JP4192352B2 - 操作力検出装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は操作力検出装置に関するものであり、特に、異常検出に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
操作力検出装置には、例えば、車両に設けられてブレーキペダルの踏力を検出する踏力検出装置がある。まだ、未公開であるが、本出願人の出願に係る特願平11−11494号の明細書に記載されている踏力検出装置はその一例である。この踏力検出装置はブレーキペダルに設けられ、ブレーキペダルが踏み込まれるのに伴ってオペレーティングロッドの反力がレバーを介して検出子に伝達され、踏力に応じた電気信号を出力する。
しかしながら、この踏力検出装置においては、踏力検出装置が異常な場合の対策は講じられていない。踏力検出装置の異常には、例えば、ブレーキペダルが踏み込まれていない状態における検出値のばらつきである零点ドリフトや、踏力に対する検出値の増大勾配の誤差であるゲイン誤差等がある。零点ドリフトの異常はブレーキペダルが踏み込まれてない状態において検出することができ、ゲイン誤差の異常はブレーキペダルが踏み込まれて検出値が得られれば、検出することができるが、いずれにしても上記明細書に記載の踏力検出装置においては異常検出等の異常対策が為されていない。異常の検出は、車両用以外のブレーキ装置の踏力を検出する装置、ブレーキ装置以外の装置に設けられた踏力検出装置、踏力検出装置以外に操作部材の操作を検出する装置において行われることが望ましい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果】
本発明は、以上の事情を背景とし、操作部材が操作されていなくても異常を検出することができる操作力検出装置を提供することを課題としてなされたものであり、本発明によって、下記各態様の操作力検出装置が得られる。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも本発明の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組合わせが以下の各項に記載のものに限定されると解釈されるべきではない。また、1つの項に複数の事項が記載されている場合、それら複数の事項を常に一緒に採用しなければならないわけではなく、一部の事項のみを取り出して採用することも可能である。
なお、下記 (3) 項が請求項1に相当し、 (4) 項が請求項2に、 (6) 項が請求項3に、 (9) 項が請求項4に、それぞれ相当する。
(1)操作部材に与えられる操作力を検出する操作力検出器と、
操作部材に操作力が与えられていない状態において操作力検出器に予荷重を与える予荷重装置と、
少なくとも操作部材に操作力が与えられていない時期に、操作力検出器の検出値と基準値との比較により操作力検出器の異常を検出する異常検出装置と
を含む操作力検出装置。
操作部材には、例えば、人の足によって踏込操作されるペダルや手によって操作されるレバー等がある。
操作力検出器は、例えば、ロードセル等、歪みゲージ(ストレンゲージ)を用いた荷重センサを含むものとされる。
操作部材に操作力が与えられていない状態において操作力検出器に予荷重を与えれば、実際に操作部材が操作されなくても、操作部材の操作によって予荷重に相当する操作力が与えられた場合と同様の検出値が得られ、この検出値と基準値とを比較することにより、操作部材に操作力が与えられなくても現れる異常も、操作力が与えられて現れる異常も検出することができる。それにより、例えば、操作部材の操作前に予め操作力検出器の異常が検出され、異常時には操作部材の操作を禁止したり、操作力検出器により検出された操作力に基づいて為される作動を禁止する等、種々の対策を講ずることが可能である。
(2)前記基準値が基準範囲で設定されている (1)項に記載の操作力検出装置。 基準値を範囲で設定すれば、操作力検出器の組付誤差等により生ずる検出値のばらつきによって異常が検出されることが回避される。
(3)前記基準範囲が、前記操作力検出器の許容零点ドリフトと許容ゲイン誤差との両方に基づいて設定された (2)項に記載の操作力検出装置。
許容零点ドリフトは、操作部材に操作力が与えられていない状態における検出値に許容されるばらつきであり、許容ゲイン誤差は、操作力に対する検出値の増大勾配に許容される誤差である。零点ドリフトは、操作部材に操作力が与えられても、与えられなくても生じ、いずれの状態においても検出することができる。また、ゲインは操作部材が操作されることにより生じ、ゲイン誤差は操作部材に操作力が与えられた状態において得られる検出値に含まれる。したがって、操作力検出器に予荷重を与え、実際には操作部材に操作力が与えられなくても、与えられたのと同様の状態が得られれば、検出値は、零点ドリフトが生ずれば零点ドリフトを含む値となり、ゲイン誤差が生ずればゲイン誤差を含む値となる。そして、基準範囲を許容零点ドリフトと許容ゲイン誤差との両方に基づいて設定すれば、操作力が与えられていない状態における検出値と基準範囲との比較により、零点ドリフトの異常による操作力検出器の異常,ゲイン誤差の異常による操作力検出器の異常を検出することができる。
(4)前記予荷重装置による予荷重が、前記許容ゲイン誤差に基づく許容偏差範囲が前記許容零点ドリフトに基づく許容零点ドリフト範囲と等しくなる大きさに設定され、前記基準範囲がそれら許容偏差範囲および許容零点ドリフト範囲と等しく設定された (3)項に記載の操作力検出装置。
本態様によれば、零点ドリフトの異常が生じても検出値が基準範囲を外れ、ゲイン誤差の異常が生じても検出値が基準範囲を外れ、それにより操作力検出器の異常が検出される。
(5)前記操作力検出器が、前記操作部材の操作力を操作対象装置に伝達する操作力伝達装置に対して並列に設けられた (1)項ないし (4)項のいずれか1つに記載の操作力検出装置。
本態様によれば、例えば、操作力検出器には、操作対象装置に伝達される操作力に対応する大きさであって、操作力より小さい力を作用させ、操作力として検出させることができ、操作力検出器の構成要素の剛性を低くすることができ、重量,コストの低減,小形化,寿命の向上等を図ることができる。
(6)前記操作部材が車両に設けられたブレーキペダルであり、そのブレーキペダルに検出レバーが相対回動可能に取り付けられ、その検出レバーに操作力伝達ロッドが相対回動可能に連結されるとともに、その検出レバーと前記ブレーキペダルとの間に前記操作力検出器が配設された (5)項に記載の操作力検出装置。
検出レバーの支点,力点,作用点の設定により、ブレーキペダルから操作力伝達ロッドに伝達される力より小さい力を操作力検出器に作用させることができる。
(7)前記操作力検出器が前記ブレーキペダルに取り付けられ、その操作力検出器の入力部に前記検出レバーの係合部が係合させられ、検出レバーとブレーキペダルとの間に、前記予荷重装置としてのばね部材が配設された (6)項に記載の操作力検出装置。
(8)前記操作力検出器が、操作部材の操作力を操作対象装置に伝達する操作力伝達装置に対して直列に設けられた (1)項ないし (4)項のいずれか1つに記載の操作力検出装置。
本態様によれば、操作力検出装置の構造を簡単にすることができる。特に、例えば、 (9)項に記載の操作力検出装置におけるように、操作力検出器が操作力伝達ロッドと直列に取り付けられるとともに、操作力伝達ロッドの途中に設けられる場合、操作力検出器を操作力伝達ロッドと一体に設けることにより、構造をより簡単にすることができる。
(9)前記操作部材が車両に設けられたブレーキペダルであり、そのブレーキペダルに操作力伝達ロッドが相対回動可能に連結されており、その操作力伝達ロッドと直列に前記操作力検出器が取り付けられた (8)項に記載の操作力検出装置。
操作力検出器は、操作力伝達ロッドの途中に設けられても、操作力伝達ロッドの一端とブレーキペダルとの間に設けられてもよい。
(10)前記操作力伝達ロッドが前記操作力を圧縮力として伝達するものであり、前記予荷重装置として、前記操作力検出器の両端部間に圧縮力を付与するばね部材が設けられた (9)項に記載の操作力検出装置。
【0004】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、車両用ブレーキ装置の踏力検出装置に適用した場合を例に取り、図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の車両用ブレーキ装置は、左,右の前輪10,12と左,右の後輪14,16とを備えた4輪自動車に搭載されている。このブレーキ装置において、ブレーキペダルの踏込みに基づいてマスタシリンダの加圧室に液圧を発生させ、ブレーキペダルの踏力をマスタシリンダとは別に発生させた液圧によって助勢する構成、ならびにアンチロック制御を行うための構成は、まだ、未公開であるが、本出願人の出願に係る特願平11−123604号の明細書に記載のブレーキ装置と同じであり、簡単に説明する。
【0005】
ブレーキ装置は、ブレーキペダル18を操作部材たるブレーキ操作部材として備えている。そのブレーキペダル18は、操作力伝達ロッドたるオペレーティングロッド20を介して、操作対象装置たるタンデム型のマスタシリンダ22に連結されている。マスタシリンダ22のハウジング24は有底円筒状をなし、ハウジング24内には、それぞれ直径が異なる3つの円筒穴26,28,30が直列にかつ同心に設けられ、最も直径が小さい円筒穴28に第1加圧ピストン32および第2加圧ピストン34が互いに直列であって、実質的に液密にかつ摺動可能に嵌合されている。第1,第2加圧ピストン32,34は有底円筒状をなし、前方にそれぞれ前方加圧室36,38が形成されており、各前方加圧室36,38内に配設された弾性部材としてのスプリング40,42により、図示の後退端位置に向かって付勢されている。
【0006】
ハウジング24の開口部には、閉塞部材44が実質的に液密に取り付けられ、スナップリング等の固定部材によりハウジング24に着脱可能に固定されてハウジング24の開口を閉塞している。閉塞部材44は、第1加圧ピストン32が当接させられることにより、第1加圧ピストン32の後退限度を規定する。また、第2加圧ピストン34の後退限度は、第1加圧ピストン32の後退限度の規定と、図示しない部材によるスプリング40の初期長さおよび初期荷重の規定との共同により規定されている。
【0007】
第1加圧ピストン32の後端面から後方へロッド46が延び出させられており、閉塞部材44を実質的に液密かつ摺動可能に貫通し、その突出端部に前記オペレーティングロッド20の一端部が回動可能に、かつロッド46に対して軸線方向に小距離相対移動可能に連結されている。ロッド46の突出端部にはヨーク状の連結部47が設けられ、連結部47の一対の側壁の間にオペレーティングロッド20の一端部が嵌合されるとともに、連結部47の一対の側壁およびオペレーティングロッド20の一端部に設けられた長穴(図示省略)を通って係合部材たるピン48が嵌合され、レーティングロッド20とロッド46とが連結されている。オペレーティングロッド20の他端部は、後述するように、ブレーキペダル18に回動可能に取り付けられており、ブレーキペダル18の踏込みによりオペレーティングロッド20が前進させられれば、第1,第2加圧ピストン32,34が前進させられ、前方加圧室36,38に液圧が発生させられる。
【0008】
上記第1加圧ピストン32,円筒穴30および閉塞部材44の間に、後方加圧室50が形成されている。この後方加圧室50に圧力が発生させられると、第1加圧ピストン32が前進する向きに加圧され、それにより、前方加圧室36に圧力が発生させられる。前方加圧室36に圧力が発生させられると、第2加圧ピストン34が前進する向きに加圧され、それにより前方加圧室38にも圧力が発生させられる。
【0009】
前方加圧室36,38はそれぞれ、ハウジング24に設けられた2個のリザーバ用ポート52および第1,第2加圧ピストン32,34にそれぞれ設けられた連通路54により、リザーバ58に連通させられる。加圧ピストン32,34が、後退端位置から小距離前進すれば、2個のリザーバ用ポート52が遮断され、それにより前方加圧室36,38が加圧ピストン32,34の前進により昇圧可能とされる。
【0010】
前方加圧室36は、ハウジング24に設けられたホイールシリンダ用ポート60および主通路62により、左,右前輪10,12の各回転をそれぞれ抑制する2個のブレーキ64,66を作動させるブレーキシリンダたるホイールシリンダ68,70に接続されている。主通路62は、基幹通路71および2本の分岐通路72を有し、各分岐通路72の先端にそれぞれホイールシリンダ68,70が接続されている。
【0011】
また、前方加圧室38は、ハウジング24に設けられたホイールシリンダ用ポート74および主通路76により、左,右後輪14,16の各回転をそれぞれ抑制する2個のブレーキ78,80を作動させるブレーキシリンダたるホイールシリンダ82,84に接続されている。主通路76は、基幹通路86および2本の分岐通路88を有し、各分岐通路88の先端にそれぞれホイールシリンダ82,84が接続されている。本実施形態のブレーキ装置は前後2系統式であるのである。
【0012】
本実施形態のブレーキ装置においては、アンチロック制御を行うべく、ホイールシリンダ68,70,82,84の各々について電磁弁装置90が設けられている。電磁弁装置90はそれぞれ、常開の電磁開閉弁である保持弁92および常閉の電磁開閉弁である減圧弁94を有し、これら保持弁92,減圧弁94の開閉の組合わせにより、ホイールシリンダ圧が増大,減少,保持させられる。ホイールシリンダ68,70,82,84から減圧弁94を経てリザーバ96に排出された作動液は、ポンプモータ98により駆動されるABS用ポンプ100により汲み上げられて主通路62,76に戻される。符号102はダンパ室、符号104はオリフィスであり、それらによりABS用ポンプ100の脈動が軽減される。アンチロック制御は、本発明とは直接関係がないため、更なる説明は省略する。
【0013】
前記後方加圧室50は、ハウジング24に設けられた増圧用ポート122によって常時増圧装置124に連通させられている。増圧装置124は、ギヤ式の増圧用ポンプ126と、その増圧用ポンプ126を駆動するポンプモータ128と、圧力制御弁130とを含むように構成されている。増圧用ポンプ126は、リザーバ58の作動液を汲み上げて後方加圧室50に圧送する。増圧用ポンプ126の吐出側には、作動液が増圧用ポンプ126に逆流することを防止する逆止弁132が設けられている。
【0014】
増圧装置124には、さらに、増圧用ポンプ126および圧力制御弁130をバイパスするバイパス通路134が設けられ、バイパス通路134の途中には逆止弁136が設けられている。逆止弁136は、リザーバ58から後方加圧室50に向かう作動液の流れは常時許容する一方、その逆向きの流れは常時阻止する。ブレーキペダル18が素早く踏み込まれたとき、リザーバ58内の作動液が逆止弁136をも通って後方加圧室50に供給され、負圧の発生が防止される。
【0015】
図2に圧力制御弁130を拡大して示す。圧力制御弁130は、後方加圧室50の液圧を電磁的に制御する。圧力制御弁130は、図示しないハウジングと、後方加圧室50とリザーバ58との間における作動液の流通状態を制御する弁子140およびそれが着座すべき弁座142と、それら弁子140および弁座142の相対移動を制御する磁気力を発生させるソレノイド144とを有している。
【0016】
ソレノイド144が励磁されない非作用状態(OFF状態)では、スプリング146の弾性力によって弁子140が弁座142から離間させられ、それにより、後方加圧室50とリザーバ58との間における双方向の作動液の流れが許容される。その結果、後方加圧室50に対する作動液の流入および流出が許容される。このように圧力制御弁130は常開弁である。
【0017】
それに対し、ソレノイド144が励磁される作用状態(ON状態)では、ソレノイド144の磁気力によりアーマチュア148が吸引され、弁子140が弁座142に着座させられる。後方加圧室50の液圧が小さい間は、圧力制御弁130は閉じているが、後方加圧室50の液圧が増大し、ソレノイド144の磁気力に基づくソレノイド吸引力F1 が、後方加圧室50の液圧に基づく力F2 とスプリング146の弾性力F3 との和より小さくなれば、弁子140が弁座142から離間し、増圧用ポンプ126からの作動液がリザーバ58に逃がされ、後方加圧室50の液圧のそれ以上の増加が阻止される。後方加圧室50には、スプリング146の弾性力F3 を無視すれば、ソレノイド吸引力F1 に応じてリニアに増加する液圧が発生させられる。
【0018】
圧力制御弁130は、後方加圧室50にブレーキペダル18の踏力に応じた液圧が発生させられるように制御される。ブレーキペダル18の踏力は、踏力検出器150により検出され、検出された踏力に基づいて後方加圧室50を加圧する目標加圧量が決定される。目標加圧量は、前方加圧室36,38に発生させられる液圧が、図8に示すように、マスタシリンダ圧が、ブレーキペダル18の踏込みのみにより発生させられる液圧より高くなるように設定される。図8において踏力とマスタシリンダ圧との関係を示す2本の線のうち、上側の線が、後方加圧室50に液圧が発生させられた場合であり、下側の線が、ブレーキペダル18の踏込みのみによりマスタシリンダ圧が発生させられた場合である。上側の線が踏力が倍力された場合であり、下側の線が踏力が倍力されない場合である。ブレーキペダル18の踏力が増圧装置124によって後方加圧室50に発生させられる液圧に基づいて助勢(倍力)されるのであり、目標加圧量に応じて圧力制御弁130のソレノイド144に供給すべき電流値が決定され、ソレノイド144に駆動電流が供給される。なお、主通路62の基幹通路71にはマスタシリンダ圧センサ152が設けられ、前記前方加圧室36からホイールシリンダ68,70に供給される液圧であって、ブレーキペダル18の踏力の助勢に応じて発生させられた液圧が検出される。
【0019】
踏力検出器150を説明する。
踏力検出器150は、前記ブレーキペダル18に取り付けられている。ブレーキペダル18は、図3に示すように、長手形状をなし、ほぼ上下方向に配設され、その長手方向の一端部である上端部において軸162により、図示しない車体に回動可能に取り付けられ、他端部である下端部にはペダルパッド164が設けられており、運転者が足を載せて踏込操作する。
【0020】
ブレーキペダル18は、図示しない付勢手段の一種である弾性部材たるリターンスプリングにより、非踏込位置に向かって付勢されている。ブレーキペダル18の非操作位置である非踏込位置は、図1に示すように、車体に設けられたストッパ166により規定される。ブレーキペダル18の踏込みは、ブレーキスイッチ168により検出される。ブレーキスイッチ168は、ブレーキペダル18が踏み込まれた状態と、踏み込まれていない状態とで異なる信号を出力するように構成されており、本実施形態においては、ブレーキペダル18が踏み込まれた状態ではON信号を発し、非踏込位置に復帰した状態ではOFF信号を発するように構成されている。また、ブレーキペダル18の踏込みがブレーキスイッチ168により検出されれば、連動してストップランプ170(図10参照)が点灯させられ、車両の制動が報知される。
【0021】
ブレーキペダル18の長手方向の中間部には、前記オペレーティングロッド20の前記第1加圧ピストン32のロッド46に連結された側とは反対側の端部が回動可能に連結されている。ブレーキペダル18には、図5に示すように、穴186が、ブレーキペダル18の回動軸線に平行な方向に貫通して形成されており、穴186にスリーブ188が隙間を残して嵌合されるとともに、スリーブ188には、軸190が軸受192,194を介して相対回動可能に嵌合されている。軸受192,194はすべり軸受である。軸190のスリーブ188から突出した両端部にそれぞれ、オペレーティングロッド20の、前記第1加圧ピストン32に係合させられた側とは反対側の端部に設けられたヨーク状の連結部196の一対の腕部198,200が嵌合されており、図示しない係止部材たる割りピンによって軸190からの抜出しを防止されている。オペレーティングロッド20は軸190のまわりに回動可能である。オペレーティングロッド20はヨーク状の連結部196において軸190に連結されているため、オペレーティングロッド20が移動するとき、軸190がオペレーティングロッド20に対して傾くことがない。
【0022】
ブレーキペダル18のオペレーティングロッド20が連結された部分の下側には、別の軸204が軸受206,208を介して、ブレーキペダル18の回動軸線に平行な軸線まわりに回動可能に嵌合されている。軸受206,208はすべり軸受である。軸204の両端部はブレーキペダル18から突出させられており、一方の突出端部には、図3および図5に示すように、レバー210の一端部が嵌合されている。レバー210の他端部は前記スリーブ188に圧入され、固定されている。また、軸204の他方の突出端部には、検出レバー212の一端部が嵌合されるとともに、かしめにより固定されている。検出レバー212はブレーキペダル18に、軸204の軸線まわりに回動可能に取り付けられているのであり、軸204はブレーキペダル18に軸受206,208を介して支持されていて傾くことはなく、検出レバー212はブレーキペダル18に対して傾くことなく回動することができる。前記穴186は、検出レバー212のブレーキペダル18に対する相対回動を許容する大きさを有する。
【0023】
検出レバー212は、図4および図5に示すように、スリーブ188に嵌合されるとともに軸162側へ延び出させられており、その延出端部には、図3および図4に示すように、ブレーキペダル18の踏込方向(図3においては時計方向)において下流側の端面に対向するとともに、ブレーキペダル18を超えてレバー210側へ突出する係合部たる当接部214が設けられている。スリーブ188は、前述のように、軸受192,194を介して軸190を回動可能に支持し、軸190にオペレーティングロッド20が嵌合されており、検出レバー212にオペレーティングロッド20が回動可能に連結されているのである。検出レバー212は、図3に示すように、ブレーキペダル18との間に配設された弾性部材の一種であるばね部材たる引張コイルスプリング216(以下、スプリング216と略称する)により、当接部214がブレーキペダル18に接近する向きに付勢されている。
【0024】
ブレーキペダル18の踏込方向に平行な両側面の一方であって、レバー210が取り付けられた側の面に、前記踏力検出器150が設けられている。踏力検出器150の本体たるケース220(図6参照)はブレーキペダル18に固定されている。前記スプリング216の一端部はケース220に係止され、ケース220を介してブレーキペダル18と検出レバー212との間に配設されている。ケース220には、図6に示すように、検出子222が保持されている。検出子222はケース220により、その軸方向が、ブレーキペダル18の回動軌跡に対する接線方向であって、ブレーキペダル18の長手方向と直角な方向に平行となる姿勢で、軸方向に移動可能に保持されている。検出子222は断面形状が円形の棒状をなし、一端部に半球状の係合部たる当接部224が設けられ、他端部には、検出子222より大径の円板状をなすスプリングリテーナ226が同心にかつ一体に設けられている。スプリングリテーナ226はケース220内に収容され、検出子222はケース220の、ブレーキペダル18の踏込方向において下流側の側壁228に軸方向に相対移動可能に嵌合され、当接部224はケース220から外へ、ブレーキペダル18の踏込方向において下流側へ突出させられている。
【0025】
前記検出レバー212の当接部214は、スプリング216の付勢により、検出子222の当接部224に当接により係合させられており、ブレーキペダル18から踏力検出器150を介して検出レバー212にブレーキペダル18の踏力が伝達される。検出レバー212は、中間部にオペレーティングロッド20が連結され、自由端部に検出子222が当接させられているのであり、検出レバー212のブレーキペダル18への取付位置とオペレーティングロッド20との連結位置との距離が、検出レバー212のブレーキペダル18への取付位置と検出子222との係合位置との距離より小さくされている。そのため、踏力検出器150には踏力の一部が伝達され、踏力検出器150に加えられる荷重が小さくて済む。オペレーティングロッド20がブレーキペダル18の操作力である踏力をマスタシリンダ20に伝達する操作力伝達装置たる踏力伝達装置を構成し、踏力検出器150は、ブレーキペダル18と前記検出レバー212との間に配設され、オペレーティングロッド20により構成される踏力伝達装置と並列に設けられているのである。
【0026】
ケース220内には、図6に示すように、別のスプリングリテーナ230がスプリングリテーナ226に接近,離間可能に収容されるとともに、それらスプリングリテーナ226,230の間に弾性部材の一種であるばね部材たる圧縮コイルスプリング232(以下、スプリング232と略称する)が保持されている。2つのスプリングリテーナ226,230にはそれぞれ、第1係合部材234,第2係合部材236が着脱可能に固定され、互いに接近,離間可能に、かつ離脱不能に係合させられており、スプリングリテーナ226,230を一定距離以上離間不能に係合させている。
【0027】
第1係合部材234は有底円筒状をなし、その開口部において、スプリングリテーナ226に同心に、かつ、固定手段の一種である螺合により着脱可能に固定されている。また、第2係合部材236は断面形状が円形をなし、スプリングリテーナ230に同心に、かつ、螺合により着脱可能に固定されている。第2係合部材236のスプリングリテーナ230からの突出部は、第1係合部材234内に、スプリングリテーナ226,230の接近,離間方向に相対移動可能に嵌合されるとともに、大径の係合部238が第1係合部材234の底部240に係合することにより、第1係合部材234からの抜出しが阻止されている。
【0028】
スプリングリテーナ226,230は一定距離以上離間不能に係合させられているのであり、この状態、すなわちブレーキペダル18が踏み込まれておらず、踏力検出器150が非作動状態にある状態においてスプリング232は、殆ど予圧縮されず、スプリング232のがたつきを防止する程度に予圧縮された状態でスプリングリテーナ226,230により保持されている。また、踏力検出器150の非作動状態におけるスプリングリテーナ226と第2係合部材236(係合部238)との距離は、ブレーキペダル18が通常の制動時(常用ブレーキ時)には為されないほど、大きく踏み込まれた場合に、スプリングリテーナ226が第2係合部材236に当接する大きさに設定されている。第1係合部材234の底部240とスプリングリテーナ230との距離は、スプリングリテーナ226と第2係合部材236の係合部238との距離より大きくされている。
【0029】
ケース220内にはまた、スプリングリテーナ230に対してスプリングリテーナ226およびスプリング232とは反対側に、荷重センサ250全体が収容されている。荷重センサ250は、荷重検出部材たる板ばね252および歪みゲージ254を含む。板ばね252は長手形状をなし、その長手方向の中央部において板ばね保持部材256により保持されている。板ばね252は、ケース220内に検出子222の軸方向、すなわち検出子222からの荷重の伝達方向に直角に配設されており、荷重に応じて弾性変形する。板ばね252の板ばね保持部材256から延び出させられた両端部はそれぞれ、板ばね保持部材258により保持されている。
【0030】
2つの板ばね保持部材258はそれぞれ、ケース220内に設けられた2つの凹部272に、板ばね252の長手方向に移動可能に、かつ検出子222の移動方向には移動不能に嵌合されている。それにより、荷重センサ250のケース220に対する検出子222の移動方向の位置が決められている。ケース220の凹部272を構成する側壁のうち、板ばね252の長手方向に平行な側壁274の両端縁から直角に延びる一対の側壁276と、一対の板ばね保持部材258との間に設けられた隙間278の分だけ、一対の板ばね保持部材258のケース220に対する検出子222の移動方向と直角な方向の移動が許容され、板ばね252とケース220との熱膨張による変形量の差が吸収される。したがって、隙間278はごく僅かでよく、図6には誇張して図示されており、検出子222は、自身の側壁228への嵌合と、一対の板ばね保持部材258の凹部272への嵌合とによって傾きを決められ、こじることなく、軸方向に移動する。
【0031】
板ばね252の板ばね保持部材256に保持された部分と、一対の板ばね保持部材258に固定された部分との間の部分にはそれぞれ、検出子222の移動方向に隔たった両側面にそれぞれ、前記歪みゲージ254が貼り付けられている。これら4枚の歪みゲージ254はホイートストンブリッジ回路(図示省略)を構成しており、そのブリッジ回路の検出端子がアンプ282に接続され、図示しない信号処理回路を経て後述する電子制御ユニットに検出信号が供給される。
【0032】
板ばね252の長手方向の中央部を保持する前記板ばね保持部材256には係合部たる凹部286が設けられ、前記第2係合部材236のスプリングリテーナ230から突出させられた突部288が嵌合されている。前記検出子222はスプリング232を介して板ばね252の中央部に機械的に連携させられているのである。したがって、検出レバー212から検出子222に荷重が加えられれば、検出子222は移動させられてスプリング232に荷重を伝達し、スプリング232は検出子222からの荷重を荷重センサ250に向かって伝達し、板ばね保持部材256を介して板ばね252に荷重を加える。検出子222が踏力検出器150の入力部を構成し、板ばね保持部材256の第2係合部材236が嵌合された部分が、荷重センサ250の入力部を構成しているのである。板ばね252の両端部は板ばね保持部材258に固定されて、ケース220により、検出子222の移動方向には相対移動不能に保持されているが、板ばね252の長手方向の中央部を保持する板ばね保持部材256は、ケース220に対して検出子222の移動方向に相対移動可能であり、板ばね252が撓んで荷重が検出される。
【0033】
ブレーキペダル18が踏み込まれておらず、踏力検出器150がブレーキペダル18の踏力を検出しない状態では、スプリング216の付勢により、検出レバー212の当接部214が検出子222に当接させられ、突部288が凹部286に嵌合した状態に保たれているが、スプリング216の有無に関係なく、スプリングリテーナ226とケース220との間には常時隙間がある。
【0034】
なお、検出レバー212のブレーキペダル18に接近する向きの回動の限度は、軸190がスリーブ188を介してブレーキペダル18の穴186のペダルパッド164側(ブレーキペダル18の踏込方向において上流側)の端部に当接することにより規定され、それにより検出子222の、スプリング232へ荷重を伝達する向きにおけるケース220に対する相対移動の限度が規定される。
【0035】
このように構成された踏力検出器150には、ブレーキペダル18が踏み込まれていない状態においてスプリング216によって予荷重が与えられている。スプリング216が予荷重装置を構成しているのである。この予荷重の大きさは、図7に示すように、ブレーキペダル18が踏み込まれておらず、踏力0の状態において、荷重センサ250の許容ゲイン誤差に基づく許容偏差範囲が許容零点ドリフトに基づく許容零点ドリフト範囲と等しくなる大きさに設定され、踏力検出器150の異常を検出するための基準範囲がそれら許容零点ドリフト範囲および許容偏差範囲と等しく設定されている。
【0036】
本実施形態において踏力検出器150は、ブレーキペダル18に組み付けられる前に、零点(踏力検出器150に荷重が加えられていない状態において得られる検出値)およびゲイン(荷重に対して得られる検出値の増大勾配)の調整が行われ、それらは予め設定された大きさに調整されている。そのため、踏力検出器150がブレーキペダル18に組み付けられた当初は、検出値は設定された零点(検出値)から、設定された勾配で増大させられるが、時間がたつにつれて経時変化により零点にドリフトが生じ、あるいはゲインに誤差が生ずる。これら零点ドリフトおよびゲイン誤差にはそれぞれ許容される零点ドリフトおよびゲイン誤差、すなわち許容零点ドリフトおよび許容ゲイン誤差があり、許容零点ドリフトに基づいて設定される許容範囲が許容零点ドリフト範囲、許容ゲイン誤差に基づいて設定される許容範囲が許容偏差範囲である。
【0037】
零点ドリフトは、踏力検出器150が踏力を検出しない状態においても検出する状態においても生ずるが、ゲイン誤差は、ブレーキペダル18が踏み込まれ、踏力検出器150が踏力を検出する状態で生ずる。したがって、ブレーキペダル18が踏み込まれていない状態においてスプリング216により踏力検出器150に予荷重を与えれば、ブレーキペダル18が踏み込まれなくても、予荷重に対応する踏力が加えられたのと同様の状態が得られ、零点ドリフトがあれば、それを含んだ検出値が得られ、ゲイン誤差があれば、それを含んだ検出値が得られる。そして、スプリング216の予荷重を、ブレーキペダル18が踏み込まれていない状態において許容零点ドリフト範囲と許容偏差範囲とが等しくなる大きさに設定し、踏力検出器150の異常検出のための基準範囲をこれら範囲と等しくなる大きさに設定すれば、零点ドリフトが異常であっても、ゲイン誤差が異常であっても、検出値が基準範囲から外れることとなり、どちらの異常が生じても踏力検出器150の異常を検出することができる。この基準範囲を規定する下限値および上限値は、踏力検出器150の零点およびゲインの調整時に取得され、これら下限値および上限値を用いて踏力検出器の異常検出が行われる。
【0038】
なお、本実施形態の踏力検出器150においては、零点およびゲインが予め調整されているため、検出値をそのまま踏力として扱うことができる。また、踏力検出器150は、踏力0の状態において予荷重を与えられていて、ブレーキペダル18が踏み込まれていない状態において予荷重に対応する大きさの検出信号を出力するため、後述する電子制御ユニットにおいては、ブレーキペダル18が踏み込まれていない状態における荷重センサ250の検出値を踏力0として制御が行われるようにされる。
【0039】
ブレーキ装置は、図10に示すように、電子制御ユニット300(以下、ECU300と称する)を備えている。ECU300は、PU,ROM,RAM,それらを接続するバス,入力インタフェースおよび出力回路インタフェースを含むコンピュータを主体とするものであり、イグニッションスイッチである第1電源スイッチ304(以下、イグニッションスイッチ304と称する)がONにされれば、電源306が接続されて電流が供給される。ECU300には、前記マスタシリンダ圧センサ152,ブレーキスイッチ168,荷重センサ250,車輪速センサ308,第2電源スイッチ310等が接続されている。車輪速センサ308は、左,右の各前輪10,12および各後輪14,16の各々について設けられ、各輪の車輪速を規定する車輪速信号を出力する。前記ブレーキランプ170は、ブレーキスイッチ168がブレーキペダル18の踏込みを検出し、ECU300にON信号を供給するのに伴って点灯させられる。また、第2電源スイッチ310は、ブレーキスイッチ168のON,OFFと機械的に連動して接続,遮断され、ブレーキペダル18が踏み込まれてブレーキスイッチ168がECU300にON信号を出力するとき、電源306をECU300に接続する。
【0040】
ECU300は、前記電磁弁装置90,ポンプモータ98,128,圧力制御弁130等のアクチュエータを駆動回路314を介して制御する。電磁弁装置90について制御されるのは、正確には、4輪の各々について設けられた保持弁92,減圧弁94の各ソレノイドであり、圧力制御弁130についてはソレノイド144であり、ECU300は、それらソレノイド等を駆動する駆動回路314に駆動信号を出力する。また、ECU300は、電源306と電磁弁装置90等との接続,遮断の切換えを行うリレー312の開閉を制御する。
【0041】
ECU300のコンピュータのROMには、図11にフローチャートで表すメインルーチン,図12にフローチャートで表す踏力検出器異常検出ルーチン,図13にフローチャートで表すブレーキスイッチ断線検出ルーチン,図14にフローチャートで表す助勢機能失陥検出ルーチン,図15にフローチャートで表す助勢制御ルーチン、図示しないアンチロック制御ルーチン等、種々のルーチンが記憶されている。さらに、RAMには、図示は省略するが、上記フローチャートを実行するためのフラグ,カウンタ等が設けられている。
【0042】
車輪の回転を抑制すべく、運転者によってブレーキペダル18が踏み込まれれば、踏力は、軸204から検出レバー212およびオペレーティングロッド20に伝達されるとともに、踏力検出器150を介して検出レバー212およびオペレーティングロッド20に伝達され、オペレーティングロッド20が前進させられる。それに伴ってオペレーティングロッド20からの反力により、検出レバー212は軸204の軸線まわりに当接部214がブレーキペダル18に接近する向きに回動させられ、検出子222に荷重を加える。
【0043】
検出子222に荷重が加えられれば、検出子222は殆どすぐにスプリング232を圧縮しつつ移動して板ばね252に荷重を伝達する。それにより板ばね252が撓み、その撓み量に応じた電気信号が荷重センサ250から電子制御ユニット300に供給される。踏力に対応する信号がECU300に供給されるのである。ブレーキペダル18の踏込ストロークが、スプリングリテーナ226が第2係合部材236に当接するほど大きければ、スプリングリテーナ226は第2係合部材236に当接し、直接荷重を伝達する。そのため、図9に示すように、当接前は、当接後よりも、検出子222の移動量の増加に対する荷重センサ250の検出値の増加が小さくなる。踏込ストロークの増分に対する踏力検出値の増分の比である踏力勾配が小さく、踏込ストロークの変化に対して検出値が緩やかに変化するのである。常用ブレーキ範囲では、スプリングリテーナ226は第2係合部材236に当接するに至らず、ブレーキペダル18の踏込ストロークの加減によるホイールシリンダ液圧(すなわちブレーキの効き)の制御を容易に行うことができる。
【0044】
このように踏力検出器150により検出されたブレーキペダル18の踏力に基づいて、前述のように圧力制御弁130が制御され、後方加圧室50が加圧されて踏力が助勢される。また、ブレーキペダル18の踏込みにより、ブレーキスイッチ168がON信号を出力するとともに、ブレーキランプ170が点灯させられる。ブレーキペダル18の踏込みが解除されれば、ブレーキペダル18は図示しないリターンスプリングの付勢により非踏込位置へ戻される。この際、前記オペレーティングロッド20とロッド46とを連結するピン48は、オペレーティングロッド20に設けられた長穴の長手方向の中間部に位置し、踏力検出器150はスプリング216によって設定された予荷重を与えられた状態に戻る。前記ストッパ166は位置調節可能とされ、ブレーキペダル18が非踏込位置に位置する状態でピン48が長穴の長手方向の中間部に位置するように位置を調節されている。
【0045】
本ブレーキ装置においては、踏力検出器150の異常検出、ブレーキスイッチ168の断線検出,助勢機能の失陥検出,助勢制御が行われる。以下、それぞれを図11ないし図15に示すフローチャートに基づいて説明する。
メインルーチンを説明する。このルーチンは、車両の電源が投入された状態で繰返し実行される。電源は、イグニッションスイッチ304がON状態にされることにより投入されるとともに、運転者によりブレーキペダル18が踏み込まれ、ブレーキスイッチ168がONになるとともに、第2電源スイッチ310がON状態になることによっても投入される。まず、ステップ1(以下、S1と略記する。他のステップについても同じ。)においてフラグのリセットや、リレー312を接続状態(閉状態)とし、電源306からポンプモータ98等に電流が供給される状態とする等の初期設定が行われる。なお、フラグF1 ,F2 ,F4 ,F6 はリセットされるが、フラグF5 およびカウンタはリセットされず、そのままの状態に保たれる。
【0046】
初期設定の後、S2,S3,S4においてそれぞれ、ブレーキスイッチ断線検出,助勢機能失陥検出,助勢制御が行われる。そして、S5においてブレーキペダル18が踏み込まれたか否かの判定が行われる。この判定は、ブレーキスイッチ168の出力信号に基づいて行われ、ブレーキペダル18が踏み込まれていれば、S5の判定結果はYESになってS9が実行され、フラグF1 がリセットされる。フラグF1 は、セットにより、踏力検出器150の異常検出が行われたことを記憶する。S9の実行後、S10が実行され、その他の処理、例えばアンチロック制御が行われる。
【0047】
ブレーキペダル18が踏み込まれていなければS5の判定結果はNOになってS6が実行され、フラグF1 がセットされているか否かの判定が行われる。フラグF1 は初期設定においてリセットされており、踏力検出器150の異常検出が行われていなければリセット状態にあり、S6の判定結果はNOになってS7が実行され、設定時間が経過したか否かの判定が行われる。ブレーキペダル18が踏み込まれていない状態が設定時間継続したか否かの判定が行われるのである。この判定は、例えば、コンピュータのPUに設けられたタイマを使用して行われる。ブレーキペダル18が踏み込まれていない状態が設定時間継続すれば、S7の判定結果はYESになってS8が実行され、踏力検出器150の異常検出が行われる。踏力検出器150の異常検出は、ブレーキペダル18が踏み込まれていない状態で行われるのである。ブレーキスイッチ168の信号がOFFになっても直ちには、異常検出は行われないため、ほぼ確実にブレーキペダル18が踏み込まれていない状態において異常検出を行うことができる。例えば、運転者 ブレーキペダル18の踏込みを緩め、ブレーキペダル18が非踏込位置へ戻ってもなお、足をブレーキパッド164に載せていることがあり、その際の足の動きによるブレーキペダル18の回動により、ブレーキスイッチ168はONにならなくても、踏力検出器150が踏力を検出することがあり得る。上記設定時間は、このような場合を考慮して設定され、ほぼ確実に踏力0の状態(踏力検出器150が踏力を検出しない状態)で踏力検出器150の異常検出が行われるようにされている。なお、後述するように、踏力検出器150の異常検出は、電源が投入されている間、ブレーキペダル18の踏込みが解除される毎に行われるため、例えば、運転者がブレーキパッド164に足を載せていて、それによる検出値によって踏力検出器150が異常であるとされるなど、異常が誤って検出されることがあっても、再度の検出により正常であるとされる。以下、図12に示す踏力検出器異常検出ルーチンに基づいて、踏力検出器150の異常検出を説明する。
【0048】
踏力検出器異常検出ルーチンにおいては、まず、S11において、ブレーキペダル18が踏み込まれているか否かの判定が行われる。異常検出が行われる際にブレーキペダル18が踏み込まれていないことの確認が行われるのである。ブレーキペダル18が踏み込まれていれば、S11の判定結果はYESになってルーチンの実行は終了する。ブレーキペダル18が踏み込まれていなければ、S11の判定結果はNOになってS12が実行され、フラグF1 がセットされる。ブレーキペダル18が踏み込まれておらず、踏力検出器150の異常検出が行われることが記憶されるのである。
【0049】
次いで、S13が実行され、踏力検出器150の検出信号に基づいて得られる検出値が読み込まれた後、S14において、読み込まれた検出値が前記基準範囲内にあるか否かの判定が行われる。検出値が基準範囲の下限値より大きく、かつ、上限値より小さいか否かの判定が行われるのである。検出値が基準範囲内にあれば、零点ドリフトもゲイン誤差もそれぞれ許容零点ドリフト範囲内,許容偏差範囲内にあり、踏力検出器150は異常ではなく、S14の判定結果はYESになってS15が実行され、フラグF2 がリセットされるとともに、異常報知が解除される。フラグF2 はセットにより、踏力検出器150の異常を記憶する。また、踏力検出器150の異常は、例えば、報知手段の一種であるランプの点灯により報知されるが、その報知が解除され、ランプが消灯されるのである。
【0050】
それに対し、零点ドリフトが許容零点ドリフト範囲から外れていれば、検出値は基準範囲から外れ、すなわち基準範囲の下限値以下となり、あるいは上限値以上となり、S14の判定結果はNOになってS16が実行され、フラグF2 がセットされるとともに、ランプの点灯により踏力検出器150の異常が報知される。ゲイン誤差が許容偏差範囲から外れている場合も同様である。フラグF2 がセットされることにより、本ブレーキ装置において踏力検出器150の検出値に基づいて行われる制御、例えば踏力の助勢制御が行われないこととなる。助勢制御ルーチンにおいては、後述するように、フラグF2 がセットされているか否かにより、踏力検出器150が異常であるか否かを判定し、異常であれば、踏力の助勢制御を行わないようにされており、フラグF2 がセットされていれば、助勢制御が行われないのである。それにより、制動は、ブレーキペダル18の踏込みのみにより前方加圧室36,38に発生させられた液圧により為されることとなり、踏力の異常な検出値に基づいて助勢制御が行われることが回避される。
【0051】
フラグF1 のセットによって踏力検出器150の異常検出が行われたことが記憶されるため、踏力検出器150が異常であっても正常であっても、なおブレーキペダル18が踏み込まれないままであれば、次にS5が実行されるとき、その判定結果がNO、S6の判定結果がYESになって踏力検出器150の異常検出は行われない。本実施形態において踏力検出器150の異常検出は、ブレーキペダル18か踏み込まれていない状態において1回行われるのである。そして、ブレーキペダル18が踏み込まれれば、S5の判定結果がYESになってS9が実行され、フラグF1 がリセットされるため、次にブレーキペダル18の踏込みが解除され、その状態が設定時間継続すれば、踏力検出器150の異常検出が行われる。
【0052】
このように踏力検出器150の異常検出は、ブレーキペダル18が踏み込まれていない状態で行われるため、ブレーキペダル18が踏み込まれた状態でイグニッションスイッチ304がONにされれば、異常検出は、ブレーキペダル18の踏込みが解除されるまで行われず、解除された後に行われる。また、一旦、異常が検出されても、次にブレーキペダル18の踏込みが解除された際の異常検出において異常が検出されなければ、S15の実行により、フラグF2 のリセットおよび異常報知の解除が為され、踏力検出器150の検出値に基づく制御、例えば踏力の助勢制御が行われる状態とされる。
【0053】
次に、S2のブレーキスイッチ168の断線検出を説明する。この断線検出は、図13に示すブレーキスイッチ断線検出ルーチンに基づいて行われる。まず、S21において踏力検出器150の検出値が読み込まれ、次いでS22が実行されて検出値が設定値以上であるか否かの判定が行われる。この設定値は、運転者が車両を制動する意図でブレーキペダル18を踏み込んだことを確実に検出し得る大きさに設定されており、踏力0に対応する検出値よりやや大きい踏力に対応する検出値に設定されている。検出値が設定値より小さければ、ブレーキペダル18が踏み込まれておらず、あるいは踏み込まれていても、運転者がブレーキパッド164に足を載せる程度の踏込みであって、車両の制動が行われるとは言えず、S22の判定結果はNOになってルーチンの実行は終了する。
【0054】
検出値が設定値以上であれば、車両の制動が行われるのであり、S22の判定結果はYESになってS23が実行され、ブレーキスイッチ168がOFFであるか否かの判定が行われる。ブレーキスイッチ168は、ブレーキペダル18が踏み込まれればON信号を発し、検出値が設定値以上であれば、ON信号を出力しているはずであり、出力信号がOFF信号であれば、ブレーキスイッチ168が断線していることがわかる。踏力検出器150の検出値を用いてブレーキスイッチ168の断線検出が行われるのである。
【0055】
ブレーキスイッチ168の出力信号がON信号であれば、ブレーキスイッチ168は断線しておらず、S23の判定結果はNOになってS24が実行され、断線の報知が解除される。ブレーキスイッチ168の出力信号がOFF信号であれば、ブレーキスイッチ168が断線しており、S23の判定結果はYESになってS25が実行され、ランプの点灯等の報知手段により断線が報知される。
【0056】
次に、S3の助勢機能失陥検出を、図14に示すルーチンに基づいて説明する。
助勢機能失陥検出ルーチンにおいて、助勢機能が失陥しているか否かは、マスタシリンダ圧が、それぞれマスタシリンダ圧と踏力とに基づいて設定される助勢機能正常領域と、助勢機能失陥領域とのいずれに属するかにより行われる。助勢機能が失陥しており、後方加圧室50に液圧が発生させられず、ブレーキペダル18の踏込みのみにより前方加圧室36,38に発生させられる液圧に基づいて車輪の回転が抑制される場合には、図8の下側の直線で示すように、踏力に対するマスタシリンダ圧の増大勾配が小さく、この踏力とマスタシリンダ圧との関係を規定する直線を含む領域が助勢機能失陥領域とされ、踏力とマスタシリンダ圧とによって規定される。なお、図8においては、理解を容易にするために踏力とされているが、ECU300において失陥検出には踏力検出器150の検出値が用いられる。
【0057】
助勢機能失陥領域を規定するマスタシリンダ圧は、下限値が0、上限値は、ブレーキペダル18の踏込みのみにより得られるマスタシリンダ圧の最大値よりやや小さい値であって、踏力の大きさに関係なく一定の値とされている。また、助勢機能失陥領域を規定する踏力は、下限値がマスタシリンダ圧が増大し始める際の値とされ、上限値は、ブレーキペダル18の踏込みにより得られる最大の踏力よりやや小さい大きさとされている。検出された踏力およびマスタシリンダ圧がいずれも助勢機能失陥領域内にあれば、助勢機能が失陥しているとされる。
【0058】
助勢機能が失陥しておらず、後方加圧室50に液圧が発生させられて踏力が助勢されるのであれば、マスタシリンダ圧の増大勾配は、図8の上側の線で示すように、ブレーキペダル18の踏込みのみによって前方加圧室36,38に液圧が発生させられる場合より大きい。後方加圧室50に発生させられる液圧に基づく踏力の助勢が限界に達すれば、マスタシリンダ圧は、ブレーキペダル18の踏込みのみにより前方加圧室36,38に発生させられる液圧によって車輪の回転が抑制される場合と同じ勾配で増大させられる。このように踏力が助勢される場合および助勢限界に達した後の踏力とマスタシリンダ圧との関係を規定する直線を含む領域が助勢機能正常領域であり、踏力およびマスタシリンダ圧により規定される。
【0059】
助勢機能正常領域を規定する踏力の下限値は0、上限値は、ブレーキペダル18の踏込みにより得られる最大の踏力よりやや小さい大きさとされており、マスタシリンダ圧の下限値は、踏力の増大に従ってマスタシリンダ圧が増大する直線であって、踏力0における値が、助勢機能失陥領域を規定するマスタシリンダ圧の上限値と同じ大きさであり、勾配が、助勢機能失陥時のマスタシリンダ圧の増大勾配とほぼ同じ大きさの直線により規定される。正常領域と失陥領域とは、それらが重複せず、助勢機能の正常,異常を確実に検出し得るように設定されているのである。そして、踏力検出器150の検出値および上記マスタシリンダ圧の下限を規定する直線の式を用いて下限値であるマスタシリンダ圧を算出し、検出されたマスタシリンダ圧が、算出された下限値より大きければ、助勢機能は正常であるとされる。踏力に対して助勢により生ずべきマスタシリンダ圧が生じていれば、助勢機能は正常であるとされるのである。なお、正常領域を規定する踏力の範囲は、ブレーキペダル18の踏込みにより得られる踏力の全範囲とほぼ等しいため、助勢機能が正常であるか否かを判定する際、踏力が正常領域を規定する範囲内にあるか否かの判定は行わないこととする。
【0060】
助勢機能失陥検出ルーチンにおいては、まず、S31において踏力検出器150の検出値およびマスタシリンダ圧センサ152の検出値が読み込まれる。次いでS32が実行され、助勢機能が失陥しているか否かの判定が行われる。この判定は、前述のように、踏力検出器150の検出値(踏力)およびマスタシリンダ圧がそれぞれ失陥領域内にあるか否かにより行われる。両者がいずれも失陥領域内にあれば、助勢機能は失陥しており、S32の判定結果はYESになってS33が実行され、フラグF4 がセットされるとともに、助勢機能の失陥がランプの点灯等の報知手段により報知される。また、フラグF4 がセットされることにより、助勢制御ルーチンにおいて説明するように、踏力検出器150が異常な場合と同様に、例えば、助勢制御が行われない。
【0061】
助勢機能が失陥していなければ、S32の判定結果はNOになってS34が実行され、助勢機能が正常であるか否かの判定が行われる。前述のように、踏力検出器150の検出値および助勢機能正常領域を規定するマスタシリンダ圧の下限値を求める式に基づいてマスタシリンダ圧の下限値が求められ、検出されたマスタシリンダ圧がそれより大きいか否かの判定が行われるのである。マスタシリンダ圧が踏力に基づいて設定された下限値より大きければ助勢機能は正常であり、S34の判定結果はYESになってS35が実行され、フラグF4 がリセットされるとともに、失陥の報知が解除される。助勢制御が行われる状態とされるのである。
【0062】
助勢機能が失陥していなければ、S31,S32,S34,S35が繰返し実行され、助勢機能が失陥していれば、S31〜S33が繰返し実行される。一旦、助勢機能の失陥が検出されても正常に戻れば、S32の判定結果がNOになるとともにS34の判定結果がYESになってS35が実行され、フラグF4 がリセットされて助勢制御が行われるようにされる。マスタシリンダ圧,踏力が助勢機能失陥領域にもなく、助勢機能正常領域にもなければ、S32,S34の各判定結果はNOになる。マスタシリンダ圧,踏力が正常領域にも失陥領域にも属さないのは、例えば、ブレーキペダル18が踏込途中であり、それにより、あるいは助勢機能の回復により、マスタシリンダ圧が増大途中である場合、ブレーキペダル18が踏み込まれていない場合等であり、これらの場合、助勢機能が正常であれば、マスタシリンダ圧の更なる増大により、あるいはブレーキペダル18の踏込みによるマスタシリンダ圧の増大により、マスタシリンダ圧は正常領域にあると判定されることとなる。助勢機能が失陥状態から正常状態に復帰することがあれば、マスタシリンダ圧が増大して失陥領域に属さなくなっても、直ちに正常領域に属する状態とはならないため、助勢機能が直ちに正常と判定されることはなく、マスタシリンダ圧が正常領域にあって助勢機能が確実に正常であると判定された場合に助勢制御が行われる状態とされる。逆に、マスタシリンダ圧が正常領域に属さなくなっても、失陥領域に属するようになるまでは、S32,S34の各判定結果がNOになり、直ちに失陥と判定されることはない。
【0063】
次に、S4の助勢制御を図15に示すルーチンに基づいて説明する。
まず、S41においてフラグF2 がセットされているか否かの判定が行われる。踏力検出器150の異常が検出され、フラグF2 がセットされていれば、S41の判定結果はYESになってS45が実行され、終了処理が行われる。終了処理は、圧力制御弁130のソレノイド144の消磁,ポンプモータ128の停止等である。フラグF2 がセットされていなければ、S41の判定結果はNOになってS42が実行され、フラグF4 がセットされているか否かの判定が行われる。助勢機能が失陥していてフラグF4 がセットされていれば、S42の判定結果はYESになってS45が実行される。
【0064】
助勢機能が失陥していなければ、S42の判定結果はNOになってS43が実行され、イグニッションスイッチ304がOFFであるか否かの判定が行われる。イグニッションスイッチ304がON状態とされることにより、電源が投入されてルーチンが実行されるのであれば、S43の判定結果はNOになってS55が実行され、フラグF5 ,フラグF6 およびカウンタがリセットされた後、S52が実行され、助勢制御が実行される。助勢制御の実行は、詳細な説明は省略するが、踏力に基づく後方加圧室50の目標加圧量の決定、圧力制御弁130のソレノイド144に供給すべき電流値の決定、駆動回路314への駆動信号の出力,増圧用ポンプ126を駆動するポンプモータ128の駆動回路314への駆動信号の出力等が行われるのである。ソレノイド144に電流が供給され、ポンプモータ128が起動されることにより、後方加圧室50に踏力に応じた高さの液圧が発生させられ、踏力が助勢される。
【0065】
イグニッションスイッチ304がOFFであって、ブレーキペダル18の踏込みにより第2電源スイッチ310がON状態となって電源が投入されることにより、このルーチンが実行されるのであれば、S43の判定結果はYESになってS44が実行され、フラグF5 がセットされているか否かの判定が行われる。フラグF5 は、セットにより、イグニッションスイッチ304がOFFの間にブレーキペダル18の踏込みが設定回数行われたことを記憶するが、S55においてリセットされており、イグニッションスイッチ304がONの状態からOFFの状態になって行われたブレーキペダル18の踏込回数が設定回数より少なければ、フラグF5 はリセットされており、その判定結果はNOになってS46が実行される。
【0066】
S46においては、ブレーキスイッチ168がONであるか否か、すなわちブレーキペダル18が踏み込まれているか否かの判定が行われる。ブレーキペダル18が踏み込まれていなければ、S46の判定結果はNOになってS54が実行され、フラグF6 がリセットされる。フラグF6 は、セットにより、ブレーキペダル18が踏み込まれたことを記憶する。
【0067】
イグニッションスイッチ304がOFFの状態でブレーキペダル18が踏み込まれれば、S46の判定結果がYESになってS47が実行され、第2電源スイッチ310がONであるか否かの判定が行われる。第2電源スイッチ310はブレーキスイッチ168がONになるのと機械的に連動してON状態となり、ECU300を電源306に接続するため、ブレーキスイッチ168がONであれば、第2電源スイッチ310もONであるのが普通である。そのため、S47の判定結果はYESになってS48が実行され、フラグF6 がセットされているか否かの判定が行われる。フラグF6 は初期設定等においてリセットされるため、ブレーキペダル18が踏み込まれて初めてS48が実行されたのであれば、フラグF6 はセットされておらず、S48の判定結果はNOになってS49が実行され、フラグF6 がセットされる。ブレーキペダル18の踏込みが記憶されるのである。
【0068】
次いでS50が実行され、カウンタのカウント値Cが設定値CA より小さいか否か、すなわちイグニッションスイッチ304がOFFの状態におけるブレーキペダル18の踏込み回数が設定回数に達したか否かの判定が行われる。この判定結果は、ブレーキペダル18の踏込みが設定回数行われるまでYESであり、S51が実行されてカウント値Cが1増加させられる。イグニッションスイッチ304がOFFの状態でブレーキペダル18が踏み込まれて踏力の助勢制御が行われた回数が数えられるのである。次いでS52が実行され、助勢制御が実行される。イグニッションスイッチ304がOFF状態であっても、ブレーキペダル18が踏み込まれれば踏力が助勢されるのである。ブレーキペダル18の踏込みによりECU300が電源306に接続され、電流が供給されるため、イグニッションスイッチ304がONにされた場合と同様に助勢制御が行われ、踏力が倍力される。フラグF6 のセットにより、次にS48が実行されるとき、その判定結果はYESになってS49〜S51がスキップされる。イグニッションスイッチ304がOFFであってブレーキペダル18が踏み込まれている間、S41〜S44,S46〜S48,S52が繰返し実行され、踏力の助勢により、より確実に車両が制動される。
【0069】
イグニッションスイッチ304がOFFの状態においてブレーキペダル18の踏込みが解除されれば、ブレーキスイッチ168および第2電源スイッチ310がOFFになり、ECU300に電流が供給されないため、ルーチンは実行されず、助勢制御等も行われないが、コンピュータのRAMの内容は、図示しないバックアップ電源からの電流により、電源がOFFになったときの状態に保たれる。そのため、カウンタが、イグニッションスイッチ304がOFFの状態における助勢制御回数をカウントする状態にあれば、そのカウント値はそのまま残され、フラグF5 がセットされて、イグニッションスイッチ304がOFFの状態において助勢制御が設定回数行われたことが記憶されているのであれば、その記憶状態はそのまま残される。また、ルーチンの実行中に電源がOFF、すなわちイグニッションスイッチ304および第2電源スイッチ310のいずれもOFFにされた場合には、電磁弁装置90等、各種アクチュエータは初期状態に戻されるとともに、リレー312は遮断状態(開状態)とされる。
【0070】
そして、イグニッションスイッチ304がOFFの状態でブレーキペダル18が再度踏み込まれれば、第2電源スイッチ310がONにされてECU300が電源306に接続され、ルーチンが実行される。そして、メインルーチンのS1において初期設定が行われるが、ここでは、カウンタについては初期設定は行われず、そのままの状態とされるため、カウンタは助勢制御回数を続けてカウントすることができる。
【0071】
イグニッションスイッチ304がOFFの状態でのブレーキペダル18の再度の踏込みにより、S43の判定結果はYESになる。また、イグニッションスイッチ304がOFFの状態において、助勢制御がまだ設定回数行われていなければ、フラグF5 はリセットされたままであり、S44の判定結果はNOになる。そして、S46,S47の判定結果はYESになり、S48が実行されるが、フラグF6 はS1の初期設定においてリセットされており、その判定結果はNOになり、S49〜S52が実行されてブレーキペダル18の踏込回数がカウントされるとともに、助勢制御が行われる。初期設定においてフラグF6 がリセットされることにより、ブレーキペダル18の踏込みが解除されたことが記憶され、それによりイグニッションスイッチ304がOFFの状態でのブレーキペダル18の踏込回数がカウントされる状態とされるのである。
【0072】
イグニッションスイッチ304がOFFの状態においてブレーキペダル18の踏込みが設定回数CA 行われれば、S50の判定結果がNOになってS53が実行され、フラグF5 がセットされる。そのため、次にS44が実行されるとき、その判定結果はYESになってルーチンの実行は終了する。ブレーキペダル18が踏み込まれても、踏力の助勢は行われないのであり、それにより電流が過剰に消費されることが回避される。そして、イグニッションスイッチ304がOFFの間、S41〜S44が繰返し実行される。また、ブレーキペダル18の踏込みが解除され、第2電源スイッチ310がOFFにされても、フラグF5 はバックアップ電源によりセットされたままであり、フラグF5 は初期設定においてもリセットされない。フラグF5 がセットされていれば、イグニッションスイッチ304がOFFの状態において助勢制御が設定回数行われたことが記憶され続けるのであり、イグニッションスイッチ304がOFFの状態で更にブレーキペダル18の踏込みが行われても、S44の判定結果がYESになって踏力の助勢は行われない。そして、イグニッションスイッチ304がONにされれば、S43の判定結果がNOになってS55が実行され、フラグF5 ,F6 およびカウンタがリセットされる。次にイグニッションスイッチ304がOFFにされ、その状態でブレーキペダル18が踏み込まれたとき、踏力の助勢が設定回数より少ない回数で行われるようにされるのである。
【0073】
なお、第2電源スイッチ310は、ブレーキスイッチ168がONになるのと機械的に連動してON状態になるのが普通であるが、接続状態にならないことがあれば、S47の判定結果がNOになってS56が実行され、フラグF6 ,カウンタがリセットされる。
【0074】
このようにイグニッションスイッチ304が切断されている状態においても、ブレーキペダル18の踏込み時には第2電源スイッチ310からの電流の供給によりECU300が作動し、増圧装置124が作動させられて後方加圧室50に液圧が発生させられ、踏力が助勢されるため、より確実に車両を制動することができる。また、電源306とECU300とを接続する電源線の切断により、イグニッションスイッチ304が接続状態にならなくなっても、ブレーキペダル18の踏込み時には、踏力が助勢され、車両が確実に制動される。
【0075】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、ECU300のコンピュータのRAMを使用してS11〜S14を実行する部分が異常検出装置を構成している。また、ECU300のコンピュータのRAMを使用してS21〜S23を実行する部分がブレーキスイッチ断線検出手段を構成し、S31,S32を実行する部分が助勢機能失陥検出手段を構成し、S43,S44,S46〜S52を実行する部分がイグニッションスイッチOFF時助勢制御手段を構成している。
【0076】
本発明の別の実施形態を図16に示す。なお、上記実施形態の構成要素と同様の作用を為す構成要素には同じ符号を付して説明を省略する。本実施形態においては、踏力検出器350が、オペレーティングロッド352の途中に設けられている。踏力検出器350はオペレーティングロッド352と直列に設けられているのである。オペレーティングロッド352の一端部は、連結部354,軸356により、ブレーキペダル18に回動可能に連結され、他端部は、図示は省略するが、前記オペレーティングロッド20と同様に、マスタシリンダの第1加圧ピストンに設けられたロッドに連結されている。なお、図16においては、踏力検出器350およびその周辺がブレーキペダル18に対して拡大して図示されている。
【0077】
踏力検出器350は、本実施形態においてはロードセルによって構成されている。ロードセルは、オペレーティングロッド352のブレーキペダル18に連結された側の部分と、ロッドに連結された側の部分とを直結する状態で設けられている。本実施形態では、ロードセルは、オペレーティングロッド352の途中に、オペレーティングロッド352と一体に設けられるとともに、カバーにより覆われている。カバーは、オペレーティングロッド352の、ロードセルの両端部に続く部分である接続部362,364の一方、例えば接続部362に固定され、接続部364に対しては相対移動可能とされている。
【0078】
接続部362,364にはそれぞれ、直径方向に隔たった2箇所にそれぞれ係合部366,368が設けられている。接続部362,364の各係合部366および各係合部368はそれぞれ、同じ位相で設けられ、予荷重装置を構成するばね部材たる引張コイルスプリング366の両端部が係止されており、それによりロードセルの両端部間に圧縮力が付与され、予荷重が与えられている。ブレーキペダル18の踏込み時には、オペレーティングロッド352は、途中に設けられたロードセルを圧縮しつつ、第1加圧ピストンに踏力を伝達し、踏力検出器350は、ロードセルの歪みゲージの歪みに基づいて踏力に対応する検出信号を出力する。また、予荷重の付与により、前記実施形態におけると同様に、ブレーキペダル18が踏み込まれていない状態において踏力検出器350の異常が検出される。
なお、ロードセルは、オペレーティングロッドとは別体とし、ロードセルを設けるべく、オペレーティングロッドを途中で切断し、切断により得られる2つの端部をロードセルにより直結してもよい。
【0079】
予荷重装置を構成するばね部材は、オペレーティングロッドと車両の静止部材との間に設けてもよい。その例を図17に基づいて説明する。なお、上記各実施形態の構成要素と同様の作用を為す構成要素には同じ符号を付して説明を省略する。
【0080】
本実施形態においてオペレーティングロッド374の途中には、前記オペレーティングロッド352におけると同様にロードセルにより構成された踏力検出器376が直列に設けられている。このオペレーティングロッド352の一端部は、連結部378,軸380により、ブレーキペダル18に回動可能に連結され、他端部は、前記オペレーティングロッド20と同様に、第1加圧ピストン32に突設されたロッド46に設けられた連結部47に相対回動可能かつ軸方向に小距離相対移動可能に連結されている。オペレーティングロッド374の他端部には、軸方向に延びる長穴382が設けられるとともに、連結部47の一対の側壁部384に両端を支持された連結部材たるピン386が長穴382の長手方向に相対移動可能に嵌合され、オペレーティングロッド374とロッド46とが連結されている。
【0081】
また、オペレーティングロッド352には、半径方向外向きに突出するばね受け390が設けられるとともに、ばね受け390と閉塞部材44との間に予荷重装置を構成するばね部材たる圧縮コイルスプリング392(以下、スプリング392と略称する)が配設され、オペレーティングロッド374をマスタシリンダ20から離間する向きに、すなわちブレーキペダル18を非踏込位置へ回動させる向きに付勢されており、ブレーキペダル18がストッパにより非踏込位置に停止させられた状態において踏力検出器376のロードセルに予荷重が与えられている。ストッパは位置調節可能に設けられ、ブレーキペダル18の非踏込位置を調節することにより、ブレーキペダル18が非踏込位置に位置する状態においてピン386が長穴382の長手方向に中間部に位置するようにされており、それによりスプリング392によってロードセルの両端部間に圧縮力が付与され、予荷重が与えられている。なお、本実施形態においては、スプリング392が、ブレーキペダル18を非踏込位置へ復帰させるリターンスプリングを兼ねているが、スプリング392と共にリターンスプリングを設けてもよい。
【0082】
ブレーキペダル18が踏み込まれれば、オペレーティングロッド374はスプリング392を圧縮し、ロードセル376を圧縮しつつ前進し、ロッド46を介して第1加圧ピストン32に踏力を伝達し、踏力検出器376は踏力に対応する検出信号を出力する。この際、長穴382の、オペレーティングロッド374の移動方向において上流側の穴面がピン386に係合してロッド46、ひいては加圧ピストン32,34を前進させ、前方加圧室36,38に液圧を発生させる。また、踏力検出器376により踏力が検出され、それに基づいて増圧装置が作動させられて後方加圧室50に液圧が発生させられる。
【0083】
ブレーキペダル18の踏込みが解除されれば、スプリング392の付勢により、オペレーティングロッド352が非踏込時の位置へ戻されるとともに、ブレーキペダル18が非踏込位置へ回動させられる。第1加圧ピストン32は、前方加圧室内に配設されたスプリングの付勢によりブレーキペダル18の踏込み前の位置へ戻される。第1加圧ピストン32は、オペレーティングロッド352に追従して戻るが、戻りが遅れれば、オペレーティングロッド374がロッド46に対して移動し、第1加圧ピストン32の戻りの遅れが許容される。オペレーティングロッド374のロッド46に対する相対移動は、長穴382により許容される。ブレーキペダル18がストッパによって非踏込位置に停止させられた状態では、ピン386は長穴382の長手方向の中間部に位置し、予荷重装置を構成するスプリング392の付勢力が踏力検出器376を構成するロードセルに加えられ、予荷重が付与された状態が得られる。これは、図示および説明は省略したが、前記各実施形態においても同様である。
【0084】
助勢機能の失陥は、マスタシリンダ圧および踏力に代えて、マスタシリンダ圧スイッチの信号および踏力を用いて検出してもよい。その例を図18に示す助勢機能失陥検出ルーチンに基づいて説明する。なお、マスタシリンダ圧スイッチは、図示は省略するが、前記マスタシリンダ圧センサ152に代えて、主通路62の基幹通路71に設けられ、ホイールシリンダ68,70に供給されるマスタシリンダ圧が設定値PTHを超える場合と、設定値PTH以下の場合とで異なる信号を出力するように構成されている。本実施形態においては、マスタシリンダ圧スイッチは、マスタシリンダ圧が設定値PTHを超える場合にON信号を出力し、設定値PTH以下の場合にOFF信号を出力するように構成されている。設定値PTHは、図19に示すように、助勢機能が失陥している場合に得られる最大のマスタシリンダ圧より大きく設定されている。設定値は、助勢機能が正常であれば得られる値に設定されているのである。
【0085】
助勢機能失陥検出ルーチンにおいてはまず、S61においてマスタシリンダ圧スイッチがOFFであるか否かの判定が行われる。マスタシリンダ圧が設定値PTHに達しているかいないかの判定が行われるのであり、マスタシリンダ圧が設定値PTHを超えていれば、マスタシリンダ圧スイッチはONであり、S61の判定結果はNOになる。この場合には、踏力の助勢により得られるマスタシリンダ圧が発生しており、助勢機能は正常であり、S64が実行され、フラグF4 がリセットされるとともに失陥報知が解除される。
【0086】
マスタシリンダ圧スイッチがOFFであれば、マスタシリンダ圧は設定値PTH以下であり、S61の判定結果はYESになってS62が実行され、踏力検出器150の検出値(図19では理解を容易にするために踏力と記載されている)が設定値αより大きいか否かの判定が行われる。設定値αは、常用ブレーキ範囲、すなわち踏力の助勢が限界に達する前のブレーキ範囲において、助勢機能の失陥と正常とを明確に区別することができる大きさ、すなわち設定値αに対して、助勢機能が正常であれば、マスタシリンダ圧が上記設定値PTHを明瞭に超える大きさに設定されている。したがって、助勢機能が正常であれば、マスタシリンダ圧の検出値のばらつきによって異常と判定されることが回避される。
【0087】
検出値が設定値αより大きければ、ブレーキペダルが踏み込まれているにもかかわらず、設定値PTHを超えるマスタシリンダ圧が得られておらず、助勢機能が失陥しているのであり、S62の判定結果がYESになってS63が実行され、フラグF4 がセットされて助勢機能の失陥が記憶されるとともに、失陥が報知される。それに対し、検出値が設定値α以下であれば、S62の判定結果はNOになる。マスタシリンダ圧が設定値PTH以下であるのは、例えば、上記のように助勢機能が失陥しているか、あるいは正常であるが、まだ増大途上にあって小さい場合、あるいはブレーキペダルが踏み込まれていない場合であり、踏力が設定値以下であるのは、例えば、ブレーキペダルが踏み込まれていない場合、あるいは踏み込まれていてもまだ踏力が小さい場合である。したがって、マスタシリンダ圧スイッチがOFF,検出値が設定値α以下である場合に直ちに助勢機能が正常であるとは言えず、S62の判定結果がNOになれば、そのままルーチンの実行が終了する。助勢機能が正常であれば、S61およびS64あるいはS61およびS62が繰り返し実行される。ブレーキペダルが踏み込まれていなければ、S61およびS62が繰返し実行される。また、ブレーキペダルが踏み込まれ、助勢機能が失陥していれば、S61〜S63が繰返し実行されるが、一旦、助勢機能の失陥が検出されても、正常となれば、マスタシリンダ圧が設定値PTHを超え、マスタシリンダ圧スイッチがONになってS61の判定結果がNOになり、S64が実行される。
【0088】
なお、図1ないし図15に示す実施形態においても、踏力検出器をロードセルにより構成してもよい。例えば、ブレーキペダルに、踏力検出器150に代えて、ロードセルを設け、その入力部に検出レバーによって踏力に対応する荷重を作用させる。踏力検出器ないし操作力検出器は、踏力ないし操作力に比例した出力を生じさせるものであればよいのである。
【0089】
また、踏力検出器の異常検出は、ブレーキペダルの踏込みが解除される毎に行われるようにされていたが、それに限らず、例えば、イグニッションスイッチがONにされる毎に1回行ってもよく、あるいは、イグニッションスイッチがONにされた後、設定時間毎に行われるようにしてもよい。また、踏力検出器の異常判定は、検出値が1回、基準範囲から外れた場合に異常と判定するのに限らず、例えば、検出値が基準範囲内にあるか否かの判定を設定回数行い、そのうち、全部あるいは予め設定された回数、検出値が基準範囲内にあれば、正常であると判定してもよい。この際、異常検出を行うために、ブレーキペダルが踏み込まれていない状態が設定時間継続することを待ってもよく、あるいは待たなくてもよい。
【0090】
さらに、上記各実施形態においては、予荷重が、許容零点ドリフト範囲と許容偏差範囲とが等しくなる大きさに設定され、基準範囲がそれら許容零点ドリフト範囲および許容偏差範囲と等しく設定されていたが、許容零点ドリフト範囲と許容偏差範囲とは等しくなくてもよい。予荷重を、許容偏差範囲と許容零点ドリフト範囲とが異なる状態となる大きさに設定するのである。基準範囲は、例えば、許容偏差範囲と許容零点ドリフト範囲との和に設定される。この場合、ゲイン誤差に対する零点ドリフトの影響が極く小さくなる大きさに予荷重を設定すれば、踏力検出器の検出値が基準範囲から外れているか否かにより、ゲイン誤差の異常を検出することができる。
【0091】
また、上記各実施形態において、踏力検出器の零点およびゲインは、踏力検出装置の車両への組付け前に予め定められた大きさに設定されていたが、これは不可欠ではない。車両への組付け前に踏力検出器毎に零点およびゲインをそれぞれ測定して制御装置に記憶しておき、それら零点およびゲインの各データを用いて、踏力検出器の検出値に基づく踏力の演算,検出値と基準値(基準範囲)との比較を行うようにしてもよい。
【0092】
さらに、ブレーキスイッチの断線を検出するにあたり、踏力検出装置150により検出される踏力に代えて、車両が制動されていることを表す量、例えば、車輪減速度,マスタシリンダ圧を用いてもよい。
【0093】
また、助勢機能の失陥を、マスタシリンダ圧および踏力を用いて検出するにあたり、マスタシリンダ圧に代えて、例えば、減速度センサにより検出される車両の減速度,あるいは演算により得られる減速度値(例えば、車輪速センサにより検出される車輪速に基づいて演算された減速度値)を用いてもよい。ブレーキ操作部材の操作力の倍力により得られる量であれば、助勢機能の失陥検出に用いることができるのである。また、マスタシリンダ圧スイッチの検出信号および踏力を用いて助勢機能の失陥を検出する場合、マスタシリンダ圧スイッチに代えて、減速度スイッチを用いてもよい。図14,図18に示す助勢機能の失陥検出は、ブレーキ操作部材の操作力をバキュームブースタにより倍力する装置において行ってもよい。
【0094】
さらに、助勢機能の失陥を、踏力およびマスタシリンダ圧を用いて検出する場合、踏力に対して得られるべき目標マスタシリンダ圧と、実際に検出された実マスタシリンダ圧とを比較し、実マスタシリンダ圧の目標マスタシリンダ圧に対する比率を求め、それにより踏力の助勢量(後方加圧室50の目標加圧量)を目標マスタシリンダ圧が得られるように調節してもよい。
【0095】
また、助勢機能の失陥を検出する場合、助勢機能正常領域を規定するマスタシリンダ圧の下限値は、一定の値としてもよく、助勢機能失陥領域を規定するマスタシリンダ圧の上限値は、踏力が大きくなるほど大きくなるように設定してもよい。さらに、正常領域を規定するマスタシリンダ圧の下限値と踏力との関係を規定するテーブルを作成してコンピュータのROMに記憶しておき、そのテーブルからマスタシリンダ圧の下限値を求めて実際のマスタシリンダ圧と比較してもよい。失陥領域を規定するマスタシリンダ圧の上限値についても同様である。
【0096】
さらに、イグニッションスイッチがOFFの状態でブレーキペダル18が踏み込まれた場合に第2電源スイッチをON状態としてECUに電流を供給して増圧装置を作動させ、踏力を助勢する場合、第2電源スイッチ310を、ブレーキスイッチ168と機械的に連動させて電流供給状態とするのに限らず、ブレーキスイッチ168の他に、ブレーキペダルが踏み込まれたことを表す信号、例えば、踏力スイッチ,液圧スイッチと機械的に連動してON状態となるようにしてもよい。踏力スイッチは、踏力が設定値を超える場合と設定値以下である場合とで異なる信号を出力するように構成され、液圧スイッチは、例えば、マスタシリンダ圧が設定値を超える場合と設定値以下である場合とで異なる信号を出力するように構成される。
【0097】
また、イグニッションスイッチがOFFの状態においてブレーキペダル18が踏み込まれた場合の踏力の助勢を、ブレーキペダル18の踏込回数によって制限するのに限らず、例えば、時間によって制限してもよい。イグニッションスイッチがOFFにされてから、設定時間内に行われたブレーキペダル18の踏込みについて増圧装置を作動させ、踏力が助勢されるようにするのである。
【0098】
さらに、本発明は、踏力がバキュームブースタによって倍力されるとともに、バキュームブースタが助勢限界に達したとき、バキュームブースタに代わってマスタシリンダの後方加圧室に発生させられた液圧によって踏力を倍力するブレーキ装置の踏力検出装置、踏力の倍力以外の目的で踏力を検出する装置、車両用以外のブレーキ装置の踏力を検出する装置、ブレーキ装置以外の装置に設けられた踏力検出装置、踏力以外の操作力を検出する装置等に適用することができる。
【0099】
以上、本発明のいくつかの実施形態を詳細に説明したが、これは例示に過ぎず、本発明は、前記〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である踏力検出装置を備えたブレーキ装置を示す系統図である。
【図2】上記ブレーキ装置に設けられた増圧装置の圧力制御弁の構成を示す図である。
【図3】上記ブレーキ装置を構成するブレーキペダルを上記踏力検出装置と共に示す正面図である。
【図4】上記ブレーキペダルの一部を上記踏力検出装置の踏力検出器と共に示す側面図である。
【図5】上記ブレーキペダルにオペレーティングロッドおよびレバーが取り付けられた状態を示す側面断面図であり、図3におけるV−V断面図である。
【図6】上記踏力検出器を示す正面図(一部断面)である。
【図7】上記踏力検出器における荷重および踏力と検出値との関係を示すグラフである。
【図8】上記ブレーキ装置においてブレーキペダル踏込時における踏力とマスタシリンダ圧との関係を、踏力が助勢される場合と助勢されない場合とについて示すグラフである。
【図9】上記踏力検出器の検出子の移動量と荷重センサの検出値との関係を示すグラフである。
【図10】上記ブレーキ装置に設けられた制御装置を示すブロック図である。
【図11】上記制御装置の主体をなすコンピュータのROMに記憶されたメインルーチンを表すフローチャートである。
【図12】上記コンピュータのROMに記憶された踏力検出器異常検出ルーチンを表すフローチャートである。
【図13】上記コンピュータのROMに記憶されたブレーキスイッチ断線検出ルーチンを表すフローチャートである。
【図14】上記コンピュータのROMに記憶された助勢機能失陥検出ルーチンを表すフローチャートである。
【図15】上記コンピュータのROMに記憶された助勢制御ルーチンを表すフローチャートである。
【図16】本発明の別の実施形態である踏力検出装置の踏力検出器および予荷重装置を示す正面図である。
【図17】本発明の更に別の実施形態である踏力検出装置の踏力検出器および予荷重装置を示す正面図である。
【図18】本発明に係る踏力検出装置が設けられたブレーキ装置の電子制御ユニットを構成するコンピュータのROMに記憶された助勢機能失陥検出ルーチンの別の態様を示すフローチャートである。
【図19】図18に示す助勢機能失陥検出ルーチンにおける助勢機能の失陥検出に用いられるマスタシリンダ圧および踏力の設定値を説明するグラフである。
【符号の説明】
18:ブレーキペダル 20:オペレーティングロッド 150:踏力検出装置 168:ブレーキスイッチ 216:引張コイルスプリング 250:荷重センサ 300:電子制御ユニット 350:踏力検出器 352:オペレーティングロッド 370:引張コイルスプリング 374:オペレーティングロッド 376:踏力検出器 392:圧縮コイルスプリング

Claims (4)

  1. 操作部材に与えられる操作力を検出する操作力検出器と、
    前記操作部材に操作力が与えられていない状態において前記操作力検出器に予荷重を与える予荷重装置と、
    少なくとも前記操作部材に操作力が与えられていない時期に、前記操作力検出器の検出値が許容零点ドリフトと許容ゲイン誤差との両方に基づいて設定された基準範囲に含まれない場合に、前記操作力検出器が異常であることを検出する異常検出装置と
    を含むことを特徴とする操作力検出装置。
  2. 記予荷重装置による予荷重が、前記許容ゲイン誤差に基づく許容偏差範囲が前記許容零点ドリフトに基づく許容零点ドリフト範囲と等しくなる大きさに設定され、前記基準範囲がそれら許容偏差範囲および許容零点ドリフト範囲と等しく設定されたことを特徴とする請求項1に記載の操作力検出装置。
  3. 前記操作部材が車両に設けられたブレーキペダルであり、そのブレーキペダルに検出レバーが相対回動可能に取り付けられ、その検出レバーに操作力伝達ロッドが相対回動可能に連結されるとともに、その検出レバーと前記ブレーキペダルとの間に前記操作力検出器が配設されたことを特徴とする請求項1または2に記載の操作力検出装置。
  4. 前記操作部材が車両に設けられたブレーキペダルであり、そのブレーキペダルに操作力伝達ロッドが相対回動可能に連結されており、その操作力伝達ロッドと直列に前記操作力検出器が取り付けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の操作力検出装置。
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