JP3686364B2 - 電極材料およびその燃料電池への適用 - Google Patents

電極材料およびその燃料電池への適用 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池等の電極として好適に用いられる電極材料およびその製造方法に関する。また本発明は、この電極材料を用いた燃料電池用電極およびその製造方法、ならびにこの燃料電池用電極を備えた燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に燃料電池は、図5に模式的に示すように、燃料室11側に配置される負極(燃料極)12および酸化剤ガス室15側に配置される正極(空気極)14と、これら電極12,14の間に挟まれた電解質13とを備える。このような燃料電池10に用いられる電極12,14は、ガス拡散性(透過性)および導電性を有する導電性多孔質支持体(典型的にはカーボン多孔体)と触媒(典型的には白金または白金合金)とを備える。この触媒は貴金属等からなり一般に高価であるので、その利用効率を高めるために、電極のうち電解質側に集中して触媒を存在させることが好ましい。例えば、導電性多孔質支持体(カーボン多孔体等)の表面に触媒層を設けた構成の燃料電池用電極が知られている。従来、かかる触媒層としては、表面に触媒を担持させた導電性無機材料(カーボン粒子等)と、バインダ等の役割を果たす有機材料(典型的には、熱可塑性樹脂、イオン交換樹脂等の樹脂)とを含有するものが提案されている。この種の技術は、特開平10−92440号公報、特表2000−513484号公報、特開2001−85020号公報および特開2000−268828号公報等に開示されている。
【0003】
一方、燃料電池の一種として、プロトン伝導性の固体高分子電解質(典型的には膜形状)を用いた固体高分子電解質型燃料電池が知られている。国際公開第WO00/54351号公報には、メタノールおよび水に対して実質的に膨潤しない多孔性基材の細孔にプロトン伝導性ポリマー(固体高分子電解質)を充填してなる膜形状の固体高分子電解質が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
また、この国際公開第WO00/54351号公報には、図6に模式的に示すように、かかる電解質膜25(多孔性基材23の細孔にプロトン伝導性ポリマー24を充填してなる電解質膜)を多孔質支持体21表面の触媒層22上に形成してなる電解質膜付電極20、および当該電極20を備えた燃料電池が、好ましい態様の一例として一応開示されている。このような構成の燃料電池は、燃料としてのメタノールが電解質膜25を透過して正極側で直接酸化されることを抑制する性能(メタノール透過防止性)に優れる。したがって、かかる電解質膜25は燃料のメタノールを直接(すなわち、改質器を使わずに)使用するメタノール直接型固体高分子型燃料電池(Direct Methanol Polymer Fuel Cell)の構成要素(固体高分子電解質)として特に有用である。また、この公報の記載によると、種々のガラスまたはセラミックス形成用ゾルを電極上に塗布し、塗布されたゾルを乾燥(所望により加温)して薄膜状の多孔性基材(多孔性無機層)23を作製し、この多孔性無機層23の細孔にプロトン伝導性ポリマー24を充填することにより、多孔性無機基材を主体とする上記電解質膜25を形成することができるとされている。
【0005】
しかし、ゾルの塗布・乾燥により電極20上に多孔性無機層23を形成しようとする上述の方法(以下、「ゾル−ゲル法」ともいう。)は、多孔質支持体21上に当該無機層23を直接形成するにはよいとしても、多孔質支持体21の表面に上述したような有機材料と無機材料とを含む触媒層22(例えば、導電性無機材料と樹脂とを含有する触媒層)が設けられた図6に示すような構成の電極20に対しては適用が困難である。触媒層22の表面に多孔性無機層23をゾル−ゲル法によって形成すると、触媒層22自体に歪みや割れ等の変形が生じたり、多孔質支持体21から触媒層22が剥離したりする虞があるからである。
【0006】
本発明は、導電性多孔質支持体21の表面に上述したような有機材料と無機材料とを含む触媒層22が設けられた構成の電極20の上に、上述したような膜状固体高分子電解質をゾル−ゲル法を用いて形成することに関する上述した問題点を解決すべく創出されたものである。本発明の目的は、一般的なゾル−ゲル法によっても、上述の触媒層上に膜状固体高分子電解質を良好に形成する技術を提供することである。また、本発明の他の側面は、かかる電解質膜をゾル−ゲル法等によって容易に形成し得る触媒層を有する電極およびそのような電極を備えた燃料電池を提供することである。本発明のさらに他の側面は、そのような電極を構築するための電極材料を提供することである。
関連する他の目的は、多孔性無機層の細孔にプロトン伝導性ポリマーが充填された電解質層(膜状固体高分子電解質)と、導電性多孔質支持体の電解質層側表面に触媒層が設けられた燃料電池用電極と、を備えるメタノール直接型固体高分子型燃料電池を提供することである。また、かかる燃料電池の構成要素として好適な燃料電池用電極、および燃料電池用電極と電解質層との積層体を提供することである。さらに、かかる燃料電池、燃料電池用電極および積層体に好適に用いられる電極材料を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段、作用および効果】
本発明者は、特定性状の多孔質カーボン層によって触媒層を構成することにより、その層上にゾル−ゲル法によって膜状固体高分子電解質を良好に形成し得ることを見出して本発明を完成した。ここに開示される電極材料の好適な一態様は、導電性多孔質支持体と、該導電性多孔質支持体の表面に設けられた多孔質カーボン層とを備える。該多孔質カーボン層の平均細孔径は0.05〜0.2μmである。また、該多孔質カーボン層の好ましい気孔率は35〜45%である。そして、該多孔質カーボン層は実質的に炭素質である。すなわち、この多孔質カーボン層は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、イオン交換樹脂等の有機質樹脂(焼成等により炭化(炭素化)されたものを除く)を実質的に含有しない。
【0008】
また、ここに開示される電極材料の好適な一態様は、導電性多孔質支持体と、該導電性多孔質支持体の表面に設けられた多孔質カーボン層とを備える。該電極材料における多孔質カーボン層平均粒径0.2〜2μmのカーボン粒子と樹脂との混合物を焼成してなる。そして、該多孔質カーボン層は、該カーボン粒子と、該樹脂を炭化してなるカーボンとから実質的に構成されている。すなわち、この多孔質カーボン層は、炭化されていない樹脂を実質的に含有しない。
【0009】
かかる構成を有することにより、これらの電極材料に備えられた多孔質カーボン層は、樹脂(熱可塑性樹脂、イオン交換性樹脂等)を含有する従来の触媒層等に比べて強度に優れる。このため、この多孔質カーボン層上にゾル−ゲル法により上記電解質膜に備えられるような多孔性無機層を形成しても、多孔質カーボン層の変形や導電性多孔質支持体からの剥離等を抑制し得る。
【0010】
ここに開示される電極材料のうち好ましいものでは、前記多孔質カーボン層の平均細孔径が前記導電性多孔質支持体の平均細孔径よりも小さい。かかる構成の電極材料は、導電性多孔質支持体の部分では良好なガス拡散性(透過性)を示し、多孔質カーボン層の部分ではこの多孔質カーボン層の表面(細孔表面を含む)とガス等とを十分に接触させることができる。例えば、この電極材料の多孔質カーボン層に触媒を担持させることにより当該カーボン層を触媒層とした燃料電池用電極を用いる場合、担持された触媒とガス等とを効率よく接触させて反応させることができる。したがって、このような電極材料を用いた燃料電池用電極は、導電性多孔質支持体の構造に基づく良好なガス拡散性と、多孔質カーボン層の構造に基づく高い触媒効率とを高度なレベルで両立させ得る。
【0011】
本発明によると、上述したいずれかの電極材料の多孔質カーボン層に触媒が担持された燃料電池用電極が提供される。すなわち、本発明の燃料電池用電極は、導電性多孔質支持体と該支持体の表面に設けられた触媒層とを備える。その触媒層は、実質的に炭素質の多孔質カーボン層と該多孔質カーボン層に担持された触媒とを備える。本発明の燃料電池用電極では、電極の表面層(電解質に面する層)を構成する多孔質カーボン層に触媒を偏在させ得る。したがって、かかる燃料電池用電極を用いることにより触媒利用効率の高い燃料電池を構成し得る。本発明の燃料電池用電極の触媒層(多孔質カーボン層は、上記電解質膜に備えられるような多孔性無機層をゾル−ゲル法によって形成することに対して十分な強度を有する(多孔性無機層形成による変形や剥離を起こしにくい)。したがって、本発明の燃料電池用電極の触媒層上には、ゾル−ゲル法等を用いて多孔性無機層(シリカ、ジルコニア等の無機材料からなる層)を容易に形成することができる。
【0012】
また、本発明によると、かかる燃料電池用電極を備えた燃料電池が提供される。このような燃料電池は、電極の表面に位置する多孔質カーボン層に触媒を偏在させ得ることから触媒利用効率の高いものとなり得る。さらに、本発明の燃料電池用電極およびこの燃料電池用電極を備える燃料電池は、上述のように、高強度の触媒層(多孔質カーボン層を備えた電極材料を用いて構成されているので信頼性(耐久性)に優れる。
【0013】
本発明により提供される電極材料製造方法は、導電性多孔質支持体と、該導電性多孔質支持体の表面に設けられた多孔質カーボン層とを備える電極材料の製造方法である。この製造方法の好適な一態様は、該導電性多孔質支持体に平均粒径0.2〜2μmのカーボン粒子と樹脂との混合物を塗布する工程と、該混合物を焼成して該カーボン粒子と該樹脂を炭化してなるカーボンとから実質的に構成される多孔質カーボン層を形成する工程とを包含する。かかる電極材料製造方法により製造することのできる電極材料の典型例は上述のような電極材料である。
【0014】
また、本発明により提供される燃料電池用電極製造方法は、導電性多孔質支持体と、該導電性多孔質支持体の表面に設けられた触媒層とを備える燃料電池用電極の製造方法である。該触媒層は、多孔質カーボン層と該多孔質カーボン層に担持された触媒とを備える。そしてこの製造方法の好適な一態様は、該導電性多孔質支持体に平均粒径0.2〜2μmのカーボン粒子と樹脂との混合物を塗布する工程と、該混合物を焼成して該カーボン粒子と該樹脂を炭化してなるカーボンとから実質的に構成される多孔質カーボン層を形成する工程と、その形成された多孔質カーボン層に前記触媒を担持させる工程とを包含する。かかる燃料電池用電極製造方法により製造することのできる燃料電池用電極の典型例は本発明の燃料電池用電極である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明の電極は、導電性多孔質支持体の一方または両方の表面に設けられた多孔質カーボン層を備える。この電極の典型的な構成では、多孔質カーボン層が導電性多孔質支持体の一方の表面のみに設けられている。
【0016】
本発明の電極を構成する「導電性多孔質支持体」は、導電性およびガス拡散性を有する基材である。この導電性多孔質支持体は、他の電池構成材料(電解液、電解質、電池反応の燃料および生成物等)による腐蝕を受けにくい材料から構成されることが好ましい。また、この電極を用いてなる電池(典型的には燃料電池)は、その反応効率を高める等の目的から高温で使用されることが多い。このため、導電性多孔質支持体の構成材料としては耐熱性の高いものが好ましい。
これらの要件を満たす導電性多孔質支持体として、導電性カーボン多孔体が好ましく用いられる。かかる導電性カーボン多孔体としては、カーボン繊維からなる織布または不織布、カーボン繊維とバインダとの混合物を焼成してなる多孔体、カーボン粒子とバインダとの混合物を焼成してなる多孔体、自己焼結性カーボン粒子を焼成してなる多孔体等を用いることができる。
【0017】
導電性多孔質支持体の平均細孔径は0.2〜2.0μmであることが好ましく、より好ましくは0.3〜1.0μm、さらに好ましくは0.3〜0.6μmである。平均細孔径が0.2μmよりも小さすぎるとガス透過性が低くなる。一方、平均細孔径が2.0μmよりも大きすぎると、導電性多孔質支持体の表面に多孔質カーボン層を形成しにくくなったり、この多孔質カーボン層の強度が低下したりする場合がある。なお、この導電性多孔質支持体の平均細孔径は、後述する多孔質カーボン層の平均細孔径よりも若干大きいことが好ましい。
導電性多孔質支持体の気孔率は20〜80%であることが好ましく、より好ましくは25〜45%である。導電性多孔質支持体の気孔率が20%よりも低すぎるとガス透過性が低下しやすく、80%よりも高すぎると導電性多孔質支持体の機械的強度が低下する場合がある。
【0018】
本発明において特に好ましく用いられる導電性多孔質支持体は、自己焼結性カーボン粒子を焼成してなる導電性カーボン多孔体である。この自己焼結性カーボン粒子の典型例としては、重質油等を加熱処理して得られるメソフェーズ小球体(メソカーボンマイクロビーズ)が挙げられる。このような自己焼結性カーボン粒子は、熱可塑性樹脂等のバインダを使用することなく、単独で成型して焼成することによって高強度の焼成品とすることができる。
【0019】
自己焼結性カーボン粒子から導電性カーボン多孔体を製造するには、例えば以下の方法によればよい。すなわち、自己焼結性カーボン粒子を所定の成型圧で加圧成型した後、除圧し、次いでこの加圧成形品を焼成することにより導電性カーボン多孔体を製造する方法である。ここで、加圧成形品の焼成は、非酸化性雰囲気(典型的には窒素雰囲気)中において600〜1500℃の焼成温度(より好ましくは800〜1200℃)で行うことが好ましい。
かかる製造方法において、平均細孔径0.3〜0.6μmの導電性カーボン多孔体を得るための好ましい成型圧は5.9〜31.4MPa(60〜320kg/cm2)である。また、気孔率30〜45%の導電性カーボン多孔体を得るために好ましい成型圧は5.9〜31.4MPa(60〜320kg/cm2)である。この範囲では、自己焼結性カーボン粒子の成型圧が高くなるにつれて、得られる導電性カーボン多孔体の平均細孔径は小さくなり、その気孔率は低くなる傾向にある。したがって、適当な成型圧を選択することにより、導電性カーボン多孔体の平均細孔径および/または気孔率を調整することができる。なお、ここで使用する自己焼結性カーボン粒子(典型的にはメソカーボンマイクロビーズ)としては平均粒径2〜20μmのものが好ましく、より好ましくは3〜10μmである。
【0020】
本発明の電極における「多孔質カーボン層」の好ましい平均細孔径は0.05〜0.2μmであり、より好ましくは0.07〜0.15μmである。平均細孔径が0.05μmよりも小さすぎると多孔質カーボン層のガス透過性が低くなりやすい。一方、平均細孔径が0.2μmよりも大きすぎると、この多孔質カーボン層の体積当たりの表面積(細孔表面を含む)が小さくなる。したがって、多孔質カーボン層の表面とガスとの接触面積が少なくなり、触媒反応の効率(ひいては電極反応の効率)が低くなりやすい。また、多孔質カーボン層の形成後に触媒を担持させる場合、平均細孔径が大きすぎると触媒が多孔質カーボン層の深部にまで浸透して担持され、この深部に担持された触媒を有効に利用できないことから触媒の利用効率が低下する(所望の触媒効率を得るために要する触媒量が増す)ことがある。さらに、この多孔質カーボン層上にゾルを塗布して多孔性無機層を形成する場合、多孔質カーボン層の平均細孔径が大きすぎると、塗布されたゾルが多孔質カーボン層内に浸透しすぎることから無機層の形成が困難となったり、細孔内に過剰に進入(浸透)して形成された無機層により多孔質カーボン層のガス透過性が低下したりしやすい。
【0021】
平均細孔径が上記好ましい範囲にある多孔質カーボン層を備える電極材料は、電極反応の効率が良好な燃料電池用電極となり得る。また、触媒の利用効率の良い燃料電池用電極となり得る。この電極材料の多孔質カーボン層上には、ゾルを塗布する工程を含む方法(典型的にはゾル−ゲル法)によって、上述の固体高分子電解質膜を構成するような無機層を容易に形成することができる。
【0022】
この多孔質カーボン層の気孔率は25〜50%であり得るが特に好ましくは30〜45%である。多孔質カーボン層の気孔率が25%よりも低すぎると多孔質カーボン層のガス透過性が低くなりやすい。また、多孔質カーボン層の体積当たりの表面積が少なくなり、この多孔質カーボン層に触媒が担持された燃料電池用電極等において触媒反応(電極反応)等の効率が低くなりやすい。一方、多孔質カーボン層の気孔率が50%よりも高すぎると、この多孔質カーボン層の機械的強度が低くなりすぎる場合がある。
【0023】
なお、多孔質カーボン層および導電性多孔質支持体の平均細孔径は、水銀圧入法、バブルポイント法、電子顕微鏡による観察結果から算出する方法等の、従来公知の各種方法により測定することができる。典型的には水銀圧入法が用いられる。また、気孔率も従来公知の方法により測定することができ、典型的には水銀圧入法が用いられる。水銀圧入法による平均細孔径および/または気孔率の測定は、例えば、株式会社島津製作所製の細孔分布測定装置である商標「ポアサイザー」等を用いて行うことができる。なお、本明細書において開示される好ましい平均細孔径および気孔率に関する数値範囲は水銀圧入法をベースとするものであり、他の測定方法においてこれら数値範囲が変動し得ることは当業者には理解される。
【0024】
前記多孔質カーボン層としては、平均粒径0.2〜2μm(より好ましくは0.5〜1.5μm)のカーボン粒子と樹脂(好ましくは熱硬化性樹脂)との混合物を焼成してなるものが好ましい。この多孔質カーボン層は、該カーボン粒子と、該樹脂を炭化してなるカーボンとから実質的に構成されている。すなわち、この多孔質カーボン層は実質的に炭素質であって、炭化(炭素化)されていない樹脂を実質的に含有しない。これにより、本発明の多孔質カーボン層は、有機材料(熱可塑性樹脂等)を含有する組成の多孔質カーボン層に比べて強度が良好である。また、樹脂を含有する組成の多孔質カーボン層に比べて高い導電性を示し得る。
【0025】
かかる多孔質カーボン層の好ましい平均細孔径は0.05〜0.2μm(より好ましくは0.07〜0.15μm)であり、好ましい気孔率は30〜45%である。カーボン粒子の平均粒径が0.2μmよりも小さすぎると、得られる多孔質カーボン層の平均細孔径が小さくなりすぎてガス透過性等が低下する場合がある。カーボン粒子の平均粒径が2μmよりも大きすぎると、得られる多孔質カーボン層の平均細孔径が大きくなりすぎて、この多孔質カーボン層に担持された触媒の反応効率や利用効率が低下する場合がある。また、この多孔質カーボン層上にゾル−ゲル法によって上述の固体高分子電解質膜を構成するような無機層を形成することが困難となる場合がある。平均粒径が上記好ましい範囲(平均粒径0.2〜2μm、より好ましくは0.5〜1.5μm)にあるカーボン粒子と樹脂との混合物を焼成してなる多孔質カーボン層は、上記好ましい平均細孔径および気孔率の少なくとも一方(好ましくは両方)を満たすものとなり得る。
【0026】
なお、特開2001−126744号公報、特開平10−334927号公報および特開平8−222241号公報には、カーボン粒子と熱硬化性樹脂との混合物を成型してなる燃料電池用セパレータ、このような混合物を焼成して得られた炭素質の平板を加工して燃料電池用セパレータを製造すること、このような混合物を焼成して得られた黒鉛材料にさらに熱硬化性樹脂を含浸させて硬化させた燃料電池用黒鉛部材(セパレータ等)が開示されている。かかる燃料電池用セパレータには高度のガス不透過性が要求される。すなわち、本発明の電極(ガス拡散性が要求される)とこれら公報に記載のセパレータとは技術分野および技術的思想が明らかに異なる。
【0027】
本発明の電極材料製造方法は、カーボン粒子と合成樹脂との混合物を導電性多孔質支持体に塗布する工程を包含する。
前記混合物を構成するカーボン粒子としては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラックおよび活性炭から選択される一種または二種以上が好ましく使用される。特に限定するものではないが、多孔質カーボン層の形成に用いられるカーボン粒子の好ましい平均粒径は0.2〜2μmであり、より好ましくは0.5〜1.5μmである。なお、カーボン粒子が複数の一次粒子から構成される二次粒子である場合には、この二次粒子の平均粒径を該カーボン粒子の平均粒径とする。このようなカーボン粒子における一次粒子の平均粒径は例えば5〜100nm(典型的には30〜80nm)程度である。
【0028】
前記混合物を構成する樹脂としては熱硬化性樹脂が好ましい。ここで「熱硬化性樹脂」とは、硬化した樹脂のみならず、樹脂の未硬化物(モノマー等)、部分硬化物(オリゴマー、プレポリマー、前駆的重合体(ポリイミド樹脂におけるポリアミック酸等)等)およびこれらの混合物等を含む意味である。例えば、フェノール樹脂(レゾール樹脂、ノボラック樹脂およびこれらの混合物等のいずれでもよい)、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂等から選択される一種または二種以上の熱硬化性樹脂を用いることができる。これらのうち、残炭率の高い熱硬化性樹脂が好ましい。ここで「残炭率」とは、焼成前の樹脂の重量に対し、焼成後にも残存して(すなわち、焼成時に気化・飛散等により散逸することなく)多孔質カーボン層を構成するカーボンの重量割合をいう。残炭率の高い熱硬化性樹脂としてはフェノール樹脂およびポリイミド樹脂が例示される。
なお、樹脂としては熱硬化性樹脂以外の樹脂(例えば熱可塑性樹脂)を使用することもできる。また、熱硬化性樹脂と他の樹脂とを併用してもよい。
【0029】
これらカーボン粒子と樹脂との混合物は、典型的には液状組成物の形態で導電性多孔質支持体に塗布される。例えば、有機溶媒または水系溶媒に樹脂を溶解させるとともにカーボン粒子を分散させた液状組成物、有機溶媒または水系溶媒に樹脂およびカーボン粒子を分散させた液状組成物、液状樹脂(例えば、熱硬化性樹脂の未硬化物または部分硬化物)にカーボン粒子を分散させた液状組成物等を調整し、かかる液状組成物を導電性カーボン多孔体に塗布すればよい。液状組成物の塗布にあたっては、ディップコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング、ドクターブレード塗布、ローラ塗布、刷毛塗り、転写塗布等の一般的な塗布方法を採用することができる。
液状組成物に含有される溶媒としては水系溶媒が好ましい。ここで「水系溶媒」とは、水または水を主体とする混合溶媒を指す。この混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶媒(低級アルコール等)が用いられる。本発明において用いられる液状組成物の好適例は、熱硬化性樹脂とカーボン粒子とを水系溶媒(典型的には水)に分散させたスラリーである。なお、この液状組成物は、本発明の目的を著しく損なわない限りにおいて、従来公知の各種添加剤(分散剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤等)を含有することができる。
【0030】
本発明の電極材料製造方法では、この塗布された混合物を焼成して多孔質カーボン層を形成する。この焼成時に、混合物中の樹脂その他の有機化合物を炭化(炭素化)させることにより、カーボン粒子と、樹脂を炭化してなるカーボンとから実質的に構成される多孔質カーボン層が得られる。
混合物の焼成は非酸化性雰囲気(典型的には窒素雰囲気)で行われる。このとき、塗布された混合物が溶媒を含む場合には、乾燥等により混合物から溶媒の一部または実質的に全部を除去し、かかる後に焼成を行うことが好ましい。また、樹脂が未硬化物または部分硬化物を含有する熱硬化性樹脂である場合には、この熱硬化性樹脂を硬化させた後に焼成してもよく、そのまま焼成してもよい。残炭率を高めるという観点からは、熱硬化性樹脂を十分に硬化させた後に焼成することが好ましい。あるいは、あらかじめ十分に硬化された熱硬化性樹脂を含む混合物(例えば、熱硬化性樹脂の硬化物が粉末状、微粒子状等として分散されている液状組成物)を塗布することが好ましい。
【0031】
混合物の焼成温度は、この混合物に含まれる樹脂等を炭化することのできる温度であれば特に限定されない。前記「樹脂を炭化することのできる温度」は、例えばこの樹脂の熱挙動を分析することにより(典型的には、TG−DTA曲線を分析することにより)予測することができる。焼成温度が低すぎると、混合物の炭化が十分に進行しなかったり、この炭化に時間がかかって電極材料の製造効率が低下したりする場合がある。一方、焼成温度を過剰に高くすることはエネルギーコストを増大させるので好ましくない。また、焼成温度が高すぎると焼成後に得られる多孔質カーボン層の気孔率が低下しやすくなる。樹脂が熱硬化性樹脂(レゾール樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等)である場合、混合物の好ましい焼成温度は500〜1200℃であり、より好ましくは600〜1000℃である。なお、混合物の焼成時間は特に限定されず、例えば0.5〜4時間程度とすることができる。
【0032】
混合物に含有されるカーボン粒子と樹脂(典型的には熱硬化性樹脂)との好ましい重量比は、カーボン粒子の重量を1として樹脂の重量が0.1〜5(より好ましくは0.2〜2、特に好ましくは0.3〜1μm)となる範囲である。カーボン粒子に対して樹脂の割合が少なすぎると多孔質カーボン層の強度が低くなりやすい。一方、カーボン粒子に対して樹脂の割合が多すぎると、多孔質カーボン層の気孔率が低下したり、多孔質カーボン層の平均細孔径が小さくなりすぎてガス透過性が低下したりする場合がある。
【0033】
本発明の燃料電池用電極は、上述したいずれかの電極材料における多孔質カーボン層に触媒が担持された構成を有する。ここで「触媒」としては、燃料電池(特に固体高分子型燃料電池)の分野において用いられる従来公知の触媒等を使用することができる。使用可能な触媒の例としては、貴金属(好ましくは白金族金属)、貴金属と他の貴金属との合金、これらと遷移金属(銅、クロム、ルテニウム、コバルト等)との合金等からなるものが挙げられる。これらのうち、白金または白金を主体とする合金(例えば、白金と他の貴金属との合金)からなる触媒が好ましく用いられる。かかる触媒は、典型的には微粒子(例えば平均粒子径1〜20nmの微粒子)の状態で多孔質カーボン層に担持されている。
触媒の担持された多孔質カーボン層(触媒担持カーボン層)の主要な形成方法は、(1).あらかじめ形成された多孔質カーボン層に触媒を担持させる方法と、(2).触媒の担持されたカーボン粒子を用いて多孔質カーボン膜を形成する方法とに大別することができる。
【0034】
前記(1).の方法は、例えば次のようにして実施することができる。すなわち、触媒となる金属元素を含む化合物(以下、「触媒源」ともいう。)を含有する溶液を調整し、この溶液を多孔質カーボン層に浸透させる。浸透した溶液から、加熱やpH調整等により触媒源またはその反応生成物(加水分解物等)を多孔質カーボン層の表面(細孔表面を含む)に析出させる。その後、この析出物を還元する。このことによって触媒の担持された多孔質カーボン層(すなわち触媒層)が得られる。前記触媒源としては、当該金属の塩(硝酸塩等)、ハロゲン化物、アルコキシド、錯体等から適当なものを選択すればよい。例えば、触媒が白金である場合には、触媒源としてヘキサヒドロキソ白金(IV)酸、ヘキサクロロ白金(IV)酸、硝酸白金等を用いることができる。
【0035】
また、前記(2).の方法は、例えば次のようにして実施することができる。すなわち、触媒源を含む溶液にカーボン粒子を懸濁させ、この溶液の加熱やpH調整等によりカーボン粒子上に触媒源またはその反応生成物を析出させ、その後この析出物を還元する。このことによって触媒の担持されたカーボン粒子を得る。このカーボン粒子を用いて多孔質カーボン層を形成する(例えば、このカーボン粒子と熱硬化性樹脂との混合物を導電性多孔質支持体に塗布して焼成する)ことにより、触媒の担持された多孔質カーボン層(すなわち触媒層)が得られる。触媒源としては、前記(1).の方法の説明において例示したものと同様のもの等を用いることができる。
特に限定するものではないが、本発明の燃料電池用電極は、前記(1).の方法により形成された触媒担持カーボン層(触媒層)を備えることがより好ましい。
【0036】
この燃料電池用電極における多孔質カーボン層(触媒層)の厚さは、例えば5〜50μmとすることができ、好ましくは10〜20μmである。また、導電性多孔質支持体の厚さは、例えば5〜50μmとすることができ、好ましくは10〜35μmである。そして、多孔質カーボン層への触媒の担持量は、この多孔質カーボン層の表面積(細孔表面を含む)あたり、例えば0.01〜2mg/cm2とすることができる。
【0037】
本発明の燃料電池用電極は、例えば、正極および負極とこれら電極の間に挟まれた電解質とを備える構成の燃料電池(図5参照:典型的には固体電解質燃料電池)において、図6に示すように、その少なくとも一方の電極20として好ましく用いられる。その際、燃料電池用電極の多孔質カーボン層22側が電解質25側となるように電池を構築する。
【0038】
本発明の燃料電池は、図5に模式的に示すような構成をとり得る。その好ましい一態様は、多孔性無機基材の細孔にプロトン伝導性ポリマーが充填された構造の電解質層(典型的には図6に符号25で示すような膜状電解質:以下、「無機基材電解質層」ともいう。)を備え、該電解質層が本発明の燃料電池用電極(正極および負極の少なくとも一方)の表面に形成された構成の固体高分子型燃料電池である。ここで「プロトン伝導性ポリマー」としては、イオン交換基(−SO3H基等)を有するモノマーの単独重合体または共重合体、イオン交換基を有するモノマーと該モノマーと共重合可能な他のモノマーとの共重合体等の、従来公知の材料を用いることができる。イオン交換基を有するモノマーの典型例としては、アクリルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウム、パラトルエンスルホン酸ナトリウムおよびアクリル酸が挙げられる。また、「多孔性無機基材」の好ましい組成としては、シリカ、アルミナ、チアニア、ジルコニア、およびこれらの混合体や複合体が挙げられる。
【0039】
かかる無機基材電解質層は、プロトン伝導性ポリマーが多孔性無機層(無機基材)によって支持されていることから耐熱性に優れる。したがって、このような電解質層を備える燃料電池は比較的高温で使用することができ、これにより電極反応の効率が高い燃料電池となり得る。このような無機基材電解質層のうち、プロトン伝導性ポリマーを構成する重合体の一部(例えば一端)が多孔性無機基材の表面(細孔表面を含む)と化学的に結合されているものは、特に耐熱性の高い電解質層となり得るので好ましい。
また、かかる無機基材電解質層は、メタノールにより実質的に膨潤しない多孔性無機基材を備えることからメタノール透過防止性能に優れる。したがってメタノールを燃料とする固体高分子型燃料電池(特にメタノール直接型固体高分子型燃料電池)の構成要素として好適である。すなわち、無機基材電解質層を備える燃料電池は、メタノール直接型固体高分子型燃料電池等として好適である。そして、本発明の電極材料および燃料電池用電極は、このようなメタノール直接型固体高分子型燃料電池等に用いられる電極材料および燃料電池用電極として特に好適である。
【0040】
このような無機基材電解質層を備える燃料電池は、導電性多孔質支持体の表面に触媒層が形成された燃料電池用電極を準備する工程と、該触媒層上にゾル−ゲル法により多孔性無機基材の層を形成する工程と、この多孔性無機基材からなる層の細孔にプロトン伝導性ポリマーを充填する工程と、を包含する方法により好適に製造される。
ここで、多孔性無機基材の層は、例えば以下のようにして実施されるゾル−ゲル法により形成することができる。すなわち、種々の金属(アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム等)アルコキシドおよびシリコンアルコキシドから選択される一種または二種以上を含むゾルを調整し、このゾルを触媒層上に塗布する。塗布方法としては、ディップコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング、ドクターブレード塗布、ローラ塗布、刷毛塗り、転写塗布等の一般的な塗布方法を採用することができる。その後、塗布されたゾルを乾燥(所望により加温)させることにより多孔性無機基材からなる層が触媒層上に形成される。
【0041】
また、かかる層状多孔性無機基材の細孔にプロトン伝導性ポリマーを充填する方法としては、このプロトン伝導性ポリマーの共重合組成にほぼ対応した組成のモノマーを細孔内で重合させる方法が好ましい。例えば、層状多孔性無機基材に活性エネルギー線(プラズマ、紫外線、電子線、ガンマ線等)を照射し、該多孔性無機基材を励起させて反応開始点を生成させる。この反応開始点にモノマーを接触させることにより、該層状多孔性無機基材の表面(細孔表面を含む)にグラフトされた重合体が生成する。例えば、モノマーを含む水溶液に反応開始点の生成している層状多孔性無機基材を浸漬することによって、反応開始点にモノマーを容易に接触させることができる。
かかる多孔性無機層形成方法およびプロトン伝導性ポリマー充填方法を適用することにより、図6に示すような、無機基材電解質層(電解質膜)25と電極20(正極または負極)の触媒層22および多孔質支持体21が直列した積層体が得られる。本発明の燃料電池は、このような積層体を用いて好適に構築される。
【0042】
【実施例】
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
【0043】
<実施例1>
(1)導電性多孔質支持体の作製
自己焼結性カーボン粒子(大阪ガスケミカル株式会社製のメソカーボンマイクロビーズ、商標「MCMB3G」、平均粒径5μm)を加圧成型し、これを焼成して導電性多孔質支持体(導電性カーボン多孔体)を作製した。バブルポイント法による測定結果(西華産業株式会社から入手可能な細孔径分布測定器、商標「パームポロメーター」(PPM)を使用した。)によれば、このカーボン多孔体の平均細孔径は0.79μm、最大細孔径は1.1μm、気孔率は35%であった。
【0044】
(2)カーボン粒子および樹脂を含む液状組成物の調整
表1に示す分量にしたがってカーボン粒子、熱硬化性樹脂、分散剤および水を混合することにより、実験No.1〜9の水系スラリーを調整した。なお、混合は、これらの材料をφ3mmのアルミナ製玉石30gとともに250mlポリ容器中で18時間混合することによって行った。
なお、表1中の略号は下記の材料を示している。
[カーボン粒子]
カーボンブラック:東海カーボン株式会社製のカーボンブラック、商標「Seast S」、一次平均粒径60nm、二次平均粒径 数百nm。
MCMB:大阪ガスケミカル株式会社製の自己焼結性メソカーボンマイクロビーズ(自己焼結性)、商標「MCMB3G」、平均粒径5μm。
[熱硬化性樹脂]
レゾール樹脂:住友ベークライト株式会社製のレゾール樹脂(水系分散液)、商標「PR50781」。
[分散剤]
分散剤:花王株式会社製の界面活性剤、商標「エマルゲンA60」。
【0045】
【表1】
Figure 0003686364
【0046】
(3)液状組成物の塗布および焼成
得られた各スラリーに、(1)で作製したカーボン多孔体の片面を一秒間浸すことにより(ディップコート法)、これらのスラリーをカーボン多孔体に塗布した。塗布されたスラリーを大気中において室温にて30分間乾燥させた後、窒素雰囲気の炉内において、以下の焼成スケジュールに基づいて焼成した。すなわち、まず100℃まで加熱後、1℃/分の昇温速度で950℃まで昇温し、この温度(950℃)を2時間保持した。これにより、導電性多孔質支持体の表面にカーボン層の形成された電極材料を得た。なお、TG−DTA測定の結果によれば、ここで用いたレゾール樹脂(熱硬化性樹脂)の炭化が起こると推察される温度域は700〜950℃であった。したがって、上記焼成スケジュールに基づいて、700〜950℃の範囲で最高焼成温度を適宜選択し得る。
【0047】
また、比較のために、熱硬化性樹脂を含有するがカーボン粒子を含まない各種液状組成物を以下のように焼成してカーボン層を作製した(実験No.10〜12)。なお、これらの液状組成物は、導電性多孔質支持体上には塗布せず単独で焼成した。
実験No.10:レゾール樹脂の水系分散液(住友ベークライト株式会社製、商標「PR50781」)をオーブン中にて80℃で24時間乾燥させた後、前記と同様の条件で焼成した。
実験No.11:ポリイミド樹脂のn−メチルピロリドン溶液(新日本理化株式会社製、商標「SN−20」)を実験No.10と同様に乾燥させた後、前記と同様の条件で焼成した。
実験No.12:フルフリルアルコール(関東化学株式会社製)を加熱硬化させ、この硬化物を前記と同様の条件で焼成した。
【0048】
(4)評価
得られた各カーボン層につき、その平均細孔径および気孔率を水銀圧入法により測定した。この測定には株式会社島津製作所製の細孔分布測定装置である商標「ポアサイザー」を用いた。また、得られた電極材料(カーボン層+支持体層)全体についての平均細孔径をバブルポイント法により測定した。この測定には上述の細孔径分布測定器である商標「パームポロメータ」(PPM)を用いた。測定結果を表2に示す。
【0049】
【表2】
Figure 0003686364
【0050】
表2から判るように、二次平均粒径が数百μmであるカーボン粒子(カーボンブラック)10gに対してレゾール樹脂3〜10gを含有するスラリーから得られたカーボン層(実験No.1〜6)は、0.1μm前後(0.08〜0.11μm)の平均細孔径を有していた。このような平均細孔径を有するカーボン層は、その上にゾル−ゲル法により多孔質無機基材からなる層(すなわち、上述のような固体高分子電解質層)を形成する用途に適する。これらのうち、カーボンブラック10gに対してレゾール樹脂3〜5gを含有するスラリーから得られたカーボン層(実験No.1〜4)は、気孔率が30〜45%と高かった。なお、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察結果によれば、実験No.1〜8により得られたカーボン層の厚さはいずれも約10μmであった。また、PPMの測定結果によれば、これら電極材料はいずれも良好なガス透過能を有していた。
実験No.4により作製された電極材料の表面付近のSEM写真を図1に示す。図1(a)に示す断面写真から判るように、下方に見えるカーボン多孔体(導電性多孔質支持体)の表面に10μm程度の厚さのカーボン層が形成されている。図1(a)およびその表面写真である図1(b)から判るように、このカーボン層の平均細孔径はカーボン多孔体よりも明らかに小さい。また、カーボン層を形成する粒子はカーボン多孔体を形成する粒子よりも明らかに小さい。そして、図1(b)から判るように、カーボン層の表面状態は滑らかである。
【0051】
一方、平均粒径が5μmと大きいカーボン粒子(自己焼結性カーボン粒子;MCMB)を用いて得られたカーボン層(実験No.9)は、平均細孔径が0.3μm以上であり、ゾル−ゲル法による多孔質無機層の形成には適さないものであった。なお、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察結果(図示せず)によれば、この実験No.9により形成されたカーボン層の膜厚は100μm程度であり、実験No.1〜8に比べてカーボン層の厚さが大きかった。また、このカーボン層にはクラックが生じており、一部はカーボン多孔体から剥離していた。
なお、図2に示すSEM写真は、比較例として、熱硬化性樹脂の配合量を12gとした点以外は実験No.9と同じ手順で作製した電極材料の表面付近を示すものである。図示されるように、カーボン層(膜)の形成は認められず、カーボン多孔体の表面は剥離状態であった。
また、熱硬化性樹脂(カーボン粒子を含有しない)を焼成して得られたカーボン層(実験No.10〜12)は、いずれも平均細孔径の小さいおよび/または気孔率の低いものであった。
【0052】
<実施例2>
実験No.1,3,5および6のスラリー(カーボン粒子10gに対する樹脂配合量3〜10g)を用いて、カーボン層の平均細孔径および気孔率とその焼成温度との関係につき検討を行った。すなわち、これらのスラリーを実施例1と同様にしてカーボン多孔体に塗布し、塗布されたスラリーを乾燥させた後、上記焼成スケジュールに基づいて表3に示す各最高焼成温度で2時間焼成してカーボン層を形成した。得られたカーボン層につき実施例1と同様にして平均細孔径および気孔率を測定した。その結果を表3に示す。また、表3に示す数値をグラフ化したものを、平均細孔径については図3に、気孔率については図4に示す。
【0053】
【表3】
Figure 0003686364
【0054】
表3および図3から判るように、この範囲の組成および焼成温度ではいずれも平均細孔径0.1μm前後のカーボン層が形成されていた。一方、表3および図4から判るように、得られたカーボン層の気孔率は、焼成温度800℃のときに最も高くなるという結果が得られた。これは、焼成温度が700℃では(焼成時間が2時間の場合)樹脂の炭化がまだ十分に進行しておらず、焼成温度が950℃ではカーボン層が収縮して密度が上昇したためと推察される。このことより、最高焼成温度としては750〜850℃の範囲が好適である。
【0055】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実験No.4により作製された電極材料の表面付近を示すSEM写真であって、(a)は断面の写真、(b)は表面の写真である。
【図2】 比較例により作製された電極材料の表面付近を示すSEM写真であって、(a)は断面の写真、(b)は表面の写真である。
【図3】 焼成温度と平均細孔径との関係を示す特性図である。
【図4】 焼成温度と気孔率との関係を示す特性図である。
【図5】 一般的な燃料電池の概略構成を示す模式図である。
【図6】 多孔質支持体の表面に触媒層の形成された電極を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
10 燃料電池
12 負極(燃料極)
13 電解質
14 正極(空気極)
20 電極
21 多孔質支持体(導電性多孔質支持体)
22 触媒層(多孔質カーボン層)
23 多孔性基材(多孔性無機層、無機基材)
24 プロトン伝導性ポリマー
25 電解質膜(固体高分子電解質膜、無機基材電解質層)

Claims (7)

  1. 導電性多孔質支持体と該支持体の表面に設けられた触媒層とを備え、
    該触媒層は多孔質カーボン層と該多孔質カーボン層に担持された触媒とを有し、
    該多孔質カーボン層は平均細孔径0.05〜0.2μmかつ気孔率30〜45%であり、該多孔質カーボン層は実質的に炭素質である、燃料電池用電極。
  2. 前記導電性多孔質支持体は、自己焼結性カーボン粒子を焼成してなる導電性カーボン多孔体である、請求項1に記載の電極。
  3. 前記導電性カーボン多孔体の平均細孔径が0.2〜2.0μmである、請求項2に記載の電極。
  4. 前記多孔質カーボン層は、平均粒径0.2〜2μmのカーボン粒子と樹脂との混合物を焼成してなる、請求項1から3のいずれか一項に記載の電極。
  5. 請求項1からのいずれか一項に記載の電極を備えた燃料電池。
  6. 導電性多孔質支持体と、該導電性多孔質支持体の表面に設けられた多孔質カーボン層とを備える電極材料を製造する方法であって、
    該導電性多孔質支持体に、平均粒径0.2〜2μmのカーボン粒子と樹脂との混合物を塗布する工程と、
    該混合物を焼成して該カーボン粒子と該樹脂を炭化してなるカーボンとから実質的に構成される多孔質カーボン層を形成する工程と、
    を包含する電極材料製造方法。
  7. 導電性多孔質支持体と、該導電性多孔質支持体の表面に設けられた触媒層とを備える燃料電池用電極を製造する方法であって、
    該導電性多孔質支持体に、平均粒径0.2〜2μmのカーボン粒子と樹脂との混合物を塗布する工程と、
    該混合物を焼成して該カーボン粒子と該樹脂を炭化してなるカーボンとから実質的に構成される多孔質カーボン層を形成する工程と、
    その形成された多孔質カーボン層に前記触媒を担持させる工程と、
    を包含する燃料電池用電極製造方法。
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