JP3684645B2 - キャスタの旋回規制装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輪を軸着した枠体が取付軸に対して水平旋回するキャスタにおいて、キャスタを取付けた本体、例えば車椅子のフレーム又はこのキャスタの取付軸にこのキャスタとは別体として装着し、車輪方向を一定向きに旋回規制する旋回規制装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
取付軸に対して車輪を軸着した枠体が水平旋回するキャスタは、様々な運搬用器具(手押しの小荷物運搬車、買い物用カートや車椅子等)に使われている。例えば、車椅子に用いられるキャスタでは、狭い場所への出入りや方向転換を容易にする必要から全て水平旋回可能なキャスタが用いられたりするが、通常車椅子の直進性が確保できるように、前記キャスタに旋回規制機構が設けられる。この旋回規制機構を有するキャスタの例としては、実公昭57-30167号に見られる「キャスタ車輪装置」を挙げることができる。このキャスタは、ブラケット(本発明の取付軸に相当)へ回動自在に取付けた車輪方向固定枠(本発明の保持ガイドに相当)が下方へ回動することで車輪を支持するフォーク(本発明の枠体に相当)を旋回規制するもので、前記固定枠は、上方に回動した規制解除の状態において、ブラケットに内蔵したボールが穴に嵌合し、不意に下方へ回動しないよう工夫されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
キャスタの旋回規制は、キャスタを取付ける本体の仕様によって、必要ある場合とない場合とがあり、その必要性に従って旋回規制機構の付加、無付加の選択ができる方が好ましい。しかし、上記従来例に見られるように、従前のキャスタは旋回規制機構を一体化したものばかりで選択の余地がなかった。そこで、本来旋回規制機構を有しないキャスタに対し、後日旋回規制機構を付加するための別体の旋回規制装置を作り出するため、検討することとした。
【0004】
【課題を解決するための手段】
検討の結果、開発したものが、車輪を軸着した枠体の頂部に取付軸を有し、この取付軸に対して枠体が水平旋回するキャスタの旋回を規制する装置で、キャスタを取付けた本体又はこのキャスタの取付軸に装着する取付部と、解除状態から規制状態へと下方に向けて回動可能なように前記取付部に軸着した保持ガイド及び踏込レバーとからなり、保持ガイドは両側に保持爪を有し、常態として上方へ付勢されながら、規制状態においてキャスタの枠体を前記保持爪で挟み車輪方向を所定向きに旋回規制し、踏込レバーは規制状態にある前記保持ガイドを下方への回動方向に押圧し、この規制状態に保持する旋回規制装置である。
【0005】
本発明の旋回規制装置は、キャスタやこのキャスタを取付ける本体の種類、大きさに拘わらず、キャスタとは別体として、キャスタを取付けた本体又はこのキャスタの取付軸に装着して旋回規制を実現する。前記装着に際し、キャスタの枠体の幅に合わせて保持爪が交換可能又は保持爪の間隔が調節可能であれば、取付対象となるキャスタの大きさを問わずに本発明の旋回規制装置を取り付けることができる。また、保持爪の間隔を先端に向かって広げておくと、キャスタが旋回規制したい方向から多少ずれていても、保持ガイドを下方へ回動させることによって前記保持爪の先端が枠体の方向を旋回規制したい方向へと矯正しながら捉えていき、規制状態での枠体の保持が実現できる。
【0006】
キャスタの枠体を保持して旋回規制するのは、保持ガイドの保持爪である。保持ガイドは、通常上方へ向けて付勢されており、下方へ向けて回動した場合にのみ保持爪が枠体を挟むようにして旋回規制する。踏込レバーは、下方へ回動することによって、前記規制状態にある保持ガイドを押圧してその規制状態を保持するのである。よって、踏込レバーを解除状態に復帰させると、保持ガイドは付勢により、上方へ向けて回動し、旋回規制が解除されることになる。
【0007】
踏込レバーは足で踏むことによって下方へ回動させ、保持ガイドは前記踏込レバーに押されながら、連動して下方へ回動させることができる。そして、保持爪が枠体を挟んで規制状態に到ると、踏込レバーはそのまま保持ガイドを押圧し続けることで前記規制状態を保持することができ、規制状態への移行とその保持とが連続して成立させることができる。この規制状態は、踏込レバーを脚で跳ね上げて保持ガイドを押圧しないようにすれば、付勢によって保持ガイドが自然と上方へ回動し、解除されるのである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の旋回規制装置1の実施形態について図を参照して説明する。図1は本発明の旋回規制装置1と共にキャスタ2をフレーム3,3に取り付けた車椅子4の斜視図で、図2は同車椅子4に取り付けたキャスタ2及び旋回規制装置1の位置関係を解除状態において表わした側面図である。本例の車椅子4は、例えば使用者が座部5に座ったまま洋式トイレの便器上へ車椅子4を進入させ、用を足すことができるように作られた水周り用車椅子で、図1に見られるように、左右に分れたフレーム3,3間には部材がなく、ハンドル6、座部5の支持部材(図示せず)においてのみ連結されている。また、座部5には縦長の開口部7が設けられており、使用者はこの開口部7から直接便器へ向けて用を足すのである。旋回規制装置1及びキャスタ2は、各フレーム3,3の下縁の前端と後端とに各々取り付けている。
【0009】
図2に見られるように、キャスタ2は雄ネジを刻んだ取付軸8をフレーム3に螺着して取付け、この取付軸8を螺着したフレーム部位に対して旋回規制装置1の枠体形状の取付部9をはめ込んで、ボルト止めにより固定している。キャスタ2は、前記取付軸8に対して車輪10を軸着した枠体11が水平旋回できるようになっていて、枠体11内に車輪10を押圧することで制動するブレーキ板12を軸着している。旋回規制装置1の取付部9は、車椅子4の後方へ張り出しており、この張出部分に保持ガイド13及び踏込レバー14の回動軸15,16を内蔵している。図2は解除状態を示し、保持ガイド13は上方に向けた付勢(図2中破線)により、保持爪17を上方に回動させて枠体11を自由にし、旋回規制を解除している。この付勢は回動軸15に組み込んだねじりコイルバネ等により実現する。
【0010】
図3は図2の解除状態から踏込レバー14を足で踏み、保持ガイド13を押圧しながら下方へ向けて回動させ、保持ガイド13の保持爪17が枠体11を両側から挟んで旋回規制すると共に前記踏込レバー14で保持ガイド13を押圧して、規制状態を保持している図1相当側面図、図4は同状態の図3中A矢視図である。本例では、キャスタ2の車輪方向を車椅子4の前後方向に旋回規制する。そのため、保持ガイド13及び踏込レバー14は、車椅子4の前後方向の垂直面において回動し、保持爪17は車輪10が車椅子4の前後方向に向いた状態で枠体11を挟むのである。
【0011】
踏込レバー14が直立状態から下方へ回動すると、押圧部18が保持ガイド13を押しながら回動させ、図3に見られるように、水平状態になったときに保持ガイド13が保持爪17で枠体11を挟んだ状態、すなわち規制状態を維持するように、前記押圧部18が回動軸15に近い部分を押圧する。
【0012】
踏込レバー14の押圧部18は保持ガイド13の付勢よりも強い力で押圧するため、保持ガイド13は自力で解除することはなく、踏込レバー14を足で蹴り上げるなどして直立状態へ向けて回動させて押圧部18による押圧がなくなるまでは、規制状態に保持される。保持爪17,17は、図4に見られるように、先端へいくに従って間隔が広くなるように枠体11に対して内面が外向きに傾斜しており、かつ枠体11よりも若干広い間隔で配されている。これにより、保持ガイド13が下方へ回動した際に、車輪10が車椅子4の前後方向と多少ずれた向きに向いていても、容易に保持爪17,17が枠体11を保持できるようになっている。
【0013】
この旋回規制装置1は、図4からわかるとおり、キャスタ4の車輪方向を規制する保持ガイド13の保持爪17,17の間隔を伸縮すれば、さまざまな種類、大きさのキャスタについて適用できることがわかる。例えば、保持爪の一方を回動軸と一体に取付け、他方を回動軸に螺着してそのねじ込み量を加減したり、保持爪を保持ガイドへ組み付ける部材として適宜交換可能にすることで、保持爪の間隔を調整できるようになる。本発明の旋回規制装置は2部材からなり、車輪方向の規制とその規制状態の保持とを各部材に分けて対応させたことで、前記のような汎用性を実現したのである。
【0014】
【発明の効果】
本発明の旋回規制装置は、本来旋回規制機構を有しないキャスタに対しても利用することができ、しかも保持爪の間隔を調節可能とすることで、さまざまな種類、大きさのキャスタに適用できる汎用性を有する特長がある。しかも、保持爪による車輪方向の規制状態において、踏込レバーの押圧により前記規制状態が不意に解除されないので、非常に安全な運用ができ、特に車椅子への適用において使用者に安心感を与えることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の旋回規制装置をフレームに取り付けた車椅子の斜視図である。
【図2】キャスタ及び旋回規制装置の解除状態を示す側面図である。
【図3】キャスタ及び旋回規制装置の規制状態を示す側面図である。
【図4】図3中A矢視図である。
【符号の説明】
1 旋回規制装置
2 キャスタ
3 フレーム
8 取付軸
9 取付部
10 車輪
11 枠体
13 保持ガイド
14 踏込レバー
15 保持ガイドの回動軸
16 踏込レバーの回動軸
17 保持爪
18 押圧部
Claims (1)
- 車輪を軸着した枠体の頂部に取付軸を有し、該取付軸に対して枠体が水平旋回するキャスタの旋回を規制する装置であって、該キャスタを取付けた本体又は該キャスタの取付軸に装着する取付部と、解除状態から旋回規制状態へと下方に向けて回動可能なように前記取付部に軸着した保持ガイドと、該保持ガイドに隣接して前記取付部に軸着し、該保持ガイドを下方に向けて回動させる踏込レバーとからなり、保持ガイドは両側に保持爪を有し、常態として上方へ付勢されながら、旋回規制状態においてキャスタの枠体を前記保持爪で挟み車輪方向を所定向きに旋回規制し、踏込レバーは旋回規制状態にある前記保持ガイドを下方への回動方向に押圧し、該旋回規制状態を保持してなるキャスタの旋回規制装置。
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1996
- 1996-02-09 JP JP02421696A patent/JP3684645B2/ja not_active Expired - Fee Related
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