JP3686272B2 - 空燃比センサ及びこれを用いたエンジン燃焼制御システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車エンジンの排ガス中の残存酸素濃度から空燃比を検出する空燃比センサ、及び空燃比に加えて排ガス成分の濃度を検出する複合化空燃比センサ、さらにはこれらの空燃比センサを利用したエンジン燃焼制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、酸素イオン伝導性を有するジルコニア固体電解質の酸素ポンプ現象と各種排ガス成分の拡散律速現象を利用して、リッチからリーンの空燃比を検出する空燃比センサが周知である。この種の空燃比センサは、固体電解質を活性化するためにヒータを用いてセンサ素子を加熱(例えば約700℃)する必要がある。
【0003】
最近では、電源投入後の短い時間でセンサが動作可能となるようにするため、空燃比検出部を形成するジルコニア固体電解質,白金電極,ガス拡散抵抗層(ガス拡散律速層)等を積層構造にすると共に、この積層体(空燃比検出部)とヒータ部とを一体積層化する技術が提案されている。
【0004】
例えば、グリーンシート状態のジルコニア固体電解質をヒータを内蔵したセラミックス基板と共に一体焼成して複合化した構造のものがSAE Paper 850379他で知られている。
【0005】
また、エンジンに供給される空気と燃料の比率を検出する空燃比検出部に併せて、排ガス成分のHCやNOxの濃度を検出する排ガスセンサ部を一体に複合した複合化空燃比センサなども知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
既述したように、この種の空燃比には、積層体の空燃比検出部をヒータと共に一体に積層化、空燃比センサの短時間加熱化(活性化)を目差したものが、前述の論文や特許で既に知られている。しかし、使用環境下での信頼性が不十分で実用化されるには至っていない。即ち、以下の理由で検出部にクラックが発生して使用不可の状態になるからである。クラックの発生原因は大別して次の3つである。
【0007】
(a)空燃比検出部に例えば大気室等の中空室を有するため、ヒータの発熱量を検出部に有効に伝達できない。したがって、ヒータ部と空燃比検出部の間に大きな温度勾配が発生すると共に、ヒータ部は空燃比検出部よりはるかに高い温度へ加熱される。この結果、空燃比センサの検出部の厚さ方向に発生した大きな温度勾配による熱応力で、検出部が割れやすくなる。また、中空室を有する積層体は焼成時にこの部分へ大きな反りが発生するため、積層体自体が割れ易い構造に製造される。
【0008】
(b)ヒータを内蔵するセラミックス基板(多くの場合、アルミナ基板で構成される)とジルコニア固体電解質の熱膨張係数が異なり、検出部に大きな熱応力が発生し割れ易くなる。
【0009】
(c)ヒータパターンが検出部の直下のみに集中的に配置されており、空燃比センサの積層体の長手方向に急激な温度勾配が発生する。この結果、積層体の長手方向の空燃比検出部と反対側にあるヒータ端部に大きな熱応力が発生し、この熱応力で積層体等が割れ易くなる。
【0010】
このように、ヒータで空燃比検出部を直接的に加熱する構造の空燃比センサは、信頼性上の問題点を克服することができず実用化されるには至っていない。それ故、傍熱型のヒータ(ヒータと検出部は分離しており、両者の間に隙間がある構造のヒータ)で検出部を間接的に加熱せざるを得ず、空燃比センサが動作する起動時間(活性化時間)は数十秒と長かった。また、傍熱型のヒータであるため、加熱に要する消費電力も大きくなる。特に、従来型空燃比センサは起動時間が長いため、エンジン始動直後の排ガス規制をクリアするのに大きな障害となっていた。
【0011】
本発明は以上の点に鑑みてなされたもので、電源投入後の短い時間(約5秒以下)で動作して始動直後の排ガス規制に適合し、且つ低消費電力でリーンからリッチの空燃比範囲を測定可能にし、しかも、耐熱性,耐久性(クラック抑制機能)に優れた高信頼度な空燃比センサを提供することを目的とする。
【0012】
さらに、上記空燃比センサに排ガス成分検出(例えばHC検出,NOx検出)機能を併せ持つ複合化空燃比を実現させ、特に酸素ポンプ及びガス拡散律速作用を利用して空燃比検出のほかに併せて排ガス成分検出することが可能な極めて実現性の高い信頼性のある複合化空燃比センサを提供することを目的とする。
【0013】
さらには、エンジン始動直後の排ガス規制を容易にクリアできるエンジンの燃焼制御システムを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、基本的には次のように構成する。
【0015】
(a−1)すなわち、酸素基準極,緻密質ジルコニア固体電解質,陰極,多孔質ジルコニア固体電解質,陽極,多孔質の保護膜を積層した積層体により空燃比検出部が形成され、且つ、この空燃比検出部とヒータを内蔵したセラミックス基板とが層状に接合されていることを特徴とする。
【0016】
(a−2)また、上記の空燃比検出部のほかに酸化物半導体により構成されたHC検出部,NOx検出部の少なくとも一つがヒータ内蔵のセラミックス基板に積層により併設されているものも提案する。
【0017】
(a−3)さらに、酸素基準極,緻密質ジルコニア固体電解質,陰極,多孔質ジルコニア固体電解質,陽極,多孔質の保護膜を積層させてなる空燃比検出部と、多孔質酸化物,NOx検出用電極,緻密質ジルコニア固体電解質を積層させてなるNOx検出部と、ヒータを内蔵したセラミックス基板と、が一体に接合されて一つの積層構造体として構成されている複合化空燃比センサを提案する。
【0018】
(a−4)さらに、酸素基準極,緻密質ジルコニア固体電解質,陰極,多孔質ジルコニア固体電解質,陽極,多孔質の保護膜を積層させてなる空燃比検出部と、多孔質酸化物,HC検出用電極,緻密質ジルコニア固体電解質を積層させてなるHC検出部と、ヒータを内蔵したセラミックス基板と、が一体に接合されて一つの積層構造体として構成されている複合化空燃比センサを提案する。
【0019】
(a−5)また、酸素基準極,緻密質ジルコニア固体電解質,陰極,多孔質ジルコニア固体電解質,陽極,多孔質の保護膜を積層した積層体により空燃比検出部が形成され、且つ、この空燃比検出部とヒータを内蔵したセラミックス基板とが層状に接合され、前記多孔質ジルコニア固体電解質の一部をくりぬき、このくりぬき部分に絶縁部材で囲まれた緻密質ジルコニア固体電解質とその上面に電極を形成することでNOx検出部が構成されている複合化空燃比センサを提案する。
【0020】
上記構成によれば、空燃比検出部に中空室を設けない構造とすることができる。同様に、上記空燃比検出部と併設させたHC検出部やNOx検出部からも中空室を削除することができる。このようにすることにより、空燃比センサの加熱時間を速め、電源投入後の短い時間で空燃比センサを動作可能とし、また空燃比センサの検出部の厚さ方向に発生する温度勾配が小さくなり、温度勾配による熱応力が低減する。また、中空室がないため、反りのない積層体が得られる。
【0021】
本発明では、中空室を持たない積層体構造であってもリッチ〜リーンまでの空燃比を精度良く検出することができるが、どのようにして空燃比や排ガス成分(HCやNOx)の濃度を検出するかは、後述の実施例(特に図5、図14、図16、図18の動作原理図)で詳細に説明する。
【0022】
(b)また、ヒータを内蔵するセラミックス基板と空燃比検出部の固体電解質(例えば、ジルコニア固体電解質)の間に、両者の材料の中間の熱膨張係数を有するインサート材(熱応力緩衝層)を配置することにより、空燃比センサの積層体部の熱応力を低減する。
【0023】
特に、空燃比検出部を構成する電極,排ガス拡散律速層,酸素イオン伝導性を有するジルコニア固体電解質の積層体と、ヒータを内蔵するセラミック基板とが熱応力緩衝層を介して一体に接合され、前記熱応力緩衝層は前記ジルコニア固体電解質と前記セラミックス基板との混合材料でその配合割合を異ならせた2層以上の熱応力緩衝層により構成されているものも提案する。
【0024】
上記構成によれば、熱応力緩衝層の配合比(セラミックス材料、及び固体電解質と同材料の混合材)を、一つの層はセラミックス材料の方を多くし、もう一つの層は固体電解質と同材料の方を多くし、前者の層をセラミックス基板側に接合し、後者の層を空燃比検出部の固体電解質と接合することで、より一層、熱応力緩衝層を空燃比検出部及びセラミックス基板と近づけることができ、クラック防止に有効である。
【0025】
(c)さらに、前記ヒータのパターンは、前記積層体の長手方向において、空燃比検出部側が緻密で空燃比検出部の反対側端部に向かうにつれて次第に粗になるようなパターンに形成されている空燃比センサを提案する。このようにすれば、空燃比センサの積層体の長手方向に発生する温度勾配も緩やかにすることができ、空燃比検出部と反対側のパッド側に向いたヒータ端部に発生する熱応力も低減することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例に基づいて詳細に説明する。
【0027】
図1は本発明に係わる空燃比センサの第1の実施例を示した縦断面図、図2はその平面図である。
【0028】
本実施例に係る空燃比センサの基本的特徴は、第1には、酸素基準極6,緻密質ジルコニア固体電解質2,陰極7,多孔質ジルコニア固体電解質3,陽極8,多孔質の保護膜4よりなる積層体Aで空燃比検出部が形成されていること、第2には、この空燃比検出部Aとヒータ5を内蔵したセラミックス基板1とが層状に接合されて一体化されている点であり、この空燃比センサは従来例に見られた大気室等の中空室を空燃比検出部Aに一切持たない構造になっている。
【0029】
本例では、酸素基準極6は、セラミックス基板1と緻密質ジルコニア固体電解質2との間に介在し、陰極7は、緻密質ジルコニア固体電解質2と多孔質ジルコニア固体電解質3との間に介在し、陽極8は、多孔質ジルコニア固体電解質3と保護膜4との間に介在するが、これらの電極は、積層体Aの長手方向一端に片寄って空燃比検出部Aを構成するものである。なお、動作原理については後述する。
【0030】
上記した積層体Aのうち空燃比検出部に相当する位置の反対側の端部に複数のパッド9(図2の9a,9b,9cに相当する)が配設される。パッド9a〜9cは、酸素基準極6,陰極7,陽極8を空燃比センサ外部の信号処理回路(図中には示していない)へ電気的に接続するために設けたものである(詳細は図3を用いて説明する)。
【0031】
空燃比検出部を形成した積層体Aとヒータ内蔵のセラミック基板1とは、その長さをセラミックス基板1の方が若干長くなるようにして、両者間に段差を確保し、この段差面にパッド10(図2の10a,10bに相当する)を配設する。このパッド10は、空燃比検出部を一定の温度(700℃に加熱制御するヒータ温度制御回路(図中には示してはいない)へ電気的に接続するために設けたものである。
【0032】
すなわち、セラミックス基板1の表面に配置されたパッド10aと10bは、図には示していないスルーホールを介してヒータ5と電気的に接続される。同様に、多孔質保護膜4の表面に配置されたパッド9a、9b、9cは、スルーホールを介してそれぞれ陽極8、酸素基準極6、陰極7と電気的に接続される。
【0033】
本実施例の空燃比センサの展開図を図3に示す。本図を用いて本実施例における空燃比センサの製造方法を簡単に説明する。
【0034】
セラミックス基板1は、元々は2枚の基板1a,1bより成り、アルミナなどの絶縁材料で構成されるグリーンシート状のセラミックス基板1aの上に、厚さが数十ミクロンの白金材料によりヒータ5のパターンを印刷する。ヒータパターンのX点とY点は導体5aで電気的に結線される。なお、この導体5aはヒータパターンのZ点とは結線されない。
【0035】
図3に示すように、ヒータ5のパターンは積層体Aの長手方向において、空燃比検出部側で緻密に形成されているが、パッド側(空燃比検出部の反対側端部)に向かうにつれて次第に粗になるようなパターンに形成されている。
【0036】
ヒータ5の上にグリーンシート状のセラミックス基板1bを積層する。セラミックス基板1bの表面に厚さが数ミクロンの白金系の金属材料からなる酸素基準極6を印刷し、この上にイットリアを含有したグリーンシート状の緻密質ジルコニア固体電解質2を積層する。順次、陰極7の印刷、多孔質ジルコニア固体電解質3の積層、陽極8の印刷、スピネルなどの絶縁材料からなる多孔質保護膜4の積層を行う。
【0037】
ここで、セラミックス基板1の厚さは約数百ミクロン、緻密質ジルコニア固体電解質2と多孔質ジルコニア固体電解質3の厚さは約百ミクロン、多孔質保護膜4の厚さは約数十ミクロンの値である。
【0038】
図3に示した積層体は適当な荷重で熱圧着した後、約1500℃以上の高温で一体に焼成される。白金系の金属材料からなる酸素基準極6、陰極7及び陽極8は、この部分における各種排ガス成分との触媒反応を活性化させるために、表面積が極めて大きくなるように多孔質に焼成される。なお、焼成後に各種部材を緻密質にするかあるいは多孔質にするかは、焼成前のこれらの材料の粒径などによって決定される。酸素基準極6、陰極7及び陽極8はそれぞれリード部6a、7a、8aを介してパッド部9b、9c、9aと結線される。
【0039】
また、酸素基準極6の一部(長手方向先端)には、極めて細い形状のパターン部6bが形成され、この細い形状パターン部6bが空燃比検出部を構成する積層体の層間を介して排ガス雰囲気と直接的に接触している。これは後述するように、酸素基準極6部へ酸素ポンプ作用で送り込まれた酸素を、この細いパターン部6bを介して少しづつ排ガス雰囲気中へ流出させることにより、この部分における酸素分圧の圧力上昇を抑制して空燃比センサ検出部の破壊を防止するためである。
【0040】
本実施例の空燃比検出原理を図5に示す。この検出原理を説明する前に空気過剰率λと各種排ガス成分の濃度の関係を図4に用いて説明する。
【0041】
図4に示すλ=1は、自動車のエンジンへ供給される空気と燃料の比率が理論空燃比点であることを示している。すなわち、理論空燃比はエンジンに供給される燃料量と、これを燃焼させるのに必要な空気量との比の逆数である。図に示すように、λ>1のリーン(Lean)領域ではO2の濃度が増加し、λ<1のリッチ(Rich)領域では燃料の未燃焼ガス成分であるH2やCOの濃度が増加する。λが1.0を少し超えたリーン領域で、NOxの濃度は最大、HCの濃度は最小になる。なお、本図におけるO2、H2、COの濃度は数%のオーダ、NOx、HCの濃度は数百ppmのオーダであり、これらガス成分の縦軸の濃度は単なる目安として示したものである。
【0042】
図5の検出原理に示すように、酸素基準極6は差動増幅器11の−側入力端子14と、陰極7はグランド部と、陽極8はポンプ電流Ipの検出回路12を介して差動増幅器11の出力端子部と接続される。
【0043】
差動増幅器11の+側入力端子13へ所定の起電力eλの設定値(例えば0.5V)を与えて、酸素基準極6と陰極7間の電位差をeλに制御する。このとき、陽極8と陰極7の間に流れる酸素イオン(O~~)に等価なポンプ電流Ipを検出回路12で計測すれば、この値は空気過剰率λの関数になる。以下に、空燃比検出部Aを流れる酸素イオンの流れを、リーン,リッチの領域を例にして詳細に述べる(なお、理想空燃比領域λ=1では、ポンプ電流Ipは流れない)。緻密質ジルコニア固体電解質2中には酸素イオンしか流れないが、無数の極めて小さい孔を有する多孔質ジルコニア固体電解質3は酸素イオンの他にO2等のガス成分を透過させることができる。
【0044】
リーン領域(λ>1)のとき、O2は多孔質保護膜4と多孔質ジルコニア固体電解質3の微小孔を介し、酸素分圧の濃度差に比例した拡散律速原理にしたがって陰極7部へ拡散で流入する(その意味で、多孔質保護膜4と多孔質ジルコニア固体電解質3は排ガス拡散律速層を構成する)。陰極7部へ流入したO2ガスを、白金系の材料からなる陰極7の触媒作用で酸素イオンに変換する。
【0045】
この酸素イオンのうち、所定の微小な量を酸素基準極6側へ送り、その他の大半は陽極8側へ送られる。陰極7から陽極8へ向かう酸素イオンの量は排ガス雰囲気中のO2濃度に比例するため、検出回路12で計測されるポンプ電流Ipからλ>1の空気過剰率λを検出することができる。一方、陰極7から酸素基準極6へ向かった酸素イオンは酸素基準極6でO2に変換され、この部分の酸素分圧を所定の値に保持する。酸素基準極6はエンジンの運転状態によらず、即ち空気過剰率λの値によらず、常に所定の酸素分圧以上に保持されるので、この電極は酸素基準極と呼ばれるゆえんである。多孔質の酸素基準極6の一部は細いパターン形状6bを通して排ガス雰囲気と接触しているため、この6bを通してO2が少しづつ排ガス中へ流出する。そして、酸素基準極6の酸素分圧の上昇を抑制して空燃比センサ検出部の破壊を防止する。
【0046】
リッチ領域(λ<1)では排ガス雰囲気中にはO2は極めて少なく、未燃焼ガス成分であるH2やCOの濃度が増加する。そして、陰極7部の酸素分圧が極端に減少し、酸素基準極6と陰極7部の電位差(即ち、起電力)は1V近くまで増加しようとする。これを防止するために、酸素基準極6の起電力を差動増幅器11で所定の値eλに制御している。
【0047】
それ故、リッチ領域での酸素イオンや未燃焼ガスの流れは以下のようになる。多孔質保護膜4と多孔質ジルコニア固体電解質3の微小孔を介し、H2やCOなどの未燃焼ガスがその濃度差に比例した拡散律速原理にしたがって陰極7部へ拡散で流入する。これらの未燃焼ガスと反応するO2が酸素ポンプ現象により、陽極8から陰極7へ酸素イオンの形で多孔質ジルコニア固体電解質3中を通して送られる。すなわち、リッチ領域では排ガス雰囲気中にO2が存在しないため、排ガス中に多量に存在する水蒸気(H2O)を白金系金属材料からなる陽極8の触媒作用でH2とO2に分解する。
【0048】
分解されたO2は陽極8でさらに酸素イオンに変換され、前述したように陽極8から陰極7へ酸素イオンの形で多孔質ジルコニア固体電解質3中を通して送られる。
【0049】
そして、陽極8から陰極7へ送られた酸素イオンは、陰極7で再びO2に変換される。このO2の極めて微小な量はリーン領域と同様に、酸素ポンプ現象を用いて酸素基準極6へ送られ、この部分の酸素分圧を所定値に保持する。残りの大半のO2は、多孔質保護膜4と多孔質ジルコニア固体電解質3の微小孔を介して陰極7へ拡散で流入したH2やCOなどの未燃焼ガスと反応する。そして、H2を水蒸気、COをCO2に変換する。陽極8から陰極7へ送られるO2の量は、陰極7へ拡散律速現象で流入した未燃焼ガス成分を燃焼させる量に等しい値である。それ故、陽極8から陰極7へ向かう酸素イオン(リーン領域とは逆向きの流れ)の量、即ちポンプ電流Ipを検出回路12で計測することにより、リッチ領域の空気過剰率λを正確に検出することができる。
【0050】
リーン領域(λ>1)でのポンプ電流Ipを正と定義すれば、リッチ領域(λ<1)の値は負になる。また、理論空燃比(λ=1)ではゼロになる。
【0051】
本実施例によれば、空燃比検出部とヒータを全て中空室を排除した積層構造とすることで、空燃比センサを電源投入後の短い時間(約5秒以下)で動作させることができ、しかも、空燃比センサの検出部の厚さ方向に発生する温度勾配が小さくなり、温度勾配による熱応力を低減することができる。また、中空室がないため、反りのない積層体が得られる。
【0052】
さらに、空燃比センサの長手方向の温度勾配を緩やかにするヒータパターンによって、センサ長手方向の熱応力も低減する。
【0053】
上記ヒータパターンの説明図を図9に示す。ヒータパターンの領域をそれぞれ、空燃比検出部の直下部分では領域18、その他の部分では領域19と定義することにする。ヒータ5の発熱量として、ケースAとケースBの場合を考えてみる。点線で示すケースAは、主に領域18でのみ発熱するようにヒータパターンを設計した場合である。この場合は、空燃比センサの長手方向に極めて大きな温度勾配が生じ、この温度勾配による熱応力で図中のS点付近にクラックが発生しやすかった。実線で示すケースBは領域19でもヒータを発熱させ、その発熱量がパッド側に向かうにつれて次第に緩やかに減少するようにヒータパターンを設計した場合である(図3に示したヒータ5のパターンが本図のケースBに相当する)。こうすることにより、空燃比センサの長手方向の温度勾配が緩やかになり、センサの積層構造体に生じる熱応力を非常に小さな値にすることができる。
【0054】
結果として、クラックの発生しない高信頼度な複合化空燃比センサが得られた。
【0055】
図6は本発明に係る空燃比センサの第2の実施例を示す縦断面図である。なお、図中、第1実施例と同一符号は同一或いは共通する要素である(以後の図面も同様である)。図7は第2実施例に係る空燃比センサの平面図である。
【0056】
これらの図に示すように、空燃比検出部15を構成する積層体Aはセラミックス基板1の長手方向の一端(先端部)上に形成したもので、この積層体Aを設けた位置と反対側のセラミックス基板1上にはパッド9(9a〜9c)及び10(10a,10b)が配設されている。空燃比検出部15の基本的構成は、第1実施例と同様である。
【0057】
本実施例は、ヒータを内蔵した厚さが少なくとも500ミクロン以上のグリーンシート状のセラミックス基板1の表面の一部分に、空燃比検出部15(積層体A)を印刷で形成したものである。すなわち、厚手のセラミックス基板1の上に順次、酸素基準極6、緻密質ジルコニア固体電解質2、陰極7、多孔質ジルコニア固体電解質3、陽極8及び多孔質の保護膜4を全て印刷によって積層したものである。ここで、緻密質ジルコニア固体電解質2、多孔質ジルコニア固体電解質3、及び多孔質の保護膜4の厚さは数十ミクロン〜百ミクロンと薄い膜厚である。
【0058】
本実施例によれば、第1実施例と同様の効果を奏するほかに、ヒータ5のパターンを空燃比検出部直下に集中させても、積層体Aが短いため、熱応力を小さくすることができる。併せて、ヒータパターン形成及び配置の簡略を図り得る。
【0059】
また、積層体Aを印刷によって形成するため、空燃比検出部(積層体)をグリーンシートに比べて薄く形成することができ、そのため、ヒータからの加熱伝達時間をグリーンシート方式よりも一層速くしてセンサ起動時間(活性化時間)の短縮化を図ることができる。
【0060】
さらに、印刷方式はグリーンシートを焼結する方式に比べて設備コストを低減でき、空燃比センサの製作コストの低減も図り得る。
【0061】
図8に本発明の第3実施例に係る空燃比センサの縦断面図を示す。
【0062】
本実施例では、図1に示した空燃比センサの構造と以下の点が異なる。即ち、ヒータ5を内蔵したアルミナ材料からなるセラミックス基板1と空燃比検出部となる積層体A(緻密質ジルコニア固体電解質2、多孔質ジルコニア固体電解質3及び多孔質の保護膜4の積層体)との間に、アルミナとジルコニア固体電解質との中間の熱膨張係数を有するインサート材(熱応力緩衝層)16,17を配置したものである。インサート材は必ずしも2層である必要はない。
【0063】
本実施例の場合、インサート材17はセラミックス基板1側、インサート材16は緻密質ジルコニア固体電解質2側とその熱膨張係数が近い材料である。これらのインサート材の熱膨張係数はアルミナとジルコニアの分量比で決定される。すなわち、インサート材17はよりアルミナの分量が多く、インサート材16はよりジルコニアの分量が多い材料で構成される。
【0064】
本実施例によれば、第1実施例と同様の効果を奏するほかに、次のような作用,効果を奏する。
【0065】
すなわち、ヒータ5を内蔵するセラミックス基板1とジルコニア固体電解質2の間に、両者の材料の中間の熱膨張係数を有するインサート材を配置することにより、しかも、そのインサート材を複数に分けてアルミナとジルコニアの分量比を複数段階に設定することで、空燃比センサの検出部積層体部の熱応力をより一層効果的に低減することができる。結果として、検出部にクラックの発生しない高信頼の空燃比センサを提供することができる。
【0066】
図10に本発明の第4実施例に係る空燃比センサの縦断面図を示す。本実施例は、図1に示した空燃比センサの構造とは以下の点が異なる。
【0067】
すなわち、ヒータ5を内蔵したセラミックス基板1の一方の面に多孔質保護膜21でカバーされた酸化物半導体20を形成し、この酸化物半導体20を外部に設けた信号処理回路へ結線するパッド22を多孔質保護膜21の表面に設けた点である。
【0068】
酸化物半導体20は排ガス雰囲気中のHCやNOxの濃度を検出するためのもので、HCやNOxの濃度に応じてその電気抵抗値が変化する。空燃比センサ検出部と共に、HCやNOxなどの排ガス検出部にも中空室を持たない構造である。こうすることにより、複合化空燃比センサの検出部の厚さ方向に発生する温度勾配が小さくなり、温度勾配による熱応力が低減する。また、中空室がないため、反りのない積層体が得られる。結果として、空燃比センサ検出部と共にHCやNOxなどの排ガス検出部を集積化した、クラックの発生しない高信頼度な複合化空燃比センサが得られる。このような本発明による複合化空燃比センサによって、自動車エンジンの始動直後の厳しい排ガス規制を容易にクリアできる燃焼制御システムの構築が可能になる。
【0069】
図11に本発明に係る第5実施例の空燃比センサの縦断面図を示す。
【0070】
本実施例は、図10に示した実施例とは以下の点が異なる。
【0071】
排ガス検出部となる酸化物半導体20は、ヒータ5の直下部分を避けるようにしてセラミックス基板1の一面の比較的低温(400〜500℃)の部分に配置した例である。HCやNOxの濃度を検出する酸化物半導体の最適な動作温度は、その材料に応じて異なる。前図は、酸化物半導体の最適な動作温度が空燃比センサ検出部と同じく高温(約700℃)の場合である。これに対して本図は、最適な動作温度が低温(400〜500℃)の場合の実装構造である。
【0072】
図12に本発明に係る第6実施例の空燃比センサの縦断面図を示す。
【0073】
本実施例と図10,11の実施例との異なる点は、空燃比検出部となる積層体Aを形成した側と反対側のセラミックス基板1の一面に、HCの濃度を検出するための酸化物半導体23と、NOxの濃度を検出するための酸化物半導体24の両方を集積化して、複合化空燃比センサを構成した点である。
【0074】
図10〜図12に示した複合化空燃比センサのHCやNOxなどの排ガス検出部は、これらの排ガス成分による酸化物半導体の抵抗値変化を利用した実施例である。
【0075】
次に本発明の第7実施例を図13を用いて説明する。
【0076】
本実施例は、ジルコニア固体電解質の酸素ポンプ現象と多孔質部材中のHCやNOxなどの拡散律速現象を利用してHCやNOx等の排ガス成分を検出しようとするものであり、このような排ガス検出部を、前述した各実施例における空燃比センサ検出部と共に集積化(積層化)した複合化空燃比センサである。
【0077】
本実施例は、図1に示した空燃比センサの構造とは以下の点が異なる。
【0078】
すなわち、ヒータ5を内蔵したセラミックス基板1と空燃比検出部を構成する積層体A(緻密質ジルコニア固体電解質2、多孔質ジルコニア固体電解質3、多孔質の保護膜4の積層体)との間に、緻密質ジルコニア固体電解質25、NOx検出用電極27及び多孔質酸化物26よりなるNOx検出部を配置した点である。
【0079】
図13に示した複合化空燃比センサのNOx検出部の検出原理を図14に示す。本図にはNOx検出部の検出原理と共に、空燃比検出部の検出原理も示している。後者の空燃比検出部の検出原理は図5で説明したので、ここでは前者のNOx検出部の検出原理についてのみ述べることにする。
【0080】
電極27と多孔質酸化物26の材料を適当に選択することによって、種々の排ガス成分の濃度を高感度、且つ選択的に検出することができる。
【0081】
例えば、電極27に白金系の金属材料、酸化物26に多孔質のCdCr2O4を選べば、排ガス雰囲気中のNOの濃度を選択的に検出できることが分かった。多孔質酸化物26に流入する排ガス中からNOが多孔質酸化物26を通してNOx検出用電極27の表面へ拡散で流入する。NOx検出用電極27と空燃比検出部の酸素基準極6の間に電圧(約0.1V)を印加すると、酸素ポンプ現象で酸素イオンが酸素基準極6からNOx検出用電極27に向けて緻密質ジルコニア固体電解質25中を移動する。
【0082】
そして、NOx検出用電極27で酸素イオンはO2に変換され、拡散で流入したNOと反応する。NOはNO2に置換されて排ガス中へ流出する。このとき、緻密質ジルコニア固体電解質25中を移動する酸素イオンに対応したポンプ電流Ipを外部に設けた検出回路で計測すれば、このポンプ電流IpはNOの濃度に比例する。この構造のセンサも中空室がないため、クラックの発生しない高信頼度な複合化空燃比センサが得られる。なお、電極27と多孔質酸化物26の材料を適当に選択することによって、NOxではなくHCの濃度を選択的に検出できることも分かった。
【0083】
図15に本発明に係る複合化空燃比センサの実施例(第8実施例)の縦断面図を示す。
【0084】
本実施例は、構造が異なるものの、図13に示した複合化空燃比センサと同原理のセンサである。
【0085】
ヒータ5を内蔵したセラミックス基板1のもう一方の面(空燃比検出部の積層体Aを設けた側と反対側の面)にNOx検出部を実装した点が異なる。
【0086】
すなわち、ヒータ5を内蔵したセラミックス基板1の一面に酸素基準極6,緻密質ジルコニア固体電解質2,陰極7,多孔質固体電解質3,陽極8,多孔質の保護膜4を積層させてなる空燃比検出部が形成され、該セラミックス基板1の他面に酸素基準極28,緻密質ジルコニア固体電解質25,NOx検出用電極27,多孔質酸化物26を積層させてなるNOx検出部が形成され、空燃比検出部の酸素基準極6とNOx検出部の酸素基準極28とがセラミックス基板1に設けたスルーホール29を介して酸素ガスを導通可能に通じている。セラミックス基板1を貫通するように設けた小さいスルーホール29を介して空燃比センサ検出部の酸素基準極6部のO2をNOx検出部の電極28部へ拡散できるようにしている。
【0087】
この結果、電極28も酸素基準極の機能を持つことができる。なお、多孔質酸化物26の上に設けたパッド30を介して、NOx検出部は外部に設けた検出回路と電気的に結線される。
【0088】
図15に示した複合化空燃比センサのNOx検出部の検出原理を、空燃比検出部の検出原理と共に図16に示した。NOx検出部の検出原理は図14に示したものと同じであるので、ここでの説明は省略する。
【0089】
図17に本発明に係る複合化空燃比センサの実施例(第9実施例)の縦断面図を示す。
【0090】
本実施例は、図1に示した空燃比センサの空燃比検出部(積層体A)の中にNOx検出部を配置したものである。すなわち、多孔質ジルコニア固体電解質3の一部をくりぬき、この部分に緻密質の絶縁部材32で囲まれた緻密質ジルコニア固体電解質31を配置し、緻密質ジルコニア固体電解質31の上面に白金系の金属材料からなる電極33を成膜している。
【0091】
図17に示した複合化空燃比センサのNOx検出部の検出原理を図18に示す。図にはNOx検出部の検出原理と共に、空燃比検出部の検出原理も示している。後者の空燃比検出部の検出原理は図5で説明したので、ここでは前者のNOx検出部の検出原理についてのみ述べることにする。
【0092】
多孔質ジルコニア固体電解質3の内部を拡散して陰極7へ流入したNOxは、次に陰極7の多孔質部分を拡散して緻密質ジルコニア固体電解質31の下部へ到達する。差動増幅器34の−側入力端子37と電極33を結線し、+側入力端子36へ所定の起電力eNOxを与える。そして、電極33と陰極7の間の電位差がeNOxになるように、差動増幅器34でNOx検出部を電気的に制御する。このとき、陰極7の部分へ拡散で流入したNOxは分解され、O2ガスを発生する。このO2は陰極7で酸素イオンに変換され、陰極7から電極33に向かって緻密質ジルコニア固体電解質31中を通過する。この酸素イオンの量に対応したポンプ電流Ip2を検出回路35で計測すれば、この値はNOxの濃度に比例した値になる。本NOx検出部には中空室がないため、空燃比センサ検出部と共にNOx検出部を集積化した高信頼度な複合化空燃比センサを得ることができる。
【0093】
上記各実施例に係る空燃比センサの概略実装方法を図19に示す。
【0094】
空燃比センサ45の検出部を構成する積層体38は、接合部材43を用いて検出部とパッド部の中間位置でハウジング39へ気密に固定される。空燃比センサ45の積層体38は複数のリード線40を介して、外部の信号処理回路他と結線される。複合化空燃比センサ45を排気管44に取り付けると、排ガスの流れはハウジング39の先端に設けたルーバ42の小さい孔41を経て、複合化空燃比センサ45の積層体38の検出部に到達するようになっている。
【0095】
本発明による複合化空燃比センサを用いたエンジン制御システムの概略構成を図20に示す。燃焼室47内へ供給された空気と燃料の混合ガスは、ピストン48が上昇した圧縮行程時に点火プラグ46で着火される。燃焼後の排ガスは排気管44を経て複合化空燃比センサ45部へ到達する。複合化空燃比センサ45によって、エンジンに供給された空気と燃料の比率である空燃比やNOx、HCなどの排ガス成分の濃度が検出され、その出力信号がエンジン制御用のマイコン49へ送られる。マイコン49は複合化空燃比センサ45と各種センサからの入力信号Saを処理して、エンジンへ燃料を供給するインジェクタをはじめとする各種アクチュエータを駆動するための出力信号Sbを出力する。
【0096】
本発明による空燃比センサは起動時間が特に短いため、エンジン始動直後の排ガス規制を容易にクリアできるエンジンの燃焼制御システムを提供することができる。
【0097】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、空燃比検出部,排ガス成分検出部等の加熱速度を速めることで、電源投入後の短い時間(約5秒)で動作して始動直後の排ガス規制に適合し、且つ低消費電力で、しかも、熱クラックや反りの発生防止を図り得るように中空室を排除した積層構造で、リーン〜リッチの範囲の空燃比検出を可能にした高信頼性の空燃比センサ、及びNOx,HC等の排ガス成分も検出可能にした実現性の容易な複合化空燃比センサを提供することができる。
【0098】
さらに、エンジン始動直後の排ガス規制を容易にクリアできるエンジンの燃焼制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる空燃比センサの第1実施例を示した縦断面図。
【図2】第1実施例に係る空燃比センサの平面図。
【図3】第1実施例に係る空燃比センサの展開図。
【図4】空気過剰率λと各種排ガス成分の濃度の関係を示した説明図。
【図5】本発明の空燃比センサの検出原理を示した説明図。
【図6】本発明に係る空燃比センサの第2実施例を示した縦断面図。
【図7】第2実施例に係る空燃比センサの平面図。
【図8】本発明に係る空燃比センサの第3実施例を示した縦断面図。
【図9】上記各実施例に適用するヒータパターンの説明図。
【図10】本発明に係る空燃比センサの第4実施例を示した縦断面図。
【図11】本発明に係る空燃比センサの第5実施例を示した縦断面図。
【図12】本発明に係る空燃比センサの第6実施例を示した縦断面図。
【図13】本発明に係る空燃比センサの第7実施例を示した縦断面図。
【図14】図13に示したNOx検出部の検出原理を示した図。
【図15】本発明に係る空燃比センサの第8実施例を示した縦断面図。
【図16】図15に示しのNOx検出部の検出原理を示した図。
【図17】本発明に係る空燃比センサの第9実施例を示した縦断面図。
【図18】図17に示したNOx検出部の検出原理を示した図。
【図19】上記した各実施例の空燃比センサの概略実装方法を示した図。
【図20】上記した各実施例の空燃比センサを用いたエンジン制御システムの概略構成図。
【符号の説明】
1…セラミックス基板、1a,1b…セラミックス基板、2…緻密質ジルコニア固体電解質、3…多孔質ジルコニア固体電解質、4…多孔質保護膜、5…ヒータ、6…酸素基準極、7…陰極、8…陽極、9,9a,9b,9c…パッド、10,10a,10b…パッド、15…空燃比検出部、16,17…インサート材(熱応力緩衝層)、20…酸化物半導体、23…HC検出用酸化物半導体、24…NOx検出用酸化物半導体、25…緻密質ジルコニア固体電解質、26…多孔質酸化物、27…NOx検出用電極、28…酸素基準極、31…緻密質ジルコニア固体電解質、32…緻密質の絶縁部材。
Claims (18)
- 酸素基準極,緻密質ジルコニア固体電解質,陰極,多孔質ジルコニア固体電解質,陽極,多孔質の保護膜を積層した積層体により空燃比検出部が形成され、且つ、この空燃比検出部とヒータを内蔵したセラミックス基板とが層状に接合されていることを特徴とする空燃比センサ。
- 前記酸素基準極,陰極及び陽極は、白金系の材料よりなる多孔質の電極材料で構成され、前記ヒータは白金系の材料でアルミナよりなるセラミックス基板の中に内蔵されている請求項1記載の空燃比センサ。
- 前記酸素基準極の一部が残りの部分よりも極めて細い形状のパターンに形成され、この細い形状パターンが前記空燃比検出部を構成する積層体の層間を介して排ガス雰囲気と直接的に接触している請求項1又は2記載の空燃比センサ。
- 前記空燃比検出部を構成する積層体のうち前記酸素基準極,陰極及び陽極は前記緻密質ジルコニア固体電解質,多孔質ジルコニア固体電解質,保護膜の長さよりも短くして積層体の長手方向の一端に片寄って配設されることで、空燃比検出部が積層構造体の長手方向の一端に位置し、前記ヒータのパターンは、前記積層体の長手方向において、空燃比検出部側が緻密で空燃比検出部の反対側端部に向かうにつれて次第に粗になるようなパターンに形成されている請求項1ないし3のいずれか1項記載の空燃比センサ。
- ヒータを内蔵するセラミックス基板の表面に酸素基準極,緻密質ジルコニア固体電解質,陰極,多孔質ジルコニア固体電解質,陽極,多孔質の保護膜が印刷により積層されて、この積層体により空燃比検出部が形成されていることを特徴とする空燃比センサ。
- 前記空燃比検出部を構成する積層体は、前記ヒータを内蔵するセラミックス基板の先端部に設けられている請求項1ないし5のいずれか1項記載の空燃比センサ。
- 前記空燃比検出部の前記緻密質ジルコニア固体電解質と前記ヒータを内蔵するセラミックス基板との間に、該緻密質ジルコニア固体電解質とセラミックス基板との中間の熱膨張係数を有する1層以上の熱応力緩衝層が介在している請求項1ないし6のいずれか1項記載の空燃比センサ。
- 前記セラミックス基板がアルミナであり、前記熱応力緩衝層がジルコニアとアルミナとの混合材料で構成されている請求項7記載の空燃比センサ。
- 前記空燃比検出部を構成する前記積層体と、前記ヒータを内蔵する前記セラミックス基板とが熱応力緩衝層を介して一体に接合され、前記熱応力緩衝層は前記積層体の構成要素である前記緻密質ジルコニア固体電解質と前記セラミックス基板との混合材料でその配合割合を異ならせた2層以上の熱応力緩衝層により構成されている請求項1記載の空燃比センサ。
- 前記セラミックス基板の表面の一部には、酸化物半導体により構成されたHC検出部,NOx検出部の少なくとも一つが併設されている請求項1ないし9のいずれか1項記載の空燃比センサ。
- 前記酸化物半導体よりなるHC検出部やNOx検出部は、前記セラミックス基板の表面のうち空燃比検出部を配置した側と反対側の面に形成してなる請求項10記載の空燃比センサ。
- 前記セラミックス基板に内蔵されるヒータのパターンは、該セラミックス基板の長手方向の一端側が高温,中央が中温,他端側が低温となる温度分布が生じるよう設定され、前記HC検出部やNOx検出部は、前記セラミックス基板の長手方向の中央部に配置されている請求項10又は11記載の空燃比センサ。
- 酸素基準極,緻密質ジルコニア固体電解質,陰極,多孔質ジルコニア固体電解質,陽極,多孔質の保護膜を積層させてなる空燃比検出部と、多孔質酸化物,NOx検出用電極,緻密質ジルコニア固体電解質を積層させてなるNOx検出部と、ヒータを内蔵したセラミックス基板と、が一体に接合されて一つの積層構造体として構成されていることを特徴とする複合化空燃比センサ。
- 酸素基準極,緻密質ジルコニア固体電解質,陰極,多孔質ジルコニア固体電解質,陽極,多孔質の保護膜を積層させてなる空燃比検出部と、多孔質酸化物,HC検出用電極,緻密質ジルコニア固体電解質を積層させてなるHC検出部と、ヒータを内蔵したセラミックス基板と、が一体に接合されて一つの積層構造体として構成されていることを特徴とする複合化空燃比センサ。
- ヒータを内蔵したセラミックス基板の一面に酸素基準極,緻密質ジルコニア固体電解質,陰極,多孔質ジルコニア固体電解質,陽極,多孔質の保護膜を積層させてなる空燃比検出部が形成され、該セラミックス基板の他面に酸素基準極,緻密質ジルコニア固体電解質,NOx検出用電極,多孔質酸化物を積層させてなるNOx検出部が形成され、前記空燃比検出部の酸素基準極と前記NOx検出部の酸素基準極とが前記セラミックス基板に設けたスルーホールを介して通じていることを特徴とする複合化空燃比センサ。
- ヒータを内蔵したセラミックス基板の一面に酸素基準極,緻密質ジルコニア固体電解質,陰極,多孔質ジルコニア固体電解質,陽極,多孔質の保護膜を積層させてなる空燃比検出部が形成され、該セラミックス基板の他面に酸素基準極,緻密質ジルコニア固体電解質,HC検出用電極,多孔質酸化物を積層させてなるHC検出部が形成され、前記空燃比検出部の酸素基準極と前記HC検出部の酸素基準極とが前記セラミックス基板に設けたスルーホールを介して通じていることを特徴とする複合化空燃比センサ。
- 酸素基準極,緻密質ジルコニア固体電解質,陰極,多孔質ジルコニア固体電解質,陽極,多孔質の保護膜を積層した積層体により空燃比検出部が形成され、且つ、この空燃比検出部とヒータを内蔵したセラミックス基板とが層状に接合され、前記多孔質ジルコニア固体電解質の一部をくりぬき、このくりぬき部分に絶縁部材で囲まれた緻密質ジルコニア固体電解質とその上面に電極を形成することでNOx検出部が構成されていることを特徴とする複合化空燃比センサ。
- 請求項1〜17のいずれか1項記載の空燃比センサ又は複合化空燃比センサの検出信号をエンジン制御に必要な他の各種センサの検出信号と共に入力して、空燃比制御や排ガス規制に必要な燃焼制御を行なうことを特徴とするエンジン燃焼制御システム。
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