JP3683653B2 - フイルムスキャナーの自動焦点調節装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ネガフイルムあるいはポジフイルムに撮影された画像を撮像して画像信号を得るフイルムスキャナーに関するもので、詳しくは撮像時のピント合わせを的確かつ迅速に行うことができるようにしたフイルムスキャナーの自動焦点調節装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ネガフイルムやポジフイルムに撮影された写真画像をCRTに表示したり、あるいはビデオプリンタに出力して画像のハードコピーを得ようとする場合には、光学的な写真画像を画像信号に変換するためにフイルムスキャナーが用いられる。フイルムスキャナーはフイルム面に正対して写真画像を撮像するイメージセンサ(固体撮像素子)を内蔵しており、このイメージセンサから得られる撮像信号に適宜の信号処理を施すことによって画像信号が得られる。
【0003】
フイルム面とイメージセンサとの間には撮像レンズが配置され、写真画像が正しくイメージセンサの光電面上に結像されるようにピント合わせが行われる。フイルムスキャナーでは、撮像対象となるフイルムがフイルムキャリアによって保持され、しかも撮像レンズからほぼ一定の距離位置にセットされるため、一般のビデオカメラや電子スチルカメラなどのように広い距離範囲にわたってピント合わせを行わなくてもよいが、フイルムキャリアを変更したときにフイルム面が移動したり、撮像対象となるフイルムが種別ごとあるいはメーカーごとに厚みが異なることなどを考慮すると、やはりピント合わせを行う必要がある。
【0004】
フイルムスキャナーにおいて自動的にピント合わせを行うには、例えば特開昭61−41277号公報,特開昭63−215268号公報,特開平1−7774号公報に記載されたような自動焦点調節装置を用いることができる。これらの自動焦点調節装置は、基本的には写真画像をスキャンする過程でコントラストの変化分を監視し、その変化量(空間周波数に相当)ごとにそのサンプル数を対応させた評価信号を検出する。そして、フォーカスレンズを移動させながら、評価信号の積算値がピークとなるようにフォーカスレンズをフィードバック制御して合焦点を求めるようにしている。
【0005】
一般のビデオカメラに上記方式の自動焦点調節装置を用いる場合、主要被写体のほとんどは撮像画面の中心部に位置することが多いため、ピント合わせの評価エリアを写真画像の中心部を含む限られた範囲に決めることもできるが、フイルムスキャナーが対象とする静止した写真画像の中には、主要被写体が画面の周辺部に位置していることも少なくない。したがってフイルムスキャナーでピント合わせを行うときには、写真画像のほぼ全域をピント合わせの評価エリアにするのが通常である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、最近では135フイルムやアドバンストフォトシステムのフイルムのいずれにおいても、写真画像のサイズが一律ではなくなってきている。例えば135フイルムの場合、従来はフイルム上の画面サイズが36mm×24mmのフルサイズ(Cサイズ)がほとんどであったのに対し、36mm×13mmのパノラマサイズ、36mm×20mmのハイビジョンサイズのものが混在してきている。したがって、ピント合わせの評価エリアをCサイズに対応して固定しておくと、他サイズの写真画像に対しては不必要な範囲まで含めてピント合わせをすることになり好ましくない。また、それぞれの画面サイズに応じてフイルムをマスキングすると、ほとんどの場合、マスクの開口エッジ部分でコントラストが最も大きくなり、この部分に対してピント合わせが行われるという誤動作が生じやすい。
【0007】
さらに、フォーカスレンズを移動しながら評価信号の積算値の変化を監視し、積算値が負に変化したときに合焦と判定してフォーカスレンズの位置を決めるようにすると、真のピークの手前にある偽ピークに応答してフォーカスレンズがセットされることになり、誤動作しやすい。したがって、調節範囲の全域にわたってフォーカスレンズを移動させながら評価信号の積算値を監視し、最終的にピークが得られた位置を識別してからフォーカスレンズを位置決めする手法を採ると正確なピント合わせができるが、従来のようにフォーカスレンズの全調節範囲にわたって評価信号の積算値をサンプリングしたのでは、ピント合わせに時間がかかりすぎて実用的でない。
【0008】
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、画像の取り込み範囲外の画像パターンなどに影響を受けることなく適切なピント合わせが可能であり、またピント合わせを行う距離範囲を適切に設定することによって迅速かつ的確なピント合わせを行うことができるようにしたフイルムスキャナー用の自動焦点調節装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、本発明のフイルムスキャナーの自動焦点調節装置は、フイルム面内での有効撮像範囲を複数種類の中から選択して指定する画面サイズ指定手段と、前記複数種類の有効撮像範囲ごとに前記評価信号を抽出する評価エリアを対応づけた第1テーブルメモリと、撮像対象となるフイルムの種別を識別する識別手段と、この識別手段によって識別されるフイルムの種別ごとにピント合わせを行う距離範囲を対応づけた第2テーブルメモリとを設け、ピント合わせ処理を行う際には前記第1,第2テーブルメモリを順に参照して有効撮像範囲に対応して決められた評価エリアのもとで、かつフイルムの種別に対応した距離範囲の始点から終点に向かってフォーカスレンズを移動させながら前記評価信号の積算値を逐次にサンプリングし、前記積算値のピークが得られたサンプリング位置を基準にしてフォーカスレンズのセット位置を決める構成にしてある。したがって、例えばフイルム上のフルサイズ画面の中にパノラマサイズで撮影された写真画像を撮像するときには、パノラマサイズの指定を行うことによって自動的にピント合わせの評価エリアがパノラマサイズに適した範囲に制限され、余分な領域に対してピント合わせが行われることはない。
【0010】
また、フイルムの種別に適合した距離範囲を自動的に変更することが可能となる。例えば、ポジフイルム(リバーサルフイルム)はネガフイルムと異なり、スライド用枠にマウントされているのが通常であるため、これをフイルムスキャナーのネガキャリアにセットするとネガフイルムをセットしたときと撮像レンズからの距離が異なる。したがって、撮像対象となるフイルムがネガフイルムであるかポジフイルムであるかに応じ、それぞれピント合わせの距離範囲を適切な範囲に自動設定することによって、効率的にピント合わせ処理を行うことができる。
【0011】
また、本発明のフイルムスキャナーの自動焦点調節装置を、撮像レンズにはズームレンズが含まれ、前記第1テーブルメモリには画面サイズ指定手段で指定された有効撮像範囲とズームレンズのズーム位置との組み合わせに対応づけて評価エリアが格納されるとともに、ズームレンズのズーム位置を検知するズーム位置検知手段と、このズーム位置検知手段で検知されるズーム位置ごとにフォーカスレンズの初期シフト量を対応づけた第3テーブルメモリを設け、ズーム操作が行われたときには、前記第1,第2テーブルメモリに続いてさらに第3テーブルメモリを参照し、フォーカスレンズをズーム位置に対応した初期シフト量だけ移動させた後に、さらにフォーカスレンズを前記距離範囲の終点に向かって移動させながら評価信号の積算値のサンプリングを開始するようにする構成にする。
【0012】
また、本発明のフイルムスキャナーの自動焦点調節装置を、前記識別手段によって識別されるフイルムの種別情報に対応してフォーカスレンズの移動速度を切り換える速度制御手段と、フォーカスレンズを距離範囲の始点から終点に移動させる間に、フォーカスレンズの位置ごとに前記評価信号の積算値をサンプリングして記憶する記憶手段とを備える構成にする。ネガフイルムのように撮像レンズに対してフイルム面の位置があまり変動しないような場合には、ピント合わせを行う距離範囲を狭く設定することができる。この場合には、フォーカスレンズを低速で移動させてピント合わせを行う。すなわち、フォーカスレンズを距離範囲の終点まで低速で移動させた後に、前記積算値のピークが得られた位置にフォーカスレンズを戻してピント合わせを終了させるようにする。これにより、処理時間をあまりかけることなく、正確なピント合わせができる。
【0013】
ポジフイルムのように、マウントの仕方によって撮像レンズまでの距離が様々に変わる可能性が高いフイルムに対しては、ピント合わせの距離範囲を広くとる必要があり、ネガフイルムのときと同様にピント合わせの距離範囲の全域にわたってフォーカスモータを低速で駆動するとピント合わせの処理時間が長くなる。この場合には、フォーカスレンズを高速で移動させてピント合わせを行う。すなわち、フォーカスレンズを前記距離範囲の始点から終点まで高速で移動させる間に、前記記憶手段に記憶された積算値のピーク値がサンプリングされる直前の位置にフォーカスレンズを戻した後、フォーカスレンズを低速で移動させながらフォーカスレンズを距離範囲の終点に向かって再び移動させ、この移動の間に再び評価信号の積算値をサンプリングして読み込むとともに、その変化が負に反転したときに、反転直前の位置にフォーカスレンズを戻してピント合わせを終了させようにする。これにより、処理時間をあまりかけることなく、正確なピント合わせができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1に本発明を用いたフイルムスキャナーの外観を示す。フイルムスキャナーは、テーブル2,キーボード及びマウスからなるコントローラ3,モニタCRT4,撮像ユニット5,フイルムキャリア6,光源ユニット7,ディスクドライブユニット8からなる。ディスクドライブユニット8には基本プログラムが記録されたシステムディスクが装填され、コントローラ3からの起動コマンドにしたがって基本プログラムが立ち上がり、後述する各種の処理が行われる。
【0016】
撮像対象となるフイルムはフイルムキャリア6に装填される。ネガフイルムが対象となるときには、例えば6コマずつに分断されたシート形態、あるいは長尺形態のままネガフイルムホルダに挿入され、このネガフイルムホルダがフイルムキャリア6で保持される。ポジフイルムが対象となるときには、1コマずつマウントされたポジフイルムを数コマ分並べて保持するマウントホルダが用いられ、このマウントホルダがフイルムキャリア6で保持される。これらのネガフイルムホルダ,マウントホルダの形状の相違がフイルムキャリア6に組み込まれたマイクロスイッチなどのセンサで検知され、これにより装填の有無を表す装填完了信号及びフイルムの種別情報が得られる。この種別情報はフイルムID情報の一部として撮像ユニット5に送信される。
【0017】
一方、コントローラ3からは撮像対象となるフイルムがネガフイルムであるかポジフイルムであるかの指示入力が行われる。この指示入力はI/Oポートを介して撮像ユニット5に送信され、CRTモニタ4に写真画像の表示を行う際にネガ/ポジ反転処理が必要であるか否かが決められ、またフイルムキャリア6からの種別情報との対照確認が行われる。光源ユニット7には、照明ランプ,光量調節用の絞り,色温度調整用のカラーフィルタが内蔵され、コントローラ3からの入力により適宜の調節が可能となっている。撮像ユニット5は、ズーム機能をもった撮像レンズ10,イメージセンサを含む撮像部11,光源ユニット7及び撮像レンズ10の制御やイメージセンサで取り込まれた撮像信号に適宜の信号処理を行う回路部12とからなる。
【0018】
撮像ユニット5は基本的にマイクロコンピュータで構成され、その構成の概略を図2に示す。フイルムキャリア6に装填されたフイルム15(ネガフイルム)は光源ユニット7と撮像レンズ10との間にセットされる。光源ユニット7からの照明光によってフイルム15は背後から照明される。撮像レンズ10は、変倍レンズ10aとフォーカスレンズ10bとから構成され、各々のレンズを光軸方向に移動させることによってズーミングとフォーカシングが行われる。各々のレンズを移動させるために、ズームドライバ16,フォーカスドライバ17が用いられ、それぞれステッピングモータ16a,17aの駆動により移動制御が行われる。変倍レンズ10aにはズーム位置検知手段としてポテンショメータ18が併設されており、ポテンショメータ18は変倍レンズ10aの移動に連動してその抵抗値が変化してズーム位置と一対一に対応した電圧信号を出力する。
【0019】
撮像レンズ10の結像面にはイメージセンサ20が設けられている。イメージセンサ20の光電面には微少な赤,緑,青のカラーフィルタがマトリクス状に配列されており、これらのカラーフィルタを透過した光がピクセルごとに光電変換され、信号電荷の蓄積が行われる。なお、イメージセンサ20には多くCCD固体撮像素子が用いられるが、もちろん他の固体撮像素子を用いることも可能である。イメージセンサ20を駆動するためにセンサドライバ21が用いられており、イメージセンサ20からはピクセルごとの信号電荷が時系列に読み出され、撮像信号として出力される。
【0020】
イメージセンサ20からの撮像信号は、所定のサンプリング周波数のもとでA/Dコンバータ22によりデジタル変換される。デジタル化された撮像信号はデジタル信号処理回路24に時系列に入力される。デジタル信号処理回路24は、入力された撮像信号を色ごとに読み込んでマトリクス演算を行い、RGB画像信号とコンポジット画像信号との2種類の画像信号を生成する。なお、デジタル信号処理回路24ではγ補正や信号レベルの調整,カラーバランスの調整も行われる。こうして得られたRGB画像信号は、オペレータが画像信号の取り込み入力を行った時点で、デジタル信号のままRGB出力端子に出力され、またコンポジット画像信号はD/Aコンバータ25でアナログ変換の後にコンポジット出力端子に出力される。なお、コンポジット画像信号はCRTモニター4に逐次に送られるようになっており、フイルムスキャナーを作動させている期間中、オペレータはフイルム15の写真画像を観察することができる。
【0021】
A/Dコンバータ22からの撮像信号はバンドパスフィルタ28にも入力される。バンドパスフィルタ28はカスケード接続された2つのプログラマブルデジタルフィルタ28a,28bとからなる。前段のプログラマブルデジタルフィルタ28aは、概念的には時系列で入力されてくる撮像信号相互間の差を求め、その差が設定値KH 以下のものを評価信号として出力する。また、後段のプログラマブルデジタルフィルタ28bは前段から入力されてくる評価信号のうち、その値が設定値KL 以上のものを出力する。この結果、バンドパスフィルタ28からは、撮像信号相互間の差が一定範囲内の差分データが出力される。
【0022】
撮像信号相互間の差は、時系列に出力されてくる撮像信号のもつ空間周波数に対応し、その差が大きいほど空間周波数が高いことを意味する。したがって、バンドパスフィルタ28の上記作用は、撮像信号に含まれる空間周波数を低域カット周波数fL と高域カット周波数fH でフィルタリングし、これらのカット周波数で挟まれた周波数帯域内の変化幅データ(+,−の双方がある)を評価信号として出力することに対応する。
【0023】
高域カット周波数fH は前段のプログラマブルデジタルフィルタ28aにタップ係数として入力される設定値KH に対応して決まり、低域カット周波数fL は後段のプログラマブルデジタルフィルタ18bにタップ係数として入力される設定値KL に対応して決まる。なお、上記プログラマブルデジタルフィルタ28a,28bには例えばLOGIC社製の「12×10ビット マトリクス マルチプライヤ LF2250」(商品名)などを用いることができ、さらに高度なフィルタリング演算を行わせことによって、より高精度の評価信号を得ることも可能である。
【0024】
絶対値変換回路29は、バンドパスフィルタ28から送られてくる評価信号の絶対値をとって順次にタイミング制御回路30に入力する。タイミング制御回路30は、絶対値変換回路29から順次に送られてくる評価信号の積算値を、その入力タイミングに応じて選別して一部を積算回路31に入力する。イメージセンサ20は、フイルム15上の写真画像を二次元的に走査して撮像信号を出力し、こうして出力されてくる撮像信号に基づいて評価信号及びその積算値が求められるから、シリアルに入力されてくる積算値をその入力のタイミングによって選別することによって、フイルム15に記録された写真画像のうちの一部の範囲から得られた評価信号の積算値を取り出すことができる。
【0025】
この結果、例えば図3に示すように、フイルム15上に記録されたフルサイズ画面32aを撮像して得られた撮像信号に基づいて評価信号を得たときに、破線で示す評価エリア32bに属する評価信号だけを積算回路31に入力することが可能となる。同様に、パノラマ画面33aに対しては評価エリア33b、ハイビジョン画面34aに対しては評価エリア34bを設定することができる。これらの評価エリア32b〜34bの選択は、それぞれの画面サイズに応じてオペレータがコントローラ3を操作して有効撮像範囲の指定を行ったときに、CPU35がその指定入力に相当する画面サイズ情報を読み取って自動的に行われる。
【0026】
このため、それぞれの評価エリアごとのタイミングデータはデータROM38の所定アドレス域に確保された第1テーブルメモリ38aに格納されており、画面サイズ指定手段として機能するコントローラ3からの入力に応じて適宜のタイミングデータを読み出してバスライン36を経由してタイミング制御回路30に入力するようになっている。なお、図3に示す評価エリア32b〜34bの切換えは、撮像レンズ10のズーム位置が広角端で固定されているときにはそのままでよいが、前述のように撮像レンズ10がズーミング機能を備えていることに対応し、前記評価エリア32b〜34bは変倍レンズ10aの位置によっても自動的に調節されるようになっている。
【0027】
例えば、図4(A) に示すように、撮像レンズ10を広角端にして撮像するときには、イメージセンサ20の光電面上にパノラマ画面33aが結像され、その内側に評価エリア33bが設定されるが、撮像レンズ10をズーミング操作して画像の拡大が行われると、図4(B) に示すように、イメージセンサ20の光電面上には拡大されたパノラマ画面33a’が結像される。これに対応し、同図(A) に示す評価エリア33bも拡大された評価エリア33b’に変更される。
【0028】
このような調節のために、前記第1テーブルメモリ38aには、画面サイズ情報と、撮像レンズ10のズーム範囲を複数ステップに区画したそれぞれのズームステップ位置との組み合わせごとに、評価エリアの左上端の座標データSと、幅データW,高さデータHとがタイミングデータとして割り当てられている。これらの各データは、イメージセンサ20の光電面上に配列されたピクセルの座標,配列個数に対応している。そして、画面サイズ情報がパノラマ画面に対応し、かつ撮像レンズ10を広角端に設定して撮像を行うときには、座標S0(SX0,SY0)と、幅W0、高さH0の各データが第1テーブルメモリ38aから読み出され、CPU35はこれらのデータに基づいて、図4(A) に破線で示すように、評価エリア33bの設定を行う。
【0029】
また、ズーミング操作を行った場合には、図4(B) に示すようにイメージセンサ20には拡大されたパノラマ画面33a’が結像され、拡大率によっては広角端のときのパノラマ画面の一部がイメージセンサ20の光電面から外れることもある。しかし、ズーミング操作が行われたときには、そのズーム位置が第1テーブルメモリ38aのズームステップ位置のいずれに属するかによって、そのときのズーム位置に応じた座標Sn(SXn,SYn)、幅Wn、高さHnの各データが読み出され、これらのデータによって破線で示すように有効撮像範囲よりもわずかに狭い評価エリア33b’に自動的に変更される。
【0030】
なお、フイルム15上では全てフルサイズ画面で撮影しておいても、バノラマ画面用,ハイビジョン画面用のトリミング信号をコマ位置ごとに光学記録あるいは磁気記録しておけば、このトリミング信号をフイルムキャリア6に組み込まれたセンサで読み取って、これに対応した適切な評価エリアを設定することも可能であり、またこの評価エリアに対応した画面サイズ内の画像信号をRGB出力端子やコンポジット出力端子に出力することもできる。この場合、前記トリミング信号に対応して有効撮像範囲を決める標準的な使用形態では、必ずしもコントローラ3から有効撮像範囲の指定を行わなくても済むようになる。したがって、フイルムキャリア6が画面サイズ指定手段としての機能をもつことになり、前述したフイルムの種別情報とともにトリミング信号(画面サイズ情報)をフイルムID情報として撮像ユニット5に入力する。
【0031】
積算回路31は、イメージセンサ20の垂直同期期間内にタイミング制御回路30から送られてくる評価信号を積算する。図5は、タイミング制御回路30から出力される評価信号強度の分布を示す概念図で、実線がピント合わせ開始前、一点鎖線でピント合わせの途中、破線が合焦したときの様子を示す。評価信号の積算値は、それぞれの特性線で囲まれた領域の面積に相当する。ピント合わせが行われてゆくにしたがって高周波領域の評価信号も得られるようになり、結果的にピントが合うほど評価信号の積算値も大きくなることが分る。したがって、フォーカスレンズ10bを光軸方向に移動させながら評価信号の積算値を読み込み、その値がピークに達したことをもって合焦判定を行うことができる。
【0032】
図6はフォーカスレンズ10bの移動と評価信号の積算値との相関を示す概念図である。一般に、写真画像にコントラストの変化が乏しい場合には評価信号の積算値は破線で示すようになだらかに変化し、写真画像の絵柄パターンが細かくてコントラスト変化が多い場合には一点鎖線で示すように鋭敏に変化する。破線で示すような変化をするときには積算値のピークが識別しにくい。また、一点鎖線で示すような変化をするときには、フォーカスレンズ10bを移動してゆく過程で評価信号の積算値がマイナス側に変化したことをもってピークとして判定すると、偽ピークによる誤検出のおそれが高くなる。
【0033】
したがって、図6に実線で示すような変化が得られるようにバンドパスフィルタ28のカット周波数fL ,fH を決めることが好ましいが、写真画像のもつパターンは種々様々であるため、一律にカット周波数fL ,fH を決めることはできない。こうした事情を考慮し、写真画像のもつ絵柄パターンに応じてオペレータがカット周波数fL ,fH を調節できるようにしておくことが上記弊害を軽減する上で有利である。この点、このフイルムスキャナーの場合、バンドパスフィルタ28をプログラマブルデジタルフィルタ28a,28bで構成してあるので、これらのタップ係数をコントローラ3から入力し、I/0ポート37,CPU35を介して変更することによって対応可能である。
【0034】
ただし、どのような写真画像に対しても、評価信号の積算値の変化が図6に実線で示すように変化させることは困難である。しかも、撮像レンズ10はズーム機能をもっており、ズーミングによって写真画像のもつ空間周波数成分自体が変化するようになる。本発明ではこのような要因をも考慮し、偽ピークに影響されることなく的確かつ迅速なピント合わせができるように後述するアルゴリズムを採用している。
【0035】
撮像レンズ10は2群構成のズームレンズからなり、ズーミングを行うと変倍レンズ10aの移動に連動してフォーカスレンズ10bも移動し、ズーミングに伴う焦点面の移動を補正する。したがって、撮像距離が一定であったとしても、ズーミングを行うとフォーカスレンズ10bは光軸方向に移動する。そして、仮にフイルム15を設計値どおりのセット位置に装填されたとすると、この基準撮像距離に対して合焦が得られるフォーカスレンズ10bのオフセット位置は、それぞれのズーム位置に応じて予め光学計算で求めておくことができる。
【0036】
基準撮像距離に対するフォーカスレンズ10bのオフセット位置は、撮像レンズ10のズーム範囲を複数ステップに区画したそれぞれのズームステップ位置ごとに、初期位置からの駆動パルス数として第2テーブルメモリ38bに格納されている。この駆動パルス数はステッピングモータ17aの回転角、すなわちフォーカスレンズ10bの移動量に対応する。これによれば、変倍レンズ10aの位置をポテンショメータ18,A/Dコンバータ39を介して読み込んで、そのズーム位置が第2テーブルメモリ38bのいずれのズームステップ位置に相当しているかを識別した後、該当するズームステップ位置から駆動パルス数を読み込んで、これに基づいてフォーカスドライバ17,ステッピングモータ17aを駆動すれば、初期位置にあるフォーカスレンズ10bをズーム位置に応じたオフセット位置に一義的にセットすることができるようになる。なお、第2テーブルメモリ38bに用意されたズームステップ位置を、第1テーブルメモリ38aで用いられているズームステップ位置と一致させておいてもよいが、これらのステップ数はメモリ容量を考慮して適宜に変えておいてもよい。
【0037】
一方、フォーカスレンズ10bをオフセット位置に移動させたとしても、必ずしも実際にフイルムキャリア6に装填されたフイルム15に対して最適のピント合わせが行われるとは限らない。というのは、フイルム15がネガフイルムである場合、フイルム15のセット位置は撮像レンズ10からほぼ一定の距離位置になるとは言え、フイルム15の厚みやそのセット位置には多少の相違が生じてくる。また、フイルム15がポジフイルムである場合には、上記の要因に加え、スライド用枠の種類やマウントの仕方によって、ネガフイルムのときよりも撮像距離にバラツキが生じてくる。したがって、ネガ/ポジの別に関わらず、フイルム15をセットした後にはピント合わせを行う必要がある。
【0038】
ただし、上述したようにネガフイルムとポジフイルムとでは撮像距離のバラツキに相違がある。これを考慮し、このフイルムスキャナーはフイルム15の種別を表すID情報に対応し、ピント合わせを行う距離範囲をネガフイルムとポジフイルムとで自動的に変更する機能をもっている。すなわち、データROM38に用意された第3テーブルメモリ38cには、ネガフイルムに対しては狭い距離範囲、ポジフイルムに対しては広い距離範囲でピント合わせが行われるように、フォーカスレンズ10bの移動範囲の始点及び終点を決める位置データが書き込まれている。そして、CPU35がコントローラ3あるいはフイルムキャリア6から得られるID情報を識別する識別手段となり、さらにCPU35と第3テーブルメモリ38cとがID情報に応じてそれぞれの距離範囲を設定する距離範囲設定手段となる。
【0039】
図7に第2テーブルメモリ38b,第3テーブルメモリ38cの作用を概念的に示す。ズーム位置が決まると、第2テーブルメモリ38bを参照することによって、フォーカスレンズ10bを初期位置からオフセット位置まで移動させるのに必要な駆動パルス数A1 が分る。さらに第3テーブルメモリ38cには、フイルム15の種別に応じ、ピント合わせを行う距離範囲ΔSN ,ΔSP を決めるためのデータが書き込まれている。この距離範囲ΔSN ,ΔSP は、一方がネガフイルムが存在する範囲、他方がポジフイルムが存在する範囲を表し、それぞれ減算パルス数,加算パルス数の一対によって決められている。
【0040】
ピント合わせ処理を行うにあたっては、までズーム位置に対応してフォーカスレンズ10bをオフセット位置に移動させる駆動パルス数A1 が決まる。さらにフイルム15がネガフイルムであると、駆動パルスA1 から距離範囲ΔSN の下限を決めるパルス数が減算され、フォーカスレンズ10bを移動させるときの始点に対応する駆動パルス数AN1が決まり、さらに距離範囲ΔSN の上限を決めるパルス数が加算されフォーカスレンズ10bの移動の終点に対応する駆動パルス数AN2が決まる。なお、ズーム位置に応じて前記距離範囲ΔSN ,ΔSP を変更することも可能で、この場合にはフォーカスレンズ10bのオフセット位置ごとにそれぞれ個別に距離範囲ΔSN ,ΔSP の始点及び終点を決めるためのデータを用意しておけばよい。
【0041】
ピント合わせが開始されると、まず初期位置にあるフォーカスレンズ10bがAN1個の駆動パルスにより距離範囲の始点に移動され、以後は1画面ごとに撮像信号の読み込みを行いながら、フォーカスレンズ10bを光軸方向に移動させフォーカススキャンが行われる。そして、フォーカスレンズ10bを移動させるための駆動パルス数がAN2個に達した時点でフォーカススキャンが終了する。また、フイルム15がポジフイルムであるときには、フォーカスレンズ10bにAS1個〜AS2個の駆動パルスが供給される間で撮像信号の読み込みが行われ、ネガフイルムよりも広い距離範囲ΔSP でフォーカススキャンが行われる。
【0042】
RAM41は、フォーカススキャンが行われる間に、逐次に積算回路31を介してサンプリングされる評価信号の積算値を書き込むための記憶手段として用いられる。その外に、RAM41はピント合わせ処理を行う過程で得られるデータ,フラグ類の一時的保管を行うためのワークエリアにもなる。また、CPU35は、バスライン36,D/Aコンバータ42,光源制御回路43により光源ユニット7の作動を制御する。例えば、デジタル信号処理回路24による信号レベルの調整やカラーバランスの調整では対応しきれないときには、光源ユニット7の光量調節用の絞りを制御したり、あるいは色温度補正用のカラーフィルタを切り換える。このフイルムスキャナーによって行われる上述の基本的なシーケンスプログラム、あるいはシーケンスプログラムの実行過程で適宜に読み出される基準データはROM45に格納されている。
【0043】
以下、上記フイルムスキャナーのピント合わせ作用について説明する。図8のフローチャートに示すように、フイルム15の装填の有無の確認と、フイルムID情報とズーム位置情報との読み込みとが実行される。フイルムID情報には、図3で説明したように撮像対象となる写真画像の画面サイズ情報と、フイルム15の種別がネガ/ポジのいずれであるかを表す種別情報とが含まれる。これらの情報はオペレータがコントローラ3から入力するようになっているが、前述したように、フイルム15に記録されたトリミング信号をフイルムキャリア6で自動読み取りする構成にした場合には、画面サイズ情報についてはコントローラ3からの入力を省略することもできる。また、種別情報はコントローラ3からの入力の外にフイルムキャリア6によって読み取られ、コントローラ3からの入力と不一致であるときには、訂正入力待ちとなる。
【0044】
ID情報が適切なものであると、データROM38の第1テーブルメモリ38aが参照され、写真画像がパノラマ画面33aであると、評価エリア33bを設定するタイミングデータがCPU35,バスライン36を介してタイミング制御回路30に入力される。この評価エリア33bはパノラマ画面33aよりもわずかに狭い範囲になっているから、例えばパノラマ画面33aの周囲の未露光部分からの光が撮像されてもピント合わせには何の影響もない。同様に、パノラマ画面33aの周囲を覆うようなマスキングを行ったとしても、写真画像とマスク開口の境界部分からの光がピント合わせに用いられることはない。
【0045】
撮像レンズ10をズーミング操作した場合には、第1テーブルメモリ38aに用意されたタイミングデータに基づき、ズーム位置に応じた評価エリアの設定がなされる。ズーミング操作はコントローラ3からの入力により、ズームドライバ16,ステッピングモータ16aを介して行われるため、コントローラ3,I/Oポート37によりズーム位置を読み込むことも可能であるが、実際の変倍レンズ10aの位置をポテンショメータ18を介して読み込むようにしている。
【0046】
ズーム位置が読み込まれると、さらに第2テーブルメモリ38bが参照され、初期位置にあるフォーカスレンズ10bを、そのズーム位置に対応したオフセット位置まで移動させるのに必要な駆動パルスの個数A1 (図7参照)が読み込まれる。この駆動パルスの個数A1 は一旦RAM41に保存される。引続き、コントローラ3から入力された種別情報の確認が行われ、第3テーブルメモリ38cが参照される。これにより、フイルム15がネガフイルムであった場合には、図7に示す距離範囲ΔSN に対応して決められた減算パルス数,加算パルス数と、RAM41に保存されていた駆動パルスの個数A1 とから演算が行われる。そして、図7に示す距離範囲ΔSN の始点及び終点に対応する駆動パルスの個数AN1,AN2が求められ、RAM41に書き込まれる。
【0047】
以上の処理により、画面サイズ情報及びズーム位置に応じたフォーカススキャン用の評価エリアが決まり、またズーム位置及び種別情報に応じたフォーカスレンズ10bの移動範囲が決まる。そして、フォーカスレンズ10bをピント合わせの距離範囲の始点位置に移動させた後、撮像信号から評価信号を抽出し、かつ評価信号の積算値をフォーカスレンズ10bの移動とともに取り込んで合焦位置を探るフォーカススキャンが開始される。
【0048】
フォーカススキャンは、図9に示すフローチャートにしたがって行われる。フォーカススキャン処理は、まず種別情報の確認によってフイルム15がネガ/ポジのいずれであるかによって分岐する。フイルム15がネガフイルムであるときには、ピント合わせの距離範囲ΔSN が狭いので、フォーカスレンズ10bを低速で光軸方向に移動させながら評価信号の積算値をサンプリングしてゆく。フォーカスレンズ10bの移動速度は、CPU35からバスライン36を経てフォーカスドライバ17に供給される駆動パルスの周波数を小さくすることで対応することができる。
【0049】
フォーカスレンズ10bに供給された駆動パルスが個数AN2に達した時点でフォーカスドライバ17の作動が停止し、評価信号の積算値のサンプリングも終了する。RAM41には、フォーカススキャンの間にサンプリングされた多数の評価信号の積算値が書き込まれているが、CPU35はその中で最も大きい積算値をピーク値として識別するとともに、このピーク値が何番目にサンプリングされたものであるかを読み取る。積算値のサンプリングはフォーカスレンズ10bの移動に同期して行われるから、ピーク値が何番目にサンプリングしたものであるかを確認することによって、そのときのフォーカスレンズ10bの位置を識別することができる。
【0050】
こうしてピーク値が得られたときのフォーカスレンズ10bの位置が識別されると、CPU35はフォーカスドライバ17,ステッピングモータ17aによりフォーカスレンズ10bをその位置まで戻してネガフイルムに対するピント合わせ処理が終了する。なお、ピーク値の検出が不可能であった場合には、モニタCRT4の画面に警告表示が行われ、フォーカスレンズ10bを初期位置に戻して異常処理の終了となる。
【0051】
CRTモニタ4の画面には単に写真画像が表示されるだけでなく、ピント合わせ処理の過程で得られる評価信号の積算値がデジタル表示され、あるいは図6に示すピント合わせ曲線がシミュレーション表示される。したがって、異常処理の終了時には、オペレータはこの表示を確認した上で例えばプログラマブルデジタルフィルタ28a,28bのタップ係数補正などの入力の後に、再度ピント合わせ処理を行えばよい。
【0052】
こうしてフォーカスレンズ10bを合焦位置に移動させると、CRTモニタ4には鮮明な写真画像が表示されるから、オペレータはコントローラ3を介して画像信号の取り込み入力を行う。これにより、デジタル信号処理回路24からピント合わせ後の画像信号がRGB出力端子あるいはコンポジット出力端子から出力され、またディスクドライブユニット8に装填された記録媒体には画像信号の記録が行われる。なお、ネガフイルムの場合にはフイルムキャリア6に設けられたフイルム送りキーを操作して次コマの撮像を行うときにもピント面の変動はほとんどないから、最初の1コマ目に対して上記のピント合わせ処理を行うだけで充分である。もちろん、フイルムキャリア6にセットするフイルム15を変えたときには、上記のピント合わせが行われる。
【0053】
フイルム15がポジフイルムであるときには、ピント合わせの距離範囲が図7に示すΔSP の範囲となり、フォーカスレンズ10bは駆動パルスの個数AS1〜AS2の範囲で移動される。ポジフイルムの場合には、ネガフイルムの場合と比較して撮像距離範囲の変動が大きいことが予想されるから、距離範囲ΔSP は広く設定される。したがって、この距離範囲ΔSP をフォーカススキャンする際に、フォーカスレンズ10bを低速で移動させたのではピント合わせに時間を要するようになることから、ポジフイルムに対してはまず高速でフォーカスレンズ10bの移動が行われる。高速でフォーカスレンズ10bを移動させるには、逆にフォーカスドライバ17に供給される駆動パルスの周波数を高くすればよい。
【0054】
フォーカスレンズ10bを高速で移動させる間に、同様に評価信号の積算値のサンプリングが行われる。前述したように、評価信号の積算値はイメージセンサ20の駆動に同期して出力されてくるから、フォーカスレンズ10bが距離範囲ΔSP を移動する間の評価信号の積算値のサンプリング間隔は、ネガフイルムのときよりも粗くなる。こうしてサンプリングされた積算値はRAM41に順次に書き込まれる。フォーカスレンズ10bの移動が完了した時点でCPU35はその中で最も大きい積算値をピーク値として識別し、このピーク値が何番目にサンプリングされたものであるかを読み取る。これにより、ピーク値が得られたときのフォーカスレンズ10bの位置が識別されると、CPU35はフォーカスドライバ17,ステッピングモータ17aによりフォーカスレンズ10bをピーク値が得られた位置よりも一つ前の位置に戻す。
【0055】
次にCPU35は、フォーカスレンズ10bを再び距離範囲ΔSP の終点に向かって移動させるが、このときにはフォーカスレンズ10bの移動速度が低速に切り換えられる。こうしてフォーカスレンズ10bを移動させる間に、再び評価信号の積算値のサンプリングが開始され、CPU35は読み込んだ積算値を次々と前回に読み込んだ積算値と比較する。そして、新たに読み込んだ積算値が前回の積算値よりも小さくなったとき、すなわち積算値が負に変化したことが検知されたときに、フォーカスレンズ10bを前回の積算値を得た位置に戻してピント合わせを終了する。
【0056】
上記の処理は、ピント合わせの距離範囲ΔSP の全域にわたって粗くフォーカススキャンを行って評価信号の積算値がピークになるフォーカスレンズ10bの位置を求めた後、その位置よりも遡った位置までフォーカスレンズ10bを戻してから、真のピークが得られる位置を細かいフォーカススキャンで求めることに相当する。したがって、距離範囲ΔSP の全域にわたって細かくフォーカススキャンを行う場合よりも短時間でフォーカスレンズ10bの合焦位置を求めることができるようになる。高速でのフォーカススキャンを行った後、積算値のピークが識別できなかった場合には、ネガフイルムのときと同様に異常処理状態で終了する。
【0057】
なお、細かいフォーカススキャンを行う際には最初に積算値が負に変化した時点でピント合わせ処理が終了するため、この間に偽ピークが存在している場合にはこれに応答してピント合わせ処理が終了することもあり得るが、現実的にはきわめて稀であり、例えこれが偽ピークであったとしても真のピークはかなり接近した位置に存在するはずであるから、撮像レンズの深度によってカバーし得る範囲である。また、これが懸念される場合には、フォーカスレンズ10bを低速で移動させる範囲を、粗いフォーカススキャンによって得られたピーク値を挟む2位置間に設定し、その間で得られた積算値のピーク値に対応する位置にフォーカスレンズ10bを戻してピント合わせ処理を終了させればよい。
【0058】
フォーカスレンズ10bを合焦位置に移動させた後には、同様にコントローラ3からの入力を待って画像信号の取り込み処理が行われる。なお、ポジフイルムを対象にする場合には、例え同種のスライド用枠を使っているとしても、スライド用枠とフイルムとのマウント状態が一律ではなく、撮像レンズ10からフイルム面までの間の撮像距離が変動しやすいため、ポジフイルムに対しては上記のピント合わせ処理は1コマごとに行われる。したがって、フイルムキャリア6あるいはコントローラ3からコマ送り入力を行ったときには、フォーカスレンズ10bは自動的に初期位置に戻される。
【0059】
以上、添付した図面をもとに本発明について説明してきたが、本発明を実施するにあたっては適宜の変更が可能である。例えば、ズーム位置を読み込む際に、変倍レンズ10aの位置をポテンショメータ18で検出する代わりに、変倍レンズ移動用のステッピングモータ16aに供給した駆動パルスの数を監視することによってズーム位置を検出することもできる。また、本発明は必ずしも2群構成のズームレンズのみならず、3群構成以上のズームレンズに対しても適用可能であることはもちろんである。
【0060】
【発明の効果】
上記のように、本発明によれば写真画像を撮像して得られる撮像信号中の空間周波数成分に基づいてピント合わせを行うにあたり、撮像対象となる有効撮像範囲に対応してピント合わせの評価エリアを決めるようにしてあるから、撮像対象範囲から外れた部分からの撮像信号に悪影響を受けることなく、正確なピント合わせを行うことができる。また、フイルムのセット位置と撮像レンズとの間の撮像距離がフイルムの種別によっては大きくことなることを考慮し、フイルムの種別を表すID情報に応じてピント合わせを行う距離範囲を変更するようにしたから、フイルムの種別ごとに適切かつ迅速なピント合わせを行うことができる。
【0061】
さらに、本発明ではピント合わせの距離範囲をフイルムの種別に対応して所定の範囲に設定し、この距離範囲の全域にわたってフォーカススキャンを行って評価信号の積算値のピークを求めるようにしてあるから、偽ピークに応答してピント合わせが完了するという誤動作を防ぐことができる。特に、撮像距離にバラツキが出やすいフイルムを対象とする際には、ピント合わせの距離範囲を広めに設定する必要が生じるが、この場合には距離範囲の全域にわたって高速でフォーカススキャンを行って評価信号の積算値のピークを粗く検出し、しかる後にこのピークの周辺で低速でフォーカススキャンを行って真の合焦位置を識別する構成であるから、距離範囲を広めに設定してもピント合わせ処理を短時間で行うことが可能となる。また、撮像レンズをズームレンズで構成することを考慮し、ズーム位置ごとにフォーカスレンズのオフセット位置を設定しておき、このオフセット位置を基準にしてピント合わせの距離範囲を設定する構成にしたので、ズーム位置によらず高速かつ確実なピント合わせができるようになる。
【0062】
そして、上述した評価エリアの設定、フイルムの種別に対応したピント合わせの距離範囲の設定、さらにズーム位置によるオフセット位置の設定の各々については、それぞれテーブルメモリを用いて即座に対応できるようにしてあるから、マイクロコンピュータによる高速処理が可能となるとともに、各々の設定値の変更も容易であるから様々な種類のフイルムに対しても即応性に優れたピント合わせができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を用いたフイルムスキャナーの外観図である。
【図2】図1に示すフイルムスキャナーの回路構成の概略を示すブロック図である。
【図3】画面サイズに応じて設定される評価エリアの説明図である。
【図4】ズーム位置に応じて設定される評価エリアの説明図である。
【図5】空間周波数に対する評価信号の分布特性を示す説明図である。
【図6】評価信号の積算値の変化を示す説明図である。
【図7】フォーカスレンズの移動制御を示す説明図である。
【図8】フォーカススキャン開始前の処理を示すフローチャートである。
【図9】フォーカススキャン開始後の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
3 コントローラ
5 撮像ユニット
6 フイルムキャリア
10 撮像レンズ
10a 変倍レンズ
10b フォーカスレンズ
15 フイルム
24 デジタル信号処理回路
28 バンドパスフィルタ
30 タイミング制御回路
31 積算回路
35 CPU
38 データROM
38a 第1テーブルメモリ
38b 第2テーブルメモリ
38c 第3テーブルメモリ
41 RAM
Claims (4)
- フイルム面上の写真画像を撮像レンズを通してイメージセンサで撮像し、このイメージセンサからの撮像信号から写真画像のもつ空間周波数に対応づけられた評価信号を抽出してこの評価信号の積算値に基づいて撮像レンズに含まれるフォーカスレンズを光軸方向に移動してピント合わせを行うフイルムスキャナーの自動焦点調節装置において、
フイルム面内での有効撮像範囲を複数種類の中から選択して指定する画面サイズ指定手段と、前記複数種類の有効撮像範囲ごとに前記評価信号を抽出する評価エリアを対応づけた第1テーブルメモリと、撮像対象となるフイルムの種別を識別する識別手段と、この識別手段によって識別されるフイルムの種別ごとにピント合わせを行う距離範囲を対応づけた第2テーブルメモリとを備え、ピント合わせ処理を行う際には前記第1,第2テーブルメモリを順に参照して有効撮像範囲に対応して決められた評価エリアのもとで、かつフイルムの種別に対応した距離範囲の始点から終点に向かってフォーカスレンズを移動させながら前記評価信号の積算値を逐次にサンプリングし、前記積算値のピークが得られたサンプリング位置を基準にしてフォーカスレンズのセット位置を決めるようにしたことを特徴とするフイルムスキャナーの自動焦点調節装置。 - 撮像レンズにはズームレンズが含まれ、前記第1テーブルメモリには画面サイズ指定手段で指定された有効撮像範囲とズームレンズのズーム位置との組み合わせに対応づけて評価エリアが格納されるとともに、ズームレンズのズーム位置を検知するズーム位置検知手段と、このズーム位置検知手段で検知されるズーム位置ごとにフォーカスレンズの初期シフト量を対応づけた第3テーブルメモリを設け、ズーム操作が行われたときには、前記第1,第2テーブルメモリに続いてさらに第3テーブルメモリを参照し、フォーカスレンズをズーム位置に対応した初期シフト量だけ移動させた後に、さらにフォーカスレンズを前記距離範囲の終点に向かって移動させながら評価信号の積算値のサンプリングを開始するようにしたことを特徴とする請求項1記載のフイルムスキャナーの自動焦点調節装置。
- 前記識別手段によって識別されるフイルムの種別情報に対応してフォーカスレンズの移動速度を切り換える速度制御手段と、フォーカスレンズを距離範囲の始点から終点に移動させる間に、フォーカスレンズの位置ごとに前記評価信号の積算値をサンプリングして記憶する記憶手段とを備え、フォーカスレンズを低速で移動させてピント合わせを行う際には、フォーカスレンズを距離範囲の終点まで移動させた後に、前記積算値のピークが得られた位置にフォーカスレンズを戻してピント合わせを終了させるようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載のフイルムスキャナーの自動焦点調節装置。
- フォーカスレンズを高速で移動させてピント合わせを行う際には、フォーカスレンズを前記距離範囲の始点から終点まで移動させる間に、前記記憶手段に記憶された積算値のピーク値がサンプリングされる直前の位置にフォーカスレンズを戻した後、フォーカスレンズを低速で移動させながらフォーカスレンズを距離範囲の終点に向かって再び移動させ、この移動の間に再び評価信号の積算値をサンプリングして読み込むとともに、その変化が負に反転したときに、反転直前の位置にフォーカスレンズを戻してピント合わせを終了させるようにしたことを特徴とする請求項3記載のフイルムスキャナーの自動焦点調節装置。
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