JP3684180B2 - 自動2輪車の排気構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は自動2輪車の排気構造、特に多気筒エンジンの排気集合構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
多気筒エンジン、例えば直列4気筒エンジンの場合、その排気管は4本→2本→1本等に本数が漸減するように集合変化して、最終的に車体後方の左右いずれか側に配置されたマフラーへ導かれるようになっている集合形式のものが公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記集合形式の場合、集合排気管は次第に車体の左右いずれか側へ片寄るように配管される。したがって、集合管の形状が複雑化し、外観も複雑になり易い。また完成車の重量配分において左右のバランスを配慮することも望まれる。そこで本願発明の目的は、外観をすっきりさせ、かつ完成車におけ左右バランスを良好にできる排気構造のレイアウトを実現する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本願の請求項1に係る自動2輪車の排気構造に関する発明は、多気筒エンジンから延出する複数の排気管を集合させた自動2輪車の排気構造において、エンジン前方から下方へ回り込み1本に集合するとともに車体中央に配置される集合管と、集合管に接続され上方に立ち上がってリヤフォークと交差し、再び左右に分岐される分岐管と、これらの分岐管に接続され、車体の左右に前後方向へ長く配置されるマフラーとを備え、
前記分岐管は略Y字状をなし、シートレール近傍にてマフラー側と接続し、リヤフォークの前端部近傍にて集合管と上下方向から接続して着脱自在であり、
前記リヤフォークの上部から左右へ枝分れした枝管と、前記集合管の上方へ屈曲する後端部へ上下方向から接続される単一パイプ部とを有し、
前記枝管は上部がシートレールへ沿うように曲がりながら斜め上がりに後方へ延びる、
ことを特徴とする。
請求項7に係る自動2輪車の排気構造に関する発明は、多気筒エンジンから延出する複数の排気管を集合させた自動2輪車の排気構造において、エンジンの前方から下方へ回り込み、1本に集合するとともに車体中央に配置される集合管と、一端で集合管に接続され上方に立ち上がって他端側が再び左右に分岐される分岐管と、この分岐管に前端部が接続されて車体の左右に前後方向へ長く配置されるマフラーとを備えた自動2輪車の排気構造において、
前記集合管は、その後部に後端側が上方に屈曲する単一パイプ部を備え、前記分岐管は略Y字状をなし、上部にて左右へ分離するとともに、斜め上がりに後方へ延び上部がシートレールへ沿うように曲がる枝管部と、下部にて下方へ延出する単一パイプ部とを備え、これら分岐管の単一パイプ部における下端部と、前記集合管の単一パイプ部における上方屈曲部とを、リヤフォークを挟んで略鉛直方向にて上下から接続させたことを特徴とする。
【0005】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、複数の排気管を1本の集合管にまとめるとともに、この集合管をエンジン下部の中央に配置し、リヤフォークを上下方向に貫通させて、リヤフォーク貫通後に左右に分岐させて車体の左右に配置されたマフラーに接続した。したがって、マスの集中を図ることができる。そのうえ、略Y字状の分岐管を設けて左右の重量バランスに優れた自動2輪車を実現でき、かつ外観もすっきりしたものになる。また、排気管が貫通したリヤフォークの上部で左右に排気管が分岐されるため、リヤフォークの開口部が小さくてすみ、リヤフォークの剛性が低下しない。
【0006】
請求項7の発明によれば、排気上流の集合管と排気下流の分岐管がリヤフォークの上下から略鉛直方向で接続しているので、両部材の組み立てと分解が容易である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて一実施例を説明する。図1は実施例の適用された自動2輪車の側面図、図2は排気管路の全体構成を示す図、図3は第1集合管及び第2集合管を示す平面図、図4は分岐管の側面図、図5はその正面図、図6は分岐管の触媒収納部を示す図である。
【0008】
まず、図1において、符号1は前輪、2はフロントフォーク、3はヘッドパイプ、4は車体フレーム、5はリヤフォーク、6は後輪、7は緩衝器、8はシート、8aはシートレール、9はライダーステップ、10はピニオンステップ、11は水冷4サイクル式4気筒エンジンであり、4本の排気管12はそれぞれエンジン11の前方から下方へ回り込んでいる。
【0009】
図1及び図2に示すように、排気構造を構成する各部は、各排気管12、これらを隣り合う2本づつ集合する第1集合管13、2本の第1集合管13をさらに1本に集合する第2集合管14、この第2集合管14へ接続した後左右2本に枝分かれする分岐管15、この分岐管15の各枝分かれ部へ接続するマフラー16からなる。なお図1に示すように、マフラーの外観部全体はマフラーカバー17で覆われ、全く別形状のマフラーであるかのような印象を与えるようになっている。
【0010】
図3に示すように、4本の各排気管12はエンジン11の下方で略偏平に広がる。2本の第1集合管13はエンジン11の下方に前後方向へ略平行に配置される。図3中の符号18は左右の集合管を結合する補強プレートであり、車体中心に沿って設けられ、その結果、排気管12及び第1集合管13は車体中心に沿ってほぼ左右対称に配置される。
【0011】
各第1集合管13のうち排気下流側となる単一パイプ部20の周囲には吸音材等を収容した公知の消音構造部21が設けられる。第2集合管14のうち1本にまとまった排気下流側となる単一パイプ22は上方へ向かって屈曲し、ほぼ車体中心上を上方へ延出して、上端の差込口23を分岐管15の排気上流側となる単一パイプ部24の下端に形成されたソケット部25へ嵌合接続する(図2)。
このとき、単一パイプ部24における下端部と、第2集合管14の単一パイプ部22における上方屈曲部とが、リヤフォーク5を挟んで略鉛直方向にて上下から接続され、この接続部がリヤフォーク5の前部近傍に位置している(図1・4・5参照)。 また、第2集合管14の単一パイプ部22における上方屈曲部と、分岐管15の単一パイプ部24における下端部との接続部を含む上下の単一パイプ部からなる上下方向へ配置した部分は、リヤフォーク5の前部に設けられた開口部を上下に貫通して側面視でリヤフォーク5と交差している。
【0012】
図4〜6に示すように、分岐管15は正面視(図5)が略Y字状をなし、下部の単一パイプ部24と排気下流側となる上部の枝管26とからなり、枝管26は左右へ分かれて上部がシートレール8a(図1)へ沿うように曲がりながら外開きして斜め上がりに後方へ延び、その先端の差込口27をマフラー16の前部から突出する導入管28の先端に形成されたソケット部29へ嵌合接続する(図2)。
【0013】
図4に示す側面視において、単一パイプ部24は大略水平のリヤフォーク5の前端部を上下方向に交差し、枝管26は緩衝器7と大略X字状に交差する。緩衝器7はリヤフォーク5から斜め上がりに前方へ延び、上方の車体フレーム4へ連結されている(図1参照)。
【0014】
図5において、分岐管15の単一パイプ部24は、リヤフォーク5の前部に左右のアーム部を連結して形成されるクロス部5aの前方に形成された空間を上下へ通過している。枝管26は緩衝器7の前方からその左右へ回り込んで外開き状に後方へ延びる。符号Cは車体中心線を示す。
【0015】
図4〜6に示すように、単一パイプ部24はプレス成形品であって、枝管26やソケット25の各端部を前後から一対の金属板で挟み、プレス成形で中空状に一体化させた最中合わせ構造をなす。単一パイプ部24の内部にはハニカム状の触媒30が収容されている。触媒30は排気ガス浄化用の公知のもであり、最中合わせ構造に成形するとき内部へ固定されるが、さらに上部をスポット31にて溶接されている。
【0016】
このように、単一パイプ部24を最中合わせ構造にすると、比較的簡単かつ安価に製造でき、しかも触媒30を不要とする仕様の場合は、触媒30を入れずに最中合わせ構造を成形すればよく、金型等成形に必要な設備を共通にできるから、触媒を必要とする仕様と不要の仕様の双方について共用化できる。
【0017】
また、排気構造のうち、分岐管15からマフラー16に至る後部側も、平面視でほぼ車体中心に沿って左右対称となるように配置されている。したがって前端側の排気管12から後端側となるマフラー16までの排気構造全体が、平面視でほぼ車体中心に沿って左右対称となる。
【0018】
次に、本実施例の作用を説明する。4本の排気管12を2本の第1集合管13にまとめ、さらにこれを1本の第2集合管14にまとめるとともに、これら排気管12及び第1集合管13をエンジン11の下方に配置し、第2集合管14をエンジン11の後方かつ車体中心上に配置した。したがって、排気構造のうち重量の大きな部分を車体の重心部近くへ配置してマスの集中を図ることができる。
【0019】
また、分岐管15の単一パイプ部24を車体中心上にて上下方向へ配設し、枝管26を左右へ外開き状に設け、それぞれの後端を左右一対で配置されたマフラー16へ接続させたので、リヤフォーク5と緩衝器7の双方と干渉を避けながら、左右対称配置ができる。その結果、排気構造全体が車体中心に対して左右対称となり、かつ排気管がエンジン11からマフラー17まで車体の中心に配置されているため、重量配分において左右のバランスのとれた完成車を実現でき、かつ外観もすっきりしたものになる。しかも、左右のマフラー16の容量を平均化でき、かつコンパクト化できる。
また、排気管は、分岐管15が貫通したリヤフォーク5の上部で左右に分岐されるため、リヤフォーク5の開口部が小さくてすみ、リヤフォーク5の剛性が低下しない。そのうえ、単一パイプ部24における下端部と、第2集合管14の単一パイプ部22における上方屈曲部とが、リヤフォーク5を挟んで略鉛直方向にて上下から接続されるとともに、この接続部を含む上下の単一パイプ部22及び24からなる部分のうちの上下方向へ配置した部分は、リヤフォーク5の前部であるクロス部5aに設けられた開口部を上下に貫通して側面視でリヤフォーク5と交差しているので、排気上流の第2集合管14と排気下流の分岐管15を略鉛直方向にて接続でき、しかも接続部がリヤフォーク5の前部近傍に位置するから、両部材の組み立てと分解が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の適用された自動2輪車の側面図
【図2】排気管路の全体構成を示す図
【図3】第1集合管及び第2集合管を示す平面図
【図4】分岐管の側面図
【図5】分岐管の正面図
【図6】分岐管の触媒収納部を示す図
【符号の説明】
5:リヤフォーク、11:エンジン、12:排気管、13:第1集合管、
14:第2集合管、15:分岐管、16:マフラー、17:マフラーカバー
Claims (9)
- 多気筒エンジンから延出する複数の排気管を集合させた自動2輪車の排気構造において、エンジン前方から下方へ回り込み1本に集合するとともに車体中央に配置される集合管と、集合管に接続され上方に立ち上がってリヤフォークと交差し、再び左右に分岐される分岐管と、
これらの分岐管に接続され、車体の左右に前後方向へ長く配置されるマフラーとを備え、
前記分岐管は略Y字状をなし、シートレール近傍にてマフラー側と接続し、リヤフォークの前端部近傍にて集合管と上下方向から接続して着脱自在であり、
前記リヤフォークの上部から左右へ枝分れした枝管と、
前記集合管の上方へ屈曲する後端部へ上下方向から接続される単一パイプ部とを有し、
前記枝管は上部がシートレールへ沿うように曲がりながら斜め上がりに後方へ延びる、
ことを特徴とする自動2輪車の排気構造。 - 前記集合管と分岐管、およびこの分岐管と前記マフラーはそれぞれ分割可能であることを特徴とする請求項1記載の自動2輪車の排気構造。
- 前記分岐管は、前記集合管に接続される単一パイプ部と、左右に分岐する枝管にて構成され、当該単一パイプ部に触媒を備えることを特徴とする請求項1記載の自動2輪車の排気構造。
- 前記触媒は側面視で前記リヤフォークと重なる位置に配置されることを特徴とする請求項3記載の自動2輪車の排気構造。
- 前記触媒を収容している前記単一パイプ部が側面視で前記リヤフォークと重なる位置に配置されることを特徴とする請求項3記載の自動2輪車の排気構造。
- 前記マフラーは前記枝管の枝分かれ部より車体前後方向に延びてシートの下側に配置されることを特徴とする請求項3記載の自動2輪車の排気構造。
- 多気筒エンジンから延出する複数の排気管を集合させた自動2輪車の排気構造において、エンジンの前方から下方へ回り込み、1本に集合するとともに車体中央に配置される集合管と、一端で集合管に接続され上方に立ち上がって他端側が再び左右に分岐される分岐管と、この分岐管に前端部が接続されて車体の左右に前後方向へ長く配置されるマフラーとを備えた自動2輪車の排気構造において、
前記集合管は、その後部に後端側が上方に屈曲する単一パイプ部を備え、前記分岐管は略Y字状をなし、上部にて左右へ分離するとともに、斜め上がりに後方へ延び上部がシートレールへ沿うように曲がる枝管部と、下部にて下方へ延出する単一パイプ部とを備え、これら分岐管の単一パイプ部における下端部と、前記集合管の単一パイプ部における上方屈曲部とを、リヤフォークを挟んで略鉛直方向にて上下から接続させたことを特徴とする自動2輪車の排気構造。 - 前記分岐管の単一パイプ部における下端部と、前記集合管の単一パイプ部における上方屈曲部との接続部を含む上下の単一パイプ部からなる上下方向へ配置した部分が、前記リヤフォーク前部に設けられた開口部を上下に貫通して側面視で前記リヤフォークと交差していることを特徴とする請求項7記載の自動2輪車の排気構造。
- 前記分岐管の単一パイプ部における下端部と、前記集合管の単一パイプ部における上方屈曲部との接続部が、前記リヤフォークの前部近傍に位置することを特徴とする請求項7記載の自動2輪車の排気構造。
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