JP3680913B2 - 負圧センサの異常判定方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、負圧センサの異常判定方法及び装置に係り、特に、ブレーキ装置用バキュームブースタの負圧を検出する負圧センサの異常判定に好適な負圧センサの異常判定方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用ブレーキ装置に用いられるバキュームブースタは、内燃機関の吸気管から負圧が導入され、その負圧を動力源としてブレーキ操作を助勢する機構である。バキュームブースタには、負圧の変化を監視すると共に、負圧供給系の失陥を検出すべく、負圧センサが設けられる。かかる負圧センサの異常を判定する方法として、従来より、例えば特開平10−157613号に開示される異常判定装置が知られている。この異常判定装置は、負圧センサの出力信号が略一定値に固定された場合に、負圧センサの異常を判定するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、スロットルバルブが閉じた状態では吸気管にはほぼ一定の負圧が発生し、また、ブレーキ操作が行われていない場合やブレーキ操作量がほぼ一定に維持されている状態では、バキュームブースタの負圧は消費されることはない。このような場合には、バキュームブースタの負圧はほとんど変化しないため、上記従来の異常判定装置の如く、負圧センサの出力信号が略一定値に固定されたことをもって異常判定を行ったのでは、誤判定を招くことになる。
【0004】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、バキュームブースタ用負圧センサの異常判定を誤りなく正確に行い得る負圧センサの異常判定方法及び装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、請求項1に記載する如く、バキュームブースタの負圧を検出する負圧センサの異常を判定する負圧センサの異常判定方法であって、
マスタシリンダ圧やブレーキ踏力のようなブレーキ操作状態を表わす状態量に基づいて、前記バキュームブースタの負圧に所定の度合いを越える変動が生ずる負圧変動状態として、所定以上のブレーキ操作がなされた状態から所定以上の勾配でブレーキ操作が解除される際の負圧変動状態を検出する負圧変動状態検出ステップと、
前記負圧変動状態における負圧センサの出力値が、前記所定の度合いの負圧変動に見合った変化を示さない場合に前記負圧センサの異常を判定する異常判定ステップとを備える負圧センサの異常判定方法により達成される。
【0006】
また、上記の目的は、請求項3に記載する如く、バキュームブースタの負圧を検出する負圧センサの異常を判定する負圧センサの異常判定装置であって、
マスタシリンダ圧やブレーキ踏力のようなブレーキ操作状態を表わす状態量に基づいて、前記バキュームブースタの負圧に所定の度合いを越える変動が生ずる負圧変動状態として、所定以上のブレーキ操作がなされた状態から所定以上の勾配でブレーキ操作が解除される際の負圧変動状態を検出する負圧変動状態検出手段と、
前記負圧変動状態における負圧センサの出力値が、前記所定の度合いの負圧変動に見合った変化を示さない場合に前記負圧センサの異常を判定する異常判定手段とを備える負圧センサの異常判定装置により達成される。
【0007】
請求項1及び3記載の発明において、マスタシリンダ圧やブレーキ踏力のようなブレーキ操作状態を表わす状態量に基づいて、バキュームブースタの負圧に所定の度合いを越える変動が生ずる負圧変動状態が検出される。かかる負圧変動状態における負圧センサの出力値が、所定の度合いの負圧変動に見合った変化を示さない場合に、負圧センサの異常が判定される。従って、請求項1及び3記載の発明によれば、負圧センサの異常が誤判定されるのを防止することができる。
【0008】
請求項1及び3記載の発明において、前記負圧変動状態は、所定以上のブレーキ操作がなされた状態から所定以上の勾配でブレーキ操作が解除される際の負圧変動状態であってもよい。
所定以上のブレーキ操作がなされた状態から所定以上の勾配でブレーキ操作が解除されると、バキュームブースタの負圧が一時的に消費されることで、負圧には所定の度合いを越える変動が生ずる。従って、かかる状態を負圧変動状態とすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施例であるバキュームブースタ用負圧センサの異常判定方法が適用されるバキュームブースタ10の構成図である。図1に示す如く、バキュームブースタ10は、フロントシェル12とリアシェル14とで構成されるハウジング16を備えている。ハウジング16の内部には、ダイアフラム18が配設されている。ハウジング16の内部空間は、ダイアフラム18により、図1にける左側の定圧室20と、図1における右側の変圧室22とに区分されている。
【0010】
フロントシェル12には、定圧室20に連通する負圧導入口24が設けられている。負圧導入口24には、内燃機関の吸気管のスロットル弁より下流側の部位に至る負圧供給管26が接続されている。従って、定圧室20には、吸気管に生じた負圧が供給される。以下、定圧室20内の負圧を、ブースタ負圧Pb と称す。
【0011】
定圧室20には負圧センサ28が配設されている。負圧センサ28はブースタ負圧Pb に応じた信号pPBを電子制御ユニット(以下、ECUと称す)30に向けて出力する。ECU30は負圧センサ28の出力信号pPBに基づいてブースタ負圧Pb を検出し、その検出結果を用いて、ブースタ負圧Pb の変化を監視すると共に負圧供給系の失陥を検知する。
【0012】
ダイアフラム18の中央部には、ブースタピストン32が嵌着されている。ブースタピストン32はその一端が定圧室20に露出するように、リアシェル14により摺動可能に保持されている。ブースタピストン32は、定圧室20に配設されたピストンリターンスプリング34により図1における右側へ付勢されている。ブースタピストン32には、その中央部を軸方向に貫通する内部空間36が形成されている。ブースタピストン32の内部空間36には、プランジャ38が、その軸方向に摺動可能に配設されている。
【0013】
内部空間36には、また、コントロールバルブ40が配設されている。コントロールバルブ40は、環状の弁体42と、弁体42を保持する円筒状の保持部44とを備えている。保持部44の図1における右端部は、内部空間36の内壁に固定されている。保持部44は、軸方向に弾性変形できるように構成されている。従って、弁体42は軸方向に所定の範囲で変位することができる。なお、内部空間36の弁体42より図1中左側の、プランジャ38を取り囲む空間を、以下、バルブ室46と称す。また、内部空間36のコントロールバルブ40より図1中右側の空間を、以下、大気室48と称す。大気室48には、その図1中右端部に設けられたエアクリーナ50を介して大気が導入される。
【0014】
コントロールバルブ40の弁体42の中央部には、オペレーティングロッド52が挿通されている。弁体42の内径は、オペレーティングロッド52の外径に比して大きく設定されている。このため、オペレーティングロッド52の外周と弁体42の内周との間には、適当なクリアランス(以下、このクリアランスを導通路54と称す)が形成されている。オペレーティングロッド52はその図1中左側端部においてプランジャ38に連結されていると共に、その図1中右側端部において図示しないブレーキペダルに連結されている。
【0015】
オペレーティングロッド52には、スプリング56の一端が掛止されている。スプリング56の他端は、コントロールバルブ40の保持部44に掛止されている。スプリング56は、オペレーティングロッド52及びプランジャ38を、ブースタピストン32に対してブレーキペダル側へ付勢している。従って、オペレーティングロッド52にペダル踏力が入力されていない場合、オペレーティングロッド52及びプランジャ38は、スプリング56が発する上記付勢力により、図1に示す基準位置に保持される。
【0016】
オペレーティングロッド52には、また、スプリング58の一端が掛止されている。スプリング58の他端は、コントロールバルブ40の弁体42に当接している。スプリング58の付勢力は、弁体42をプランジャ38側へ付勢する力として作用する。
プランジャ38は、弁体42と対向する部位に、環状の大気弁座60を備えている。弁体42が大気弁座60に着座した状態では、バルブ室46と大気室48とは互いに遮断される。また、弁体42が大気弁座60から離座すると、バルブ室46と大気室48とは、導通路54を介して互いに連通する。図1に示す基準位置では、弁体42はスプリング58により付勢されることにより大気弁座60に着座している。
【0017】
ブースタピストン32の内周の弁体42と対向する部位には、環状の真空弁座62が形成されている。真空弁座62は、図1に示す基準位置で、弁体42との間に所定のクリアランスが確保されるように形成されている。ブースタピストン32には、内部空間36の真空弁座62より外周側の部位に開口し、内部空間36と定圧室20とを連通させる負圧通路64が形成されている。負圧通路64は、弁体42が真空弁座62から離座した状態でバルブ室46と導通し、弁体42が真空弁座62に着座するとバルブ室46から遮断される。また、ブースタピストン32には、バルブ室46と変圧室22とを連通する変圧通路66が形成されている。
【0018】
ブースタピストン32は、その図1中左側端面において、リアクションディスク70に当接している。リアクションディスク70は、弾性材料で形成された円板状の部材である。リアクションディスク70の他端面は、出力ロッド72に当接している。出力ロッド72は、マスタシリンダ74の入力軸76に連結されている。ブレーキペダルに対してブレーキ踏力FP が作用すると、そのブレーキ踏力FP に応じた押圧力が出力ロッド72を介してマスタシリンダ74の入力軸76に伝達される。
【0019】
マスタシリンダ74は、その内部に液圧室78、80を備えている。液圧室78、80には、入力軸76に伝達された押圧力に応じた液圧、すなわち、マスタシリンダ圧PM/C が発生する。液圧室78には、マスタシリンダ圧PM/C に応じた信号を出力するマスタ圧センサ82が連通している。ECU30は、マスタ圧センサ82の出力信号に基づいてマスタシリンダ圧PM/C を検出する。一方、リアクションディスク70には、出力ロッド72を介してマスタシリンダ圧PM/C に応じた反力が入力される。
【0020】
リアクションディスク70は、その中央部において、プランジャ38と対向している。プランジャ38は、ブースタピストン32に対して図1に示す基準位置にある場合に、リアクションディスク70との間に所定のクリアランスが確保されるように形成されている。
ECU30には、ブレーキスイッチ84が接続されている。ブレーキスイッチ84はブレーキペダルが踏み込まれていない状態ではオフ状態をとり、ブレーキペダルが踏み込まれるとオン状態となるスイッチである。ECU30はブレーキスイッチ84の状態に基づいてブレーキ操作の有無を判別する。
【0021】
次に、バキュームブースタ10の動作について説明する。ブレーキペダル112に対してブレーキ踏力Fp が付与されていない場合、オペレーティングロッド52及びプランジャ38は、上記の如く、図1に示す基準位置に保持される。この場合、コントロールバルブ40の弁体42が大気弁座60に着座し、かつ、弁体42が真空弁座62から離座した状態、すなわち、変圧通路66が大気室48から遮断され、かつ、変圧通路66がバルブ室46を介して負圧通路64と連通した状態が形成される。
【0022】
かかる状況下では、定圧室20と変圧室22とが導通状態となる。従って、変圧室22の内圧は定圧室20の内圧(すなわち、ブースタ負圧Pb )に等しくなる。定圧室20の内圧と変圧室22の内圧とが等しい場合、ダイアフラム18にはブースタ負圧Pb に起因する力は何ら作用しない。このため、ブレーキ踏力FP が入力されていない場合は、出力ロッド72からマスタシリンダ74に対して、押圧力は伝達されない。
【0023】
ブレーキペダル112に対してブレーキ踏力FP が付与されると、オペレーティングロッド52は、ブースタピストン32に対して相対的に図1における左側へ変位する。オペレーティングロッド52の相対変位量が所定量に達すると、プランジャ38の端面がリアクションディスク70に当接すると共に、コントロールバルブ40の弁体42が真空弁座62に着座して、負圧通路64と変圧通路66とが遮断状態とされる。
【0024】
かかる状態から更にオペレーティングロッド52がリアクションディスク70に向けて押圧されると、オペレーティングロッド52及びプランジャ38は、リアクションディスク70の中央のプランジャ38に当接する部分(以下、単に中央部分と称す)を弾性変形させながら相対変位し続ける。このようにしてプランジャ38の相対変位量が増加すると、オペレーティングロッド52にはリアクションディスク70の弾性変形量に応じた反力、すなわち、ブレーキ踏力FP に応じた反力が伝達される。
【0025】
また、弁体42が真空弁座62に着座すると、以後、弁体42のブースタピストン32に対する相対変位は阻止される。このため、かかる状態が形成された後、更にオペレーティングロッド52がリアクションディスク70に向けて押圧されると、プランジャ38が弁体42に対して相対変位する。その結果、弁体42が大気弁座60から離座することで、変圧通路66と大気室48とが導通路54を介して導通する状態が形成される。
【0026】
かかる状態が形成されると、以後、導通路54、バルブ室46、及び変圧通路66を通って、変圧室22に大気が導入され始める。その結果、変圧室22の内圧は、定圧室20の内圧に比して高圧となる。このようにして、変圧室22と定圧室20との間に圧力差ΔPが生ずると、ダイアフラム18には、図1中左向きの押圧力(以下、助勢力FA と称す)が作用する。このようにして発生する助勢力FA は、ダイアフラム18からブースタピストン32に伝達され、更に、リアクションディスク70のブースタピストン32に当接する部分(以下、単に周辺部分と称す)に伝達される。
【0027】
ブースタピストン32からリアクションディスク70の周辺部分に助勢力FA が入力されると、リアクションディスク70の周辺部分には弾性変形が生ずる。この弾性変形は、ダイアフラム18の両側の圧力差ΔPが大きくなるにつれて、すなわち、変圧室22への大気の導入が継続されるにつれて、増大する。
リアクションディスク70の周辺部分における弾性変形量が増大する過程では、ブースタピストン32がプランジャ38に対して相対的に図1中左側へ変位する。そして、リアクションディスク70の周辺部分の弾性変形量が中央部分の弾性変形量とほぼ等しい値に達すると、弁体42が大気弁座60に着座することで、変圧室22への大気の導入が停止される。従って、ダイアフラム18の両側に生ずる圧力差ΔPは、リアクションディスク70の周辺部分の弾性変形量と中央部分の弾性変形量が等しくなった状態で保持される。
【0028】
リアクションディスク70の周辺部分の弾性変形量と中央部分の弾性変形量が等しい状態は、リアクションディスク70の周辺部分に作用する圧力P1 と中央部分に作用する圧力P2 とが一致する場合に形成される。上記の如く、圧力P2 はリアクションディスク70の周辺部分に助勢力FA が伝達することにより生じ、また、圧力P1 はリアクションディスク70の中央部分にブレーキ踏力FP が伝達されることにより生ずる。これらの圧力P1 、及びP2 は、リアクションディスク70の周辺部分の面積S1 、及び中央部分の面積S2 を用いて次式で表される。
【0029】
P1 =FA /S1
P2 =FP /S2
従って、上記の如くダイアフラム18の両側の圧力差ΔPが保持された状態(つまり、P1 =P2 が成立する状態)で、助勢力FA とブレーキ踏力FP との間には次式で表される関係が成立する。
【0030】
FA =(S1 /S2 )・FP
すなわち、バキュームブースタ10によれば、ブレーキ踏力FP に対して所定の倍力比を有する助勢力FA が発生する。そして、助勢力FA とブレーキ踏力FP との合力がマスタシリンダ74に伝達されることで、ブレーキ踏力FP に対して倍力された制動力が発生する。
【0031】
本実施例のシステムにおいて、上述の如く、ECU30は負圧センサ28の出力信号pPBに基づいてブースタ負圧PBを検出し、その検出値を用いて、ブースタ負圧Pb の変化を監視すると共に、負圧供給系の失陥を検知する。負圧センサ28に異常が生ずると、これらの機能を実現できないため、負圧センサ28の異常を正確に検知することが必要である。本実施例のシステムは、負圧センサ28の出力信号pPBが一定値に固定されてしまう異常(以下、固着異常と称す)の判定を高い信頼度で行い得る点に特徴を有している。
【0032】
上述の如く、ブレーキペダルが踏み込まれると、変圧室18が大気室48と導通し、変圧室18に大気圧が導入されることで助勢力FA が発生する。一方、ブレーキペダルの踏み込みが解除されると、再び、変圧室18が大気室48から遮断され、かつ、定圧室20と導通する状態となる。かかる状態が形成されると、定圧室20のブースタ負圧Pb が変圧室18に導入され始め、それに伴って、ブースタ負圧Pb は一時的に減少(絶対圧としては増加)する。この場合、ブレーキペダルの踏み込みが速やかに解除されるほど、ブースタ負圧Pb が急速に変圧室18に導入されるため、ブースタ負圧Pb の減少の度合いも大きくなる。
【0033】
図2は、ブレーキペダルが踏み込まれ、踏み込み量がほぼ一定に維持された後、踏み込みが解除された場合の、(A)ブースタ負圧Pb の時間変化、及び(B)マスタシリンダ圧PM/C の時間変化の一例を示す。図2の期間Iに示す如く、ブレーキペダルの踏み込み量が一定に維持されている状態、すなわち、マスタシリンダ圧PM/C が一定に維持されている状態では、定圧室20からブースタ負圧Pb が流出することがないため、ブースタ負圧Pb も一定に維持される。一方、ブレーキペダルの踏み込みがある程度以上の勾配で解除されると、定圧室20から変圧室22へ負圧が導入されるのに伴って、図2の期間IIに示す如く、ブースタ負圧Pb に一時的な低下が生ずる。負圧センサ28に固着異常が生じている場合は、かかる状況下でも、図2(A)に破線で示す如く、出力信号pPBは一定値に維持される。そこで、本実施例では、ブレーキペダルの踏み込み解除時に、出力信号pPBに所定値以上の変化が生じない場合に、負圧センサ28に固着異常が生じたと判定する。
【0034】
図3及び図4は、上記の機能を実現すべくECU30が実行するルーチンのフローチャートである。なお、図3及び図4に示すルーチンは一定時間間隔で起動される定時割り込みルーチンである。先ず、図3に示すルーチンについて説明する。
図3に示すルーチンは、ブレーキペダルの踏み込みの解除によりブースタ負圧Pb が変動している状態であるか否か、すなわち、出力信号pPBに基づいて負圧センサ28の固着異常の判定を行い得る状態であるか否かを判定すべく実行される。図3に示すルーチンが起動されると、先ず、ステップ100の処理が実行される。
【0035】
ステップ100では、マスタシリンダ圧PM/C が所定値A以上であるか否かが判別される。所定値Aは、マスタシリンダ圧PM/C がA以上に昇圧されるまでブレーキペダルが踏み込まれた後、踏み込みが解除された場合にブースタ負圧Pb に一定以上の変動が生ずるような値に設定されている。ステップ100において、PM/C ≧Aが成立すれば、次にステップ102において、踏み込みフラグFdがオン状態にセットされた後、ステップ104の処理が実行される。
【0036】
一方、ステップ100においてPM/C ≧Aが不成立であれば、次にステップ106において、踏み込みフラグFdがオン状態であるか否かが判別される。その結果、踏み込みフラグFdがオン状態であれば、これまでにマスタシリンダ圧PM/C が所定値Aを越えたことがあると判断されて、次にステップ104の処理が実行される。一方、ステップ106において踏み込みフラグFdがオン状態でなければ、今回のルーチンは終了される。
【0037】
ステップ104では、マスタシリンダ圧PM/C が所定値B以上であるか否かが判別される。ただし、所定値BはB<Aを満足するように設定された値である。ステップ104において、PM/C ≧Bが不成立であれば、マスタシリンダ圧PM/C は既に十分に低下し、ブースタ負圧Pb に生じた変動は収束してしまった可能性があると判断されて今回のルーチンは終了される。一方、ステップ106において、PM/C ≧Bが成立する場合は、次にステップ108の処理が実行される。
【0038】
ステップ108では、マスタシリンダ圧PM/C の時間変化率DPMC(=dPM/C /dt)が所定値C未満であるか否かが判別される。所定値Cは、マスタシリンダPM/C の時間変化率DPMCがC未満となるような速度でブレーキペダルの踏み込みが解除された場合にブースタ負圧Pb に一定以上の変動が生ずるような値に設定されている。なお、時間変化率DPMCはマスタシリンダ圧PM/C が低下する場合に負の値となるため、所定値Cも負の値として設定されている。ステップ108において、DPMC<Cが不成立であれば、今回のルーチンは終了される。一方、ステップ108において、DPMC<Cが成立する場合は、ブースタ負圧PBに一定以上の変動が生ずる程度に高い速度でブレーキペダルの踏み込みが解除されていると判断され、次にステップ110において、異常判定許可フラグFsがオン状態にセットされる。
【0039】
ステップ110に続くステップ112では、ブレーキ操作が行われていない状態が所定時間T以上継続しているか否かが判別される。その結果、肯定判別された場合は、ブースタ負圧Pb の変動は既に収束したと判断されて、次にステップ114において、異常判定許可フラグFsがオフ状態にリセットされた後、今回のルーチンは終了される。一方、ステップ112において否定判別された場合は、ステップ114の処理は実行されることなく今回のルーチンは終了される。
【0040】
次に、図4に示すルーチンについて説明する。図4に示すルーチンは、異常許可許可フラグFsがオン状態にセットされている状況下で負圧センサ28の固着異常を判定すべく実行される。図4に示すルーチンが起動されると、先ずステップ150の処理が実行される。
ステップ150では、固着異常フラグFcがオン状態であるか否かが判別される。固着異常フラグFcは、本ルーチンにおいて負圧センサ28の固着異常が検出された場合にオン状態にセットされるフラグである。ステップ150において、固着異常フラグFcがオン状態でなければ、次にステップ152の処理が実行される。
【0041】
ステップ152では、異常判定許可フラグFsがオン状態であるか否かが判別される。その結果、異常判定許可フラグFsがオン状態であれば、次にステップ154の処理が実行される。一方、ステップ152において、異常判定許可フラグFsがオン状態でなければ、今回のルーチンは終了される。
ステップ154では、異常判定許可フラグFsがオン状態とされた状況下での負圧センサ28の出力信号pPBの変化幅(すなわち、出力信号pPBの最大値と最小値の差)ΔpPB1が所定値D以下であるか否かが判別される。その結果、ΔpPB1≦Dが成立するならば、ブースタ負圧Pb に一定以上の変動が生じているにもかかわらず、出力信号pPBがそれに見合った変化を示していないと判断される。この場合、負圧センサ28に固着異常が生じている可能性があると判断されて、次にステップ156において、異常判定カウンタCTがインクリメントされると共に固着判定許可フラグFsがオフ状態にリセットされた後、ステップ158の処理が実行される。一方、ステップ154において、ΔpPB1≦Dが不成立であれば、負圧センサ28に固着異常は生じていないと判断されて、次にステップ160において、異常判定カウンタCTがゼロにクリアされると共に固着判定許可フラグFsがオフ状態にリセットされた後、今回のルーチンは終了される。
【0042】
ステップ158では、異常判定カウンタCTが所定値N(例えば5)以上であるか否かが判別される。その結果、CT≧Nが成立するならば、負圧センサ28に固着異常が生じていると判定されて、次にステップ162において、固着異常フラグFcがオン状態にセットされる。一方、ステップ160においてCT≧Nが不成立であれば、ステップ162の処理は実行されることなく今回のルーチンは終了される。
【0043】
上記ステップ150において、固着異常フラグFcがオン状態である場合は、次にステップ164の処理が実行される。ステップ164では、所定期間内における負圧センサ28の出力信号pPBの変化幅ΔpPB2が所定値E以上であるか否かが判別される。その結果、ΔpPB2≧Eが成立するならば、負圧センサ28の固着異常は解消されたと判断されて、次にステップ166において固着異常フラグFcがオフ状態にリセットされる。一方、ステップ164において、ΔpPB2≧Eが不成立であれば、固着異常フラグFcがオン状態に維持されたまま今回のルーチンは終了される。
【0044】
以上説明したように、図3及び図4に示すルーチンでは、負圧センサ28の固着異常が検出されると、固着異常フラグFcがオン状態にセットされる。従って、ECU30はこの固着異常フラグFcを監視し、オン状態となった場合に、警報の発生や、負圧センサ28の出力信号pPBに基づく各種処理の禁止等のフェール対策をとることができる。
【0045】
上述の如く、図3及び図4に示すルーチンによれば、ブースタ負圧Pb に一定以上の変動が生じている状況下で、負圧センサ28の出力信号pPBが所定値を越える変化を示さない場合に、負圧センサ28の固着異常が検出される。従って、本実施例によれば、負圧センサ28の固着異常の判定を誤りなく高い信頼度で行うことができる。
【0046】
また、固着異常が検出された後、出力信号pPBが所定値以上の変化を示した場合に固着異常フラグFcがオフ状態にリセットされる。従って、本実施例によれば、負圧センサ28の固着状態が解消した場合にも、その旨を確実に検知することができる。
なお、上記実施例においては、ECU30が図3に示すルーチンのステップ108及び110を実行することが特許請求の範囲に記載した負圧変動状態検出ステップ及び負圧変動状態検出手段に相当し、また、ECU30が図4に示すルーチンのステップ154、156、158、162を実行することが特許請求の範囲に記載した異常判定ステップ及び異常判定手段に相当している。
【0047】
【発明の効果】
上述の如く、本発明によれば、バキュームブースタ用負圧センサの異常を高い信頼度で判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である負圧センサの異常判定方法が適用されるバキュームブースタの構成図である。
【図2】図2(A)は、ブレーキペダルが踏み込まれた後、踏み込みが解除された場合のブースタ負圧Pb の時間変化の一例を示す図である。
図2(B)は、ブレーキペダルが踏み込まれた後、踏み込みが解除された場合のマスタシリンダ圧PM/C の時間変化の一例を示す図である。
【図3】本実施例において、ECUがブースタ負圧Pb に変動が生じた状態を判定すべく実行するルーチンのフローチャートである。
【図4】本実施例において、ECUが出力信号pPBに基づいて負圧センサの固着異常を判定すべく実行するルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
10 バキュームブースタ
28 負圧センサ
30 ECU
Claims (4)
- バキュームブースタの負圧を検出する負圧センサの異常を判定する負圧センサの異常判定方法であって、
マスタシリンダ圧やブレーキ踏力のようなブレーキ操作状態を表わす状態量に基づいて、前記バキュームブースタの負圧に所定の度合いを越える変動が生ずる負圧変動状態として、所定以上のブレーキ操作がなされた状態から所定以上の勾配でブレーキ操作が解除される際の負圧変動状態を検出する負圧変動状態検出ステップと、
前記負圧変動状態における負圧センサの出力値が、前記所定の度合いの負圧変動に見合った変化を示さない場合に前記負圧センサの異常を判定する異常判定ステップとを備えることを特徴とする負圧センサの異常判定方法。 - マスタシリンダ圧に基づいて、前記バキュームブースタの負圧に所定の度合いを越える変動が生ずる負圧変動状態を検出することを特徴とする請求項1記載の負圧センサの異常判定方法。
- バキュームブースタの負圧を検出する負圧センサの異常を判定する負圧センサの異常判定装置であって、
マスタシリンダ圧やブレーキ踏力のようなブレーキ操作状態を表わす状態量に基づいて、前記バキュームブースタの負圧に所定の度合いを越える変動が生ずる負圧変動状態として、所定以上のブレーキ操作がなされた状態から所定以上の勾配でブレーキ操作が解除される際の負圧変動状態を検出する負圧変動状態検出手段と、
前記負圧変動状態における負圧センサの出力値が、前記所定の度合いの負圧変動に見合った変化を示さない場合に前記負圧センサの異常を判定する異常判定手段とを備えることを特徴とする負圧センサの異常判定装置。 - マスタシリンダ圧に基づいて、前記バキュームブースタの負圧に所定の度合いを越える変動が生ずる負圧変動状態を検出することを特徴とする請求項3記載の負圧センサの異常判定装置。
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