JPH08208690A - ペプチド化合物 - Google Patents

ペプチド化合物

Info

Publication number
JPH08208690A
JPH08208690A JP2049495A JP2049495A JPH08208690A JP H08208690 A JPH08208690 A JP H08208690A JP 2049495 A JP2049495 A JP 2049495A JP 2049495 A JP2049495 A JP 2049495A JP H08208690 A JPH08208690 A JP H08208690A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydrogen atom
carbamoyl group
formula
manufactured
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2049495A
Other languages
English (en)
Inventor
Marie Hisamoto
真里江 久本
Yoshinori Inaoka
義則 稲岡
Keiichi Matsuda
啓一 松田
Hisao Okazaki
尚夫 岡崎
Ryuzo Enokida
竜三 榎田
Takeshi Kagasaki
武之 加賀崎
Yoshiaki Sakaida
義陽 境田
Takeshi Kinoshita
武 木下
Hideyuki Haruyama
英幸 春山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sankyo Co Ltd
Original Assignee
Sankyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sankyo Co Ltd filed Critical Sankyo Co Ltd
Priority to JP2049495A priority Critical patent/JPH08208690A/ja
Publication of JPH08208690A publication Critical patent/JPH08208690A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】本発明は、下記式(I)で表される新規化合物
A−53930A: 【化1】 等に関する。 【効果】本発明の化合物等は、抗脳梗塞剤、抗てんかん
剤、鎮痛剤として利用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、N型カルシウムチャン
ネルの阻害作用を示す新規化合物A−53930A及び
A−53930B、それらの製法、生産菌並びに用途に
関し、N型カルシウムチャンネルの阻害作用を示す公知
化合物A−53930C(=ストレプトスリシンB)の
用途に関する。
【0002】
【従来の技術】脳は虚血または虚血再灌流によるダメー
ジに特に脆弱な組織である。脳組織が脳卒中等の一過性
脳虚血による低酸素状態に置かれると、海馬などの記
憶、学習、情緒などに関係する組織が選択的に破壊さ
れ、痴呆をはじめとする種々の後遺症が生ずる。脳虚血
から痴呆に至る過程には、シナプス前膜の脱分極、電位
依存性カルシウムチャンネルの開口によるカルシウムの
神経細胞内への流入、興奮性アミノ酸であるグルタミン
酸をはじめとした神経伝達物質の大量の放出、シナプス
後膜におけるアゴニスト依存性カルシウムチャンネルの
開口による細胞内カルシウムの蓄積等が関与している
(松尾嘉之等、蛋白質・核酸・酵素、第37巻、138
2−1393頁、1992年)。N型カルシウムチャン
ネルは神経系に特異的に存在する膜電位依存性カルシウ
ムチャンネルの一種であり、種々の神経伝達物質の放出
に関与している(阿部輝雄、Brain Medical 、第5巻、
25−31頁、1993年)。従って、N型カルシウム
チャンネルの機能を阻害すれば脳虚血後に起こる大量の
神経伝達物質の放出が抑制され、これによって脳虚血に
よって生じる神経細胞死を防止することができ、このよ
うな阻害剤は、抗脳梗塞剤として使用できる。
【0003】また、抗てんかん作用を示すバルビツレー
トがN型カルシウムチャンネルを阻害する事が報告され
ており(R. A. Gross 等、Neurology 、第38巻、44
3−450頁、1988年)、てんかんにおけるカルシ
ウムチャンネルの関与が考えられている。したがって、
N型カルシウムチャンネル阻害剤は、抗てんかん剤とし
て使用できる。
【0004】さらに、N型カルシウムチャンネルは脊髄
背側部にも分布し、痛みの伝達に関与することからN型
カルシウムチャンネル阻害剤は鎮痛剤にもなりうる(A.
B.Malmberg等、J. Neurosci.、第14巻、4882−
4890頁、1994年)。現在、N型カルシウムチャ
ンネルの特異的阻害剤としては不可逆的阻害剤としてω
−コノトキシンGVIA、可逆的阻害剤としてω−コノト
キシンMVII Aが知られており、ω−コノトキシンMVI
I Aはラットを用いた一過性脳虚血実験において、記憶
固定の場所として重要である海馬領域の神経細胞死を防
止することが報告されている(K.Valentino 等、Proc.
Natl. Acad. Sci.、第90巻、7894−7897頁、
1993年)。これらω−コノトキシン類は分子量が約
3、000と比較的大きく、脳内への移行性が良くな
い。したがって、これらの化合物以外に脳内への移行性
の良い低分子のN型カルシウムチャンネル阻害剤が望ま
れている。
【0005】なお、本発明のA−53930A及びA−
53930BはラセモマイシンAの合成誘導体として文
献に記載されているが(Chem. Pharm. Bull., 25 (6) 1
302-1305 (1977) )、その出発物質のラセモマイシンA
は抗生物質ストレプトスリシンと同一物質であることが
証明されており(Chem. Pharm. Bull., 19 (8) 1627-16
34 (1971) )、また、ストレプトスリシンの構造が初め
て決定されたのは1961年であるが(J. Am. Chem. Soc.
83 4295-4296 (1961) )、1982年にその構造は誤りであ
りこと及び正しく決定された構造が報告されている(J.
Antibiotics 35 (7) 925-927 (1982))。したがって、
上記の Chem. Pharm. Bull., 25 (6) 1302-1305 (1977)
に記載された各誘導体は出発物質の構造が誤って認識さ
れたまま誘導体の構造も誤って記載されていることよ
り、本発明のA−53930A及びA−53930Bは
新規物質である。
【0006】A−53930Cは、抗生物質ストレプト
スリシンB( Chapman & Hall, Dictionary of Nationa
l Product, S-01417 (1994) )として公知の化合物であ
るが、抗生物質以外の薬効は知られていない。また、上
記の Chem. Pharm. Bull., 25 (6) 1302-1305 (1977)の
構造式を正しい構造式に訂正すると、β−リジン残基が
5個結合した誘導体がA−53930Cに該当する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、N型カ
ルシウムチャンネルの阻害作用を示す生理活性物質を微
生物代謝産物より見出すべく鋭意探索を行った。その結
果、放線菌SANK62394株の培養液中にN型カル
シウムチャンネルに対して阻害作用を示す新規生理活性
物質A−53930A及びA−53930B、及び公知
の生理活性物質A−53930Cを見出し本発明を完成
した。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1)下記式
(I)で表される新規化合物A−53930A:
【0009】
【化6】
【0010】(2)下記式(II)で表される新規化合
物A−53930B:
【0011】
【化7】
【0012】(3)ストレプトマイセス属に属するA−
53930Aおよび/またはA−53930B生産菌を
培養し、その培養物よりA−53930Aおよび/また
はA−53930Bを採取することを特徴とするA−5
3930Aおよび/またはA−53930Bの製造法、
(4)(3)記載のストレプトマイセス属に属するA−
53930Aおよび/またはA−53930B生産菌が
ストレプトマイセス・ビナセウスドラパスSANK62
394(FERM BP−4811)であることを特徴
とする、A−53930Aおよび/またはA−5393
0Bの製造法、(5)A−53930Aおよび/または
A−53930B生産能を有するストレプトマイセス・
ビナセウスドラパスSANK62394(FERM B
P−4811)、(6)下記式(III)で表される化
合物またはその塩を有効成分とする抗脳梗塞剤:
【0013】
【化8】
【0014】(式中、R1 は水素原子またはカルバモイ
ル基を示し、R2 は水素原子またはカルバモイル基を示
し、nは1乃至7を示す。ただし、R1 がカルバモイル
基を示す場合、R2 は水素原子、nは4または5を示
し、R1 が水素原子を示す場合、R2 はカルバモイル
基、nは1乃至7を示す。)。
【0015】(7)下記式(III)で表される化合物
またはその塩を有効成分とする抗てんかん剤:
【0016】
【化9】
【0017】(式中、R1 は水素原子またはカルバモイ
ル基を示し、R2 は水素原子またはカルバモイル基を示
し、nは1乃至7を示す。ただし、R1 がカルバモイル
基を示す場合、R2 は水素原子、nは4または5を示
し、R1 が水素原子を示す場合、R2 はカルバモイル
基、nは1乃至7を示す。)。
【0018】(8)下記式(III)で表される化合物
またはその塩を有効成分とする鎮痛剤:
【0019】
【化10】
【0020】(式中、R1 は水素原子またはカルバモイ
ル基を示し、R2 は水素原子またはカルバモイル基を示
し、nは1乃至7を示す。ただし、R1 がカルバモイル
基を示す場合、R2 は水素原子、nは4または5を示
し、R1 が水素原子を示す場合、R2 はカルバモイル
基、nは1乃至7を示す。)。
【0021】に関する。
【0022】本発明のA−53930AまたはA−53
930Bは下記の構造式及び性状を有する。
【0023】〔A−53930A〕 (1)構造式
【0024】
【化11】
【0025】(2)物性 1)性質;塩基性の白色、吸湿性粉末。アルカリ性溶液
では室温で不安定。
【0026】2)溶解性;水、メタノールに易溶、クロ
ロホルム、アセトン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシ
ド、ヘキサンに難溶。
【0027】3)呈色試験;ニンヒドリン反応に陽性。
【0028】4)分子式;C37H70N14O11 5)分子量;FAB−MASS法により決定 (M+H)+ = 887.5433(測定値)、 887.5427 (計
算値) 6)比施光度(測定値);〔α〕D25 =−15.9°
(C=0.5,水) 7)紫外線吸収スペクトル;λmax nm( ε) 水溶液中で測定した紫外線吸収スペクトルは末端吸収以
外は特性吸収を示さない。
【0029】8)赤外線吸収スペクトル;νmax(KBr)cm
-1 KBr ディスクで測定した赤外線吸収スペクトルは以下の
極大吸収を示す。 468、521、591、671、818、850、914、949、1023、1078、1132、116
4、1190、1257、 1299、1349、1386、1419、1451、1473、1488、1558、1650、2037、
2349、2936、 3069、3267、3387 9) 1H−核磁気共鳴スペクトル DMSO(ジメチルスルホキシド)−d6 (1%TF
A:トリフルオロ酢酸)中、内部標準にTMS(テトラ
メチルシラン)を使用して測定した 1H−核磁気共鳴ス
ペクトル(500 MHz)は、以下に示す通りである。
【0030】1.54〜1.67(m,16H)、 2.48(m,8H)、 2.84(br
s,2H)、 3.11(brs,6H)、 3.18(d,14.0Hz,1H)、 3.42(brs,8H)、 3.60(m,1H)、 3.61
(brs,1H)、 4.01(dd,10.8,6.4Hz,1H)、 4.12(dd,10.8,6.1Hz,1H)、4.2
0(m,1H)、 4.21(m,1H)、 4.39(d,14.7Hz,1H)、 4.49(brs,1H)、 4.98
(d,9.8Hz,1H)、 7.35(brs,1H)、 8.03(d,8.6Hz,1H)、 8.12(brs,2H) 10)13C−核磁気共鳴スペクトル DMSO−d6 (1%TFA)中、内部標準にDMSO
−d6 のシグナルを43.5ppmとして測定した13
−核磁気共鳴スペクトル(125 MHz )は、以下に示す通
りである。
【0031】26.7(t,1C)、 28.6(t,3C)、 33.1(t,1C)、 3
3.6(t,3C)、 41.0(t,4C)、 42.0(t,3C)、 42.2(t,1C)、 51.4(d,1C)、 51.8(d,3C)、 5
2.5(d,1C)、 53.4(t,1C)、 58.3(d,1C)、 64.6(d,2C)、 66.2(t,1C)、 7
1.4(d,1C)、 73.3(d,1C)、 75.7(d,1C)、 82.3(d,1C)、 160.5(s,1C)、 1
65.5(s,1C)、 171.1(s,1C)、 173.1〜173.5(s,4C) 11)高速液体クロマトグラフィー 分離カラム;YMC A−312ODS(カラムサイ
ズ、Φ6×150mm,株式会社ワイエムシイ製) 溶媒; 7%メタノ−ル/0.2%TFA 流速; 1ml/分 検出; UV215nm 保持時間; 7.7分 〔A−53930B〕 (1)構造式
【0032】
【化12】
【0033】(2)物性 1)性質;塩基性の白色、吸湿性粉末。アルカリ性溶液
では室温で不安定。
【0034】2)溶解性;水、メタノールに易溶、クロ
ロホルム、アセトン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシ
ド、ヘキサンに難溶。
【0035】3)呈色試験;ニンヒドリン反応に陽性。
【0036】4)分子式;C43H82N16O12 5)分子量;FAB−MASS法により決定 (M+H)+ = 1015 6)比施光度(測定値);〔α〕D25 =−4.4°(C
=0.5,水) 7)紫外線吸収スペクトル;λmax nm( ε) 水溶液中で測定した紫外線吸収スペクトルは末端吸収以
外は特性吸収を示さない。
【0037】8)赤外線吸収スペクトル;νmax(KBr)cm
-1 KBr ディスクで測定した赤外線吸収スペクトルは以下の
極大吸収を示す。 470、517、592、672、818、850、914、949、1077、1130、1163、119
0、1251、1300、 1349、1387、1450、1473、1487、1558、1651、2029、2350、2929、
3034、3260、 3360 9) 1H−核磁気共鳴スペクトル DMSO−d6 (1%TFA)中、内部標準にTMSを
使用して測定した 1H−核磁気共鳴スペクトル(500 MH
z)は、以下に示す通りである。
【0038】1.53〜1.69(m,20H)、 2.50(m,10H)、 2.81(b
rs,2H)、 3.09(brs,8H)、 3.15(d,14.1Hz,1H)、 3.42(brs,10H)、 3.57(m,1H)、 3.57
(brs,1H)、 3.95(dd,10.8,6.4Hz,1H)、 4.09(dd,10.8,6.1Hz,1H)、4.1
6(m,1H)、 4.17(m,1H)、 4.36(d,14.8Hz,1H)、 4.47(brs,1H)、 4.96
(d,9.8Hz,1H)、 7.35(brs,1H)、 8.21(d,8.1Hz,1H)、 8.29(brs,3H) 10)13C−核磁気共鳴スペクトル DMSO−d6 (1%TFA)中、内部標準にDMSO
−d6 のシグナルを43.5ppmとして測定した13
−核磁気共鳴スペクトル(125 MHz )は、以下に示す通
りである。
【0039】26.6(t,1C)、 28.5(t,4C)、 33.0(t,1C)、 3
3.5(t,4C)、 40.8(t,5C)、 41.9(t,5C)、 51.8(d,5C)、 52.5(d,1C)、 53.4(t,1C)、 5
8.3(d,1C)、 64.5(d,2C)、 66.2(t,1C)、 71.4(d,1C)、 73.3(d,1C)、 7
5.7(d,1C)、 82.7(d,1C)、 160.4(s,1C)、 165.5(s,1C)、 171.1(s,1C)、
173.1(s,5C) 11)高速液体クロマトグラフィー 分離カラム;YMC A−312ODS(カラムサイ
ズ、Φ6×150mm,株式会社ワイエムシイ製) 溶媒; 6%メタノ−ル/0.2%TFA 流速; 1ml/分 検出; UV215nm 保持時間; 12.1分 本発明において用いられるストレプトマイセス属に属す
るA−53930Aおよび/またはA−53930B生
産菌の一例として、ストレプトマイセス・ビナセウスド
ラパス(Streptomyces vinaceusdrappus)SANK 62394の
菌学的性状を以下に示す。
【0040】1.形態学的特徴 ISP〔インターナショナル・ストレプトマイセス・プ
ロジェクト(International Streptomyces Project)〕
規定の寒天培地上、28℃、14日培養後、顕微鏡下観察で
は、SANK 62394の基生菌糸は良好に伸長、分岐し、薄茶
ないし赤味茶色を示すが、ノカルディア(Nocardia)属
菌株様の断裂やジグザグ伸長は観察されない。気菌糸は
単純に分岐する。胞子鎖の形態はゆるい螺旋状を示し、
10ないし50 個またはそれ以上の胞子の連鎖を形成す
る。走査型電子顕微鏡による観察では、胞子の表面は平
滑(Smooth)状を示す。胞子は楕円形で、その大きさは
0.5〜0.9 ×0.8 〜1.7 μm である。また気菌糸の車軸
分岐、菌核、菌糸の断裂、胞子のうなどの特殊器官は観
察されない。
【0041】2.各種培養基上の諸性質 各種培養基上で 28 ℃、14日培養後の性状は表1に示す
とおりである。色調の表示は日本色彩研究所版、”標準
色表”のカラーチップ・ナンバーを表す
【0042】
【表1】 ──────────────────────────────────── 寒天培地 項目*1 性状 ──────────────────────────────────── イーストエキス・ G : 非常に良好、平坦、赤味茶(10R 4/8 )*2 麦芽エキス寒天 AM: 良好、ビロード状、灰味赤ないし明るい (ISP 2 ) 茶味灰(5R 6/3〜7.5Y 7/1) R : 茶(2.5Y 4/6) SP: 産生せず ──────────────────────────────────── オートミール寒天 G : 非常に良好、平坦、薄茶(2.5Y 8/2) (ISP 3 ) AM: 豊富に形成、ビロード状、明るい茶味灰 (7.5YR 7/1 ) R : 薄茶ないし薄赤(2.5YR 8/2 〜2.5R 6/6) SP: 産生せず ──────────────────────────────────── 澱粉・無機塩寒天 G : 非常に良好、平坦、明るい茶味灰 (ISP 4) (2.5YR 7/2) AM: 豊富に形成、ビロード状、明るい茶味灰 (7.5YR 7/1 ) R : 薄赤(2.5R 6/6) SP: 産生せず ──────────────────────────────────── グリセリン・ G : 非常に良好、平坦、薄黄味橙ないし鈍赤 アスパラギン寒天 (2.5Y 9/2〜2.5R 4/6) (ISP 5) AM: 豊富に形成、ビロード状、明るい茶味灰 ないしピンク白(7.5YR 7/1 〜7.5R 9/1) R : 明るい茶味灰ないし茶紫 (10YR 8/2〜2.5R 3/4) SP: 産生せず ──────────────────────────────────── ペプトン・イ−スト G : 非常に良好、平坦、オリ−ブ灰(5Y 7/3) エキス・鉄寒天 AM: 僅かに形成、白 (ISP 6) R : 薄黄味茶(2.5Y 8/6) SP: 産生せず ──────────────────────────────────── チロシン寒天 G : 非常に良好、平坦、薄茶ないし暗い赤味茶 (ISP 7) (2.5Y 8/2〜7.5R 2/4) AM: 豊富に形成、ビロード状、明るい茶味灰 ないし薄赤紫(7.5YR 7/1 〜5RP 8/4 ) R : 茶紫(10RP 3/6) SP: 産生せず ──────────────────────────────────── シュクロ−ス・ G : 非常に良好、平坦、薄黄味茶(2.5Y 8/4) 硝酸塩寒天 AM: 良好、ビロード状、明るい茶味灰 (10YR 8/2) R : 薄黄味茶(2.5Y 8/6) SP: 産生せず ──────────────────────────────────── グルコ−ス・ G : 良好、平坦、薄赤(2.5R 6/6) アスパラギン寒天 AM: 僅かに形成、白ないし薄ピンク (2.5R 9/2) R : 薄赤(2.5R 6/6) SP: 産生せず ──────────────────────────────────── 栄養寒天 G : 非常に良好、平坦、薄黄味茶(2.5Y 8/4) (DIFCO) AM: 余り良くない、ビロード状、白 R : 薄黄味茶(2.5Y 8/6) SP: 産生せず ──────────────────────────────────── ポテトエキス・ G : 良くない、平坦、薄黄味橙(2.5Y 9/2) 人参エキス寒天 AM: 余り良くない、ビロード状、明るい茶味灰 (7.5YR 7/2 ) R : 明るい茶味灰(7.5YR 7/2 ) SP: 産生せず ──────────────────────────────────── 水寒天 G : 良くない、平坦、茶味白(2.5Y 9/1) AM: 余り良くない、ビロード状、明るい茶味灰 (7.5YR 7/2 ) R : 明るい茶味灰(7.5YR 7/2 ) SP: 産生せず ──────────────────────────────────── *1 G;生育、AM;気菌糸、R;裏面、SP;可溶性色素 *2 マンセル方式に準拠した色調の表示 3.生理学的性状 28℃で培養後2ないし21日間に観察した生理学的性
質は表2に示すとおりである。
【0043】
【表2】 ──────────────────────────────────── 澱粉の水解 陰 性 ゼラチンの液化 疑陽性 硝酸塩の還元 陽 性 ミルクの凝固 陽 性 ミルクのペプトン化 陽 性 メラニン様色素生産性 陰 性 基質分解性:カゼイン 陰 性 チロシン 陽 性 キサンチン 陰 性 生育温度範囲(培地1) 11〜46℃ 生育適正温度(培地1) 28〜42℃ 食塩存在下での生育(培地1) 10% ──────────────────────────────────── 培地1:イ−ストエキス・麦芽エキス寒天(ISP 2 ) また、プリドハム・ゴトリーブ寒天培地(ISP 9)
を使用して、28℃、14日間培養後に観察した本菌株
の炭素源の資化性は表3に示すとおりである。
【0044】
【表3】─────────────────────
─────────────── D−グルコ−ス + L−アラビノ−ス + D−キシロ−ス + イノシト−ル + D−マンニト−ル + D−フルクト−ス + L−ラムノ−ス + シュクロ−ス + ラフィノ−ス + 対照 − ─────────────────────────
─────────── +:資化する、−:資化しない 4.菌体成分について SANK 62394の細胞壁および全細胞中の主要構成糖は長谷
川らの方法〔T. Hasegawa et al., ジャーナル・オブ・
ゼネラル・アンド・アプライド・マイクロバイオロジー
(Journal of General and Applied Microbiology )第
29巻、319 〜322 頁、1983年〕に従い検討した。その結
果、LL−ジアミノピメリン酸が検出されたことから細
胞壁タイプはI型であること、および主要構成糖に特徴
がなかったことから糖パターンNC型であることが示さ
れた。
【0045】以上の菌学的諸性状から、本菌株は放線菌
の中でもストレプトマイセス(Streptomyces)属に属す
る放線菌であることが明らかにされた。シャーリングと
ゴトリーブによるISP菌学記載〔E. B. Shirling and
D. Gottlieb、インターナショナル・ジャーナル・オブ
・システマティック・バクテリオロジー(Internationa
l Journal of Systematic Bacteriology)第18巻、68-1
89頁(1968年)、第18巻、279-392 頁(1968年)、第19
巻、391-512 頁(1969年)、第22巻、265-394頁(1972
年)〕、ワックスマン著、ジ・アクチノミセテス(S.
A. Waksman, TheActinomycetes)第2 巻、ブキャナンと
ギボンズ編、バージーズ・マニュアル(R. E. Buchanan
and N. E. Gibbons, Bergey's Manual of Determinati
ve Bacteriology )第8 版(1974年)、ウィリアムス、
シャープとホルト編、バージーズ・マニュアル(S. T.
Williams, M. L. Sharpe and J. G. Holt, Bergey's Ma
nual of Systematic Bacteriology )第4 巻(1989
年)、本発明の新規化合物 A-53930A および A-53930B
化合物群関連文献およびストレプトマイセス(Streptom
yces)属放線菌に関する最近の文献に記載されている菌
種と比較したところ、ストレプトマイセス・ビナセウス
ドラパス(Streptomyces vinaceusdrappus)に極めて近
縁であることが判明した。
【0046】しかしながらストレプトマイセス・ビナセ
ウスドラパス(Streptomyces vinaceusdrappus)は生育
色調、特に基生菌糸の色調が薄茶、薄黄味橙ないし明る
いオリーブ灰であること、ミルクの凝固が陰性であるこ
とおよびカゼイン分解性が陽性である点において SANK
62394 との差異が認められた。しかしながらこれらの差
を持って種を区別することは出来ないため本 SANK 6239
4 はストレプトマイセス・ビナセウスドラパス(Strept
omyces vinaceusdrappus)と同定された。SANK62394は
通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に FERM
BP-4811 として寄託されている。
【0047】以上、SANK62394株について説明
したが、放線菌の諸性質は一定したものではなく、自然
的、人工的に容易に変化することは周知の通りである。
また、本発明の製造法で使用しうる菌株はストレプトマ
イセス属に属するA−53930Aおよび/またはA−
53930Bを生産する全ての菌株を包含するものであ
る。
【0048】なお、本発明で使用する公知化合物A−5
3930Cは、以下の構造式を有する化合物であり、抗
生物質ストレプトスリシンB( Chapman & Hall, Dicti
onary of National Product, S-01417 (1994) )として
公知の化合物である。
【0049】
【化13】
【0050】(式中、R1 は水素原子、R2 はカルバモ
イル基を示す。) 本発明のSANK62394株は、上記のA−5393
0Cをも生産する。
【0051】本発明の化合物A−53930A、A−5
3930Bおよび/またはA−53930Cの効率的な
工業的製造法は該化合物の生産能を有するSANK62
394株を好適な培地で培養し、その培養物から分離す
る方法である。
【0052】本発明物質を製造するのに使用される培地
は、一般放線菌における培養方法に準じて行なわれ、液
体培地による振盪培養または通気攪拌培養が最も適して
いるが、これに限定されない。培地成分はA−5393
0A、A−53930BまたはA−53930C生産菌
が生育して培地中に該化合物を蓄積するものが望まし
い。
【0053】例えば、炭素源としてはグルコース、フラ
クトース、マルトース、シュークロース、マンニトー
ル、グリセリン、デキストリン、デンプン、大豆油、果
実油、糖蜜、有機酸類などが使用できる。また窒素源と
しては、例えば大豆粉、落花生粉、綿実粉、ファーマミ
ン、魚粉、コーン・スチープ・リカー、イースト、イー
ストエキス、肉エキス、ペプトン、アミノ酸類、アンモ
ニウム塩、硝酸塩その他の各種有機あるいは無機窒素化
合物が用いられる。無機塩としては、塩化ナトリウム、
塩化カルシウム、塩化マグネシウム、各種燐酸塩、微量
金属塩等を添加してもよい。また、菌の成育及びA−5
3930A、A−53930BまたはA−53930C
の生産を促進するようなビタミン類、補酵素類等を添加
してもよい。液体培養に際しては、シリコン油、植物
油、界面活性剤等が消泡剤として適宜使用される。培地
のpHは5−8、培養温度は11℃から46℃、特に28℃か
ら42℃が好ましい。
【0054】培養の経過に伴って培養液中に蓄積される
A−53930A、A−53930BまたはA−539
30Cの量の経時変化は、後述の阻害活性により測定す
ることができる。通常は、43時間から66時間の培養
でその生産量は最大に達する。培養終了後、主としてそ
の液体部分に蓄積するA−53930A、A−5393
0BまたはA−53930Cは、菌体その他の固形部分
を濾過操作または遠心分離によって除去し、その濾液ま
たは上清液から分離するのが好ましいが、必要に応じて
菌体を除去することなく培養液から該化合物を分離する
ことも可能である。培養液からのA−53930Aまた
はA−53930Bの分離、精製には、その物理化学的
特性に基づく種々の方法を用いることができる。例えば
吸着剤として、ダイヤイオンHP−20(三菱(株)
製)等が使用される。A−53930A、A−5393
0BまたはA−53930CはダイヤイオンHP−20
に吸着され、0.5%酢酸を含む10%メタノールで容
出される。また、A−53930A、A−53930B
またはA−53930Cは活性炭に吸着され、0.5%
酢酸を含む40%メタノールで溶出される。更にイオン
交換体のクロマトグラフィーも精製に用いられる。特に
イオン交換体としてカルボン酸を有する弱イオン交換樹
脂が有効であり、例えばA−53930A、A−539
30BまたはA−53930CはアンバーライトIRC
−50に吸着され、1Nのアンモニア水で溶出される。
また、逆相シリカゲルカラムも使用でき、ODS(オク
タデシル基)カラムを用いた高速液体クロマトグラフィ
ーでA−53930A、A−53930B及びA−53
930Cを相互に分離することができる。
【0055】さらに、下記の一般式(III )に示される
化合物のうち、A−53930A、A−53930B及
びA−53930C以外の化合物は、文献(Chem. Phar
m.Bull., 25, (6) 1302-1305, (1977))に記載された方
法で製造することができる。
【0056】
【化14】
【0057】(式中、R1 は水素原子またはカルバモイ
ル基を示し、R2 は水素原子またはカルバモイル基を示
し、nは1乃至7を示す。ただし、R1 がカルバモイル
基を示す場合、R2 は水素原子、nは4または5を示
し、R1 が水素原子を示す場合、R2 はカルバモイル
基、nは1乃至7を示す。)。
【0058】この場合、合成の出発材料である化合物ス
トレプトスリシンF(一般式(III)のR1 が水素原
子、R2 がカルバモイル基、n=1 である化合物)は、和
光純薬(株)より市販されており、当業者に容易に入手
可能である。
【0059】A−53930A、A−53930B及び
A−53930CのN型カルシウムチャンネルに対する
阻害活性はN型カルシウムチャンネルに対して特異的に
作用する[ 125I]ω−コノトキシンGVIA(アマシ
ャム社製)のモルモット脳膜画分への結合に対する阻害
を定量することにより測定できる。さらにノルエピネフ
ィリン、ドーパミン、グルタミン酸など種々の放射能標
識した神経伝達物質を取り込ませたヒヨコ大脳皮質シナ
プトソームからのKClによる脱分極刺激によって遊離
される、これら伝達物質の量に対する阻害を定量するこ
とにより測定することができる。N型カルシウムチャン
ネルを含む膜画分やシナプトソームであれば、測定の際
に用いる動物種あるいは採取部位はこれらに限定される
ものではない。
【0060】本発明は、A−53930A、A−539
30BまたはA−53930Cを有効成分とする、抗脳
梗塞剤、抗てんかん剤、鎮痛剤に関するものである。
【0061】本発明のA−53930A、A−5393
0BまたはA−53930Cを抗脳梗塞剤、抗てんかん
剤、鎮痛剤として用いる場合、種々の形態で投与され
る。その投与形態としては例えば錠剤、カプセル剤、顆
粒剤、シロップ剤等による経口投与また注射剤(静脈
内、筋肉内、皮下)、点眼剤、座薬等による非経口投与
を挙げることができる。
【0062】これらの各種製剤は、常法に従って主薬に
賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、矯味矯臭剤、溶解補
助剤、縣濁剤、コーティング剤等既知の医薬製剤技術分
野において通常使用しうる既知の補助剤を用いて製剤化
することができる。その使用量は症状、年齢、体重、投
与方法及び剤形等によって異なるが通常は成人に対して
1日50mg乃至1000mgを投与することができ
る。
【0063】
【実施例】次に参考例、実施例及び製剤例をあげて本発
明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定さ
れるものではない。
【0064】(参考例1)A−53930Cの精製 (A)培養 SANK62394株を滅菌した後述の組成の培地70
0ミリリットルを含む2リットルの三角フラスコ(種フ
ラスコ)に接種した。次いでこれを28℃で4日間、2
10rpmのロータリー振盪機で前培養した。更に同培
地100リットルを含む200リットルタンクに、この
種培養液を2.1リットル入れ、28℃で115時間、
通気量1.0vvmで、攪拌速度を110−145rp
mにして攪拌培養した。
【0065】
【表4】 培地組成(PY培地) グルコ−ス(昭和産業(株)製) 20g 澱粉(関東化学(株)製) 10g プレスド・イースト(三共(株)製) 9g 肉エキス(極東(株)製) 5g ポリペプトン(日本製薬(株)製) 5g CaCO3 (日東粉化工業(株)製) 3g NaCl(日本たばこ産業(株)製) 5g 蒸留水 1000ml CB442(日本油脂(株)製) 0.02% pH 7.4 (B)単離 Ishiguro, H.らの方法(Biochemistry, vol. 26,2
863−2870(1987))に準じ、[ 125I]ω
−コノトキシンGVIA(アマシャム社製)のモルモット
脳膜画分への結合に対する阻害活性を測定することによ
り、A−53930Cを単離精製した。
【0066】モルモット由来大脳皮質を5倍量の0.1
mMフェニルメチルスルフォニルフルオライド(PMS
F)を含む氷冷20mM NaHCO3 緩衝液(pH
7.2)を用いてホモジナイズ後、4,000×g、4
℃で15分間遠心した。得られた沈殿を0.1mM P
MSFを含む20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.
2)を用いて懸濁した後、同様に遠心して膜画分を得、
0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)及び1mM E
DTAを含む同緩衝液に懸濁した。この膜画分と被検物
質を4℃で10分間プレインキュベートした後、これに
20pMの[ 125I]ω−コノトキシンGVIAを加え、
更に1時間インキュベートした。反応液量は200μl
とした。これを0.3%ポリエチレンイミン(シグマ社
製)で処理したGF/Cグラスフィルター(ワットマン
社製)で急速吸引濾過した後、膜に結合した[ 125I]
ω−コノトキシンGVIAの放射活性をγ−カウンターで
測定した。また、非特異的結合は以下の様に測定した。
上記膜画分と100pMのω−コノトキシンGVIAを4
℃で10分間プレインキュベートした後、これに20p
Mの[ 125I]ω−コノトキシンGVIAを加え、更に1
時間インキュベートした。これを上記0.3%ポリエチ
レンイミンで処理したGF/Cグラスフィルターで急速
吸引濾過した後、膜に結合した[ 125I]ω−コノトキ
シンGVIAの放射活性をγ−カウンターで測定した。A
−53930Cの阻害活性は、上記反応液に被検物質と
してA−53930C水溶液5μlを添加して同様に測
定し、対照との比較により求め、50%阻害に必要なA
−53930Cの濃度を算出し、IC50(μM)値とし
た。
【0067】ストレプトマイセス属に属するA−539
30C生産菌より得られた培養液220リットルにろ過
助剤としてセライト545(米国セライト・コーポレー
ション製)11kgを添加後ろ過し、ろ液200リット
ルを得た。これを水で洗浄したダイヤイオンHP−20
(20リットル)のカラムにかけ、40リットルの10
%メタノールで洗浄した。100リットルの0.5%酢
酸を含む10%メタノールで活性物質を溶出し、この溶
出液を減圧濃縮し、20リットルの濃縮液を得た。得ら
れた濃縮液をアンバーライトIRC−50(NH4 +)カ
ラム(10リットル)にかけ、40リットルの水で洗浄
した。40リットルの1Nのアンモニア水で活性物質を
溶出し、この溶出液を減圧濃縮、凍結乾燥して38.2
gの粉末を得た。この半分量19.1gを分取用逆相H
PLCに供した。すなわち、一回の操作において1gの
粉末を15mlの0.2%TFAを含む5%アセトニト
リルー水溶液に溶解した後、分取用逆相HPLC(YM
C ODS(15/30)直径100mm×長さ500
mm,(株)ワイエムシイ製)に供与し、同溶液を用い
て流速200ml/分の流速で溶出すると、A−539
30Cは79分に溶出された。残りの粉末についても同
様な操作を行い、採取した溶出液をそれぞれプールし
た。得られた溶出液を中和後、減圧濃縮し、A−539
30Cの濃縮液を5.2リットル得た。この濃縮液を粒
状白鷺KLのカラム(600ml)に吸着させ、3リッ
トルの水で洗浄した。この後、3リットルの0.5%酢
酸を含む40%メタノールで溶出し、この溶出液を減圧
濃縮、凍結乾燥してA−53930Cの粗粉末をそれぞ
れ1.2g得た。A−53930Cの粗粉末1.2gを
15mlの0.2%TFAを含む7%メタノールー水溶
液に溶解した後、分取用逆相HPLC(YMC ODS
(15/30)直径100mm×長さ500mm,
(株)ワイエムシイ製)に供与し、同溶液を用いて流速
200ml/分の流速で溶出した。この溶出液を減圧濃
縮、凍結乾燥してA−53930Cの粉末を0.6g得
た。A−53930Cの粉末0.6gを58mlの水に
溶解し、ダウエックス1×2(Cl- )のカラム(29
0ml)にかけ、50mlの水で溶出した後、さらに2
00mlの水で溶出し、これを減圧濃縮、凍結乾燥した
結果、A−53930Cの精製粉末0.2gを得た。
【0068】A−53930Cについて構造式及び理化
学的性状を同定したところ、Chapman & Hall 刊、Dict
ionary of Natural Products、S−01417(199
4年)に記載されているストレプトスリシンBであるこ
とが判明した。
【0069】(実施例1)A−53930AまたはA−
53930Bの精製 (A)培養 SANK62394株を滅菌した後述の組成の培地70
0ミリリットルを含む2リットルの三角フラスコ(種フ
ラスコ)に接種した。次いでこれを28℃で4日間、2
10rpmのロータリー振盪機で前培養した。更に同培
地100リットルを含む200リットルタンクに、この
種培養液を2.1リットル入れ、28℃で115時間、
通気量1.0vvmで、攪拌速度を110−145rp
mにして攪拌培養した。
【0070】
【表5】 培地組成(PY倍地) グルコ−ス(昭和産業(株)製) 20g 澱粉(関東化学(株)製) 10g プレスド・イースト(三共(株)製) 9g 肉エキス(極東(株)製) 5g ポリペプトン(日本製薬(株)製) 5g CaCO3 (日東粉化工業(株)製) 3g NaCl(日本たばこ産業(株)製) 5g 蒸留水 1000ml CB442(日本油脂(株)製) 0.02% pH 7.4 (B)単離 Ishiguro, H.らの方法(Biochemistry, vol. 26,2
863−2870(1987))に準じ、[ 125I]ω
−コノトキシンGVIA(アマシャム(株)製)のモルモ
ット脳膜画分への結合に対する阻害活性を測定すること
により、A−53930AまたはA−53930Bを単
離精製した。
【0071】モルモット由来大脳皮質を5倍量の0.1
mM PMSFを含む氷冷20mMNaHCO3 緩衝液
(pH7.2)を用いてホモジナイズ後、4,000×
g、4℃で15分間遠心した。得られた沈殿を0.1m
M PMSFを含む20mMトリス−塩酸緩衝液(pH
7.2)を用いて懸濁した後、同様に遠心して膜画分を
得、0.1%BSA及び1mM EDTAを含む同緩衝
液に懸濁した。この膜画分と被検物質を4℃で10分間
プレインキュベートした後、これに20pMの[
125I]ω−コノトキシンGVIAを加え、更に1時間イ
ンキュベートした。反応液量は200μlとした。これ
を0.3%ポリエチレンイミン(シグマ(株)製)で処
理したGF/Cグラスフィルター(ワットマン(株)
製)で急速吸引濾過した後、膜に結合した[ 125I]ω
−コノトキシンGVIAの放射活性をγ−カウンターで測
定した。また、非特異的結合は以下の様に測定した。上
記膜画分と100pMのω−コノトキシンGVIAを4℃
で10分間プレインキュベートした後、これに20pM
の[ 125I]ω−コノトキシンGVIAを加え、更に1時
間インキュベートした。これを上記0.3%ポリエチレ
ンイミンで処理したGF/Cグラスフィルターで急速吸
引濾過した後、膜に結合した[ 125I]ω−コノトキシ
ンGVIAの放射活性をγ−カウンターで測定した。A−
53930AまたはA−53930Bの阻害活性は、上
記反応液に被検物質としてA−53930AまたはA−
53930B水溶液5μlを添加して同様に測定し、対
照との比較により求め、50%阻害に必要なA−539
30AまたはA−53930Bの濃度を算出し、IC50
μM値とした。
【0072】ストレプトマイセス属に属するA−539
30Aおよび/またはA−53930B生産菌より得ら
れた培養液220リットルにろ過助剤としてセライト5
45(米国セライト・コーポレーション製)11kgを
添加後ろ過し、ろ液200リットルを得た。これを水で
洗浄したダイヤイオンHP−20(20リットル)のカ
ラムにかけ、40リットルの10%メタノールで洗浄し
た。100リットルの0.5%酢酸を含む10%メタノ
ールで活性物質を溶出し、この溶出液を減圧濃縮し、2
0リットルの濃縮液を得た。得られた濃縮液をアンバー
ライトIRC−50(NH4 +)カラム(10リットル)
にかけ、40リットルの水で洗浄した。40リットルの
1Nのアンモニア水で活性物質を溶出し、この溶出液を
減圧濃縮、凍結乾燥して38.2gの粉末を得た。この
半分量19.1gをを分取用逆相HPLCに供した。す
なわち、一回の操作において、1gの粉末を15mlの
0.2%TFAを含む5%アセトニトリルー水溶液に溶
解した後、分取用逆相HPLC(YMC ODS(15
/30)直径100mm×長さ500mm,(株)ワイ
エムシイ製)に供与し、同溶液を用いて流速200ml
/分の流速で溶出すると、A−53930A、A−53
930Bはそれぞれ48分及び91分に溶出された。残
りの粉末についても同様な操作を行い、採取した溶出液
をそれぞれプールした。得られた溶出液を中和後、減圧
濃縮し、A−53930A、A−53930Bの濃縮液
をそれぞれ、5.2リットルずつ得た。それぞれの濃縮
液を粒状白鷺KLのカラム(600ml)に吸着させ、
3リットルの水で洗浄した。それぞれ3リットルの0.
5%酢酸を含む40%メタノールで溶出し、この溶出液
を減圧濃縮、凍結乾燥してA−53930A、A−53
930Bの粗粉末をそれぞれ5.1g、2.0g得た。
A−53930Aの粗粉末5.1gを15mlの0.2
%TFAを含む5%メタノールー水溶液に溶解した後、
分取用逆相HPLC(YMC ODS(15/30)直
径100mm×長さ500mm,(株)ワイエムシイ
製)に供与し、同溶液を用いて流速200ml/分の流
速で溶出した。また、A−53930Bの粗粉末、2.
0gは30mlの0.2%TFAを含む7%メタノール
ー水溶液に溶解した後、2回に分けて同溶液を用いて同
様に分取用逆相HPLCで精製した。それぞれの溶出液
を減圧濃縮、凍結乾燥してA−53930A、A−53
930B粉末をそれぞれ2.6g、1.4g得た。A−
53930Aの粉末2.6gを242mlの水に溶解
し、ダウエックス1×2(Cl- )のカラム(1.2リ
ットル)にかけ、300mlの水で溶出した後、さらに
500mlの水で溶出し、これを減圧濃縮、凍結乾燥し
た結果、A−53930Aの精製粉末1.6gを得た。
A−53930Bの粉末1.4gを137mlの水に溶
解し、ダウエックス1×2(Cl- )のカラム(1.4
リットル)にかけ、350mlの水で溶出した後、さら
に400mlの水で溶出し、これを減圧濃縮、凍結乾燥
した結果、A−53930Bの精製粉末0.7gを得
た。
【0073】(製剤例1)経口用カプセル剤
【0074】
【表6】 上記処方の粉末を混合し、30メッシュのふるいを通し
たのち、この粉末350mgをゼラチンカプセルにい
れ、カプセル剤とした。
【0075】
【発明の効果】次に試験例を挙げて本発明の効果を説明
する。
【0076】(試験例1)A−53930A、A−53
930BまたはA−53930CのN型カルシウムチャ
ンネルに対する阻害活性 参考例1または実施例1で得られたA−53930A、
A−53930BまたはA−53930Cについて、ω
−コノトキシンGVIA(アマシャム(株)製)のモルモ
ット脳膜画分への結合に対する阻害活性を参考例1およ
び実施例1に記載した方法で測定した。
【0077】モルモット由来大脳皮質膜画分と試料を4
℃で10分間プレインキュベートした後、これに20p
Mの[ 125I]ω−コノトキシンGVIAを加え、更に1
時間インキュベートした。反応液量は200μlとし
た。これを0.3%ポリエチレンイミン(シグマ(株)
製)で処理したGF/Cグラスフィルター(ワットマン
(株)製)で急速吸引濾過した後、膜に結合した[ 125
I]ω−コノトキシンGVIAの放射活性をγ−カウンタ
ーで測定した。また、100pMのω−コノトキシンG
VIA存在下での結合を非特異的結合とした。A−539
30A、A−53930BまたはA−53930Cの阻
害活性は上記反応液に、A−53930A、A−539
30BまたはA−53930Cの水溶液5μlを添加し
て同様に測定し、対照との比較により求め、50%阻害
に必要なA−53930A、A−53930BまたはA
−53930Cの濃度を算出し、IC50(μM)値とし
た。
【0078】結果(IC50値で表す)を以下に示す。
【0079】
【表7】ω−コノトキシンGVIAのモルモット脳膜画分
への結合に対する阻害活性 (IC50;μM) A−53930A 0.38 A−53930B 0.28 A−53930C 0.25 (試験例2)A−53930A、A−53930Bまた
はA−53930Cのヒヨコ大悩皮質シナプトソームか
らの[ 3H]ノルエピネフィリンの遊離に対する阻害活
性 ヒヨコ大脳皮質シナプトソームの調製はDunkley らの方
法(Brain Research、441巻、59頁、(1988 年) )に従
って行なった。
【0080】シナプトソームと95nMの[ 3H]ノル
エピネフィリン(アマシャム(株)製)を37℃15分
間インキュベートすることにより[ 3H]ノルエピネフ
ィリンをシナプトソームに取り込ませた。これをHPS
緩衝液(HEPES 20mM、NaCl 132m
M,KCl 4.8mM、MgSO4 2.4mM、K
2 PO4 0.5mM、グルコース 10mM、アス
コルビン酸 0.5mM、pH7.4)を用いて4回、
15,000×gで2分間遠心することにより洗浄した
後、50μMパージリン及び0.1μMデシプラミンを
含むHPS緩衝液に1mlあたり500μgの蛋白質濃
度になるように再懸濁した。遊離反応は50μlのシナ
プトソームに4倍量の50μM パージリン、0.1μ
M デシプラミン、15mM KCl及び1.5mM
CaCl2 を含む脱分極用HPSを加え、37℃で3.
5分インキュベートすることによって行なった。1.2
mMEGTAを含むHPS緩衝液を2ml加えて反応を
停止し、15,000×gで5分間遠心した後、上清を
2ml採取し、遊離した[ 3H]ノルエピネフィリンの
量を液体シンチレーションカウンターで測定した。A−
53930A、A−53930BまたはA−53930
Cの阻害活性は上記反応液に、A−53930A、A−
53930BまたはA−53930Cの水溶液5μlを
添加して同様に測定し、対照との比較により求め、50
%阻害に必要なA−53930A、A−53930Bま
たはA−53930Cの濃度を算出し、IC50(μM)
値とした。結果(IC50値で表す)を以下に示す。
【0081】
【表8】ヒヨコ悩シナプトソームからの[ 3H]ノルエ
ピネフィリンの遊離に対する阻害活性 (IC50;μM) A−53930A 91.0 A−53930B 20.6 A−53930C 39.5 以上のように本発明の新規化合物A−53930A及び
A−53930B並びに本発明で使用された公知化合物
A−53930Cは、優れたN型カルシウムチャンネル
阻害活性を有することより、抗脳梗塞剤、抗てんかん
剤、鎮痛剤として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 21/02 C12R 1:465) (72)発明者 岡崎 尚夫 茨城県つくば市御幸が丘33 三共株式会社 内 (72)発明者 榎田 竜三 茨城県つくば市御幸が丘33 三共株式会社 内 (72)発明者 加賀崎 武之 福島県いわき市泉町下川字大剱389−4 三共株式会社内 (72)発明者 境田 義陽 福島県いわき市泉町下川字大剱389−4 三共株式会社内 (72)発明者 木下 武 東京都品川区広町1丁目2番58号 三共株 式会社内 (72)発明者 春山 英幸 東京都品川区広町1丁目2番58号 三共株 式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式(I)で表される新規化合物A−5
    3930A: 【化1】
  2. 【請求項2】下記式(II)で表される新規化合物A−
    53930B: 【化2】
  3. 【請求項3】ストレプトマイセス属に属するA−539
    30Aおよび/またはA−53930B生産菌を培養
    し、その培養物よりA−53930Aおよび/またはA
    −53930Bを採取することを特徴とするA−539
    30Aおよび/またはA−53930Bの製造法。
  4. 【請求項4】請求項3記載のストレプトマイセス属に属
    するA−53930Aおよび/またはA−53930B
    生産菌がストレプトマイセス・ビナセウスドラパスSA
    NK62394(FERM BP−4811)であるこ
    とを特徴とする、A−53930Aおよび/またはA−
    53930Bの製造法。
  5. 【請求項5】A−53930Aおよび/またはA−53
    930B生産能を有するストレプトマイセス・ビナセウ
    スドラパスSANK62394(FERM BP−48
    11)。
  6. 【請求項6】下記式(III)で表される化合物または
    その塩を有効成分とする抗脳梗塞剤: 【化3】 (式中R1 は水素原子またはカルバモイル基を示し、R
    2 は水素原子またはカルバモイル基を示し、nは1乃至
    7を示す。ただし、R1 がカルバモイル基を示す場合、
    2 は水素原子、nは4または5を示し、R1 が水素原
    子を示す場合、R2 はカルバモイル基、nは1乃至7を
    示す。)。
  7. 【請求項7】下記式(III)で表される化合物または
    その塩を有効成分とする抗てんかん剤: 【化4】 (式中R1 は水素原子またはカルバモイル基を示し、R
    2 は水素原子またはカルバモイル基を示し、nは1乃至
    7を示す。ただし、R1 がカルバモイル基を示す場合、
    2 は水素原子、nは4または5を示し、R1 が水素原
    子を示す場合、R2 はカルバモイル基、nは1乃至7を
    示す。)。
  8. 【請求項8】下記式(III)で表される化合物または
    その塩を有効成分とする鎮痛剤: 【化5】 (式中R1 は水素原子またはカルバモイル基を示し、R
    2 は水素原子またはカルバモイル基を示し、nは1乃至
    7を示す。ただし、R1 がカルバモイル基を示す場合、
    2 は水素原子、nは4または5を示し、R1 が水素原
    子を示す場合、R2 はカルバモイル基、nは1乃至7を
    示す。)。
JP2049495A 1995-02-08 1995-02-08 ペプチド化合物 Pending JPH08208690A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2049495A JPH08208690A (ja) 1995-02-08 1995-02-08 ペプチド化合物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2049495A JPH08208690A (ja) 1995-02-08 1995-02-08 ペプチド化合物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08208690A true JPH08208690A (ja) 1996-08-13

Family

ID=12028720

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2049495A Pending JPH08208690A (ja) 1995-02-08 1995-02-08 ペプチド化合物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08208690A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999002146A1 (fr) * 1997-07-08 1999-01-21 Ono Pharmaceutical Co., Ltd. Derives d'acide amine
US7351721B2 (en) 1998-06-26 2008-04-01 Ono Pharmaceutical Co., Ltd. Amino acid derivatives and pharmaceutical composition comprising, as active ingredients, them
US7427634B2 (en) 1998-07-14 2008-09-23 Ono Pharmaceutical Co., Ltd. Amino acid derivatives and pharmaceutical composition comprising, as active ingredients, them

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999002146A1 (fr) * 1997-07-08 1999-01-21 Ono Pharmaceutical Co., Ltd. Derives d'acide amine
US7166590B2 (en) 1997-07-08 2007-01-23 Ono Pharmaceutical Co., Ltd. Amino acid derivatives
US7351721B2 (en) 1998-06-26 2008-04-01 Ono Pharmaceutical Co., Ltd. Amino acid derivatives and pharmaceutical composition comprising, as active ingredients, them
US7427634B2 (en) 1998-07-14 2008-09-23 Ono Pharmaceutical Co., Ltd. Amino acid derivatives and pharmaceutical composition comprising, as active ingredients, them

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4981792A (en) Immunosuppressant compound
CA2012275A1 (en) New microbial immunoregulant
CA2337398A1 (en) Nocathiacin antibiotics
JPH0662674B2 (ja) 抗生物質クロロポリスポリンbまたはc
US5322854A (en) Reveromycin A, method for preparing the same, and antitumor agent and antifungal agent comprising the same
KR840001258B1 (ko) 신항생물질 mf 266 물질의 제조방법
KR100230961B1 (ko) 신규한 아미노올리고당 유도체 및 그의 제조방법
JPH08208690A (ja) ペプチド化合物
US5290772A (en) Immunosuppressant agent
KR950013857B1 (ko) 신규 항생물질 무레이도마이신 a, b, c 및 d 그의 제조 방법 및 치료학적 용도
US4292309A (en) Antibiotics C-14482 B1, B2 and B3
US5138052A (en) L-683,590 microbial transformation product
EP0818464B1 (en) Methylsulfomycin l, a process for its production and its use
US4895864A (en) Antibiotic TAN-950A, its production and use
EP1324980B1 (en) Citrullimycines, a process for their production and their use as pharmaceuticals
US5270187A (en) Microbial transformation product
JP3458355B2 (ja) 抗生物質ge2270因子aの生産を選択的に増加させる方法
JP3068700B2 (ja) 新規トレハゾリン誘導体およびその製造法
JPH0367077B2 (ja)
JPH06298781A (ja) 抗生物質レクチプラニン
JPH093091A (ja) ヌクレオシド誘導体物質、その製造法及び抗腫瘍剤
KR830001245B1 (ko) 항생물질 마이코플라네신의 제조방법
JPH093090A (ja) 新規化合物a−76202m及びその製法
JPH06339395A (ja) 新規生理活性物質及びその製造法
CA2143437A1 (en) Novel substance dc114-a1