特徴とするバランス補正装置。 - 前記変換手段は、前記回転体及び前記第2部材に形成されて互いに螺合したねじにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載のバランス補正装置。
- 前記第1部材の回転が所定回転数になるまで前記バランス体の拘束状態が維持され、前記第1部材の回転が所定回転数を超えると前記バランス体を拘束状態から解放されるようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載のバランス補正装置。
- 静止部材及びこの静止部材に対して回転自在に設けられた回転部材とにより構成され、
前記回転部材の回転軸に連動して回転する第1部材と、前記第1部材の回転の軸方向に沿って一方向及びその反対の他方向に移動自在に設けられた第2部材と、前記第1、第2部材の間に前記回転軸と同心の環状に形成された移動路と、前記移動路内を周方向に移動自在に前記移動路に収容されたバランス体と、前記第1部材と同軸に設けられ慣性力により前記第1部材に対して相対的に双方向に回転する回転体と、前記回転体の前記第1部材に対する相対的な回転を前記軸方向への直線的な移動に変換して前記第2部材に伝達する変換手段と、前記第2部材に形成された係合手段と、前記係合手段に摺接するように前記第1部材に形成され摺接時の摩擦力により前記回転体の前記第1部材に対する相対的な回転を阻止して前記第2部材の移動を規制する当接体と、両端が前記第1部材と前記回転体とに係止して設けられ前記第1部材に対する前記回転体の回転にずれが生じたときに前記回転体を付勢する渦巻きばねとから成り、前記第2部材の前記一方向への移動により、前記第1、第2部材間に前記バランス体を挟持して前記バランス体を拘束状態に保持し、前記第2部材の前記他方向への移動により、前記バランス体を拘束状態から解放して前記バランス体を移動可能な状態にするバランス補正装置を備えていることを特徴とする回転装置。 - 前記変換手段が、前記回転体及び前記第2部材に形成されて互いに螺合したねじにより構成されていることを特徴とする請求項4に記載の回転装置。
- 前記第1部材の回転が所定回転数になるまで前記バランス体の拘束状態が維持され、前記第1部材の回転が所定回転数を超えると前記バランス体を拘束状態から解放されるようにしたことを特徴とする請求項4または5に記載の回転装置。
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