JP3688447B2 - マイクロ波加熱用のパン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロ波加熱用のパン、それを製造するためのパン生地及び原料粉に関する。
【0002】
【従来の技術】
食生活の変化に伴い、室温、冷蔵、または冷凍保存した食品を、必要に応じて電子レンジで再加熱して食品に供することが多くなっている。
電子レンジで使用されるマイクロ波はたいていの食品を迅速に加熱することができるが、ある種の食品、特に従来からあるパンの加熱に用いられると本来それらが有している特性を失ってしまうという問題が発生している。
即ち従来からあるパンやロール製品にマイクロ波をあてると、▲1▼表面に皺が発生したり、形状が悪くなって見掛けが悪くなる、▲2▼パン自体が湿ってしまうか或いはパンの中心部に塊の部分を形成する、▲3▼皮の部分が噛みきれないほど固くなる、▲4▼製品の内部はゴムやガム状になって歯切れが悪くなる、などの現象がみられ、焼成直後のパンとは全く異なったものになる。
【0003】
上記の問題を解決するために、例えば米国特許第4,463,020号には、長粒の米粉を小麦粉の約5〜60重量%用いたパンやロール製品のようなイースト発酵食品、米国特許第4,560,559号には、粒径が20ミクロン以下である米澱粉、とうもろこし澱粉、小麦澱粉を使用したイースト発酵食品、特開昭63−287435号には、小麦粉に油脂10〜30%を配合したパン、特開平4−183353号には、原料の穀粉類に対して馬鈴薯澱粉粕を乾物換算で0.5〜10重量%添加した、パン類、菓子類,ピザ等のベ−カリ−製品が開示されている。
【0004】
米国特許第4,463,020号及び米国特許第4,560,559号には、冷蔵程度までの食品ならマイクロ波加熱に対してかなり有効であるが、澱粉を含有する食品をマイクロ波で再加熱する時には冷凍状態であってはならず、再加熱する前に解凍しなくてはならないことが記載されている。
特開昭63−287435号及び特開平4−183353号には、冷凍パンを直接マイクロ波加熱しようとすることについては記載されていない。特開昭63−287435号記載のパンをマイクロ波加熱するとパンが柔らかくなりすぎるし、特開平4−183353号記載のパンは風味に問題がある。また、何れもパンの焼成時の製品容積がでにくく、マイクロ波加熱後もその状態が継続するという共通の問題がある。
【0005】
このように、パンのマイクロ波による加熱は、せいぜい冷蔵程度までのパンに限られ、冷凍したパンをマイクロ波加熱する場合には自然解凍を含めて何らかの方法で解凍してからでないと利用できないものであった。
これらに対して、冷凍したパンでも直接マイクロ波で加熱できるようにする試みも提案されている。例えば、特開昭64−71433号には、単に架橋した澱粉でなく、アセチル化、ヒドロキシプロピル化など化学的に改質した澱粉を添加すること、特開平2−222639号には、パン生地に対し乳化剤(好ましくはシヨ糖脂肪酸エステル)を1〜6重量%配合すること、特開平4−218327号には、蛋白質含量が6.5〜10重量%となるようにデュラム小麦粉を使用し、8〜24時間の中種発酵時間をとること、特開平4−36140号には、α化処理穀粉及び/または保水性のある食物繊維を使用すること、特開平5−219878号には、食用油脂、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、脂肪酸モノグリセリド及びカゼイン酸ナトリウムを含有するO/W乳化組成物もしくはそれを噴霧乾燥して得られる粉末油脂を添加すること、特開平6−153769号には、デユラム小麦粉の配合割合が30〜100重量%である穀粉を使用することが開示されている。
【0006】
特開昭64−71433号では化学的に改質した澱粉を効果的な量(パン製造業者の処方箋中5〜30%)添加してマイクロ波加熱によって生じる外観や食感の劣化をかなりの程度改善しているが歯切れのよさが不足して口溶けが悪い問題が残っていた。
特開平2−222639号では乳化剤を多量に使用することで冷凍パンをマイクロ波加熱できるとしているが、パンの味自体に問題がある。
特開平4−218327号では蛋白含量の少ない小麦粉の使用割合を多くできるパンの製造を可能にし、デュラム小麦粉の使用で冷凍品のマイクロ波加熱も可能であると示唆しているが、発酵時間が異常に長く作業性が極端に悪くなるし、特開平4−36140号では水分を大量に含有させてマイクロ波加熱後の外皮のソフト化をはかっているが、歯切れなどの食感に関しては充分といえない。
特開平5−219878号では食用油脂の添加に予め乳化する、或はさらにそれを粉末化するなど余分な工程が必要である
特開平6−153769号では焼成時の容積が必ずしも充分でなく、マイクロ波加熱後もその状態が残る。
【0007】
パンの食感に関して、パンの種類毎にできあがっている固定化した観念を変えるために、本発明者らは小麦粉に冷水膨潤澱粉と他の澱粉類(好ましくは3〜15の加熱膨潤度と15重量%以下の加熱溶解度を有する架橋澱粉)を用いるパン(特願平8−112024号)を提案し、ケーキ風の食感を有するパンの製造を可能にしたが、マイクロ波加熱後のパンの食感については全く考慮にいれたものでなかった。
このように従来の方法では、パンを常温、冷蔵、或は冷凍後にマイクロ波で加熱すると、パンの保存状態によってマイクロ波加熱に対する耐性にバラツキがみられたり、マイクロ波加熱後のパンやロール製品の食感の改善が充分なものでなかったり、味が悪くなる、或は実用性に問題があるなど必ずしも満足のいくものでなく、その改善が強く求められている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、パンを焼成後に常温、冷蔵、或いは冷凍で保存し、マイクロ波で直接加熱しても、外観、外皮、食感などに問題を生じないパン、このようなパンを製造するためのパン生地、及び原料粉を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはかかる実情に鑑み、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、小麦粉、膨潤抑制澱粉、冷水膨潤澱粉を特定の重量比率で含み、小麦粉由来の蛋白質を特定量含有する原料粉を用いることにより上記問題点が解消されることを見出して本発明を完成させた。
本発明は、小麦粉、膨潤抑制澱粉、及び冷水膨潤澱粉を含むマイクロ波加熱用のパンの原料粉であって、膨潤抑制澱粉の加熱膨潤度が3〜15、加熱溶解度が15重量%以下であり、小麦粉と膨潤抑制澱粉の重量比率が95〜60:5〜40であり、小麦粉と膨潤抑制澱粉の合計量100重量部に対して冷水膨潤澱粉0.5〜4重量部を含み、小麦粉由来の蛋白質の含有量が原料粉の全重量に対して8.5〜12重量%である、マイクロ波加熱用のパンの原料粉を提供するものである。
本発明はまた、上記パンの原料粉を用いて製造したマイクロ波加熱用のパンを製造するためのパン生地、及びこのパン生地を用いて製造したマイクロ波加熱用のパンを提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に於てパンとは小麦粉、イースト、食塩、水、イーストフードの他、砂糖、グルコース、異性化糖、オリゴ糖などの糖類、脱脂粉乳、全乳粉末などの乳製品、ショートニング、マーガリン、バターなどの油脂類、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸乳乳酸カルシウムなどの乳化剤、シナモン、バジリコなどの香辛料、ブランデー、ラム酒などの洋酒類、レ−ズン、ドライチェリーなどのドライフルーツ、アーモンド、ピーナッツなどのナッツ類、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、イソアミラーゼなどの澱粉分解酵素、香料(例えばバニラエッセンス)、人口甘味料(例えばアスパラテーム)、食物繊維(例えば難消化性デキストリン))、活性グルテン、ココアパウダーなど一般にパンの製造に用いられている副原材料、或いはパンの種類によって用いられる副原材料を必要に応じて適宜配合した生地を発酵膨化させた後、焼成、フライ、蒸しなどの加熱処理を行って製造されるものを指称し、具体的にはプルマン、イギリスパンなどの食パン類、バンズ、テーブルロールなどのロール類、菓子パン類、中華鰻、あるいはハム、ソーセージ、ベーコン、卵、野菜類などの内容物を含有する調理パンなどが挙げられる。中でも上記のパンが冷凍してあり、何らかの方法で加熱する必要のある冷凍パンがより好ましい。
【0011】
本発明において、「原料粉」とは小麦粉、膨潤抑制澱粉及び冷水膨潤澱粉の3成分を含む言葉として用いるが、原料粉中の蛋白質含量の調整に活性グルテンを添加する場合にはこれも含めた言葉として用いる。
本発明で使用する小麦粉は蛋白質含量の低い薄力粉から蛋白質含量の高い強力粉まで、所謂小麦粉と称されるものはいずれも包含し、要は所定量の小麦粉を使用した時に所定量の小麦粉由来の蛋白質が含まれるように用いればよい。尚、必要に応じて小麦粉の一部(20〜30重量%程度まで)をライ麦粉、コーンフラワー、グラハムフラワーなどで置き換えることもできる。
本発明に使用する膨潤抑制澱粉とは、澱粉を加熱糊化した際に澱粉粒子の膨潤が抑制されるように何らかの方法で加工した澱粉であって、その加熱膨潤度が3〜15で、且つ加熱溶解度が15重量%以下、更に好ましくは加熱膨潤度が4〜10で、且つ加熱溶解度が10重量%以下である澱粉を指称する。膨潤抑制澱粉に於て、加熱膨潤度が15を越えたり、加熱溶解度が15重量%を越えるとマイクロ波加熱に対して耐性が弱く、加熱膨潤度が3未満であると、マイクロ波加熱後のパンの食感が悪くなる。
【0012】
澱粉粒子の膨潤を抑制した加工澱粉としては、架橋澱粉、老化澱粉、湿熱処理澱粉、乳化剤処理澱粉などが挙げられる。しかし、一般に、加熱膨潤度は適度に調節することができるが、加熱溶解度の調節は難しいので、この両者を容易に調節することができる架橋澱粉を使用することが特に好ましい。
このような架橋澱粉は、トリメタリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、オキシ塩化リン、エピクロロヒドリンなどの常用の架橋剤を用いて澱粉を架橋することにより得られる。原料澱粉としては市販の澱粉、例えば馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉などいずれも使用することができる。中でも、タピオカ澱粉や馬鈴薯澱粉を原料にした架橋タピオカ澱粉と架橋馬鈴薯澱粉が最も効果的であり、好ましい。
【0013】
本発明に使用する冷水膨潤澱粉とは、加熱溶解度が8重量%以下であって、冷水膨潤度(Sc)と加熱膨潤度(Sh)の比が1.2≧Sc/Sh≧0.8の関係にあり、且つ、冷水膨潤度が4〜15の特性を持つ加工澱粉であり、これらの特性を全て満たす加工澱粉を本発明では冷水膨潤澱粉と呼称する。
冷水膨潤澱粉に於て、加熱溶解度、冷水膨潤度及び冷水膨潤度と加熱膨潤度の比が上記範囲を逸脱すると、電子レンジ加熱後のパンの外皮を適度な硬さに保持できなくなったり、表面に皺が発生しやすくなってパンの外観を悪くする。
このような加工澱粉は例えば、特開平5−15296号に従って製造することができる。具体的には市販の澱粉、その中でも好ましくは馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉及びサゴ澱粉より選ばれる一種又は二種以上の澱粉を原料にして、先ずこれを架橋して冷水膨潤澱粉用の架橋澱粉とする。
【0014】
この冷水膨潤澱粉用の架橋澱粉は、常法に従ってトリメタリン酸塩、オキシ塩化リン、エピクロルヒドリンなどの架橋剤のみを作用させたものでもよいが、好ましくはエステル化又はエーテル化と架橋反応を行った架橋エステル澱粉又は架橋エーテル澱粉である。その架橋の程度は90℃まで加熱し、50℃に冷却してB型粘度計で測定した時、約500cpsの粘度を示す濃度が約10−17重量%になるような程度である。また、エステル化又はエーテル化の程度は、その置換度(DS)が0.01−0.25になるように行う。エステル化又はエーテル化自体は常法に従えばよく、この際使用されるエステル化剤やエーテル化剤も従来から使用されてきたものが広い範囲で使用される。
かくして得られた冷水膨潤澱粉用の架橋澱粉を、約10−40重量%の水性スラリーとし、その20重量%の濃度でブラベンダーアミログラフで測定した膨潤開始温度より、好ましくは約27℃以上高く、約130℃より低い温度に加熱することによって、本発明の冷水膨潤澱粉を製造することができる。更にこれを噴霧乾燥、ドラム乾燥などによって乾燥し、粉末状にすることが保存性、使用上の利便性などの点で好ましい。
【0015】
尚、本発明の膨潤抑制澱粉や冷水膨潤澱粉に関して述べる加熱溶解度、加熱膨潤度及び冷水膨潤度は次の方法に従って測定される。
〈加熱溶解度、加熱膨潤度〉
絶乾物換算で試料約1.0gを室温の水100mlに分散した状態にし、90℃まで加熱し、この温度で30分間加熱後、直ちに遠心分離(3000rpm、10分間)してゲル層と上澄液に分離する。次いでゲル層の重量を測定し、これをAとする。次いで、重量測定したゲル層を乾固(105℃、恒量)し、重量を測定してこれをBとし、A/Bで加熱膨潤度を表す。一方、この時の上澄液の容量及び上澄液に含まれる全糖量をフェノ−ル硫酸法で測定して加熱溶解度を算出する。
〈冷水膨潤度〉
乾燥物換算で試料約1gを25℃の水100mlに分散した状態にし、30分間25℃の恒温槽の中でゆるやかに攪拌した後、遠心分離(3000rpm、10分間)し、ゲル層と上澄液に分ける。次いでゲル層の重量を測定し、これをCとする。次ぎに重量測定したゲル層を乾固(105℃、恒量)し、重量を測定してこれをDとし、C/Dで冷水膨潤度を表す。
【0016】
本発明の原料粉において、小麦粉と、加熱膨潤度3〜15、加熱溶解度15重量%以下の膨潤抑制澱粉の重量比率は、95〜60:5〜40、好ましくは90〜70:10〜30であり、且つその合計量100重量部に対する冷水膨潤澱粉の量は0.5〜4重量部、好ましくは1〜3重量部である。
小麦粉と膨潤抑制澱粉の重量比率が上記範囲を逸脱すると、マイクロ波加熱後のパンの外観や食感が悪くなる。また、小麦粉と膨潤抑制澱粉の合計量100重量部に対する冷水膨潤澱粉の割合が0.5重量部未満ではマイクロ波加熱後のパンの外皮が乾きすぎて固くなりすぎ、4重量部を越えると表面に皺が発生しやすくなってパンの外観が悪くなったり、外皮が柔らかくなり過ぎる。
【0017】
本発明では上記のような割合で小麦粉、膨潤抑制澱粉、冷水膨潤澱粉を含有させた原料粉を用いるが、更にこの原料粉は小麦粉由来の蛋白質を8.5〜12重量%、好ましくは9.5〜11重量%含むことが必要である。この範囲の蛋白質含量になるように小麦粉を選択して使用するか、又は小麦粉より抽出した活性グルテンを添加して調節する。即ち、膨潤抑制澱粉の使用割合が少ない場合は蛋白質含量の少ない小麦粉を選択し、膨潤抑制澱粉の使用割合が多い場合、或いは小麦粉の一部を米粉、ライ麦粉などで置き換える場合は、蛋白質含量の多い小麦粉を使用して蛋白質含量が前述の範囲になるようにするか、又は活性グルテンを添加して調節する。
原料粉中の蛋白質含量が8.5重量%未満ではパンの成型性が悪くなり、12重量%を越えるとマイクロ波加熱後の食感が悪くなる。
【0018】
本発明のパンは、パンの製造法として一般に行われている中種法、直捏法などいずれの方法でも製造でき、それらの製造法に於て前述の原料粉に食塩、イースト、イーストフード、砂糖、油脂類など原料粉以外の材料を配合し、原料粉100重量部に対し45〜80重量部の割合で加水して混捏して、パン生地とし、これをさらに発酵膨化し、焼成することにより得られる。この際、原料粉として用いる小麦粉、膨潤抑制澱粉、冷水膨潤性澱粉、必要に応じて添加する活性グルテン、或いは更に他の材料を予め混合したプレミックスの形にして使用することもできるし、夫々を別々に添加することもできる。
かくして得られたパンは、単独で、或いはこれらにハム、ソーセージ、ウインナー、ベーコン、コロッケ、卵、野菜類などの内容物を含有させた調理パンとして、常温、冷蔵、冷凍で保存後、直接マイクロ波により再加熱され、食される。本発明のパンは、冷蔵、冷凍で保存後、直接マイクロ波により再加熱しても、外観、食感、味が低下することはない。
【0019】
【参考例1】
水120部に硫酸ソーダ10部、タピオカ澱粉100部を加えたスラリーを5点用意し、これらに攪拌下3%苛性ソーダ水溶液を加えてpH11.1〜11.3に維持しながら、トリメタリン酸ソーダを1.5部(試料No.1)、0.75部(試料No.2)、0.2部(試料No.3)、0.1部(試料No.4)、0.03部(試料No.5)それぞれに加え、39℃で10時間反応した後、塩酸で中和し、水洗、脱水、乾燥して試料No.1〜5の架橋澱粉を得た。これらの加熱膨潤度及び加熱溶解度を表1に示す。
【参考例2】
参考例1に於て、タピオカ澱粉をコーンスターチに替え、トリメタリン酸ソーダを0.25部添加した他は同様に行い、試料No.6の架橋澱粉を得た。その加熱膨潤度及び加熱溶解度を表1に示す。
【参考例3】
参考例1に於て、タピオカ澱粉を馬鈴薯澱粉に替え、トリメタリン酸ソーダを0.5部添加した他は同様に行い、試料No.7の架橋澱粉を得た。その加熱膨潤度及び加熱溶解度を表1に示す。
【参考例4】
市販の春雨を微粉砕した粉末を60メッシュの篩を通して試料No.8の老化澱粉を得た。その加熱膨潤度及び加熱溶解度を表1に示す。また、市販の小麦澱粉、コーンスターチを夫々試料No.9、No.10とし、その加熱膨潤度及び加熱溶解度を表1に示す。
【0020】
【表1】
試料No. 加熱膨潤度 加熱溶解度(%) 備 考
1 3.2 0.2 本発明
2 4.2 0.5 本発明
3 8.8 4.2 本発明
4 12.2 9.3 本発明
5 18.8 16.6 比較例
6 6.9 2.2 本発明
7 7.2 2.1 本発明
8 12.4 17.4 比較例
9 16.0 24.1 比較例
10 22.5 26.3 比較例
【0021】
【参考例5】
水120部に硫酸ソーダ20部を溶解し、市販の馬鈴薯澱粉100部を加えてスラリーとし、攪拌下4%の苛性ソーダ水溶液30部、プロピレンオキサイド4部、エピクロルヒドリン0.1部(試料No.11)、0.14部(試料No.12)、0.4部(試料No.13)、0.8部(試料No.14)をそれぞれ加え、41℃で21時間反応せしめた後、硫酸で中和、水洗した。これらの約500cpsを示す濃度はそれぞれ約8.5%、10%、15%、16.5%であり、膨潤開始温度は約53℃であった。次いで、それぞれ25%の水性スラリーとし、表面温度150℃のダブルドラムドライヤーで加熱処理し、乾燥した。この時の加熱処理温度は102℃であった。次いでこの乾燥物を粉砕して試料No.11〜14の冷水膨潤澱粉を得た。その加熱溶解度(%)、冷水膨潤度及び膨潤度比(冷水膨潤度/加熱膨潤度)を表2に示す。尚これらのエーテル化度(DS)は0.08〜0.85の範囲にあった。
【0022】
【参考例6】
参考例5の試料No.13の調製において、反応、水洗までは同様に処理した後、加熱条件を次の様に替えて試料No.15を得た。即ち、水洗した後、これを15%の水性スラリーとして64℃で15分加熱し、次いで入口温度175℃、出口温度85℃で噴霧乾燥した。その加熱溶解度(%)、冷水膨潤度及び膨潤度比を表2に示す。
【0023】
【表2】
試料No. 加熱溶解度(%) 冷水膨潤度 膨潤度比
11 9.0 16.4 1.23
12 7.1 14.1 1.12
13 2.5 8.5 1.02
14 0.8 5.3 0.84
15 2.4 5.8 0.70
【0024】
【実施例1】
蛋白質含量12.2%の小麦粉、加熱膨潤度と加熱溶解度の異なる澱粉製品として試料No.1〜No.8の膨潤抑制澱粉、試料No.9の小麦澱粉、試料No.10のコーンスターチ、冷水膨潤澱粉として試料No.13(加熱溶解度2.5%、冷水膨潤度8.5、膨潤度比1.02)を用い、小麦粉と膨潤抑制澱粉または原料澱粉の合計量を100部とし、下記配合割合の中種法でロールパンを製造した。
<配合割合>
中種 対照区 実施例区及び比較例区
小麦粉 70 部 70 部
イーストフード 0.12部 0.12部
イースト 3 部 3 部
水 42 部 42 部
本捏
小麦粉 30 部 15 部
膨潤抑制澱粉または原料澱粉 − 15 部
冷水膨潤澱粉 − 1.5 部
砂糖 10 部 10 部
食塩 1.8部 1.8部
脱脂粉乳 3 部 3 部
全卵 7 部 7 部
水 15 部 19 部
ショートニング 8 部 8 部
【0025】
Figure 0003688447
得られたロールパンを−40℃の急速冷凍機で30分間冷凍後、−20℃の冷凍庫に入れて3日間保存した。これらの冷凍パンを家庭用の電子レンジを用いて500Wで45秒間加熱後、以下の基準で評価した。その結果を表3に示す。
【0026】
外観(表面の皺、全体の形状や容積を総合的に判定)
◎:良好。
○:やや良好。
△:やや悪い。
外皮
◎:対照品の焼成時のパンと同じ程度の硬さを有する。
○:対照品の焼成時のパンより幾分固い。
△:対照品の焼成時のパンに比してかなり硬い。
×:対照品の焼成時のパンに比して非常に硬い、或は非常に柔らかい。
食感
◎:歯切れが良く、ソフトである。
○:歯切れがやや良く、ややソフトである。
△:ややガム状またはやや粘りあって、歯切れがやや悪い。
×:ガム状または粘りがあって、歯切れが悪い。
【0027】
【表3】
Figure 0003688447
【0028】
【実施例2】
実施例1で使用した小麦粉と、試料No.2の膨潤抑制澱粉の合計量を100部、試料No.13の冷水膨潤澱粉1.2部、市販の活性グルテン(蛋白含量76.5%)を用い、下記配合割合の直捏法でロールパンを製造した。可変した原材料の添加量及び得られたロールパンを実施例1に準じて評価した。結果を表4に示す。尚、加水量は対照区と同じ程度の生地粘性になるような割合で添加した。
【0029】
Figure 0003688447
【0030】
【表4】
Figure 0003688447
【0031】
【実施例3】
実施例1の本捏時に於て、膨潤抑制澱粉として試料No.2を15部、冷水膨潤澱粉として試料No.11〜15と水を表5の割合で使用し、実施例1に準じてロールパンを製造し、同じように評価した。結果を表5に示す。
【0032】
【表5】
Figure 0003688447
【0033】
【実施例4】
蛋白質含量11.5%の小麦粉を使用し、下記の配合割合で、中種法を用いて、バンズを製造し、実施例1と同じように評価した。結果を表6に示す。尚、本捏時に使用した活性グルテン(蛋白質含量76.5%)と水の添加量も表6に記載した。
<配合割合>
中種 対照区 実施例区及び比較例区
小麦粉 70 部 70 部
イーストフード 0.1部 0.1部
イースト 2.5部 2.5部
水 42 部 42 部
本捏
小麦粉 30 部 8 部
膨潤抑制澱粉(試料No.3) − 22 部
冷水膨潤澱粉(試料No.14) − 1.5部
砂糖 10 部 10 部
食塩 2 部 2 部
脱脂粉乳 4 部 4 部
モノグリ 0.3部 0.3部
活性グルテン − 可変
水 24 部 可変
ショートニング 8 部 8 部
【0034】
Figure 0003688447
【0035】
【表6】
Figure 0003688447
*1小麦粉、膨潤抑制澱粉、冷水膨潤澱粉、活性グルテンの合計量に対する小麦粉由来の蛋白質含量。
【0036】
【実施例5】
実施例1で製造した対照区のロールパンと試料No.2の膨潤抑制澱粉、試料No.12の冷水膨潤澱粉を用いた実施例区のロールパンが常温まで冷却されたところで、長手方向に切目を入れ、ウインナーを挟み込んでウインナー入り電子レンジ加熱用調理パンとし、常温、4℃の冷蔵庫及びー20℃の冷凍庫で保存した。尚、冷凍の場合は、−40℃の急速冷凍機で30分間冷凍してから、−20℃の冷凍庫で保存した。
2日後にこれらの電子レンジ加熱用調理パンを家庭用の500W電子レンジを用い、常温のパンには60秒、冷蔵のパンには80秒、冷凍のパンには150秒加熱を行なった後、実施例1の基準で評価した。結果を表7に示す。
【0037】
【表7】
Figure 0003688447
【0038】
【実施例7】
実施例5において、ウインナーの代わりにソーセージ、コロッケ、カツ、焼きそばを挟んだ加熱用調理パンを製造し、常温、冷蔵、冷凍の状態に保存後、電子レンジで加熱して評価した。その結果、ウインナーを使用した場合とほぼ同様の結果が得られた。

Claims (6)

  1. 小麦粉、膨潤抑制澱粉、及び冷水膨潤澱粉を含むマイクロ波加熱用のパンの原料粉であって、
    膨潤抑制澱粉の加熱膨潤度が3〜15、加熱溶解度が15重量%以下であり、
    冷水膨潤澱粉の冷水膨潤度が4〜15、加熱溶解度が8重量%以下であり、
    冷水膨潤度(Sc)と加熱膨潤度(Sh)の比が 1. 2≧Sc/Sh≧ 0. 8であり、
    小麦粉と膨潤抑制澱粉の重量比率が95〜60:5〜40であり、
    小麦粉と膨潤抑制澱粉の合計量100重量部に対して冷水膨潤澱粉0.5〜4重量部を含み、
    小麦粉由来の蛋白質の含有量が原料粉の全重量に対して8.5〜12重量%である、
    マイクロ波加熱用のパンの原料粉。
  2. 膨潤抑制澱粉が架橋タピオカ澱粉及び/又は架橋馬鈴薯澱粉である請求項1に記載のパンの原料粉。
  3. 膨潤抑制澱粉が、加熱溶解度10重量%以下であり、加熱膨潤度4〜10である、請求項1又は2に記載のパンの原料粉。
  4. 冷水膨潤澱粉の含有量が、小麦粉と膨潤抑制澱粉の合計量100重量部に対して1〜3重量部である請求項1〜のいずれか1項記載のパンの原料粉。
  5. 請求項1〜のいずれか1項記載のパンの原料粉を用いて製造したマイクロ波加熱用のパンを製造するためのパン生地。
  6. 請求項記載のパン生地を用いて製造したマイクロ波加熱用のパン。
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