JP3634471B2 - 化粧シート及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、家具、壁面、床材などの表面意匠を付与するとともに表面保護の目的で設ける建材用の化粧シート及びその製造方法に属する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来撥液性模様層の上に塗布した樹脂ワニスを塗布し、撥液性模様層に樹脂層の厚さのみで形成する凹部の段差が小さいことを解決し、意匠賦与性及び表面保護性が高い化粧シートであって、模様層に同調したシャープな凹状部をもつ化粧シートをエンボス版を用いないで提供することにある。
【0003】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、空胴をもつ熱可塑性樹脂フィルムの一方の面に、撥液物質と収縮性組成物を含む模様層、該模様層と同調した絵柄層、及び該模様層の以外の最表面に透明樹脂層をもつ積層シートにおいて、該模様層の少なくとも一部を、該空胴をもつ熱可塑性樹脂フィルムに沈下させてなり、かつ該模様層の表面は透明樹脂層の表面より低い段差の凹状部をもつ化粧シートである。しかも、上記収縮性組成物が、硬化の際に脱水縮合反応を伴う熱硬化性組成物である化粧シートである。
また、空胴をもつ熱可塑性樹脂フィルムの一方の面に、撥液物質と収縮性組成物を含む模様層、及び該模様層と同調した絵柄層を印刷する印刷シートを得る工程、該模様層の収縮組成物を収縮させる工程、該空胴をもつ熱可塑性樹脂フィルム中に該模様層の少なくとも一部を沈下させる工程及び上記の工程で得られた印刷シートの模様層側の表面全面に、該模様層中の撥液物質により撥液される樹脂ワニスを塗布し、少なくとも模様層以外の最表面に、樹脂ワニスよりなる透明樹脂層を設ける工程とからなる化粧シートの製造方法である。しかも、上記収縮性組成物が、硬化の際に脱水縮合反応を伴う熱硬化性組成物の化粧シートの製造方法である。
【0004】
【従来の技術】
近年、建材用化粧シートの意匠性及び表面保護機能を高めるために、印刷模様部と凹状部とを同調した化粧シートが種々提案されている。
例えば、特公昭58ー14312号公報には、着色熱可塑性樹脂シートの表面に模様層を設け、該熱可塑性樹脂シートに上記模様層を挟んで透明熱可塑性樹脂シートが積層され、上記熱可塑性樹脂シートと着色熱可塑性樹脂シートとの積層物に凹凸模様が設けられ、該凹凸模様の凹部に着色材を充填し、前記着色材は、フェノール系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂から選ばれた熱硬化性樹脂をベヒクルの構成材料とする塗料若しくはインキ、又は電離放射線硬化型塗料若しくは電離放射線硬化型インキからなる化粧シートが開示されている。しかしながら、この化粧シートの製造には高価なエンボス版が必要であり、更に凹状部の着色には、その他の印刷模様とは別に凹状部に着色材を充填するワイピング工程が必要であるという問題点が残されていた。
【0005】
また、特公平1ー17427号公報には、化粧シートの基材表面に模様層を設けた後、凹状部を形成させるべき部分に撥液剤を含む硬化型インキで印刷し、次いで、得られた印刷化粧シートの全面に熱硬化型塗料を塗布したのち、上記塗料層の溶融温度又はそれ以上の温度で加熱することにより、前記硬化型インキを印刷した模様層の上に施された上記塗料を撥液して、凹状部を形成した化粧シートの製造方法が開示されている。
しかしながら、撥液剤を含む硬化型インキを設けた部分は凸状となっており、したがって、その凸状部を含む全面に塗布された熱硬化型塗料は撥液されて凹状部を形成するが、その他の表面とは段差が小さいものであり、ここで段差を大きくするために、熱硬化型塗料を厚く塗布する方法も考えられはするが、撥液が充分に行われず、撥液剤を含む模様の上に熱硬化型塗料が残り、段差が小さくなってしまうという欠点がみられた。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は、図1に示すように、空胴をもつ熱可塑性樹脂フィルム2の一方の面に必要に応じて着色層を含む絵柄層4、該絵柄層と同調した撥液物質と収縮性組成物を含む模様層3及び該模様層の以外の最表面に透明樹脂層5をもつ積層シートにおいて、該模様層3の少なくとも一部を、該空胴をもつ熱可塑性樹脂フィルム2に沈下させてなり、かつ該模様層3の表面は透明樹脂層の表面より低い段差の凹状部をもつ化粧シート1である。
【0007】
そして、本発明の化粧シートの製造方法は、空胴をもつ熱可塑性樹脂フィルムの表面の凹状部を形成したい部分に、撥液性物質及び収縮性組成物を含むインキを使用して印刷、乾燥して模様層を形成し、更にその他の部分には通常のインキを用いて所望の絵柄層をもつ多色化粧シートを作成する。このとき、模様層の一部は、該空胴をもつ熱可塑性樹脂フィルム中に沈下した状態となる。
次いで、上記で形成した、模様層及び多色の印刷絵柄層を含む表面全面に樹脂ワニスを塗布して加熱乾燥することにより設けた透明樹脂層が、上記の撥液性物質を含む模様層によって撥液されて凹状部を形成して本発明の化粧シートを作成することができる。このとき図1に示すように、少なくとも該模様層以外の最表面に透明樹脂層を積層して形成され、該模様層の少なくとも一部を空胴をもつ熱可塑性樹脂フィルムの表面層中に沈下させるとともに、該模様層の表面は、該透明樹脂層の表面より低い段差をもつ凹状部となる本発明の化粧シートを形成することができる。
【0008】
本発明の空胴をもつ熱可塑性樹脂フィルムを形成する熱可塑性樹脂は、例えばエチルセルロース、硝酸セルロース、酢酸セルロース、エチルヒドロキシセルロース、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル系共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン、ポリビニルトルエン、ABS樹脂などのスチレン系樹脂、ポリメタアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタールなどのビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、線状ポリウレタン、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド、フッ化ビニリデン、4−フッ化エチレン、3−フッ化塩化エチレンなどのフッ素樹脂、4−メチルペンテン−1樹脂、ポリサルフォン、ポリフェニルオキシド、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、重合ロジンなどのエステル化物、クマロン樹脂などの天然樹脂又は合成樹脂が挙げられる。
好ましくは、温度及び湿度に対して、寸法安定性のよいものから選択する。例えば、熱変形温度が80℃以上の熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン、ポリメタアクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン66などのポリアミド、フッ化ビニリデン、4−フッ化エチレン、3フッ化エチレン、4−メチルペンテン−1樹脂、ポリサルフォン、ポリフェニルオキシドを挙げることができる。
【0009】
空胴をもつ熱可塑性樹脂フィルムは、上記の熱可塑性樹脂に無機微粒子を配合したコンパウンドを延伸法によりフィルム化して得られる。配合する無機微粒子は、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、カオリン、カオリナイト、タルク、クレイ、珪藻土、ドロマイト、酸化チタン、酸化マグネシウム、ゼオライトなどの他に、上記の熱可塑性樹脂とは異なる熱可塑性樹脂からなる微粒子が挙げられる。そして、これらの微粒子を一種若しくは二種以上の混合物のいずれでも使用することができる。
【0010】
空胴をもつ熱可塑性樹脂フイルムを得る他の方法としては、上記の熱可塑性樹脂のなかから非相溶の二種以上の熱可塑性樹脂を熱溶融押出機で溶解混練し押し出してフィルム化することにより得られる。例えば、ポリエステルと相溶しない熱可塑性樹脂としてポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂を熱溶融押出機で溶解混練し、ポリエステル中に非相溶の該熱可塑性樹脂を微粒子状に分散させたフィルムを得てその微粒子の周囲に空胴を発生させる方法(例えば、特開昭49ー134755号公報、特公昭49ー2016号公報、特公昭58ー28097号公報)が挙げられる。
また、特開平7ー173313号公報に開示されたように、ポリエステルと非相溶の熱可塑性樹脂(A)及びポリエステルと熱可塑性樹脂(A)の両方に非相溶の熱可塑性樹脂(B)からなり、その各々の樹脂の表面張力の値を、ポリエステル>熱可塑性樹脂(A)>熱可塑性樹脂(B)の順とし、これらの混合物として各樹脂のチップを混合して、熱溶融押出機で溶解混練したのち、押出して固化する方法や、予め、混練機によって両樹脂を混練したものを更に押出機により、溶融押出して固化する方法や、ポリエステルの重合工程において、ポリエステルと非相溶の熱可塑性樹脂を添加して、攪拌分散して得たチップを溶融押出して固化する方法などによって得られるものである。
また、本発明の空胴をもつ熱可塑性樹脂フイルムとしては、空胴をもつ熱可塑性樹脂層と、同種又は異種の熱可塑性樹脂層との積層体からなる2軸延伸された積層フィルムであってもよい。
【0011】
本発明の模様層は、任意に柄を選択して印刷することができるが、好ましくは撥液効果により凹状部の柄が表現される木目などの線状のものである。
印刷は、平版、凹版、孔版、凸版の各版式による輪転あるいは枚葉のいずれの方法の他に静電印刷、インクジェット印刷などで行うことができる。
好ましくは、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷が、模様層のインキ量の調整が容易であり好ましい方法である。
また、離形性フィルムに一旦剥離性をもつ模様層を印刷して、転写フィルムを作成し、得られた転写フィルムを用いて熱転写によって形成してもよい。
【0012】
本発明の模様層中の収縮性組成物は、硬化のときに、収縮を伴う熱硬化性組成物、印刷した模様層に可塑剤又は溶剤を含みその揮発や遊離のときに収縮する組成物を使用する。
上記の硬化のときに収縮を伴う硬化性組成物としては、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂のなかから選択できる。これらのなかでも硬化のときに脱水縮合反応を伴う熱硬化性組成物である尿素あるいはその誘導体とホルムアルデヒドからなる尿素樹脂、メラミンあるいはその誘導体とホルムアルデヒドからなるメラミン樹脂、更に上記の尿素樹脂又はメラミン樹脂の初期生成物に変性アルキッド樹脂を加えた尿素アルキッド樹脂、メラミンアルキッド樹脂などのアミノアルキッド樹脂が好ましい。
【0013】
本発明の模様層に含まれる撥液物質は、該撥液物質を含んだ模様層表面の臨界表面張力が、透明樹脂層を形成するために塗布するワニスの表面張力の値より小さくなるものを使用する。例えば、ワックス、シリコーン、フッ素化合物などがある。ワックスとしては、パラフィン、木蝋、蜜蝋などの天然から得られるものや、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成物質などを使用できる。
また、シリコーンとしては、末端基にC−Si 、C−Si2、C−Si3を単独又は、混合で1個以上をもつ化合物であって、オイル、ゴム、樹脂、界面活性剤の性状をとるものを使える。
フッ素化合物としては、末端基にC−F1 、C−F2 、C−F3 をもつ化合物で、単独又は混合の1種以上の化合物のオイル、ゴム、樹脂、界面活性剤の性状をとるものを使える。
【0014】
その他、模様層のインキには、着色材、体質顔料、結着剤、硬化剤、添加剤、溶剤などからなる組成物を使用できる。なお、結着剤としては、収縮性組成物の他に、収縮性組成物による収縮効果を阻害するものでなければ、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は電離放射線硬化型樹脂など通常に使用されているものを加えることもできる。
【0015】
また、絵柄層は、木目、石目、布目などの天然物を模写したもの、文字、記号、線画やベタ印刷のある図、各種の抽象柄などから適宜に選択できる。
そして、絵柄層の印刷に使用するインキは、上記の模様層の印刷に用いたインキのように、収縮性、撥液性をもたない通常の印刷インキで、透明樹脂層となるワニスを塗布するときに溶解されて絵柄層がくずれず、またワニスとの接着が強固なものから選択する。
【0016】
本発明の透明樹脂層は、該透明樹脂層を形成する樹脂ワニスの表面張力の値が、上記撥液物質を含んだ模様層の臨界表面張力の値より大きくなるものを使用すればよく、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化型樹脂などよりなる通常の樹脂ワニスを用途に応じて使用することができる。
ここで、常温又は熱硬化性樹脂としては、エポキシ化合物とアミン系硬化剤とからなるエポキシ樹脂、ポリオール化合物とイソシアネート化合物とからなるウレタン系樹脂が使用でき、電離放射線硬化型樹脂としては、1分子中に2個以上のアクリロイル基をもつプレポリマー及び/又はモノマーを含むアクリル系、ポリエン化合物とポリチオール化合物からなる系、エポキシ化合物とカチオン重合開始剤からなる系などが用いられる。
また、透明樹脂層には、シリカ、プラスチックビーズなどの無機及び/又は有機系の微粒子をつや消し剤及び表面強化剤として添加してもよい。
【0017】
本発明の化粧シートを用いて化粧板を製造するには、上記で得られた化粧シートの、絵柄層を設けない面に酢酸ビニル樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂などの接着剤を使用して合板などに接着積層するものである。更に、この化粧板の製造において、化粧シートと、合板との接着を強固にするために、化粧シートの裏面(合板との接着面)に予めポリエステルなどのプライマー層を設けてもよい。
【0018】
【実施例】
以下、本発明における化粧シートの実施例について具体的に説明する。
【0019】
(実施例1)
厚み50μmの空胴をもつポリエステルフイルム2であるクリスパーGタイプ「東洋紡(株)製 商品名:空胴をもつポリエステル樹脂層とポリエステル樹脂層とが積層され二軸延伸されたフィルム」の空胴をもつポリエステル層面に、硝酸セルロース・アルキッド系樹脂を結着剤とするグラビア印刷インキKL−MAX「ザ・インクテック株式会社製 商品名」を用いてベタ印刷及び導管模様を除いた木目の絵柄層4を多色グラビア印刷し、この木目の絵柄層4に同調した導管模様を以下の組成の〔模様層用インキベヒクル1〕と着色料とよりなるインキでグラビア印刷し実施例1の模様層3を設けた。
〔模様層用インキベヒクル 1〕
結着剤(アミノアルキッド樹脂 1) 32重量部
硬化剤(パラトルエンスルホン酸) 3重量部
撥液剤(シリコーンオイル) 4重量部
溶剤 (イソプロピルアルコール) 61重量部
模様層3を設けた印刷物を180℃、10秒間の加熱により、溶剤を除去するとともに、結着剤の硬化を進行し、その結果、導管の模様層3が一部空胴をもつポリエステル樹脂層に沈下した状態の印刷シートを得た。
【0020】
次いで、上記印刷シートの印刷面全面に下記組成の樹脂ワニスを10g/m2 (固形分:塗布量については以下同様に記載する。)を塗布して、190℃、20秒間の加熱により硬化させ、絵柄層4の面に透明樹脂層5を形成した。模様層3の表面は、撥液により模様層以外の表面よりシャープな段差をもつ凹状部となる実施例1の化粧シート1を得た。
〔樹脂ワニス〕
ポリエステルポリオール 16.0重量部
イソシアネート化合物 39.0重量部
シリコーンオイル 0.1重量部
溶剤(酢酸エチルなど) 44.9重量部
【0021】
(比較例1)
厚み50μmの空胴をもつポリエステルフイルム2であるクリスパーGタイプ「東洋紡(株)製 商品名:空胴をもつポリエステル樹脂層とポリエステル樹脂層とが積層され二軸延伸されたフィルム」の空胴をもつポリエステル層面に、硝酸セルロース・アルキッド系樹脂を結着剤とするグラビア印刷インキKL−MAX「ザ・インクテック株式会社製 商品名」を用いてベタ印刷及び導管模様を除いた木目の絵柄層4を多色グラビア印刷し、この木目の絵柄層4に同調した導管模様を以下の組成の〔模様層用インキベヒクル2〕と着色料とよりなるインキでグラビア印刷し、比較例1の模様層3を設けた。
〔模様層用インキベヒクル 2〕
結着剤(ポリエステルポリオール) 32重量部
硬化剤(イソシアネート化合物) 3重量部
撥液剤(シリコーンオイル) 4重量部
溶剤 (トルエン、酢酸エチル) 61重量部
模様層3を設けた印刷物を180℃、10秒間の加熱により、溶剤を除去するとともに、結着剤の硬化を行った。その結果、導管の模様層3が一部空胴をもつポリエステル樹脂層に実施例1のように沈下した状態ではなく、導管の模様層の一部が空胴をもつポリエステル樹脂層に、単に積層された状態の印刷シートを得た。
【0022】
次いで、上記比較例1の印刷シートの印刷面全面に実施例1で使用した樹脂ワニスを表面に10g/m2 塗布して、190℃、20秒間の加熱により硬化させて絵柄層4の面に透明樹脂層5を形成した。模様層3の表面は、撥液により模様層以外の表面よりは低いが、実施例1のようなシャープで大きな段差ではない凹状部となる図2に示すような比較例の化粧シート7を得た。
【0023】
(実施例2)
厚み38μmの空胴をもつポリエステルフイルム2であるクリスパーGタイプ「東洋紡(株)製 商品名:空胴をもつポリエステル樹脂層とポリエステル樹脂層とが積層され二軸延伸されたフィルム」の空胴をもつポリエステル層面に、実施例1と同様に、硝酸セルロース・アルキッド系樹脂を結着剤とするグラビア印刷インキKL−MAX「ザ・インクテック株式会社製 商品名」を用いてベタ印刷及び導管模様を除いた木目の絵柄層4を多色グラビア印刷し、この木目の絵柄層4に同調した導管模様を下記組成の〔模様層用インキベヒクル3〕と着色料とよりなるインキでグラビア印刷して模様層3を設けた。
〔模様層用インキベヒクル 3〕
主 剤(メラミン樹脂) 32重量部
硬化剤(パラトルエンスルホン酸) 3重量部
撥液剤(シリコーンオイル) 4重量部
溶剤 (イソプロピルアルコール) 61重量部
次いで、上記印刷物を180℃、10秒間の加熱により、溶剤を除去するとともに、結着剤の硬化を進行し、その結果、導管の模様層3が一部空胴をもつポリエステル樹脂層に沈下した状態の図1に示す実施例2の印刷シートを得た。
【0024】
次いで、上記実施例2の印刷シートの印刷面全面に実施例1で使用した樹脂ワニスを10g/m2 塗布して、190℃、20秒間の加熱により硬化させ、絵柄層4の面に透明樹脂層5を設けた。その結果、模様層3の表面は、撥液により模様層以外の表面より低くシャープな段差が形成された凹状部をもつ化粧シート1を得た。
【0025】
(実施例3)
厚み38μmの空胴をもつポリエステルフイルム2であるクリスパーGタイプ「東洋紡(株)製 商品名:空胴をもつポリエステル樹脂層とポリエステル樹脂層とが積層され二軸延伸されたフィルム」の空胴をもつポリエステル層面に、硝酸セルロース・アルキッド系樹脂を結着剤とするグラビア印刷インキKL−MAX「ザ・インクテック株式会社製 商品名」を用いてベタ印刷及び導管模様を除いた木目の絵柄層4を多色グラビア印刷し、この木目の絵柄層4に同調した導管模様を下記組成の〔模様層用インキベヒクル4〕と着色料とからなるインキでグラビア印刷し模様層3を設けた。
〔模様層用インキベヒクル 4〕
結着剤(アミノアルキッド樹脂 2) 32重量部
硬化剤(パラトルエンスルホン酸) 3重量部
撥液剤(シリコーンオイル) 4重量部
溶剤 (トルエン、イソプロピルアルコール) 61重量部
模様層3を設けた印刷物を180℃、10秒間の加熱により、溶剤を除去するとともに、結着剤の硬化を行った。その結果、導管の模様層3は、一部空胴をもつポリエステル樹脂層に実施例1のように沈下した状態の実施例3の印刷シートを得た。
【0026】
次いで、上記実施例3の印刷シートの印刷面全面に実施例1で使用した樹脂ワニスを表面に10g/m2 塗布して、190℃、20秒間の加熱により硬化させて、絵柄層4の面に透明樹脂層5を形成した。模様層3の表面は、撥液により模様層以外の表面よりは低いが、実施例1のようなシャープで大きな段差ではない凹状部となる図1に示すような比較例の化粧シート1を得た。
〔樹脂ワニス〕
ポリエステルポリオール 16.0重量部
イソシアネート化合物 39.0重量部
シリコーンオイル 0.1重量部
溶剤(酢酸エチルなど) 44.9重量部
【0027】
【発明の効果】
本発明により意匠賦与性及び表面保護性の高い化粧シートであって、エンボス版を用いないで印刷した模様層に同調したシャープな凹状部をもつ化粧シート及びその製造方法を提供する効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧シートの積層構成を示す断面概略図である。
【図2】比較例の化粧シートの積層構成を示す断面概略図である。
【符号の説明】
1 本発明の化粧シート
2 空胴をもつ熱可塑性樹脂フイルム
3 撥液物質及び収縮性組成物を含む模様層
4 模様層の模様に同調した多色印刷絵柄層
5 透明樹脂層
6 撥液物質を含む模様層
7 比較例の化粧シート
Claims (2)
- 空胴をもつ熱可塑性樹脂フィルムの一方の面に、撥液物質と硬化の際に脱水縮合反応を伴う熱硬化性組成物からなる収縮性組成物を含む模様層、該模様層と同調した絵柄層、及び該模様層以外の最表面に透明樹脂層をもつ積層シートであって、該模様層の少なくとも一部を、該空胴をもつ熱可塑性樹脂フィルムに沈下させてなり、かつ該模様層の表面は透明樹脂層の表面より低い段差の凹状部をもつことを特徴とする化粧シート。
- 空胴をもつ熱可塑性樹脂フィルムの一方の面に、撥液物質と硬化の際に脱水縮合反応を伴う熱硬化性組成物からなる収縮性組成物を含む模様層、及び該模様層と同調した絵柄層を印刷する印刷シートを得る工程、該模様層の収縮組成物を収縮させる工程、該空胴をもつ熱可塑性樹脂フィルム中に該模様層の少なくとも一部を沈下させる工程及び上記の工程で得られた印刷シートの模様層側の表面全面に、該模様層中の撥液物質により撥液される樹脂ワニスを塗布し、少なくとも模様層以外の最表面に、樹脂ワニスよりなる透明樹脂層を設ける工程とからなることを特徴とする化粧シートの製造方法。
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- 1995-10-25 JP JP29929495A patent/JP3634471B2/ja not_active Expired - Lifetime
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