JP3681838B2 - ポリオレフィン製造用触媒成分およびその成分を用いたポリオレフィン製造用触媒 - Google Patents
ポリオレフィン製造用触媒成分およびその成分を用いたポリオレフィン製造用触媒 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はポリオレフィン製造用触媒成分およびポリオレフィン製造用触媒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
メタロセン化合物、有機アルミニウム化合物および有機ホウ素化合物からなる触媒によりポリオレフィンが得られることは公知である。この様な触媒成分を用いた場合、比較的安価にポリオレフィンを得ることができるが、生成する重合体粒子が嵩比重の低い微粉となり取り扱いが困難となる、あるいは重合体粒子が反応器の器壁に付着する等の問題が生じる。
【0003】
これらを解決する試みとして有機ホウ素化合物を担体上に担持することが行われており、例えば特開平5-239138号にはシリカゲル上に担持されたメタロセン化合物、有機金属化合物、有機ホウ素化合物等のルイス酸からなるポリオレフィン製造用触媒が開示されている。また特開平5-247128号、特開平7-10917号などに も有機ホウ素化合物を担体上に担持したものが開示されているが、これらはいずれも十分に解決されているとはいいがたく、またその重合活性も低く満足できるものではない。
【0004】
特表平7-501573号公報には本発明で使用する成分(A)および成分(C)からなる触媒成分とメタロセン化合物で構成される触媒が開示されている。ここでは重合体粒子の反応器への付着は確かに改善されてはいるが、その触媒は活性の経時変化が著しいという問題がある。従って長期間保存した場合に活性の低下が起こったり、触媒調製後ただちに使用した場合でも、調製からの時間により活性が異なるため安定した生産を行うことが困難となったりする。
【0005】
これを避けるためには前記触媒成分およびメタロセン化合物を反応器に別々に添加し、反応器内で触媒を調製することも可能であるが、この場合には前記触媒成分とメタロセン化合物の接触が不十分となり重合活性が低下する。さらにはメタロセン化合物の溶解度が低いため、大量の溶剤と共に反応器に添加されることとなり、気相重合や塊状重合を行うことが困難となる。また触媒を低温保存する場合には特別な装置が必要なうえに、活性の経時変化を完全に抑制することは困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、重合体の反応器への付着を伴わずに嵩密度の高い重合体を高い活性で与える、活性の経時変化が極めて小さいポリオレフィン製造用触媒を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記状況に鑑み鋭意検討した結果、特定のイオン性化合物およびアルキル化剤、シリル化剤等の化合物を微粒子担体と接触させることによって得られる触媒成分からなる触媒が、重合体の反応器への付着を伴わずにポリオレフィンを与え、かつ活性の経時変化が極めて小さいことを見出し本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
1)成分(A):下記一般式(I)
【化3】
(式中、Mはホウ素、またはアルミニウムであり、R1、R2およびR3は同一でも異なってもよく、各々炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、アルコキシ基またはハロゲン原子であり、R4は炭素数1〜20のアルキレン基、ハロゲン化アルキレン基、アリーレン基、ハロゲン化アリーレン基、シラニレン基、置換シラニレン基、シラアルキレン基、置換シラアルキレン基、オキサシラニレン基、置換オキサシラニレン基またはオキサシラアルキレン基であり、Xはシリル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基またはアミノ基であり、a、bおよびcは0または1〜3の整数、dは1〜4の整数であり、かつa+b+c+d=4であり、Dは1価のカチオンである。)で表されるイオン性化合物、および成分(B):アルキル化剤、アシル化剤、スタニル化剤およびゲルミル化剤から選択される少なくとも1以上の成分を、成分(C):微粒子担体に接触させて得られるポリオレフィン製造用触媒成分、
2)成分(B)がアルキル化剤である前記1記載のポリオレフィン製造用触媒成分、
3)アルキル化剤がヨウ化アルキル、α−アリール置換ハロゲン化炭化水素およびオキソニウム塩から選択される1以上である前記2記載のポリオレフィン製造用触媒成分、
4)R1、R2およびR3がペンタフルオロフェニル基である前記1乃至3のいずれかに記載のポリオレフィン製造用触媒成分、
5)R4がテトラフルオロフェニレン基である前記4記載のポリオレフィン製造用触媒成分、
6)Xがトリクロロシリル基、メチルジクロロシリル基またはジメチルクロロシリル基である前記1乃至5のいずれかに記載のポリオレフィン製造用触媒成分、
7)Dがジアルキルアニリニウムイオンである前記1乃至6のいずれかに記載のポリオレフィン製造用触媒成分、および
8)前記1乃至7のいずれかに記載のポリオレフィン製造用触媒成分、有機アルミニウム化合物およびメタロセン化合物からなるポリオレフィン製造用触媒を提供する。
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の触媒成分で使用するイオン性化合物(A)は下記一般式(I)で表される。
【化5】
[M(R1)a(R2)b(R3)c(R4−X)d]-[D]+ (I)
一般式(I)において、Mはホウ素またはアルミニウムであり、好ましくはホウ素である。
R1、R2およびR3は炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、 アルコキシ基またはハロゲン原子であり、これらは互いに異なってもよく、同一でもよい。炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ハロゲン化アリール基が挙げられる。アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。これらのうち好ましくはアルキル基、アリール基およびハロゲン化アリール基であり、特に好ましくはアリール基およびハロゲン化アリール基である。
【0010】
アリール基の具体的としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基等が例示できる。
ハロゲン化アリール基の具体例としては、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基等のジフルオロフェニル基、2,3,4−トリフルオロフェニル基、2,4,5−トリフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基等のトリフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基等のテトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、およびこれらのフッ素原子を塩素、臭素等の他のハロゲン原子に換えたものなどである。
【0011】
ハロゲン化アリール基の他の具体例としては、3,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基等のビス(トリフルオロメチル)フェニル基、2,3,4−トリス(トリフルオロメチル)フェニル基、2,3,5−トリス(トリフルオロメチル)フェニル基、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フェニル基等のトリス(トリフルオロメチル)フェニル基、2,3,5,6−テトラキス(トリフルオロメチル)フェニル基等のテトラキス(トリフルオロメチル)フェニル基、ペンタキス(トリフルオロメチル)フェニル基等およびこれらのフッ素原子を塩素、臭素等、他のハロゲン原子に置き換えたものなどである。
これらハロゲン化アリール基の中でも、トリフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基などのフルオロフェニル基が好ましく、さらに好ましくはテトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基であり、最も好ましくは、ペンタフルオロフェニル基である。
【0012】
前記イオン性化合物(A)において、R4は炭素数1〜20のアルキレン基、 ハロゲン置換アルキレン基、アリーレン基、ハロゲン置換アリーレン基、シラニレン基、置換シラニレン基、シラアルキレン基、置換シラアルキレン基、オキサシラニレン基、置換オキサシラニレン基、オキサシラアルキレン基のいずれかである。
【0013】
具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、エチリデン基、プロピリデン基、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、3−フルオロ−o−フェニレン基、4−フルオロ−m−フェニレン基、2−フルオロ−p−フェニレン基等のフルオロフェニレン基、3,4−ジフルオロ−o−フェニレン基、4,5−ジフルオロ−m−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−p−フェニレン基等のジフルオロフェニレン基、2,3,5−トリフルオロ−p−フェニレン基、2,3,6−トリフルオロ−p−フェニレン基等のトリフルオロフェニレン基、2,4,5,6−テトラフルオロ−m−フェニレン基、2,3,5,6−テトラフルオロ−p−フェニレン基等のテトラフルオロフェニレン基が挙げられる。
【0014】
これらのうち好ましくは、2,4,5−トリフルオロ−m−フェニレン基、2,4,6−トリフルオロ−m−フェニレン基、4,5,6−トリフルオロ−m−フェニレン基、2,3,5−トリフルオロ−p−フェニレン基、2,3,6−トリフルオロ−p−フェニレン基、3,4,5,6−テトラフルオロ−o−フェニレン基、2,4,5,6−テトラフルオロ−m−フェニレン基、2,3,5,6−テトラフルオロ−p−フェニレン基であり、特に好ましくは、2,4,5,6−テトラフルオロ−m−フェニレン基、2,3,5,6−テトラフルオロ−p−フェニレン基である。
【0015】
本発明におけるイオン性化合物(A)中のXは、シリル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基のいずれかである。シリル基の例としては、下式一般式 (III)で表わされるものが挙げられる。
【化6】
―〔Si(Z1Z2)−Z6−〕nSiZ3Z4Z5 (III)
式 (III)において、Z1、Z2、Z3、Z4およびZ5はハロゲン原子、アルコキ シ基、フェノキシ基、アシルオキシ基、炭素数1〜20の炭化水素基の中から選ばれ、Z3、Z4、Z5のうち少なくとも一つはハロゲン原子、アルコキシ基、フ ェノキシ基、アシルオキシ基のいずれかである。
Z6は酸素原子、イミノ基、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数6〜20 のアリーレン基、炭素数1〜20のオキサアルキレン基のいずれかである。nは0または1〜10の整数である。
【0016】
より具体的にはトリクロロシリル基、トリブロモシリル基、トリヨードシリル基等のトリハロゲノシリル基やメチルジクロロシリル基、エチルジクロロシリル基、n−プロピル−ジクロロシリル基等のアルキルジハロゲノシリル基、ジメチルクロロシリル基、メチルエチルクロロシリル基、ジエチルクロロシリル基等のジアルキルハロゲノシリル基、フェニルジクロロシリル基、p−トリルジクロロシリル基、クロロフェニルジクロロシリル基等のアリールジハロゲノシリル基、ジフェニルクロロシリル基、ジフェニルブロモシリル基等のジアリールハロゲノシリル基が挙げられる。
【0017】
さらには、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリ−n−プロポキシシリル基等のトリアルコキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、エチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基等のアルキルジアルコキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基、ジエチルメトキシシリル基、ジメチルエトキシシリル基、ジエチルエトキシシリル基等のジアルキルアルコキシシリル基、フェニルジメトキシシリル基、トリルジメトキシシリル基、フェニルジエトキシシリル基、トリルジエトキシシリル基等のアリールジアルコキシシリル基、ジフェニルメトキシシリル基、ジトリルメトキシシリル基、ジフェニルエトキシシリル基、ジトリルエトキシシリル基等のジアリールアルコキシシリル基などのアルコキシ基含有シリル基が挙げられる。
【0018】
さらにトリアセトキシシリル基等のトリアシルオキシシリル基、メチルジアセトキシシリル基等のアルキルジアシルオキシシリル基、ジメチルアセトキシシリル基等のジアルキルアシルオキシシリル基、フェニルジアセトキシシリル基等のアリールジアシルオキシシリル基、ジフェニルアセトキシシリル基等のジアリールアシルオキシシリル基やジメチルヒドロキシシリル基、メチルジヒドロキシシリル基、ジフェニルヒドロキシシリル基、フェニルジヒドロキシシリル基等のアルキルまたはアリールヒドロキシシリル基、トリヒドロキシシリル基等のシリル基も挙げられる。
【0019】
これらのうち好ましくは、ヒドロキシル基、トリクロロシリル基、メチルジクロロシリル基、ジメチルクロロシリル基、トリメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、ジメチルエトキシシリル基、トリアセトキシシリル基、メチルジアセトキシシリル基、ジメチルアセトキシシリル基、トリヒドロキシシリル基、メチルジヒドロキシシリル基、ジメチルヒドロキシシリル基であり、特に好ましいのはトリクロロシリル基、メチルジクロロシリル基、ジメチルクロロシリル基である。
また、前記イオン性化合物(A)において、a、bおよびcは0または1〜3の整数、dは1〜4の整数であり、かつa+b+c+d=4である。dは1が好ましい。
【0020】
前記イオン性化合物(A)において、Dは1価のカチオンであり、具体的にはプロトン、トリフェニルカルベニウムイオン、トリ−(p−トリル)カルベニウムイオンなどのトリアリールカルベニウムイオンやトリメチルカルベニウムイオン等のカルベニウムイオン、トロピリウムイオン、フェロセニウムイオン、トリメチルアンモニウムイオン、トリ−n−ブチルアンモニウムイオン、N,N−ジメチルアニリニウムイオン等のアンモニウムイオン、トリメチルオキソニウムイオン、トリエチルオキソニウムイオン等のオキソニウムイオン、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオンなどが挙げられる。
【0021】
これらのうち好ましいのは、プロトン、トリフェニルカルベニウムイオン、トリ−(p−トリル)カルベニウムイオン等のトリアリールカルベニウムイオン、N,N−ジメチルアニリニウムイオン、N,N−ジエチルアニリニウムイオン等のジアルキルアニリニウムイオン、トリメチルオキソニウムイオンやトリエチルオキソニウムイオン等のトリアルキルオキソニウムイオンである。
【0022】
本発明の触媒成分で使用する成分(B)は、アルキル化剤、アシル化剤、シリル化剤、スタニル化剤およびゲルミル化剤から選択される少なくとも1以上の成分である。
アルキル化剤の例としては、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化n−プロピル、ヨウ化イソプロピル、ヨウ化−n−ブチル、ヨウ化−n−オクチル、臭化メチル、臭化エチル、臭化n−プロピル、臭化イソプロピル等のヨウ化または臭化アルキルや塩化ベンジル、臭化ベンジル、ヨウ化ベンジル、塩化ジフェニルメチル、臭化ジフェニルメチル、ヨウ化ジフェニルメチル、塩化トリフェニルメチル、臭化トリフェニルメチル、ヨウ化トリフェニルメチル等のα−アリール置換ハロゲン化炭化水素が挙げられる。
【0023】
またアルキル化剤としてはメタンスルフォン酸メチル、メタンスルフォン酸エチル、メタンスルフォン酸n−プロピル、メタンスルフォン酸イソプロピル、メタンスルフォン酸−n−ブチル、メタンスルフォン酸−n−ヘキシル、メタンスルフォン酸−n−オクチル、トリフルオロメタンスルフォン酸メチル、トリフルオロメタンスルフォン酸エチル、トリフルオロメタンスルフォン酸n−プロピル、トリフルオロメタンスルフォン酸イソプロピル、トリフルオロメタンスルフォン酸−n−ブチル、トリフルオロメタンスルフォン酸−n−ヘキシル、トリフルオロメタンスルフォン酸−n−オクチル、p−トルエンスルフォン酸メチル、p−トルエンスルフォン酸エチル、p−トルエンスルフォン酸n−プロピル、p−トルエンスルフォン酸ベンジル等のスルフォン酸アルキル、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボラート、トリエチルオキソニウムテトラフルオロボラート、トリメチルオキソニウムヘキサフルオロフォスフェート、トリエチルオキソニウムヘキサフルオロフォスフェート、トリメチルオキソニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリエチルオキソニウムヘキサフルオロアンチモネート等のオキソニウム塩や、トリメチルスルフォニウムテトラフルオロボラート、トリエチルスルフォニウムテトラフルオロボラート、トリフェニルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート等のスルフォニウム塩やジフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェイト等のヨードニウム塩なども使用可能である。
【0024】
これらの中でもヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化n−プロピル、ヨウ化イソプロピル、ヨウ化−n−ブチル、ヨウ化−n−オクチル等のヨウ化アルキル、塩化ベンジル、臭化ベンジル、ヨウ化ベンジル、塩化ジフェニルメチル、臭化ジフェニルメチル、ヨウ化ジフェニルメチル、塩化トリフェニルメチル、臭化トリフェニルメチル、ヨウ化トリフェニルメチル等のα−アリール置換ハロゲン化炭化水素、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボラート、トリエチルオキソニウムテトラフルオロボラート、トリメチルオキソニウムヘキサフルオロフォスフェート、トリエチルオキソニウムヘキサフルオロフォスフェート、トリメチルオキソニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリエチルオキソニウムヘキサフルオロアンチモネート等のオキソニウム塩が好ましい。
【0025】
アシル化剤としては、塩化アセチル、臭化アセチル、ヨウ化アセチル、塩化プロパノイル、塩化ピバロイル、塩化デカノイル、塩化ベンゾイル等のカルボン酸ハロゲン化物や、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水トリフルオロ酢酸、無水ピバリン酸、無水安息香酸、無水フタル酸等の酸無水物、N−アセチルイミダゾール、N−ミリストイルイミダゾール、N−パルミトイルイミダゾール等のN−アシルイミダゾール、N−アセトキシスクシンイミド、N−アセトキシフタルイミド等のN−アシルオキシイミド、4−ニトロフェニルアセテート、4−ニトロフェニルパルミテート、4−シアノフェニルアセテートなどが例示される。
【0026】
成分(B)に使用可能なシリル化剤としては、例えば下記一般式(II)で表される化合物が挙げられる。
【化7】
(R5)l(R6)m(R7)nSi(Y1)p(Y2)q(Y3)r (II)
式(II)中、R5、R6、R7は炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン化炭化 水素基のいずれかであり、各々同一でもよく異なってもよい。
Y1、Y2、Y3はO,S、Nのいずれかを介してSi原子に結合する原子団お よびハロゲン原子の中から選ばれ、互いに同一でもよく異なってもよい。
l、m、n、p、qおよびrは0または1〜3の整数であり、1≦l+m+n≦3、1≦p+q+r≦3かつl+m+n+p+q+r=4である。
【0027】
R5、R6、R7は、炭素数1〜20の炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基 の中から選ばれ、互いに同一でもよく異なってもよい。
炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基、フェニル基、o−クロロフェニル基、m−クロロフェニル基、p−クロロフェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等のアルキル基、アルケニル基、アリール基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルケニル基、ハロゲン化アリール基などである。
【0028】
Y1、Y2、Y3はO、S、N原子のいずれかを介してSi原子に結合する原子 団およびハロゲン原子の中から選ばれ、各々同一でもよくまた異なってもよい。ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが可能である。O原子を介してSi原子に結合する原子団としてはヒドロキシル基やメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基等のアルコキシ基、およびアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基やトリメチルシリルオキシ基等のシリルオキシ基、メタンスルフォニルオキシ基、ベンゼンスルフォニルオキシ基、トリフルオロメタンスルフォニルオキシ基、p−トルエンスルフォニルオキシ基等のスルフォニルオキシ基などが挙げられる。S原子を介してSi原子に結合する原子団としてはメルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基等が挙げられる。N原子を介してSi原子に結合する原子団の例としてはN,N−ジメチルアミノ基,N−トリメチルシリルアミノ基等のアミノ基、アミド基、イミド基、イミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基などが挙げられる。
【0029】
このようなシリル化剤の具体例を列挙すると、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、トリ−n−プロピルクロロシラン、トリ−i−プロピルクロロシラン、トリ−n−ブチルクロロシラン、トリ−i−ブチルクロロシラン、トリ−s−ブチルクロロシラン、t−ブチルジメチルクロロシラン、シクロヘキシルジメチルクロロシラン、ジシクロヘキシルメチルクロロシラン、トリシクロヘキシルクロロシラン、フェニルジメチルクロロシラン、ジフェニルメチルクロロシラン、トリフェニルクロロシラン、トリ−p−トリルクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、n−オクチルジメチルクロロシラン、n−デシルジメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルエチルジクロロシラン、メチル−t−ブチルジクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、メチル−n−ヘキシルジクロロシラン、メチル−n−オクチルジクロロシラン、ジ−n−ヘキシルジクロロシラン、ジ−n−オクチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、t−ブチルトリクロロシランおよびこれらの塩素原子を臭素、フッ素またはヨウ素に置き換えたもの等が例示される。
【0030】
またアルコキシ基を含有するものとしては、トリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリ−n−プロピルメトキシシラン、トリ−i−プロピルメトキシシラン、トリ−n−ブチルメトキシシラン、トリ−i−ブチルメトキシシラン、トリ−s−ブチルメトキシシラン、t−ブチルジメチルメトキシシラン、シクロヘキシルジメチルシラン、ジシクロヘキシルメチルメトキシシラン、トリシクロヘキシルメトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、n−ヘキシルジメチルメトキシシラン、n−オクチルジメチルメトキシシラン、ジフェニルジメチルメトキシシラン、トリフェニルリメトキシシラン、トリ−p−トリルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルエチルメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、i−ブチルトリメトキシシラン、s−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランおよびこれらのメトキシ基をエトキシ基やプロポキシ基に置き換えたものなどが例示される。
【0031】
アシルオキシ基を含有するものとしては、トリメチルアセトキシシラン、トリエチルアセトキシシラン、トリ−n−プロピルアセトキシシラン、トリ−i−プロピルアセトキシシラン、トリ−n−ブチルアセトキシシラン、トリ−i−ブチルアセトキシシラン、t−ブチルジメチルアセトキシシラン、シクロヘキシルジメチルシラン、ジシクロヘキシルメチルアセトキシシラン、トリシクロヘキシルアセトキシシラン、フェニルジメチルアセトキシシラン、ジフェニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、メチルエチルアセトキシシラン、ジエチルジアセトキシシラン、ジ−n−プロピルジアセトキシシラン、ジ−i−プロピルジアセトキシシラン、ジ−n−ブチルジアセトキシシラン、ジ−i−ブチルジアセトキシシラン、ジシクロヘキシルジアセトキシシラン、シクロヘキシルメチルジアセトキシシラン、ジフェニルジアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、n−プロピルトリアセトキシシラン、i−プロピルトリアセトキシシラン、n−ブチルトリアセトキシシラン、i−ブチルトリアセトキシシラン、s−ブチルトリアセトキシシラン、t−ブチルトリアセトキシシラン、シクロヘキシルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシランおよびこれらのアセトキシ基をベンゾイル基等の他のアシルオキシ基に置き換えたものなどが挙げられる。
【0032】
上記の他にもトリメチルフェノキシシラン、フェニルジメチルフェノキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリメチルシリルメタンスルフォネート、トリメチルシリルトリフロオロメタンスルフォネート、トリメチルシリル−p−トルエンスルフォネートなどが挙げられる。
【0033】
一般式(II)で表わされるシリル化剤のうち、N原子を介してSi原子に結合する原子団を有するもの例としては、ヘキサメチルジシラザン、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N−トリメチルシリルアセトアミド、N−メチル−N−トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド、N−トリメチルシリルイミダゾール、N−トリメチルシリルチアゾール、N−トリメチルシリルオキサゾールなどが挙げられる。またこれらの複数をシリル化剤として用いてもかまわない。
【0034】
これらシリル化剤の中でもY1〜Y3のうち少なくとも一つがハロゲン原子であるものが好ましく、特に好ましくはトリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、トリ−n−プロピルクロロシラン、トリ−i−プロピルクロロシラン、トリ−n−ブチルクロロシラン、トリ−i−ブチルクロロシラン、トリ−s−ブチルクロロシラン、t−ブチルジメチルクロロシラン、シクロヘキシルジメチルシラン、ジシクロヘキシルメチルクロロシラン、トリシクロヘキシルクロロシラン、フェニルジメチルクロロシラン等のトリアルキルハロゲノシランおよびこれらの混合物である。
【0035】
スタニル化剤、ゲルミル化剤としてはそれぞれ下記式(IV)および(V)で示される化合物が挙げられる。
【化8】
(R5)l(R6)m(R7)nSn(Y1)p(Y2)q(Y3)r (IV)
(式中、R5、R6、R7は炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基 のいずれかであり、各々同一でも良く異なってもよい。l、m、n、p、qおよびrは0または1〜3の整数であり、1≦l+m+n≦3、1≦p+q+r≦3かつl+m+n+p+q+r=4である。)
【0036】
【化9】
(R5)l(R6)m(R7)nGe(Y1)p(Y2)q(Y3)r (V)
(式中、R5、R6、R7は炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基 のいずれかであり、各々同一でも良く異なってもよい。l、m、n、p、qおよびrは0または1〜3の整数であり、1≦l+m+n≦3、1≦p+q+r≦3かつl+m+n+p+q+r=4である。)
ここで、R5〜R7およびY1〜Y3は前述のシリル化剤について述べたものと同様である。
【0037】
スタニル化剤の具体例としては,トリメチルスズクロライド、トリフェニルスズクロライド、トリメチルスズアセテート、ジメチルスズジクロライド、ジブチルスズジクロライド、ジメチルスズジアセテート、ジブチルスズジアセテート等が挙げられる。またゲルミル化剤としてはトリメチルゲルマニウムクロライド、トリフェニルゲルマニウムクロライド、ジメチルゲルマニウムジクロライド、ジブチルゲルマニウムジクロライド等が挙げられる。
【0038】
本発明の触媒成分で使用される成分(C)の微粒子担体としては、金属酸化物、金属ハロゲン化物、金属水酸化物、金属アルコキシド、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、珪酸塩や有機高分子化合物等が好適に使用できる。
【0039】
金属酸化物としてはシリカ、アルミナ、チタニア、マグネシア、ジルコニア、カルシア、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化銅等であり、金属ハロゲン化物としては、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム等が例示できる。金属水酸化物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等であり、金属アルコキシドとしてはマグネシウムエトキシド、マグネシウムメトキシド等である。炭酸塩としては炭酸カルシウム、塩基性炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸銅等が挙げられる。硫酸塩としては硫酸塩としては硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸銅、硫酸鉄等が挙げられる。硝酸塩としては硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム、硝酸ストロンチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸銅、硝酸鉄等が挙げられる。酢酸塩としては酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸バリウム、酢酸ストロンチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等が挙げられる。珪酸塩としては雲母、タルク等の珪酸マグネシウムや珪酸カルシウム珪酸ナトリウム等が挙げられる。
【0040】
これらのうち好ましくは、シリカ、アルミナ、雲母やタルク等の珪酸マグネシウムや珪酸カルシウム、珪酸ナトリウムなどの珪酸塩である。
これら担体の平均粒子径は、特に制限はないが、通常 0.1〜 2,000μmの範囲であり、好ましくは1〜 1,000μm、さらに好ましくは5〜100μmの範囲である。また比表面積は、特に制限はないが通常 0.1〜2,000m2/gの範囲であり、好ましくは10〜 1,500m2/gであり、さらに好ましくは100〜 1,000 m2/gの範囲である。
【0041】
次に本発明の触媒成分の製造方法について説明する。
本発明において、成分(A)および成分(B)を成分(C)と接触させる方法に特に制限はなく、有機溶剤の非存在下で直接接触させても良いが、一般的には有機溶剤中で接触が行われる。ここで用いられる有機溶剤としてはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン化炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類やN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホルアミド等のアミド類、ジメチルスルフォキシド等のスルフォキシド類、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、デカノール等のアルコール類およびこれらの混合物等が使用可能である。
【0042】
成分(A)および成分(B)の成分(C)との接触は、使用する有機溶剤やその他の条件を考慮して任意の温度で可能であり、通常−80℃〜300℃の範囲で行われる。接触温度の好ましい範囲は−50℃〜200℃であり、さらに好ましい範囲は0℃〜150℃である。
【0043】
成分(A)の成分(C)に対する使用量に特に制限はないが、通常成分C)の100重量部に対し0.0001〜1,000,000 重量部の範囲である。成分(A)の使用量を多くすると、触媒の重合活性は向上する傾向にあるが、重合活性と製造コストのバランスを考慮すると成分(A)の使用量は成分(C)100重量部に対し、好ましくは 0.1〜10,000重量部の範囲であり、さらに好ましくは1〜 1,000重量部の範囲である。
【0044】
成分(B)の成分(C)に対する使用量に特に制限はないが、通常成分(C)の100重量部に対し0.0001重量部以上である。成分(B)の好ましい使用量は成分(C)100重量部に対し0.01重量部以上であり、さらに好ましくは 0.1重量部以上である。
【0045】
なお本発明の触媒成分の製造において成分(A)と成分(B)は、同時に成分(C)と接触させてもよく、また逐次に成分(C)と接触させてもよい。成分(A)と成分(B)を逐次に接触させる場合は、成分(C)に対し成分(A)を接触させた後に成分(B)を接触させる方法、あるいは成分(C)に対し成分(B)を接触させた後に成分(A)を接触させる方法のいずれも可能である。これらのうち、成分(A)と成分(B)を同時に成分(C)と接触させる方法および、成分(C)に対し成分(A)を接触させた後に成分(B)を接触させる方法が好ましく、特に後者の方法が好ましい。
【0046】
また各接触段階において使用する有機溶剤や接触温度、接触時間などの条件は異なっていてもよい。さらに成分(A)と成分(B)を逐次に接触させる場合、成分(A)と成分(B)の一方を成分(C)と接触させた後、過剰の成分(A)または成分(B)を有機溶剤洗浄や減圧乾燥などにより除去したたうえで、残りの成分との接触を行うことも可能である。このような有機洗浄は前記の有機溶剤を用いて、任意の方法で行うことが可能である。
【0047】
さらには成分(A)および/または成分(B)と成分(C)の反応を促進して担持量を向上させる目的で、適当な触媒の存在下に接触させることも可能である。このような触媒としてはアミン類が挙げられ、具体的には、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジメチルベンジルアミン、ジメチルアニリン等の3級アミン類やピリジン、ピコリン、ジメチルアミノピリジン、ピロリジノピリジン等のピリジン類、N−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)等の複素環化合物が例示される。
【0048】
触媒の他の例としては、トリブチルスズアセテート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジステアレート、ジオクチルスズマレート等の有機スズ化合物やオクチル酸鉛、ステアリン酸鉛等の鉛化合物、テトラ−i−プロポキシチタン等のチタン化合物などである。さらには酢酸、プロピオン酸、安息香酸等のカルボン酸や塩酸、硫酸などの無機酸等も使用可能である。
【0049】
上記以外にも成分(A)および/または成分(B)と成分(C)の反応を促進させる公知の触媒を何ら制限なく使用することが可能である。
このような方法により前記成分(A)および成分(B)が成分(C)上に担持され、本発明のポリオレフィン製造用触媒成分を与えることとなる。ここで担持の様式は化学結合によるものと推測されるが、その他の様式、たとえば物理的吸着によるものが存在してもかまわない。
【0050】
上記にしたがって得られる本発明のポリオレフィン製造用触媒成分は、有機アルミニウム化合物およびメタロセン化合物と接触させることにより、本発明のポリオレフィン製造用触媒を調製することができる。
ここで使用可能な有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリ−i−プロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリ−i−ブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウムや、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド等のジアルキルアルミニウムハライドやモノアルキルアルミニウムジハライド、さらにはジエチルアルミニウムエトキシド、エチルアルミニウムジエトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシドやモノアルキルアルミニウムジアルコキシド、メチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサンおよびこれらの混合物などが挙げられる。これら有機アルミニウム化合物の使用量に特に制限はなく、メタロセン化合物の活性化や重合系内の不純物除去など、その目的に応じて任意に決定することができる。
【0051】
本発明で使用可能なメタロセン化合物に特に制限はないが、具体的には
ビス(η5−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ビス(η5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
(t−ブチルアミド)(η5−テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、
エチレン−1,2−ビス(η5−1−インデニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシリレンビス(η5−1−インデニル)ジルコニウムジクロライド、
エチレン−1,2−ビス[2−メチル−η5−(1−インデニル)]ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシリレンビス[2−メチル−(η5−1−インデニル)]ジルコニウ ムジクロライド、
エチレンビス[2−メチル−4−フェニル−(η5−1−インデニル)]ジル コニウムジクロライド、
ジメチルシリレンビス[2−メチル−4−フェニル−(η5−1−インデニル )]ジルコニウムジクロライド、
エチレンビス[2−メチル−4−(1−ナフチル)−(η5−1−インデニル )〕ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシリレンビス〔2−メチル−4−(1−ナフチル)−(η5−1−イ ンデニル)〕ジルコニウムジクロライド、
イソプロピリデンシクロペンタジエニル(η5−9−フルオレニルジルコニウ ムジクロライドおよびこれらの混合物等が挙げられる。
【0052】
メタロセン化合物の使用量に特に制限はないが、本発明のポリオレフィン製造用触媒成分中に含まれる成分(A)および/またはその残基の1当量に対して、通常0.01〜20当量である。好ましくは成分(A)および/またはその残基1当量に対し、0.05〜10当量であり、さらに好ましくは0.02〜5当量、特に好ましくは 0.1当量〜2当量の範囲である。
【0053】
有機アルミニウムおよびメタロセン化合物との接触方法は特に制限はなく、各々を重合反応器中に別々に導入し、重合反応容器中で接触させてもよく、あらかじめ各々を接触させた後に重合反応器に導入してもよい。特に本発明においては従来技術と異なり、重合反応器外で予め調製した触媒を長時間保存することが可能であり、長時間保存した触媒を必要時に重合反応器へ添加することでなんら問題無くポリオレフィンを製造することができる。
【0054】
重合反応器外で各成分を予め接触させて触媒を調製する場合、各成分の接触後はそのままスラリー状で保存することも可能であるが、さらに各種の後処理を行ったうえで保存してもよい。具体的には、液体を除去した後に担持されなかった成分を洗浄除去し固体状で保存する方法や、減圧により液体を留去して固体状で保存する方法などである。さらにはこれら固体状の触媒に少量のヘキサンやトルエン等の炭化水素やオイル、グリース等を加えたスラリーなど、重合反応器に添加しやすい形態で保存することも可能である。
【0055】
本発明の触媒成分からなるポリオレフィン製造用触媒は、特に制限なく任意の重合方法に適用することが可能である。具体的には液体プロピレン中で行う塊状重合、不活性溶剤の存在下に液相中で行う溶液重合やスラリー重合、気相モノマー中で行う気相重合が挙げられる。これらのうち好ましくは塊状重合および気相重合である。
【0056】
重合温度は生産性や製造するポリオレフィンの分子量を考慮して任意であるが、通常0℃〜130℃の範囲であり、好ましくは20〜100℃の範囲であり、特に好ましくは45℃〜80℃の範囲である。
圧力は液相中の重合において常圧〜70kg/cm2、気相中では常圧〜50 kg/cm2の範囲が一般的であり、得ようとするプロピレン重合体組成物の性 質や、生産性などを考慮して適当な範囲を選択できる。また重合時には、水素の導入や温度、圧力の選定など任意の手段により分子量を調節することが可能である。
【0057】
本発明のポリオレフィン製造用触媒により重合可能なオレフィンはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサン等およびこれらの混合物であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲においてスチレン、ビニルトルエンといったビニル芳香族化合物やブタジエン、イソプレン、クロロプレン、1,4−ヘサジエンといった共役あるいは非共役ジエンなどの少量を共重合することも可能である。これらのうち好ましくはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンおよびこれらの混合物である。
【0058】
このようにして得られた本発明のポリオレフィン製造用触媒は、重合体の反応器への付着を伴わず嵩比重の高い重合体を高い活性で与える。さらには活性の経時変化が極めて小さく、長期間保存した場合でも著しい活性の低下を伴わずに用いることが可能である。以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限りこれらに限定されるものではない。
【0059】
【実施例】
成分Aの製造
(A−1):N,N−ジメチルアニリニウムトリス(ペンタフルオロフェニル)(p−トリクロロシリルテトラフルオロフェニル)ボラート
1−ブロモ−2,3,5,6−テトラフルオロフェニルベンゼン3.85g(1.86mmol)をジエチルエーテル50mlに溶解した。さらに−78℃でn−ブチルリチウムのヘキサン溶液( 1.6mol/l)10.5mlを滴下し、30分間撹拌した。得られた溶液をトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランのヘキサン溶液(50mmol/l)200mlに添加し、25℃で20分間撹拌することで、生成物を固体として得た。溶液層を除去後、得られた固体をヘキサンで洗浄し真空乾燥を行った。
上記で得られた固体1.66gをテトラヒドロフラン10mlに溶解し−78℃まで冷却した後、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液( 1.6mol/l) 1.5mlを滴下し45分間撹拌した。この溶液を四塩化ケイ素 2.7mlをテトラヒドロフラン10mlに溶解した溶液に添加し、25℃で15分間撹拌した。この溶液にヘプタン100mlを加えた後、テトラヒドロフランを留去した。ヘプタン層を除去した残分をヘキサンで洗浄後、真空乾燥した。さらにジクロロメタン50mlを加え不溶分を除去した後、ジクロロメタンを留去することで1.65gの生成物を得た。
この生成物1.65gをジクロロメタン30mlに溶解した後、ジメチルアニリニウムクロライド0.31gを添加し、25℃で5分間撹拌した。不溶分を除去後、ジクロロメタンを留去、真空乾燥することで目的の成分N,N−ジメチルアニリニウムトリス(ペンタフルオロフェニル)(p−トリクロロシリルテトラフルオロフェニル)ボラート(A−1) 1.7gを得た。
【0060】
(A−2):N,N−ジメチルアニリニウムトリス(ペンタフルオロフェニル)〔p−(クロロジメチルシリル)テトラフルオロフェニル〕ボラート
上記(A−1)の調製において四塩化ケイ素のかわりにジメチルジクロロシランを用いて同様に調製した。
(A−3):N,N−ジメチルアニリニウムトリス(ペンタフルオロフェニル)(p−トリメトキシシリルテトラフルオロフェニル)ボラート
上記に従って調製した(A−1) 0.5gを5mlのジクロロメタンに溶解させた溶液を30mlのメタノールに滴下した。この溶液を還流下2時間撹拌した後、減圧でジクロロメタンおよびメタノールを留去し目的の化合物0.45gを得た。
【0061】
本発明の実施例において使用した成分(B)および成分(C)は以下のとおりである。
成分(B)
(B−1):トリエチルオキソニウムテトラフルオロボラート、
(B−2):ヨウ化ベンジル、
(B−3):フェニルジメチルクロロシラン、
(B―4):ジメチルジクロロシラン、
(B−5):ヘキサメチルジシラザン、
(B−6):トリメチルクロロシラン、
(B−7):n−オクチルトリメトキシシラン、
(B−8):無水トリフルオロ酢酸、
(B−9):塩化デカノイル、
(B−10):ジブチルスズジクロライド、
(B−11):トリメチルゲルマニウムクロライド、
【0062】
成分(C)
(C−1):シリカ(平均粒径50μm、平均細孔径110オングストローム、細孔容積 1.3ml/g、比表面積520m2/g)、
(C−2):珪酸アルミニウム(平均粒径90μm、平均細孔径70オングストローム、細孔容積 0.9ml/g、比表面積220m2/g)。
【0063】
実施例1
1)ポリオレフィン製造用触媒成分の調製
成分(A)および成分(B)と成分(C)の接触
ジクロロメタン20mlに(C−1) 1.0gを加えたスラリーに対し、前記成分(A−1) 0.2gおよび(B−1)の1mol/l―ジクロロメタン溶液2mlを加え室温で24時間撹拌後、さらに50℃で8時間撹拌した。上澄みを除去後ジクロロメタンで4回洗浄し、減圧乾燥することで本発明のポリオレフィン製造用触媒成分を得た。
【0064】
2)ポリオレフィン製造用触媒の調製
0.5mmol/Lのジメチルシリレンビス[2−メチル−4,5−ベンゾ(η5−1−インデニル)]ジルコニウムジクロライド(以下、MBIと略す。)トルエン溶液4mlと、 0.5mol/Lのトリイソブチルアルミニウム(以下、TIBAと略す。)トルエン溶液1mlを混合した溶液に上記ポリオレフィン製造用触媒成分を30mg添加し3分間撹拌した。その後、トルエンを減圧で留去し新たにヘキサン5mlを添加してポリオレフィン製造用触媒のスラリーを得た。
【0065】
3)ポリプロピレンの製造
上記2)で調製した触媒の、調製直後と調製72時間後とに、以下に従ってプロピレンの重合を行った。 1.5Lのオートクレーブに 0.5mol/lのTIBAトルエン溶液3ml、プロピレン8molを加え50℃に昇温した。上記のポリオレフィン製造用触媒をオートクレーブ中に圧入し、60分間重合を行った。重合活性(g/g-cat・h)、得られた重合体の嵩比重(g/ml)、重合中の重合体の反応器への付着の有無、および重合体のメルトフローレート(MFR:JIS K7210, 230℃,2.16kg荷重)を、触媒調製直後と調製72時間後のそれぞれについて測定評価し、結果を第1表に示した。
【0066】
実施例2
成分(A)、成分(B)および成分(C)に第1表記載のものを使用した他は実施例1と同様に行い、結果を第1表に示した。
【0067】
参考例1
1)ポリオレフィン製造用触媒成分の調製
成分(A)と成分(C)の接触
ジクロロメタン30mlに(C−1)0.5gを加えたスラリーに対し、前記成分(A−2)0.3gをジクロロメタン6mlに溶解させた溶液を添加した。撹拌下2時間環流させた後、上澄みを除去しジクロロメタンで洗浄し、固体成分を得た。
成分(B)の接触
ジクロロメタン10mlに上記で得た固体成分0.2g、(B−2)1mlおよび触媒としてジメチルアニリン(DMA)0.1mlを添加し撹拌下3時間環流させた。上澄みを除去後、20mlのジクロロメタンで4回洗浄し、減圧乾燥することで本発明のポリオレフィン製造用触媒成分を得た。
【0068】
2)ポリオレフィン製造用触媒の調製
MBIの 0.5mmol/L−トルエン溶液4mlと、TIBAの 0.5mol/L−トルエン溶液1mlを混合した溶液に上記ポリオレフィン製造用触媒成分を30mg添加し3分間撹拌した。その後、上澄み液を減圧下で留去し新たにヘキサン5mlを添加してポリオレフィン製造用触媒のスラリーを得た。
3)ポリプロピレンの製造
上記2)で得られた触媒の調製直後と調製72時間後に、実施例1に従ってプロピレンの重合を行った。結果を第1表に示す。
【0069】
参考例2
参考例1において成分(B)と成分(C)の接触に触媒を使用しなかった他は同様に実施した。結果を第1表に示す。
【0070】
参考例3〜5
成分(A)、成分(B)、成分(C)およびメタロセン化合物に第1表記載のものを使用した他は参考例2と同様に行った。なお、参考例3においてはメタロセン化合物としてエチレン−1,2−ビス(η5−1−インデニル)ハフニウムジクロライド(EBIH)を使用し、参考例5においては同じくジメチルシリレンビス[2−メチル−4−(1−ナフチル)−(η5−1−インデニル)]ジルコニウムジクロライド(MNI)を使用した。結果を第1表に示す。
【0071】
参考例6〜9
成分(A)、成分(B)、成分(C)およびメタロセン化合物に第1表記載のものを使用した他は参考例1と同様に行った。結果を第1表に示す。
【0072】
参考例10
1)ポリオレフィン製造用触媒成分の調製
成分(A)および成分(B)と成分(C)の接触
クロロベンゼン20mlに成分(C)として(C−1)を1.0g加えたスラリーに対し、前記成分(A−3)を0.2g、(B−7)を1ml、および触媒としてジブチルスズジステアレート(DBTDS)0.05gをクロロベンゼン6mlに溶解させた溶液を添加し撹拌下18時間還流させた。上澄みを除去後、20mlのジクロロメタンで3回洗浄し、減圧乾燥することで本発明のポリオレフィン製造用触媒成分を得た。
【0073】
2)ポリオレフィン製造用触媒の調製
MBIのかわりにジメチルシリレンビス[2−メチル−4−フェニル−(η5 −1−インデニル)]ジルコニウムジクロライド(MPI)を用いた以外は実施例1と同様に行った。
3)ポリプロピレンの製造
上記2)で得られた触媒の調製直後と調製72時間後に、 0.5mol/lのTIBAトルエン溶液の代わりに 0.2mol/lのn−BuLi−ヘキサン溶液1mlを用いた以外は、実施例1に従ってプロピレンの重合を行った。結果を第1表に示す。
【0074】
実施例3
1)ポリオレフィン製造用触媒成分の調製
成分(A)と成分(C)の接触
ジクロロメタン30mlに成分(C−1)を0.5g加えたスラリーに対し、前記成分(A−1)0.3gをジクロロメタン6mlに溶解させた溶液を添加した。撹拌下2時間環流させた後、上澄みを除去しジクロロメタンで洗浄し、固体成分を得た。
【0075】
成分(B)と成分(C)の接触
上記で得た固体成分 0.2gにトルエン10mlおよび成分(B)として無水トリフルオロ酢酸2ml、さらにジメチルアミノピリジン(DMAP) 0.1g、トリエチルアミン1mlを加え80℃で8時間撹拌した。上澄みを除去後トルエンおよびジクロロメタンで各5回洗浄し、減圧乾燥することで本発明のポリオレフィン製造用触媒成分を得た。
2)ポリオレフィン製造用触媒の調製
実施例1と同様に行った。
3)ポリプロピレンの製造
上記2)で得られた触媒の調製直後と調製72時間後に、実施例1に従ってプロピレンの重合を行った。結果を第1表に示す。
【0076】
実施例4
成分(A)、成分(B)および成分(C)に第1表記載のものを使用した他は実施例3と同様に行った。結果を第1表に示す。
【0077】
実施例5〜6
成分(A)、成分(B)および成分(C)に第1表記載のものを使用した他は参考例2と同様に行った。結果を第1表に示す。
【0078】
参考例11
1)ポリオレフィン製造用触媒成分の調製
成分(A)と成分(C)の接触
ジクロロメタン30mlに(C−1)1.0gを加えたスラリーに対し、前記成分(A−2)0.3gをジクロロメタン6mlに溶解させた溶液を添加した。撹拌下2時間環流させた後、上澄みを除去しジクロロメタンで洗浄し、固体成分を得た。
成分(B)の接触
ジクロロメタン10mlに上記で得た固体成分0.3g、(B−6)を2mlおよび触媒としてジメチルアニリン(DMA)0.1mlを添加し65℃で3時間撹拌した。上澄みを除去後、20mlのジクロロメタンで4回洗浄し、減圧乾燥することで本発明のポリオレフィン製造用触媒成分を得た。
【0079】
2)ポリオレフィン製造用触媒の調製
MNIの 1.0mmol/L−トルエン溶液4mlと、TIBAの 0.5mol/L−トルエン溶液1mlを混合した溶液に上記ポリオレフィン製造用触媒成分を30mg添加し3分間撹拌した。その後、上澄み液を減圧下で留去し新たにヘキサン5mlを添加してポリオレフィン製造用触媒のスラリーを得た。
3)ポリプロピレンの製造
この触媒の調製直後と調製72時間後に、以下に従ってプロピレンの重合を行った。 1.5Lのオートクレーブに 0.2mol/lのn−BuLi−ヘキサン溶液2ml、プロピレン8molを加え50℃に昇温した。上記のポリオレフィン製造用触媒を窒素によりオートクレーブ中に圧入した後、エチレンをその分圧が1.0 kg/cm2を維持するよう連続的に供給しながら30分間重合を行った。触 媒調製直後と調製72時間後におけるそれぞれの結果を第1表に示す。
【0080】
参考例12
1)ポリオレフィン製造用触媒成分の調製
参考例11と同様に行った。
2)ポリオレフィン製造用触媒の調製
EBIHの1.0mmol/L−ジクロロメタン溶液2mlと、TIBAの0.5mol/L−トルエン溶液1mlを混合した溶液に上記ポリオレフィン製造用触媒成分を30mg添加し5分間撹拌した。その後、上澄み液を減圧下で留去し新たにヘキサン4mlを添加してポリオレフィン製造用触媒のスラリーを得た。
3)ポリオレフィンの製造
参考例11と同様に行った。触媒調製直後と調製72時間後におけるそれぞれの結果を第1表に示す。
【0081】
参考例13
1)ポリオレフィン製造用触媒成分の調製
参考例11と同様に行った。
2)ポリオレフィン製造用触媒の調製
参考例11と同様に行った。
3)ポリプロピレンの製造
上記2)で得られた触媒の調製直後と調製72時間後に、以下に従ってプロピレンの重合を行った。1.5Lのオートクレーブに0.2mol/lのn−BuLi−ヘキサン溶液2ml、プロピレン7molおよびヘキサン1molを加え70℃に昇温した。上記のポリオレフィン製造用触媒を窒素によりオートクレーブ中に圧入し60分間重合を行った。触媒調製直後と調製72時間後におけるそれぞれの結果を第1表に示す。
【0082】
比較例1
実施例1において成分(B)との接触を行わずに触媒成分を調製した他は同様に行った。結果を第1表に示す。
【0083】
比較例2
実施例1において成分(A)のかわりにN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートを用いた以外は同様に行った。結果を第1表に示す。
【0084】
比較例3
実施例1において成分(A)のかわりにN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートを用い、成分(B)を用いなかった以外は同様に行った。結果を第1表に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
第1表より、本発明のポリオレフィン製造用触媒成分は、重合体の反応器への付着を伴わず嵩比重の高い重合体を高い活性で与え、活性の経時変化が極めて小さいことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のポリオレフィン製造用触媒調製のフローチャート図。
Claims (8)
- 成分(A):下記一般式(I)
- 成分(B)がアルキル化剤である請求項1記載のポリオレフィン製造用触媒成分。
- アルキル化剤がヨウ化アルキル、α−アリール置換ハロゲン化炭化水素およびオキソニウム塩から選択される1以上である請求項2記載のポリオレフィン製造用触媒成分。
- R1、R2およびR3がペンタフルオロフェニル基である請求項1乃至3のいずれかに記載のポリオレフィン製造用触媒成分。
- R4がテトラフルオロフェニレン基である請求項4記載のポリオレフィン製造用触媒成分。
- Xがトリクロロシリル基、メチルジクロロシリル基またはジメチルクロロシリル基である請求項1乃至5のいずれかに記載のポリオレフィン製造用触媒成分。
- Dがジアルキルアニリニウムイオンである請求項1乃至6のいずれかに記載のポリオレフィン製造用触媒成分。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載のポリオレフィン製造用触媒成分、有機アルミニウム化合物およびメタロセン化合物からなるポリオレフィン製造用触媒。
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