JP3688360B2 - 縫製製品の端縁処理用テープ及び端縁処理縫製製品の製法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、縫製製品の端縁処理用テープ、及び前記の端縁処理用テープを用いる端縁処理縫製製品の製造方法に関する。本発明による端縁処理用テープは、上着などの裾上げ加工などに用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
衣服や袋物などの縫製製品では、布地(表地)の端部を内側に折り返して止める、裾上げ加工が行われる。特に、上着の袖口や裾、あるいはスカートやズボンの裾などでは、裾上げ加工が不充分な場合には、装着時に、へム(裾上げ加工を行った場合に、袖口などの裏側に折り曲げられる布地の端縁)が表側に飛び出す現象、すなわち「ヘムだれ」が生じやすくなる。
従来、前記のヘムだれを防ぐための裾上げ加工は、スレキ布を使用して千鳥止め(抄縫い)により実施するのが一般的であったが、非常に手間がかかると同時に薄手の表地には適用することができなかった。
また、前記の欠点を解決する目的で、袖口の一周分にテープ状接着不織布を接着させた後にへムを折り返し、表地の縫合部と一致する前記折返し部の端部を、表地及び裏地と縫合する方法があったが、例えば、背広の袖口の表地では袖口の一周円上に縫合部が2箇所しかないので、縫合していない箇所のへムが外に飛出しやすいという問題があった。
更に、実開平3−38393号公報には、テープの両端部に接着テープを縫合した裾上げテープが開示されている。しかし、この裾上げテープは表地の裏側で接着剤を直接に接触させるため、表地の裏側に裾上げテープが接着していることが外観から分かる現象、すなわち「あたり」が生じるという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、背広やコートなどの上着の袖口、裾や、スカートやズボンの裾などの裾上げ加工を容易にするために、薄手の表地にも適用でき、操作が簡便で、「ヘムだれ」や「あたり」が生じない裾上げ加工手段を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記の目的は、本発明により、
(1)長手方向に延びる縫代帯と接着層担持帯とからなる長尺状ベースシートと、(2)その接着層担持帯の一方の表面の一部に、長尺状ベースシートの長手方向に、前記接着層担持帯と縫代帯との境界線を一方の端部として含んで帯状に設けた第1接着層と、(3)前記の接着層担持帯のもう一方の表面の一部に、長尺状ベースシートの長手方向に帯状に設けた第2接着層とを含む、縫製製品の端縁処理用テープであって、
前記第1接着層の接着層担持帯と縫代帯との境界線側とは反対側の端部が、前記第2接着層の前記境界線側の端部より、前記境界線側にあり、
前記の縫代帯の幅方向の長さが、縫代帯と被処理布地とを縫代帯の長手方向に所定間隔をおいて、縫代帯の幅方向に縫合した際に、非縫合部に実質的にヘムだれを生じない長さである
ことを特徴とする、前記の端縁処理用テープによって達成することができる。
本発明は、
(1)前記の端縁処理用テープの接着層担持帯側の端縁を、被処理布地の裾上げ加工側の端縁の方向へ向けて両者の端縁が実質的に平行になるように、しかも、前記接着層担持帯側の端縁が裾上げ加工側の端縁と実質的に一致するか若しくは被処理布地の裾上げ加工側の端縁が突出するように接触させ、更に、前記端縁処理用テープの前記境界線又は第2接着層の境界線側端部と所定の折返し線とを所定の相対位置に合わせて、前記端縁処理用テープを前記被処理布地の上に置き、
(2)前記端縁処理用テープと被処理布地とを、それらの間で接触している第1接着層又は第2接着層のいずれか一方によって接着し、
(3)被処理布地の裾上げ加工側の端縁を、所定の前記折返し線に沿って、端縁処理用テープの未接着の第2接着層又は第1接着層の担持面に向けて折返し、
(4)前記端縁処理用テープと被処理布地とを未接着の第2接着層又は第1接着層によって接着し、
(5)端縁処理用テープの縫代帯と被処理布地とを、縫代帯の長手方向に非縫合部に実質的にヘムだれを生じない所定間隔をおいて、少なくとも縫代帯の幅方向に縫合する
各工程を含む、端縁処理縫製製品の製造方法であって、
前記工程(1)で被処理布地と接触する第1接着層の境界線側端部、又は被処理布地と接触する第2接着層の境界線側端部との所定の相対位置に合わせる前記の折返し線が、(a)第1接着層の境界線側端部若しくは第2接着層の境界線側端部と一致するか、(b)第1接着層の境界線側端部若しくは第2接着層の境界線側端部よりも、被処理布地の裾上げ加工側の端縁から離れる方向に位置するか、又は(c)前記の折返し線が、第1接着層の境界線側端部若しくは第2接着層の境界線側端部よりも被処理布地の裾上げ加工側の端縁に向かう方向に位置する場合には、折返し線と第1接着層の境界線側端部若しくは第2接着層の境界線側端部との間が裾上げ加工後の裾にはりを生じる距離であることを特徴とする、前記の端縁処理縫製製品の製造方法にも関する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の端縁処理用テープの1態様を図1に示す。端縁処理用テープ1は、長尺状ベースシート2と接着層3a,3bとからなり、前記ベースシート2は、境界線4によって分割される縫代帯5と接着層担持帯6とからなる。また、前記ベースシート2は、前記接着層3a,3bを担持する部分に帯状の担持層7a,7bを有していることもできる。前記接着層3a,3bは、前記担持層を設けずに、ベースシート2上に直接設けてもよい。前記の担持層7a,7bは、例えば、縫合線8a,8bに示すように、縫合によりベースシート2に結合させると、融通性があり、風合いが優れているので好適である。
【0006】
前記の縫代帯5及び接着層担持帯6は、ベースシート2の長手方向に相互に平行に、それぞれが実質的に同じ幅で帯状に連続して延びているのが好ましい。すなわち、図1に示すように、縫代帯5は、境界線4と縫代帯側端縁Esとの間の帯状体であり、接着層担持帯6は、境界線4と接着層担持帯側端縁Eaとの間の帯状体である。前記の縫代帯5及び接着層担持帯6は、ベースシート2における機能により便宜的に分割したものである。すなわち、第1接着層によって区分される、接着層を有さない部分を縫代帯5と称し、接着層を担持する帯状部分を接着層担持帯6と称するものであり、縫代帯5と接着層担持帯6とを別の材料から構成してもよいが、ベースシートとして一体的に構成されるのが好ましい。
【0007】
縫代帯5と接着層担持帯6との境界線4を一方の端縁とする第1接着層3aは、ベースシート2の長手方向に、連続的に又は不連続的に、好適には連続的に帯状に延びる。第1接着層3aの幅方向(長手方向に直交する方向)の長さは特に限定されず、境界線とは反対側の端部がベースシート2の接着層担持帯側端部Eaにまで延びていてもよい。なお、担持層7aを有する場合は、第1接着層3aが担持層7aと共に接着層担持帯6の端縁Eaよりも更に外側に延長されていてもよい。
第2接着層3bは、前記の第1接着層3aとは反対側の接着層担持帯6の表面に設ける。第2接着層3bも、ベースシート2の長手方向に連続的又は不連続に帯状に延び、設置位置や幅の長さなどは特に限定されない。また、担持層7bを有する場合は、図2に示すように、第2接着層3bが担持層7bと共に接着層担持帯6の端縁Eaよりも更に外側に延長されていてもよい。
【0008】
本発明による端縁処理用テープは、任意の縫製製品の裾上げ処理や袖口処理などに用いることができる。縫製製品及びその縫製製品において端縁処理が必要な箇所としては、例えば、上着の袖口や裾、ズボンやスカートの裾、袋物(例えば、巾着)の口などがある。
前記のベースシートは、織物又は不織布のいずれから構成してもよいが、不織布の方がほつれないので好適である。ベースシートとして用いることのできる不織布は特に限定されるものではないが、例えば、水流絡合やニードルパンチによる絡合によって調製した不織布、接着剤の部分的若しくは全体的な接着、又は不織布構成繊維の部分的若しくは全体的な融着によって調製した不織布、構成繊維又は別の繊維(又は糸)によるステッチ処理により調製した不織布、あるいはこれらの方法を組合わせて調製した不織布を挙げることができる。なお、糸、織物、編物と繊維ウエブとを複合した不織布であってもよい。
なお、ベースシートに、前記接着層を担持する担持層を設ける場合には、その担持層も織物又は不織布のいずれから構成してもよいが、不織布の方がほつれないので好適である。担持層に用いることのできる不織布も特に限定されるものではなく、例えば、前記のベースシートと同様の不織布を用いることができるが薄く、柔軟性に優れるものを使用するのが好ましい。また、担持層を前記のベースシートに結合させる方法も特に限定されるものではないが、例えば、接着剤により接着するか、不織布の繊維を絡合して結合するか、あるいは好ましくは縫合によりベースシートに結合させることができる。
【0009】
接着層は、感圧又は感熱接着樹脂をベースシート又は担持層に塗布して設けることができる。また、エルダー糸(接着糸:すなわち、高融点コア繊維と感熱接着繊維とを撚り合わせて製造した糸で、表面に感熱接着繊維の露出部がある)を縫合してもよい。図3に、不連続な第2接着層としてエルダー糸3cをベースシート2に縫合して配置した端縁処理用テープ1を示す。エルダー糸を1本のみでなく、2本又はそれ以上、例えばそれぞれ平行に縫合して配置してもよい。また、第1接着層3a及び第2接着層3bの両方をエルダー糸からなる接着層としてもよく、又は第1接着層3aのみをエルダー糸からなる接着層としてもよい。
担持層上に接着層を設ける場合には、接着樹脂を塗布した繊維テープを縫合すると、歪を吸収することができるので好ましい。特に、不織布製テープにホットメルト接着剤をドット状に塗布して製造した接着不織布を、担持層及びその上の接着層として用いるのが好ましい。
【0010】
次に、図1に示すように、本発明による端縁処理用テープにおいて、ベースシート2上の第1接着層3aと第2接着層3bとの間に接着層を担持しない空白域9が存在し、しかも第2接着層3bの端縁がベースシート2における接着層担持帯側端縁Eaと一致する好ましい態様(接着層担持層7a,7bは、設置しても、設置しなくてもよい)の1つである端縁処理用テープについて、それらの使用方法を、図面に沿って説明する。
すなわち、図1に示す端縁処理用テープ1を用いて、被処理布地10の裾上げを行う場合には、はじめに、図4に示すように、被処理布地10の折返し線P1に沿って、第2接着層3bの端縁(すなわち、端縁処理用テープの接着層担持帯側端縁Ea)を合わせ、端縁処理用テープ1と被処理布地10とを第2接着層3bで接着させる。この接着は、第2接着層3bと被処理布地10とを、例えば、アイロンなどにより、加熱押圧処理して実施することができる。
【0011】
次に、被処理布地10の端縁Eを、折返し線P1に沿って矢印Aの方向へ折曲げて、図5に示すように、端縁Eの先端を第1接着層3aの縫代帯側の端縁Fに合わせ、更に被処理布地10と第1接着層3aとを接着させる。この接着も、第1接着層3aと被処理布地10とを、例えば、アイロンなどにより、加熱押圧処理して実施することができる。なお、図5において破線で示すように、被処理布地10の端縁Eを、矢印Aの方向へ折曲げた時に、その端縁Eの先端を第1接着層3aの縫代帯側の端縁Fよりも縫代帯5の側に飛び出るように、端縁処理用テープ1を被処理布地10と合わせて、被処理布地10と第2接着層3bとを接着させてもよい。後者の場合には、縫代帯5の側に飛び出した被処理布地領域10’を裏地接合部、すなわち、例えば縫合により被処理布地10と裏地(図示せず)とを接合する領域とすることができるので好ましい。従って、縫代帯5の側に飛び出した裏地接合部10’の幅方向の長さは、裏地との接合(例えば、縫合)が可能な長さであれば充分である。なお、第1接着層3aを縫合糸8aによって端縁処理用テープ1と縫合してある場合は、第1接着層3aの境界線側端部と縫合糸8aとの間の領域も裏地との接合部として用いることができる。
【0012】
こうして得られた裾上げ処理部は、裾の端部に接着剤との接合部に直接あたる部分Bが存在するが、その部分は裾なので「あたり」が出ず、むしろ裾に「はり」をもたせることができるので好ましい。すなわち、この場合には、折り返した際に、裾に「はり」をもたせる位置に折返し線P1を設定する。
なお、「はり」が不要の場合には、折り返した時に端縁Eの先端が第1接着層3aの縫代帯側の端縁Fに一致するか、又はその端縁Fよりも裏地接合部10’を設けるように縫代帯側に飛び出すように、第2接着層3bの端縁(端縁処理用テープの接着層担持帯側端縁Ea)を被処理布地10に合わせ、第2接着層の境界線側端縁と一致する折返し線P2に沿って折り返せば、接着剤と直接あたる部分Bが裾上げ加工後の外側からは見えなくなる。もちろん、折返し線P1と折返し線P2との間で折り返しても、更に、折返し線P2よりも更に被処理布地10の裾上げ加工側の端縁Eから離れる位置、すなわち内側(端縁Eの反対側)で折り返してもよい。しかし、折返し線P1よりも端縁Eの側に折返し線を設けると、前記部分Bが裾から離れ、「あたり」が現れるので好ましくない。
【0013】
更に、図1に示した端縁処理用テープ1を別の態様で用いることもできる。すなわち、図6に示すように、端縁処理用テープ1の第2接着層3bの端縁(すなわち、端縁処理用テープの接着層担持帯側端縁Ea)を、被処理布地10の端縁Eに合わせ、端縁処理用テープ1と被処理布地10とを第2接着層3bで接着させる。次に、図6及び図7に示すように、被処理布地10の端縁Eを、折返し線Pに沿って矢印Aの方向へ折曲げて、端縁Eの先端を第1接着層3aの縫代帯側の端縁Fに合わせ、更に端縁処理用テープと接着させる。これらの接着は、第1接着層3a又は第2接着層3bと被処理布地10とを、例えば、アイロンなどにより、加熱押圧処理して実施することができる。この場合にも「あたり」が出ないので好適である。なお、図6及び図7において破線で示すように、被処理布地10の端縁Eを、矢印Aの方向へ折曲げる際に、その端縁Eの先端を第1接着層3aの縫代帯側の端縁Fよりも縫代帯5の側に飛び出した地点で合わせ、裏地接着部10’を設けて被処理布地10と第1接着層3aとを接着させたり、端縁処理用テープ1の接着層担持帯側端縁Eaを、被処理生地10の端縁E’よりも内側(E)に接着した後、矢印Aの方向へ折り曲げて裏地接着部10’を設けると、裏地との接合が容易になるので好ましい。
【0014】
第1接着層及び第2接着層を設ける位置は、例えば、図1〜図3に示すように、両者が表裏面で重なり合わないように両者の間に多少の空白領域9を設け、第2接着層を接着層担持帯側端縁Eaと略一致して設けるか、又は接着層担持帯側端縁Eaよりも更に外側に延長するように設けると、被処理布地との接着処理などが容易で、しかも端縁処理用テープに無駄が生じないので好ましい。また、図8に示すように、第1接着層3aを接着層担持帯側端縁Eaまで延ばして設け、第2接着層3bを、同様に接着層担持帯側の端縁Eaに沿って設けることもできる。この場合は、折返し後に「あたり」が出ないように折返し線Pを適当に設定して矢印Aの方向へ折り曲げることができる。
また、図9に示すように、第1接着層3aを接着層担持帯側の端縁Eaまで延ばして設け、第2接着層3bを、縫代帯5との境界線14の少し内側に設けることもできる。更に、図10に示すように、第2接着層3bを接着層担持帯側の端縁Eaから第1接着層3aの下まで延ばして設けることもできる。
【0015】
図8〜図10に示す端縁処理用テープ1を用いる場合は、矢印Aの方向に折り曲げた場合に、第1接着層3a又は第2接着層3bと被処理布地10との接合部を完全に裏側に折り返して、前記の接合部が裾上げ加工後の外側から観察される「あたり」とならないようにするか、あるいは、接合部により裾に「はり」をもたせるように折返し線Pを設定するのが好ましい。
また、図8〜図10に示す端縁処理用テープ1を用いる場合にも、矢印Aの方向に折り曲げた場合に、被処理布地10の端縁Eが接着層端縁Fと一致するように折返し線Pを設定するか、又は、好ましくは、裏地接合部10’を設けるために、縫代帯側の端縁Fよりも縫代帯5の側に飛び出した地点E’で一致するように折返し線Pを設定するか、端縁処理用テープ1の接着層担持帯側端縁Eaを被処理布地10の端縁E’よりも内側(E)に接着する。
なお、図8〜図10に示す端縁処理用テープの場合には、第1接着層と第2接着層とがベースシートを挟んで重なり合って設けられているので、接着工程は、後で接着する接着層を剥離紙で保護しておいて最初の接着工程を行い、続いて剥離紙を除去して次の接着工程を行うか、あるいは、はじめに折返し線Pで折り返しておいてから、第1接着層及び第2接着層と被処理布地との接着を同時に行う。
【0016】
図1に示した本発明の端縁処理用テープ1を、図11〜図13に示す態様で用いることもできる。
すなわち、図11に示すように、端縁処理用テープ1の第2接着層3bの端縁(すなわち、端縁処理用テープの接着層担持帯側端縁Ea)を、被処理布地10の端縁Eに合わせ、端縁処理用テープ1と被処理布地10とを第1接着層3aで接着させる。
次に、図12に示すように、接着層担持帯側の端縁Eaで、端縁処理用テープ1と被処理布地10とを、例えば、縫合により結合する(図12の縫合線11参照)。続いて、被処理布地10の端縁Eを、折返し線P1に沿って矢印Aの方向へ折曲げて、図13に示すように端縁Eを第2接着層3bによりベースシートと接着させる。裾の端部に接着剤と直接あたる部分Bが存在するが、その部分は裾なので「あたり」が出ず、むしろ裾に「はり」をもたせることができるので好ましい。もちろん、第1接着層の境界線側端縁と一致する折返し線P2に沿って折り返せば、接着剤と直接あたる部分Bがなくなる。また、折返し線P1と折返し線P2との間で折り返しても、更に、折返し線P2よりも内側(端縁Eの反対側)で折り返してもよい。しかし、折返し線P1よりも端縁Eの側に折返し線を設けると、前記部分Bが裾から離れ、「あたり」が現れるので好ましくない。
また、折り返した後の被処理布地10の先端に裏地接合部10’を設けるように、端縁処理用テープ1と被処理布地10とを第1接着層3aで接着させるのが好ましい。
【0017】
次に、図2に示すように、本発明による端縁処理用テープにおいて、ベースシート2上の第1接着層3aと第2接着層3bとの間に接着層を担持しない空白域9が存在し、しかも第2接着層3bがそれを担持する接着層担持層7bと共に、ベースシート2の接着層担持帯側端縁Eaから突出している好ましい態様(接着層担持層7aは、設置しても、設置しなくてもよい)の1つである端縁処理用テープについて、その使用方法を、図面に沿って説明する。
すなわち、図2に示す端縁処理用テープ1を用いて、被処理布地10の裾上げを行う場合には、はじめに、図14に示すように、被処理布地10の端縁E(又はE’)に、第2接着層3bの端縁を合わせ、端縁処理用テープ1と被処理布地10とを第2接着層3bで接着させる。この接着は、第2接着層3bと被処理布地10とを、例えば、アイロンなどにより、加熱押圧処理して実施することができる。
【0018】
次に、被処理布地10の端縁Eを、例えば、ベースシートの接着層担持帯側端縁Eaと一致する折返し線P1に沿って矢印Aの方向へ折曲げて、図15に示すように、端縁Eの先端を第1接着層3aの縫代帯側の端縁Fに合わせ、更に被処理布地10と第1接着層3aとを接着させる。この接着も、第1接着層3aと被処理布地10とを、例えば、アイロンなどにより、加熱押圧処理して実施することができる。なお、図15において破線で示すように、被処理布地10の端縁Eを、矢印Aの方向へ折曲げる際に、その端縁Eの先端を第1接着層3aの縫代帯側の端縁Fよりも縫代帯5の側に飛び出した地点E’で合わせ、裏地接合部10’を設けながら被処理布地10と第1接着層3aとを接着させるか、あるいは被処理布地10の端縁E’よりも内側(E)で第2接着層3bを接着させて裏地接合部10’を設けてもよい。
【0019】
図2に示す本発明の端縁処理用テープにおいて、前記の担持層7b及び第2接着層3bとして、ベースシート2よりも薄くて柔軟で風合いの優れた接着不織布を用いると、担持層7bが薄いので、折り返しても全体が厚くならず、風合いも優れているので好ましい。
なお、図14及び図15に示す裾上げ加工において、前記の折返し線P1は、その折返し線P1で折返すと裾に「はり」をもたせることができる地点に設定するのが好ましい。「はり」が不要の場合には、第2接着層の境界線側端縁と一致する折返し線P2に沿って折り返せば、接着剤と直接あたる部分Bが、裾上げ加工後の外側からは見えなくなる。もちろん、折返し線P1と折返し線P2との間で折り返しても、更に、折返し線P2よりも更に被処理布地10の裾上げ加工側の端縁Eから離れる位置、すなわち内側(端縁Eの反対側)で折り返してもよい。しかし、折返し線P1よりも端縁Eの側に折返し線を設けると、前記部分Bが裾から離れ、「あたり」が現れるので好ましくない。
【0020】
図5、図7、図13、及び図15などに示すように、被処理布地10の端縁(ヘム)を内側に折り曲げ、端縁処理用テープ1と被処理布地10とを接着させた後、端縁処理用テープ1の少なくとも縫代帯5(及び必要により更に接着層担持帯)を被処理布地10と縫合する。縫合する位置は、被処理布地10の用途により異なるが、縫代帯5(及び場合により接着層担持帯の一部若しくは全部)と被処理布地10とを、縫代帯5の長手方向に所定間隔をおいて、縫代帯5の幅方向に縫合する。
例えば、上着の袖口の場合には、図16(袖口の断面図)及び図17(図5のように折り返した後に、縫代帯5で被処理布地10と端縁処理用テープ1とを縫合した状態を、内側から見た部分平面図)に示すように、端縁処理用テープ1が被処理布地10を1周する間に2箇所12a,12b(及び好ましくは、更に接着層担持帯13a,13b)で縫合が行われる。従来の裾上げ用テープには縫代帯5がないので、端縁Eが縫合線12a,12bと交差する線13a,13bでのみ結合されていたので、非結合部14で「ヘムだれ」が生じやすかった。これに対し、本発明の端縁処理用テープには縫代帯5が存在し、その縫代帯5において縫合線12a,12bにより結合されるので、「ヘムだれ」が実質的に生じない。また、被処理布地に応じて、「ヘムだれ」が実質的に生じない長さ(幅方向長さ)を有する縫代帯を設けることができる。
【0021】
縫代帯と被処理布地とを縫代帯の長手方向に所定間隔をおいて、縫代帯の幅方向に縫合した際に、非縫合部に実質的にヘムだれを生じない長さは、前記のとおり、被処理布地の用途により、容易に決定することができる。縫代帯の幅の接着層担持帯の幅に対する比率は3分の2以上が好ましく、より好ましくは、1以上である。前記の比率が3分の2未満になると、「ヘムだれ」を防止することが事実上困難になる。
本発明者の実験によれば、図1に示す端縁処理用テープを用いて、男性用ジャケット及び婦人用ジャケットのそれぞれの袖口を裾上げ加工する場合には、以下の表1に示す範囲内で各部の寸法を設定するのが好ましいことが分かった。表1に示す数値の単位はmmである(以下の表2〜6も同様)。また、S1は縫代帯の幅、S2は第1接着層の幅、S3は空白域の幅、S4は第2接着層の幅であり、W1は端縁処理用テープと表地との長手方向における縫合間隔(図16及び図17の12aと12bとの間隔)、そしてW2は裏地接合部の幅(図1の第1接着層3aの境界線側端部と縫合糸8aとの間も含む)であり、S1、S2、S3及びS4のそれぞれの長さの範囲は、以下の性質から判定した(以下の表2〜表6も同様)。
S1:ヘムだれを生じず、経済的な長さ(男性用と女性用の違いは、明き見せの有無)、
S2及びS4:接着力に優れ、風合いを損なわない長さ、
S3:接着作業性に優れ、経済的な長さ。
【0022】
【表1】
【0023】
また、図1に示す構造を有し、表2に示す寸法を有する端縁処理用テープを、図6及び図7に示す態様で用いる場合について試験を実施したところ、優れた裾上げ加工を行うことができ、表2に示す組合せが特に好ましい寸法の組合せであることが分かった。具体的には、図6に示すように、表地10の端部E’から20mm離れた位置に端縁処理テープ1の接着層担持帯側端部Eaを合わせ、接着剤層3b(S4)により、表地10と端縁処理テープ1とを接着した。接着層担持帯側端部Eaから肩口側へ20mmの位置P(表地10の端部E’から40mm離れた位置)で折返して、接着剤層3a(S2)により、表地10と端縁処理テープ1とを接着した。次いで、図16及び図17に示すように、表地10と縫代帯5とを、男性用の場合は、150mmの間隔(12aと12bとの間隔)をおいて、女性用の場合は、140mmの間隔(12aと12bとの間隔)をおいて縫合した。更に、裏地接合部で表地と裏地とを縫合した。
【0024】
【表2】
【0025】
また、図2に示す端縁処理用テープを用いて、男性用ジャケット及び婦人用ジャケットのそれぞれの袖口を裾上げ加工する場合には、以下の表3に示す範囲内で各部の寸法を設定するのが好ましいことが分かった。なお、以下の表3においてS4はベースシート上の第2接着層の幅であり、S5はベースシートの接着層担持帯側端縁から突出した第2接着層の幅であり、S5の長さの範囲は以下の性質から判定した(以下の表4も同様)。
S5:端部Eaで折り返してS2で接着できる、経済的な長さ。
【0026】
【表3】
【0027】
また、図2に示す構造を有し、表4に示す寸法を有する端縁処理用テープを、図14及び図15に示す態様で用いる場合について試験を実施したところ、優れた裾上げ加工を行うことができ、表4に示す組合せが特に好ましい寸法の組合せであることが分かった。具体的には、図14に示すように、表地10の端部E’から10mm離れた位置に端縁処理テープ1の接着層担持層7bの端部を合わせ、接着剤層3b(S4及びS5)により、表地10と端縁処理テープ1とを接着した。端縁処理テープ1の接着層担持帯側端部Eaで折返し、接着剤層3a(S2)により、表地10と端縁処理テープ1とを接着した。次いで、図16及び図17に示すように、表地10と縫代帯5とを、男性用の場合は、150mmの間隔(12aと12bとの間隔)をおいて、女性用の場合は、140mmの間隔(12aと12bとの間隔)をおいて縫合した。更に、裏地接合部で表地と裏地とを縫合した。
【0028】
【表4】
【0029】
更に、図3に示す端縁処理用テープを用いて、男性用ジャケット及び婦人用ジャケットのそれぞれの袖口を裾上げ加工する場合には、以下の表5に示す範囲内で各部の寸法を設定するのが好ましいことが分かった。表5において、S6はエルダー糸と接着層担持帯側端縁Eaとの幅であり、S6の長さの範囲は以下の性質から判定した(以下の表6も同様)。
S6:経済的な位置。
【0030】
【表5】
【0031】
また、図3に示す構造を有し、表6に示す寸法を有する端縁処理用テープを、図6及び図7に示す態様と同様の態様で用いる場合について試験を実施したところ、優れた裾上げ加工を行うことができ、表6に示す組合せが特に好ましい寸法の組合せであることが分かった。具体的には、図6に示すように、表地10の端部E’から25mm離れた位置に端縁処理テープ1の接着層担持帯側端部Eaを合わせ、接着剤層3cにより、表地10と端縁処理テープ1とを接着した。接着層担持帯側端部Eaから肩口側へ15mmの位置P(表地10の端部E’から40mm離れた位置)で折返して、接着剤層3a(S2)により、表地10と端縁処理テープ1とを接着した。次いで、図16及び図17に示すように、表地10と縫代帯5とを、男性用の場合は、150mmの間隔(12aと12bとの間隔)をおいて、女性用の場合は、140mmの間隔(12aと12bとの間隔)をおいて縫合した。更に、裏地接合部で表地と裏地とを縫合した。
【0032】
【表6】
【0033】
【発明の効果】
本発明による端縁処理用テープを用いると、「ヘムだれ」や「あたり」を生じることなく、上着の袖口、裾や、スカートやズボンの裾などの裾上げ加工を容易に実施することができ、しかも薄手の表地にも適用することができる。また、裾上げ部に接着剤との接触部を容易に配置することもでき、裾上げ部にはりをもたせることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による端縁処理用テープの一態様の部分斜視図である。
【図2】本発明による端縁処理用テープの別の一態様の部分斜視図である。
【図3】本発明による端縁処理用テープの更に別の一態様の部分斜視図である。
【図4】図1の端縁処理用テープを被処理布地にあてがった一態様を模式的に示す断面図である。
【図5】図4の端縁処理用テープ及び被処理布地を折り返した状態を模式的に示す断面図である。
【図6】図1の端縁処理用テープを被処理布地にあてがった別の一態様を模式的に示す断面図である。
【図7】図6の端縁処理用テープ及び被処理布地を折り返した状態を模式的に示す断面図である。
【図8】本発明による別の態様の端縁処理用テープを被処理布地にあてがった態様を模式的に示す断面図である。
【図9】本発明による更に別の態様の端縁処理用テープを被処理布地にあてがった態様を模式的に示す断面図である。
【図10】本発明による更にまた別の態様の端縁処理用テープを被処理布地にあてがった態様を模式的に示す断面図である。
【図11】図1の端縁処理用テープを被処理布地にあてがった更に別の態様を模式的に示す断面図である。
【図12】図11の端縁処理用テープ及び被処理布地の端部を結合した状態を模式的に示す断面図である。
【図13】図12の端縁処理用テープ及び被処理布地を折り返した状態を模式的に示す断面図である。
【図14】図2の端縁処理用テープを被処理布地にあてがった一態様を模式的に示す断面図である。
【図15】図14の端縁処理用テープ及び被処理布地を折り返した状態を模式的に示す断面図である。
【図16】本発明による端縁処理用テープを用いて裾上げ加工した布地を、更に縫代帯にて被処理布地に縫合した状態を模式的に示す断面図である。
【図17】図5のように端縁処理用テープ及び被処理布地を折り返した後に、縫代帯で被処理布地と端縁処理用テープとを縫合した状態を、内側から見た状態を模式的に示す部分平面図である。
【符号の説明】
1・・端縁処理用テープ;2・・ベースシート;3・・接着層;
4・・境界線;5・・縫代帯;6・・接着層担持帯;7・・接着層担持層;
8・・縫合線;9・・空白域;10・・被処理布地;
10’・・裏地接合部;11,12・・縫合線;
13・・端縁と縫合線との交差線;14・・非結合部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、縫製製品の端縁処理用テープ、及び前記の端縁処理用テープを用いる端縁処理縫製製品の製造方法に関する。本発明による端縁処理用テープは、上着などの裾上げ加工などに用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
衣服や袋物などの縫製製品では、布地(表地)の端部を内側に折り返して止める、裾上げ加工が行われる。特に、上着の袖口や裾、あるいはスカートやズボンの裾などでは、裾上げ加工が不充分な場合には、装着時に、へム(裾上げ加工を行った場合に、袖口などの裏側に折り曲げられる布地の端縁)が表側に飛び出す現象、すなわち「ヘムだれ」が生じやすくなる。
従来、前記のヘムだれを防ぐための裾上げ加工は、スレキ布を使用して千鳥止め(抄縫い)により実施するのが一般的であったが、非常に手間がかかると同時に薄手の表地には適用することができなかった。
また、前記の欠点を解決する目的で、袖口の一周分にテープ状接着不織布を接着させた後にへムを折り返し、表地の縫合部と一致する前記折返し部の端部を、表地及び裏地と縫合する方法があったが、例えば、背広の袖口の表地では袖口の一周円上に縫合部が2箇所しかないので、縫合していない箇所のへムが外に飛出しやすいという問題があった。
更に、実開平3−38393号公報には、テープの両端部に接着テープを縫合した裾上げテープが開示されている。しかし、この裾上げテープは表地の裏側で接着剤を直接に接触させるため、表地の裏側に裾上げテープが接着していることが外観から分かる現象、すなわち「あたり」が生じるという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、背広やコートなどの上着の袖口、裾や、スカートやズボンの裾などの裾上げ加工を容易にするために、薄手の表地にも適用でき、操作が簡便で、「ヘムだれ」や「あたり」が生じない裾上げ加工手段を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記の目的は、本発明により、
(1)長手方向に延びる縫代帯と接着層担持帯とからなる長尺状ベースシートと、(2)その接着層担持帯の一方の表面の一部に、長尺状ベースシートの長手方向に、前記接着層担持帯と縫代帯との境界線を一方の端部として含んで帯状に設けた第1接着層と、(3)前記の接着層担持帯のもう一方の表面の一部に、長尺状ベースシートの長手方向に帯状に設けた第2接着層とを含む、縫製製品の端縁処理用テープであって、
前記第1接着層の接着層担持帯と縫代帯との境界線側とは反対側の端部が、前記第2接着層の前記境界線側の端部より、前記境界線側にあり、
前記の縫代帯の幅方向の長さが、縫代帯と被処理布地とを縫代帯の長手方向に所定間隔をおいて、縫代帯の幅方向に縫合した際に、非縫合部に実質的にヘムだれを生じない長さである
ことを特徴とする、前記の端縁処理用テープによって達成することができる。
本発明は、
(1)前記の端縁処理用テープの接着層担持帯側の端縁を、被処理布地の裾上げ加工側の端縁の方向へ向けて両者の端縁が実質的に平行になるように、しかも、前記接着層担持帯側の端縁が裾上げ加工側の端縁と実質的に一致するか若しくは被処理布地の裾上げ加工側の端縁が突出するように接触させ、更に、前記端縁処理用テープの前記境界線又は第2接着層の境界線側端部と所定の折返し線とを所定の相対位置に合わせて、前記端縁処理用テープを前記被処理布地の上に置き、
(2)前記端縁処理用テープと被処理布地とを、それらの間で接触している第1接着層又は第2接着層のいずれか一方によって接着し、
(3)被処理布地の裾上げ加工側の端縁を、所定の前記折返し線に沿って、端縁処理用テープの未接着の第2接着層又は第1接着層の担持面に向けて折返し、
(4)前記端縁処理用テープと被処理布地とを未接着の第2接着層又は第1接着層によって接着し、
(5)端縁処理用テープの縫代帯と被処理布地とを、縫代帯の長手方向に非縫合部に実質的にヘムだれを生じない所定間隔をおいて、少なくとも縫代帯の幅方向に縫合する
各工程を含む、端縁処理縫製製品の製造方法であって、
前記工程(1)で被処理布地と接触する第1接着層の境界線側端部、又は被処理布地と接触する第2接着層の境界線側端部との所定の相対位置に合わせる前記の折返し線が、(a)第1接着層の境界線側端部若しくは第2接着層の境界線側端部と一致するか、(b)第1接着層の境界線側端部若しくは第2接着層の境界線側端部よりも、被処理布地の裾上げ加工側の端縁から離れる方向に位置するか、又は(c)前記の折返し線が、第1接着層の境界線側端部若しくは第2接着層の境界線側端部よりも被処理布地の裾上げ加工側の端縁に向かう方向に位置する場合には、折返し線と第1接着層の境界線側端部若しくは第2接着層の境界線側端部との間が裾上げ加工後の裾にはりを生じる距離であることを特徴とする、前記の端縁処理縫製製品の製造方法にも関する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の端縁処理用テープの1態様を図1に示す。端縁処理用テープ1は、長尺状ベースシート2と接着層3a,3bとからなり、前記ベースシート2は、境界線4によって分割される縫代帯5と接着層担持帯6とからなる。また、前記ベースシート2は、前記接着層3a,3bを担持する部分に帯状の担持層7a,7bを有していることもできる。前記接着層3a,3bは、前記担持層を設けずに、ベースシート2上に直接設けてもよい。前記の担持層7a,7bは、例えば、縫合線8a,8bに示すように、縫合によりベースシート2に結合させると、融通性があり、風合いが優れているので好適である。
【0006】
前記の縫代帯5及び接着層担持帯6は、ベースシート2の長手方向に相互に平行に、それぞれが実質的に同じ幅で帯状に連続して延びているのが好ましい。すなわち、図1に示すように、縫代帯5は、境界線4と縫代帯側端縁Esとの間の帯状体であり、接着層担持帯6は、境界線4と接着層担持帯側端縁Eaとの間の帯状体である。前記の縫代帯5及び接着層担持帯6は、ベースシート2における機能により便宜的に分割したものである。すなわち、第1接着層によって区分される、接着層を有さない部分を縫代帯5と称し、接着層を担持する帯状部分を接着層担持帯6と称するものであり、縫代帯5と接着層担持帯6とを別の材料から構成してもよいが、ベースシートとして一体的に構成されるのが好ましい。
【0007】
縫代帯5と接着層担持帯6との境界線4を一方の端縁とする第1接着層3aは、ベースシート2の長手方向に、連続的に又は不連続的に、好適には連続的に帯状に延びる。第1接着層3aの幅方向(長手方向に直交する方向)の長さは特に限定されず、境界線とは反対側の端部がベースシート2の接着層担持帯側端部Eaにまで延びていてもよい。なお、担持層7aを有する場合は、第1接着層3aが担持層7aと共に接着層担持帯6の端縁Eaよりも更に外側に延長されていてもよい。
第2接着層3bは、前記の第1接着層3aとは反対側の接着層担持帯6の表面に設ける。第2接着層3bも、ベースシート2の長手方向に連続的又は不連続に帯状に延び、設置位置や幅の長さなどは特に限定されない。また、担持層7bを有する場合は、図2に示すように、第2接着層3bが担持層7bと共に接着層担持帯6の端縁Eaよりも更に外側に延長されていてもよい。
【0008】
本発明による端縁処理用テープは、任意の縫製製品の裾上げ処理や袖口処理などに用いることができる。縫製製品及びその縫製製品において端縁処理が必要な箇所としては、例えば、上着の袖口や裾、ズボンやスカートの裾、袋物(例えば、巾着)の口などがある。
前記のベースシートは、織物又は不織布のいずれから構成してもよいが、不織布の方がほつれないので好適である。ベースシートとして用いることのできる不織布は特に限定されるものではないが、例えば、水流絡合やニードルパンチによる絡合によって調製した不織布、接着剤の部分的若しくは全体的な接着、又は不織布構成繊維の部分的若しくは全体的な融着によって調製した不織布、構成繊維又は別の繊維(又は糸)によるステッチ処理により調製した不織布、あるいはこれらの方法を組合わせて調製した不織布を挙げることができる。なお、糸、織物、編物と繊維ウエブとを複合した不織布であってもよい。
なお、ベースシートに、前記接着層を担持する担持層を設ける場合には、その担持層も織物又は不織布のいずれから構成してもよいが、不織布の方がほつれないので好適である。担持層に用いることのできる不織布も特に限定されるものではなく、例えば、前記のベースシートと同様の不織布を用いることができるが薄く、柔軟性に優れるものを使用するのが好ましい。また、担持層を前記のベースシートに結合させる方法も特に限定されるものではないが、例えば、接着剤により接着するか、不織布の繊維を絡合して結合するか、あるいは好ましくは縫合によりベースシートに結合させることができる。
【0009】
接着層は、感圧又は感熱接着樹脂をベースシート又は担持層に塗布して設けることができる。また、エルダー糸(接着糸:すなわち、高融点コア繊維と感熱接着繊維とを撚り合わせて製造した糸で、表面に感熱接着繊維の露出部がある)を縫合してもよい。図3に、不連続な第2接着層としてエルダー糸3cをベースシート2に縫合して配置した端縁処理用テープ1を示す。エルダー糸を1本のみでなく、2本又はそれ以上、例えばそれぞれ平行に縫合して配置してもよい。また、第1接着層3a及び第2接着層3bの両方をエルダー糸からなる接着層としてもよく、又は第1接着層3aのみをエルダー糸からなる接着層としてもよい。
担持層上に接着層を設ける場合には、接着樹脂を塗布した繊維テープを縫合すると、歪を吸収することができるので好ましい。特に、不織布製テープにホットメルト接着剤をドット状に塗布して製造した接着不織布を、担持層及びその上の接着層として用いるのが好ましい。
【0010】
次に、図1に示すように、本発明による端縁処理用テープにおいて、ベースシート2上の第1接着層3aと第2接着層3bとの間に接着層を担持しない空白域9が存在し、しかも第2接着層3bの端縁がベースシート2における接着層担持帯側端縁Eaと一致する好ましい態様(接着層担持層7a,7bは、設置しても、設置しなくてもよい)の1つである端縁処理用テープについて、それらの使用方法を、図面に沿って説明する。
すなわち、図1に示す端縁処理用テープ1を用いて、被処理布地10の裾上げを行う場合には、はじめに、図4に示すように、被処理布地10の折返し線P1に沿って、第2接着層3bの端縁(すなわち、端縁処理用テープの接着層担持帯側端縁Ea)を合わせ、端縁処理用テープ1と被処理布地10とを第2接着層3bで接着させる。この接着は、第2接着層3bと被処理布地10とを、例えば、アイロンなどにより、加熱押圧処理して実施することができる。
【0011】
次に、被処理布地10の端縁Eを、折返し線P1に沿って矢印Aの方向へ折曲げて、図5に示すように、端縁Eの先端を第1接着層3aの縫代帯側の端縁Fに合わせ、更に被処理布地10と第1接着層3aとを接着させる。この接着も、第1接着層3aと被処理布地10とを、例えば、アイロンなどにより、加熱押圧処理して実施することができる。なお、図5において破線で示すように、被処理布地10の端縁Eを、矢印Aの方向へ折曲げた時に、その端縁Eの先端を第1接着層3aの縫代帯側の端縁Fよりも縫代帯5の側に飛び出るように、端縁処理用テープ1を被処理布地10と合わせて、被処理布地10と第2接着層3bとを接着させてもよい。後者の場合には、縫代帯5の側に飛び出した被処理布地領域10’を裏地接合部、すなわち、例えば縫合により被処理布地10と裏地(図示せず)とを接合する領域とすることができるので好ましい。従って、縫代帯5の側に飛び出した裏地接合部10’の幅方向の長さは、裏地との接合(例えば、縫合)が可能な長さであれば充分である。なお、第1接着層3aを縫合糸8aによって端縁処理用テープ1と縫合してある場合は、第1接着層3aの境界線側端部と縫合糸8aとの間の領域も裏地との接合部として用いることができる。
【0012】
こうして得られた裾上げ処理部は、裾の端部に接着剤との接合部に直接あたる部分Bが存在するが、その部分は裾なので「あたり」が出ず、むしろ裾に「はり」をもたせることができるので好ましい。すなわち、この場合には、折り返した際に、裾に「はり」をもたせる位置に折返し線P1を設定する。
なお、「はり」が不要の場合には、折り返した時に端縁Eの先端が第1接着層3aの縫代帯側の端縁Fに一致するか、又はその端縁Fよりも裏地接合部10’を設けるように縫代帯側に飛び出すように、第2接着層3bの端縁(端縁処理用テープの接着層担持帯側端縁Ea)を被処理布地10に合わせ、第2接着層の境界線側端縁と一致する折返し線P2に沿って折り返せば、接着剤と直接あたる部分Bが裾上げ加工後の外側からは見えなくなる。もちろん、折返し線P1と折返し線P2との間で折り返しても、更に、折返し線P2よりも更に被処理布地10の裾上げ加工側の端縁Eから離れる位置、すなわち内側(端縁Eの反対側)で折り返してもよい。しかし、折返し線P1よりも端縁Eの側に折返し線を設けると、前記部分Bが裾から離れ、「あたり」が現れるので好ましくない。
【0013】
更に、図1に示した端縁処理用テープ1を別の態様で用いることもできる。すなわち、図6に示すように、端縁処理用テープ1の第2接着層3bの端縁(すなわち、端縁処理用テープの接着層担持帯側端縁Ea)を、被処理布地10の端縁Eに合わせ、端縁処理用テープ1と被処理布地10とを第2接着層3bで接着させる。次に、図6及び図7に示すように、被処理布地10の端縁Eを、折返し線Pに沿って矢印Aの方向へ折曲げて、端縁Eの先端を第1接着層3aの縫代帯側の端縁Fに合わせ、更に端縁処理用テープと接着させる。これらの接着は、第1接着層3a又は第2接着層3bと被処理布地10とを、例えば、アイロンなどにより、加熱押圧処理して実施することができる。この場合にも「あたり」が出ないので好適である。なお、図6及び図7において破線で示すように、被処理布地10の端縁Eを、矢印Aの方向へ折曲げる際に、その端縁Eの先端を第1接着層3aの縫代帯側の端縁Fよりも縫代帯5の側に飛び出した地点で合わせ、裏地接着部10’を設けて被処理布地10と第1接着層3aとを接着させたり、端縁処理用テープ1の接着層担持帯側端縁Eaを、被処理生地10の端縁E’よりも内側(E)に接着した後、矢印Aの方向へ折り曲げて裏地接着部10’を設けると、裏地との接合が容易になるので好ましい。
【0014】
第1接着層及び第2接着層を設ける位置は、例えば、図1〜図3に示すように、両者が表裏面で重なり合わないように両者の間に多少の空白領域9を設け、第2接着層を接着層担持帯側端縁Eaと略一致して設けるか、又は接着層担持帯側端縁Eaよりも更に外側に延長するように設けると、被処理布地との接着処理などが容易で、しかも端縁処理用テープに無駄が生じないので好ましい。また、図8に示すように、第1接着層3aを接着層担持帯側端縁Eaまで延ばして設け、第2接着層3bを、同様に接着層担持帯側の端縁Eaに沿って設けることもできる。この場合は、折返し後に「あたり」が出ないように折返し線Pを適当に設定して矢印Aの方向へ折り曲げることができる。
また、図9に示すように、第1接着層3aを接着層担持帯側の端縁Eaまで延ばして設け、第2接着層3bを、縫代帯5との境界線14の少し内側に設けることもできる。更に、図10に示すように、第2接着層3bを接着層担持帯側の端縁Eaから第1接着層3aの下まで延ばして設けることもできる。
【0015】
図8〜図10に示す端縁処理用テープ1を用いる場合は、矢印Aの方向に折り曲げた場合に、第1接着層3a又は第2接着層3bと被処理布地10との接合部を完全に裏側に折り返して、前記の接合部が裾上げ加工後の外側から観察される「あたり」とならないようにするか、あるいは、接合部により裾に「はり」をもたせるように折返し線Pを設定するのが好ましい。
また、図8〜図10に示す端縁処理用テープ1を用いる場合にも、矢印Aの方向に折り曲げた場合に、被処理布地10の端縁Eが接着層端縁Fと一致するように折返し線Pを設定するか、又は、好ましくは、裏地接合部10’を設けるために、縫代帯側の端縁Fよりも縫代帯5の側に飛び出した地点E’で一致するように折返し線Pを設定するか、端縁処理用テープ1の接着層担持帯側端縁Eaを被処理布地10の端縁E’よりも内側(E)に接着する。
なお、図8〜図10に示す端縁処理用テープの場合には、第1接着層と第2接着層とがベースシートを挟んで重なり合って設けられているので、接着工程は、後で接着する接着層を剥離紙で保護しておいて最初の接着工程を行い、続いて剥離紙を除去して次の接着工程を行うか、あるいは、はじめに折返し線Pで折り返しておいてから、第1接着層及び第2接着層と被処理布地との接着を同時に行う。
【0016】
図1に示した本発明の端縁処理用テープ1を、図11〜図13に示す態様で用いることもできる。
すなわち、図11に示すように、端縁処理用テープ1の第2接着層3bの端縁(すなわち、端縁処理用テープの接着層担持帯側端縁Ea)を、被処理布地10の端縁Eに合わせ、端縁処理用テープ1と被処理布地10とを第1接着層3aで接着させる。
次に、図12に示すように、接着層担持帯側の端縁Eaで、端縁処理用テープ1と被処理布地10とを、例えば、縫合により結合する(図12の縫合線11参照)。続いて、被処理布地10の端縁Eを、折返し線P1に沿って矢印Aの方向へ折曲げて、図13に示すように端縁Eを第2接着層3bによりベースシートと接着させる。裾の端部に接着剤と直接あたる部分Bが存在するが、その部分は裾なので「あたり」が出ず、むしろ裾に「はり」をもたせることができるので好ましい。もちろん、第1接着層の境界線側端縁と一致する折返し線P2に沿って折り返せば、接着剤と直接あたる部分Bがなくなる。また、折返し線P1と折返し線P2との間で折り返しても、更に、折返し線P2よりも内側(端縁Eの反対側)で折り返してもよい。しかし、折返し線P1よりも端縁Eの側に折返し線を設けると、前記部分Bが裾から離れ、「あたり」が現れるので好ましくない。
また、折り返した後の被処理布地10の先端に裏地接合部10’を設けるように、端縁処理用テープ1と被処理布地10とを第1接着層3aで接着させるのが好ましい。
【0017】
次に、図2に示すように、本発明による端縁処理用テープにおいて、ベースシート2上の第1接着層3aと第2接着層3bとの間に接着層を担持しない空白域9が存在し、しかも第2接着層3bがそれを担持する接着層担持層7bと共に、ベースシート2の接着層担持帯側端縁Eaから突出している好ましい態様(接着層担持層7aは、設置しても、設置しなくてもよい)の1つである端縁処理用テープについて、その使用方法を、図面に沿って説明する。
すなわち、図2に示す端縁処理用テープ1を用いて、被処理布地10の裾上げを行う場合には、はじめに、図14に示すように、被処理布地10の端縁E(又はE’)に、第2接着層3bの端縁を合わせ、端縁処理用テープ1と被処理布地10とを第2接着層3bで接着させる。この接着は、第2接着層3bと被処理布地10とを、例えば、アイロンなどにより、加熱押圧処理して実施することができる。
【0018】
次に、被処理布地10の端縁Eを、例えば、ベースシートの接着層担持帯側端縁Eaと一致する折返し線P1に沿って矢印Aの方向へ折曲げて、図15に示すように、端縁Eの先端を第1接着層3aの縫代帯側の端縁Fに合わせ、更に被処理布地10と第1接着層3aとを接着させる。この接着も、第1接着層3aと被処理布地10とを、例えば、アイロンなどにより、加熱押圧処理して実施することができる。なお、図15において破線で示すように、被処理布地10の端縁Eを、矢印Aの方向へ折曲げる際に、その端縁Eの先端を第1接着層3aの縫代帯側の端縁Fよりも縫代帯5の側に飛び出した地点E’で合わせ、裏地接合部10’を設けながら被処理布地10と第1接着層3aとを接着させるか、あるいは被処理布地10の端縁E’よりも内側(E)で第2接着層3bを接着させて裏地接合部10’を設けてもよい。
【0019】
図2に示す本発明の端縁処理用テープにおいて、前記の担持層7b及び第2接着層3bとして、ベースシート2よりも薄くて柔軟で風合いの優れた接着不織布を用いると、担持層7bが薄いので、折り返しても全体が厚くならず、風合いも優れているので好ましい。
なお、図14及び図15に示す裾上げ加工において、前記の折返し線P1は、その折返し線P1で折返すと裾に「はり」をもたせることができる地点に設定するのが好ましい。「はり」が不要の場合には、第2接着層の境界線側端縁と一致する折返し線P2に沿って折り返せば、接着剤と直接あたる部分Bが、裾上げ加工後の外側からは見えなくなる。もちろん、折返し線P1と折返し線P2との間で折り返しても、更に、折返し線P2よりも更に被処理布地10の裾上げ加工側の端縁Eから離れる位置、すなわち内側(端縁Eの反対側)で折り返してもよい。しかし、折返し線P1よりも端縁Eの側に折返し線を設けると、前記部分Bが裾から離れ、「あたり」が現れるので好ましくない。
【0020】
図5、図7、図13、及び図15などに示すように、被処理布地10の端縁(ヘム)を内側に折り曲げ、端縁処理用テープ1と被処理布地10とを接着させた後、端縁処理用テープ1の少なくとも縫代帯5(及び必要により更に接着層担持帯)を被処理布地10と縫合する。縫合する位置は、被処理布地10の用途により異なるが、縫代帯5(及び場合により接着層担持帯の一部若しくは全部)と被処理布地10とを、縫代帯5の長手方向に所定間隔をおいて、縫代帯5の幅方向に縫合する。
例えば、上着の袖口の場合には、図16(袖口の断面図)及び図17(図5のように折り返した後に、縫代帯5で被処理布地10と端縁処理用テープ1とを縫合した状態を、内側から見た部分平面図)に示すように、端縁処理用テープ1が被処理布地10を1周する間に2箇所12a,12b(及び好ましくは、更に接着層担持帯13a,13b)で縫合が行われる。従来の裾上げ用テープには縫代帯5がないので、端縁Eが縫合線12a,12bと交差する線13a,13bでのみ結合されていたので、非結合部14で「ヘムだれ」が生じやすかった。これに対し、本発明の端縁処理用テープには縫代帯5が存在し、その縫代帯5において縫合線12a,12bにより結合されるので、「ヘムだれ」が実質的に生じない。また、被処理布地に応じて、「ヘムだれ」が実質的に生じない長さ(幅方向長さ)を有する縫代帯を設けることができる。
【0021】
縫代帯と被処理布地とを縫代帯の長手方向に所定間隔をおいて、縫代帯の幅方向に縫合した際に、非縫合部に実質的にヘムだれを生じない長さは、前記のとおり、被処理布地の用途により、容易に決定することができる。縫代帯の幅の接着層担持帯の幅に対する比率は3分の2以上が好ましく、より好ましくは、1以上である。前記の比率が3分の2未満になると、「ヘムだれ」を防止することが事実上困難になる。
本発明者の実験によれば、図1に示す端縁処理用テープを用いて、男性用ジャケット及び婦人用ジャケットのそれぞれの袖口を裾上げ加工する場合には、以下の表1に示す範囲内で各部の寸法を設定するのが好ましいことが分かった。表1に示す数値の単位はmmである(以下の表2〜6も同様)。また、S1は縫代帯の幅、S2は第1接着層の幅、S3は空白域の幅、S4は第2接着層の幅であり、W1は端縁処理用テープと表地との長手方向における縫合間隔(図16及び図17の12aと12bとの間隔)、そしてW2は裏地接合部の幅(図1の第1接着層3aの境界線側端部と縫合糸8aとの間も含む)であり、S1、S2、S3及びS4のそれぞれの長さの範囲は、以下の性質から判定した(以下の表2〜表6も同様)。
S1:ヘムだれを生じず、経済的な長さ(男性用と女性用の違いは、明き見せの有無)、
S2及びS4:接着力に優れ、風合いを損なわない長さ、
S3:接着作業性に優れ、経済的な長さ。
【0022】
【表1】
【0023】
また、図1に示す構造を有し、表2に示す寸法を有する端縁処理用テープを、図6及び図7に示す態様で用いる場合について試験を実施したところ、優れた裾上げ加工を行うことができ、表2に示す組合せが特に好ましい寸法の組合せであることが分かった。具体的には、図6に示すように、表地10の端部E’から20mm離れた位置に端縁処理テープ1の接着層担持帯側端部Eaを合わせ、接着剤層3b(S4)により、表地10と端縁処理テープ1とを接着した。接着層担持帯側端部Eaから肩口側へ20mmの位置P(表地10の端部E’から40mm離れた位置)で折返して、接着剤層3a(S2)により、表地10と端縁処理テープ1とを接着した。次いで、図16及び図17に示すように、表地10と縫代帯5とを、男性用の場合は、150mmの間隔(12aと12bとの間隔)をおいて、女性用の場合は、140mmの間隔(12aと12bとの間隔)をおいて縫合した。更に、裏地接合部で表地と裏地とを縫合した。
【0024】
【表2】
【0025】
また、図2に示す端縁処理用テープを用いて、男性用ジャケット及び婦人用ジャケットのそれぞれの袖口を裾上げ加工する場合には、以下の表3に示す範囲内で各部の寸法を設定するのが好ましいことが分かった。なお、以下の表3においてS4はベースシート上の第2接着層の幅であり、S5はベースシートの接着層担持帯側端縁から突出した第2接着層の幅であり、S5の長さの範囲は以下の性質から判定した(以下の表4も同様)。
S5:端部Eaで折り返してS2で接着できる、経済的な長さ。
【0026】
【表3】
【0027】
また、図2に示す構造を有し、表4に示す寸法を有する端縁処理用テープを、図14及び図15に示す態様で用いる場合について試験を実施したところ、優れた裾上げ加工を行うことができ、表4に示す組合せが特に好ましい寸法の組合せであることが分かった。具体的には、図14に示すように、表地10の端部E’から10mm離れた位置に端縁処理テープ1の接着層担持層7bの端部を合わせ、接着剤層3b(S4及びS5)により、表地10と端縁処理テープ1とを接着した。端縁処理テープ1の接着層担持帯側端部Eaで折返し、接着剤層3a(S2)により、表地10と端縁処理テープ1とを接着した。次いで、図16及び図17に示すように、表地10と縫代帯5とを、男性用の場合は、150mmの間隔(12aと12bとの間隔)をおいて、女性用の場合は、140mmの間隔(12aと12bとの間隔)をおいて縫合した。更に、裏地接合部で表地と裏地とを縫合した。
【0028】
【表4】
【0029】
更に、図3に示す端縁処理用テープを用いて、男性用ジャケット及び婦人用ジャケットのそれぞれの袖口を裾上げ加工する場合には、以下の表5に示す範囲内で各部の寸法を設定するのが好ましいことが分かった。表5において、S6はエルダー糸と接着層担持帯側端縁Eaとの幅であり、S6の長さの範囲は以下の性質から判定した(以下の表6も同様)。
S6:経済的な位置。
【0030】
【表5】
【0031】
また、図3に示す構造を有し、表6に示す寸法を有する端縁処理用テープを、図6及び図7に示す態様と同様の態様で用いる場合について試験を実施したところ、優れた裾上げ加工を行うことができ、表6に示す組合せが特に好ましい寸法の組合せであることが分かった。具体的には、図6に示すように、表地10の端部E’から25mm離れた位置に端縁処理テープ1の接着層担持帯側端部Eaを合わせ、接着剤層3cにより、表地10と端縁処理テープ1とを接着した。接着層担持帯側端部Eaから肩口側へ15mmの位置P(表地10の端部E’から40mm離れた位置)で折返して、接着剤層3a(S2)により、表地10と端縁処理テープ1とを接着した。次いで、図16及び図17に示すように、表地10と縫代帯5とを、男性用の場合は、150mmの間隔(12aと12bとの間隔)をおいて、女性用の場合は、140mmの間隔(12aと12bとの間隔)をおいて縫合した。更に、裏地接合部で表地と裏地とを縫合した。
【0032】
【表6】
【0033】
【発明の効果】
本発明による端縁処理用テープを用いると、「ヘムだれ」や「あたり」を生じることなく、上着の袖口、裾や、スカートやズボンの裾などの裾上げ加工を容易に実施することができ、しかも薄手の表地にも適用することができる。また、裾上げ部に接着剤との接触部を容易に配置することもでき、裾上げ部にはりをもたせることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による端縁処理用テープの一態様の部分斜視図である。
【図2】本発明による端縁処理用テープの別の一態様の部分斜視図である。
【図3】本発明による端縁処理用テープの更に別の一態様の部分斜視図である。
【図4】図1の端縁処理用テープを被処理布地にあてがった一態様を模式的に示す断面図である。
【図5】図4の端縁処理用テープ及び被処理布地を折り返した状態を模式的に示す断面図である。
【図6】図1の端縁処理用テープを被処理布地にあてがった別の一態様を模式的に示す断面図である。
【図7】図6の端縁処理用テープ及び被処理布地を折り返した状態を模式的に示す断面図である。
【図8】本発明による別の態様の端縁処理用テープを被処理布地にあてがった態様を模式的に示す断面図である。
【図9】本発明による更に別の態様の端縁処理用テープを被処理布地にあてがった態様を模式的に示す断面図である。
【図10】本発明による更にまた別の態様の端縁処理用テープを被処理布地にあてがった態様を模式的に示す断面図である。
【図11】図1の端縁処理用テープを被処理布地にあてがった更に別の態様を模式的に示す断面図である。
【図12】図11の端縁処理用テープ及び被処理布地の端部を結合した状態を模式的に示す断面図である。
【図13】図12の端縁処理用テープ及び被処理布地を折り返した状態を模式的に示す断面図である。
【図14】図2の端縁処理用テープを被処理布地にあてがった一態様を模式的に示す断面図である。
【図15】図14の端縁処理用テープ及び被処理布地を折り返した状態を模式的に示す断面図である。
【図16】本発明による端縁処理用テープを用いて裾上げ加工した布地を、更に縫代帯にて被処理布地に縫合した状態を模式的に示す断面図である。
【図17】図5のように端縁処理用テープ及び被処理布地を折り返した後に、縫代帯で被処理布地と端縁処理用テープとを縫合した状態を、内側から見た状態を模式的に示す部分平面図である。
【符号の説明】
1・・端縁処理用テープ;2・・ベースシート;3・・接着層;
4・・境界線;5・・縫代帯;6・・接着層担持帯;7・・接着層担持層;
8・・縫合線;9・・空白域;10・・被処理布地;
10’・・裏地接合部;11,12・・縫合線;
13・・端縁と縫合線との交差線;14・・非結合部。
Claims (6)
- (1)長手方向に延びる縫代帯と接着層担持帯とからなる長尺状ベースシートと、(2)その接着層担持帯の一方の表面の一部に、長尺状ベースシートの長手方向に、前記接着層担持帯と縫代帯との境界線を一方の端部として含んで帯状に設けた第1接着層と、(3)前記の接着層担持帯のもう一方の表面の一部に、長尺状ベースシートの長手方向に帯状に設けた第2接着層とを含む、縫製製品の端縁処理用テープであって、
前記第1接着層の接着層担持帯と縫代帯との境界線側とは反対側の端部が、前記第2接着層の前記境界線側の端部より、前記境界線側にあり、
前記の縫代帯の幅方向の長さが、縫代帯と被処理布地とを縫代帯の長手方向に所定間隔をおいて、縫代帯の幅方向に縫合した際に、非縫合部に実質的にヘムだれを生じない長さである
ことを特徴とする、前記の端縁処理用テープ。 - 袖口の端縁処理用であって、縫代帯の幅方向の長さが、接着層担持帯の幅方向の長さの3分の2以上である、請求項1に記載の端縁処理用テープ。
- 接着層担持帯上に設けた接着層担持層の上に第2接着層を設け、第2接着層を担持した接着層担持層が接着層担持帯側端縁から突出している、請求項1又は2に記載の端縁処理用テープ。
- (1)請求項1に記載の端縁処理用テープの接着層担持帯側の端縁を、被処理布地の裾上げ加工側の端縁の方向へ向けて両者の端縁が実質的に平行になるように、しかも、前記接着層担持帯側の端縁が裾上げ加工側の端縁と実質的に一致するか若しくは被処理布地の裾上げ加工側の端縁が突出するように接触させ、更に、前記端縁処理用テープの前記境界線又は第2接着層の境界線側端部と所定の折返し線とを所定の相対位置に合わせて、前記端縁処理用テープを前記被処理布地の上に置き、
(2)前記端縁処理用テープと被処理布地とを、それらの間で接触している第1接着層又は第2接着層のいずれか一方によって接着し、
(3)被処理布地の裾上げ加工側の端縁を、所定の前記折返し線に沿って、端縁処理用テープの未接着の第2接着層又は第1接着層の担持面に向けて折返し、
(4)前記端縁処理用テープと被処理布地とを未接着の第2接着層又は第1接着層によって接着し、
(5)端縁処理用テープの縫代帯と被処理布地とを、縫代帯の長手方向に非縫合部に実質的にヘムだれを生じない所定間隔をおいて、少なくとも縫代帯の幅方向に縫合する
各工程を含む、端縁処理縫製製品の製造方法であって、
前記工程(1)で被処理布地と接触する第1接着層の境界線側端部、又は被処理布地と接触する第2接着層の境界線側端部との所定の相対位置に合わせる前記の折返し線が、(a)第1接着層の境界線側端部若しくは第2接着層の境界線側端部と一致するか、(b)第1接着層の境界線側端部若しくは第2接着層の境界線側端部よりも、被処理布地の裾上げ加工側の端縁から離れる方向に位置するか、又は(c)前記の折返し線が、第1接着層の境界線側端部若しくは第2接着層の境界線側端部よりも被処理布地の裾上げ加工側の端縁に向かう方向に位置する場合には、折返し線と第1接着層の境界線側端部若しくは第2接着層の境界線側端部との間が裾上げ加工後の裾にはりを生じる距離であることを特徴とする、前記の端縁処理縫製製品の製造方法。 - 接着層担持帯において第1接着層と第2接着層との間に接着層を担持しない空白域を有し、第2接着層の境界線側とは反対側の端部が、接着層担持帯側端部と実質的に一致する端縁処理用テープを用い、前記工程(1)において端縁処理用テープと被処理布地とを第2接着層を介して接触させ、
折返し線を、第2接着層の境界線側とは反対側の端部との接触地点と、その接触地点から被処理布地の裾上げ加工側の端縁と反対側の方向に位置する地点との間に合わせ、前記折返し線に沿って折り返した被処理布地の裾上げ加工側の端縁が、第1接着層の境界線側端部と実質的に一致するか若しくは裏地接合部を先端部に残して接着させる、請求項4に記載の方法。 - 接着層担持帯において第1接着層と第2接着層との間に接着層を担持しない空白域を有し、第2接着層の境界線側とは反対側の端部が、接着層担持帯側端部と実質的に一致する端縁処理用テープを用い、前記工程(1)において端縁処理用テープと被処理布地とを第1接着層を介して、しかも前記接着層担持帯側端縁と被処理布地の裾上げ加工側端縁とを実質的に一致するか若しくは裏地接合部を先端部に残すようにして接触させ、
端縁処理用テープと被処理布地とを、端縁処理用テープの接着層担持帯側端部にて縫合し、
第1接着層の境界線側とは反対側の端部との接触地点と、被処理布地の裾上げ加工側の端縁から離れる方向に位置する地点との間にある折返し線に沿って折り返えす、請求項4に記載の方法。
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