JP3680614B2 - 免震台 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、美術品等を載置する載置台を免震して地震災害から守る免震台において、免震動作後に残存する載置台の水平方向の位置ずれを著く小さくし得る免震台に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、地震等の外部の振動に対して保護が必要な美術品等を免震する免震台が知られている。この免震台は通常、床板と載置台との間の水平方向相対移動を許容するための、床板と載置台との間に介装された滑り支承若しくは転がり支承と、前記水平方向相対移動を拘束しつつ原点位置(復原位置)に復原させるための、床板と載置台との間に介装されたコイルスプリングと、床板と載置台との間の水平方向相対振動を減衰する摩擦ダンパとで構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記構成からなる免震台では、前記載置台の前記復原位置への復原力が、前記水平方向相対移動によるコイルスプリングの伸びによる弾発力であるため、復原位置に近づくにつれて小さくなり、前記載置台は、前記摩擦ダンパの摩擦抵抗力と釣り合った位置で停止してしまう。一方、前記摩擦抵抗力は振動の減衰能力に影響し、むやみに小さくはできない。
【0004】
このため、通常、免震動作後には、床板と載置台との間には、ある程度の位置ずれが残存してしまう。特に、展示品保護の観点から、免震効果を高めるには振動の長周期化が効果的であるため、前記コイルスプリングのばね剛性を小さく設定することもあり、更に大きな位置ずれが発生する場合もあり得る。こうした場合には、見た目に好ましくなく、美術品の展示上支障を来たすため、地震等の振動が発生する度に、全ての載置台の位置修正をしなければならず、多大な手間と労力がかかる。
【0005】
本発明は以上の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、前記摩擦ダンパの摩擦抵抗力を、床板と載置台との水平方向相対移動量の増減、すなわち復原力の増減に応じて増減することにより、摩擦ダンパの減衰能力を十分に確保しつつ、免震動作後に残存する床板と載置台の位置ずれを著く小さくし得る免震台を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために本発明の免震台は、免震対象物が載置される載置台と、前記載置台の下面に固設されたレールを介して前記載置台を支持しつつ、当該レールに沿った一水平方向相対移動を案内する案内部材と、該案内部材に前記レールと接離する方向に回動自在に設けられ、回動されて前記レールと摩擦接触する摩擦部材と、該摩擦部材と上記載置台との間に設けられるとともに、該載置台の位置を復原すべく付勢しつつ、該載置台の前記一水平方向相対移動量に従って該摩擦部材の圧接力を増減変化させる弾性部材とを備えて構成する。
【0007】
上記の構成によれば、地震等により上記免震台に振動が入力されると、復原位置への復原力である前記弾性部材の弾発力に抗しつつ、前記載置台は前記案内部材との間で水平方向相対移動を繰り返す。この時、前記摩擦部材は、前記水平方向相対移動量の増加による前記弾発力の増加により前記載置台を圧接する方向に回動され、前記載置台との間に圧接力が作用して摩擦抵抗力が発生し、前記水平方向相対移動を減衰する。逆に載置台が弾性部材によって戻されるときには、前記弾発力の減少とともに前記摩擦部材は前記載置台と離間する方向に回動するため、前記圧接力が弱まるとともに摩擦抵抗力は減少し、復原位置に達する際には前記摩擦部材と前記載置台とは完全に離間し摩擦抵抗力は零となる。したがって、前記弾性部材によって復原力である弾発力と連動して前記摩擦抵抗力が変化するため、前記弾発力よりも摩擦抵抗力が大きくなって前記載置台が復原動作途中で停止することはない。
【0008】
つまり、前記摩擦部材の圧接力は、前記弾性部材の弾発力により前記水平方向相対移動量の増減に従って増減するようにしているため、前記摩擦部材は、水平方向相対移動量が大きくなると振動の減衰能力を大きくし、水平方向相対移動量が小さくなると振動の減衰能力を小さくするように作用するので、結果振動減衰能力を十分に確保しつつ、免震動作後に残存する載置台と床面との位置ずれを著く小さくすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係る免震台の一実施形態を示す分解斜視図、図2は図1中のII線矢視の断面図である。
【0010】
本実施形態の免震台1は、免震対象物が載置される載置台3aと、その下方に設けられたX方向の水平振動を免震するX方向振動免震部と、このX方向振動免震部と床面11との間に介装され、前記X方向と直角方向の水平振動を免震するY方向振動免震部とで構成された2次元免震台である。前記構成のため、前記Y方向振動免震部は、前記X方向振動免震部を介して、間接的に、前記載置台3aのY方向振動に対する免震作用を及ぼすようになっている。
【0011】
前記X方向振動免震部は、免震対象物が載置される載置台3aの下方に設けられ、この載置台3aの下面中央に固設されたレール3bを介して前記載置台3aを支持しつつ、この載置台3aとのX方向の水平方向相対移動を案内する案内部材5aと、この案内部材5aが上面中央に固設されたスライダ5b上面に立設された台座7c上に、この台座7c上に設けられたヒンジ7bを中心に前記レール3bと接離する方向に回動自在に設けられ、回動されて前記レール3bと摩擦接触することで、間接的に前記載置台3aと摩擦接触する摩擦部材7aと、この摩擦部材7aと前記載置台3aとの間に設けられ、この載置台3aのX方向の位置を復原すべく付勢しつつ、この載置台3aのX方向の水平方向相対移動量に従って前記摩擦部材7aの圧接力を増減変化させる弾性部材9a、9bとで構成されている。
【0012】
また、前記Y方向振動免震部は、免震対象物が載置される載置台3aの下方の前記X方向振動免震部およびその最下部たる前記スライダ5bの下面中央に固設されたレール3b’を介して前記載置台3aを支持しつつ、前記載置台3aとのY方向の水平方向相対移動を案内する案内部材5a’と、この案内部材5a’が上面中央に固設されたスライダ5b’の上面に立設された台座7c’上に、この台座7c’上に設けられたヒンジ7b’を中心に前記レール3b’と接離する方向に回動自在に設けられ、回動されて前記レール3b’と摩擦接触することで、間接的に前記載置台3aと摩擦接触する摩擦部材7a’と、前記載置台3aとはY方向に水平方向相対移動しないスライダ5bと前記摩擦部材7a’との間に設けられ、前記載置台3aのY方向の位置を復原すべく付勢しつつ、前記スライダ5bのY方向の水平方向相対移動量、すなわち前記載置台3aのY方向の水平方向相対移動量に従って前記摩擦部材7a’の圧接力を増減変化させる弾性部材9a’、9b’とで構成されており、上記スライダ5b’は床面11に固設される。
【0013】
前記載置台3aは矩形プレートであり、この載置台3aには、その下面中央にレール3bが固設されている。このレール3bには、前記レール3bを支持する案内部材5bが係合され、前記レール3bと前記案内部材5aとはX方向に水平方向相対移動可能となっている。つまり、前記案内部材5bは、前記レール3bを介して前記載置台3aを支持しつつX方向の水平方向相対移動を案内する。ここで、前記レール3bの長手方向の中心と前記案内部材5bの中心とが一致した状態がX方向の復原状態であり、この時のX方向の水平方向相対移動量は零である。
【0014】
また、前記レール3bの長手方向の両端部には、前記水平方向相対移動を一定限度に規制するストッパ4aが設けられ、振動の振幅が大きい場合、すなわち前記水平方向相対移動量が大きい場合は、このストッパ4aに前記案内部材5aが衝突することで、レール3bと案内部材5aとの水平方向相対移動を規制する。このストッパー4aは、図1に示すように、前記案内部材との当接側にクッション材4bを付設することで衝突時の衝撃を緩和することができる。
【0015】
前記案内部材5aには、図2に示すようにその内部にレール3bと係合しつつ転がり接触する転動体5cが内蔵されたベアリングブロックが使用され、前記転動体5cが転がり回転することで、前記レール3bと案内部材5bとはX方向に滑らかに水平方向相対移動する。
【0016】
前記案内部材5aの下面には、矩形プレート状のスライダ5bが、そのスライダ5bの中心と前記案内部材5aの中心とが一致した状態で固設されており、このスライダ5bは前記載置台3aとX方向に水平方向相対移動可能となっている。このスライダ5b上面には、前記案内部材5aに隣接して、レール3bを挟み込むように、2ヶの直方体形状の台座7cが設けられ、この台座7cの上端面であって、レール3bの長手方向について案内部材5aの中心に対応する位置に、鉛直なヒンジ7bが取付けられる。このヒンジ7bには、このヒンジ7bを中心に水平面内を回動する直方体形状の摩擦部材7aが、前記ヒンジ7bを通るY方向の直線に対して線対称となるように取付けられる。そして、この摩擦部材7aは、回動量が大きくなると、その四隅の角部の内の前記レール3bとの対向面側の角部と前記レール3bとが圧接し、摩擦抵抗力を生じるようになっている。前記摩擦抵抗力は振動の減衰力であり、所期の減衰能力となるように摩擦部材7aの素材は選定される。
【0017】
前記弾性部材9は一対のコイルスプリング9a、9bとからなり、このコイルスプリング9a、9bは、その一方端を前記載置台3a下面の四隅に付設したフック状のばね掛け部材3dに、他端を前記摩擦部材7aの上面の角部に付設したばね掛け部材7dに係止して、引張ばねとして使用される。前記コイルスプリング9aと前記コイルスプリング9bとは、前記X方向の復原状態において、前記ヒンジ7bを通るY方向の直線に対して線対称に配設され、このコイルスプリング9a、9bの弾発力により載置台3aと案内部材5a若しくはスライダ5bとのX方向の水平方向相対移動を拘束し、前記水平方向相対移動時の位置復原を行う。このコイルスプリング9a、9bは、適切なばね定数のコイルスプリングを選択することにより、スライダ3aとスライダ5bとの水平方向相対振動の固有周期が地震の揺れの固有周期よりも長くなるように調節される。
【0018】
また、前記水平方向相対移動時には、前記コイルスプリング9aと9bとの間に弾発力差が発生し、この弾発力差に基づく回転モーメントにより前記摩擦部材7aが前記ヒンジ7bを中心として回動するとともに、摩擦部材7aとレール3bの圧接力が変化し、摩擦抵抗力が変化するようになっている。すなわち、載置台3aと案内部材5a若しくはスライダ5bとの水平方向相対移動量の増加により前記弾発力差が大きくなるにつれて、前記摩擦抵抗力が大きくなるように構成されている。
【0019】
更に、前記スライダ5bの下面中央にはレール3b’が、前記レール3bに対し直交方向、すなわちY方向に向けて設けられている。このレール3b’には、前記レール3b’を支持する案内部材5a’が係合され、前記レール3b’と前記案内部材5b’とはY方向に水平方向相対移動可能となっている。つまり、前記案内部材5b’は、前記X方向振動免震部とレール3b’を介して、前記載置台3aを支持しつつY方向の水平方向相対移動を案内する。ここで、前記レール3b’の長手方向の中心と前記案内部材5a’の中心とが一致した状態がY方向の復原状態であり、この時のY方向の水平方向相対移動量は零である。
【0020】
また、前記レール3b’の長手方向の両端部には、前記したレール3bと同様に、クッション4b’付ストッパ4a’が設けられている。
【0021】
前記案内部材5a’には、前記したベアリングブロックが使用され、前記レール3b’と案内部材5a’とがY方向に滑らかに相対移動する。
【0022】
前記案内部材5a’の下面には、矩形プレート状のスライダ5b’が固設されており、このスライダ5b’は、スライダ5bを介して前記載置台3aとY方向に水平方向相対移動可能となっている。このスライダ5b’上面には、前記案内部材5a’に隣接して、レール3b’を挟み込むように、2ヶの直方体形状の台座7c’が設けられ、この台座7c’の上端面であって、レール3b’の長手方向について案内部材5a’の中心に対応する位置に、鉛直なヒンジ7b’が取付けられる。このヒンジ7b’には、このヒンジ7b’を中心に水平面内を回動する直方体形状の摩擦部材7a’が、前記ヒンジ7b’を通るX方向の直線に対して線対称となるように取付けられる。そして、この摩擦部材7a’は、回動量が大きくなると、その四隅の角部の内の前記レール3bとの対向面側の角部と前記レール3bとが圧接し、摩擦抵抗力を生じるようになっている。前記摩擦抵抗力は振動の減衰力であり、所期の減衰能力となるように摩擦部材7a’の素材は選定される。
【0023】
前記弾性部材9’は一対のコイルスプリング9a’、9b’からなり、このコイルスプリング9a’、9b’は、その一方端を前記スライダ5b下面の四隅に付設したフック状のばね掛け部材3d’に、他端を前記摩擦部材7a’の上面の角部に付設したばね掛け部材7d’に係止して、引張ばねとして使用される。前記コイルスプリング9a’と前記コイルスプリング9b’とは、前記Y方向の復原状態において、前記ヒンジ7b’を通るX方向の直線に対して線対称に配設され、このコイルスプリング9a’、9b’の弾発力により載置台3aとスライダ5b’とのY方向の水平方向相対移動を拘束し、前記水平方向相対移動時の位置復原を行う。このコイルスプリング9a’、9b’は、前記したコイルスプリング9a、9bと同様に、適切なばね定数のコイルスプリングが選択される。
【0024】
また、前記水平方向相対移動時には、前記コイルスプリング9a’と9b’との間に弾発力差が発生し、この弾発力差に基づく回転モーメントにより前記摩擦材7a’が前記ヒンジ7b’を中心として回動するとともに、摩擦部材7a’とレール3b’の圧接力が変化し、摩擦抵抗力が変化するようになっている。すなわち、載置台3aとスライダ5b’とのY方向の水平方向相対移動量の増加により前記弾発力差が大きくなるにつれて、前記摩擦抵抗力が大きくなるように構成されている。
【0025】
次に本実施形態にかかる免震台の作用について説明する。
【0026】
まず、X方向の振動の免震作用について説明する。
図3に、図1におけるIII線矢視の平面図を示し、その各構成部位の動作がわかるように前記載置台3aを透視して示している。
図3(a)は、復原位置(原点位置)の状態を、すなわち載置台3aとスライダ5bが復原位置にて重なっている復原状態を示し、図3(b)は、地震等により免震台1にX方向の振動が入力され、載置台3aがスライダ5bに対しX方向に水平方向相対移動した状態を示す。
復原位置においては、コイルスプリング9a、9bの引張の弾発力が釣り合い状態となっており、弾発力差がないため摩擦部材7aは回動せず、摩擦部材7aとレール3bとは離間している。
【0027】
地震等により上記免震台1にX方向の振動が入力されると、載置台3aがスライダ5bに対しX方向に水平方向相対移動するが、一対のコイルスプリング9a、9bは、載置台3aと摩擦部材7aとの間に介装されているため、一方は伸長、他方は短縮して両者間に弾発力差が発生する(図3(b)の場合は、コイルスプリング9aが伸長し、コイルスプリング9bが短縮する)。この弾発力差のレール3b長手方向成分が復原位置へ復帰させる復原力であり、水平方向相対移動量が大きい程、大きな復原力が発生し、復原位置にあっては零となる。この復原力に抗しつつ、レール3bと案内部材5aの間で滑らかに相対移動することで、前記載置台3aは前記スライダ5bとの間でX方向の水平方向相対移動を繰り返す。
【0028】
その際、図3(b)に示すように、前記摩擦部材7aは、前記X方向の水平方向相対移動量の増加による前記弾発力差の増加により、ヒンジ7b回りの回転モーメントが生じて前記レール3bと圧接される方向に回動され、前記レール3bと圧接される。そして、前記レール3bとの圧接力により摩擦抵抗力が発生し、この摩擦抵抗力が、前記X方向の水平方向相対移動を制止する減衰力として作用する。逆に載置台3aがコイルスプリング9a、9bによって復原位置に戻されるときには、前記弾発力差の減少とともに前記摩擦部材7aは、前記レール3bと離間する方向に回動するため、前記圧接力が弱まるとともに摩擦抵抗力は減少し、復原位置に達する際には、図3(a)に示すように、前記摩擦部材7aと前記レール3bとは完全に離間し摩擦抵抗力は零となる。このように、前記コイルスプリング9a、9bによって復原力である弾発力差と連動して前記摩擦抵抗力が変化するため、前記弾発力差よりも摩擦抵抗力が大きくなって前記載置台3aが復原動作途中で停止することを防止できる。
【0029】
つまり、前記摩擦部材7aの圧接力は、前記コイルスプリング9a、9bの弾発力差により前記X方向の水平方向相対移動量の増減に従って増減するようにしているため、前記摩擦部材7aは、X方向の水平方向相対移動量が大きくなると振動の減衰能力を大きくし、X方向の水平方向相対移動量が小さくなると振動の減衰能力を小さくするように動作する。その結果、振動減衰能力を十分に確保しつつ、免震動作後に残存する、載置台3aと床面11とのX方向の位置ずれを著く小さくすることができる。
【0030】
次に、Y方向の振動の免震作用について説明する。
【0031】
図4に、図1におけるIV線矢視の平面図を示し、その各構成部位の動作がわかるように前記スライダ5bを透視して示している。また、載置台3aとスライダ5bとはY方向については水平方向相対移動できないため、載置台3aの状態をスライダ5bで代替して表現することにする。
【0032】
図4(a)は、復原位置(原点位置)の状態を、すなわちスライダ5bとスライダ5b’が復原位置にて重なっている復原状態を示し、図4(b)は、地震等により免震台1にY方向の振動が入力され、スライダ5bがスライダ5b’に対しY方向に水平方向相対移動した状態を示す。
【0033】
復原位置においては、コイルスプリング9a’、9b’の間で弾発力差がないため摩擦部材7a’は回動せず、摩擦部材7a’とレール3b’とは離間している。
【0034】
地震等により上記免震台1にY方向の振動が入力されると、スライダ5bがスライダ5b’に対しY方向に水平方向相対移動するが、一対のコイルスプリング9a’、9b’は、スライダ5bと摩擦部材7a’との間に介装されているため、一方は伸長、他方は短縮して両者間に弾発力差が発生する(図4(b)の場合は、コイルスプリング9a’が伸長し、コイルスプリング9b’が短縮する)。この弾発力差のレール3b’長手方向成分が復原位置へ復帰させる復原力であり、Y方向の水平方向相対移動量が大きい程、大きな復原力が発生し、復原位置にあっては零となる。この復原力に抗しつつ、レール3b’と案内部材5a’の間で滑らかに水平方向相対移動することで、前記スライダ5bは前記スライダ5b’との間でY方向の水平方向相対移動を繰り返す。
【0035】
その際、図4(b)に示すように、前記摩擦部材7a’は、前記Y方向の水平方向相対移動量の増加による前記弾発力差の増加により、ヒンジ7b’回りの回転モーメントが生じて前記レール3b’と圧接される方向に回動され、前記レール3b’と圧接される。そして、前記レール3b’との圧接力により摩擦抵抗力が発生し、この摩擦抵抗力が、前記Y方向の水平方向相対移動を制止する減衰力として作用する。逆にスライダ5bがコイルスプリング9a’、9b’によって復原位置に戻されるときには、前記弾発力差の減少とともに前記摩擦部材7a’は離間する方向に回動するため、前記圧接力が弱まるとともに摩擦抵抗力は減少し、復原位置に達する際には、図4(a)に示すように、前記摩擦部材7a’と前記レール3b’とは完全に離間し摩擦抵抗力は零となる。したがって、前記コイルスプリング9a’、9b’によって復原力である弾発力差と連動して前記摩擦抵抗力が変化するため、前記弾発力差よりも摩擦抵抗力が大きくなって前記載置台3a’が復原動作途中で停止することを防止できる。
【0036】
つまり、前記摩擦部材7a’の圧接力は、前記コイルスプリング9a’、9b’の弾発力差により前記Y方向の水平方向相対移動量の増減に従って増減するようにしているため、前記摩擦部材7a’は、Y方向の水平方向相対移動量が大きくなると振動の減衰能力を大きくし、Y方向の水平方向相対移動量が小さくなると振動の減衰能力を小さくするように動作する。その結果、振動減衰能力を十分に確保しつつ、免震動作後に残存する、載置台3aと床面11とのY方向の位置ずれを著く小さくすることができる。
【0037】
以上のように、本実施形態の免震台1は、振動減衰能力を十分に確保するとともに、X方向およびY方向の免震動作後に残存する、載置台3aと床面11とのX方向およびY方向の位置ずれを著く小さくするような2次元免震作用を達成でき、地震等の振動発生後の載置台の位置修正作業が不要となるため大幅な省力化が図れる。
【0038】
尚、1次元免震作用のみ要求される場合は、前記載置台3aと前記X方向振動免震部とで構成される免震台にすれば良いことは言うまでもない。
【0039】
以上説明してきた本実施形態においては、以下に示す優れた効果も奏する。
(1)長尺なレール3bを載置台3aの下面に設置し、短尺な案内部材5aをスライダ5bの上面に設置しているため、載置台3aとスライダ5bが相対移動しても、レール3bが出現して観客の目に触れることはなく、美術品の免震台にふさわしい外観を維持することができる。
(2)乾式ダンパである摩擦ダンパを使用しているため、湿度等に厳格な博物館・美術館の免震台としても使用できる。
【0040】
(3)その構成が、載置台3a・レール3b・案内部材5a・コイルスプリング9a、9b・スライダ5b・摩擦部材7a・台座7c・ヒンジ7b・ばね掛け部材3dという簡単な構成であるため、廉価にコンパクトに製作でき、館内の雰囲気に合わせた形状の免震台1を提供することができる。また、本実施形態の免震台1は、薄く製作できるためその重心を低くできるとともに、転がり支承として、球状の転動体5cを介して係合しているベアリングブロック5aとレール3bとを使用しているため傾倒する際の引き抜きにも強い。このため、免震台1単体では非常に転倒し難くなっており、それ故重心の高い展示物も載置することができる。
【0041】
(4)前記摩擦部材7aの摩擦抵抗力である減衰力は、水平方向相対移動量が大きくなるにつれ大きくなるため、摩擦部材7aを適切に選定することにより、前記減衰力により前記水平方向相対移動を一定限度に規制することもでき、前記ストッパ4aレスの構成とすることもできる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0043】
例えば、本実施形態では、摩擦部材7aをレール3bに圧接するようにしたが、案内部材5aとの間で水平方向相対移動する載置台3aであればどの部分に圧接しても良い。すなわち、ヒンジ7bを水平にして摩擦部材7aを鉛直面内に回動可能とするようにして、摩擦部材7aを載置台3aに圧接するようにしても良い。
【0044】
また、摩擦部材7aおよび弾性部材9は、レール3bを挟むようにその両側面に配設したが、片側のみの設置でも良い。
【0045】
更に、摩擦部材7aを、案内部材5aには直接取り付けず、スライダ5bと台座7cを介して設けたが、案内部材5aに直接取り付けても良い。
【0046】
また、レール3b側面の摩擦部材7aとの圧接面に滑り材を敷設し、摩擦係数を調整することにより、振動減衰効果を安定化することもできる。
【0047】
更に、弾性部材9としてコイルスプリングを使用したが、弾発力に富む素材であればこれに限るものではなくゴム等でも良い。
【0048】
また、載置台3a、スライダ5bの形状は、レール3bおよび弾性部材9の取り付け位置さえ確保できれば矩形プレート状に限るものではなく、館内の雰囲気に合うように円形など自由に選択できる。載置台3a、スライダ5bの外周縁の全周に亘って下方向に突出するリブを付設することで、レール3bおよび摩擦部材5a等を完全に観客の目に入らないようにすることもできる。
【0049】
更に、案内部材5aについては、載置台3aを支持するレール3bと係合したベアリングブロックを使用したが、載置台3aとの間の水平方向相対移動を滑らかに案内するものであればこれに限るものではなく、相対移動方向を規制するガイド付の滑り支承やローラーベアリング支承等でも良い。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の免震台にあっては、載置台の復原位置からの水平方向相対移動量に応じて摩擦部材の圧接力を変化し、摩擦抵抗力を変化するようにしているので、復原力が小さくなる復原位置近傍では、前記摩擦抵抗力が小さくなり、復原動作途中で停止することなく振動後に残存する載置台と床面との位置ずれを著く小さくすることができる。
【0051】
また、前記摩擦抵抗力は、復原方向の弾発力に連動して変化するため、振動が減衰し難くなることはなく、振動減衰能力を十分に確保することができる。すなわち、免震台の水平方向の位置ずれを残存することなく美術品の展示上支障を来たさずに、可及的に振動を減衰することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る免震台の一実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】図1におけるII線矢視の断面図である。
【図3】本発明に係る免震台のX方向の振動の免震作用を説明するための、図1におけるIII線矢視の平面図を示し、(a)は復原位置(原点位置)の状態を示し、(b)はX方向に水平方向相対移動した状態を示す。
【図4】本発明に係る免震台のY方向の振動の免震作用を説明するための、図1におけるIV線矢視の平面図を示し、(a)は復原位置(原点位置)の状態を示し、(b)はY方向に水平方向相対移動した状態を示す。
【符号の説明】
1 免震台
3a 載置台
3b、3b’ レール
3d、3d’ ばね掛け部材
4a、4a’ ストッパ
4b、4b’ クッション材
5a、5a’ 案内部材
5b、5b’ スライダ
5c、5c’ 転動体
7a、7a’ 摩擦部材
7b、7b’ ヒンジ
7c、7c’ 台座
7d、7d’ ばね掛け部材
9、9’ 弾性部材
9a、9a’、9b、9b’ コイルスプリング
11 床面

Claims (1)

  1. 免震対象物が載置される載置台と、
    前記載置台の下面に固設されたレールを介して前記載置台を支持しつつ、当該レールに沿った一水平方向相対移動を案内する案内部材と、
    該案内部材に前記レールと接離する方向に回動自在に設けられ、回動されて前記レールと摩擦接触する摩擦部材と、
    該摩擦部材と上記載置台との間に設けられるとともに、該載置台の位置を復原すべく付勢しつつ、該載置台の前記一水平方向相対移動量に従って該摩擦部材の圧接力を増減変化させる弾性部材とを備えたことを特徴とする免震台。
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