JP3682857B2 - レベルシフティングパスゲート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レベルシフティングパスゲートに関する。
【0002】
【従来の技術】
このようなゲートは、回路供給電圧よりも振幅が実質的に低い入力信号に応答する金属酸化膜半導体(MOS)回路の形態で実施され得る。このような回路は、電圧レベルが通常は1.0〜5.0ボルトの範囲内のより小さな電圧レベルのシステム信号でインターフェースを行う大面積絶縁体上シリコン(SOI)回路で用いられ得る。このような回路は、通常、例えば10〜20ボルトの範囲内の非常に高い供給電圧で動作する。この種類の回路の一例として、ポリシリコン薄膜トランジスタ(TFT)で製造されたフラットパネルマトリックスディスプレイ用のモノリシックドライバがある。
【0003】
添付図面の図1は、例えばUS 5 729 154に開示されているような公知のタイプのレベルシフタを示す。この回路は、N型MOS電界効果トランジスタM1およびM3と、P型電界効果トランジスタM2およびM4とによって形成された入力段を含む。この段の出力は、N型トランジスタM5およびP型トランジスタM6を含む従来のCMOSインバータに接続される。
【0004】
トランジスタM2およびM4のゲートは、電源線vssに接続され、これらのトランジスタは、実質的に抵抗器として動作する。トランジスタM1のゲートは、トランジスタM3のゲートおよびドレインに接続され、したがって、ダイオードのように機能する。トランジスタM3のソースは、電源線vssの電圧と電源線vddの電圧との間の電圧Vbiasを受け取るように接続される。トランジスタM3の目的は、閾値電圧補償バイアス電圧をトランジスタM1のゲートに提供することである。トランジスタM1のソースは、レベルシフタの入力INに接続される。
【0005】
使用時は、入力INは、ローレベルまたはゼロレベルのVssと、電源線Vdd上の供給電圧VDDよりも低い、高い方のレベルVHHとの間で切り替わる論理信号を受け取る。ローの論理レベルVssが入力INに供給される場合、トランジスタM1のゲート−ソース電圧は、トランジスタM1がオンになり、ドレイン電圧が電源線Vssの電圧Vssとほぼ同じ程度にまで低下することが確実に起こるに十分な大きさである。トランジスタM5およびM6によって形成されるインバータは、これを反転させ、反転した出力OUTBは、実質的に電源線vddの電源線電位VDDにまで上昇する。
【0006】
ハイの論理レベル電圧VHHが入力INに印加される場合、トランジスタM1のゲート−ソース電圧は、トランジスタM1のみが微弱導通するかまたはオフされるように低減される。そのため、トランジスタM2は、インバータの入力を電源線vddの電圧VDDまでおよびインバータM5、M6の切替ポイント以上まで上昇させる。したがって、インバータの出力OUTBは、実質的に電源線vssの電圧Vssにまで低下する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような構成は、入力ハイレベル論理信号のレベルシフティングを提供するが、入力信号が論理ローレベルである場合、図1のレベルシフタは、入力INに接続されたいかなる信号線に対しても、より低いインピーダンスの入力負荷を与える。したがって、レベルシフタからの出力信号が要求されない場合、ローレベル論理信号へのレベルシフタのこの低インピーダンス入力によって、入力INに接続された任意の信号線に、受容不可能なレベルの負荷がかかり得る。
【0008】
添付図面の図2は、例えばEP 0 600 734 Aに開示されているような別の公知のタイプのレベルシフタを示す。図2のレベルシフタは、トランジスタM1のソースが相補入力INBに接続され、一方、トランジスタM3のソースが直接入力INに接続される点で、図1のレベルシフタと異なる。また、トランジスタM2およびM4のゲートはそれぞれ、入力INおよびINBに接続される。
【0009】
入力INがハイの論理レベルVHHを受け取って、相補入力INBがロー入力の論理レベル入力VSSとなる場合、トランジスタM1のゲートにおける電圧が増加する一方、トランジスタM2により提供される駆動(drive)は低減する。したがって、インバータM5、M6の入力は、図1に示すレベルシフタの場合よりも低い。逆に、入力INがローの論理レベルVSSを受け取って相補入力INBがハイの論理レベルVHHを受け取ると、トランジスタM1は強くオフされ(turned harder off)、インバータM5およびM6への入力が、図1に示すレベルシフタの場合よりも高くなる。これによって、レベルシフティングの程度を高め、インバータM5、M6の切替ポイントの重要度を低くすることができる。しかし、この場合、入力INおよびINBの両方がトランジスタM1およびM2のソースに接続され、これにより、これらの入力に接続された任意の信号線に低インピーダンスの負荷がかかる。
【0010】
添付図面の図3は、例えばUS 5 748 026に開示されているような種類のレベルシフタを示す。相補入力INおよびINBはそれぞれ、ダイオード接続されたN型トランジスタM3およびM3’のソースに接続される。N型トランジスタM3およびM3’には、P型導通トランジスタM4およびM4’の形態の負荷抵抗(load resistance)が設けられる。トランジスタM3およびM3’のベースおよびドレインはそれぞれ、N型トランジスタM1およびM1’のゲートに接続される。N型トランジスタM1およびM1’には、P型トランジスタM2およびM2’を含む電流ミラー負荷が設けられる。ダイオード接続されたトランジスタM3およびM3’は、バイアス電圧を加えることにより、相補入力信号のレベルシフティングを提供する。しかし、それでも、入力INおよびINBは、それらが接続された信号線に低インピーダンス負荷を与える。
【0011】
添付図面の図4は、ST−LCDから入手可能なLPSディスプレイにおいて用いられているような公知のレベルシフタを簡略化したものを示す。この構成は、トランジスタM3およびM3’が、P型であり、かつトランジスタM4およびM4’と共にソースフォロアとして接続されている一方、トランジスタM1およびM1’のソースが入力INBおよびINに接続されている点で、図3に示す構成とは異なる。トランジスタM3およびM3’は、ここでも、入力信号の最初のレベルシフティングを提供するが、入力INおよびINBは、ここでもトランジスタソースに接続されているため、入力INおよびINBに接続された信号線に比較的低いインピーダンス負荷を与える。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明によるレベルシフティングパスゲートは、主導通経路が信号入力と信号出力との間に接続されたパストランジスタおよび上記信号出力に接続された負荷を備える第1の回路と、イネーブル入力を有する第2の回路であって、上記イネーブル入力に供給されるイネーブル信号が活性であり、第1の論理レベルが上記信号入力に供給される場合、上記パストランジスタが、レベルシフトされた論理レベルを上記信号出力に提供し、上記イネーブル信号が活性であり、第2の論理レベルが上記信号入力に供給される場合、上記パストランジスタが、実質的にシフトせずに、上記第2の論理レベルを上記信号出力に提供し、上記イネーブル信号が不活性である場合、上記信号入力が高インピーダンス状態に設定され、上記信号出力が所定の状態に設定されるように、上記第1の回路を制御するように構成される第2の回路とを備え、そのことにより上記目的が達成される。
【0013】
上記第1の論理レベルの大きさは、上記第2の論理レベルよりも大きくてもよい。
【0014】
上記第2の論理レベルの大きさは、実質的にゼロに等しくてもよい。
【0015】
本発明によるレベルシフティングパスゲートは、主導通経路が信号入力と信号出力との間に接続されたパストランジスタおよび上記信号出力に接続された負荷を備える第1の回路と、イネーブル入力を有する第2の回路であって、上記イネーブル入力に供給されるイネーブル信号が活性であり、第1の論理レベルが上記信号入力に供給される場合、上記パストランジスタが、レベルシフトされた論理レベルを上記信号出力に提供し、上記イネーブル信号が不活性である場合、上記信号入力が高インピーダンス状態に設定され、上記信号出力が所定の状態に設定されるように、上記第1の回路を制御するように構成される第2の回路とを備え、上記トランジスタは電界効果トランジスタを備え、そのことにより上記目的が達成される。
【0016】
上記第2の回路は、上記イネーブル信号が不活性である場合に、上記パストランジスタをオフに切り替えるように構成されてもよい。
【0017】
上記第2の回路は、上記イネーブル信号が活性である場合、上記パストランジスタの閾値電圧よりも大きなバイアス電圧を、上記パストランジスタの制御電極に供給するよう構成されてもよい。
【0018】
上記バイアス電圧と上記第1の論理レベルとの差は、上記パストランジスタの上記閾値電圧よりも小さくてもよい。
【0019】
上記第2の回路は、第1のトランジスタの出力電極と制御電極とに接続された抵抗を含むバイアス電圧ソースを備えてもよい。
【0020】
上記第1のトランジスタは、グラウンドに接続された共通電極を有してもよい。
【0021】
上記第1のトランジスタは、上記イネーブル信号が不活性である場合にハイの電圧レベルを受け取り、上記イネーブル信号が活性である場合にローの電圧レベルを受け取るよう接続された共通電極を有してもよい。
【0022】
上記第1のトランジスタは、相補信号入力に接続された共通電極を有してもよい。
【0023】
上記第1のトランジスタの上記共通電極は、制御電極がさらなるバイアス電圧を受け取るよう構成された第2のトランジスタの上記主導通経路を介して接続されてもよい。
【0024】
上記抵抗は、第3のトランジスタの上記主導通経路を備えてもよい。
【0025】
上記第3のトランジスタは、上記イネーブル信号が不活性である場合にオフに切り替えられ、上記イネーブル信号が活性である場合に導通するように構成されてもよい。
【0026】
上記第1のトランジスタの上記制御電極および出力電極は、上記パストランジスタの制御電極に接続されてもよい。
【0027】
上記イネーブル信号が不活性である場合、上記ゲートは、上記パストランジスタの制御電極をグラウンドに接続するように構成された第4のトランジスタを備えてもよい。
【0028】
少なくとも1つのさらなるパストランジスタであって、上記少なくとも1つのさらなるパストランジスタまたはその各々は、各さらなる信号入力と上記信号出力との間に接続された主導通経路を有してもよい。
【0029】
上記負荷は実質的に一定の抵抗を備え、上記所定の状態はハイレベル状態を含んでもよい。
【0030】
上記負荷は、上記パストランジスタと反対の伝導型の負荷トランジスタを備えてもよい。
【0031】
上記パストランジスタは、上記負荷トランジスタよりも高い駆動能力を有してもよい。
【0032】
上記負荷トランジスタは、上記イネーブル信号が不活性である場合にオフに切り替わるように構成されてもよい。
【0033】
上記所定の状態は高インピーダンス状態であってもよい。
【0034】
上記信号出力とグラウンドとの間に接続された主導通経路を有するプルダウントランジスタは、上記イネーブル信号が不活性であり、かつ上記所定の状態がローレベル状態である場合にオンに切り替わるように構成されてもよい。
【0035】
上記負荷トランジスタは一定のバイアスを受け取るように構成され、上記所定の状態はハイレベル状態であってもよい。
【0036】
上記負荷トランジスタは、接地電位を受け取るよう構成された制御電極を有すしてもよい。
【0037】
上記信号出力は、第1のインバータの入力に接続されてもよい。
【0038】
上記ゲートは、入力および出力がそれぞれ上記第1のインバータの出力および入力に接続され、上記イネーブル信号が不活性である場合にイネーブルされ、上記イネーブル信号が活性である場合にディスエーブルされるように構成された第2の制御可能なインバータを備えてもよい。
【0039】
上記ゲートは、CMOS集積回路において実施されてもよい。
【0040】
上記ゲートは、マトリックスディスプレイ用のドライバ回路に含まれてもよい。
【0041】
本発明の第1の局面によれば、レベルシフティングパスゲートであって、主導通経路が信号入力と信号出力との間に接続されたパストランジスタおよび上記信号出力に接続された負荷を備える第1の回路と、イネーブル入力を有する第2の回路であって、上記イネーブル入力に供給されるイネーブル信号が活性であり、第1の論理レベルが上記信号入力に供給される場合、上記パストランジスタが、レベルシフトされた論理レベルを上記信号出力に提供し、上記イネーブル信号が不活性である場合、上記信号入力が高インピーダンス状態に設定され、上記信号出力が所定の状態に設定されるように、上記第1の回路を制御するように構成される第2の回路と、を備えるレベルシフティングパスゲートが提供される。
【0042】
上記パストランジスタは、上記イネーブル信号が活性であり、第2の論理レベルが上記信号入力に供給される場合、実質的にシフトしない論理レベルを上記信号出力に提供するように構成されてもよい。上記第1の論理レベルの大きさは、上記第2の論理レベルよりも大きくてもよい。上記第2の論理レベルの大きさは、実質的にゼロに等しくてもよい。
【0043】
上記第2の回路は、上記イネーブル信号が不活性である場合に、上記第1のトランジスタをオフに切り替えるように構成されてもよい。
【0044】
上記第2の回路は、上記イネーブル信号が活性である場合、上記パストランジスタの閾値電圧よりも大きなバイアス電圧を、上記パストランジスタの制御電極に供給するよう構成されてもよい。上記バイアス電圧と上記第1の論理レベルとの差は、上記パストランジスタの上記閾値電圧よりも小さくてもよい。
【0045】
上記第2の回路は、第1のトランジスタの出力電極と制御電極とに接続された抵抗を含むバイアス電圧ソースを備えてもよい。上記第1のトランジスタは、グラウンドに接続された共通電極を有してもよい。代替として、上記第1のトランジスタは、上記イネーブル信号が不活性である場合にハイの電圧レベルを受け取り、上記イネーブル信号が活性である場合にローの電圧レベルを受け取るよう接続された共通電極を有してもよい。さらなる代替として、上記第1のトランジスタは、相補信号入力に接続された共通電極を有してもよい。
【0046】
上記第1のトランジスタの上記共通電極は、制御電極がさらなるバイアス電圧を受け取るよう構成された第2のトランジスタの主導通経路を介して接続されてもよい。
【0047】
上記抵抗は、第3のトランジスタの主導通経路を備えてもよい。上記第3のトランジスタは、上記イネーブル信号が不活性である場合にオフに切り替えられ、上記イネーブル信号が活性である場合に導通するように構成されてもよい。
【0048】
上記第1のトランジスタの上記制御電極および出力電極は、上記パストランジスタの制御電極に接続されてもよい。
【0049】
上記ゲートは、上記イネーブル信号が不活性である場合、上記パストランジスタの制御電極をグラウンドに接続するように構成された第4のトランジスタを備えてもよい。
【0050】
上記ゲートは、少なくとも1つのさらなるパストランジスタを備えてもよく、上記少なくとも1つのさらなるパストランジスタまたはその各々は、各さらなる信号入力と上記信号出力との間にそれぞれ接続された主導通経路有する。
【0051】
上記負荷は実質的に一定の抵抗を備えてもよく、上記所定の状態はハイレベル状態を含んでもよい。
【0052】
上記負荷は、上記パストランジスタと反対の伝導型の負荷トランジスタを備えてもよい。上記パストランジスタは、上記負荷トランジスタよりも高い駆動能力を有してもよい。
【0053】
上記負荷トランジスタは、上記イネーブル信号が不活性である場合にオフに切り替わるように構成されてもよい。上記所定の状態は高インピーダンス状態であってもよい。代替として、上記信号出力とグラウンドとの間に接続された主導通経路を有するプルダウントランジスタは、上記イネーブル信号が不活性であり、かつ上記所定の状態がローレベル状態であり得る場合にオンに切り替わるように構成されてもよい。
【0054】
上記負荷トランジスタは一定のバイアスを受け取るように構成されてもよく、上記所定の状態はハイレベル状態であってもよい。上記負荷トランジスタは、接地電位を受け取るよう接続された制御電極を有してもよい。
【0055】
上記信号出力は、第1のインバータの入力に接続されてもよい。上記ゲートは、入力および出力がそれぞれ上記第1のインバータの出力および入力に接続され、上記イネーブル信号が不活性である場合にイネーブルされ、上記イネーブル信号が活性である場合にディスエーブルされるように構成された第2の制御可能なインバータを備えてもよい。
【0056】
上記トランジスタまたはその各々は、電界効果トランジスタを備えてもよい。上記ゲートは、CMOS集積回路において実施されてもよい。
【0057】
本発明の第2の局面によれば、本発明の第1の局面によるゲートを含むマトリックスディスプレイ用のドライバ回路が提供される。
【0058】
したがって、非常に感度が良く、かつ非常に低い電圧入力で動作可能なレベルシフティングパスゲートを提供することが可能である。このようなゲートは、例えば、高速シフティングまたは高速サンプリングを達成することが可能な、高速の動作速度を有する。任意の数の低電圧入力に対して論理AND関数を実行することが容易である。論理レベルの振幅が改善されるため、より低い電力消費が達成され得る。このゲートは、プロセスの違いに対してロバストであり、比較的少ない数のトランジスタで実施され得る。
【0059】
このパスゲートは、イネーブル構成またはゲート構成を含む。イネーブル構成またはゲート構成は、入力に関係なく出力が所定の状態を採用し、入力が、その入力に接続された信号線に高インピーダンスを与えるディスエーブル状態にゲートを切り替えることを可能にする。この所定の状態は、以下の回路要件に応じて選択可能であり、例えば論理ローレベル、論理ハイレベル、または高インピーダンス状態の形態をとり得る。ゲートがディスエーブルされるときに入力を高インピーダンス状態に切り替えることにより、入力に接続された信号線の不要な負荷を実質的に防ぐことができる。
【0060】
【発明の実施の形態】
例示によって、添付図面を参照しながら本発明についてさらに説明する。
【0061】
図面中、同じ参照符号は同じ構成要素を指す。
【0062】
図5は、本発明の実施形態を構成するレベルシフティングパスゲートによって行われることが要求されるレベルシフティング機能を示し、以下、これについて説明する。図5の上段の波形図は、2つの論理レベルを有する論理レベル信号の形態の、通常の入力信号を示す。ローの論理レベルVSSは、ゼロボルトまたは実質的にゼロボルトに等しく、図5の下段の波形図に示すように、このレベルは変更を要求されない。しかし、ハイの入力レベルVHHは比較的低い「論理」ハイレベル(例えば、2ボルトのオーダー)であり、このレベルは、高レベルVDD(例えば、15ボルトであり得、パスゲートの電源電圧に相当するレベル)にまで増加されることが要求される。したがって、レベルシフティングパスゲートは、パスゲートの機能を行うと同時に、パスゲートの入力に供給される比較的低いレベルの論理信号と、パスゲートの出力に接続された、それに続く回路との間のインターフェースを行うことを要求される。
【0063】
図6に示すレベルシフティングパスゲートは、ソースが信号入力INに接続され、ドレインが信号出力OUTに接続されたパストランジスタM1(N型MOS電界効果トランジスタとして図示するが、P型でもよい)を含む。トランジスタM1のドレインはまた、負荷Rを介して電力電源線vddにも接続される。トランジスタM1のゲートは、イネーブル信号を受け取るイネーブル入力ENを有する制御回路または手段1に接続される。このイネーブル信号は、実施形態において、「活性ハイ」型として示されているが、活性ロー型であってもよい。制御手段1と負荷Rとの間にも制御接続を図示しているが、いくつかの実施形態では、このような接続は提供されない。
【0064】
イネーブル入力ENは、VDD(すなわち、電源線vdd上の電源電圧)とVSS(すなわち、接地電位またはより低いの電源線の電圧(図6では図示せず))との間を切り替わる論理信号を受け取る。信号入力INは、上述したように、VSSと実質的にVDD未満のハイの論理レベルVHHとの間で切り替わるより低い電圧論理信号を受け取る。
【0065】
入力ENに供給されるイネーブル信号がローの論理レベルである場合、制御手段1は、トランジスタM1および負荷Rよって形成された回路を、トランジスタM1がオフされ、出力OUTが入力INから遮断されるように、制御する。この状態において、入力INは高インピーダンス状態をとり、一方、出力OUTは、例えば論理ハイレベル(VDD)、論理ローレベル(VSS)、または高インピーダンス(Z)状態であり得る所定の状態をとる。そこで、パスゲートの回路挙動は、以下のような真理表により要約され得る。
【0066】
【表1】
Figure 0003682857
X=0(VSS)、1(VDD)、またはZ(高インピーダンス)
入力ENにおけるイネーブル信号がハイの場合、制御手段1は、適切なバイアス電圧VbiasがトランジスタM1のゲートに供給されることを確実にする。したがって、パストランジスタM1および負荷Rは、共通のゲート増幅器として動作し、入力INに供給される信号は、トランジスタM1のゲート−ソース電圧を制御する。ローの論理レベルVSSが入力INに供給される場合、ゲート−ソース電圧VGSはバイアス電圧Vbiasと等しくなり、これにより、トランジスタM1はオンになり、トランジスタM1のドレインは出力OUTをローにする。逆に、ハイのレベルの信号VHHが入力INに供給される場合、ゲート−ソース電圧VGSはVbias−VHHと等しく、これにより、トランジスタM1は微弱導通するかまたは完全にオフになるかのいずれかであり、負荷Rは出力OUTをハイにする。
【0067】
出力OUTにおいて大きな電圧振幅(voltage swing)を提供するために、トランジスタM1の駆動強度または駆動能力と、ゲートバイアス電圧Vbiasの値と、負荷Rのインピーダンスとを選択する。異なる入力条件について、出力OUTが、供給電圧VSS近傍と供給電圧VDD近傍との値の間で切り替わるようにするためには、以下の基準に従う必要がある。
【0068】
1.Vbiasが、トランジスタM1の閾値電圧よりも大きい。
【0069】
2.Vbias−VHHが、トランジスタM1の閾値電圧よりも小さい。
【0070】
3.負荷Rのインピーダンスが高い。
【0071】
上記の第3の基準は、動作速度とレベルシフティングの程度との間にトレードオフがあることを示す。高インピーダンスの負荷Rは、低レベルの入力信号に対して、トランジスタM1が、出力OUTをほぼ入力VSSの値にまで確実に遷移させ得る。しかし、高レベルの入力VHHに対して、トランジスタM1はオフされ、負荷Rの高インピーダンスが、比較的ゆっくりと出力OUTをVDDに遷移させることしかできない。
【0072】
したがって、多くのアプリケーションについて、負荷Rはこのような高インピーダンスを有さず、より小さな程度のレベルシフティングが受容される。より低い負荷インピーダンスの場合、負荷Rは、トランジスタM1が部分的に導通している場合にでも、出力OUTを受容可能な高い電圧レベルに遷移させることができるため、第2の基準に従う必要はない。
【0073】
図7に示すパスゲートは、図6に示すパスゲートと同じタイプのものであるが、パスゲートの入力で実行される論理AND関数(logic AND function)を含む。図7のゲートは、さらなるN型電界効果トランジスタMnが、ドレインおよびゲートがそれぞれ出力OUTおよびトランジスタM1のゲートに接続されたさらなるパスゲートを形成している点で、図6のパスゲートとは異なる。このゲートは、トランジスタM1およびMnのソースに接続された2つの入力IN1およびIN2を有する。
【0074】
パスゲートがイネーブルされる場合、出力OUTは、入力IN1およびIN2がどちらとも入力論理ハイレベルの入力VHHであるときにのみ、ハイの論理レベルVDDになる。一方または両方の入力が論理ローレベルVSSである場合、トランジスタM1およびMnの一方または両方はオンになり、これにより、出力OUTはローにされる。異なる入力条件およびイネーブル条件に対する回路の動作を、以下の真理表に示す。
【0075】
【表2】
Figure 0003682857
X=0(VSS)、1(VDD)、またはZ(高インピーダンス)
図7では、2つの入力IN1およびIN2ならびに2つのパストランジスタM1およびMnのみを示すが、任意の所望の数の入力を有するAND関数を実行するために、任意の数の入力およびトランジスタを設けてもよい。
【0076】
図8に示すパスゲートは、負荷Rの一形態を示し、この場合、負荷Rは制御手段1によって制御される。この負荷は、ソースが電源線vddに接続され、ドレインが出力OUTに接続されたP型電界効果トランジスタM2を含む。トランジスタM2のゲートは、インバータI1の出力に接続される。インバータI1は、制御手段1の一部を形成し、インバータI1の入力は、イネーブル入力ENに接続される。
【0077】
イネーブル入力ENに供給されるイネーブル信号が活性、すなわちVDDである場合、インバータI1の出力は、トランジスタM2のゲートを、実質的に接地電位またはローの電源線電位VSSに遷移させ、これにより、トランジスタM2は導通し、抵抗型負荷として動作する。入力信号INがローレベルである場合、トランジスタM1が出力OUTをローレベルに遷移させることができるよう、トランジスタM1の駆動能力は、トランジスタM2の駆動能力よりも高い必要がある。入力信号がハイの入力論理レベルVHHである場合、トランジスタM1はオフされ、トランジスタM2は、出力OUTを実質的に電源線Vddの電圧VDDに遷移させる。
【0078】
イネーブル信号が不活性(すなわち、ロー論理レベルVSS)である場合、インバータI1の出力は、トランジスタM2のゲートを実質的に電源線電圧VDDに遷移させ、トランジスタM2はオフされる。制御手段はまた、トランジスタM1をオフし、出力OUTは高インピーダンス状態となる。
【0079】
図9は、制御手段1によって負荷が制御されないタイプのパスゲートを示す。この場合、負荷は、出力OUTと電源線vddとの間に接続された抵抗器R1として実施される。
【0080】
イネーブル信号が活性である場合、トランジスタM1は、入力INにおける入力信号がローの論理レベルである場合、出力OUTをローの論理レベルに遷移させる。入力信号が入力ハイ論理レベルである場合、トランジスタM1はオフにされ、負荷R1は、出力OUTをハイの論理レベルVDDに遷移させる。
【0081】
イネーブル信号が不活性である場合、トランジスタM1は、入力INに供給される入力信号に関係なくオフにされる。この状況において、抵抗器R1は、入力信号に関係なく出力OUTをハイの論理レベルに遷移させる。
【0082】
図10は、負荷抵抗器R1をP型電界効果トランジスタM2として実施した、図9のパスゲートの一例を示す。トランジスタM2のソースおよびドレインはそれぞれ、電源線vddおよび出力OUTに接続される。トランジスタM2のゲートは、一定のバイアスを受け取るように接続される。この一定のバイアスは、図10に示す実施形態の場合、ローの電源線vssまたはグラウンドである。したがって、トランジスタM2は、導通状態にあり、パスゲートがディスエーブルされると、出力OUTを論理ハイレベルVDDに遷移させる抵抗器として作用する。
【0083】
図11に示すパスゲートは、ドレインが出力OUTに接続され、ソースが電源線vssに接続され、ゲートが制御手段1のインバータI1の出力に接続されたN型プルダウン電界効果トランジスタM8が設けられている点で、図8に示すパスゲートとは異なる。イネーブル信号が活性である場合、インバータI1の出力は、トランジスタM8のゲートを、実質的に電源線vssの電位VSSに遷移させ、それによりトランジスタM8はオフにされ、影響を及ぼさない。したがって、この状況において、図11のパスゲートは、図8のパスゲートと全く同じ様態で機能する。
【0084】
イネーブル信号が不活性である場合、トランジスタM1およびM2は、図8のパスゲートの場合と同様にオフにされる。しかし、この状況において、インバータI1の出力は、トランジスタM8のゲートをアッパーの電源線電位VDDに遷移させ、トランジスタM8がオンにされる。したがって、ゲートがディスエーブルされると、出力OUTは、接地電位VSSまたは論理ローレベルに遷移される。
【0085】
図12は、パストランジスタM1を制御する制御手段1の一部をより詳細に示す。制御手段1は、バイアス電圧Vbiasを生成するバイアス電圧生成器を含む。イネーブル入力ENは、スイッチS2を制御するよう接続される。イネーブル入力ENはまた、出力が別のスイッチS1を制御するインバータI1’の入力にも接続される。スイッチS1およびS2は、バイアス電圧Vbiasのソースと電源線vssとの間に接続され、スイッチS1とS2との間の接続は、パストランジスタM1のゲートに接続される。
【0086】
イネーブル信号が活性である場合、スイッチS2は閉(close)になり、一方、スイッチS1は開(open)になり、バイアス電圧Vbiasが、上述したような共通ゲート増幅器として機能するトランジスタM1のゲートに供給される。イネーブル信号が不活性である場合、スイッチS2は開になり、一方、スイッチS1は閉になり、トランジスタM1のゲートを電源線vssに接続する。したがって、トランジスタM1は、入力INにおける入力信号に関係なくオフにされ、入力INから出力OUTを遮断する。
【0087】
図13は、スイッチS1およびS2をN型電界効果トランジスタM7およびM13として実施した図12のパスゲートの一実施形態を示す。図13に示すパスゲートの動作は、図12を参照して上述した動作と同じである。
【0088】
図14は、図13に示すタイプのパスゲートにおけるバイアス電圧を生成する構成を示す。このバイアス電圧生成器は、ソースが電源線vssに接続され、ゲートおよびドレインが抵抗器R2を介して電源線vddに接続され、トランジスタM13のドレインに接続されたバイアス電圧生成器の出力を形成するN型電界効果トランジスタM3を含む。トランジスタM3は、飽和導通様式(in its saturated conductive regime)で動作し、トランジスタM3のドレイン−ソース経路を流れる電流IDSは、次の式によって得られる。
【0089】
【数1】
Figure 0003682857
ここで、βnはトランジスタM3の(ジオメトリに依存する)相互コンダクタンスパラメータであり、VGSはトランジスタM3のゲート−ソース電圧であり、VTnはトランジスタM3の閾値電圧である。トランジスタM3のドレインにおいて生成されるバイアス電圧Vbiasは、次の式によって得られる。
【0090】
【数2】
Figure 0003682857
トランジスタM3の駆動強度および抵抗器R2の値を適切に選択することにより、バイアス電圧Vbiasを、(無限に近づくR2値に対する)閾値電圧VTnと、(抵抗がゼロの抵抗器R2に対応する)電源線電圧VDDとの間の任意の数値に設定することができる。トランジスタM3の閾値電圧がトランジスタM1の閾値電圧と同じで、かつ抵抗器R2の値が十分に大きい場合、上述した基準1および2を満足するよう、トランジスタM1は、その閾値電圧を少し上回るようにバイアスされる。
【0091】
図15に示すパスゲートは、トランジスタM3のソースが電源線vssに接続するかわりにインバータI1’の出力に接続されている点で、図14に示すパスゲートとは異なる。この構成は、イネーブル信号が不活性である場合、トランジスタM3のソースが電源線電圧VDDに遷移され、バイアス生成器内の電流の流れがカットオフされ、パスゲートの電力消費が低減されることを確実にする。しかし、インバータI1’が標準的な2トランジスタCMOSインバータとして実施される場合、イネーブル信号が活性になると、トランジスタM3のソースは、N型トランジスタを介してグラウンドに接続される。したがって、イネーブル信号が活性である場合、トランジスタM3の駆動能力に対するインバータI1’のN型トランジスタの駆動能力および抵抗器R2の値に応じて、トランジスタM3のソースは少しの正バイアス値に上昇され得る。このオフセットは、いくつかのコンフィギュレーションにおいてパスゲートを最適化する場合に有用であり得る。
【0092】
図16のパスゲートは、トランジスタM3のソースと電源線vssとの間にN型トランジスタM14のソース−ドレイン経路を接続することにより、同様の結果を達成する。この目的のため、トランジスタM14のゲートは、バイアス電圧を受け取り、電源線vddに接続されている様子が示されている。あるいは、トランジスタM14のゲートは、入力ENに接続してもよい。トランジスタM14は、トランジスタM3および抵抗器R2により提供されるバイアス電圧に加えられる少しのバイアス電圧を供給し、これにより、より高いバイアス電圧Vbiasが提供される。これは、回路設計および最適化を簡略にし得る。
【0093】
抵抗器R2の値が負荷Rの値と同一にされ、かつトランジスタM1およびM3の駆動能力が等しい場合、トランジスタM1は、出力OUTをバイアス電圧Vbias未満の電圧にまでプルダウンすることはできない。これは、良好なレベルシフティングのために、バイアス電圧Vbiasを小さくする必要があるが、活性な負荷デバイスを用いてバイアス電圧を生成するためには、トランジスタM1およびM3を活性な負荷デバイスよりもずっと大きくする必要があることを意味する。トランジスタM14により生成される小さなバイアス電圧をトランジスタM3のソースに印加することにより、トランジスタM1は、出力OUTをバイアス電圧Vbiasよりも低い電圧にプルダウンすることができる。したがって、この構成は、パスゲートにおける広範囲のデバイスに対する要件を緩和する。
【0094】
図17に示すパスゲートは、図14に示すタイプのパスゲートであり、抵抗器R2をP型電界効果トランジスタM4として実施したものである。トランジスタM4のゲートは、バイアス電圧を受け取り、図17に示すように、便宜上、電源線vssに接続され得る。この場合、トランジスタM4は、次の式によって得られるドレイン−ソース電流で、線形導通様式(linear conduction regime)で動作する。
【0095】
【数3】
Figure 0003682857
ここで、βpは(ジオメトリに依存する)相互コンダクタンスパラメータであり、VGSはソース−ゲート電圧であり、VTは閾値電圧であり、DGTは閾値電圧であり、VDSはドレイン−ソース電圧である。トランジスタM3およびM4が実質的に同一の閾値電圧VTを有する場合、トランジスタM3のドレインにおいて生成されるバイアス電圧Vbiasは、次の式によって得られる。
【0096】
【数4】
Figure 0003682857
供給電圧VDDよりも実質的に小さい閾値電圧について、上記式は次のように簡略化できる。
【0097】
【数5】
Figure 0003682857
したがって、バイアス電圧Vbias値は、トランジスタM3およびM4の駆動能力の比に依存する。トランジスタM3およびM4が実質的に同じβ値を有する場合、一般的なVDDおよびVTの通常の値に対して、バイアス電圧はVDD/2よりも大きくなる傾向にある。また、トランジスタM4に対してトランジスタM3の駆動能力が高くなるほど、バイアス電圧Vbiasの値は低くなる。これは、上で規定した基準を満足するために有用である。
【0098】
図18に示すパスゲートは、トランジスタM13が省略され、トランジスタM4のゲートがインバータI1’の出力に接続され、トランジスタM7のドレインがバイアス電圧生成器の出力(すなわち、トランジスタM3のドレインとトランジスタM4のドレインとの間の接続部)に接続されている点で、図17のパスゲートとは異なる。イネーブル入力ENに供給されるイネーブル信号が活性である場合、インバータI1’の出力は、トランジスタM4のゲートおよびトランジスタM7のゲートをローの供給電位VSSに遷移させる。トランジスタM7がオフにされ、トランジスタM4がオンにされて、バイアス電圧生成器負荷を提供する。したがって、要求されるバイアス電圧がパストランジスタM1のゲートに供給され、パスゲートは、ハイの入力論理レベルおよびローの入力論理レベルについて、上述したように機能する。
【0099】
イネーブル信号が不活性である場合、インバータI1’の出力は、トランジスタM4およびM7のゲートをアッパーの電源線電圧VDDに遷移させる。したがって、トランジスタM4はオフにされ、トランジスタM1およびM3のゲートはローの電源線電圧vssに接続される。したがって、バイアス電圧生成器はディスエーブルされ、パストランジスタM1はオフにされる。
【0100】
図19に示すパスゲートは、トランジスタM3のソースが相補信号入力INBに接続されている点で、図18に示すパスゲートとは異なる。イネーブル信号が活性である場合、トランジスタM7は、トランジスタM1およびM3のゲートをローの電源線電圧vssに接続する。したがって、トランジスタM1およびM3はオフにされ、入力INおよびINBは遮断され、高インピーダンス状態をとる。
【0101】
イネーブル信号が活性である場合、入力INにおける入力信号がアッパーの入力論理レベルにあり、その結果入力INBにおける相補入力信号が、ローの入力論理レベル(すなわち、VSS)にある場合、図19のパスゲートは上述したように動作する。しかし、入力INがローの入力論理レベルになり、入力INBがハイの入力論理レベルVHHになると、トランジスタM1のゲートに供給されるバイアス電圧の値は、ほぼVHHに等しい量だけ増加する。その結果、トランジスタM1のゲート−ソース電圧が増加し、これにより、パスゲートの出力OUTにおける電圧がさらに低下する。したがって、相補入力信号および図19に示す構成を用いることにより、より大きな程度の電圧振幅が出力OUTにおいて提供され得る。
【0102】
図20に示すように、パスゲートの出力はインバータI2によって補充またはバッファされ得、これにより、出力OUTBに反転出力信号が提供される。インバータI2への入力信号は、インバータI2の切り替え点より高いレベルと低いレベルとの間を切り替わる。しかし、上述したような速度の問題について、これらの論理レベルは、供給電圧VSSおよびVDDによって定義される電圧極値(extremes)よりも低いレベルであり得る。単純な「ハードリミッタ」として働くインバータI2の使用により、電源電圧にほぼ等しい出力電圧レベルが得られる。インバータI2は、標準的な2トランジスタCMOSインバータの構成であり得る。
【0103】
図21に示すパスゲートは、N型トランジスタM5およびP型トランジスタM6を含む標準的なCMOSインバータとして設けられたインバータI2において、トランジスタM5のソースが相補入力INBに接続される点で、図20のパスゲートとは異なる。
【0104】
パスゲートがイネーブルされ、入力INにおける信号が入力論理ハイレベルである場合、相補入力INBは実質的にローの電源線電位となり、トランジスタM5およびM6を含むインバータは従来の様態で動作する。しかし、入力INに供給される信号がローの入力論理レベルである場合、相補入力INBにおける信号はハイの入力論理レベルVHHである。したがって、トランジスタM5のゲート−ソース電圧が低減し、これが、インバータの出力OUTBにおいてより大きな電圧振幅を提供する。
【0105】
図22に示すパスゲートは、さらなるインバータI3の入力および出力が、それぞれインバータI2の出力および入力に接続されている点で、図20のパスゲートとは異なる。また、インバータI3は制御可能であり、制御手段1によって制御される。したがって、インバータI3は、制御手段1からの制御信号によりディスエーブルされ得るフィードバックインバータとして機能する。
【0106】
イネーブル信号が活性である場合、制御手段はインバータI3をディスエーブルし、パスゲートは、図20に示すパスゲートと同様に機能する。しかし、イネーブル信号が不活性である場合、パストランジスタM1はスイッチオフされ、負荷Rは、インバータI2の入力に接続されたパスゲートの出力がデフォルトで(例えば、図8の負荷構成によって示すような)高インピーダンス状態になるように選択される。フィードバックインバータI3は、制御手段1によって活性化され、インバータI2と共にラッチング機構を形成する。したがって、この構成は、イネーブル信号が活性である場合に入力信号をサンプリングし、イネーブル信号が不活性になった場合に信号をホールドする単純な低電圧サンプルアンドホールド回路として動作する。
【0107】
図23は、インバータI3の特定の例を示す。このインバータI3は、N型トランジスタM9およびM10ならびにP型トランジスタM11およびM12を含み、そのソース−ドレイン経路は、電源線vssと電源線vddとの間に直列接続されている。トランジスタM10およびM11が、従来の「インバータトランジスタ」であるのに対して、トランジスタM9およびM12は、ゲートが制御手段1のインバータI1’の出力および入力にそれぞれ接続された制御トランジスタである。イネーブル信号が活性である場合、トランジスタM9およびM12はオフにされ、トランジスタM10およびM11は電源から遮断され、インバータI3はディスエーブルされる。イネーブル信号が不活性である場合、トランジスタM9およびM12はオンにされ、インバータI3は通常の様態で機能する。
【0108】
トランジスタM9およびM10の順序ならびにトランジスタM11およびM12の順序は、制御可能なインバータの動作に影響を与えることなく変更可能である。また、トランジスタM9およびM10の対ならびにトランジスタM11およびM12の対は、デュアルゲートMOSFETとして設けることができる。また、トランジスタM1および負荷Rを含む第1のレベルシフティング段の駆動能力がトランジスタM10およびM11の駆動能力よりも高い場合、トランジスタM9およびM12は省略可能である。
【0109】
図24に示すパスゲートは、図11に示す負荷構成と、図19に示すバイアス電圧生成器と、図21に示す出力インバータ構成とを含む。インバータI1およびI1’は、N型トランジスタM14およびP型トランジスタM15を含む従来のCMOSインバータ構成によって形成された1つのインバータによって構成される。したがって、イネーブル入力ENにおけるイネーブル信号が不活性またはローの論理レベル状態VSSである場合、レベルシフティングパスゲートの出力OUTBは、デフォルトでアッパーの論理レベルVDDとなる。
【0110】
図25および図26は、図24のパスゲートのシミュレーションにおいて発生する波形を示し、VHHは2ボルトであり、VDDは15ボルトであり、トランジスタは、通常の低温ポリシリコン薄膜トランジスタの性能を有し、閾値電圧は2ボルトであり、スクエアデバイスとしてβ値は1.25μA/V2である。トランジスタM1およびM3は、全てスクエアデバイスである図24の残りのトランジスタよりも3倍幅が広い。図26の下段のグラフは、入力INおよびINBに供給される入力信号と、イネーブル入力ENに供給されるイネーブル信号とを示す。これらの入力信号は、2ボルトの振幅を有する3MHzの信号である。結果として生じる、トランジスタM1およびM5に対する一時電流Iを、図26の上段のグラフにを示す。
【0111】
図25に示すように、出力OUTにおける信号は、インバータI2の入力切替電圧ISのいずれか一方のサイドにきれいに切り替わる。これらの入力信号は、電源線電圧VDDおよびVSSの10ミリボルトの範囲内でレベルシフトされる。
【0112】
図27は、単一端入力INを用いた低電圧データサンプリング用のパスゲートを示す。図27のパスゲートは、図8に示す負荷構成と、図16に示すバイアス電圧生成トランジスタ構成とデュアルゲートトランジスタとして結合されたトランジスタM3およびM14とを有する図18のバイアス電圧生成器と、トランジスタM9およびM10の対ならびにM11およびM12の対をデュアルゲートトランジスタとして設けた図23に示す出力インバータ構成とを含む。図28は、上述のと同じパラメータを用いて図27のパスゲートのシミュレーションにおいて発生する波形を示す。図28はまた、例えばフラットパネルマトリクスディスプレイ用のモノリシック駆動回路に見られるような比較的低性能のポリシリコン薄膜トランジスタででも、良好なレベルシフティング性能が達成可能であることを示す。
【0113】
したがって、比較的単純な回路から、高い程度のレベルシフティングと高性能とを兼ね備えたレベルシフティングパスゲートを提供することが可能である。このパスゲートはイネーブルまたはディスエーブル可能であり、ディスエーブルされた状態で、信号入力または各信号入力は、それが接続されている任意の信号線に高いインピーダンスを与える。また、ディスエーブル状態において、出力は、任意の所望の状態に初期化されるよう構成される。
【0114】
【発明の効果】
本発明により、ソースが信号入力(IN)に接続され、ドレインが信号出力(OUT)に接続された電界効果トランジスタ(M1)を含むレベルシフティングパスゲートが得られる。負荷(R)は、トランジスタ(M1)のドレインと電源線(vdd)との間に接続される。制御手段(1)は、パスゲートをイネーブルまたはディスエーブルする信号を受け取るイネーブル入力(EN)を有する。ゲートがイネーブルされた場合、制御手段(1)は、トランジスタ(M1)および可能であれば負荷(R)を制御し、入力論理ローレベルは、実質的に変化せずに通過し、一方、比較的低い入力ハイレベルが、供給電圧近傍のより高い出力論理ハイレベルへとシフトされる。パスゲートがディスエーブルされた場合、トランジスタ(M1)はオフに切り換えられ、入力(IN)は出力(OUT)から遮断され、高インピーダンス状態をとる。逆に、ディスエーブルされた場合、出力(OUT)は所定の状態(例えば、論理ロー、論理ハイ、または高インピーダンス等)に初期化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】公知のタイプのレベルシフタを示す回路図である。
【図2】公知のタイプのレベルシフタを示す回路図である。
【図3】公知のタイプのレベルシフタを示す回路図である。
【図4】公知のタイプのレベルシフタを示す回路図である。
【図5】本発明の実施形態により行われるレベルシフティング機能を示す波形図である。
【図6】本発明の第1の実施形態を構成するレベルシフティングパスゲートを示す模式回路図である。
【図7】図6に示すタイプのパスゲートを示し、AND関数を含む模式回路図である。
【図8】図6のパスゲートにおいて用いられ得る別の種類の負荷を示す模式図である。
【図9】図6のパスゲートにおいて用いられ得る別の種類の負荷を示す模式図である。
【図10】図6のパスゲートにおいて用いられ得る別の種類の負荷を示す模式図である。
【図11】図6のパスゲートにおいて用いられ得る別の種類の負荷を示す模式図である。
【図12】図6のパスゲートのパストランジスタについての別の制御構成を示す回路図である。
【図13】図6のパスゲートのパストランジスタについての別の制御構成を示す回路図である。
【図14】図6のパスゲートのパストランジスタについての別の制御構成を示す回路図である。
【図15】図6のパスゲートのパストランジスタについての別の制御構成を示す回路図である。
【図16】図6のパスゲートのパストランジスタについての別の制御構成を示す回路図である。
【図17】図6のパスゲートのパストランジスタについての別の制御構成を示す回路図である。
【図18】図6のパスゲートのパストランジスタについての別の制御構成を示す回路図である。
【図19】図6のパスゲートのパストランジスタについての別の制御構成を示す回路図である。
【図20】図6のパスゲートによる出力インバータの使用を示す模式回路図である。
【図21】図6のパスゲートによる出力インバータの使用を示す模式回路図である。
【図22】図6のパスゲートと共に用いられ得るラッチング構成を示す模式回路図である。
【図23】図6のパスゲートと共に用いられ得るラッチング構成を示す模式回路図である。
【図24】本発明の別の実施形態を構成するパスゲートを示す回路図である。
【図25】図24のパスゲートのシミュレーションにおいて発生する波形を示す波形図である。
【図26】図24のパスゲートのシミュレーションにおいて発生する波形を示す波形図である。
【図27】本発明のさらなる実施形態を構成するパスゲートの回路図である。
【図28】図27のパスゲートのシミュレーションにおいて発生する波形を示す波形図である。
【符号の説明】
1 制御手段

Claims (29)

  1. レベルシフティングパスゲートであって、
    主導通経路が信号入力と信号出力との間に接続されたパストランジスタおよび該信号出力に接続された負荷を備える第1の回路と、
    イネーブル入力を有する第2の回路であって、
    該イネーブル入力に供給されるイネーブル信号が活性であり、第1の論理レベルが該信号入力に供給される場合、該パストランジスタが、レベルシフトされた論理レベルを該信号出力に提供し、
    該イネーブル信号が活性であり、第2の論理レベルが該信号入力に供給される場合、該パストランジスタが、実質的にシフトせずに、該第2の論理レベルを該信号出力に提供し、
    該イネーブル信号が不活性である場合、該信号入力が高インピーダンス状態に設定され、該信号出力が所定の状態に設定されるように、
    該第1の回路を制御するように構成される第2の回路と、
    を備えるレベルシフティングパスゲート。
  2. 前記第1の論理レベルの大きさは、前記第2の論理レベルよりも大きい、請求項1に記載のゲート。
  3. 前記第2の論理レベルの大きさは、実質的にゼロに等しい、請求項2に記載のゲート。
  4. レベルシフティングパスゲートであって、
    主導通経路が信号入力と信号出力との間に接続されたパストランジスタおよび該信号出力に接続された負荷を備える第1の回路と、
    イネーブル入力を有する第2の回路であって、
    該イネーブル入力に供給されるイネーブル信号が活性であり、第1の論理レベルが該信号入力に供給される場合、該パストランジスタが、レベルシフトされた論理レベルを該信号出力に提供し、
    該イネーブル信号が不活性である場合、該信号入力が高インピーダンス状態に設定され、該信号出力が所定の状態に設定されるように、
    該第1の回路を制御するように構成される第2の回路と、
    を備え、
    該トランジスタは、電界効果トランジスタを備える、
    レベルシフティングパスゲート。
  5. 前記第2の回路は、前記イネーブル信号が不活性である場合に、前記パストランジスタをオフに切り替えるように構成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のゲート。
  6. 前記第2の回路は、前記イネーブル信号が活性である場合、前記パストランジスタの閾値電圧よりも大きなバイアス電圧を、該パストランジスタの制御電極に供給するよう構成される、請求項1〜5のいずれか1項に記載のゲート。
  7. 前記バイアス電圧と前記第1の論理レベルとの差は、前記パストランジスタの前記閾値電圧よりも小さい、請求項6に記載のゲート。
  8. 前記第2の回路は、第1のトランジスタの出力電極と制御電極とに接続された抵抗を含むバイアス電圧ソースを備える、請求項6または7に記載のゲート。
  9. 前記第1のトランジスタは、グラウンドに接続された共通電極を有する、請求項8に記載のゲート。
  10. 前記第1のトランジスタは、前記イネーブル信号が不活性である場合にハイの電圧レベルを受け取り、該イネーブル信号が活性である場合にローの電圧レベルを受け取るよう接続された共通電極を有する、請求項8に記載のゲート。
  11. 前記第1のトランジスタは、相補信号入力に接続された共通電極を有する、請求項8に記載のゲート。
  12. 前記第1のトランジスタの前記共通電極は、制御電極がさらなるバイアス電圧を受け取るよう構成された第2のトランジスタの前記主導通経路を介して接続される、請求項9〜11のいずれかの1項記載のゲート。
  13. 前記抵抗は、第3のトランジスタの前記主導通経路を備える、請求項8〜12のいずれか1項に記載のゲート。
  14. 前記第3のトランジスタは、前記イネーブル信号が不活性である場合にオフに切り替えられ、該イネーブル信号が活性である場合に導通するように構成される、請求項13に記載のゲート。
  15. 前記第1のトランジスタの前記制御電極および出力電極は、前記パストランジスタの制御電極に接続される、請求項8〜14のいずれか1項に記載のゲート。
  16. 前記イネーブル信号が不活性である場合、前記パストランジスタの制御電極をグラウンドに接続するように構成された第4のトランジスタを備える、請求項1〜15のいずれか1項に記載のゲート。
  17. 少なくとも1つのさらなるパストランジスタであって、該少なくとも1つのさらなるパストランジスタまたはその各々は、各さらなる信号入力と前記信号出力との間に接続された主導通経路を有する、請求項1〜16のいずれか1項に記載のゲート。
  18. 前記負荷は実質的に一定の抵抗を備え、前記所定の状態はハイレベル状態を含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載のゲート。
  19. 前記負荷は、前記パストランジスタと反対の伝導型の負荷トランジスタを備える、請求項1〜17のいずれか1項に記載のゲート。
  20. 前記パストランジスタは、前記負荷トランジスタよりも高い駆動能力を有する、請求項19に記載のゲート。
  21. 前記負荷トランジスタは、前記イネーブル信号が不活性である場合にオフに切り替わるように構成される、請求項19または20に記載のゲート。
  22. 前記所定の状態は高インピーダンス状態である、請求項21に記載のゲート。
  23. 前記信号出力とグラウンドとの間に接続された主導通経路を有するプルダウントランジスタは、前記イネーブル信号が不活性であり、かつ前記所定の状態がローレベル状態である場合にオンに切り替わるように構成される、請求項21に記載のゲート。
  24. 前記負荷トランジスタは一定のバイアスを受け取るように構成され、前記所定の状態はハイレベル状態である、請求項19または20に記載のゲート。
  25. 前記負荷トランジスタは、接地電位を受け取るよう構成された制御電極を有する、請求項24に記載のゲート。
  26. 前記信号出力は、第1のインバータの入力に接続される、請求項1〜25のいずれか1項に記載のゲート。
  27. 入力および出力がそれぞれ前記第1のインバータの出力および入力に接続され、前記イネーブル信号が不活性である場合にイネーブルされ、該イネーブル信号が活性である場合にディスエーブルされるように構成された第2の制御可能なインバータを備える、請求項26に記載のゲート。
  28. CMOS集積回路において実施される、請求項1〜27のいずれか1項に記載のゲート。
  29. 請求項1〜28のいずれか1項に記載のゲートを含む、マトリックスディスプレイ用のドライバ回路。
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