JP4284743B2 - 免震展示台 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、美術品等の免震対象物を載置する上ベースを免震して、前記免震対象物を地震災害等から守る免震展示台において、免震動作時に、前記免震対象物の重量に応じた減衰力が作用する免震展示台に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、地震等の外部の振動に対して保護が必要な美術品等を免震する免震展示台が知られている。
【0003】
この免震展示台は通常、免震対象物が載置される上ベースと、床面に固定される下ベースと、両ベースの間の相対水平移動を許容するための、両ベースの間に介装された転がり支承と、両ベースの間の相対水平振動を減衰する摩擦ダンパとして作用する滑り支承と、前記相対水平移動を拘束しつつ原点位置に復原させるための、両ベースの間に介装された復帰用コイルスプリングとで構成されている。前記転がり支承は、上ベースを支持しつつ両ベースの上下間隔を保持しており、また、前記滑り支承は、上ベースを支持しつつ下ベースに対して摺動する摩擦部材と、この摩擦部材と上ベースの間に介装された弾発部材により構成され、前記摩擦部材を前記弾発部材により一定荷重で下ベースに押し付けて上ベースから作用する荷重をほぼ一定に支持することにより、摺動時に生じる摩擦部材と下ベースとの摩擦抵抗力を常に一定に保って、常時一定の減衰力が作用するようにしている。従って、免震対象物の残りの重量は、下ベースとの摺動摩擦抵抗が極めて小さい転がり支承で支持するため、振動の減衰力はほぼ前記の摩擦部材で決定する。つまり、従前の免震展示台は、免震対象物の重量によらず、常に一定の減衰力が作用するように構成されている。そして、通常は所期の免震効果が得られるように、前記弾発部材の弾発力の調整および摩擦部材の素材変更による摩擦係数の調整によって、前記減衰力を調整している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成からなる免震展示台では、免震対象物の重量によらず、振動の減衰力が一定であるため、美術館等の催し物が変わって、展示品たる免震対象物が変わり、その重量(質量)が変化すると、免震展示台の振動の減衰性能および免震性能も変化する。例えば、免震対象物の重量が重くなると、免震対象物に対して振動時に水平方向に作用する慣性力も大きくなるため、免震対象物の振動は減衰し難くなる。また、逆に免震対象物の重量が軽くなる、すなわち免震対象物の質量に対して前記減衰力が大きい場合には、前記地震の振動波が直接免震対象物に入力されて十分な免震効果が得られず、前記免震対象物の倒壊を招く虞がある。
【0005】
このため、展示品が変わる度に、前記摩擦部材に作用する弾発力の調整等をして減衰力の調整をする必要があり、多大な手間と労力がかかっていた。
【0006】
本発明は以上の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、美術品等の免震対象物を載置する上ベースを免震して、前記免震対象物を地震災害から守る免震展示台において、免震動作時に、前記免震対象物の重量に応じた減衰力が作用する免震展示台を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために本発明の免震展示台は、免震対象物が載置される上ベースと、該上ベース下方に設けられた下ベースとの間に滑り支承および転がり支承を並設して、これら支承によって該下ベース上に該上ベースから作用する荷重を支持させつつ、両ベース相互の相対水平振動を免震するようにした免震展示台において、上記滑り支承は、両ベースの上下間隔を保持しつつ該上ベースから作用する荷重を支持するとともに、摺動摩擦抵抗力を減衰力として作用させて水平振動を減衰させ、上記転がり支承は、これをいずれかのベースに弾発付勢する押付部材を介して、上記上ベースから作用する荷重をほぼ一定に支持し、上記滑り支承と上記転がり支承は、下方が開口した有底円筒状のケースによって一体化されており、上記転がり支承は、ボールと、上記ボールを転動自在に上方より支持して、上記ケースの内周面と上下方向に摺動自在に嵌合されるボールベアリング部を備え、上記押付部材は、上記ボールベアリング部の上面と、上記ケースの内部底面との間に設けられていることを特徴とする。
【0008】
上記の構成によれば、地震等により上記免震展示台に水平振動が入力されると、この振動から免震対象物を免震するために、上ベースと下ベースとが水平方向に相対変位しながら、その水平振動は減衰していく。この時、下ベース若しくは上ベースに対して摺動する滑り支承の摺動摩擦抵抗は大きく、転動する転がり支承の転動摩擦抵抗は小さいので、前記水平振動は、主に滑り支承の摺動摩擦抵抗力が減衰力として作用して減衰される。
【0009】
また、前記免震対象物の重量は、上ベースを介して、滑り支承と転がり支承とで分配されて支持されているが、前記滑り支承は両ベースの上下間隔を保持しつつ荷重を支持するとともに、また前記転がり支承は、定められた上下間隔の中でこれをいずれかのベースに弾発付勢する押付部材を介して荷重をほぼ一定に支持する、つまり転がり支承は常に前記押付部材によって付勢される一定荷重のみを支持するので、滑り支承は前記一定荷重を除いた免震対象物の残りの重量を支持するようになっている。
【0010】
このため、免震対象物の重量が変化すると、前記滑り支承の支持荷重が比例して変化し、結果前記滑り支承と摺動する上ベース又は下ベースとの摺動摩擦抵抗力も比例して変化する。つまり、免震対象物の重量(質量)に応じて減衰力が比例して変化する。したがい、免震対象物の重量に対応するように減衰力の調整をする必要がなく、免震対象物への振動の伝達を抑える免震性能および振動の減衰性能のばらつきを小さく抑えることができる。
【0011】
また、本発明の請求項2に示す免震展示台は、前記押付部材がコイルばね若しくは皿ばねであるとこを特徴とする。
【0012】
上記の構成によれば、コイルばねの形状、すなわち線径、巻き径、巻き数等を設定することにより、また皿ばねについても、皿ばねの直径、厚み、高さ、枚数、重ね合わせの向き等を設定することにより、前記転がり支承が免震対象物を支持する支持荷重を容易に調整できるので、ある特定重量の免震対象物が載置された際に、前記滑り支承に生じる摩擦抵抗力たる減衰力(以下、基準減衰力と略記)を容易に調整できる。
【0013】
また、前記コイルばね、および皿ばねに予め付与される初期撓み、すなわち免震対象物支持時の撓みを調整することでも、同様に容易に調整することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係る免震展示台の一実施形態を示す図2におけるI−I線矢視の平面断面図、図2は図1中のIIa−IIb−IIc−IId線矢視の断面図である。また、図3は図2におけるIII部の要部拡大側断面図、図4は図3の変形例を示す側断面図である。
【0015】
図1から図3に示すように、本実施形態の免震展示台1は、免震対象物が載置される上ベース3と、この上ベース3下方に設けられた下ベース5との間に、滑り支承7および転がり支承9を並設して構成される支承ユニット17を4個介装して下ベース5上に上ベース3から作用する荷重を支持させて、上ベース3と下ベース5の相互の相対水平振動を免震するとともに、上ベース3と下ベース5との間に4本の復帰用コイルスプリング2を介装して、上ベース3と下ベース5との相対水平変位を拘束しつつ復原位置に復帰する構成となっている。
【0016】
上ベース3は、断面L字状のアングル材が正方形状に枠組みされた枠体3aに、その内の一対の相対向するアングル材に、断面矩形状角柱の2本の補強材3bが各々平行に距離をおいて掛け渡されて固定され、更にこの2つの補強材3bの長手方向の中心に、断面矩形状角柱の補強材3cを掛け渡して固定された下部フレーム3dと、この下部フレーム3dの四隅に立設固定された断面L字状のアングル材3eと、このアングル材3eの上面に固定された、断面L字状のアングル材からなる、前記枠体3aと同形同大の枠体3fと、この枠体3fの上面に固定された矩形プレート3gとからなる。
【0017】
また、前記下ベース5は、床面15に固定された、前記枠体3aと同型同大の正方形状のプレートであり、平面視にて上ベース3と下ベース5とが重なった状態が復原位置である。
【0018】
尚、本実施形態の免震展示台1には、上ベース3と下ベース5とが相対水平・垂直移動不可能に固定するロックボルト6が設けられている。このロックボルト6は、上ベース3の補強部材3bを挿通して、そのロックボルト6の頭部6aと前記補強部材3bの上面とが係止されるとともに、その下端6bと下ベース5とが螺合することによって、上ベース3と下ベース5とを締結固定するものである。主に搬送時に使用され、免震展示台1を使用する際には取り外されることは言うまでもない。
【0019】
前記支承ユニット17は、滑り支承7と転がり支承9とを一体化して、コンパクトな一つのユニットにしたもので、均等に免震対象物の重量を支持するように、前記上ベース3と下ベース5との間に4個並列に介装される。すなわち、補強部材3bの下面であって、前記上ベース3の対角線上でかつ上ベース3の中心たる前記対角線の交点から等距離の位置に固設される。そして、上ベース3と下ベース5との上下間隔を保持しつつ、下ベース5とは自在に相対水平変位ができるようになっており、外部からの地震等による加速度が伝搬された場合には、各支承ユニット17が下ベース5上を摺動して上ベース3を免震状態に支持して、免震対象物に伝わる加速度を軽減し、免震対象物の倒壊を防止する。
【0020】
4本の復帰用コイルスプリング2は、上ベース3および下ベース5の対辺方向に延在して平面視十文字状に配設される。そして、前記復帰用コイルスプリング2各々は、一端を下ベース5の中心近傍に設けられたスプリング掛け部材25に掛止され、他端を上ベース3の枠体3aに設けられたスプリング掛け部材27に掛止されて、引張ばねとして使用される。
【0021】
前記4本の復帰用コイルスプリング2は、各々同一形状(線径、巻き径、巻き数が同一)に形成されているため、各々のスプリング力が同一となっており、また上ベース3および下ベース5は、互いに4本の復帰用コイルスプリング2のスプリング力が釣り合う復原位置に復帰する方向に付勢されている。よって、地震等の振動が下ベース5に入力されると、下ベース5は上ベース3に対して相対変位して、各コイルばね2が変位方向に引っ張られるため、前記相対変位は、4本の復帰用コイルスプリング2のスプリング力が釣り合う復原位置に復帰する。この復帰用コイルスプリング2は、適切なばね定数のコイルスプリングを選択することにより、上ベース3と下ベース5との相対水平振動の固有周期が地震の揺れの固有周期よりも長くなるように調節される。
【0022】
図3に示すように前記支承ユニット17は、下ベース5との間の摺動で所定の摩擦係数を有する滑り支承7と、ボールベアリング構造の転がり支承9とを、前記支承ユニット17の外郭形状をなすケース13によって一体化した構成であり、この支承ユニット17の上面は上ベース3の補強材3bの下面にねじ止め固定され、該支承ユニット17の下面は下ベース5と水平方向に摺動・転動自在に当接している。そして、免震展示台1に水平方向の振動が入力された際には、下ベース5との間で相対水平変位して、滑り支承7は摺動し転がり支承9は転動する。
【0023】
前記滑り支承7は、円環板状の摩擦部材7であり、前記支承ユニット17の外郭形状をなす、下方が開口した有底円筒状のケース13の下面にビス止め固定される。そして、このケース13の上面は上ベース3とねじ止め固定されるとともに、前記摩擦部材7下面と下ベース5とは当接している。すなわち、前記摩擦部材7たる滑り支承は、前記ケース13とによって、上ベース3と下ベース5の間隔を常に一定に保持している。
【0024】
このケース13の上面には円形状の鍔部を有するフランジ部が一体に形成されて、そのフランジ部における上面の中央には、前記上ベース3の補強材3bに貫通して設けられた雌ねじ19と螺合する、雄ねじ21が一体に形成される。そして、前記雌ねじ19と螺合して前記補強材3bの上面に突出した雄ねじ21に、回り止め用の矩形ナット23が螺合され、前記ケース13と上ベース3、即ち前記支承ユニット17と上ベース3とが締結固定される。
【0025】
また、前記ケース13の内部円周面には、転がり支承9が上下方向に摺動自在に嵌合装着される。この転がり支承9は、鋼球のボール9aと、このボール9aを転動自在に上方より支持して、前記ケース13の内周面と上下方向に摺動自在に嵌合される円柱外形状のボールベアリング部9bとからなる。そして、前記鋼球のボール9aは、前記摩擦部材7の中央に形成された孔4を介して、下ベース5と当接して、上ベース3から作用する荷重をほぼ一定に支持しつつ、つまり上ベース3を一定荷重で支持しつつ水平方向に転動するが、その転動時の摩擦抵抗は、前記摩擦部材7の摺動摩擦抵抗に対して極小さく設定される。
【0026】
前記一定荷重は、ボールベアリング部9bの上面と前記ケース13における内部底面13aとの間に、初期撓みを付与されたコイルばね11が介装されて、ボールベアリング部9bを下方に押圧することにより与えられる。
【0027】
また、前記転がり支承9のボール9aと下ベース5とが当接した状態にあっては、前記摩擦部材7と前記転がり支承9とは当接することなく、両者間に一定の隙間8を有するようになっている。
【0028】
前記コイルばね11および摩擦部材7は、載置される可能性のある免震対象物の重量範囲を考慮しその範囲において、所期の免震性能・減衰性能が得られるようにある基準重量における基準減衰力が決定されて、それに応じた前記一定荷重たる基準弾発力、摩擦係数となるように選定される。すなわち、前記基準弾発力となるように、コイルばねの素材や形状、すなわち線径、巻き径、巻き数等が設定される。また、前記弾発力にて基準減衰力が得られるような摩擦係数の素材が選定される。ただし、ケース13やボールベアリング部9b等の製作精度によっては、前記初期撓みを所期値に設定しても基準弾発力に設定できない場合等があり、最終的には、前記コイルばね11とボールベアリング部9b間にシムを介装することで、前記ケース13内に組付時のコイルばね11の初期撓みを微調整して基準減衰力となるように調整される。
【0029】
図4は支承ユニットの変形例で、押付部材として皿ばねを使用した場合の側断面図である。
【0030】
ここで、本変形例は前述の第1実施形態におけるコイルばね11に代えて皿ばね11’を適用したものであり、構成は同じであるため同一の部材には同一の符号を付して、その相違点についてのみ説明する。
【0031】
図4に示すように、支承ユニット17のケース13内部には、図3におけるコイルばね11に代えて、皿ばね積層体が配設されている。
【0032】
この皿ばね積層体は、本実施形態においては、中心に孔を有する裁頭円錐状ばね鋼の皿ばね単体11’を6枚、逆向きに交互に重ね合わされているが、基本的に、基準弾発力に応じて直径、板厚、高さ、枚数、重ね合わせの向き等が設定される。
【0033】
前記皿ばね単体11’は、図5に示すように皿ばねの撓み変形に対する弾発力変動が小さい領域(以下、「弾発力変動不感帯領域」と記す。)を有するもので、この特性を発現するには、ばねの板厚tと高さHの比H/t≒1.4が適当である。この皿ばね11’は前記弾発力変動不感帯領域を有するため、前記弾発力の設定が容易となる。すなわち、前述したようにケース13等の製作精度によっては、最終的なシム調整が必要であるが、前記弾発力変動不感帯領域においては撓みが製作精度分変動しても、弾発力が変化し難いためシム調整を省略できる。
【0034】
尚、図3、図4においては、図が錯綜するのを防ぐため、前記ビスを図示していないが、このビスが前記摩擦部材7の下面に形成されたざぐり穴に埋設されて、前記下ベース5とは当接しないようになっていることは言うまでもない。
【0035】
次に本実施形態にかかる免震展示台の作用について図1から図3を参照して説明する。
【0036】
地震等により上記免震展示台1に水平振動が入力されると、復原位置への復原力である前記復帰用コイルスプリング2のスプリング力に抗しつつ、上ベース3と下ベース5とは相対水平振動を繰り返しながら、その振動は減衰していく。
【0037】
この時、下ベース5に対して摺動する滑り支承7の摺動摩擦抵抗は大きく、転動する転がり支承9の転動摩擦抵抗は小さいので、前記水平振動は、主に滑り支承7の摺動摩擦抵抗力が減衰力として作用して減衰される。
【0038】
また、前記免震対象物の重量は、上ベース3を介して、支承ユニット17に支持されているが、この支承ユニット17は滑り支承7と転がり支承9とで構成されているため、前記重量はこの滑り支承7と転がり支承9とで分配されて支持されている。ここで、前記滑り支承7は、前記ケース13とによって、上ベース3と下ベース5との上下間隔を一定に保持して荷重を支持しており、また、前記転がり支承9は、ボールベアリング部9bとケース13との間の定められた間隔の中に、初期撓みを付与されたコイルばね11が介装されて、下ベース5に対して一定荷重を弾発付勢して、上ベース3から作用する荷重をほぼ一定に支持している、つまり常に前記重量の内一定荷重のみを支持している。したがい、前記滑り支承7は、ケース13を経由して前記一定荷重を除いた残りの重量を支持するようになっている。
【0039】
このため、免震対象物の重量が変化すると、前記滑り支承7の支持荷重が比例して変化し、結果前記滑り支承7と下ベース5との摺動摩擦抵抗力も比例して変化する。つまり、免震対象物の重量(質量)応じて減衰力が比例して変化する。したがい、免震対象物の重量が変化しても、減衰力の調整をすることなく、免震対象物への振動の伝達を抑える免震性能を維持しつつ、振動の減衰が収束するまでの減衰時間のばらつきを小さく抑えることができる。
【0040】
例えば、免震対象物の重量が重くなると、免震対象物に対して振動時に水平方向に作用する慣性力も大きくなるため、通常はその振動は減衰し難くなるが、前記実施形態においては前述したように減衰力も比例して大きくなるため、前記減衰時間のばらつきを小さくできる。
【0041】
また、逆に免震対象物の重量が軽くなる、すなわち免震対象物の質量に対して前記減衰力が大きい場合には、通常は前記地震の振動波が直接免震対象物に入力されて十分な免震効果が得られず、前記免震対象物の倒壊を招く虞があるが、本実施形態においては、減衰力も比例して小さくなるため、上ベース3と下ベース5との間で容易に相対変位し、前記振動波が免震対象物に入力されるのを抑えて、可及的に倒壊を防ぐことができる。
【0042】
以上のように、本実施形態の免震展示台1は、免震対象物の重量に応じて免震動作時の減衰力が変化するようになっているので、美術館等の催し物が変わって、免震対象物の重量が変化しても、減衰力の調整をすることなく、免震性能および減衰性能のばらつきを小さくすることができる。このため、免震対象物が変わる度に実施していた減衰力の調整をする必要がなくなり、大幅な作業負荷の軽減が可能となる。
【0043】
以上説明してきた本実施形態においては、以下に示す優れた効果も奏する。 前記支承ユニットは、滑り支承7と転がり支承9とを一体化した構成であり、前記の二つの機能を組み入れて、コンパクトに一つの機械要素で製作されている。このため、従来のように転がり支承と滑り支承とを別個に取り付けるよりも能率良く免震展示台を設置することができ、施工時間の大幅な短縮が図れる。
また、コンパクトなため、狭い設置スペースにおいても設置することができるため、免震展示台における支承ユニットの配置が容易となり、免震展示台の設計の自由度が増す。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0045】
例えば、本実施形態では、上ベース3上に展示品等の免震対象物を直接載置するように説明したがこれに限るものではなく、上ベース3には、周囲の雰囲気にふさわしい載置台、台座等を介して展示品を載置してもよい。
【0046】
また、押付部材としてコイルばね11および皿ばね11’を開示したが、弾発力に富む部材であればこれに限るものではなく板ばね、ゴム系の部材でも良い。
【0047】
また、本実施形態では、取り付けの容易性等を配慮して滑り支承7と転がり支承9とを一体化した支承ユニット17を使用したが、両ベースの上下間隔を保持する滑り支承と、押付部材により一定荷重をいずれかのベースに付勢される転がり支承とが並設されていればこれに限るものではなく、前記滑り支承7と転がり支承9とが完全に独立して設けられていても良い。
【0048】
更に、本実施形態では、4本の復帰用コイルスプリング2を両ベース3、5の対辺方向に延在して平面視略十文字状に配設し、また、4個の支承ユニット17を前記両ベース3,5の対角線上に配設したが、両者が干渉しなければこれに限るものではなく、前記とは逆にコイルスプリング2を対角線上に配設するとともに、支承ユニット17を対辺に向かって配設しても良い。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明の免震展示台によれば、免震展示台に載置した免震対象物の重量に比例して、免震動作時の減衰力が変化するようになっているので、美術館等の催し物が変わって、免震対象物の重量が変化しても、減衰力の調整をすることなく、免震性能を維持しつつ減衰性能のばらつきも小さくすることができる。このため、免震対象物が変わる度に実施していた減衰力の調整をする必要がなくなり、大幅な作業負荷の軽減が可能となる。
【0050】
また、免震対象物を変更するだけで自動的に減衰力の調整がなされるため、減衰力の調整不良などの人的ミスが介入せずに、確実な免震・減衰動作を保証することができる。
【0051】
本発明の請求項2に示す免震展示台によれば、押付部材にコイルばね若しくは皿ばねを使用したので、コイルばねおよび皿ばねの形状等を設定することにより、また、前記コイルばねおよび皿ばねの免震対象物支持時の初期撓みを調整することによっても、基準減衰力を容易に調整できる。したがい、確実にかつ短時間で前記減衰力の調整ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る免震展示台の一実施形態を示す図2におけるI−I線矢視の平面断面図である。
【図2】図1におけるIIa−IIb−IIc−IId線矢視の側断面図である。
【図3】図2におけるIII部の要部拡大図であって、支承ユニットを示す側断面である。
【図4】支承ユニットの変形例で、押付部材として皿ばねを使用した場合を示す側断面図である。
【図5】本発明の変形例として使用される皿ばねのばね特性を示す概念図である。
【符号の説明】
1 免震展示台 3 上ベース
3a 枠体 3b 補強材
3c 補強材 3d 下部フレーム
3e アングル材 3f 枠体
3g 矩形プレート 4 孔
5 下ベース 7 摩擦部材(滑り支承)
9 転がり支承 9a ボール
9b ボールベアリング部 11 コイルばね(押付部材)
11’ 皿ばね(押付部材) 13 ケース
13a 内部底面 15 床面
17 支承ユニット
Claims (2)
- 免震対象物が載置される上ベースと、該上ベース下方に設けられた下ベースとの間に滑り支承および転がり支承を並設して、これら支承によって該下ベース上に該上ベースから作用する荷重を支持させつつ、両ベース相互の相対水平振動を免震するようにした免震展示台において、
上記滑り支承は、両ベースの上下間隔を保持しつつ該上ベースから作用する荷重を支持するとともに、摺動摩擦抵抗力を減衰力として作用させて水平振動を減衰させ、
上記転がり支承は、これをいずれかのベースに弾発付勢する押付部材を介して、上記上ベースから作用する荷重をほぼ一定に支持し、
上記滑り支承と上記転がり支承は、下方が開口した有底円筒状のケースによって一体化されており、
上記転がり支承は、ボールと、上記ボールを転動自在に上方より支持して、上記ケースの内周面と上下方向に摺動自在に嵌合されるボールベアリング部を備え、
上記押付部材は、上記ボールベアリング部の上面と、上記ケースの内部底面との間に設けられていることを特徴とする免震展示台。 - 前記押付部材がコイルばね若しくは皿ばねであることを特徴とする請求項1に記載の免震展示台。
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