JP3687196B2 - 熱可塑性エラストマー組成物及びこれからなる電気・電子部品 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物及びこれからなる電気・電子部品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はハロゲン系ポリマー(1)、ポリエステル系ゴム,ポリウレタン系ゴム,ポリ尿素系ゴムから選ばれる架橋ゴム(2)、可塑剤(3)及び導電性フィラー(4)からなり、該ハロゲン系ポリマー(1)がエチレン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニル単独重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、クロロスルフォン化ポリエチレン、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリウレタングラフトポリ塩化ビニル共重合体から選ばれた1種または2種以上のポリマー、該導電性フィラー(4)が導電性カーボン、及び、金属粒子又は金属酸化物であるとともに、ハロゲン系ポリマー(1)、架橋ゴム(2)、可塑剤(3)の総配合量に対して導電性フィラー(4)の配合量が2wt%を越え、50wt%未満である5×10−1Ω・cm以上5×10Ω・cm以下の体積固有抵抗を有する低電気抵抗熱可塑性エラストマー組成物及びこれよりなる電気・電子部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年電気・電子部品分野では導電性〜半導電性材料の要求が強くなってきている。従来、電気・電子部品に用いられる材料において柔軟性、ゴム的性質、低電気抵抗(一般に導電〜半導電領域として10-1〜109Ω・cm程度の体積抵抗領域を指す)などの機能性を有する材料としては、各種ゴム材料を低電気抵抗化したものが用いられていた。各種ゴム材料としては、例えばシリコーンゴム、EPDMゴム、クロロプレンゴムなどが挙げられ、特にシリコーンゴムが主流を占めている。また熱可塑性エラストマーが加硫ゴムの代替として徐々に開発されるようになったが、現状では、柔軟性、ゴム的性質に優れ、低電気抵抗の熱可塑性エラストマーはない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような問題から柔軟性、ゴム的性質に優れ、低電気抵抗特性を有する熱可塑性エラストマー材料が望まれていた。
【0004】
そこで本発明の目的は、上記の柔軟性、ゴム的性質に優れ、低電気抵抗特性を有し、成形加工性に優れた熱可塑性エラストマー組成物及びそれよりなる電気・電子部品を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる状況に鑑み鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至った。即ち本発明は常温にて5×10−1Ω・cm以上5×10Ω・cm以下の体積固有抵抗を有する低電気抵抗熱可塑性エラストマー組成物として、ハロゲン系ポリマー(1)、ポリエステル系ゴム,ポリウレタン系ゴム,ポリ尿素系ゴムから選ばれる架橋ゴム(2)、可塑剤(3)及び導電性フィラー(4)からなり、該ハロゲン系ポリマー(1)がエチレン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニル単独重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、クロロスルフォン化ポリエチレン、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリウレタングラフトポリ塩化ビニル共重合体から選ばれた1種または2種以上のポリマー、該導電性フィラー(4)が導電性カーボン、及び、金属粒子又は金属酸化物であるとともに、ハロゲン系ポリマー(1)、架橋ゴム(2)、可塑剤(3)の総配合量に対して導電性フィラー(4)の配合量が2wt%を越え、50wt%未満からなるものであり、またこれよりなる電気・電子部品に関するものである。
【0006】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0007】
本発明で用いる低電気抵抗熱可塑性エラストマー組成物は、ハロゲン系ポリマー(1)、ポリエステル系ゴム,ポリウレタン系ゴム,ポリ尿素系ゴムから選ばれる架橋ゴム(2)、可塑剤(3)及び導電性フィラー(4)からなり、該導電性フィラー(4)が導電性カーボン、及び、金属粒子又は金属酸化物であるものである。ハロゲン系ポリマー(1)としては、ハロゲンを含有する単量体の単独重合体、共重合体またはハロゲンにより変性された重合体を示し、特に柔軟性、ゴム性能に優れた低電気抵抗熱可塑性エラストマー組成物が得られる点などからエチレン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニル単独重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、クロロスルフォン化ポリエチレン、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリウレタングラフトポリ塩化ビニル共重合体であり、これらのハロゲン系ポリマー(1)は1種または2種以上を併用して用いることができる。
【0008】
架橋ゴム(2)としては、ポリエステル系ゴム、ポリウレタン系ゴム、ポリ尿素系ゴムが挙げられ、これらのうち1種または2種以上が用いられる。これら架橋ゴム(2)は1種または2種以上の架橋ゴム(2)の原料と必要に応じて硬化剤、架橋剤及び/または架橋助剤とが反応して架橋したゴムである。本発明で用いる架橋ゴム(2)の原料とは分子量が10000以下のポリマーであり、必ずしも室温状態において液状である必要はない。架橋ゴム(2)の原料としては、得られる熱可塑性エラストマー組成物の低電気抵抗化を阻害するおそれの少ない飽和型ポリマーであることが望ましい。
【0009】
本発明で用いる架橋ゴム(2)としては、架橋ゴムの原料の段階あるいは架橋反応途中でハロゲン系ポリマー(1)との相溶性が良く、低ガラス転移温度のものを用いることが望ましく、相溶性の良いものを用いることによって、物理的性質を向上させることができ、また低ガラス転移温度のものを用いることによって、熱可塑性エラストマーにゴム的性質を付与することができる。
【0010】
ハロゲン系ポリマー(1)との相溶性が良好であるためには架橋ゴム(2)は、架橋ゴムの原料の段階あるいは架橋反応途中で分子構中にケトン基を有していることが望ましい。この場合、ケトン基に隣接して酸素原子もしくは窒素原子が存在してもよい。即ち本発明に記したケトン基とはエステル基、カーボネート基、ウレタン基、アロファネート基、ビュレット基、尿素基及びアミド基などを含み、これらのうち1種または2種以上の原子団を有した架橋ゴムを用いることが好ましい。また低電気抵抗を図るために上述したような極性官能基以外に水酸基イオン性官能基などを含むものでもよい。
【0011】
本発明において架橋ゴム(2)として例えばポリエステル系ゴムを用いる場合には次に挙げるような方法によって架橋ゴムの原料が架橋された材料が用いられる。
【0012】
(a)ポリエステル系ゴムの原料として水酸基を有したポリエステルをメラミン化合物との反応によって架橋したもの。この時メラミン化合物は特に制限を受けないが、ヘキサキスメトキシメチルメラミンを用いるとメラミンの自己縮合が生じにくくなり有効な架橋が得られやすい。
【0013】
(b)ポリエステル系ゴムの原料として1分子あたり2個を超える水酸基もしくはカルボキシル基を有したポリエステルをポリイソシアネート化合物との反応によって架橋する方法。ポリイソシアネート化合物としては平均官能基数2個を超えるイソシアネート基を有するものであればよく市販されているものを用いることができる。尚、本方法で得られるゴムはポリウレタンゴムと称されることもある。
【0014】
(c)ポリエステル系ゴムの原料としてカルボキシル基を末端に有したポリエステルをポリエポキシ化合物との反応によって架橋する方法。ポリエポキシ化合物としては、一般に市販されているものを用いることができる。
【0015】
(d)ポリエステル系ゴムの原料としてポリエステルを低分子量かつメトキシ基を有するシリコン化合物との反応によって架橋する方法。
【0016】
(e)過酸化物によってポリエステル系ゴムの原料としてポリエステルを架橋する方法。この場合、共架橋剤を用いても良い。過酸化物としては一般に市販されているものを用いることができる。
【0017】
(f)ポリエステル系ゴムの原料として末端がイソシアネート基によって変性されたポリエステルをポリアミン化合物(A)の1種または2種以上によって架橋する方法。尚、この方法によって得られたゴムはポリ尿素ゴムと称されることもある。
【0018】
ポリアミン化合物(A)としては例えば、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、トリメチレン−ビス(4−アミノベンゾエート)、2,2’,3,3’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート、ジエチルトルエンジアミンなどである。
【0019】
末端がイソシアネート基で変性されたポリエステルとしては分子鎖末端が水酸基であるポリエステルに2官能性イソシアネート化合物(B)の1種または2種以上を反応させたものが用いられる。
【0020】
2官能性イソシアネート化合物(B)としては例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1−クロロフェニレン−2,4−ジイショシアネートなどである。
【0021】
(a)〜(f)のいずれの方法を用いる場合においてもポリエステル系ゴムの原料としてのポリエステルは、以下に示す2つ以上の水酸基を有する脂肪族化合物(C)のうち1種または2種以上と以下に示すジカルボン酸化合物(D)のうち1種または2種以上とを重縮合することにより得られ、その数平均分子量は500以上10000以下であることが望ましい。数平均分子量500以上10000以下のポリエステルを用いた場合、得られる低電気抵抗熱可塑性エラストマー組成物のゴム的性質に優れるとともに架橋ゴム(2)の分散性に優れる。
【0022】
2つ以上の官能基を有する脂肪族化合物(C)としては例えば、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ブテンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−ノナンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカメチレンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,4−ブタンジオール、メチルグリコキシド系ポリオール、ソルビトール系ポリオール、エチレンジアミン系ポリオールなどが挙げられる。ジカルボン酸化合物(D)としては例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸などが挙げられる。
【0023】
本発明において用いられる架橋ゴム(2)がポリウレタン系ゴムである場合には次に挙げる活性水素化合物の少なくとも1つの化合物とイソシアネート化合物の少なくとも1つの化合物を組み合わせたものが用いられる。
【0024】
そして架橋ゴム(2)とするためには以下に示すいずれかの方法あるいは2つ以上を併用したものが用いられる。
【0025】
▲1▼活性水素化合物、イソシアネート化合物の少なくとも一方が平均官能基数2を超えるものを用いて架橋する場合。
【0026】
▲2▼イソシアネート化合物を過剰に配合し、アロファネート架橋によって架橋する方法。
【0027】
▲3▼ポリアミン化合物を配合し尿素結合もしくはビュレット結合によって架橋する方法。
【0028】
▲4▼水酸基、アミン基以外の活性水素化合物を用いて架橋する方法。
【0029】
活性水素化合物としては例えば以下に示すようなものが挙げられる。
【0030】
a.分子量が500未満のジハイドロ化合物
例えば、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ブテンジオール、1,6ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−ノナンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカメチレンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,4−ブタンジオールなどである。
【0031】
b.分子量が500未満でありかつ1分子あたり3個以上の水酸基を有する化合物としては例えば、トリメチロールプロパン系ポリオール、グリセリン系ポリオール、メチルグルコキシド系ポリオール、ソルビトール系ポリオール、エチレンジアミン系ポリオールなどが挙げられこれらの1種または2種以上が用いられる。
【0032】
c.分子量が500以上10,000以下のポリオールとしては例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ひまし油ポリオールなどが挙げられる。
【0033】
d.モノアルコール
イソシアネート化合物としては以下のものが挙げられる。
【0034】
a.ポリオール変性イソシアネート
ポリオール変性イソシアネートとはポリオール末端をジイソシアネート化合物によりキャッピングしたものである。
【0035】
b.ポリイソシアネート化合物
ポリイソシアネート化合物としては例えば、上記の2官能性イソシアネート化合物(B)またはその3量体、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、4−イソシアネートメチル−1,8−オクタメチルジイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネートなどが挙げられる。
【0036】
c.ブロックドイソシアネート化合物
ブロックドイソシアネート化合物とは、ポリイソシアネート化合物をブロック剤でマスクして安定化したものであり、市販されている。
d.モノイソシアネート化合物
本発明において架橋ゴム(2)としてポリ尿素系ゴムを用いる場合には以下に示す方法によって架橋された材料を用いることができる。
【0037】
▲1▼アミノ基末端プレポリマーとポリイソシアネート化合物との尿素反応によって架橋する方法。
【0038】
ポリイソシアネート化合物は上記2官能ジイソシアネート化合物(B)及び/または上記b.に記載したポリイソシアネート化合物の1種または2種以上が用いられる。
【0039】
アミノ基末端プレポリマーは、ポリオールとして、例えばポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリカーボネートジオールまたはひまし油ジオールと上記ポリアミド化合物(A)を反応することによって得られる。
【0040】
▲2▼ポリオール変性イソシアネート化合物とポリアミン化合物との尿素反応及び/またはビュレット反応によって架橋する方法。
【0041】
ポリアミン化合物としては、上記ポリアミド化合物(A)の1種または2種以上が用いられる。尚、本方法において得られたゴムはポリエステルゴムと称されることがあり、またハイドロ化合物を併用する場合にはポリウレタンゴムと称されることがある。
【0042】
本発明において用いられる架橋ゴム(2)はハロゲン系ポリマー(1)100重量部に対して20重量部以上900重量部以下ブレンドされることが好ましい。20重量部以上900重量部以下でブレンドすることにより、本発明の低電気抵抗熱可塑性エラストマー組成物はよりゴム的な性質と加工性がより向上する。
【0043】
可塑剤(3)としては、一般にハロゲン系ポリマー(1)の可塑剤として用いられているものでよく、フタル酸エステル、リン酸エステル、アジピン酸エステル及びこれらの重縮合体などが挙げられる。より具体的にはフタル酸エステルとしてはフタル酸ジ−2−エチルヘキシル(以下DOPという)、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジブチルベンジル(以下BBPという)、イソフタル酸ジ−2−エチルヘキシルなど、リン酸エステルとしてはリン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブトキシエチルなど、アジピン酸エステルとしてはアジピン酸ジ−2−エチルヘキシル(以下DOAという)、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジブチルジグリコール、アジピン酸ジアルキレングリコール類などこのほかにアゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシルなどの脂肪族エステル系可塑剤、アジピン酸エステル重縮合体としてアジピン酸とネオペンチルグリコールの重縮合したポリエステル、アジピン酸とプロピレングリコールの重縮合したポリエステルなどに代表される高分子可塑剤が挙げられる。これらの1種または2種以上が使用できる。
【0044】
本発明で用いる可塑剤(3)の添加量は、ハロゲン系ポリマー(1)100重量部に対して10重量部以上200重量部以下が好ましく、さらに好ましくは25重量部以上170重量部以下である。10重量部以上200重量部以下では、可塑剤のブリードアウトが抑えられ、また、25重量部以上170重量部以下とすることにより一段と優れた成形加工性を示し、高温時においても可塑剤のブリードアウトを抑えることが可能となる。
【0045】
本発明で用いる導電性フィラー(4)としては、導電性カーボンに代表されるカーボン系フィラー、及び、金属粒子又は金属酸化物である。導電性カーボンとしては、カーボンブラックの製造方法によって分類され、チャンネルブラック、オイルファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラックなどに挙げられるもののなかで、カーボン自体の電気抵抗が低く、構造的に嵩高いストラクチャー性の強いものが選ばれる。導電性カーボンとしては、一般にストラクチャー性が強く、体積固有抵抗が低いものが市販されている。この導電性カーボンを用いる場合、ケッチェンブラックなどのオイルファーネスブラックのなかでも、導電性の最も高いものを用いると、少量の添加によって効果的に、電気抵抗を低下させることが可能である。一方、導電性の低いものを用いた場合、熱可塑性エラストマーの性質を大きく損なうおそれがある。
【0046】
金属粒子としては、例えば銅、銀、ニッケル及び黄銅などの合金類が挙げられ、一般に市販されている。
【0047】
金属酸化物としては酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化すず、酸化鉄及び酸化すずと酸化インジウムの複合体などが挙げられ、一般に市販されている。
【0048】
導電性フィラー(4)はその用途、必要特性によって使い分けられることが多く、例えば導電性カーボンはそれ自体の電気抵抗が1×10-1Ω・cm程度であることから、配合した場合、得られる材料の電気特性が、10-0Ω・cm〜109Ω・cm程度であり、導電性材料から静電防止用及び半導電材料として利用できる。一方、金属粒子などは更に電気抵抗が低く、10-2Ω・cm〜108Ω・cm程度を容易に発現することから、電磁波シールド用材料、導電性材料及び静電気防止用材料として利用できる。
【0049】
これらの導電性フィラー(4)を少量配合する場合、少なすぎると低電気抵抗化できない。これは導電性フィラーの濃度が希薄となるために電気伝達経路が確保されないためである。一方導電性フィラーを著しく大量に配合すると、電気抵抗は導電性フィラーの持つ電気抵抗を下限としてそれに近づくように低下させることが可能となるが、基材に対して均一な練り込みが困難となり、材料硬度を著しく上昇させるとともに脆化させてしまうために材料物性のバランスを損なう。こうしたことからハロゲン系ポリマー(1)、架橋ゴム(2)、可塑剤(3)の総量を100重量部とすると、導電性フィラー(4)の下限配合量は2wt%を越えて配合する必要があり、上限としては50wt%未満とすることで、5×10−1Ω・cm以上5×10Ω・cm以下の範囲の体積固有抵抗をもち導電領域から半導電領域を可能とする材料を得ることが可能となる。ここで5×10−1Ω・cm未満となるような多量な導電性フィラー(4)を配合した場合、著しい材料硬度の上昇、力学的性質に代表されるゴム的性質の低下及び成形加工性の低下などの問題が生じる。さらに5×10Ω・cmを越えて体積固有抵抗が大きくなるように導電性フィラーを稀薄に分散させた場合、半導電性部材としては十分とはいえない。
【0050】
本発明の熱可塑性エラストマーの製造方法は、特に制限はなく請求項に記載の体積固有抵抗を達成するのに好適な熱可塑性エラストマーを得ることができればいかなる方法でもよく、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を構成するハロゲン系ポリマー(1),架橋ゴム(2),可塑剤(3)を同時に混合したり、あるいは順次添加してもよいが、力学的性質を向上させるためにはハロゲン系ポリマー(1)の存在下において加熱溶融混合によって架橋ゴム(2)の構成原料である分子量が10000以下のポリマーが架橋反応することで架橋ゴム(2)を形成させる製造方法が望ましく、可塑剤(3)、導電性フィラー(4)並びにその他添加剤の添加時期については任意であり、反応前に配合、反応後に配合さらに得られたものに適宜配合してもよい。本発明の熱可塑性エラストマーは樹脂材料及びゴム材料の配合混練可能な装置であればどのような装置でも使用できる。このような装置としては例えば、押出し混練装置として単軸押出し機、2軸押出し機、コニーダー、バンバリーミキサーなどのインターナルミキサー、ロール加工機などが挙げられる。
【0051】
本発明の熱可塑性エラストマーは、必要に応じて各種添加剤を加えることが可能である。添加剤としては、ホワイトカーボン、炭酸カルシウム、タルク 、ハイドロタルサイト、マイカ、シリカ、硫酸バリウム、カオリンクレー、硫酸カルシウム、パイロフェライト、ベントナイト、セリサイト、ゼオライト、ネフェリンシナイト、ウォラストナイト、フェライト、珪酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、三酸化アンチモン、酸化亜鉛、ほう酸亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化鉄、二硫化モリブデン、ガラスファイバー、ガラスビーズ、ガラスバルーン、石英、石英ガラス、カーボンファイバーなどを添加することができる。
【0052】
また、無機顔料、有機顔料、離型剤、滑剤、アンチブロッキング剤、熱安定剤、耐候性安定剤、UV吸収剤、発泡剤、防錆剤、難燃助剤、加水分解抑制剤などを添加してもよい。さらに改質剤として架橋性ポリ塩化ビニル樹脂、軟質塩化ビニル樹脂、コアーシェル型ラテックスゴム、NBRゴム粒子、アクリル系樹脂、熱可塑性ポリウレタン、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリエチレン系ワックスなどを添加できる。
【0053】
また架橋ゴム(2)の構成原料である分子量が10000以下のポリマーの架橋反応を制御する目的で反応触媒、反応調節剤などを用いることも可能である。
【0054】
本発明で得られた熱可塑性エラストマーからなる電気・電子部品としては、例えば静電気防止用として床材、壁材、窓枠パッキン、すき間用シール材など、工業用あるいは事務機器用部品として複写機、fax及びプリンタなどのロール部品、半導電コネクタ、ガスケット及びパッキンなど、高導電部品としてセンサー、電極及び回路素子、アース部品など抵抗体部品としてカーペットなどで用いられる面状発熱体、電磁波シールド部品として電線シールド材料、コンピュータハウジングガスケット、車両電子機器用ハウジング部品がある。ただし本発明の熱可塑性エラストマー組成物からなる電気・電子部品はここで示す用途に限定されるものではない。
【0055】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0066】
実施例1
下記の配合からなる熱可塑性エラストマーを押出し成形機(東洋精機製、ラボプラストミル単軸押出し機)を用いて押出し成形を実施した。
【0067】
配合 重量部
エチレン−塩化ビニル共重合体 70
(東ソー(株)製、商品名リューロンE−2800)
ポリウレタングラフトポリ塩化ビニル共重合体 30
(東ソー(株)製、商品名ドミナスK−550F)
ポリエステル 100
(旭電化(株)製、商品名アデカサイザーPN−280)
ポリエステルポリオール 75
(日本ポリウレタン(株)製、商品名ニッポラン4010)
イソシアネート(武田薬品(株)製、商品名タケネートN−170H) 18
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 1
ジブチルスズジラウレート(反応触媒) 100ppm
以上のものを内容積1700cm のインターナルミキサーを用いて装置温度120℃、回転数40rpmにて15分間回転させ混練した。混練終了後、表面温度150℃に設計した8インチロール(関西ロール社製)を用いて上記配合量に対してカーボン(テグサ製、商品名ファーネスブラックPRINTEX L6)20wt%及びニッケルパウダー1wt%配合混練し、シート状のものを得た。
【0068】
成形加工条件はこのシートを用いて50トン圧縮成形機(シントー製)にて170℃加熱下で、1次加圧10kg/cm 、7分間予熱後、2次加圧70kg/cm 、5分間加熱成形しこれを30℃で冷却加圧70kg/cm 、10分間保持冷却固化後取りだした。成形品形状は厚さ2mm、縦150mm、横150mmの均一形状のシート成形品と圧縮永久歪測定用試料を作製し、それぞれJIS K6723(1983年,23℃)体積固有抵抗測定試験、JIS K6301(1975年、70℃,22時間,初期歪み25%)圧縮永久歪み測定に供した。体積固有抵抗測定試験は、環境影響を考慮して23℃での測定を行った。評価結果を表1に示す。得られたものの電気特性は低い体積固有抵抗を示した。また圧縮永久歪みも良好なものであった。成形加工性も問題なく、良好な外観のものを得ることができた。
【0069】
実施例2
下記の配合からなる熱可塑性エラストマーを押出し成形機(東洋精機製、ラボプラストミル単軸押出し機)を用いて押出し成形を実施した。
【0070】
配 合 重量部
エチレン−塩化ビニル共重合体 100
(東ソー(株)製、商品名リューロンE−2800)
DOA 50
ポリエステルポリオール 61
(日本ポリウレタン(株)製、商品名ニッポラン4010)
イソシアネート(武田薬品(株)製、商品名タケネートN−170H)16
ラテックスゴム(武田薬品(株)製、商品名スタフィロイド1413)20
ステアリン酸カルシウム(安定剤) 3
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 1.5
ハイドロタルサイト(安定剤) 1.5
上記の配合量に対してカーボン(デグサ社製、商品名PRINTEX 3)45wt%及び酸化すず1wt%を配合したもの。製造は実施例1と同様にして行った。
【0071】
成形加工は実施例1と同様に圧縮成形により試料を作製した。評価結果を表1に示す。得られたものの電気特性は良好であった。また圧縮永久歪みも良好であった。成形加工性も問題なく、良好な外観のものを得ることができた。
【0075】
比較例1
実施例2においてカーボン配合量を1wt%とし、酸化すずを除いた以外は、同様の操作を行った。得られた組成物の電気抵抗は高い体積固有抵抗を示した。
比較例2
実施例2においてカーボン配合量を50wt%配合した以外は同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。得られたものの電気特性は良好であったが、圧縮永久歪が大きいものであった。
【0076】
比較例3
下記の配合とした以外は実施例1と同様の操作を実施した。評価結果を表1に示す。得られたものの電気特性は良好な体積固有抵抗を示したが、圧縮永久歪みが大きいものであった。
配合 重量部
エチレン−塩化ビニル共重合体 100
(東ソー(株)製、商品名リューロンE−2800)
DOP(花王(株)製、商品名ビニサイザー) 100
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 1
【0077】
比較例4
実施例2においてポリエステルポリオール、イソシアネートを除いた以外は同様の操作を実施した。評価結果を表1に示す。得られたものの電気特性は良好であったが、圧縮永久歪みが大きいものであった。
【0078】
【表1】
Figure 0003687196
【0079】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は優れた低電気抵抗及び良好な圧縮永久歪み特性を示し、電気・電子部品として好適である。

Claims (3)

  1. 5×10−1Ω・cm以上5×10Ω・cm以下の体積固有抵抗を有することを特徴とする、ハロゲン系ポリマー(1)、ポリエステル系ゴム,ポリウレタン系ゴム,ポリ尿素系ゴムから選ばれる架橋ゴム(2)、可塑剤(3)及び導電性フィラー(4)からなり、該ハロゲン系ポリマー(1)がエチレン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニル単独重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、クロロスルフォン化ポリエチレン、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリウレタングラフトポリ塩化ビニル共重合体から選ばれた1種または2種以上のポリマー、該導電性フィラー(4)が導電性カーボン、及び、金属粒子又は金属酸化物であるとともに、ハロゲン系ポリマー(1)、架橋ゴム(2)、可塑剤(3)の総配合量に対して導電性フィラー(4)の配合量が2wt%を越え、50wt%未満である低電気抵抗熱可塑性エラストマー組成物。
  2. ハロゲン系ポリマー(1)がエチレン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニル単独重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、クロロスルフォン化ポリエチレン、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリウレタングラフトポリ塩化ビニル共重合体から選ばれた1種または2種以上のポリマーであり、可塑剤(3)がフタル酸エステル、リン酸エステル、アジピン酸エステル及びこれらの縮合体から選ばれた1種または2種以上であり、架橋ゴム(2)がハロゲン系ポリマー(1)の存在下で加熱溶融混合により架橋ゴム(2)の原料である分子量10000以下のポリマーが架橋反応によって生成したゴムであり、導電性フィラー(4)が導電性カーボン、及び、金属粒子又は金属酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の低電気抵抗熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の低電気抵抗熱可塑性エラストマー組成物からなる電気・電子部品。
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