JP3681804B2 - 土木用下敷きマットの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、海岸、港湾、水路および堤防等の自然洗掘防止、不等沈下防止、地盤安定を目的とする土木用下敷きマットの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
防波堤などの護岸岸壁の洗掘防止には従来から金網の篭に砕石を詰めたふとん篭や、合成樹脂製の網、各種不織布等をコンクリートブロックの下に敷くことが行われている。また合成樹脂製の線条体を不織布と組み合わせてこの目的に使用することも行われている。例えば特開昭49−39908号公報、特開昭57−81511号公報、特開昭57−96114号公報、実開昭60−135325号公報にそれらの記載が見られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記ふとん篭は見掛けの比重が約1.8と大きく海底で安定するが、波浪により海水とともに土砂が舞い上がるのを防ぐ効果(フィルター効果)が少ないため海底の砂が洗掘され消波ブロックとともに沈下することが多いという欠点がある。また不織布の利用はフィルター効果は大きいが比重が小さいため不安定であった。
【0004】
本発明はこのような課題を解決するための、十分なフィルター効果と安定性を持った土木用下敷きマットである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、開口部のひとつの大きさが4〜400cm2 であり、1m2 あたりの重さが5〜100kgである平面状開口成型物を重錘とし、該重錘の両面に熱可塑性合成繊維からなる通水性シートを不可分に一体化してなり比重が1.8〜5.5であることを特徴とする土木用下敷きマットの製造方法である。
【0006】
また上記土木用下敷きマットは、両面の通水性シートと平面状開口成型物とは開口部を挿通する多数の熱可塑性連続線条体により接着されていることが望ましい。このとき両面の通水性シートの耳部も相互に接着されることが望ましい。
【0007】
さらに本発明の土木用下敷きマットは、間隔をもって一列に並ぶ複数の平面状開口成型物が連続する両面の通水性シートにより一体化している構造をとることができる。
【0008】
熱可塑性連続線条体は平面状開口成型物の各開口部の骨材部を周回し且つ両面の通水性シートを接着するような構造であることがマットの強度をあげるために好ましい。
【0009】
さらに熱可塑性連続線条体は開口部を通して両面の通水性シートに接着している事が望ましい。
【0010】
このような土木用下敷きマットはつぎのようにして製造する。通水性シートの上に重錘となる平面状開口成型物を積載し、平面状開口成型物の上方から熱可塑性重合体を連続線条体として紡出して垂下させ、この連続線条体が固化しない間にその上面に通水性シートを供給しこれをニップロールで押圧する。また同時に通水性シートの左右の耳部をニップロールの両端部に設けた大径押圧部で押圧し接着させる。さらに各平面状開口成型物の間を上下動する押圧バーで押圧して両面の通水性シートと連続線条体とを熱接着することにより製造できる。
【0011】
連続線条体は0.1〜2mmの太さで紡出する。太すぎると線条が垂下しにくくなり、製造速度を遅くしなければならないので好ましくない。0.1mmより細くなると連続線条体としての量が不足し接着効果が不十分になる。このとき連続線条体の一部を、供給しつつある上面の通水性シートの裏面に接着させつつ紡出すると、開口部を通じて両面の通水性シートの裏面が連続線条体で連結接着されるので好ましい。
【0012】
できあがった土木用下敷きマットは各平面状開口成型物を1ユニットとして、1ユニットづつに切断するか、もしくは切断せず連続している状態のまま使用することができる。各ユニットの間は折り曲げることができるから、これを輸送するときは折り畳むかまたは角張ったロール巻にすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に使用する通水性シートは熱可塑性高分子体であれば特に限定されることがなく、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系などの樹脂から製造されるスパンボンド不織布やニードルパンチ不織布あるいは割布やマルチフィラメントや紡績糸からなる織布を使用できるが、引張り強力、製造コストの面からポリエステルスパンボンド不織布もしくはポリプロピレンスパンボンド不織布が好ましい。
【0014】
その目付は50〜2000g/m2 、厚みは0.5〜15mm、引っ張り強力が5cm幅で5kg以上であることが望ましい。より好ましい引っ張り強力は5cm幅で20kg以上である。目付が50g/m2 以下では水と土砂のフィルター機能が低下し好ましくない。 目付が2000g/m2 をこえると透水速度が小さく水と土砂との分離機能が悪くなるとともにコストもあがるので好ましくない。また厚みが0.5mm以下では施工時に損傷のおそれがあり、15mm以上のものは製造コストの面から不都合である。
【0015】
また、引っ張り強力が5cm幅で5kg未満では土木用下敷きマットの重量に耐えられず、施工時にクレーンで吊り上げられた場合破損するおそれがある。
【0016】
上記平面状開口成型物は比重2以上の鉄、ステンレス等の素材からなるものが好ましいが、成型性、耐久性、価格の面から鉄が最も適している。目的の土木用下敷きマットの要求される重量が重いほど重錘となる平面状開口成型物も重いものを使うことになるが、成型物はエキスパンドメタル、グレーチング、溶接金網等を所定寸法に切断したものが都合よく使用できる。なかでもエキスパンドメタルは連続線条を骨材部に周回させやすいので好ましく使用できる。
【0017】
開口部の一つの大きさは4cm2 未満であると両面の通水性シートの一体化が難しくなるため好ましくない。また400cm2 を越えると補強効果が弱くなり、1m2 あたり5kg以上のものを得ることが難しくなって、土木用下敷きマットが洗掘防止材として海底に敷設する際に沈降しにくく、波浪エネルギーにより舞い上がったり流されたりする。100kgを越えると作業性が悪くなり好ましくない。
【0018】
また、平面状開口成型物の厚みは1〜50mm、骨材部の幅は2〜50mmであることが望ましい。厚みが1mm未満もしくは骨材部の幅が2mm未満では、成型物が変形するおそれがあり、また1m2 あたりの重量が5kg以上の成型物を得ることが難しくなる。また、厚みもしくは骨材部の幅が50mm以上になると、取り扱いにくく、表裏の通水性シートを一体化させることが困難になる。
【0019】
上記熱可塑性連続線条体の素材は特に限定されず、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系の熱可塑性重合体を任意に使用することができる。特にポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系の重合体は低温で溶融し、優れた熱接着性を示すので好ましく用いられる。
【0020】
連続線条体が開口部に占める割合は開口部の面積の20〜80%を占める事が望ましい。20%未満では通水性シート間の接着力が不足し剥離するなどの不都合がでる。80%以上になると通水性シートの透水性能を減少させるために土砂と水の分離作用が遅くなるなどの不都合が生じるので好ましくない。
【0021】
最終的に得られる本発明の土木用下敷きマットは比重が1.8〜5.5であるから、海中に敷設すると自重により沈降安定し、波浪により舞い上がったり流されるなどの不都合がない。
【0022】
比重は、土木用下敷きマットの重さをその体積で除すことにより算出されるが、本発明のように空隙率が大きなものの場合、見かけの厚みから求められる体積に(100−空隙率(%))/100をかけた値を体積として、比重を算出する必要がある。比重が1.8未満では、海流によって流されるおそれがあり、5.5を超えると取り扱いにくく、運搬および投入作業が困難となる。
【0023】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。
【0024】
本発明の土木用下敷きシートを製造すべく、図1のような装置を用意した。本実施例においては、直径1mmの紡糸孔が10mm間隔で穿設されている紡糸孔列が二列に亘って平行に設けられている紡糸口金(11)を用意し、また、搬送体(12)として、平板の成型板(13)用いた。そして成型板(13)と紡糸口金(11)の間隔は20cmとし、搬送体(12)の移動速度は2m/分に設定した。
【0025】
まず重錘となる平面状開口成型物として、図2のような鉄製のエキスパンドメタル(1)を用意した。このエキスパンドメタルは板厚8mmの鉄板を加工したもので、LW135.4mm、SW34mmで、大きさは長さ方向90cm×幅方向181cm、厚みは約18mmであり、1m2 あたりの重さは33.2kgであった。
【0026】
つぎに通水性シート(2a)、(2b)としてポリエステルのスパンボンド不織布で目付450g/m2 、厚さ約4mm、5cm幅の強力100kgf、引き裂き強力21kgf、幅2mのものを用意した。
【0027】
エキスパンドメタル(1)通水性シート(2a)、(2b)の一体化は次のように行った。まず、成型板(13)上に通水性シート(2b)を連続的に供給し、その上にエキスパンドメタル(1)を載置し、両者が搬送体(12)上で同じ速度で同じ方向に移動するようにした。そして、その上から、ポリプロピレン樹脂を溶融状態で紡糸口金(11)より紡出せしめ連続線条体(3)とし、その一部を通水性シート(2a)裏面に接着させつつ自然落下させて、エキスパンドメタル(1)の骨材部(4)に連続線条体(3)を周回させると同時に、開口部(5)においては垂下させて下面の通水性シート(2b)に接着させた。
【0028】
このとき連続線条体は2m幅にすなわち通水性シートの幅一杯に垂下させ耳部の接着に使用した。
【0029】
そして連続線条体が未だ固化しないうちに図6に示す構造のニップロール(14)で通水性シート(2a)の上部を押圧し、同時に両耳部をニップロールの左右の大径押圧部(15)で押圧しそれぞれの箇所を接着させた。また上下可動の押圧バー(16)で二つのエキスパンドメタル間の中間部の通水性シートを押圧し接着させた。
つぎにこれをカッター(17)で切断し図3および図4の断面図に示す本発明の土木用下敷きマット(6)を得た。このマットは34.1kg/m2 、見掛けの厚さ約27mm、比重は5.1であった。
【0030】
つぎに同様にして、エキスパンドメタル間の間隔を20cmあけて製造しエキスパンドメタルを7枚連続させた図5に示す長尺物の土木用下敷きマットを製造した。このマットの長さ方向の端部をクレーンで掴み吊り下げたが破損することはなかった。
【0031】
この長尺物土木用下敷きマットを離岸提構築現場に洗掘防止材として展開敷設し、コンクリートブロックをのせたところ土砂の洗掘はわずかでコンクリートブロックの沈下はなかった。
【0032】
【発明の効果】
本発明により得られた土木用下敷きマットは海底に敷設しても波浪による舞い上がりや流出が無く長期間にわたって土砂の洗掘を防止することができ、またその施工にあたっても容易であるという効果をもつものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の土木用下敷きマットの製造装置のフローチャートの一例を示す略図である。
【図2】実施例で使用したエキスパンドメタルの斜視図である。。
【図3】本発明の土木用下敷きマット斜視図である。
【図4】本発明の土木用下敷きマットの長さ方向の断面図である。
【図5】本発明の土木用下敷きマットの側面図である。
【図6】実施例で使用したニップロールの斜視図である。
【符号の説明】
1 エキスパンドメタル
2a 通水性シート
2b 通水性シート
3 連続線条体
4 骨材部
5 開口部
6 土木用下敷きマット
11 紡糸口金
12 搬送体
13 成型板
14 ニップロール
15 大径押圧部
16 押圧バー
17 カッター
Claims (1)
- 通水性シートの上面に重錘となる平面状開口成型物を積載し、該平面状開口成型物の上方から熱可塑性重合体を連続線条体として紡出して落下させ、該連続線条体が固化しない間にその上に通水性シートを供給しこれをニップロールで押圧し、さらに各平面状開口成型物の間を上下動する押圧バーで押圧して両面の通水性シートと連続線条体とを熱接着する土木用下敷きマットの製造方法。
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JP35289695A JP3681804B2 (ja) | 1995-12-27 | 1995-12-27 | 土木用下敷きマットの製造方法 |
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