JP2007123284A - 金属分散炭素膜構造体、燃料電池用電極、電極接合体、及び燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】多孔質炭素構造体に金属微粒子を担持した形での材料、特に燃料電池用電極を作製し、さらにこれを用いることで電子及び燃料ガス、プロトンの輸送経路の制御を行なった電解質膜−燃料電池用ガス拡散電極接合体を作製することで、燃料電池の高性能化を達成することを目的とする。
【解決手段】微細な連通孔を有する多孔質構造を持ち、平均孔径が0.05〜10μmで空孔率が25〜85%である炭素膜構造体に、金属微粒子が分散した構造体からなる金属分散炭素膜構造体、それを用いた燃料電池用電極、電極接合体、及び燃料電池。
【選択図】 図1
【解決手段】微細な連通孔を有する多孔質構造を持ち、平均孔径が0.05〜10μmで空孔率が25〜85%である炭素膜構造体に、金属微粒子が分散した構造体からなる金属分散炭素膜構造体、それを用いた燃料電池用電極、電極接合体、及び燃料電池。
【選択図】 図1
Description
本発明は、燃料電池用部材及びに燃料電池用に関する。
近年、燃料電池の開発および実用化が進んでいる。例えば、固体高分子電解質型燃料電池の場合、高分子固体電解質層の両側に厚さ0.1〜0.3mmの炭素繊維抄紙体からなる多孔質炭素板を設け、その表面に電極触媒としての白金系触媒を担持させてガス拡散電極を形成し、その外側にガス流路溝の付いた厚さ1〜3mmの緻密質炭素板からなるセパレータを設けて電池セルを構成している。また、リン酸型燃料電池の場合、リン酸保持体にリン酸を保持させた電解質層の両側に、厚さ0.1〜0.3mmの炭素繊維抄紙体からなる多孔質炭素板を設け、その表面に電極触媒としての白金系触媒を担持させてガス拡散電極を形成し、その外側にガス流路溝の付いた厚さ1〜3mmセパレータを設けて電池セルを構成している。
従来、貴金属系触媒担持体のカーボン材料としては、カーボンブラックに代表される粉末状の材料が使用されており、固体高分子型燃料電池の反応部の構成材料である電極も、貴金属が担持されたカーボン粉末と樹脂などのバインダーと溶媒からなるペーストを用いて作製されている。(例えば、特許文献1など)しかしながら、粉末を出発原料とするゆえに作製される電極の構造制御には制限が有り、高価な貴金属系触媒を有効に利用できる担持体構造を形成する事は困難であった。
本発明は、多孔質炭素構造体に金属微粒子を担持した形での材料、特に燃料電池用電極を作製し、さらにこれを用いることで電子及び燃料ガス、プロトンの輸送経路の制御を行なった電解質膜−燃料電池用ガス拡散電極接合体を作製することで、燃料電池の高性能化を達成することを目的とする。
本発明は、微細な連通孔を有する多孔質構造を持ち、平均孔径が0.05〜10μmで空孔率が25〜85%である炭素膜構造体に、金属微粒子が分散した構造体からなる金属分散炭素膜構造体に関する。
また、本発明は、該金属微粒子の大きさの平均が1〜10nmであることを特徴とする上記の金属分散炭素膜構造体に関する。
また、本発明は、該金属微粒子の少なくても1種類が貴金属あるいは貴金属元素を含む合金であることを特徴とする上記の金属分散炭素膜構造体に関する。
また、本発明は、上記の金属分散炭素膜構造体を用いることを特徴とする燃料電池用電極に関する。
また、本発明は、上記の燃料電池用電極を構成要素として持つ、電解質膜−燃料電池用ガス拡散電極接合体に関する。
また、本発明は、上記の燃料電池用電極を構成要素として含む、燃料電池に関する。
本発明により、電子、プロトン、燃料ガスの経路が確実に確保されることで電極反応部位が3次元化された膜−電極接合体を作製することが出来、高価な貴金属触媒の見かけの活性を大幅に向上することが出来る。また、単位面積当たりの発電効率の高い固体高分子型燃料電池を実現する事が出来る。
本発明の金属分散炭素膜構造体は、微細な連通孔を有する多孔質構造を持ち、平均孔径が0.05〜10μmで空孔率が25〜85%である炭素膜構造体に、金属微粒子が分散した構造体からなるものである。該炭素膜構造体は、微細な連通孔を有する多孔質構造を持ち、開放孔以外の表面が平滑な炭素膜構造体からなるものである。
本明細書において、微細な連通孔を有する多孔質構造とは、任意の表面から細孔が通路状に他の表面まで連続したいわゆる開放孔であって、隣接する細孔間が壁状構造になっており、且つ、細孔は屈曲しながら非直線的に延びたものをいう。
即ち、前記炭素膜構造体は、ガスを流すと非直線的に延びた通路状の細孔に導かれて非直線的に配流されるのでショートパスが起こらない。更に、本発明の多孔質構造を持つ炭素膜構造体の表面は、細孔が膜内から延びて表面に達して形成した開放孔以外の部分が平滑面であり、セパレータなどと積層したときに他の層との界面が前記平滑面によって面接触になるものである。
上述の多孔質構造と表面の平滑性を更に説明するために、本発明の燃料電池用電極基材をなす多孔質構造を持つ炭素膜構造体の代表的な一例について、その表面と断面の走査型電子顕微鏡写真をそれぞれ図1、図2に示す。本発明の炭素膜構造体は、開放孔以外の表面が図1に示すような平滑性を持っているので、積層体を形成したときに界面において面接触になる。
更に、本発明の電極基材となる炭素膜構造体は、平均孔径が0.05〜10μm、好ましくは0.05〜2μmである。表面の平均孔径が上記の範囲未満では圧損が生ずるのでガスを効率的に配流できなくなり、平均孔径が上記の範囲を越えるとガスが直線的に流れやすくなって広い範囲に亘ってガスを均一に配流することが難しくなるので好適ではない。
また、炭素膜構造体の空孔率は25〜85%、好ましくは30〜70%である。空孔率が上記の範囲未満ではガスの配流量が少なくなり、空孔率が上記の範囲を越えると膜の機械的強度が小さくなるので好ましくない。
また、前記炭素膜構造体は、黒鉛化率が30%以上、好ましくは60%以上、特に好ましくは90%以上であることが好適である。黒鉛化率が60%以上になると、膜の機械的強度が高くなり可撓性が向上するので好適であり、また、導電性、熱伝導性も向上するので好ましい。
本発明の炭素膜構造体は、微細な連通孔を有する多孔質構造を持ち、開放孔以外の表面が平滑な高耐熱性ポリマー膜を嫌気性雰囲気下で加熱炭化して好適に製造することができる。高耐熱性ポリマーを用いると加熱したときに多孔質構造を保持できるので好ましい。
前記高耐熱性ポリマーは、微細な連通孔を有する多孔質膜を形成することが可能で、かつ、加熱炭化しても微細な連通孔からなる多孔質構造を保持できるものであれば、特に限定するものではない。ポリイミド系、セルロース系、フルフラール樹脂系、フェノール樹脂系などのポリマーを好適に挙げることができるが、特に芳香族ポリイミドは加熱炭化によって容易に機械的強度が高い炭素構造体を得ることができるので好適である。ここで芳香族ポリイミドには、芳香族ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸、及び、部分的にイミド化したポリアミック酸も含む。
前記微細な連通孔を有する多孔質構造を持ち、開放孔以外の表面が平滑な高耐熱性ポリマー膜は、ポリマー溶液を用いて相転換法によって好適に製造することができる。ポリマーを有機溶剤(溶媒)に溶解した溶液を、例えばガラス板上に流延し、その流延膜を前記有機溶剤とは相溶性を有しポリマーは不溶な有機溶剤や水など(非溶媒)に浸漬し、その際に溶媒と非溶媒とが置換するために生じる相分離現象を利用して細孔を形成するいわゆる相転換法によって得ることができる。しかし通常の相転換法では表面に緻密層ができる。
出典明示して本発明の明細書の一部とみなす特開平11−310658号公報、特願平11−116178号、特願2000−284651号に記載の、溶媒置換速度調整材を用いて溶媒置換速度を調整する相転換法は容易に微細な連通孔を有する多孔質高分子膜を得ることができるので好適である。
具体的には、まず表面が平滑なポリマー溶液の流延膜を形成し、次に該流延膜の表面に溶媒置換速度調整材(多孔性フィルム)を積層させ、次いでその積層体を非溶媒と接触させて相分離によって細孔を形成しながら多孔質ポリマー膜を析出させる。この方法で形成された多孔質ポリマー膜の表面(開孔部以外の表面)は元の流延膜の表面平滑性を保持するので、連通孔を有する多孔質構造を持ち開放孔以外の表面が平滑な多孔質ポリマー膜を容易に得ることができる。
微細な連通孔を有する多孔質構造を持ち開放孔以外の表面が平滑な高耐熱性ポリマー膜を嫌気性雰囲気下で加熱炭化することによって、微細な連通孔を有する多孔質構造を持ち開放孔以外の表面が平滑な炭素膜構造体を得ることができる。
嫌気性雰囲気は、特に限定しないが、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなどの不活性ガス中か、真空中が好適である。加熱炭化は、急激に昇温すると分解物が散逸したり炭素分が留去して炭素収率が低くなることがあるので好ましくなく構造欠陥もできやすい。そのために昇温速度は20℃/分以下、特に1〜10℃/分程度の十分遅い速度で昇温して徐々に炭化するのが好ましい。加熱温度や加熱時間は十分な炭化がおこなわれればどんな温度や時間でも構わない。また、得られる炭素構造体の黒鉛化率を高めて機械的強度や導電性や熱伝導性を高くするためには2400〜3500℃、特に2600〜3000℃の範囲が好ましく、前記温度範囲で20〜180分間が好適である。
また、前記加熱炭化の際に加熱時に加圧すると、黒鉛化率を高めて機械的強度が高く且つ導電性及び熱伝導性が高い炭素膜構造体を得ることができるので好ましい。加圧によって、加熱炭素化中の収縮などに伴う形状の変化を抑えたり、炭素化されつつある炭素部分の配向性を高めて黒鉛化が促進されるので、機械的強度、導電性、熱伝導性が高い炭素膜構造体を得ることができる。圧力は1〜250MPa特に10〜250MPaで印加するのがよい。加圧は高温圧縮機や等方圧熱間プレス(HIP)を用いて好適におこなわれる。
また、黒鉛化を促進するために、加熱する微細な連通孔を有する多孔質構造を持つ高耐熱性ポリマー膜に予めホウ素化合物などの黒鉛化を促進する効果を有する化合物を添加することが好適である。これらの化合物の微細な粉末を、原料とするポリマー溶液中に均一に分散させておき、該溶液を用いて上述の方法によって多孔質構造を持つ高耐熱性ポリマー膜を製造すれば、前記化合物が均一に分散した多孔質構造を持つ高耐熱性ポリマー膜を製造することができる。
また、本発明においては、微細な連通孔を有する多孔質構造を持ち開放孔以外の表面が平滑な高耐熱性ポリマー膜は、一枚ずつ個別に加熱炭化した後で目的とする厚さになるように積層して用いても構わないが、各層間に界面ができて各界面の接触抵抗を制御する必要が生じて取扱いが複雑になるので好ましくない。接着剤で接着する方法では接着剤が電池性能を低下させる可能性がある。フェノール系接着剤などで接着して再度加熱して接着剤を炭化して一体化するなどの方法もあるが、複雑な処理が必要になるので好ましくない。微細な連通孔を有する多孔質構造を持ち開放孔以外の表面が平滑な高耐熱性ポリマー膜を複数枚積層した積層体を加熱炭化すると、炭化し且つ一体化して本発明の炭素膜構造体を得ることができるので特に好適である。この方法では、同一の薄いポリマー膜から種々の膜厚の炭素膜構造体を得ることができる。
本発明の金属分散炭素膜構造体は、上記炭素膜構造体に金属微粒子が分散した構造体からなるものである。
金属微粒子の大きさは、例えば1〜10nmであることが好ましい。
また、金属微粒子は、貴金属であることが好ましい。貴金属としては、例えば白金、パラジウム、ニッケルなどが挙げられ、特に、白金が好ましい。
炭素膜構造体に、金属微粒子が分散させる方法としては、真空蒸着などの気相を利用する方法、金属前駆体溶液を用いて担持する方法などがあげられる。具体的には、多孔質炭素膜構造体を、金属前駆体溶液に浸漬し、そのまま乾燥することで白金前駆体を担持し、続いて、不活性ガス雰囲気下で熱処理を施すことで白金前駆体を還元し、洗浄、乾燥を行なうことで金属担持多孔質炭素膜構造体を得ることができる。
上記の金属前駆体溶液は、例えば、白金アセチルアセトナト錯体の水/メタノール混合(重量比1:1)溶媒に溶解すること、好ましくは、濃度が0.1〜5重量%の前駆体溶液で作製することができる。
上記不活性ガス雰囲気下での熱処理は、好ましくは、180〜1000℃の温度で行なう。
本発明の上記金属分散炭素膜構造体は、燃料電池用電極として好適に用いることができる。
上記燃料電池用電極は、例えば、白金を分散した該炭素膜構造体を市販のナフィオン溶液[デュポン社製パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂溶液[ナフィオン5012:樹脂濃度;5wt%、溶媒;メタノール+イソプロパノール+水]]に浸漬することで製造することができる。本発明の電極は微細な連通孔を多数持っているので、広く均一に分散した電池反応の反応場を提供することができる高性能燃料電池の電極として好適なものである。
本発明の上記燃料電池用電極を構成要素として持つ、電解質膜−燃料電池用ガス拡散電極接合体を好適に製造することができる。上記電極接合体は、通常の方法で製造することができる。例えば、上記の電極と市販のナフィオン膜(デュポン社製ナフィオン117)を120〜150℃で熱プレスすることで電解質膜−燃料電池用ガス拡散電極接合体を作製することが出来る。
本発明の上記電解質膜−燃料電池用ガス拡散電極接合体を構成要素として含む燃料電池を好適に製造することができる。
上記燃料電池は、通常の方法で製造することができる。例えば、上記接合体を、炭素板の片面に燃料ガスの流路を形成した一般的な燃料電池用セパレータで挟み込むことで、固体高分子型燃料電池を製造することが出来る。
次に、本発明について、高耐熱性ポリマーとして好適な芳香族ポリイミドを使用した場合につての実施例で説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。尚、本発明において、透気度、空孔率、平均孔径、黒鉛化率、燃料電池の性能評価は次の方法によって測定した。
透気度JIS P8117に準じて測定した。測定装置としてB型ガーレーデンソメーター(東洋精機社製)を使用した。試料の膜を直径28.6mm、面積645mm2の円孔に締付け、内筒重量567gにより、筒内の空気を試験円孔部から筒外へ通過させる。空気100ccが通過する時間を測定し、透気度(ガーレー値)とした。
空孔率所定の大きさに切取った膜の膜厚、面積及び重量を測定し、目付重量から次式により空孔率を求めた。次式のSは膜面積、dは膜厚、wは測定した重量、Dは密度でありポリイミドは1.34、炭素膜構造体については後述する方法で求めた黒鉛化率を考慮して試料ごとに密度を算出した。
空孔率=(1−W/(S×d×D))×100
空孔率=(1−W/(S×d×D))×100
平均孔径膜表面の走査型電子顕微鏡写真を撮り、50点以上の開口部について孔面積を測定し、該孔面積の平均値から次式に従って孔形状が真円であるとした際の平均直径を計算より求めた。次式のSaは孔面積の平均値を意味する。
平均孔径=2×(Sa/π)1/2
平均孔径=2×(Sa/π)1/2
黒鉛化率X線回折を測定しRuland法により求めた。
燃料電池評価燃料電池の動作温度を70℃、燃料ガスとして湿度70%の水素及び空気を用いて、燃料ガスの供給、排出差圧を0.1kgf/cm2として電流−電位特性を測定した。測定は燃料電池を定常状態で1時間運転して充分安定動作することを確認してから行なった。
炭素膜構造体に分散した金属微粒子の大きさは、TEM及びSEM観察によって評価した。
多孔質ポリイミド膜の製造(参考例1)テトラカルボン酸成分として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、s−BPDAと略すこともある)を、ジアミン成分としてパラフェニレンジアミン(以下、PPDと略すこともある)を用い、S−BPDAに対するPPDのモル比が0.999で且つ該モノマー成分の含有量が8.5重量%になるようにN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略すことがある)に溶解し、温度40℃、15時間重合をおこなってポリイミド前駆体であるポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液の溶液粘度(温度25度、E型回転粘度計)は600ポイズであった。
前記ポリアミック酸溶液を、鏡面研磨されたステンレス板上に厚みが約100μmになるように流延し、そのポリアミック酸溶液の流延膜表面を、溶媒置換速度調整材である透気度550秒/100ccのポリオレフィン微多孔膜(宇部興産(株)製ユーポアUP2015)で表面にシワが生じないように覆った。該積層物を1−プロパノール中に7分間浸漬し、溶媒置換速度調整材を介して溶媒置換をおこなうことで、微細な連通孔を有する多孔質構造を持ち開放孔以外の表面が平滑なポリアミック酸膜を析出させた。
次いで、前記ポリアミック酸膜を水中に10分間浸漬したあとで、ステンレス板から剥離し、ピンテンターに固定した状態で、空気中にて温度400℃、20分間熱処理をおこなった。得られた多孔性ポリイミド膜のイミド化率は70%であり、膜厚27μm、透気度360秒/100cc、空孔率51%、平均孔径0.17μmであった。
上記の多孔質ポリイミドフィルムを不活性ガス気流下で10℃/分の速度で1400まで昇温し、1.5時間保持することで炭素化し、多孔質炭素膜構造体を得た。これを、白金アセチルアセトナト錯体の水/メタノール混合(重量比1:1)溶媒に溶解することで作製した1重量%の白金前駆体溶液に浸漬し、そのまま室温乾燥することで白金前駆体を担持した。続いて、不活性ガス雰囲気下で1100℃の熱処理を施すことで白金前駆体を還元し、その後純水とメタノールの混合溶媒で充分洗浄、乾燥を行なうことで白金担持多孔質炭素膜構造体を得た。SEM及びTEM観察の結果、白金微粒子が担持されていることが確認した。ICPによる元素分析、及び多孔質炭素の膜厚み等から、1平方cm辺りの白金量は0.02mgと算出された。
この白金担持多孔質炭素膜構造体を市販のナフィオン溶液[デュポン社製パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂溶液[ナフィオン5012:樹脂濃度;5wt%、溶媒;メタノール+イソプロパノール+水]]に浸漬、乾燥することでナフィオン薄膜を多孔質炭素の表面にコーティングすることで電極とした。さらに、この電極を市販のナフィオン117膜(デュポン社製)と110〜150℃の温度で熱プレスすることで接合し、電解質膜−電極接合体を得た。これを燃料電池に組み上げて電流−電位特性を測定した。
(比較例1)市販の20重量%白金担持炭素微粉末と市販の5重量%ナフィオン溶液及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ディスパーションを、重量比で4:3:2の比率で混合し、ペーストを作製した。このペーストを市販のナフィオン117膜の両面に1平方cm辺りの白金量が0.5mgになるように均一に塗付し110℃で乾燥することで、電解質膜−電極接合体を得た。これを実施例1に使用したものと同様の部材を用いて燃料電池に組み上げ、電流−電位特性を測定した。
(実施例2)実施例1及び比較例1で作製した電解質膜−電極接合体を燃料電池に組み込んで電流−電位特性を測定した。その結果、実施例1のものは、0.35Vで80mA/cm2、比較例1のものでは0.35Vで430mA/cm2の出力を得た。これを単位白金触媒量当りの電流値に換算すると、実施例1では4000A/g、比較例1では860A/gとなり、実施例1における白金触媒の単位量辺りの見かけの活性は比較例1の4.5倍以上と見積もることが出来た。
Claims (9)
- 微細な連通孔を有する多孔質構造を持ち、開放孔以外の表面が平滑な高耐熱性ポリマー膜を嫌気性雰囲気下で加熱炭化され、平均孔径が0.05〜10μmで空孔率が25〜85%である炭素膜構造体に、少なくとも1種類の金属ないし合金の気相又は前駆体溶液を用いて、その微粒子を担持させて分散させた構造体からなる金属分散炭素膜構造体。
- 前記高耐熱性ポリマー膜は、芳香族ポリイミドから構成されていることを特徴とする請求項1記載の金属分散炭素膜構造体。
- 該金属微粒子の大きさの平均が1〜10nmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属分散炭素膜構造体。
- 該金属微粒子の少なくても1種類が貴金属ないしは貴金属元素を含む合金であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の金属分散炭素膜構造体。
- 請求項1乃至4いずれかに記載の金属分散炭素膜構造体を用いることを特徴とする燃料電池用電極。
- 請求項5に記載の燃料電池用電極を構成要素として持つ、電解質膜−燃料電池用ガス拡散電極接合体。
- 請求項5に記載の燃料電池用電極を構成要素として含む、燃料電池。
- 微細な連通孔を有する多孔質構造を持ち、開放孔以外の表面が平滑な高耐熱性ポリマー膜を嫌気性雰囲気下で加熱炭化して、平均孔径が0.05〜10μmで空孔率が25〜85%である炭素膜構造体を形成する工程と、
少なくとも1種類の金属ないし合金の気相又は前駆体溶液を用いて、その微粒子を前記炭素膜構造体に担持させて分散させる工程と、
を備えたことを特徴とする金属分散炭素膜構造体の製造方法。 - 前記高耐熱性ポリマー膜は、芳香族ポリイミドから構成されていることを特徴とする請求項8記載の金属分散炭素膜構造体の製造方法。
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