JP3687929B2 - 新規化合物a−76202及びその製造法 - Google Patents

新規化合物a−76202及びその製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、小胞体α−グルコシダーゼ阻害活性、及びシュークラーゼ−イソマルターゼ複合体が示すマルターゼ活性を阻害する活性を有する新規化合物A−76202及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
α−グルコシダーゼは、生体内に広く分布する酵素である。
【0003】
このうち小胞体に存在するα−グルコシダーゼ、すなわちα−グルコシダーゼI,IIは、分泌糖蛋白質、細胞表層糖蛋白質、及びウイルス表層糖蛋白質上のN結合型糖鎖の成熟過程においてプロセシングに関わる酵素である。具体的には、未成熟のN結合型糖鎖の末端部分に存在する3分子のグルコースを切り出す活性を有している。その後更に別の酵素が働き糖鎖が成熟する。HIVをはじめとするウィルス感染細胞において本酵素を阻害した場合、生成するウィルス粒子の表層糖蛋白質の糖鎖は未成熟な状態にとどまり、生成ウィルスの感染性が抑制される結果となる。実際に、小胞体α−グルコシダーゼ阻害物質として知られる、1−デオキシノジリマイシン、カスタノスペルミン及びその誘導体は、in vitroにおいてHIVの伝翻、増殖を阻害することが報告されている(H.Shimizu et al., AIDS,4巻、975 〜 979頁、(1990 年) ;B.D.Walker et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 、84巻、8120〜8124頁、(1987 年) 等)。
【0004】
また、小胞体α−グルコシダーゼ阻害剤は悪性腫瘍細胞の転移、浸潤を阻害することが報告されている(M.J.Humphries et al., Cancer Research, 46 巻, 5215〜5222頁, (1986 年); G.Pulverer et al., J. Cancer Res. Clin. Oncol., 114巻, 217 〜220 頁, (1988 年))。
従って、小胞体α−グルコシダーゼ阻害活性を有する化合物は、抗AIDS薬または抗腫瘍薬として有用である。
【0005】
一方、小腸刷子縁膜上に存在するシュークラーゼ−イソマルターゼ複合体は、マルトース、シュークロース、イソマルトース等を分解する酵素であり、グルコースをはじめとする単糖を生成する。単糖は、同じく、小腸刷子縁膜上に存在する輸送蛋白質の働きで体内へと輸送され、血中へと移行する。このようにして、シュークラーゼ−イソマルターゼ複合体は糖類の消化、吸収に関与している。なお、シュークラーゼ−イソマルターゼ複合体は1分子中に、シュークロース、イソマルトースのそれぞれの加水分解を触媒しうる2つの触媒部位を有し、マルトースはその双方の部位に基質として利用されるため、マルターゼ活性を測定することで該分子の挙動を見ることができる。
【0006】
従来、シュークラーゼ−イソマルターゼ複合体が示すマルターゼ活性に対して強い阻害活性を示す物質としては、AO−128、アカルボース等が知られており、抗肥満、抗糖尿等に有用な物質として報告されている(Satosi Horii et al.、ジャーナル オブ メディシナル ケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry) 、29巻、1038〜1046頁、 1986年 ; Shigenori Fujioka et al.、インターナショナル ジャーナル オブ オベシティー(International Journal of Obesity)、 15巻、59〜65頁、 1991年 ; 合田敏尚等、「栄養と食糧」、34巻、 139 〜143 頁、 1981年) 。
【0007】
従って、シュークラーゼ−イソマルターゼ複合体が示すマルターゼ活性を阻害する活性を有する化合物は、抗肥満薬、抗糖尿病薬として有用である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは微生物二次代謝産物中より小胞体α−グルコシダーゼ阻害活性、及びシュークラーゼ−イソマルターゼ複合体が示すマルターゼ活性を阻害する活性を有する物質を検索した結果、土壌より分離したロドコッカス属に属するSANK61694株(FERM BP−4751)の培養液中に、小胞体α−グルコシダーゼ阻害活性、及びシュークラーゼ−イソマルターゼ複合体が示すマルターゼ活性を阻害する活性を有する新規化合物A−76202が生産されることを見出して本発明を完成した。
【0009】
更に、本発明の他の目的は、A−76202またはその塩を有効成分とするα−グルコシダーゼ阻害剤、特に抗AIDS剤、抗腫瘍剤、またはシュークラーゼ−イソマルターゼ複合体が示すマルターゼ活性の阻害剤、特に抗肥満剤、抗糖尿病剤を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(1)下記式(I)で表わされる新規化合物A−76202またはその塩、:
【0011】
【化2】
Figure 0003687929
【0012】
(2)ロドコッカス(Rhodococcus)属に属するA−76202の生産菌を培養し、その培養物よりA−76202を採取することを特徴とするA−76202の製造法、
(3)ロドコッカス(Rhodococcus)属に属するA−76202生産菌がロドコッカス エスピー(Rhodococcus sp.)SANK61694株である(2)に記載の製造法、
(4)ロドコッカス エスピー(Rhodococcus sp.)SANK61694株に関する。
【0013】
本発明のA−76202は下記の物理化学的性状を有する。
1)性質;白色粉末。
2)溶解性;ジメチルスルホキシドに可溶。水、メタノール、アセトンに難溶。3)分子式;C20189 (高分解能マススペクトルにより測定)
4)分子量; 402(FAB−MSスペクトルにより測定)
5)紫外線吸収スペクトル;λmax nm
水溶液中で測定した紫外線吸収スペクトルは、259nmに極大吸収を示し、259nmにおける吸光係数(E1% 1cm )は687である。
6)赤外線吸収スペクトル(KBr);νmax cm-1
KBrディスクで測定した赤外線吸収スペクトルは、次の通りである。
3348、2943、1627、1601、1574、1515、
1284、1212、1078、1036、969
7) 1H−核磁気共鳴スペクトル; δ (ppm)
重ジメチルスルホキシド溶液中(ジメチルスルホキシド内部基準:2.49pm)で測定した核磁気共鳴スペクトル(500MHz)は、次の通りである。 3.46(1H, dd, J=5.5, 11.8Hz), 3.57(1H, dd, J=3.5, 11.8Hz),
3.84(1H, dd, J=3.8, 6.0Hz), 3.96(1H, ddd, J=3.5, 5.5, 6.0Hz),
4.28(1H, dd, J=1.0Hz以下, 3.8Hz), 5.60(1H, d, J=1.0Hz 以下),
6.81(2H, d, J=8.5Hz), 7.23(1H, d, J=8.8Hz), 7.39(2H, d, J=8.5Hz),
7.53(1H, d, J=8.8Hz), 8.37(1H, s)
8)13C−核磁気共鳴スペクトル; δ(ppm)
重ジメチルスルホキシド溶液中(ジメチルスルホキシド内部基準:39.5ppm)で測定した核磁気共鳴スペクトル(125MHz)は、次の通りである。
61.14, 76.66, 81.34, 85.95, 107.16, 114.44, 114.9(3C), 119.58, 122.41,
123.17, 130.05(2C), 136.15, 146.03, 147.58, 153.01, 157.17, 175.15
9)高速液体クロマトグラフィー
分離カラム;センシューパック ODS-H-2151 (φ6 ×150mm ,センシュー科学(株)製)
移動相; 16%アセトニトリル−水
流速; 1.5ml/分
検出波長; 210nmまたは259nm
温度; 25℃
保持時間; 16.22分。
【0014】
本発明の前記構造式(I)を有する化合物A−76202は、常法にしたがって塩にすることができる。そのような塩としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属塩;カルシウム、バリウムのようなアルカリ土類金属塩;マグネシウム塩;アルミニウム塩;等の無機塩またはアンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、ジシクロヘキシルアミンのようなアミン塩;リジン、アルギニンのような塩基性アミノ酸塩;等の有機塩基塩などをあげることができる。好適には薬理上許容しうる塩である。
【0015】
なお、本発明の化合物A−76202は、種々の異性体を有する。化合物A−76202においては、これらの異性体およびこれらの異性体の混合物がすべて単一の式で示されている。従って、本発明においてはこれらの異性体およびこれらの異性体の混合物をもすべて含むものである。
【0016】
また、本発明の化合物A−76202は、大気中に放置したり、または、再結晶をすることにより、水分を吸収し、吸着水が付いたり、水和物となる場合がある。本発明はこのような水和物をも包含する。
【0017】
本発明の化合物A−76202の製造法において用いられるロドコッカス(Rhodococcus) 属に属する菌株としては、例えばロドコッカス エスピー(Rhodococcus sp.) SANK 61694株(以下、「SANK 61694株」という。)を挙げることができる。SANK 61694株は茨城県つくば市筑波山東腹の土壌から土壌希釈法によって分離された。
【0018】
SANK 61694株の菌学的性状は、次の通りである。
【0019】
1.形態学的性状
SANK 61694株は、菌株同定用寒天培地上28℃、7ないし14日間の培養において普通もしくは貧弱に生育する。コロニーはラフ型を示す。基生菌糸はジグザグ状に伸長し分岐する。基生菌糸は茶味白ないし薄黄味橙色を示す。気菌糸は着生しない。SANK 61694株はイースト・デキストロース液で28℃、2日間の培養において菌糸の分断が観察され、断片はおよそ0.6〜
0.8×0.8〜3.5μmであり、表面は平滑である。胞子のう、菌核、車軸分岐等の特殊器官は認められない。
【0020】
2.各種培養基上の諸性質
各種培養基上で28℃、14日間培養後の性状は表1に示した通りである。色調の表示はマンセル方式による日本色彩研究所版「標準色表」のカラーチップ・ナンバーをあらわす。
【0021】
【表1】
Figure 0003687929
Figure 0003687929
【0022】
3.生理学的性質
28℃で培養後、2ないし21日間に観察したSANK 61694株の生理学的性質は表2に示した通りである。
【0023】
【表2】
Figure 0003687929
Figure 0003687929
また、プリドハム・ゴトリーブ寒天培地(ISP 9)を使用して、28℃、14日間培養後に観察したSANK 61694株の炭素源の資化性は表3に示す通りである。
【0024】
【表3】
Figure 0003687929
4.菌体成分について
SANK 61694株の細胞壁は、ビー・ベッカーらの方法(B. Becker et al.、アプライド マイクロバイオロジー(Applied Microbiology)、12巻、421 〜423 頁、1964年)に従い検討した結果、メソ−ジアミノピメリン酸が検出された。また、SANK 61694株の全細胞壁中の糖成分をエム・ピー・レシェバリエの方法(M. P. Lechevalier 、ジャーナル オブ ラボラトリー アンド クリニカル メディスン(Journal of Laboratory & Clinical Medicine )、71巻、834 頁、1968年)に従い検討した結果、アラビノースとガラクトースが検出された。ミコール酸の存在が確認された。細胞壁ペプチドグリカン中のムラミン酸のアシル基型はグリコリル型であった。また、主要メナキノン成分としてMK−8(H2)が検出された。DNAのGC含量は69.5%であった。
【0025】
ISP〔ジ・インターナショナル・ストレプトマイセス・プロジェクト(The International Streptomyces Project)〕基準、バージーズ・マニュアル・オブ・システマテック・バクテリオロジー(Bergey's Manual of Systematic Bacteriology)第4巻、ワックスマン(S.A.Waksman )著、ジ・アクチノミセテス(The Actinomycetes )第2巻および放線菌に関する最近の文献によって同定を行い、本菌株が放線菌の中でもロドコッカス属に属すると判断した。そこで、本菌株をロドコッカス エスピー(Rhodocsccus sp.) SANK 61694株と命名した。なお、本菌株は1994年7月22日に通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託され、寄託番号FERM BP−4751を付された。
【0026】
周知のとおり、放線菌は自然界において、または人工的な操作(例えば、紫外線照射、放射線照射、化学薬品処理等)により、変異を起こし易く、本発明のSANK 61694株もこの点は同じである。本発明にいうSANK 61694株はそのすべての変異株を包含する。また、これらの変異株の中には、遺伝学的方法、例えば、組み換え、形質導入、形質転換等により得られたものも包含される。即ち、A−76202を生産する、SANK 61694株およびその変異株およびそれらと明確に区別されない菌株は、すべてSANK 61694株に包含されるものである。
【0027】
【発明の実施の形態】
1.培養
A−76202を得るため、これらの微生物の培養は、他の醗酵生成物を生産するために用いられるような培地中で行う。このような培地中には、微生物が同化できる炭素源、窒素源及び無機塩を含有する。
一般に、炭素源としてグルコース、フルクトース、マルトース、シュークロース、マンニトール、グリセリン、デキストリン、オート麦、ライ麦、トウモロコシデンプン、ジャガイモ、トウモロコシ粉、大豆粉、綿実油、糖蜜、クエン酸、酒石酸等を単一に、あるいは併用して用いる事ができる。一般には、培地量の1〜10重量%で変量する。
【0028】
窒素源としては、一般に蛋白質およびその加水分解物を含有する物質または無機塩を醗酵工程に用いる。適当な窒素源としては、大豆粉、フスマ、落花生粉、綿実油、綿実粉、カゼイン加水分解物、ファーマミン、魚粉、コーンスチープリカー、ペプトン、肉エキス、イースト、イーストエキス、マルトエキス、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム等である。窒素源は、単一または併用して培地量の0.2〜10重量%の範囲で用いる。
【0029】
培地中にとり入れる栄養無機塩は、ナトリウム、アンモニウム、カルシウム、フォスフェート、サルフェート、クロライド、カーボネート等のイオンを得ることのできる通常の塩類である。また、カリウム、カルシウム、コバルト、マンガン、鉄、マグネシウム等の微量の金属も含む。
【0030】
液体培養に際しては、シリコン油、植物油、界面活性剤等が、消泡剤として使用される。SANK 61694株を培養し、A−76202を生産する培地のpHは、5.0〜8.0に変化できる。
【0031】
本菌株は7℃ないし34℃の範囲で生育し、特に14℃ないし29℃の範囲で良好である。更にA−76202の生産には22℃ないし28℃が好適である。A−76202は、好気的に培養して得られるが、通常用いられる好気的培養法、例えば固体培養法、振盪培養法、通気撹拌培養法等が用いられる。
【0032】
小規模な培養においては、28℃で数日間振盪培養を行うのが良好である。培養は、三角フラスコ中で、一段階または複数段階の種培養の発育工程により開始する。種培養フラスコは定温インキュベーター中で数日間、または充分に成長するまで振盪培養する。成長した種培養液は、その一部または全部を次段階の種培地または生産培地に接種するのに使用される。接種した生産培地を含むフラスコを一定温度で数日間振盪培養し、培養終了後、フラスコの含有物を遠心分離またはろ過により分別する。
大量培養の場合には、撹拌機、通気装置を付けた適当なタンクで培養するのが好ましい。この方法によれば、栄養培地をタンクの中で作製することができる。栄養培地を125℃まで加熱して滅菌し、冷却後この滅菌培地に、あらかじめ成長させてあった種培養液を接種する。培養は28℃で通気撹拌して行う。この方法は多量の化合物を得るのに適している。
【0033】
培養の経過に伴って生産されるA−76202の量の経時変化を知るには、例えば培養液をろ過して得たろ液を酸性で酢酸エチルを用いて抽出し、濃縮、乾固した油状物中のA−76202の量を小胞体α−グルコシダーゼ阻害試験、または高速液体クロマトグラフィーに付して測定する。通常は96時間から168時間の培養でA−76202の生産量は最高値に達する。
【0034】
2.抽出精製
培養終了後、培養液中の液体部分に存在するA−76202は、菌体、その他の固形部分を、珪藻土をろ過助剤とするろ過操作または遠心分離によって分別し、そのろ液または上清中に存在するA−76202を、その物理化学的性状を利用し抽出精製することにより得られる。
例えば、ろ液または上清中に存在するA−76202をイオン交換樹脂、例えばアンバーライトIRC−50、CG−50(ローム・アンド・ハース社製)、ダウエックス50WX4、ダウエックスSBR−P(ダウケミカル社製)の層を通過させて不純物を吸着させて取り除くか、またはA−76202を吸着させた後、アンモニア水を用いて溶出させることにより得られる。あるいは吸着剤として、例えば活性炭または吸着用樹脂であるアンバーライトXAD−2、XAD−4(ローム・アンド・ハース社製)等や、ダイヤイオンHP−10、HP−20、HP−50、CHP20P(三菱化成(株)社製)等が使用される。A−76202を含む液を上記のごとき吸着剤の層を通過させて不純物を吸着させて取り除くか、またはA−76202を吸着させた後、メタノール水、アセトン水等の水と有機溶剤との混合溶剤を用いて溶出させることにより得られる。また、n−ブタノール、酢酸エチル、メチレンクロライド等の有機溶剤により抽出することによっても得られる。
【0035】
このようにして得られたA−76202は、更にシリカゲル、フロリジルのような担体を用いた吸着カラムクロマトグラフィー、アビセル(旭化成工業(株)社製)、セファデックスLH−20(ファルマシア社製)等を用いた分配カラムクロマトグラフィーおよび順相、逆相カラム、イオン交換カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー等で精製することができる。
【0036】
本発明のA−76202の精製における所在は次に挙げる各々の方法によって測定することができる。
【0037】
1)小胞体α−グルコシダーゼ阻害試験(1)
ラット肝臓ミクロソーム画分のトリトンX−100可溶化処理液を酵素液とし、トリチウム標識グルコースを含む水疱性口内炎ウイルス糖蛋白質を基質として各被検試料存在下でα−グルコシダーゼ反応を進行させる。トリクロロ酢酸水溶液を添加して反応を停止させ、蛋白質を不溶化して、ポアサイズ0.65μmのメンブランフィルターでろ過したろ液中の遊離グルコースの放射活性を液体シンチレーションカウンターを用いて計測する。阻害剤を含まない反応液の放射活性と比較して、被検試料の酵素活性の阻害率を算出する。
【0038】
2)小胞体α−グルコシダーゼ阻害試験(2)
ラット肝臓ミクロソーム画分のトリトンX−100可溶化処理液を酵素液とし、パラニトロフェニルα−D−グルコピラノシドを基質として各被検試料存在下でα−グルコシダーゼ反応を進行させる。pH 10の緩衝液を加えて反応を停止させ、415nmの吸光度を計測して遊離パラニトロフェノールの量を求める。阻害剤を含まない反応液の遊離パラニトロフェノ−ル量と比較して、試料の酵素活性の阻害率を算出する。
【0039】
3)高速液体クロマトグラフィーを用いる方法
分離カラム;センシューパック ODS-H-2151(φ6 ×150mm,センシュー科学(株)製) 移動相; 16%アセトニトリル−水
流速; 1.5ml/分
検出波長; 210nm
温度; 25℃
保持時間; 16.22分。
【0040】
本発明のA−76202またはその塩は、文献未載の新規化合物であり、小胞体α−グルコシダーゼ阻害活性を有する。従って、A−76202またはその塩は抗AIDS薬、抗腫瘍薬としての用途に有用である。また、A−76202はシュークラーゼ−イソマルターゼ複合体が示すマルターゼ活性を阻害する活性も有する。従って、A−76202またはその塩は抗肥満薬、抗糖尿病薬としての用途に有用である。本発明は特に、A−76202またはその塩を有効成分として含有するα−グルコシダーゼ阻害剤、特に抗AIDS剤、抗腫瘍剤を提供する。
【0041】
その投与形態としては、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、シロップ剤等による経口投与、また注射剤(静脈内、筋肉内、皮下)、点眼剤、坐薬等による非経口投与を挙げることができる。
これらの各種製剤は、常法に従って主薬に賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、コーティング剤等既知の医薬製剤技術分野において通常使用しうる既知の補助剤を用いて製剤化することができる。その使用量は症状、年齢、体重、投与方法および剤形等によって異なるが、通常は成人に対して1日1mgから1000mgを一回または数回にわけて投与することが好ましい。
【0042】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0043】
実施例 1.
(A)培養
ロドコッカス エスピー(Rhodococcus sp.) SANK 61694株(FERM BP−4751)を培地組成−1で示される培地80mlを含む500ml容三角フラスコ2本に、スラントより一白金耳接種し、
210rpm回転振盪培養機で、28℃で120時間培養し種培養液とした。
【0044】
Figure 0003687929
培地組成−2で示される培地を500ml容三角フラスコ60本に100mlづつ入れ、120℃で40分間加熱滅菌した。これを28℃に冷却した後、種培養液 2mlを接種した。次いで210rpmの回転振盪培養機で28℃で
144時間培養した。
【0045】
Figure 0003687929
(B)単離
得られた培養液6リットルにろ過助剤としてセライト 545(ジョンズ マンビル プロダクト コーポレーション製)を0.3kg加えてろ過し、ろ液
4.65リットルを得た。塩酸を用いてpH 4.0に調整したろ液を、ダウエックス50WX4(Dowex50WX4(H+)) 460mlを充填したカラムに供与してA−76202を吸着させ、脱イオン水 1.5リットルで洗浄後、0.5Nアンモニア水溶液で溶出を行った。最初の600mlを除き、以後の1.3リットルの溶出液を集め、減圧下濃縮し15mlとした。
【0046】
次いでこの濃縮液をアンバーライトCG−50 (NH4 +) 500mlを充填したカラムに供与し、脱イオン水で展開溶出し、溶出液を20mlづつ分画した。後述の方法(α−グルコシダーゼ阻害試験(その1),(その2)および高速液体クロマトグラフィー)により分析を行い、A−76202の存在が確認されたフラクション29、30を集めた。活性画分を減圧下で濃縮後、凍結乾燥を行い、A−76202を含む粗粉末 143.6mgを得た。
この粗粉末を20mlの蒸留水に溶解し、塩酸を用いてpH 4.0に調整して、再度アンバーライトCG−50(NH4 +) 500mlを充填したカラムで精製して、粉末 48.2mgを得た。
次いでこの粉末をHPLCを用いて分取し精製した。HPLCカラム(センシューパック ODS−H−5251)を16%アセトニトリル−水で平衡化し、これに、粉末を蒸留水に溶解して1.5mlとした試料溶液のうち0.3mlを注入した。16%アセトニトリル−水を移動相として流速8ml/分で溶出し、検出波長210nmでモニターして、保持時間42分から44分の溶出液を集めた。残りの試料溶液 1.2mlについても同様に操作した。計5回のHPLCを用いた分取により得た溶出液を濃縮、凍結乾燥することにより、A−76202の白色粉末 1.1mgを得た。
【0047】
この白色粉末の一部を取り、高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、下記の結果を得た。
【0048】
分離カラム; センシューパック ODS-H-2151 (6φ×150mm,センシュー科学(株)製) 移動相; 16%アセトニトリル−水
流速; 1.5ml/分
検出波長; 210nm
温度; 25℃
保持時間; 16.22分。
【0049】
実施例 2.
(A)培養
培地組成−3で示される培地15リットルを30リットル容ジャーファーメンター4基に仕込み、120℃で30分間加熱滅菌した。これを28℃に冷却した後に、実施例1.と同様に調製した種培養液 150mlを接種した。そして溶存酸素量5ppmを保持させるように回転数を100〜110rpmの範囲内で調整し、 通気量15リットル/分、30℃で、 120時間攪拌培養した。
【0050】
Figure 0003687929
(B)単離
得られた培養液 56リットルにろ過助剤としてセライト545( ジョンズ マンビル プロダクト コーポレーション製) 3kgを加えてろ過することにより、ろ液 52リットルを得た。このろ液を塩酸でpH 4.0に調整し、ダウエックス50WX4(H+ ) 6リットルを充填したカラムに供与してA−76202を吸着させた。
カラムを脱イオン水 25リットルで洗浄後、0.5Nアンモニア水溶液で溶出を行った。溶出液は3リットルづつ分画し、活性フラクション2〜6を集めて濃縮し、300mlとした。
この濃縮液に塩酸を加えてpHを7.0に調整し、アンバーライト CG−50(NH4 +) 9リットルを充填したカラムに供与してA−76202を吸着させ、脱イオン水で展開溶出した。最初の4.4リットルを除去後、18mlずつ分画した。A−76202を含むフラクション30〜85を集め、減圧下濃縮し、凍結乾燥を行って粗粉末 23.4gを得た。
これを脱イオン水 500mlに溶解し塩酸でpHを2.5に調整し酢酸エチル 500mlで3回抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄後、減圧下濃縮して100mlとした。濃縮液に水 130mlを加えた後、更に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを9.5に調整してA−76202を逆抽出し、水層を70mlに濃縮して塩酸でpHを6.9に調整した。
【0051】
次いで、100mlのHP−20を充填したカラムに供与して吸着させ、水洗後、更に10%アセトン水 300mlで洗浄してから、50%アセトン水で溶出し100mlずつ分画した。活性フラクション2、3を集め減圧下濃縮、凍結乾燥して73.7mgの粉末を得た。
この粉末 60mgを15mlの水に溶解し、あらかじめ5%アセトニトリル−水で平衡化したコスモシール140C18−OPN(ナカライテスク(株)製)
40mlを充填したカラムに吸着させた。5%アセトニトリル−水 540
mlで洗浄後、10%アセトニトリル−水で溶出し、溶出液を20mlずつ分画した。活性フラクション36〜44を集め、減圧下濃縮し、凍結乾燥を行ってA−76202の白色粉末 20mgを得た。
【0052】
この白色粉末の一部を取り高速液体クロマトグラフィーで分析したところ下記の結果を得た。
【0053】
分離カラム; センシューパック ODS-H-2151 (6φ×150mm,センシュー科学(株)製) 移動相; 16%アセトニトリル−水
流速; 1.5ml/分
検出波長;210nm
温度; 25℃
保持時間; 16.22分。
【0054】
【発明の効果】
試験例 1. 小胞体α−グルコシダーゼ阻害試験(その1)
トリチウム標識グルコースを含む糖鎖を有するウイルス蛋白質を基質とし、遊離した標識グルコースの放射活性を測定することで酵素活性を求めた。
【0055】
ウィスター系ラットの肝臓 15gを細切し、0.25Mシュークロース、0.5mMジチオスレイトールを含むリン酸カリウム緩衝液(pH 7.0) 60ml中で、テフロンホモゲナイザーを用いてホモゲナイズした。これを1,800×g,10分の遠心分離に供して上清を得た。この上清を、15,000×g, 30分の遠心分離に供して上清を得た。
【0056】
この上清を120,000×g, 60分の遠心分離に供して沈渣を得た。この沈渣に10% グリセロール、2mM MgCl2 、0.5μMジチオスレイトールを含む10mMリン酸カリウム緩衝液(pH 7.0) 60mlを加えてホモゲナイズし、再度120,000×g, 60分の遠心分離に供した。得られた沈渣に10%グリセロール、2mM MgCl2 、0.5μMジチオスレイトールを含む10mMリン酸カリウム緩衝液(pH 7.0) 60mlを加えてホモゲナイズしたものを肝臓ミクロソーム画分とした。
【0057】
この肝臓ミクロソーム画分を、2%トリトンX−100存在下で、テフロンホモゲナイザーを用いてホモゲナイズした。プロテインアッセイ(バイオラッド社製)により牛血清アルブミンを標準試料として換算し、蛋白質濃度3.4mg/mlになるように20mMエチレンジアミン四酢酸を含んだ100mMリン酸カリウム緩衝液(pH 6.8)で希釈したものを酵素液とした。
【0058】
カングらの方法(M. S. Kang et al., Analytical Biochemistry, 184 巻, 109 〜112 頁 (1989年) )に従ってトリチウム化グルコースで水疱性口内炎ウイルスをラベルした。すなわち、水疱性口内炎ウイルスを感染させたBHK細胞を、培養面積150cm2 の培養ボトル18個に接種して24時間培養した。これら18個の培養ボトルから回収した培養上清を100,000×g、2時間の遠心分離処理に供し、ウイルスを含む沈渣を得た。これを蒸留水に溶解後、トリクロロ酢酸で沈殿させた。この沈殿を0.5%ドデシル硫酸ナトリウム、5mMジチオスレイトール存在下で、pH 7に調整した溶液 7mlを基質液とした。
【0059】
以下、希釈等の操作には、20mMエチレンジアミン四酢酸を含む100mMリン酸カリウム緩衝液(pH 6.8)を使用した。96穴マイクロタイタープレートの各ウェルに、被検試料溶液 5μl、酵素液 10μl、基質液の5倍希釈液 10μlおよび上記緩衝液 75μlを加え、総計 100μlとして、反応を開始した。37℃で60分静置して反応を進行させた後、10mg/ml 牛血清アルブミン水溶液と50%トリクロロ酢酸水溶液をそれぞれ25μl ずつ分注し、α−グルコシダーゼ反応を停止した。4℃で60分静置した後、マルチスクリーンアッセイシステム(ミリポア社製)を用いて、ポアサイズ 0.65μmのメンブレンフィルターでろ過した。ろ液 100μl中に含まれる放射活性を液体シンチレーションカウンターを用いて計測した。阻害剤を含まない反応液の放射活性と比較し、被検試料の酵素活性の阻害率を算出した。
この方法においてA−76202が小胞体α−グルコシダーゼを50%阻害する濃度は8.1ng/mlであった。
【0060】
試験例 2. 小胞体α−グルコシダーゼ阻害試験(その2)
試験例 1.で調製した、ラット肝臓ミクロソーム画分を、2%トリトンX−100存在下で、テフロンホモゲナイザーを用いてホモゲナイズした。プロテインアッセイ(バイオラッド社製)により牛血清アルブミンを標準試料として換算し、蛋白質濃度 2.6mg/mlになるように20mMエチレンジアミン四酢酸を含む100mMリン酸カリウム緩衝液(pH 6.8) で希釈したものを酵素液とした。
【0061】
希釈等の操作には、20mMエチレンジアミン四酢酸を含む100mMリン酸カリウム緩衝液(pH 6.8)を使用した。96穴マイクロタイタープレートの各ウェルに、被検試料溶液 5μl、酵素液 10μl、10mMパラニトロフェニルα−D−グルコピラノシド溶液 50μlと緩衝液 85μlを加え、総計 150μlとして、反応を開始した。37℃で20分静置して反応を進行させた後、4Mグリシンナトリウム緩衝液(pH 10)を20μl分注して、反応を停止させた。
【0062】
415nmの吸光度を計測して遊離パラニトロフェノールの量を求め、阻害剤を含まない反応液の遊離パラニトロフェノール量と比較し、試料の酵素活性の阻害率を算出した。
【0063】
この方法においてA−76202が小胞体α−グルコシダーゼを50%阻害する濃度は4.7ng/mlであった。
【0064】
試験例 3. ラットシュークラーゼ−イソマルターゼ複合体が示すマルターゼ活性に対する阻害試験
ケスラーらの方法(M.Kessler et al.、ビオキミカ エト ビオフィジカ アクタ(Biochimica et Biophysica Acta)、 506 巻、136〜154 、 1978年)に従い、ウイスター(Wistar)系ラット(雄)の小腸より小腸刷子縁膜酵素液を調製した。これをコリンスカとクラムルの方法(J. Kolnska and J.Kraml、 ビオキミカ エト ビオフィジカ アクタ(Biochimica et Biophysica Acta)、284巻、235〜247、 1972 年) に従い、ペプシン処理後、セファデックスG−200カラムで2回精製を行なった。この操作を通じて、シュークラーゼ活性、イソマルターゼ活性、マルターゼ活性が同一の溶出画分に見られた。この結果は、シュークラーゼ−イソマルターゼ複合体が同時にマルターゼ活性を有するとする文献(J. Kolinska and J.Kraml、ビオキミカ エト ビオフィジカ アクタ(Biochimica et Biophysica Acta)、284巻、235〜247、 1972 年)により知られている事実に適合した。こうして得たシュークラーゼ−イソマルターゼ複合体画分を酵素液として用いた。
【0065】
4−アミノアンチピリンはシグマ社より、ペルオキシダーゼ(Grade I)、グルコースオキシダーゼ(Grade I) はベーリンガーマンハイム社より購入したものを用いた。以下、希釈等の操作には、20mMクエン酸−40mMリン酸二ナトリウム緩衝液(pH 6.2) を使用した。96穴マイクロタイタープレートの各ウェルに、牛血清アルブミン 0.2mg, グルコースオキシダーゼ 3unit,ペルオキシダーゼ 0.132unit,4−アミノアンチピリン 20μg,フェノール 40μg,マルトース 3μmoleを含む前記の緩衝液 125μlと被検試料溶液 5μlを加え、総計 130μlとした。次いで、これに酵素液 20μl(総活性 0.001unit(国際単位))を加えて、反応を開始した。
これを37℃で20分間反応させ、遊離したグルコースの濃度を492nmの吸光度変化を測定することにより定量した。阻害剤を含まない反応液のグルコース遊離量と比較し、被検試料の酵素活性の阻害率を算出した。
【0066】
この方法においてA−76202がマルターゼ活性を50%阻害する濃度は1.2μg/mlであった。
【0067】
以上のように本発明のA−76202またはその塩は顕著な小胞体α−グルコシダーゼ阻害活性を有するので、抗AIDS剤、抗腫瘍剤として有用である。更に、シュークラーゼ−イソマルターゼ複合体が示すマルターゼ活性を阻害する活性を有しているので、抗肥満剤、抗糖尿病剤等として有用である。

Claims (8)

  1. 下記の物理化学的性状を有する新規化合物A−76202またはその塩。
    1)性質;白色粉末。
    2)溶解性;ジメチルスルホキシドに可溶。水、メタノール、アセトンに難溶。
    3)分子式;C20189 (高分解能マススペクトルにより測定)
    4)分子量; 402(FAB−MSスペクトルにより測定)
    5)紫外線吸収スペクトル;λmax nm
    水溶液中で測定した紫外線吸収スペクトルは、259nmに極大吸収を示し、259nmにおける吸光係数(E1% 1cm )は687である。
    6)赤外線吸収スペクトル(KBr);νmax cm-1
    KBrディスクで測定した赤外線吸収スペクトルは、次の通りである。
    3348、2943、1627、1601、1574、1515、1284、1212、1078、1036、969
    7) 1H−核磁気共鳴スペクトル; δ (ppm)
    重ジメチルスルホキシド溶液中(ジメチルスルホキシド内部基準: 2.49ppm)で測定した核磁気共鳴スペクトル(500MHz)は、次の通りである。
    3.46(1H, dd, J=5.5, 11.8Hz), 3.57(1H, dd, J=3.5, 11.8Hz), 3.84(1H, dd, J=3.8, 6.0Hz), 3.96(1H, ddd, J=3.5, 5.5, 6.0Hz), 4.28(1H, dd, J=1.0Hz以下, 3.8Hz), 5.60(1H, d, J=1.0Hz 以下),6.81(2H, d, J=8.5Hz), 7.23(1H, d, J=8.8Hz), 7.39(2H, d, J=8.5Hz), 7.53(1H, d, J=8.8Hz), 8.37(1H, s)
    8)13C−核磁気共鳴スペクトル; δ (ppm)
    重ジメチルスルホキシド溶液中(ジメチルスルホキシド内部基準:39.5ppm)で測定した核磁気共鳴スペクトル(125MHz)は、次の通りである。
    61.14, 76.66, 81.34, 85.95, 107.16, 114.44, 114.9(3C), 119.58, 122.41, 123.17, 130.05(2C), 136.15, 146.03, 147.58, 153.01, 157.17, 175.15
    9)高速液体クロマトグラフィー
    分離カラム;センシューパック ODS-H-2151 (φ6 ×150mm ,センシュー科学(株)製)
    移動相; 16%アセトニトリル−水
    流速; 1.5ml/分
    検出波長; 210nmまたは259nm
    温度; 25℃
    保持時間; 16.22分
  2. ロドコッカス(Rhodococcus)属に属する請求項1に記載の化合物A-76202の生産菌を培養し、その培養物より請求項1に記載の化合物A-76202を採取することを特徴とする、請求項1に記載の化合物A-76202の製造法。
  3. ロドコッカス(Rhodococcus)属に属する請求項1に記載の化合物A−76202の生産菌がロドコッカス エスピー(Rhodococcus sp.)SANK61694株である、請求項に記載の製造法。
  4. ロドコッカス エスピー(Rhodococcus sp.)SANK61694株。
  5. 請求項1に記載の化合物A−76202またはその塩を有効成分として含有する医薬。
  6. 請求項1に記載の化合物A−76202またはその塩を有効成分として含有するα−グルコシダーゼ阻害剤。
  7. 請求項1に記載の化合物A−76202またはその塩を有効成分として含有する抗AIDS剤。
  8. 請求項1に記載の化合物A−76202またはその塩を有効成分として含有する抗腫瘍剤。
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