JP3682182B2 - 自転車用ペダルの取付装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は自転車用ペダルの取付装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の自転車用ペダルは、ペダル軸およびペダルクランクにねじを設け、両者のねじを締め付けて固定している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のねじで固定する構造においては以下のような問題点があった。
1)自転車の走行中ペダル軸には回転方向の力が加わるので、ペダル軸とクランクとの固定ねじは強固に締結されていなければ走行中にペダルがはずれる原因ともなる。そのために、自転車整備の技術をもった者しかペダルを取り付けることができない。しかるに、近年では自転車の販売ルートが自転車専門店以外のいわゆる量販店にシフトしているが、量販店において技術者の不要化が望まれている。
2)近年通信販売による自転車販売も行われているが、上記のようにペダルの取り付けは技術者でなければできない。そこで、通信販売ではペダルを取り付けた状態で出荷されている。しかるに、ペダルは自転車のフレームから大きく突出しているので、ペダルを取り付けた状態では荷姿が大きくなり輸送効率が下がる。そこで、技術のない購入者でもペダルの取り付けを可能としてペダルを取り外した状態での出荷を可能とすることが望まれている。
3)折り畳み式自転車においては、屈曲可能とした折り畳み式ペダルが使用されているが、折り畳み式のペダルであっても折り畳み位置はペダル本体の左右1/3程度の位置であり、折り畳まれたペダルがクランクから突出することは避けられない。折り畳み状態の最小化を目指す場合、ペダルの突出を一層減少することが望まれている。
4)自転車のヘビーユーザーは、条件に合わせてペダルを交換して使用することを望む場合がある。しかるに、従来のペダルにおいてはその着脱に工具と時間が必要であり、容易に着脱できるペダルが望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明は、ペダルクランクとペダル軸とを係止体によって係止固定させることにより、工具を用いることなく容易かつ確実に固定でき、また取り外しも容易なペダルの取付装置を得たものである。請求項1の発明は、 ペダルクランクにペダル軸の装着穴を設け、この装着穴に連通する筒体に係止体装着用の透孔を設け、この透孔にペダル軸に形成した係止凹部に係脱自在に係止する係止体を装着し、ペダル軸の外周に前記係止体が係止する係止凹部を環状に設け、前記筒体の外側に前記係止体を係止凹部への係止状態に保持する環状のストッパー凸条を有するキャップを摺動可能に装着し、前記ストッパー凸条の外側面と前記筒体の先端に形成されたフランジとの間にスプリングを配設し、前記スプリングにより前記筒体はペダルクランク側へ付勢されてペダルクランクに当接するようにし、ペダル軸を前記装着穴に挿入することによりペダル軸の係止凹部に前記係止体が係止してペダルがペダルクランクに固定されるようにして自転車用ペダルの取付装置を構成する。
前記係止体は球体が好ましい(請求項2)。
【0005】
【作用】
この発明において、ペダル軸をクランクの装着穴に挿入すると、係止体が自動的に係止凹部に係止し、ペダルはクランクに固定される。したがって、工具を用いることなく、また技術の有無に関わらず、同一の条件でペダルは固定される。また、キャップを摺動させることによって係止体の係止は解除され、ペダルを取り外すことができる。したがって、取付に技術を必要とせず、かつ容易に着脱できるペダルの取り付け装置となる。また、ペダルとクランクとは軸方向で係止されているので、比較的簡易な構造であっても自転車の走行時にペダルがはずれるおそれはほとんどない。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1ないし図6において、ペダルAのペダル軸1に係止凹部2が環状に形成してあり、この係止凹部2がペダルクランク3の先端部に配設した係止体4に係脱自在に係止して、ペダルAがペダルクランクに固定されるようしてある。
【0007】
前記係止体の具体的な構成は以下のとおりである。
前記ペダルクランク3の先端部にペダルAのペダル軸1が装着される装着穴5が設けてあり、この装着穴5の内壁にネジ溝が設けてあり、このネジ溝に筒体であるネジカラー6が、その外壁に設けたネジ溝を螺合して取り付けてある。
前記ネジカラー6の外側にはキャップ8が装着してある。このキャップ8のクランク側には、前記係止体4が前記ペダル軸1の挿脱時に係止凹部2から外れて逃げるための凹部8aが形成してあり、かつ前記係止体4を押さえつけて、係止体4を係止凹部2に係止する位置に保持する環状のストッパー凸部9が設けてある。
そして、前記キャップ8のストッパー凸部9の外側面と前記ネジカラー6の先端に形成されたフランジ10との間にスプリング11が配設してあり、このスプリング11によって前記キャップ8はクランク3側へ付勢され、クランク3に常時当接し、この状態でストッパー凸部9は係止体4の外側に位置し、係止体4をペダル軸1の係止凹部2に係止するようにしてある。
前記係止体4を組み立てるには、ネジカラー6の透孔7に係止体4を装着した後、ネジカラー6にスプリング11、キャップ8を順次装着し、その後ネジカラー6を装着穴5に螺合して固定する。
【0008】
この実施形態において、スプリング11に抗してキャップ8を引き出すと、キャップ8のストッパー凸条9は図3中右側へ移動し、ストッパー凸条9による係止体4の押圧が解除される。この状態でペダル軸1をネジカラー6内に挿入し、ついでキャップ8をスプリング11の力で原位置に復帰させると、係止体4はストッパー凸条9で押圧されて係止凹部2に係止する。ペダルAを外す際には、上記と同様キャップ8を引き出して係止体4の押圧を解除した後、ペダル軸1を引き抜けばよい。
【0009】
図7及び図8は、キャップ8を外向きに付勢し、ペダルの着脱時にクランク側へ移動するようにした第1の参考例である。すなわち、ネジカラー6の基部に段部6aが形成してあり(この段部6aはリング体としてネジカラー本体に圧入固着するようにしてもよい)、前記段部6aの外側面とキャップ8のストッパー凸部9の内側面との間にスプリング11が配設してある。そして、前記キャップ8の端部にはペダルの着脱時に係止体4が逃げるための凹部8aが形成してあり、キャップ8の先端はネジカラー6に固定されたストッパーリング6bに係止している。
【0010】
上記において、ペダルを着脱するときには、図8に示すようにキャップ8をクランク側へ移動させる。このとき係止体4はキャップ8の凹部8aに逃げるので、ペダル軸1を挿脱することができる。ペダル軸1を挿入した後、キャップ8はスプリング11の力で図7に示すように外側へ復帰し、ストッパー凸部9が係止体4を係止凹部2方向へ押圧するので、ペダルAは固定される。
【0011】
この形態によれば、ネジカラー6、キャップ8、係止体4、スプリング11がストッパーリング6bによって完全に一体化されたユニットを構成するので、クランクへの取り付け前に部品が外れるおそれがなく、取扱に便利である。また、上記二つの形態は、従来のクランクをそのまま利用できる。
【0012】
図9は、別の係止構造を示した第2の参考例である。図9において、ネジカラー6に係止体4を装着した点は前記実施形態と同様であるが、係止体4の外側に環状のバネ12を配設し、このバネ12によって係止体4をペダル軸の係止凹部2側へ付勢してある。したがって、キャップ8にストッパー凸部は設けてない。
【0013】
この形態によれば、係止体4は弾性的に係止凹部2に係止しているので、ペダル軸の挿入、抜き出しの移動によって自動的に係脱する。なお、ペダル軸の不慮の脱抜を防止するために、キャップ8に外キャップ13を螺合し、この外キャップ13の端部に内フランジ14を設け、この内フランジ14をペダル軸の段部15に係止させることも考えられる。
【0014】
図10は、係止体4自体を環状のバネとした第3の参考例である。すなわち、ネジカラー6に係止体4を装着するための環状の溝16を設け、この溝16に、端部が開放された断面円形の環状のバネで構成した係止体4が装着してある。この係止体4は、常時はペダル軸1の係止凹部2に係止すべく小径となっており、ペダル軸の着脱時にペダル軸1の摺動によって押し拡がり係止が解除されるようになっている。この参考例においても、前記参考例と同様外キャップを設けることが有効である。
【0015】
図11は、ペダル軸1に設けた環状の溝17に、環状のバネで構成した係止体4を装着し、この係止体4がクランク3のペダル軸装着穴5の内周に環状に設けた係止凹部2に係止するようにした第4の参考例である。前記係止体4は第3の参考例と逆に、着脱時に小径となる。この参考例によれば、ペダル取り付け前におけるクランクからの突出をなくすことができる。なお、上記構成に代えて、球状の係止体を用いた構成とすることもできる。
【0016】
図12及び図13は第5及び第6の参考例である。図12において、クランク3にペダル軸1が装着される凸状の受け部18が設けてあり、この受け部18の外周に係止凹部2が環状に形成してある。一方ペダル軸1の端部には、前記受け部18に嵌合する装着穴1aが設けてあり、この装着穴1aの内壁に環状の溝17が形成してあり、この溝17に環状のバネで構成した係止体4が装着してある。前記係止体4は、常時内側へ付勢されており、ペダル装着時に係止凹部2に係止する。そして、ペダルAの挿脱時にはクランク3の受け部外壁に押されて係止が解除される。
図中符号13はクランク3とペダル軸1との双方に螺合した外キャップであり、(クランクとペダル軸に逆方向のネジが切ってある)、ペダルの不慮の脱抜を防止するものである。
【0017】
図13は、クランク3の受け部18に係止体装着用の溝19を設け、この溝19に環状のバネで構成した係止体4を装着し、一方ペダル軸1の装着穴1aに係止凹部2を環状に形成した第6の参考例である。この形態においても、外キャップを装着することもできる。また、上記図12、13の形態においても、係止体として球体を用いることもできる。
【0018】
【発明の効果】
この発明によれば、クランクとペダル軸とに係止機構を設け、係脱自在な係止体の作用によってペダル軸をクランクに固定することとしたので、工具を用いることなく、技術者でなくともペダルを一定の条件でクランクに取り付けることができる。また、着脱が容易であるから、保管時にはペダルをとり外すことにより保管スペースの極小化が図れ、またヘビーユーザーは適宜好みのペダルに交換することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明実施形態の分解斜視図である。
【図2】 同じく固定時の斜視図である。
【図3】 同じく一部断面図である。
【図4】 同じくネジカラーの一部断面図である。
【図5】 同じくキャップの一部断面図である。
【図6】 同じく着脱時の状態を示す正面図である。
【図7】 キャップを外向きに付勢する第1の参考例の固定時の断面図である。
【図8】 同じく着脱時の断面図である。
【図9】 係止体をバネで付勢するようにした第2の参考例の一部断面図である。
【図10】 係止体を環状バネとした第3の参考例の一部断面図である。
【図11】 クランクに環状溝を設けた第4の参考例の断面図である。
【図12】 クランクに環状溝を設けた第5の参考例の断面図である。
【図13】 クランクに環状溝を設けた第6の参考例の断面図である。
【符号の説明】
A ペダル
1 ペダル軸
1a 装着穴
2 係止凹部
3 クランク
4 係止体
5 装着穴
6 ネジカラー
7 透孔
8 キャップ
9 ストッパー凸部
10 フランジ
11 スプリング
12 バネ
13 外キャップ
14 内フランジ
15 段部
16 ネジカラーの溝
17 ペダル軸の溝
18 受け部
19 受け部の溝
Claims (2)
- ペダルクランクにペダル軸の装着穴を設け、この装着穴に連通する筒体に係止体装着用の透孔を設け、
この透孔にペダル軸に形成した係止凹部に係脱自在に係止する係止体を装着し、ペダル軸の外周に前記係止体が係止する係止凹部を環状に設け、
前記筒体の外側に前記係止体を係止凹部への係止状態に保持する環状のストッパー凸条を有するキャップを摺動可能に装着し、
前記ストッパー凸条の外側面と前記筒体の先端に形成されたフランジとの間にスプリングを配設し、
前記スプリングにより前記キャップはペダルクランク側へ付勢されてペダルクランクに当接するようにし、
ペダル軸を前記装着穴に挿入することによりペダル軸の係止凹部に前記係止体が係止してペダルクランクに固定されるようにした自転車用ペダルの取付装置 - 係止体は球体とした、請求項1記載の自転車用ペダルの取付装置
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