JP3686177B2 - 手延べ中華麺の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な手延べ中華麺の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
古来、中国において人の手により麺線を何回も引き伸ばして手延べ中華麺を作ることが行われている。このような手法において、麺線の原料中にかん水のようなアルカリ剤が添加されていると途中の引き伸ばし過程で破断されるため、途中の引き伸ばし工程でかん水を麺線の表面に付着したり、得られた手延べ麺の表面にかん水を付着して中華麺風にすることが行われている。
【0003】
一方、手延べ麺を工業的に製造する方法としては、麺生地を時間をかけて圧延し、引伸し、撚りをかけると共に、各工程毎に十分な熟成時間を取って1本の細い麺線に仕上げる方法が知られている。このような製法で得られる手延べ麺は、素麺やうどんに限られ、中華麺では得られていない。これは、中華麺は素麺やうどんと異なり、原料中にアルカリ剤であるかん水を添加していることに起因するものである。
【0004】
すなわち、かん水の小麦粉への添加は、アルカリ性による黄発色、特有のアルカリ風味および食感を出すことができる一方、小麦粉中のグルテンに対する収斂作用を惹起するためである。前記グルテンは、素麺やうどんの原料として添加される食塩水には溶けないが、かん水には溶ける性質がある。このため、小麦粉およびかん水を含む原料から得られた麺生地は硬く、弾力性も強いものの、伸長性が食塩水を含む素麺やうどんの麺生地に比べて非常に低い性質を有するものである。
【0005】
したがって、このようなかん水を含む中華麺の麺生地を前述した工業的な手延べ工程で複数回延伸させると、麺線が強くなって十分に引き延ばすことができなくなる。また、無理に延伸すると麺線が切れてそれ以上の延伸を行なうことができなくなるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、手延べ製麺時の複数回の引伸ばし工程において切断することなく十分に細線化することが可能で、かつ喫食に際しソフトな弾力、舌触り、喉ごしが良好で、コシ、歯切れおよび中華麺特有の風味が向上された、いわゆる茹タイプの手延べ中華麺の製造方法を提供しようとするものである。
【0007】
また、本発明は手延べ製麺時の複数回の引伸ばし工程において切断することなく十分に細線化することが可能で、かつ常温での長期保存が可能で、さらに喫食に際しソフトな弾力、舌触り、喉ごしが良好で、コシ、歯切れおよび中華麺特有の風味が向上された、いわゆる生タイプの手延べ中華麺の製造方法を提供しようとするものである。
【0008】
さらに、本発明は手延べ製麺時の複数回の引伸ばし工程において切断することなく十分に細線化することが可能で、かつ調理時の茹で時間を著しく短縮でき、さらに喫食に際し舌触り、喉ごしが良好で、コシ、歯切れおよび中華麺特有の風味が向上された、いわゆる乾燥、半乾燥の手延べ中華麺の製造方法を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係わる手延べ中華麺(茹手延べ中華麺)の製造方法は、小麦粉を主成分とするタンパク質7.0〜9.5重量%の主原料と、この主原料に配合されるアルカリ剤およびグリアジンを含み、製麺後の硬さが異なる2種以上の配合物をそれぞれ混捏して2種以上の麺生地を作製する工程と、
前記各麺生地から製麺後の硬さが硬い麺生地が内部に位置するように麺線を作製する工程と、
前記麺線を常法に従って手延べ製麺して糸状麺線を作製する工程と、
前記糸状麺線を茹でた後、水冷する工程と
を具備することを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係わる別の手延べ中華麺(生タイプ手延べ中華麺)の製造方法は、小麦粉を主成分とするタンパク質7.0〜9.5重量%の主原料と、この主原料に配合されるアルカリ剤およびグリアジンを含み、製麺後の硬さが異なる2種以上の配合物をそれぞれ混捏して2種以上の麺生地を作製する工程と、
前記各麺生地から製麺後の硬さが硬い麺生地が内部に位置するように麺線を作製する工程と、
前記麺線を常法に従って手延べ製麺して糸状麺線を作製する工程と、
前記糸状麺線を茹でた後、水冷する工程と、
前記糸状麺線を酸液で処理し、さらにこの糸状麺線を包装した後、熱処理して殺菌する工程と
を具備することを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係わるさらに別の手延べ中華麺(乾燥手延べ中華麺)の製造方法は、小麦粉を主成分とするタンパク質7.0〜9.5重量%の原料粉と、この原料粉に配合されるアルカリ剤およびグリアジンを含む配合物と、小麦粉を主成分とするタンパク質7.0〜9.5重量%の原料粉と、この原料粉に配合されるアルカリ剤、グリアジンおよび澱粉を含む少なくとも1つの配合物とをそれぞれ混捏して2種以上の麺生地を作製する工程と、
前記各麺生地から澱粉を含む麺生地が内部に位置するように麺線を作製する工程と、
前記麺線を常法に従って手延べ製麺し、乾燥して糸状麺線を作製する工程と
を具備することを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わる手延べ中華麺(茹手延べ中華麺)の製造方法を詳細に説明する。
(第1工程)
まず、小麦粉を主成分とする主原料、アルカリ剤およびグリアジンを含み、製麺後の硬さが異なる2種以上の配合物をそれぞれ混捏して2種以上の麺生地を作製する。
【0013】
前記“製麺後”とは、後述する茹でて水冷した後の最終製品での状態を意味するものである。
前記“主原料”とは、小麦粉単独もしくは小麦粉と穀類との混合物を意味するものである。
【0014】
前記主原料中には、タンパク質が7.0〜9.5重量%の範囲で含有されることが好ましい。前記タンパク質は、小麦粉由来のタンパク質を主体とするものであることが好ましい。前記主原料中に含まれるタンパク質の量を規定したのは、次のような理由によるものである。タンパク質の含有量を7.0重量%未満にすると、麺生地が柔らかくなるものの、やや脆くなって延伸工程で破断し易くなる恐れがある。一方、タンパク質の含有量が9.5重量%を越えると麺生地が硬くなり過ぎて延伸工程において破断される恐れがある。より好ましい前記主原料中のタンパク質含有量は、8.0〜9.3重量%である。
【0015】
前記アルカリ剤としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、焼成カルシウム等を用いることができる。このようなアルカリ剤は、中華麺において一般に使用されている量を配合すればよい。
【0016】
前記配合物中のグリアジンの配合量は、前記主原料中のタンパク質量との兼ね合いで調節される。前記グリアジンは、例えば1〜20重量%、より好ましくは2〜6重量%の範囲内で前記配合物に含有されることが望ましい。特に、前記グリアジンの配合量は前記製麺後の硬さが異なる2種以上の麺生地から太さが10mmの糸状麺線を作製し、これを延伸して破断するに至った時の伸び率が16倍以上になるように調節されることが好ましい。
【0017】
ここで、“伸び率の測定”は、次のような方法で行った。
Figure 0003686177
このような手延べ工程において、掛けば工程直前の太さ10mmの糸状麺線の長さ(L0 )を測定し、前記掛けば工程から大引き工程までの間に切れた時の麺線の長さ(L1 )を測定し、次式から“伸び率”を求める。
【0018】
伸び率=L1 /L0
前記糸状麺線の伸び率が16倍未満の性質を有する麺生地を用いると、手延べ製麺の延伸工程で破断され易くなるばかりか、十分に延伸を行なうことができなくなるために長さ方向にグルテンの網目構造が良好に配向されたソフトな弾力、舌触り、喉ごしで、コシ、歯切れが良好な手延べ中華麺の製造が困難になる。
【0019】
前記各配合物の製麺後の硬さ調節は、例えば配合物中に増粘多糖類、動物性タンパク質および植物性タンパク質から選ばれる少なくとも1種の硬さ調節剤を添加することによりなされる。前記増粘多糖類としては、例えばアルギン酸、グアガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム等を挙げることができる。なお、コア−第1クラッド−第2クラッドの3層構造の手延べ中華麺を製造する場合には前記増粘多糖類等を前記コアのみ、もしくは前記コアおよび第1クラッドに、コアほど多くなるように含有させることが好ましい。
【0020】
前記各配合物中には、食塩、油脂、乳化剤、色素、糖類等が配合されることを許容する。
前記混捏は、減圧下にて行うことを許容する。このように前記配合物を減圧下にて混捏することによって、前記配合物中の前記主原料に含まれるタンパク質量を6.0〜10.0重量%の範囲に拡大しても得られた麺生地の手延べ工程において破断されるのを防止することができ、さらに得られた手延べ中華麺表層の透明感を改善することが可能になる。前記混捏時の真空度は、360Torr以下にすることが好ましい。真空度が360Torrを越えると、常圧に近くなり、得られた手延べ中華麺の透明度を改善することが困難になる。より好ましい真空度は、360〜40Torrの範囲である。
【0021】
前記各麺生地は、加水率が40〜50%であることが好ましい。前記麺生地の加水率を40%未満にすると、太さが10mmの糸状麺線を延伸する際の伸び率を16倍以上にすることが困難になる。一方、前記麺生地の加水率が50%を越えるとこの麺生地から作られた麺線が互いに付着しやすくなって手延べ中華麺の製造工程における麺線のさばきが悪化する恐れがある。
【0022】
(第2工程)
前記各麺生地から製麺後の硬さが硬い麺生地が内部に位置するように麺線を作製する。
【0023】
ここで、製麺後の硬さが硬い麺生地が内部に位置する麺線とは、製麺後の硬さが硬い麺生地が少なくとも中心に位置するように2層以上同心円状もしくはほぼ同心円状に配置した形態の麺線(例えばコア−クラッド構造)、または製麺後の硬さが硬い少なくとも1種の麺生地がそれより柔らかい麺生地中に島状に分散した形態の麺線を意味する。
【0024】
製麺後の硬さが柔らかい麺生地を表層に、製麺後の硬さが硬い麺生地を内部にそれぞれ配置したコア−クラッドの2層構造の麺線は、例えば製麺後の硬さが柔らかい麺生地からなる第1麺帯に製麺後の硬さが硬い麺生地からなる断面が円形または矩形状の第2麺帯を重ね、前記第1麺帯で前記第2麺帯を包み込むか、または前記第1麺帯上に製麺後の硬さが硬い麺生地からなる前記第1麺帯より幅の狭い形状を有する第2麺帯を重ね、前記第1麺帯で前記第2麺帯を包み込んだ後、熟成、圧延を行うことにより作製される。
【0025】
コア−クラッドの2層構造の麺線においてはコシおよび歯切れ性を向上させる観点から、コア:クラッドの断面積比率を1:1〜1:4にすることが好ましい。
【0026】
前記麺線は、通常、20〜30mmの太さを有する。
(第3工程)
前記麺線を以下に示す常法に従って手延べ製麺することにより糸状麺線を作製する。
【0027】
細め工程;前記麺線を撚巻機に数回通す、初期延伸工程で、太さが7〜10mm前後の糸状麺線を作製する。
掛けば工程;前記細め工程後の糸状麺線を2本の竿に八の字に掛け、前記2本の竿を互いに離れるように開くことにより太さが5〜6mmの麺線を作製する。
【0028】
熟成工程;前記掛けば工程で得た糸状麺線を前記2本の竿に掛けた状態で1〜2時間熟成する。
小引き工程;前記2本の竿に掛けた糸状麺線を徐々に引き伸す。
【0029】
熟成工程;前記小引き工程で得た糸状麺線を前記2本の竿に掛けた状態で1〜2時間熟成する。
大引き工程;熟成工程後の糸状麺線が掛けられた2本の竿を上下方向に配置し、 竿の間隔を広げながら、糸状麺線をさらに引き伸ばす。
【0030】
下引き工程;大引き工程後の糸状麺線が掛けられた2本の竿のうち、下側の竿をさらに下方に移動させて糸状麺線を引き伸ばして太さが1mm前後の麺線を作製する。
【0031】
乾燥工程;下引き工程後の麺線を2本の竿に掛けた状態で乾燥する。
こわり工程;糸状麺線を前記2本の竿からはずす。
前記乾燥工程は、水分量が25%前後になるように行えばよいが、ほぐれ性のような麺質を改善する観点から水分量が10〜15%になるように行うことが好ましい。
【0032】
(第4工程)
得られた糸状麺線を茹でた後、水冷することにより手延べ中華麺(茹手延べ中華麺)を製造する。
【0033】
前記糸状麺線の茹で工程は、例えば前記糸状麺線を1食分の寸法に切断してバケット等の容器に収納した後、沸騰水浴中で行われることが好ましい。この茹で工程は、糸状麺線の水分量が50〜60%になるように行うことが好ましい。
【0034】
なお、前記水冷後に凍結工程を加えることによって冷凍手延べ中華麺が製造される。
以上説明した本発明に係わる手延べ中華麺の製造方法は、小麦粉を主成分とする主原料、アルカリ剤およびグリアジンを含み、製麺後の硬さが異なる2種以上の配合物をそれぞれ混捏して2種以上の麺生地を作製する工程と、前記各麺生地から製麺後の硬さが硬い麺生地が内部に位置するように麺線を作製する工程と、前記麺線を常法に従って手延べ製麺して糸状麺線を作製する工程と、前記糸状麺線を茹でた後、水冷する工程とを具備する。
【0035】
このような本発明の製造方法において、各麺生地の配合物中には小麦粉を主成分とする主原料、かん水のようなアルカリ剤と共に伸展性に富むグリアジンを含む組成を有するため、麺生地から製麺後の硬さが硬い麺生地が内部に位置するように麺線を作製し、これをを常法に従って手延べ製麺することによって、前記製麺時の複数回の延伸工程に際し、破断ないし切断することなく十分に細線化された糸状麺線を作製することができる。また、増粘多糖類のような硬さ調節剤の添加により硬さを高めた麺生地が内部に配置されている麺線、例えばコア−クラッド構造の麺線を用いた場合でも、前記コアへの増粘多糖類の所定の添加範囲で、前記コアおよびクラッドを同様もしくはほぼ同様な延伸状態(伸び率)にすることが可能である。このため、単一の麺生地から作られた麺線を手延べするのと同様に破断ないし切断を生じることなく、コア−クラッド構造の糸状麺線を作製することができる。
【0036】
作製された糸状麺線は、例えば増粘多糖類のような硬さ調節剤の添加により硬さを高めた麺生地が内部に配置された複合構造を有するため、茹で・水冷工程後においても弾力性および硬さが維持され、良好なコシおよび歯切れを有する糸状麺線(茹手延べ中華麺)を得ることができる。
【0037】
したがって、本発明によれば喫食に際しソフトな弾力、舌触り、喉ごしを有し、さらに良好なコシ、歯切れおよび中華麺特有の風味を有する茹手延べ中華麺の製造方法を提供できる。
【0038】
特に、太さが10mmの糸状麺線とし、これを延伸して破断するに至った時の伸び率が16倍以上である性質を有し、製麺後の硬さの異なる2種以上の配合物を用いて前述したように麺線を作製し、常法に従って手延べ製麺すると、前記製麺時の複数回の延伸工程において糸状麺線の切断を確実に防ぐことができる。
【0039】
また、小麦粉を主成分とし、所定量(7.0〜9.5重量%)のタンパク質を含む主原料、かん水のようなアルカリ剤およびグリアジンを含む組成を有し、かつ太さが10mmの糸状麺線とし、これを延伸して破断するに至った時の伸び率が16倍以上である性質を有し、製麺後の硬さが異なる2種以上の配合物を用いて前述したように麺線を作製し、これを常法に従って手延べ製麺することによって、前記製麺時の複数回の延伸工程において切断ないし破断を確実に回避して十分に細線化された糸状麺線を得ることができる。また、茹で・水冷工程を経た後においても、下記に説明する作用から喫食に際しソフトな弾力、良好な舌触り、喉ごしを有し、その上、極めてコシ、歯切れが良好で、中華麺特有の風味を有する手延べ中華麺を得ることができる。
【0040】
すなわち、タンパク質を含む麺生地を手延べ製麺すると、前記タンパク質グルテンの主成分であるグリアジンとグルテニンの相互作用によりグルテンの網目構造が生成され、さらに延伸(引き伸ばし)工程により前記グルテンの網目構造が前記麺線の長さ方向に配向される。
【0041】
一方、麺生地中にはアルカリ剤であるかん水が添加される。前述した量のタンパク質を含み、かつかん水が添加された配合物を混捏すると、前記タンパク質グルテンの結合展開(網目形成)が速くなるため、得られた麺生地は硬く、弾力が強いものの、伸長性が乏しいものになる。その結果、この麺生地を手延べ製麺すると、引き伸ばし工程で麺線が破断して目的とする細線状態(1mm前後)でグルテンの網目構造が均一に配向された手延べ麺線を製造できなくなる。
【0042】
このようなことから、7.0〜9.5重量%のタンパク質を含む主原料およびかん水のようなアルカリ剤に粘性が強く伸展性に富むグリアジンを配合することによって、タンパク質グルテンの主成分であるグリアジンとグルテニンの相互作用により生成されるグルテンの網目構造をグリアジン過多の形態にすることが可能になる。このような麺生地は、伸長性に優れているため、太さが10mmの糸状麺線とし、これを延伸して破断するに至った時の伸び率が16倍以上である性質を有する。したがって、この性質を有し、製麺後の硬さの異なる2種以上の麺生地を用いて手延べ製麺することによって、複数回の延伸工程(引き伸ばし工程)において糸状麺線の切断を招くことなく十分に細線化(例えば1mm前後)することが可能になる。複数回の引き伸ばし工程を経て造られた糸状麺線は、既述したようにグルテンの網目構造が均一に配向されているため、茹で・水冷工程を経た後においても、喫食に際し良好な舌触り、喉ごしを有する。また、硬さが高められた麺生地を内部に配置することによって、弾力性および硬さが維持され、良好なコシおよび歯切れを有する手延べ中華麺を得ることができる。
【0043】
以下、本発明に係わる別の手延べ中華麺(生タイプ手延べ中華麺)の製造方法を詳細に説明する。
(第1工程)
まず、前述した茹手延べ中華麺の製造と同様に麺小麦粉を主成分とする主原料、アルカリ剤およびグリアジンを含み、製麺後の硬さが異なる2種以上の配合物をそれぞれ混捏して2種以上の麺生地を作製し、これらの各麺生地から製麺後の硬さが硬い麺生地が内部に位置するように麺線を作製し、さらにこの麺線を常法に従って手延べ製麺して糸状麺線を作製し、この糸状麺線を茹でた後、水冷する。
【0044】
前記“製麺後”とは、後述する熱処理して殺菌した後の最終製品での状態を意味するものである。
前記“主原料”とは、前記茹手延べ中華麺の製造方法で説明したのと同様なものを意味する。
【0045】
前記主原料中には、前記茹手延べ中華麺の製造方法で説明したのと同様、タンパク質が7.0〜9.5重量%の範囲で含有されることが好ましい。より好ましい前記主原料中のタンパク質含有量は、8.0〜9.3重量%である。
【0046】
前記アルカリ剤としては、前述した茹手延べ中華麺の製造方法で説明したのと同様のものが用いられる。
前記配合物中のグリアジンの配合量は、前記主原料中のタンパク質量との兼ね合いで調節される。前記グリアジンは、例えば1〜20重量%、より好ましくは2〜6重量%の範囲内で前記配合物に含有されることが望ましい。特に、前記グリアジンの配合量は前記製麺後の硬さが異なる2種以上の麺生地から太さが10mmの糸状麺線を作製し、これを延伸して破断するに至った時の伸び率(前記茹手延べ中華麺の製造方法で説明したのと同様に定義される)が16倍以上になるように調節されることが好ましい。
【0047】
前記各配合物の製麺後の硬さ調節は、例えば配合物中に増粘多糖類、動物性タンパク質および植物性タンパク質から選ばれる少なくとも1種の硬さ調節剤を添加することによりなされる。前記増粘多糖類としては、例えばアルギン酸、グアガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム等を挙げることができる。特に、増粘多糖類としてはアルギン酸が好適である。例えばコア−クラッドの2層構造の手延べ中華麺を製造する場合には、コアの麺生地(配合物)にのみアルギン酸のような増粘多糖類を配合することが好ましい。前記コアの配合物中に含有される前記増粘多糖類(例えばアルギン酸)は、0.2〜2.0重量%、より好ましくは0.4〜1.0重量%の範囲にすることが望ましい。前記アルギン酸の含有量を0.2重量%未満にすると、加熱殺菌工程後において良好なコシおよび歯切れを有する糸状麺線を得ることが困難になる。一方、前記アルギン酸の含有量が2.0重量%を越えると得られた製品の喫食時の食感が硬くなり過ぎる恐れがある。なお、コア−第1クラッド−第2クラッドの3層構造の手延べ中華麺を製造する場合には前記増粘多糖類(例えばアルギン酸)を前記範囲(0.2〜2.0重量%)内で前記コアのみ、もしくは前記コアおよび第1クラッドに、コアほど多くなるように含有させることが好ましい。
【0048】
前記各配合物中には、前記茹手延べ中華麺の製造方法で説明したのと同様、食塩、油脂、乳化剤、色素、糖類等が配合されることを許容する。
前記混捏は、前記茹手延べ中華麺の製造方法で説明したのと同様、減圧下にて行うことを許容する。
【0049】
前記各麺生地は、加水率が40〜50%であることが好ましい。前記麺生地の加水率を40%未満にすると、太さが10mmの糸状麺線を延伸する際の伸び率を16倍以上にすることが困難になる。一方、前記麺生地の加水率が50%を越えるとこの麺生地から作られた麺線が互いに付着しやすくなって手延べ中華麺の製造工程における麺線のさばきが悪化する恐れがある。
【0050】
製麺後の硬さが硬い麺生地が内部に位置する麺線とは、製麺後の硬さが硬い麺生地が中心に位置するように少なくとも2層以上同心円状もしくはほぼ同心円状に配置した形態の麺線(例えばコア−クラッド構造)、または製麺後の硬さが硬い少なくとも1種の麺生地がそれより柔らかい麺生地中に島状に分散した形態の麺線を意味する。
【0051】
製麺後の硬さが柔らかい麺生地を表層に、製麺後の硬さが硬い麺生地を内部にそれぞれ配置したコア−クラッドの2層構造の麺線は、例えば製麺後の硬さが柔らかい麺生地からなる第1麺帯に製麺後の硬さが硬い麺生地からなる断面が円形または矩形状の第2麺帯を重ね、前記第1麺帯で前記第2麺帯を包み込むか、または前記第1麺帯上に製麺後の硬さが硬い麺生地からなる前記第1麺帯より幅の狭い形状を有する第2麺帯を重ね、前記第1麺帯で前記第2麺帯を包み込んだ後、熟成、圧延を行うことにより作製される。
【0052】
コア−クラッドの2層構造の麺線においてはコシおよび歯切れ性を向上させる観点から、コア:クラッドの断面積比率を1:1〜1:4にすることが好ましい。
【0053】
前記麺線は、通常、20〜30mmの太さを有する。
前記麺線は、前記茹手延べ中華麺の製造方法で説明したのと同様な手順で手延べ製麺された糸状麺線から作製される。この乾燥工程は、水分量が25%前後になるように行えばよいが、ほぐれ性のような麺質を改善する観点から水分量が10〜15%になるように行うことが好ましい。
【0054】
前記糸状麺線の茹で工程は、前記茹手延べ中華麺の製造方法で説明したのと同様、例えば前記糸状麺線を1食分の寸法に切断してバケット等の容器に収納した後、沸騰水浴中で行われることが好ましい。この茹で工程は、糸状麺線の水分量が50〜60%になるように行うことが好ましい。
【0055】
(第2工程)
前記第1工程後の糸状麺線を酸液で処理し、さらにこの糸状麺線を耐熱性袋に包装した後、熱処理して加熱殺菌することにより生タイプの手延べ中華麺を製造する。
【0056】
前記酸液処理工程は、例えばクエン酸水溶液、乳酸水溶液等の有機酸水溶液に前記水冷後の糸状麺線を浸漬するか、または前記糸状麺線に前記有機酸水溶液を散布するか、いずれかによりなされる。前記酸液処理後の糸状麺線のpHは、4.0〜5.0にすることが好ましい。前記糸状麺線のpH値を4.0未満にすると喫食時に酸味がかなり強く感じ、しかもぼそぼそして麺が切れ易くなるおそれがある。一方、前記麺のpH値が5.0を越えると殺菌効果が低下して加熱殺菌時の温度を高くする必要が生じ、糸状麺線の劣化および食感(特にコシ)の低下を招くおそれがある。
【0057】
前記糸状麺線の耐熱性袋への包装後の加熱殺菌処理は、その処理時間により左右されるが、90〜110℃で行うことが好ましい。
以上説明した本発明に係わる別の手延べ中華麺(生タイプ手延べ中華麺)の製造方法は、小麦粉を主成分とする主原料、アルカリ剤およびグリアジンを含み、製麺後の硬さが異なる2種以上の配合物をそれぞれ混捏して2種以上の麺生地を作製する工程と、前記各麺生地から製麺後の硬さが硬い麺生地が内部に位置するように麺線を作製する工程と、前記麺線を常法に従って手延べ製麺して糸状麺線を作製する工程と、前記糸状麺線を茹でた後、水冷する工程と、前記糸状麺線を酸液で処理し、さらにこの糸状麺線を包装した後、熱処理して殺菌する工程とを具備する。
【0058】
このような本発明の製造方法において、各麺生地の配合物中には小麦粉を主成分とする主原料、かん水のようなアルカリ剤と共に伸展性に富むグリアジンを含む組成を有するため、麺生地から製麺後の硬さが硬い麺生地が内部に位置するように麺線を作製し、これを常法に従って手延べ製麺することによって、前記製麺時の複数回の延伸工程に際し、破断ないし切断することなく十分に細線化された糸状麺線を作製することができる。アルギン酸のような増粘多糖類(硬さ調節剤)の添加により硬さを高めた麺生地が内部に配置されている麺線、例えばコア−クラッド構造の麺線を用いた場合でも、前記コアへの増粘多糖類の所定の添加範囲で、前記コアおよびクラッドを同様もしくはほぼ同様な延伸状態(伸び率)にすることが可能である。このため、単一の麺生地から作られた麺線を手延べするのと同様に破断ないし切断を生じることなく、コア−クラッド構造の糸状麺線を作製することができる。
【0059】
作製された糸状麺線は、例えばアルギン酸のような増粘多糖類の添加により硬さを高めた麺生地が内部に配置された複合構造を有するため、この後の茹で・水冷工程、酸液処理工程、さらに糸状麺線の包装、熱処理殺菌工程において弾力性等が低下するのを前記内部の麺生地で補償することができる。つまり、常温での長期保存を意図するためになされる酸液処理工程、熱処理殺菌工程が麺線に付与されると、弾力性等の低下が起こるが、硬さが高められた麺生地を内部に有する糸状麺線の作製することによって、熱処理殺菌工程後においても弾力性および硬さが維持され、良好なコシおよび歯切れを有する糸状麺線(手延べ中華麺)を得ることができる。
【0060】
したがって、本発明によれば常温での長期保存が可能で、喫食に際しソフトな弾力、舌触り、喉ごしを有し、さらに良好なコシ、歯切れおよび中華麺特有の風味を有する、いわゆる生タイプの手延べ中華麺の製造方法を提供できる。
【0061】
特に、太さが10mmの糸状麺線とし、これを延伸して破断するに至った時の伸び率が16倍以上である性質を有し、製麺後の硬さの異なる2種以上の配合物を用いて前述したように麺線を作製し、常法に従って手延べ製麺すると、前記製麺時の複数回の延伸工程において糸状麺線の切断を確実に防ぐことができる。
【0062】
また、所定量(7.0〜9.5重量%)のタンパク質を含む小麦粉を主成分とする主原料、かん水のようなアルカリ剤およびグリアジンを含む組成を有し、かつ太さが10mmの糸状麺線とし、これを延伸して破断するに至った時の伸び率が16倍以上である性質を有し、製麺後の硬さが異なる2種以上の配合物を用いて前述したように麺線を作製し、これを常法に従って手延べ製麺することによって、前記製麺時の複数回の延伸工程において切断ないし破断を確実に回避して十分に細線化された糸状麺線を得ることができる。また、茹で・水冷工程、酸液処理工程、熱処理殺菌工程を経た後においても、下記に説明する作用から常温での長期保存性を有し、さらに喫食に際しソフトな弾力、良好な舌触り、喉ごしを有し、その上、極めてコシ、歯切れが良好で、中華麺特有の風味を有する手延べ中華麺を得ることができる。
【0063】
すなわち、茹手延べ中華麺の製造方法で説明したように、タンパク質を含む麺生地を手延べ製麺すると、グルテンの網目構造が前記麺線の長さ方向に配向されるが、アルカリ剤であるかん水が添加されると、麺生地は硬く、弾力が強いものの、伸長性が乏しいものになり、引き伸ばし工程で麺線が破断して目的とする細線状態(1mm前後)でグルテンの網目構造が均一に配向された手延べ麺線を製造できなくなる。
【0064】
このようなことから、7.0〜9.5重量%のタンパク質を含む主原料およびかん水のようなアルカリ剤に粘性が強く伸展性に富むグリアジンを配合することによって、タンパク質グルテンの主成分であるグリアジンとグルテニンの相互作用により生成されるグルテンの網目構造をグリアジン過多の形態にすることが可能になる。このような麺生地は、伸長性に優れているため、太さが10mmの糸状麺線とし、これを延伸して破断するに至った時の伸び率が16倍以上である性質を有する。したがって、この性質を有し、製麺後の硬さの異なる2種以上の麺生地を用いて手延べ製麺することによって、複数回の延伸工程(引き伸ばし工程)において糸状麺線の切断を招くことなく十分に細線化(例えば1mm前後)することが可能になる。複数回の引き伸ばし工程を経て造られた糸状麺線は、既述したようにグルテンの網目構造が均一に配向されているため、茹で・水冷工程、酸液処理工程、熱処理殺菌工程を経た後においても、喫食に際し良好な舌触り、喉ごしを有する。また、硬さが高められた麺生地を内部に配置することによって、弾力性および硬さが維持され、良好なコシおよび歯切れを有する手延べ中華麺を得ることができる。
【0065】
次に、本発明に係わるさらに別の手延べ中華麺(乾燥手延べ中華麺)の製造方法について詳細に説明する。
(第1工程)
まず、小麦粉を主成分とする原料粉、アルカリ剤およびグリアジンを含む配合物と小麦粉を主成分とする原料粉、アルカリ剤、グリアジンおよび澱粉を含む少なくとも1つの配合物とをそれぞれ混捏して2種以上の麺生地を作製する。
【0066】
前記“原料粉”とは、小麦粉単独もしくは小麦粉と穀類との混合物を意味するものである。
前記原料粉中には、タンパク質が7.0〜9.5重量%の範囲で含有されることが好ましい。前記タンパク質は、小麦粉由来のタンパク質を主体とするものであることが好ましい。前記原料粉中に含まれるタンパク質の量を規定したのは、次のような理由によるものである。タンパク質の含有量を7.0重量%未満にすると、麺生地が柔らかくなるものの、やや脆くなって延伸工程で破断し易くなる恐れがある。一方、タンパク質の含有量が9.5重量%を越えると麺生地が硬くなり過ぎて延伸工程において破断される恐れがある。より好ましい前記原料粉中のタンパク質含有量は、8.0〜9.3重量%である。
【0067】
前記アルカリ剤としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、焼成カルシウム等を用いることができる。このようなアルカリ剤は、中華麺において一般に使用されている量を配合すればよい。特に、前記アルカリ剤は前記麺生地のpHが8.0〜10.5になるように前記配合物中に含まれることが好ましい。
【0068】
前記配合物中のグリアジンの配合量は、前記原料粉中のタンパク質量との兼ね合いで調節される。前記グリアジンは、例えば1〜20重量%、より好ましくは2〜6重量%の範囲内で前記配合物に含有されることが望ましい。特に、前記グリアジンの配合量は前記2種以上の麺生地から太さが10mmの糸状麺線を作製し、これを延伸して破断するに至った時の伸び率が前述した式から求めた16倍以上になるように調節されることが好ましい。前記糸状麺線の伸び率が16倍未満の性質を有する麺生地を用いると、手延べ製麺の延伸工程で破断され易くなるばかりか、十分に延伸を行なうことができなくなるために長さ方向にグルテンの網目構造が良好に配向されたソフトな弾力、舌触り、喉ごしで、コシ、歯切れが良好な手延べ中華麺の製造が困難になる。
【0069】
前記澱粉としては、例えばワキシー澱粉、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉等を挙げることができる。例えばコア−クラッドの2層構造の手延べ中華麺を製造する場合には、クラッドの麺生地(配合物)に澱粉を配合せず、コアの麺生地(配合物)にのみ澱粉を配合することが好ましい。前記コアの配合物中に含有される前記澱粉は、5〜30重量%、より好ましくは10〜20重量%の範囲にすることが望ましい。前記澱粉の含有量を5重量%未満にすると、得られた手延べ中華麺(乾燥麺)の湯戻し時間の短縮を十分に図ることが困難になる。一方、前記澱粉の含有量が30重量%を越えると得られた手延べ中華麺が柔らかくなり過ぎて、弾力、コシ、歯切れが低下する恐れがある。なお、コア−第1クラッド−第2クラッドの3層構造の手延べ中華麺を製造する場合には前記澱粉を前記範囲(5〜30重量%)内で前記コアおよび第1クラッドに、コアほど多くなるように含有させることが好ましい。
【0070】
前記各配合物中には、食塩、卵白、乳タンパク、油脂、乳化剤、色素、糖類等が配合されることを許容する。
前記混捏は、減圧下にて行うことを許容する。このように前記配合物を減圧下にて混捏することによって、前記配合物中の前記原料粉に含まれるタンパク質量を6.0〜10.0重量%の範囲に拡大しても得られた麺生地の手延べ工程において破断されるのを防止することができ、さらに得られた手延べ中華麺表層の透明感を改善することが可能になる。前記混捏時の真空度は、360Torr以下にすることが好ましい。真空度が360Torrを越えると、常圧に近くなり、得られた手延べ中華麺の透明度を改善することが困難になる。より好ましい真空度は、360〜40Torrの範囲である。
【0071】
前記各麺生地は、加水率が40〜50%であることが好ましい。前記麺生地の加水率を40%未満にすると、太さが10mmの糸状麺線を延伸する際の伸び率を16倍以上にすることが困難になる。一方、前記麺生地の加水率が50%を越えるとこの麺生地から作られた麺線が互いに付着しやすくなって手延べ中華麺の製造工程における麺線のさばきが悪化する恐れがある。
【0072】
(第2工程)
前記各麺生地から澱粉を含む麺生地が内部に位置するように麺線を作製する。
ここで、澱粉を含む麺生地が内部に位置する麺線とは、澱粉を含む麺生地が少なくとも中心に位置するように2層以上同心円状もしくはほぼ同心円状に配置した形態の麺線(例えばコア−クラッド構造)、または澱粉を含む少なくとも1種の麺生地が澱粉を含まない麺生地中に島状に分散した形態の麺線を意味する。
【0073】
澱粉を含まない麺生地が表層に、澱粉を含む麺生地が内部にそれぞれ配置された2層構造の麺線は、例えば澱粉を含まない麺生地からなる第1麺帯に澱粉を含む麺生地からなる断面が円形または矩形状の第2麺帯を重ね、前記第1麺帯で前記第2麺帯を包み込むか、または前記第1麺帯上に澱粉を含む麺生地からなる前記第1麺帯より幅の狭い形状を有する第2麺帯を重ね、前記第1麺帯で前記第2麺帯を包み込んだ後、熟成、圧延を行うことにより作製される。
【0074】
コア−クラッドの2層構造の麺線においては湯戻り性を向上させる観点から、コア:クラッドの断面積比率を1:1〜1:4にすることが好ましい。
前記麺線は、通常、20〜30mmの太さを有する。
【0075】
(第3工程)
前記麺線を前述した手延べ中華麺で説明したのと同様な常法に従って手延べ製麺することにより糸状麺線を作製する。この手延べ製麺中の乾燥工程においては、糸状麺線の最終水分量が10〜25重量%になるように行うことが好ましい。
【0076】
以上説明した本発明に係わる別の手延べ中華麺の製造方法は、小麦粉を主成分とする原料粉、アルカリ剤およびグリアジンを含む配合物と、小麦粉を主成分とする原料粉、アルカリ剤、グリアジンおよび澱粉を含む少なくとも1つの配合物とをそれぞれ混捏して2種以上の麺生地を作製する工程と、前記各麺生地から澱粉を含む麺生地が内部に位置するように麺線を作製する工程と、前記麺線を常法に従って手延べ製麺して糸状麺線を作製する工程と、前記糸状麺線を乾燥する工程とを具備する。
【0077】
このような本発明の別の製造方法において、各麺生地の配合物中には小麦粉を主成分とする原料粉、かん水のようなアルカリ剤と共に伸展性に富むグリアジンを含むため、2種以上の麺生地から澱粉を含む麺生地が内部に位置するように麺線を作製し、これをを常法に従って手延べ製麺することによって、前記製麺時の複数回の延伸工程に際し、切断ないし破断することなく十分に細線化された糸状麺線を作製することができる。澱粉を含む麺生地が内部に配置されている麺線、例えばコア−クラッド構造の麺線を用いた場合でも、前記コアへの澱粉の所定の添加範囲で、前記コアおよびクラッドを同様もしくはほぼ同様な延伸状態(伸び率)にすることが可能である。このため、単一の麺生地から作られた麺線を手延べするのと同様に破断ないし切断を生じることなく、コア−クラッド構造の糸状麺線を作製することができる。
【0078】
また、作製された糸状麺線を乾燥することにより得られた乾燥手延べ中華麺は、澱粉を含む麺生地が内部に配置された複合構造を有するため、熱湯で茹でる調理時に熱湯の麺線内部への浸透性が向上され、いわゆる湯戻し時間の短縮を図ることができる。
【0079】
したがって、本発明によれば調理時の茹で時間をより短縮することが可能で、かつ手延べ特有の喫食に際しソフトな弾力、舌触り、喉ごし、良好なコシ、歯切れおよび中華麺特有の風味を有する、乾燥手延べ中華麺の製造方法を提供できる。
【0080】
特に、太さが10mmの糸状麺線とし、これを延伸して破断するに至った時の伸び率が16倍以上である性質を有する2種以上の配合物を用いて前述したように麺線を作製し、常法に従って手延べ製麺すると、前記製麺時の複数回の延伸工程において糸状麺線の切断をより確実に防ぐことができる。
【0081】
また、小麦粉を主成分とする原料粉、かん水のようなアルカリ剤、原料粉中の所定量(7.0〜9.5重量%)のタンパク質およびグリアジンを含む組成を有し、かつ太さが10mmの糸状麺線とし、これを延伸して破断するに至った時の伸び率が16倍以上である性質を有し、澱粉を含まない配合物および澱粉を含む配合物を用いて、前述したのと同様に麺線を作製し、手延べ製麺することによって、前記製麺時の複数回の延伸工程において切断ないし破断を確実に回避して十分に細線化された糸状麺線を得ることができる。得られた乾燥手延べ中華麺は、調理時の茹で時間を著しく短縮でき、さらに喫食に際しソフトな弾力、良好な舌触り、喉ごし、コシ、歯切れおよび中華麺特有の風味を有する。
【0082】
すなわち、茹手延べ中華麺の製造方法で説明したように、タンパク質を含む麺生地を手延べ製麺すると、グルテンの網目構造が前記麺線の長さ方向に配向されるが、アルカリ剤であるかん水が添加されると、麺生地は硬く、弾力が強いものの、伸長性が乏しいものになり、引き伸ばし工程で麺線が破断して目的とする細線状態(1mm前後)でグルテンの網目構造が均一に配向された手延べ麺線を製造できなくなる。
【0083】
このようなことから、7.0〜9.5重量%のタンパク質を含む原料粉およびかん水のようなアルカリ剤に粘性が強く伸展性に富むグリアジンを配合することによって、タンパク質グルテンの主成分であるグリアジンとグルテニンの相互作用により生成されるグルテンの網目構造をグリアジン過多の形態にすることが可能になる。このような麺生地は、伸長性に優れているため、太さが10mmの糸状麺線とし、これを延伸して破断するに至った時の伸び率が16倍以上である性質を有する。したがって、この性質を有する麺生地を手延べ製麺することによって、複数回の延伸工程(引き伸ばし工程)において糸状麺線の切断を招くことなく十分に細線化(例えば1mm前後)することが可能になる。複数回の引き伸ばし工程を経て造られた糸状麺線は、既述したようにグルテンの網目構造が均一に配向されているため、喫食に際し良好な舌触り、喉ごし、コシ、歯切れおよび中華麺特有の風味を有する乾燥手延べ中華麺を得ることができる。また、澱粉を含む麺生地を内部に配置することによって、熱湯での調理時における麺線内部への熱湯の浸透性が向上して茹で時間(湯戻し時間)が短縮された乾燥手延べ中華麺を得ることができる。
【0084】
【実施例】
以下本発明の実施例を詳細に説明する。
(実施例1)
まず、下記成分組成の第1配合物(タンパク質9.35重量%、グリアジン3重量%)を減圧ミキサで真空度60Torrの条件にて15分間混捏して第1麺生地(加水率49%、pH8.16)を調製した。また、下記成分組成の第2配合物(タンパク質8.80重量%、グリアジン3重量%)をミキサで大気圧中、15分間混捏して第2の麺生地(加水率45%、pH8.14)を調製した。
【0085】
Figure 0003686177
なお、前記第1、第2の麺生地を複合した後の伸び率を前述した“伸び率の測定”に基づいて求めた。その結果、複合麺生地の伸び率は21.3倍であった。
【0086】
次いで、前記第1麺生地から幅広の第1麺帯を作製すると共に、前記第2麺生地から前記第1麺帯に比べて断面積が1/2である円柱状の第2麺帯を作製し、前記第1麺帯上に前記第2麺帯を重ね、前記第1麺帯で前記第2麺帯を包み込んだ後、熟成、圧延を行うことにより第2配合物の麺生地が内部に位置する、つまり第1配合物と第2配合物の配合比率が2:1で、それらが同心円状に配置された太さ30mmのコア−クラッド構造の麺線を作製した。つづいて、この麺線を細め機に掛けて太さが10mmの麺線とした。ひきつづき、麺線を掛けば機で2本の竿に八の字に掛け、むろ内で熟成し、小引き機で引き伸ばして太さ3〜5mmの麺線とした後、熟成を行った。この麺線を大引き機に搬送して引き伸ばし、太さ2mm前後の麺線とし、さらに下引き機に搬送して麺線の引き伸ばしを行った後、乾燥し、竿から取り外すことにより太さ1mm前後で水分量が約25%の半生の手延べ糸状麺線を作製した。
【0087】
次いで、前記糸状麺線を1食分(100g)に切断した後、次工程に従って処理することにより生タイプの手延べ中華麺(LL中華麺)を製造した。
Figure 0003686177
(実施例2)
糸状麺線を茹でる前に、水分量が12%になるまで乾燥し、かつ茹で工程を1分30秒間にした以外、実施例1と同様な方法によりLL手延べ中華麺を製造した。
【0088】
(比較例1)
実施例1の第2配合物と同様な成分組成の配合物を同様に混捏して得た麺生地を常法により圧延して厚さ1.3mmの麺帯を作製した。つづいて、前記麺帯を24番切刃を用いて機械切出し行うことにより麺線を作製した。つづいて、この麺線を1食分(110g)に切断した後、次工程に従って処理することにより生タイプの中華麺(LL中華麺)を製造した。
【0089】
Figure 0003686177
得られた実施例1、2および比較例1のLL中華麺について、湯戻し後と、湯戻し後、湯中で5分間放置した後の破断時応力、伸びおよびゲル強度(破断時応力×伸び)を測定した。その結果を下記表1に示す。なお、破断時応力および伸びは次のような方法により測定した。
【0090】
[破断時応力および伸びの測定]
湯戻し後の麺線を試料とし、この試料をレオメータ(FUDOH社製商品名;NRM−2010J−CW)の計測部に接続したプランジャーのピアノ線に引っ掛けた。つづいて、前記試料の両端をテーブル上のプランジャーに固定する(プランジャー間は10mmとする)。次いで、前記テーブルを下方に移動させて前記試料を引っ張る。前記試料が引張られて切断されるまでの前記ピアノ線に加わる荷重を前記レオメータに付設された記録計を記録することにより破断時応力を求めた。また、前記破断時の長さを初期長さ(10mm)から引いた値を伸びとして求めた。
【0091】
【表1】
Figure 0003686177
【0092】
前記表1から明らかなように実施例1、2のLL手延べ中華麺は、機械切断により得られた比較例1のLL中華麺に比べて破断時応力が大きく、伸びも長く、粘りや弾力のある麺であることがわかる。
【0093】
また、実施例1、2および比較例1のLL中華麺を2分間湯戻し後、スープを入れ、10人のパネラにより喫食する官能試験を行った。その結果を下記表2〜表4に示す。なお、官能試験において滑らかさ、粘弾性、茹伸びおよびほぐれを評価した。パネラによる滑らかさ、粘弾性、茹伸びおよびほぐれの官能試験は、次に示す5段階で評価した。
【0094】
(1) 滑らかさ
1;劣る。
2;やや劣る。
3;普通。
4;やや良い。
5;良い。
【0095】
(2) 粘弾性
1;劣る。
2;やや劣る。
3;普通。
4;やや良い。
5;良い。
【0096】
(3) 茹伸び
1;劣る。
2;やや劣る。
3;普通。
4;やや良い。
5;良い。
【0097】
(4) ほぐれ
1;劣る。
2;やや劣る。
3;普通。
4;やや良い。
5;良い。
【0098】
【表2】
Figure 0003686177
【0099】
【表3】
Figure 0003686177
【0100】
【表4】
Figure 0003686177
【0101】
前記表2〜表4より明らかなように実施例1、2のLL手延べ中華麺は、比較例1のLL中華麺に比べて滑らかさ、粘弾性の点で優れ、かつ茹で伸びも遅いことがわかる。また、茹で工程前に水分量を15%にすることにより得られた実施例2のLL手延べ中華麺は、茹で工程前に水分量を約25%にすることにより得られた実施例1のLL手延べ中華麺に比べてほぐれ性が優れていることがわかる。
【0102】
(実施例3)
まず、下記成分組成の第1配合物(タンパク質8.80重量%、グリアジン3重量%)および第2配合物(タンパク質9.75重量%、グリアジン3重量%)をミキサで大気圧中、15分間それぞれ混捏して第1麺生地(加水率49%、pH9.58)および第2の麺生地(加水率47%、pH9.62)を調製した。
【0103】
Figure 0003686177
なお、前記第1、第2の麺生地を複合した後の伸び率を前述した“伸び率の測定”に基づいて求めた。その結果、複合麺生地の伸び率は20.3倍であった。
【0104】
次いで、前記第1麺生地から幅広の第1麺帯を作製すると共に、前記第2麺生地から前記第1麺帯に比べて断面積が1/2である円柱状の第2麺帯を作製し、前記第1麺帯上に前記第2麺帯を重ね、前記第1麺帯で前記第2麺帯を包み込だ後、熟成、圧延を行うことにより第2配合物の麺生地が内部に位置する、つまり第1配合物と第2配合物の配合比率が2:1で、それらが同心円状に配置されたある太さ30mmの麺線を作製した。つづいて、この麺線を細め機に掛けて太さが10mmの麺線とした。ひきつづき、麺線を掛けば機で2本の竿に八の字に掛け、むろ内で熟成し、小引き機で引き伸ばして太さ3〜5mmの麺線とした後、熟成を行った。この麺線を大引き機に搬送して引き伸ばし、太さ2mm前後の麺線とし、さらに下引き機に搬送して麺線の引き伸ばしを行った後、乾燥し、竿から取り外すことにより太さ1mm前後で水分量が約25%の半生の手延べ糸状麺線を作製した。
【0105】
次いで、前記糸状麺線を1食分(100g)に切断した後、沸騰水中で1分間茹でることにより茹手延べ中華麺を製造した。
(実施例4)
糸状麺線を茹で前に、水分量が12%になるまで乾燥し、かつ茹で工程の時間を2分間にした以外、実施例3と同様な方法により茹手延べ中華麺を製造した。
【0106】
得られた実施例3、4の茹手延べ中華麺を2分間茹でた後、容器に移してスープを入れ、10人のパネラにより喫食する官能試験を行った。その結果を下記表5、表6に示す。なお、官能試験において滑らかさ、粘弾性および茹伸びを評価した。パネラによる滑らかさ、粘弾性および茹伸びの官能試験は、前述したのと同様に5段階で評価した。
【0107】
【表5】
Figure 0003686177
【0108】
(実施例5)
まず、下記成分組成の第1配合物(タンパク質8.50重量%、グリアジン3重量%)および第2配合物(タンパク質8.80重量%、グリアジン3重量%)をミキサで大気圧中、15分間それぞれ混捏して第1麺生地(加水率47%、pH9.68)および第2の麺生地(加水率49%、pH9.63)を調製した。
【0109】
Figure 0003686177
なお、前記第1、第2の麺生地を複合した後の伸び率を前述した“伸び率の測定”に基づいて求めた。その結果、複合麺生地の伸び率は19.5倍であった。
【0110】
次いで、前記第1麺生地から幅広の第1麺帯を作製すると共に、前記第2麺生地から前記第1麺帯に比べて断面積が1/2である円柱状の第2麺帯を作製し、前記第1麺帯上に前記第2麺帯を重ね、前記第1麺帯で前記第2麺帯を包み込だ後、熟成、圧延を行うことにより第2配合物の麺生地が内部に位置する、つまり第1配合物と第2配合物の配合比率が2:1で、それらが同心円状に配置されたある太さ30mmの麺線を作製した。つづいて、この麺線を細め機に掛けて太さが10mmの麺線とした。ひきつづき、麺線を掛けば機で2本の竿に八の字に掛け、むろ内で熟成し、小引き機で引き伸ばして太さ3〜5mmの麺線とした後、熟成を行った。この麺線を大引き機に搬送して引き伸ばし、太さ2mm前後の麺線とし、さらに下引き機に搬送して麺線の引き伸ばしを行った後、乾燥し、竿から取り外し、さらに1食分(100g)に切断することにより太さ1mm前後の乾燥手延べ中華麺を製造した。
【0111】
得られた実施例5の乾燥手延べ中華麺を2分間茹でた後、容器に移してスープを入れ、10人のパネラにより喫食する官能試験を行った。その結果を下記表7に示す。なお、官能試験において滑らかさ、粘弾性および茹伸びを評価した。パネラによる滑らかさ、粘弾性および茹伸びの官能試験は、前述したのと同様に5段階で評価した。
【0112】
【表6】
Figure 0003686177
【0113】
前記表6より明らかなように実施例5の乾燥手延べ中華麺は、滑らかさ、粘弾性の点で優れ、かつ茹で伸びも遅いことがわかる。
なお、実施例5の乾燥手延べ中華麺は第1配合物のみを用いて実施例5と同様な方法により得られた乾燥手延べ中華麺に比べて茹で時間を短縮することができた。
【0114】
(実施例6)
まず、下記成分組成の第1配合物(タンパク質8.50重量%、グリアジン3重量%)、第2配合物(タンパク質9.35重量%、グリアジン3重量%)および第3配合物(タンパク質8.80重量%、グリアジン3重量%)をミキサで大気圧中、15分間それぞれ混捏して第1麺生地(加水率47%、pH8.25)第2の麺生地(加水率49%、pH8.16)および第3の麺生地(加水率45%、pH8.14)を調製した。
【0115】
Figure 0003686177
なお、前記第1、第2の麺生地を複合した後の伸び率を前述した“伸び率の測定”に基づいて求めた。その結果、複合麺生地の伸び率は21.3倍であった。
【0116】
次いで、前記第2麺生地から幅広の第2麺帯を作製すると共に、前記第3麺生地から前記第2麺帯に比べて断面積が1/2である円柱状の第3麺帯を作製し、前記第2麺帯上に前記第3麺帯を重ね、前記第2麺帯で前記第3麺帯を包み込み、さらに前記第1麺生地から幅広の第1麺帯を作製し、この第1麺帯上に前記第2、第3の麺帯からなる円柱状の麺塊を重ね、前記第1麺帯で前記麺塊を包み込んだ後、熟成、圧延を行うことにより第1配合物が表層、第2配合物が中間層、第3配合物が中心に位置し、第1配合物と第2配合物と第3配合物の配合比率が1:2:1で、それらが同心円状に配置された太さ30mmの麺線、つまりコア−第1クラッド−第2クラッドの三層構造の麺線を作製した。つづいて、この麺線を細め機に掛けて太さが10mmの麺線とした。ひきつづき、麺線を掛けば機で2本の竿に八の字に掛け、むろ内で熟成し、小引き機で引き伸ばして太さ3〜5mmの麺線とした後、熟成を行った。この麺線を大引き機に搬送して引き伸ばし、太さ2mm前後の麺線とし、さらに下引き機に搬送して麺線の引き伸ばしを行った後、乾燥し、竿から取り外すことにより太さ1mm前後で水分量が約25%の半生の手延べ糸状麺線を作製した。
【0117】
次いで、前記糸状麺線を1食分(100g)に切断した後、実施例1と同様なLL処理工程を施すことにより生タイプの手延べ中華麺(LL手延べ中華麺)を製造した。
【0118】
得られた実施例6のLL中華麺を湯戻し後、スープを入れ、官能試験を行った。その結果、前述した実施例1と同等ないしそれ以上優れた滑らかさ、粘弾性、茹伸びおよびほぐれを有することが確認された。
【0119】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば手延べ製麺時の複数回の引伸ばし工程において切断することなく十分に細線化することが可能で、かつ喫食に際しソフトな弾力、舌触り、喉ごしが良好で、コシ、歯切れおよび中華麺特有の風味が向上された、いわゆる茹タイプの新規な手延べ中華麺の製造方法を提供することができる。
【0120】
また、本発明によれば手延べ製麺時の複数回の引伸ばし工程において切断することなく十分に細線化することが可能で、かつ常温での長期保存が可能で、さらに喫食に際しソフトな弾力、舌触り、喉ごしが良好で、コシ、歯切れおよび中華麺特有の風味が向上された、いわゆる生タイプの新規な手延べ中華麺の製造方法を提供することができる。
【0121】
さらに、本発明によれば手延べ製麺時の複数回の引伸ばし工程において切断することなく十分に細線化することが可能で、かつ調理時の茹で時間を短縮でき、さらに喫食に際しソフトな弾力、舌触り、喉ごしが良好で、コシ、歯切れおよび中華麺特有の風味が向上された、いわゆる乾燥タイプの新規な手延べ中華麺の製造方法を提供することができる。

Claims (5)

  1. 小麦粉を主成分とするタンパク質7.0〜9.5重量%の主原料と、この主原料に配合されるアルカリ剤およびグリアジンを含み、製麺後の硬さが異なる2種以上の配合物をそれぞれ混捏して2種以上の麺生地を作製する工程と、
    前記各麺生地から製麺後の硬さが硬い麺生地が内部に位置するように麺線を作製する工程と、
    前記麺線を常法に従って手延べ製麺して糸状麺線を作製する工程と、
    前記糸状麺線を茹でた後、水冷する工程と
    を具備することを特徴とする手延べ中華麺の製造方法。
  2. 小麦粉を主成分とするタンパク質7.0〜9.5重量%の主原料と、この主原料に配合されるアルカリ剤およびグリアジンを含み、製麺後の硬さが異なる2種以上の配合物をそれぞれ混捏して2種以上の麺生地を作製する工程と、
    前記各麺生地から製麺後の硬さが硬い麺生地が内部に位置するように麺線を作製する工程と、
    前記麺線を常法に従って手延べ製麺して糸状麺線を作製する工程と、
    前記糸状麺線を茹でた後、水冷する工程と、
    前記糸状麺線を酸液で処理し、さらにこの糸状麺線を包装した後、熱処理して殺菌する工程と
    を具備することを特徴とする手延べ中華麺の製造方法。
  3. 前記各配合物の製麺後の硬さ調節は、配合物中に硬さ調節剤として増粘多糖類を配合することにより行われることを特徴とする請求項1または2記載の手延べ中華麺の製造方法。
  4. 小麦粉を主成分とするタンパク質7.0〜9.5重量%の原料粉と、この原料粉に配合されるアルカリ剤およびグリアジンを含む配合物と、小麦粉を主成分とするタンパク質7.0〜9.5重量%の原料粉と、この原料粉に配合されるアルカリ剤、グリアジンおよび澱粉を含む少なくとも1つの配合物とをそれぞれ混捏して2種以上の麺生地を作製する工程と、
    前記各麺生地から澱粉を含む麺生地が内部に位置するように麺線を作製する工程と、
    前記麺線を常法に従って手延べ製麺し、乾燥して糸状麺線を作製する工程と
    を具備することを特徴とする手延べ中華麺の製造方法。
  5. 前記グリアジンは、前記配合物中に1〜20重量%含有されるように配合されることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の手延べ中華麺の製造方法。
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