JP3688073B2 - 化粧シート及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、家具の表面材、壁面、床材等の表面意匠を付与するとともに表面保護の目的で設ける建材用の化粧シート及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術では、建材用薄葉紙に、撥液性物質を含有する熱硬化性樹脂で模様層を設け、該模様層以外に透明樹脂層を塗工により積層し、化粧シートを得ていたが、撥かれた透明樹脂層の膜厚自体が薄いことに加え、透明樹脂層の滲み込みも起こる為、シャープなエンボス部を得るのが困難であった。一般的には、建材用薄用紙に撥液性物質を含有する熱硬化性樹脂で模様層を設け、該模様層以外に透明樹脂層を積層し、化粧シートを得ていた。例えば、実開平5-10499 号公報、特開平7-117182号公報が挙げられる。特開平7-117182号公報には、「紙基材の表面に第一の絵柄層を設け、その上にアンカー層を設け、その上に撥液性を有するインキで第二の絵柄層を設け、その上にトップコート樹脂を塗布する。」と記載されているが、紙基材であるため、撥液性を有するインキやトップコート層を形成する樹脂等が紙基材へ浸透する度合いを制御するためにアンカーコート層を設ける必要があり、また、柄に同調するエンボスを形成できるが、撥液性を有する絵柄層と表面のトップコートとして電離放射線硬化型樹脂を使用し、前記撥液性を有する絵柄部分に塗布された前記電離放射線硬化型樹脂を撥くことによってのみエンボス部が形成されるので、エンボスの深さも限定されるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
天然木の板面の導管部等のような実物感のあるエンボス加工に関する技術を提供する。
【0004】
【課題を解決する手段】
本発明は、熱可塑性樹脂フィルムの表面に導管柄が設けられ、該導管柄に同調して導管溝に相当するエンボス部を形成してなるシートにおいて、前記エンボス部の側部周縁部が土手状に隆起し、エンボス部底部の水準が導管間のフィルム水準よりも低く、かつ、エンボス部の斜面が下に凸の面を含む化粧シートである。また、熱可塑性樹脂フィルムの表面に導管柄が設けられ、該導管柄に同調して導管溝に相当するエンボス部を形成してなるシートにおいて、前記エンボス部の側部周縁部が土手状に隆起し、エンボス部底部の水準が導管間のフィルム水準よりも低く、かつ、エンボス部底部に、下に凹になっている溝が両脇にある化粧シートである。また、熱可塑性樹脂フィルムの表面に導管柄が設けられ、該導管柄に同調して導管溝に相当するエンボス部を形成してなるシートにおいて、前記エンボス部の側部周縁部が土手状に隆起し、エンボス部底部の水準が導管間のフィルム水準よりも低く、かつ、エンボス部の斜面に変曲点を有する化粧シートである。また、熱可塑性樹脂フィルムの表面に、ベタ印刷層及び柄印刷層を設け、かつ該柄印刷層の最表面に、撥液物質及び前記熱可塑性樹脂フィルムよりも大きな熱収縮率を有する熱収縮性組成物よりなるインキにて模様層を設け、さらに該模様層以外の部分に透明樹脂にて表面保護層を塗工して加熱する化粧シートの製造方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の化粧シートのエンボス部形状の拡大断面模式図(1−1)及びエンボス部の3次元表面形状測定による部分図(1−2)、図2は本発明の製造方法による一実施例の断面の構造を示した断面図、図3は3次元表面形状測定による本発明(3−1)及び従来技術(3−2)による表面の粗さを示す。
本発明は、基材シートに熱可塑性樹脂フィルムを用い、かつ模様層に撥液物質及び前記熱可塑性フィルムより加熱収縮率の大きい熱硬化性樹脂を用い、透明樹脂による表面保護層を積層する事で、図1に示すように化粧シート表面のエンボス部の形状をよりシャープにする事ができた。また、従来建材用薄用紙で同様の化粧シートを製造していたがエンボス部以外の熱硬化性樹脂の表面が樹脂の浸透等やシート基材の厚みのブレ等の影響によりフラットになりにくく、表面の平滑性、光沢が得られにくかったが、本発明の方法により、樹脂の浸透や基材の厚みのブレが少なくなり、よりフラットな表面となり従来のコート紙では得られなかった高意匠のシャープなエンボス形状を有する化粧シートを得ることができた。
【0006】
本発明の化粧シートの基材フィルム1としては、熱可塑性樹脂により製膜されるフィルムが使用でき、具体的にはポリ塩化ビニル(PVC)等のビニル重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン等の樹脂からなるフィルムが挙げられる。本発明の化粧シート用の基材フィルムとしては、耐熱性、加熱収縮性等を考慮すると前記PET樹脂、特に2軸延伸PET樹脂によるシートが望ましく、かつ化粧シートの基材として用いる為、隠蔽性が必要となるので顔料含有PETフィルムがより好ましい。
また、前記熱可塑性樹脂により製膜されるフィルムが、顔料としては白色(チタン白)、褐色(弁柄)、黒(カーボンブラック)、黄(黄鉛)等各種の顔料を含んでもよく、また、微細な多数の空洞を有するフィルムを用いることもできる。空洞を有するフィルムを用いることもできる。空洞を有する熱可塑性樹脂フィルムは、前記熱可塑性樹脂に無機微粒子を分散配合して延伸製膜法によりフィルム化して得ることができる。配合する無機微粒子は、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、ケイ酸アルミニウム、カオリン、カオリナイト、タルク、クレイ、珪藻土、ドロマイト、酸化チタン、酸化マグネシウム、ゼオライトなどの他に、上記の熱可塑性樹脂とは異なる熱可塑性樹脂からなる微粒子が挙げられる。そして、前記熱可塑性樹脂中に、前記微粒子の一種を配合のみを配合した混合物としてもよいし、2種以上を配合した混合物のいずれを製膜原料として用いてもよい。また、図1に示す如く、透明樹脂層を塗布し、加熱後導管溝部底部の表面が導管間の基材フィルムの表面よりも低い水準になる為には、基材フィルムの厚みは、基材フィルムの樹脂の種類や模様層を形成する熱収縮性組成物の熱収縮率によって異なるが、100 μm以下が好ましく、更に25〜60μmが好ましい。
【0007】
前記基材フィルムの一方の面に、必要に応じてベタ印刷層を設けた上で柄印刷層を設ける。柄印刷層の絵柄は木目、石目、布目、タイルや煉瓦の目地の絵柄などの天然物を模写したもの、文字、記号、線画やベタ印刷のある図柄などが挙げられるが、本発明の化粧シートは木目柄、特に導管溝を再現するのに最適である。
そして、柄印刷層の印刷に使用するインキは、収縮性、撥液性を持たない通常の印刷インキで、透明樹脂による表面保護層となるワニスを塗布するときに溶解されて絵柄層がくずれず、またワニスとの接着が強固なものから選択することができる。
【0008】
次に、柄印刷層の最表面に、撥液物質及び熱収縮性組成物よりなるインキにて模様層を設けるが、本発明では該模様層においてエンボス部を形成する。
前記模様層を形成する際に使用するインキの成分には、撥液物質及び前記熱可塑性樹脂フィルムよりも大きな熱収縮率を有する熱収縮性組成物を含有させる。
【0009】
前記模様層中の熱収縮組成物とは、熱による硬化の際に収縮を伴う熱硬化性組成物、模様層を形成するインキ中に可塑剤又は溶剤を含み、それらの熱による揮発や遊離のときに収縮する組成物である。前記硬化の際に収縮を伴う硬化性組成物としては、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂の中から選択できる。
【0010】
前記各種樹脂の中でも硬化のときに脱水縮合反応を伴う熱硬化性組成物である尿素あるいはその誘導体とホルムアルデヒドからなる尿素樹脂、メラミンあるいはその誘導体とホルムアルデヒドからなるメラミン樹脂、更に上記の尿素樹脂又はメラミン樹脂の初期生成物に変性アルキッド樹脂を加えた尿素アルキッド樹脂、メラミンアルキッド樹脂などのアルキッド樹脂等が好適に用いられる。
【0011】
また、模様層を形成するインキに含有させる前記撥液物質は、該撥液物質を含んだ模様層表面の臨界表面張力が、透明樹脂層を形成するために塗布するワニスの表面張力の値より小さくなるものを使用する。例えば、ワックス、シリコーン、フッ素化合物などがある。ワックスとしては、パラフィン、木蝋、蜜蝋などの天然から得られるものや、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成物質などを使用できる。
また、シリコーンとしては、末端基にC−Si 、C−Si2、C−Si3を単独又は、混合で1個以上をもつ化合物であって、オイル、ゴム、樹脂、界面活性剤の性状をとるものを使える。
フッ素化合物としては、末端基にC−F1 、C−F2 、C−F3 をもつ化合物で、単独又は混合の1種以上の化合物のオイル、ゴム、樹脂、界面活性剤の性状をとるものを使える。
その他、模様層のインキには、着色材、体質顔料、結着剤、硬化剤、添加剤、溶剤などからなる組成物を使用できる。なお、結着剤としては、収縮性組成物の他に、収縮性組成物による収縮硬化を阻害するものでなければ、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は電離放射線硬化型樹脂など通常に使用されているものを加えることもできる。
【0012】
本発明における模様層は、平版、凹版、孔版、凸版の各版式による輪転あるいは枚葉のいずれかの方法の他に静電印刷、インクジェット印刷などの印刷により設けることができるが、具体的にはグラビア印刷、シルクスクリーン印刷等の方式が模様層のインキ量の調整が容易であり好ましい方法である。
【0013】
本発明の模様層は、任意に柄を選択して印刷することができるが、撥液効果により凹状の柄が表現される木目等の線状のもの等に好適に利用できる。
【0014】
前記熱収縮性組成物の熱収縮率は、前記熱可塑性樹脂フィルムの熱収縮率よりも大きいものを用いることによって、模様層塗布後の加熱により、基材シートを含めて収縮を引き起こし、前記導管部の斜面を形成する。
また、エンボス部底部においては、その中央部に僅かの凸部(以下、底部凸部14という)を形成する。これは模様層と基材フィルムとの加熱収縮の差によって基材フィルムの模様層部分が裏面側へ撓んで変形する際に形成されるものである。又此の過程でエンボス底部内に変曲点12、12を生じる。
【0015】
本発明における透明樹脂による表面保護層(以下透明樹脂層という)は、該透明樹脂層を形成する樹脂ワニスの表面張力の値が、上記撥液物質を含有した模様層の臨界表面張力の値よりも大なるものを使用する。例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化型樹脂などよりなる通常の樹脂ワニスを用途に応じて選択して使用する。
ここで、常温又は熱硬化性樹脂としては、エポキシ化合物とアミン系硬化剤とからなるエポキシ樹脂、ポリオール化合物とイソシアネート化合物とからなるウレタン系樹脂が使用でき、電離放射線硬化型樹脂としては、1分子中に2個以上のアクリロイル基をもつプレポリマー及び/又はモノマーを含むアクリル系、ポリエン化合物とポリチオール化合物からなる系、エポキシ化合物とカチオン重合開始剤からなる系などが用いられる。
また、該透明樹脂層には、シリカ、プラスチックビーズなどの無機及び/又は有機系の微粒子を艶消剤あるいは表面強化剤として添加することもできる。
前記透明樹脂層は、前記模様層を形成するインキ中の撥液成分により、撥かれて前記模様部分以外の領域に集まり、その結果模様部分の周縁部に盛り上がり、乾燥硬化して、前記導管部周縁部に土手状の隆起部を形成する。
【0016】
以上説明した、本発明の方法により得られる化粧シートのエンボス部は、図1に示すような形状であり模様層の表面は導管間の熱可塑性樹脂フィルム水準よりも低いレベルであり、導管溝に相当するエンボス部の斜面が下に凸の面を含む本物の導管溝を再現できる。なぜなら、本物の導管溝も下に凸の面を含むからである。
また、本発明の方法により得られる化粧シートのエンボス部は、図1に示すような形状であり模様層の表面は導管間の熱可塑性樹脂フィルム水準よりも低いレベルであり、エンボス部の両端外側には、透明熱硬化性樹脂の表面保護層4が模様層3の撥液効果により形成された隆起部11を形成し、また、エンボス部10の底部においては、中心部が僅かに盛り上がり(底部突起14)、両端の斜面の下部に溝13が形成され、変曲点12を境にした上に凸、下に凸の壁の形成に、前記表面保護層の隆起部11とエンボス部の底部に形成される両サイドの溝13とが相乗効果を示し、エンボス部の形状を視覚的に強調してきわめてシャープなものとしている。
本発明の方法により得られる化粧シートのエンボス部は、図1に示すような形状であり、模様層の表面は導管間の熱可塑性樹脂フィルム水準よりも低いレベルであり、そのエンボス部10を形成している斜面部に変曲点12を有し、該斜面は、前記変曲点12を境に表面側、すなわち、溝の外側に上に凸の形状をなし、また、前記変曲点の内面側には下に凸の形状を呈しており、天然木の板面の導管部等のような実物感のあるエンボス加工が得られる。
【0017】
【実施例】
以下、本発明における化粧シートの実施例について具体的に説明する。
【0018】
(実施例1)
厚み50μmの空洞をもつポリエステルフィルム、クリスパーG5323タイプ「東洋紡(株)製 商品名で、空洞を有する層とポリエステル樹脂のみの層との2層構成フィルム」を基材とし、前記空洞含有層の表面に硝酸セルロース・アルキッド系樹脂を結着剤とするグラビア印刷インキKL−MAX「ザ・インクテック株式会社製 商品名」を用いてベタ印刷及び導管模様を除いた木目の絵柄層を多色グラビア印刷し、この木目の絵柄層に同調した導管模様を以下の〔模様層用インキベヒクル1〕と着色料とよりなるインキでグラビア印刷し実施例1の模様層を得た。
〔模様層用インキベヒクル1〕
結着剤(アミノアルキッド樹脂 1) 32重量部
硬化剤(パラトルエンスルホン酸) 3重量部
撥液剤(シリコーンオイル) 4重量部
溶剤(イソプロピルアルコール) 61重量部
模様層を設けた印刷物を180℃、10秒間の加熱により、溶剤を除去するとともに、結着剤の硬化を進行し、その結果、導管の模様層が一部空洞をもつポリエステル樹脂層に沈下した状態の印刷シートを得た。
次いで、上記印刷シートの印刷面全面に下記組成のワニスを10g/m2 (固形分:塗布量については以下同様に記載する。)を塗布して、190℃、20秒間の加熱により硬化させ、絵柄層の面に透明樹脂による表面保護層(以下透明保護層と記載する。)を形成した。前記模様層の表面は、撥液により模様層以外の表面よりシャープな段差をもつ凹状部となる化粧シートが得られた。
〔樹脂ワニス〕
ポリエステルポリオール 16.0重量部
イソシアネート化合物 39.0重量部
シリコーンオイル 0.1重量部
溶剤(酢酸エチルなど) 44.9重量部
【0019】
(比較例1)
厚み50μmの空洞をもつポリエステルフィルム、クリスパーG5323タイプ「東洋紡(株)製 商品名で、空洞を有する層とポリエステル樹脂のみの層との2層構成フィルム」を基材とし、前記空洞含有層の表面に硝酸セルロース・アルキッド系樹脂を結着剤とするグラビア印刷インキKL−MAX「ザ・インクテック株式会社製 商品名」を用いてベタ印刷及び導管模様を除いた木目の絵柄層を多色グラビア印刷し、この木目の絵柄層に同調した導管模様を以下の〔模様層用インキベヒクル2〕と着色料とよりなるインキでグラビア印刷し、比較例1の模様層を得た。
〔模様層用インキベヒクル2〕
結着剤(ポリエステルポリオール1) 32重量部
硬化剤(イソシアネート化合物) 3重量部
撥液剤(シリコーンオイル) 4重量部
溶剤(トルエン、酢酸エチル) 61重量部
模様層を設けた印刷物を180℃、10秒間の加熱により、溶剤を除去するとともに、結着剤の硬化を行った。その結果、導管の模様層が一部空洞をもつポリエステル樹脂層に実施例1のように沈下した状態ではなく、導管の模様層の一部が空洞をもつポリエステル樹脂層に、単に積層された状態の印刷シートを得た。次いで、上記比較例1の印刷シートの印刷面全面に実施例1で使用した樹脂ワニスを表面に10g/m2 塗布して、190℃、20秒間の加熱により硬化させて絵柄層の面に透明樹脂層を形成した。前記模様層の表面は、撥液により模様層以外の表面よりは低いが、実施例1のようなシャープで大きな段差ではない図2(2−2)に示すような比較例1の化粧シートを得た。
【0020】
(実施例2)
厚み38μmの空洞をもつポリエステルフィルム、クリスパーG5323タイプ「東洋紡(株)製 商品名で、空洞を有する層とポリエステル樹脂のみの層との2層構成フィルム」を基材とし、前記空洞含有層の表面に実施例1と同様に、硝酸セルロース・アルキッド系樹脂を結着剤とするグラビア印刷インキKL−MAX「ザ・インクテック株式会社製 商品名」を用いてベタ印刷及び導管模様を除いた木目の絵柄層を多色グラビア印刷し、この木目の絵柄層に同調した導管模様を以下の〔模様層用インキベヒクル3〕と着色料とよりなるインキでグラビア印刷し実施例1の模様層を得た。
〔模様層用インキベヒクル3〕
主剤 (メラミン樹脂) 32重量部
硬化剤(パラトルエンスルホン酸) 3重量部
撥液剤(シリコーンオイル) 4重量部
溶剤(イソプロピルアルコール) 61重量部
次いで、上記実施例2の印刷物を180℃、10秒間の加熱により、溶剤を除去するとともに、結着剤の硬化を行い、その結果、導管の模様層が一部空洞をもつポリエステル樹脂層に沈下した状態の図Zに示す実施例2の印刷シートを得た。
次いで、上記実施例2の印刷シートの印刷面全面に実施例1で使用した樹脂ワニスを10g/m2 塗布して、190℃、20秒間の加熱により硬化させ、絵柄層の面に透明樹脂層を設けた。その結果、前模様層の表面は、撥液により模様層以外の表面よりシャープな段差をもつ凹状部となる化粧シートが得られた。
【0021】
(実施例3)
厚み38μmの空洞をもつポリエステルフィルム、クリスパーG5323タイプ「東洋紡(株)製 商品名で、空洞を有する層とポリエステル樹脂のみの層との2層構成フィルム」を基材とし、前記空洞含有層の表面に実施例1と同様に、硝酸セルロース・アルキッド系樹脂を結着剤とするグラビア印刷インキKL−MAX「ザ・インクテック株式会社製 商品名」を用いてベタ印刷及び導管模様を除いた木目の絵柄層を多色グラビア印刷し、この木目の絵柄層に同調した導管模様を以下の〔模様層用インキベヒクル4〕と着色料とよりなるインキでグラビア印刷しの模様層を得た。
〔模様層用インキベヒクル4〕
結着剤(アミノアルキッド樹脂2) 32重量部
硬化剤(パラトルエンスルホン酸) 3重量部
撥液剤(シリコーンオイル) 4重量部
溶剤(トルエン、イソプロピルアルコール) 61重量部
次いで、上記模様層を設けた印刷物を180℃、10秒間の加熱により、溶剤を除去するとともに、結着剤の硬化を行った。その結果、導管の模様層が一部空洞をもつポリエステル樹脂層に実施例1のように沈下した状態の実施例3の印刷シートを得た。
次いで、上記実施例3の印刷シートの印刷面全面に実施例1で使用した樹脂ワニスを10g/m2 塗布して、190℃、20秒間の加熱により硬化させ、絵柄層の面に透明樹脂層を設けた。その結果、前模様層の表面は、撥液により模様層以外の表面よりは低いが、実施例1のようなシャープで大きな段差ではない凹状部となる図2(2−1)に示すような実施例3の化粧シートを得た。
【0022】
【発明の効果】
本発明は、化粧シートの基材フィルムとして熱可塑性樹脂フィルムを用いるため、紙基材と比較して基材表面が平滑であり、インキやコート樹脂等の基材への浸透がない。
従来は建材用薄用紙で同様の化粧シートを製造していたがエンボス部以外の熱硬化性樹脂の表面が樹脂の浸透等やシート基材の厚みのブレ等の影響によりフラットになりにくく、表面の平滑性、光沢が得られにくかったが、本発明の方法により、樹脂の浸透や基材の厚みのブレが少なくなり、よりフラットな表面となり従来のコート紙では得られなかった高意匠のシャープなエンボス形状を有する化粧シートを得ることができた。
さらに、模様層の表面は塗膜水準よりも低いレベルであり、導管部の周縁部に形成される土手(隆起部)、底部の両端に形成される溝等による相乗効果によって、エンボスの輪郭、深さ等がより明確かつ実物に近い質感が表現できるようになった。
その結果、木目、石目、布目その他抽象柄など、本発明のエンボス形成により、それぞれの実物の表面レリーフがよりシャープに再現することが可能であり、意匠性を高めることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧シートの凹部形状の拡大断面模式図(1−1)、エンボス部の3次元表面形状測定による部分図(1−2)
【図2】本発明の製造方法による一実施例の断面の構造を示した断面図(2−1)、および比較例の断面の構造を示した断面図(2−2)
【図3】3次元表面形状測定による本発明(3−1)及び従来技術(3−2)による表面の状態を示す
【符号の説明】
1 基材フィルム
2 ベタ印刷層及び絵柄層
3 模様層
4 表面保護層
10 エンボス部
11 隆起部
12 変曲点
13 溝
14 底部凸部
15 塗膜水準
16 エンボス部底面
Claims (4)
- 熱可塑性樹脂フィルムの表面に導管柄が設けられ、該導管柄に同調して導管溝に相当するエンボス部を形成してなるシートにおいて、前記エンボス部の側部周縁部が土手状に隆起し、エンボス部底部の水準が導管間のフィルム水準よりも低く、かつエンボス部の斜面が下に凸の面を含むことを特徴とする化粧シート。
- 熱可塑性樹脂フィルムの表面に導管柄が設けられ、該導管柄に同調して導管溝に相当するエンボス部を形成してなるシートにおいて、前記エンボス部の側部周縁部が土手状に隆起し、エンボス部底部の水準が導管間のフィルム水準よりも低く、かつ前記エンボス部底部に、下に凹になっている溝が両脇にあることを特徴とする化粧シート。
- 熱可塑性樹脂フィルムの表面に導管柄が設けられ、該導管柄に同調して導管溝に相当するエンボス部を形成してなるシートにおいて、前記エンボス部の側部周縁部が土手状に隆起し、エンボス部底部の水準が導管間のフィルム水準よりも低く、かつエンボス部の斜面に変曲点を有することを特徴とする化粧シート。
- 熱可塑性樹脂フィルムの表面に、ベタ印刷層及び柄印刷層を設け、かつ該柄印刷層の最表面に、撥液物質及び前記熱可塑性樹脂フィルムよりも大きな熱収縮率を有する熱収縮性組成物よりなるインキにて模様層を設け、さらに該模様層以外の部分に透明樹脂にて表面保護層を塗工して加熱することを特徴とする化粧シートの製造方法。
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