JPH06298781A - 抗生物質レクチプラニン - Google Patents

抗生物質レクチプラニン

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JPH06298781A
JPH06298781A JP5085900A JP8590093A JPH06298781A JP H06298781 A JPH06298781 A JP H06298781A JP 5085900 A JP5085900 A JP 5085900A JP 8590093 A JP8590093 A JP 8590093A JP H06298781 A JPH06298781 A JP H06298781A
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JP
Japan
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lectipranin
water
sank
absorption spectrum
actinoplanes
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Application number
JP5085900A
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English (en)
Inventor
Masatoshi Inukai
正俊 犬飼
Michiko Takeuchi
道子 竹内
Hiroko Otani
宏子 大谷
Yoshiaki Sakaida
義陽 境田
Hisao Okazaki
尚夫 岡崎
Ryuzo Enokida
竜三 榎田
Hideyuki Haruyama
英幸 春山
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Sankyo Co Ltd
Original Assignee
Sankyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】下記の理化学的性質を有する抗生物質レクチプ
ラニンまたはその塩を提供する。1)物質の性状:両性
水溶性、白色粉末;2)分子式:C70H113N4O35P (高分
解能質量分析法により測定);3)赤外線吸収スペクト
ル:νmaxcm-1、KBr 錠中で測定した赤外線吸収スペク
トルは右図に示す通り。;4)高速液体クロマトグラフ
ィー、カラム:センシュウパック、溶媒:55%アセト
ニトリルを含む20mMトリエチルアミン−リン酸緩衝
液、流速:1ml/分、検出波長:UV200nm、保
持時間:10.9分。 【効果】グラム陽性菌及び陰性菌のいずれにも有効な抗
菌活性を有するレクチプラニンを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新物質レクチプラニン、
その製造法およびそれを有効成分とする抗菌剤に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、グリコリピッド系抗生物質として
は、モエノマイシン(Moenomycin:Tetrahedron 39, 158
3, (1983) )、デイウマイシン(Diumycin: J. Antibio
t. 26,542, (1973))、フォリポマイシン(Pholipomyci
n:Tetrahedron Lett., 24, 499, (1983) )などが知ら
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、土壌か
ら分離したアクチノプラネス属に属するSANK 61
692株が、主としてグラム陽性細菌に対して有効な新
物質レクチプラニンを生産することを見出し、本発明を
完成した。
【0004】本発明のレクチプラニンはその諸性状より
モエノマイシン(Moenomycin)、デイウマイシン(Dium
ycin)、フォリポマイシン(Pholipomycin)などと同様
のグリコリピッド系抗生物質に類縁の物質であるが、分
子量が1600であることより公知のグリコリピッドと
は明らかに区別され、新規物質であることが判明した。
【0005】また、レクチプラニンはグラム陽性細菌に
対して強い抗菌力を示すことから、ヒトおよび動物にお
いてのこれらの細菌に起因する疾病の予防および治療に
用いられる。さらに、グリコリピッド系公知抗生物質の
中には反すう動物および家畜における飼料効率を増大さ
せるための補助的手段として利用されているものもあ
り、本物質についても同様の効果が期待される。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1)抗生物
質レクチプラニンまたはその塩、(2)アクチノプラネ
ス属に属するレクチプラニン生産菌を培養し、その培養
液よりレクチプラニンを採取することを特徴とするレク
チプラニンの製造法、(3)アクチノプラネス属に属す
るレクチプラニン生産菌がアクチノプラネス・レクチリ
ネアツス(Actinoplanes rectilineatus)SANK 6
1692株(FERM BP−4245)である(2)
に記載の製造法に関する。
【0007】本発明のレクチプラニンは以下のような理
化学的性状を有する。
【0008】1)物質の性状:酸性水溶性、白色粉末 2)比旋光度:[α]D 25 、+0.6゜ (c0.1 ,H2O ) 3)元素分析値(% ):(アンモニア2.5モル、水5
モルを含むアンモニア水和物として) C,48.72 ;H,7.51;N,5.05;P,1.37 4)分子式:C70H113N4O35P (高分解能質量分析法によ
り測定) 5)分子量: 1600(FAB-MS;[M-H]-, 159
9) 6)酸加水分解:酸加水分解によりC30H50O のリピドを
生じる。
【0009】7)紫外線吸収スペクトル:末端吸収。
【0010】8)赤外線吸収スペクトル:νmaxcm-1 KBr 錠中で測定した赤外線吸収スペクトルは図1に示す
通りである。
【0011】9)核磁気共鳴スペクトル:(δ:ppm ) DMSO中、内部基準にTMS (テトラメチルシラン)を使用
して測定した核磁気共鳴スペクトル(270MHz)は図2に
示す通りである。
【0012】10)溶解性:水、メタノールに可溶、ア
セトンに難溶、酢酸エチル、クロロホルム、ベンゼンに
不溶。
【0013】11)呈色反応:リンモリブデン酸、硫酸
に陽性。
【0014】12)薄層クロマトグラフィー: Rf値:0.46 吸着剤:TLC用シリカゲルプレイト (60F254, NO.5
715 :メルク社製) 展開溶媒:n-ブタノール:メタノール:水=8:3:3 13)高速液体クロマトグラフィー カラム:センシュウパック(φ6×150mm、OD
S、H−2151:センシュー科学(株)製) 溶媒:55%アセトニトリルを含む20mMトリエチル
アミン−リン酸緩衝液(pH3.1) 流速:1ml/分 検出波長:UV200nm 保持時間:10.9分。
【0015】レクチプラニンを生産する放線菌SANK
61692株の形態学的特徴および生理学的性質は以
下に示す通りである。
【0016】1.形態学的特徴 ISP[インターナショナル・ストレプトマイセス・プ
ロジェクト(International Streptomyces Projec
t)]規定の培地上、28℃、14日間培養後、顕微鏡
下観察によるSANK 61692株の形態学的特徴は
胞子のうを有し、その直径は通常7〜17μmであって
亜球状ないし瓶状を示す。胞子の大きさは1.5〜2μ
mであって極鞭毛を有し、pH7.0、1/15Mのリ
ン酸緩衝液中で約60分で遊走性を示した。また、胞子
は胞子のうの中では直状に配列されている。28℃、1
4日間培養後の各種寒天培地上での生育は表1に示す通
りである。
【0017】
【表1】 ──────────────────────────────────── 培地の種類 項目*1 SANK 61692株の性状 ──────────────────────────────────── イースト・麦芽寒天 SM 非常に良好、しわ状、明黄味橙 (7.5YR 7/10 )*2 (ISP 2 ) AM 着生せず SP 産生せず SG 形成せず ──────────────────────────────────── オートミール寒天 SM 非常に良好、平坦、赤味黄(2.5Y 8/10 ) (ISP 3 ) AM 着生せず SP 産生せず SG 豊富に形成 ──────────────────────────────────── 澱粉・無機塩寒天 SM 非常に良好、平坦、鈍黄(2.5Y 8/8) (ISP 4 ) AM 着生せず SP 産生せず SG 良好に形成 ──────────────────────────────────── グリセリン・アスパラ SM 余り良くない、平坦、薄黄味橙(2.5Y 9/ 2) ギン寒天 AM 着生せず (ISP 5) SP 産生せず SG 良好に形成 ──────────────────────────────────── ペプトン・イースト SM 良好、平坦、赤味黄(2.5Y 8/10 ) エキス・鉄寒天 AM 着生せず (ISP 6 ) SP 産生せず SG 形成せず ──────────────────────────────────── チロシン寒天 SM 良好、平坦、薄黄味茶(10YR 8/4) (ISP 7 ) AP 着生せず SP 明るい茶(7.5YR 5/6 ) SG 良好に形成 ──────────────────────────────────── シュクロース・硝酸塩 SM 余り良くない、平坦、鈍黄(2.5Y 8/8) AM 着生せず SP 産生せず SG 豊富に形成 ──────────────────────────────────── グルコース・アスパラ SM 良好、平坦、赤味黄(2.5Y 8/10 ) ギン寒天 AM 着生せず SP 産生せず SG 形成せず ──────────────────────────────────── 栄養寒天 SM 余り良くない、平坦、薄黄味茶(2.5Y 8/6) (DIFCO ) AM 着生せず SP 産生せず SG 形成せず ──────────────────────────────────── ポテトエキス・人参 SM 余り良くない、平坦、薄黄(2.5Y 9/4) エキス寒天 AM 着生せず SP 産生せず SG 豊富に形成 ──────────────────────────────────── 水寒天 SM 僅かに形成、平坦、薄黄味橙(2.5Y 9/2) AM 着生せず SP 産生せず SG 豊富に形成 ──────────────────────────────────── *1 SM:基生菌糸、AM:気菌糸、SP:可溶性色
素、SG:胞子のう *2 マンセル方式に準拠した標準色素表示 2.生理学的特徴 SANK 61692株の生理学的性質は表2に示した
とおりである。
【0018】
【表2】 ──────────────────────────────────── 生理学的性質 SANK 61692株の性状 ──────────────────────────────────── 澱粉の加水分解 陽性 ゼラチンの液化 生育を示さず 硝酸塩の還元 疑陽性 ミルクの凝固 陰性 ミルクのペプトン化 陰性 メラニン様色素の産性 陽性 カゼインの分解 陽性 チロシンの分解 疑陽性 キサンチンの分解 陰性 生育温度範囲 10〜33℃ 生育至適温度 19〜31℃ 食塩存在下での生育 3%まで生育 ──────────────────────────────────── プリドハム・ゴトリーブ寒天培地上28℃、14日間目
に観察したSANK61692株の炭素源資化性は表3
に示した通りである。
【0019】
【表3】 ──────────────────────────────────── 炭素源 SANK 61692株の性状 ──────────────────────────────────── Dーグルコース + Lーアラビノース ++ Dーキシロース ++ イノシトール ± Dーマンニトール + Dーフルクトース ++ Lーラムノース ++ シュクロース ± ラフィノース ー 対照 ー ──────────────────────────────────── ++:良く資化する、+:資化する、±:資化は疑がわ
しい、ー:資化しない。 3.化学分類学的特徴 SANK 61692株の細胞壁について、長谷川らの
方法[長谷川ら、ザ・ジャーナル・オブ・ジェネラル・
マイクロバイオロジー(The Journal of General and A
pplied Microbiology )、29巻319ー322頁]に
従い検討した結果、メソジアミノピメリン酸とグリシン
が検出された。また、SANK 61692株の全細胞
中の主要糖成分についてエム・ピー・レシェヴァリエの
方法[M.P. Lechevalier ジャーナル・オブ・ラボラト
リー・アンド・クリニカル・メデイシン(Journal of L
aboratory and Clinical Medicine )71巻、934ー
944頁1968年]に従い検討した結果、アラビノー
スとキシロースが検出された。
【0020】さらにSANK 61692株のメナキノ
ンを[放線菌の同定実験法:日本放線菌学会編、(19
85年)]記載の方法で調べたところ主要なメナキノン
はMK-9(H4)であった。以上のことから本菌株は放線菌
の中でもアクチノプラネス属に属することは明らかであ
る。アクチノプラネス属の中ではアクチノプラネス・レ
クチリネアツス(Actinoplanes rectilineatus)[イン
ターナショナル・ジャーナル・システマチック・バクテ
リオロジー(International Journal of Systematic Ba
cteriology)25巻、371ー376頁1975年]が
SANK 61692に最も近縁と考えられた。そこで
SANK 61692株とアクチノプラネス・レクチリ
ネアツスの記載を詳細に比較したところ、種を区別する
差異は認められなかった。そこでSANK 61692
株はアクチノプラネス・レクチリネアツスに属する新菌
株であると同定し、アクチノプラネス・レクチリネアツ
ス(Actinoplanes rectilineatus)SANK 6169
2と命名し、1993年3月24日に日本国通商産業省
工業技術院生命工学工業技術研究所に国際寄託をした
(FERM BPー4245)。
【0021】以上、レクチプラニンの生産菌について説
明したが、放線菌の諸性質は一定したものではなく、自
然的、人工的に容易に変化することは周知の通りであ
る。本発明で使用し得る菌株はアクチノプラネス属に属
するレクチプラニンを生産するすべての菌株を包含する
ものである。
【0022】本発明における培養は一般放線菌における
培養方法に準じて行なわれ、液体培地中での振とう培養
あるいは通気撹拌培養によるものが好ましい。培地成分
としては、例えば炭素源として、ブドウ糖、マルトー
ス、シュクロース、マンニット、糖蜜、グリセリン、デ
キストリン、澱粉、大豆粉、綿実油などが、また、窒素
源としては大豆粉、落花生粉、綿実油、ファーマミン、
魚粉、コーン・スチープ・リカー、ペプトン、イースト
エキスなどが、また、無機塩として食塩、リン酸塩、硝
酸、炭酸カルシウム、微量金属塩などが、必要に応じて
適宣使用される。さらに、液体培養に際してはシリコン
油、植物油、界面活性剤等が消泡剤として適宜使用され
る。
【0023】培地のpHは中性付近、培養温度は24℃
から37℃、特に28℃前後は望ましい。
【0024】培養の経過に伴って生産されるレクチプラ
ニン物質の力価の経時変化は、スタフィロコッカス ア
ウレウス FDA 209P JC-1 を被験菌としたペーパーデ
イスク(東洋科学産業(株)製、直径8mm、thick )検
定法により測定される。通常120〜144時間の培養
でレクチプラニンの生産量は最高値に達する。主として
培養液中の液体部分に存在するレクチプラニンは、培養
終了後、菌体その他の固形部分をけいそう土等を瀘過助
剤とする瀘過操作または遠心分離によって除去し、その
ろ液または上清中から抽出、精製することによって得ら
れる。
【0025】レクチプラニンはその物理化学的性状を利
用することにより、例えば、吸着剤を用いて採取するこ
とが出来る。吸着剤としては、例えば、活性炭、または
吸着樹脂であるアンバーライト XAD−2,XAD−
4,XAD−7(ローム・アンド・ハースト社)や、ダ
イヤイオン HP20,CHP20P(三菱化成(株)
製)、ポリアミドゲル(ウエルム社製)等が使用され
る。レクチプラニンを含む上記のごとき吸着剤の層を通
過させてレクチプラニンを含む液に含まれる不純物を取
り除くか、またはレクチプラニンを吸着させた後、メタ
ノール水、アセトン水、n−ブタノール水等を用いて溶
出させることによて得られる。このようにして得られた
レクチプラニンを分離、精製するために、シリカゲル
(メルク社製)、セファデックスLHー20(ファルマ
シア社製)などを用いた分配カラムクロマトグラフィ
ー、レクチプラニンと混在する不純物との溶媒に対する
分配率の差を利用した抽出法、または順相、逆相カラム
を用いた高速液体クロマトグラフィー等が有効な方法と
いえる。
【0026】以上の分離、精製手段を単独または適宣組
み合わせて、反復用いることにより、レクチプラニンを
分離、精製することが出来る。
【0027】レクチプラニンはまた一般の抗生物質と同
じく、培養条件によっては培養液中の菌体部分に存在す
る。この場合は、アルコール類、アセトンなどの親水性
溶媒によって抽出し、抽出液より溶媒を除去し、ついで
水溶液としてのち、培養ろ液と同様の方法で抽出精製す
ることができる。
【0028】また、レクチプラニンはそれ自体、既知の
手順に従いその薬理上許容される塩基付加塩に転化する
ことができる。塩基付加塩としては、例えば、アルカリ
金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキ
ルアンモニウム塩などの有機アンモニウム塩、リジン、
アルギニン、グリシンなどのアミノ酸付加塩との塩をあ
げることができる。
【0029】これらのレクチプラニンの塩も本発明に含
有される。
【0030】
【作用】本発明のレクチプラニンは各種細菌感染疾患を
対照とする抗菌剤として使用される。その投与形態とし
ては皮下注射、静脈内注射、筋肉注射、座剤などによる
非経口投与法、あるいは錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒
剤などによる経口投与法があげられる。投与量は対象疾
患、投与経路および投与回数などによって異なるが、例
えば、成人に対しては通常一日0.1g〜10gを症状
に応じて、1回または数回投与するのが好ましい。
【0031】また、本発明のレクチプラニンをマウスに
50mg/kgを静脈内投与したが毒性は認められなか
った。
【0032】
【実施例】次に実施例をあげて本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれに限定されない。
【0033】実施例1 アクチノプラネス・レクチリネアツス SANK 61
692をA培地(グルコース1.0%,グリセリン1.0%,シ
ュクロース1.0%、生イースト1.0%、大豆粉2.0%、オート
ミール0.5%,カザミノ酸0.5%,CaCO3 0.1%,ニッサンデ
イスフォームCB442 0.02% )100mlを含む500m
l容三角フラスコ8本にそれぞれ一白金耳接種し、22
0rpm の回転振とう機により28℃で144時間培養し
た。この培養液300mlをA培地15Lを含む30L
ジャーファーメンター4基に接種して、28℃、回転数
150rpm、通気量15L/分で142時間通気撹拌
培養を行なった。このようにして得られた培養液47L
に瀘過助剤としてセライト545(米国ジョンズマンビ
ルプロダクトコーポレーション製)を加えてろ過し、3
9Lのろ液を得た。このろ液をダイヤイオンHP20
(三菱化成工業(株)製)6Lに吸着させ、18Lの水
および16Lの10%アセトン水で洗浄後、40Lの5
0%アセトン水でレクチプラニンを溶出した。溶出液を
濃縮し、凍結乾燥することにより粗粉末26.3g得
た。同粉末26.3gを6Lの水に溶解し、pHを9.
0に調製してから、再度、2.2LのHP20に吸着さ
せ、水及び10%アセトン水、それぞれ6.6Lで洗浄
後、12.4Lの50%アセトン水で溶出した。この溶
出液を濃縮、凍結乾燥することにより573.9mgの
粉末が得られた。この粉末の567mgを56.7gの
シリカゲルカラムに吸着させた。シリカゲルカラムはあ
らかじめ、nーブタノール:メタノール:水=8:1.
5:1の組成から成る溶媒で充填し平衡化したのち、各
溶媒の組成が8:2:1、8:2:1.5である溶媒で
それぞれ1.2L展開した後、8:2:2の組成から成
る溶媒で展開し、フラクションコレクターで15mlず
つ分画した。フラクション3から24番に活性物質が溶
出された。同溶出液を濃縮凍結乾燥し、78.5mgの
粉末を得た。この粉末を少量の水に溶解し、分取用高速
液体クロマトグラフィー(カラム 20X250mm;
ODS H−5251(センシュー科学(株)製)、溶
媒:55%アセトニトリルー20mMトリエチルアミン
ーリン酸緩衝液(pH3.1)、流速;9ml/分)に
よりレクチプラニンに相当するピークを分取し、50m
lのHP20で脱塩した後、凍結乾燥により純品のレク
チプラニンが14.1mg得られた。
【0034】実施例2 アクチノプラネス・レクチリネアツス SANK 61
692をA培地600mlを含む2L容三角フラスコ2
本にそれぞれ3白金耳接種し、220rpmの回転振と
う機により、28℃、192時間培養した。この培養液
1.2LをA培地30Lを含む60Lタンク2基に接種
し、28℃、回転数165〜200rpm、通気量30
L/分で120時間培養した。この培養液にろ過助剤と
してセライト545を1.5kg加えて小型フィルター
プレスでろ過し、菌体8kgを得た。この菌体を50%
アセトン溶液、20Lで抽出し、再度、小型フィルター
プレスで菌体をろ過し、ろ液21Lを得た。このろ液か
ら減圧蒸留によりアセトン留去し、次いで3LのHP2
0カラムに吸着させた。同カラムを15Lの水、10L
の10%のアセトン水で洗浄後、50%アセトン液18
Lで溶出した。この溶出液を濃縮凍結乾燥し、粗粉末
8.5gを得た。得られた粉末を6Lの水に溶解し、p
Hを9.0に調整してから再度2LのHP20に吸着さ
せ、6Lずつの水、アセトンによりそれぞれ洗浄後、5
0%アセトン水10Lで溶出した。溶出液を濃縮、凍結
乾燥することにより、2.64gの粉末を得た。次にシ
リカゲルカラム(264g)をn−ブタノール:メタノ
ール:水=8:1.5:1から成る溶媒で充填しておい
たものに同粉末2.64gを吸着させ、n−ブタノー
ル:メタノール:水の割合を8:2:1、8:2:1.
5に変えた溶媒でそれぞれ4Lずつ展開した後、8:
2:2の溶媒を用いフラクションコレクターで15ml
ずつ分画した。フラクション20から156番に活性物
質が溶出された。この画分を濃縮、凍結乾燥することに
より、369.2mgの粉末を得た。この粉末を少量の
水に溶かし、分取用高速液体クロマトグラフィー(カラ
ム 20x250mm、ODS H−5251(センシ
ュー科学(株)製)、溶媒;55%アセトニトリルー2
0mMトリエチルアミンー塩酸緩衝液(pH3.1)、
流速;7ml/分)によりレクチプラニンに相当するピ
ークを分取し、70mlのHP20で脱塩後、凍結乾燥
により、純品のレクチプラニンを79.3mg得た。
【0035】
【発明の効果】本発明のレクチプラニンの抗菌力を調べ
た。
【0036】一般グラム陽性、グラム陰性細菌に対する
レクチプラニンの最小阻止濃度(MIC)はミュラーヒ
ントン寒天培地(デイフコ社製)、嫌気性細菌に対して
はGAM寒天培地(日水製薬(株)製)を用いた寒天培
地希釈法によって測定した。その結果は表4に示す通り
である。
【0037】
【表4】 ──────────────────────────────────── 被験菌 MIC(μg/ml) ──────────────────────────────────── スタフィロコッカス アウレウス 209P JC-1 0.78 スタフィロコッカス アウレウス SANK 70175 0.39 スタフィロコッカス エピデルミデス ATCC 155 0.1 スタフィロコッカス アウレウス 36 MRSA 0.2 スタフィロコッカス アウレウス 507 MRSA 0.39 スタフィロコッカス アウレウス 535 MRSA 0.2 バチルス ズブチリス PCI 219 12.5 ミクロコッカス ルテウス SANK 71679 100 エンテロコッカス フェカリス SANK 71778 6.25 エツシェリヒア コリ NIHJ JC-1 50 エツシェリヒア コリ SANK 72275 12.5 クレブシエラ ニューモニアエ SANK 74975 25 シュードモナス エアルギノーサ NCTC 10490 3.12 シュードモナス アシドボランス SANK 72782 1.56 セラチア マルセッセンス SANK 73060 50 プロテウス ブルガリス SANK 71490 12.5 プロテウス ミラビリス SANK 70461 12.5 プロテウス ミラビリス SANK 71873 0.78 カンジダ アルビカンス SANK 50157 〉100 ──────────────────────────────────── 以上の結果より、レクチプラニンはスタフィロコッカス
アウレウス、スタフィロコッカス エピデルミデスな
どのグラム陽性細菌およびシュードモナス エアルギノ
ーサ、シュードモナス アシドボランス、プロテウス
ミラビリスなどのグラム陰性細菌に有効であることが確
認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】レクチプラニンの赤外線吸収スペクトル図。
【図2】レクチプラニンの核磁気共鳴スペクトル図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 境田 義陽 福島県いわき市泉町下川字大剱389−4 (72)発明者 岡崎 尚夫 茨城県つくば市御幸が丘33 三共株式会社 内 (72)発明者 榎田 竜三 茨城県つくば市御幸が丘33 三共株式会社 内 (72)発明者 春山 英幸 東京都品川区広町1丁目2番58号 三共株 式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の理化学的性質を有する抗生物質レク
    チプラニンまたはその塩: 1)物質の性状:酸性水溶性、白色粉末 2)比旋光度:[α]D 25 、+0.6 ゜ (c0.1 ,H2O
    ) 3)元素分析値(% ):(アンモニア2.5モル、水5
    モルを含むアンモニア水和物として) C,48.72 ;H,7.51;N,5.05;P,1.37 4)分子式:C70H113N4O35P (高分解能質量分析法によ
    り測定) 5)分子量: 1600(FAB-MS;[M-H]-, 159
    9) 6)酸加水分解:酸加水分解によりC30H50O のリピドを
    生じる。 7)紫外線吸収スペクトル:末端吸収。 8)赤外線吸収スペクトル:νmaxcm-1 KBr 錠中で測定した赤外線吸収スペクトルは図1に示す
    通りである。 9)核磁気共鳴スペクトル:(δ:ppm ) DMSO中、内部基準にTMS (テトラメチルシラン)を使用
    して測定した核磁気共鳴スペクトル(270MHz)は図2に
    示す通りである。 10)溶解性:水、メタノールに可溶、アセトンに難
    溶、酢酸エチル、クロロホルム、ベンゼンに不溶。 11)呈色反応:リンモリブデン酸、硫酸に陽性。 12)薄層クロマトグラフィー: Rf値:0.46 吸着剤:TLC用シリカゲルプレイト (60F254, NO.5
    715 :メルク社製) 展開溶媒:n-ブタノール:メタノール:水=8:3:3 13)高速液体クロマトグラフィー カラム:センシュウパック(φ6×150mm、OD
    S、H−2151:センユー科学(株)製) 溶媒:55%アセトニトリルを含む20mMトリエチル
    アミン−リン酸緩衝液(pH3.1) 流速:1ml/分 検出波長:UV200nm 保持時間:10.9分。
  2. 【請求項2】アクチノプラネス属に属するレクチプラニ
    ン生産菌を培養し、その培養液よりレクチプラニンを採
    取することを特徴とするレクチプラニンの製造法。
  3. 【請求項3】アクチノプラネス属に属するレクチプラニ
    ン生産菌がアクチノプラネス・レクチリネアツス(Acti
    noplanes rectilineatus)SANK 61692株(F
    ERM BP−4245)である請求項2記載の製造
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US10696428B2 (en) 2015-07-22 2020-06-30 California Institute Of Technology Large-area structures for compact packaging
US11362228B2 (en) 2014-06-02 2022-06-14 California Institute Of Technology Large-scale space-based solar power station: efficient power generation tiles
US11634240B2 (en) 2018-07-17 2023-04-25 California Institute Of Technology Coilable thin-walled longerons and coilable structures implementing longerons and methods for their manufacture and coiling

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