JP3680001B2 - ディスク状部品の成形方法及び成形装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種の水力機械や空気機械が備えるインペラの構成部品であるインペラディスク等のディスク状部品を成形する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のインペラディスクの成形手順は図6に示す通りである。まず、図6(A)に示す円柱状の素材51を用意し、これをインペラディスクの曲面形状に近似した成形面52aを有した鍛造用の固定型52にセットする。このセット状態において図6(B)に示す固定型52と対をなす可動平型53を固定型52方向に移動させて素材51を打圧し、それにより、素材51を図6(B)中2点鎖線で示すように変形させる。
【0003】
こうした型入れ作業により得た半製品51aが固定型52に支持されたままの状態で、図6(C)に示すようにならし工具を54を移動させながら、この工具54によって前記半製品51aの上面全体を打圧して半製品51aの形状を整える押込み作業を行なう。この押込み作業によって、加工代込みの仕上がり寸法のインペラディスク51bが作られる。
【0004】
この後、インペラディスク51bの最も厚い中央部の約半分の深さに達するまで、ポンチ55を前記上面の中央部に押込んで穴56を形成する。最後に、図6(D)に示すようにインペラディスク51bを、上下反転させその穴56が下型57の抜き孔57aに丁度対向するように前記下型57上にセットしてから、前記反転姿勢のインペラディスク51bの上面中央部に前記ポンチ55を前記穴56に達するまで押込んで、中心孔を形成する。なお、図6(D)中2破線間は押込まれたポンチ55により打抜かれる部分を示している。
【0005】
以上のように従来は、前記型入れ作業の他に繰り返しならし工具54を移動させる必要がある押込み作業を要するとともに、これら型入れ作業と押込み作業とは夫々別の加工装置を用いて行なうので、加工代込みの仕上がり寸法のインペラディスク51bを作るのに必要な手間が多いととともに、設備費がかさみ、かつ、設置場所も多く必要とするという問題がある。
【0006】
また、インペラディスクの仕様は多種多様であるが、ある程度の寸法範囲のものについては、同一の固定型52を共用して型費を低減することが行われている。そのために、成形されたインペラディスク51bの加工代込みの所定の仕上がり寸法に対する余肉が多く、寸法精度が悪いという問題がある。なお、この点を改善するために、加工代込みのインペラディスク51bの所定の仕上がり寸法に丁度適合する固定型52を用意して成形を行なう場合には、多くの固定型52を用意しなければならないから必然的に型費が増えてコストが嵩む。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする第1の課題は、簡単な工程でディスク状部品を成形できる成形方法を得ることにある。又、本発明が解決しようとする第2の課題は、多種多様なディスク状部品を簡単な工程で高精度に作るのに適する成形装置を得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記第1の課題を解決するために、本発明のディスク状部品の成形方法は、素材がセットされた成形テーブルを回転駆動させながら、前記素材に自由回転する成形ロールを押付け、この成形ロールを前記成形テーブルに次第に近づかせつつ前記成形テーブルの外周に向けて、前記成形ロールが前記素材に接しているときに、この成形ロールをディスク状部品の成形目標形状に沿うように移動させ、素材の成形に伴いその外周部拡張時に外周部が円周方向に沿って引張り応力下とならないようにして成形することを特徴としている。
【0009】
又、前記第2の課題を解決するために、本発明のディスク状部品の成形装置は、回転駆動される成形テーブルと、このテーブル上の素材の中心部を押圧して前記素材を前記成形テーブルとの間に挟んでセットするクランプと、自由回転する成形ロール、この成形ロールを互いに直交する方向に移動させる成形ロール移動機構、及びこの移動機構を制御して前記成形ロールの移動軌跡を調節可能な制御部を有する成形加工部とを具備し、前記成形ロールは、外周径に変化がないロール円周面及びこの円周面と前記成形テーブルの中心側を向いたロール端面と連続してつないだ曲面状のロール肩面とを有し、ディスク状部品の中央部から外周部にわたって成形される斜状面のアールの最小値よりも前記ロール肩面のアールを小さくし、ロール円周面の幅は、素材の拡張されつつある外周部を成形テーブルに押えて圧縮応力を付加させる長さに設定されていることを特徴としている。
【0010】
又、この発明装置を実施するにあたり、前記クランプのクランプ軸は、その先端部に形成された押さえ端部からこれを支持したクランプ軸主部への伝熱が抑制されていることを特徴としている。
【0011】
又、この発明装置を実施するにあたり、前記成形テーブルは、その上面に、中央部に放射状に設けられた線状突起と、その外側に位置する多数の島状突起とから形成された滑り止めが設けられていることが望ましい。
又、この発明装置を実施するにあたり、前記成形ロールは単一とすることができ、更に、前記成形テーブルの任意半径線に対して、前記成形ロールの中心軸線をオフセットして前記成形ロールを配置するとよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図5を参照して本発明の一実施形態を説明する。
【0013】
本実施形態はディスク状部品としてインペラディスクを成形する成形方法を実施する成形装置に適用した例であり、この成形装置1は、図1に示すように成形テーブル2と、クランプ3と、成形加工部4と備えている。
【0014】
図1及び図3に示すように成形テーブル2は、テーブルベース2a上に平面視円形のテーブル板2bを軸受2cを介して回転自在に取付けて形成されている。後述の素材A2よりも硬質でかつ耐熱性の金属等からなるテーブル板2bはその周部にリング状の歯車2dを有する。歯車2dには図示しない電動モータ等を駆動源とするテーブル駆動器5の出力歯車5aが噛合わされている。そのため、テーブル駆動器5が動作されることによって、テーブル板2bは定速で回転駆動される。この回転方向を図2及び図3中矢印で示す。又、図1中Xは成形テーブル2の中心軸線を示しており、この軸線Xは例えば鉛直方向に延びている。
【0015】
成形テーブル2上には、円柱状の延性金属棒から図5(A)に示すように切出された素材A1を、所定形状例えば図5(B)に示すように短い円柱状に加工した素材A2が、所定温度に加熱された後に載置される。この成形テーブル2の上面(表面)には、素材A2を加工(鍛造)するときにこの素材A2がテーブル板2bの表面を滑らないようにするための滑り止めが設けられている。
【0016】
この滑り止めは、複数の突起からなり、図3に示すように成形テーブル2の中央部に放射状に設けた線状突起6と、これらの線状突起6が設けられた中央部の外側に位置して放射方向に間隔的に並べて設けられた多数の島状突起7とから形成されている。これらの突起6、7は、素材A2の加工時に素材A2が成形テーブル2と一体的に回転されるように、素材A2のテーブル板2bに載置された面に食い込んで素材A2を回り止めする。
【0017】
図1に示すように素材A2を成形テーブル2との間に挟持するために用いられるクランプ3は、成形テーブル2の表面と対向して例えば上方に配置されたクランプ軸11と、ホルダ12と、クランプ軸昇降器13とを備えている。
【0018】
クランプ軸11は、軸線方向に長く形成された金属棒等からなり、その中心軸線を前記中心軸線X上に一致させて設けられている。このクランプ軸11は固定のホルダ12を貫通してこれに回転自在でかつ軸方向に摺動自在に支持されている。図示しない電動モータや油圧シリンダ等を駆動源とするクランプ軸昇降器13は、クランプ軸11の上部に連結されていて、その動作によりクランプ軸11を昇降するように形成されている。
【0019】
クランプ軸11の先端部は着脱可能な押さえ端部11aに形成されていて、この端部11aは交換可能である。押さえ端部11aからこれを支持したクランプ軸主部(押さえ端部11aより図1中上側の部分)への伝熱は以下の手段で抑制されている。例えば、クランプ軸主部の先端に断熱材14を介して押さえ端部11aを取付けるとよく、又、これに代えて押さえ端部11a全体をこれを支持するクランプ軸主部の構成材料よりも熱伝導率が低い断熱性の材料で作ってもよい。このような伝熱抑制手段の採用は、クランプ軸11側への熱伝導を抑制して素材A2の温度低下を少なくして、加工性の低下を抑制できる点で優れている。
【0020】
図1に示すように成形テーブル2上にクランプされた素材A2を塑性変形させて所定のディスク形状を与えるための成形加工部4は、単一の成形ロール16、成形ロール移動機構17、及び制御部18を備えている。
【0021】
素材A2より硬質な金属製成形ロール16は、図1及び図3に示すように素材押さえ面としてのロール円周面16a、ロール端面16b、及びロール肩面16cを有している。ロール円周面16aは外周径に変化がない部分である。この円周面16aは、図5(C)に示すように成形されるインペラディスクDの斜状面Daの成形時において、素材A2の周辺への広がり部及びインペラディスクDの外周部Dbを成形テーブル2に押さえるために使用されるものである。ロール円周面16aの幅Fは、素材A2の成形に伴いその外周部拡張時において、外周部Dbが円周方向に沿って引張り応力下とならないように、拡張されつつある外周部Dbを成形テーブル2に押さえて圧縮応力を付加させるに足る適当長さに設定するとよい。前記幅Fは、常時成形品外径よりも大きくなるように設定する必要がある。それにより、前記幅Fが短すぎて拡張されつつある外周部Dbが引張り応力下となって、外周部Dbに割れを生じることを防止できる点で好ましい。
【0022】
ロール肩面16cは、成形テーブル2の中心側を向いて位置されるロール端面16bとロール円周面16aとを連続してつないだ曲面状の部分である。このロール肩面16cのアール(曲率)rの大きさは、インペラディスクDの斜状面Daのアールより小さく、取分け、各種仕様のインペラディスクDの斜状面Daの中でも最も小さいアールの値よりも小さく設定されている。それにより、インペラディスクDの仕様に応じて成形ロール16を交換することなく、この単一の成形ロール16を用いて各種仕様のインペラディスクDを後述のように成形可能としている。
【0023】
成形ロール16の外周径(直径)が大き過ぎることは、成形ロール16の円周方向の素材A2への接触長さが大きくなるにともなって押圧荷重を大きく必要とするので、極力小さくすることが好ましい。しかし、成形ロール16の直径が小さ過ぎると、素材A2との接触形状が半径方向に細長くなることに伴い、素材A2の半径方向への素材材料の流動が小さくなって成形性が低下する。そのため、これらを考慮して本実施形態では成形ロール16の直径を、このロール16の素材A2への接触形状の投影形状の半径方向寸法と周方向寸法の比の値が略1となるように設定し、それにより、成形ロール16に過大な押圧荷重を要することなく、かつ、素材A2の半径方向への材料流動をし易くして、良好な成形性を確保できるようにしている。
【0024】
前記構成の成形ロール16は回転軸19aの一端部に連結されており、回転軸19aは上下方向に延びる可動ロール支え19の先端(下端)部に軸受20を介して回転自在に支持されている。回転軸19aはその中心軸線Yを水平方向にした姿勢で設けられている。成形ロール16はそのロール端面16bを成形テーブル2の中心側に向けて回転軸19aと一体に水平方向に延びている前記軸線Y回りに自由回転する。中心軸線Yは図1に示すように成形装置1を側面から見たとき、前記鉛直な中心軸線Xと直交する関係にある。しかも、図2に示すように成形ロール16は、成形テーブル2の任意半径線Rに対して成形テーブル2の回転方向に下流側にオフセットして設けられている。図2中Lはオフセット寸法を示している。
【0025】
可動ロール支え19は成形ロール移動機構17によって鉛直方向及び水平方向に移動されるようになっている。成形ロール移動機構17は、図示しないが可動ロール支え19を鉛直方向及び水平方向への移動を独立に案内するための鉛直方向ガイド及び水平方向ガイドと、サーボモータ等を駆動源として前記ガイドに沿って可動ロール支え19を移動させるための鉛直方向移動機構部及び水平方向移動機構部とを有している。
【0026】
制御部18は、成形ロール移動機構17を制御するもので、成形ロール16が素材A2に接しているときには、その接線速度が一定となる状態を保持しつつインペラディスクDの成形目標形状に沿って成形ロール16を移動させるように前記サーボモータ等の駆動源を制御するものである。なお、前記成形目標形状とは所定の余肉(加工代)を付与した寸法で作られたインペラデスクDの形状を指す。
【0027】
この成形加工部4、テーブル駆動器5、及びクランプ軸昇降器13は、夫々制御装置25によって制御される。この制御装置25にはキーボード等の入力装置26が接続されている。入力装置26により与えられるインペラディスクDの形状・大きさ等の仕様についての入力情報に従って、成形テーブル2の回転と停止とが制御されるとともに、クランプ軸11の昇降が制御され、かつ、成形ロール移動機構17による成形ロール16の移動が制御される。
【0028】
前記構成の成形装置1を用いてインペラディスクDを成形目標形状に成形する手順(工程)を説明する。
【0029】
まず、図5(A)のように図示しない鍛造用丸棒から適当寸法に切出された素材A1を用意し、これから図5(B)に示すように短い円柱状の素材A2(荒地素材とも称される。)を作る。この場合、以下の成形により得られるインペラディスクDと素材A2とではそれらの高さ変化は小さいので、素材A2の高さをインペラディスクDの高さHと同等に形成するとともに、この素材A2の重量(体積)を所定の余肉を含んだインペラディスクDの重量より例えば(1.05〜1.15)倍とし、かつ、それに見合って素材A2の外径が作られる。
【0030】
こうして所定形状に作られた素材A2を所定温度に加熱してから、この高温の素材A2を成形テーブル2のテーブル板2bの中央部に載置する。この後、クランプ軸昇降器13の動作によりクランプ軸11を下降させて、その押さえ端部11aを素材A2の中心部に上方から食い込むように押付けて、成形テーブル2とクランプ3との間に素材を動かないように挟持する。そして、以上のように素材A2がセットされた成形テーブル2を、テーブル駆動器5の動作により回転駆動させる。
【0031】
次に、この状態で成形ロール移動機構17の動作により、可動ロール支え19を介して成形ロール16が、素材A2にその上方から押付けられる。この押付けにより自由回転可能な成形ロール16は素材A2の回転方向に従動回転する。そして、前記押付け状態下での成形ロール16による素材A2に対する加圧は、成形ロール16の接線速度を一定に保持しつつ、このロール16を成形テーブル2に次第に近付けながら成形テーブル2の中央部から外周部に向けて移動させて行われる。この場合、制御部18での制御によって成形ロール16は、インペラディスクDの成形目標形状に沿って二次元的に移動される。その移動軌跡を図5(C)中に矢印Gで示す。なお、成形ロール16の接線速度は一定でなくともよい。
【0032】
こうした移動を伴う成形ロール16による熱間での素材A2の塑性変形により、成形ロール16の移動軌跡Gに沿った包絡面、つまり、素材A2に斜状面Daを形成してインペラディスクDを成形できる。こうして成形されたインペラディスクDは図に示される。しかも、本実施形態では制御部18によって成形ロール16の成形動作が1回(1パス)で終了するように制御される。このような1挙動でのインペラディスクDの成形は、素材A2を回転させながら以上の加工(鍛造)を熱間で実施することにより可能となったものである。しかし、本発明は成形ロール16の成形動作を必要に応じて複数回繰返すことを妨げるものではないとともに、1パスでの成形で成形不良を生じた場合には、再度材料(素材A)を加熱して成形をすることもできる。
【0033】
以上の成形手順においては、素材A2を何度も移し変えることなく同じ成形テーブル2上で成形を実施できるので、簡単な工程でインペラディスクDを成形でき、特に、本実施形態では成形ロール16による成形動作が1回で済むので、より工程が簡単であり、短時間でインペラディスクDを成形できる。しかも、成形ロール16をオフセットして設けたから、成形テーブル2とともに回転する素材A2の移動方向と、この素材A2に従動して回転される成形ロール16の回転方向との違いにより、成形ロール16から素材A2への摩擦力の方向を素材A2の半径方向に向けて、成形ロール16による素材A2の塑性変形を効果的に行なわせることができる。
【0034】
そして、前記成形動作においては、成形ロール16の垂直方向の動き及び水平方向の動きが、入力装置26により予め設定された入力にしたがって制御部18及び成形ロール移動機構17を介して夫々制御され、その結果として、従動回転する成形ロール16はインペラディスクDの成形目標形状(成形品形状)に沿うように移動される。そのため、前記構成の成形装置1は、入力装置26での入力情報に応じて様々な移動軌跡Gを描くように成形ロール16を移動させることができるから、その移動軌跡Gの調節により、多種多様なインペラディスクDの仕様変更に容易に適合できる。しかも、この場合に、成形しようとするインペラディスクDをそれに最小限の余肉を与えて成形できるように移動軌跡Gを調節し設定できるので、成形されたインペラディスクDの仕上がり寸法精度を向上でき、そのため、このディスクDに対する後加工を容易にできる。
【0035】
又、前記のように一台の成形装置1によって仕様が異なるインペラディスクDを成形できるため、多種類のインペラディスクD毎に専用の成形加工装置を要することがなく設置スペースも少なくて済むから、成形コストを低減する上で有利である。しかも、本実施形態では、成形ロール16が単一であり、それにしたがって成形ロール移動機構17も単一で済むから、成形装置1自体の構成も簡単にできる。
【0036】
なお、本発明はインペラディスク以外のディスク状部品の成形に適用できるとともに、冷間での加工にも適用できる。
【0037】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0038】
素材がセットされた成形テーブルを回転駆動させながら、素材に自由回転する成形ロールを押付け、この成形ロールを成形テーブルに次第に近づかせつつ成形テーブルの外周に向けて、成形ロールが素材に接しているときに、この成形ロールをディスク状部品の成形目標形状に沿うように移動させ、素材の成形に伴いその外周部拡張時に外周部が円周方向に沿って引張り応力下とならないようにして成形する本発明のディスク状部品の成形方法によれば、同じ成形テーブル上で素材からディスク状部品を成形できるので、簡単な工程でディスク状部品を成形できる。
又、ディスク状部品の仕様変更に際しても、その仕様に応じた成形目標形状に沿うように成形ロールを移動させて成形することにより、成形されるディスク状部品の余肉を少なくして、高精度にディスク状部品を成形でき、更に、外周部が円周方向に沿って引張り応力下にならないようにしているため、外周部に割れを生じることを防止できるという効果がある。
【0039】
又、回転駆動される成形テーブルと、このテーブル上の素材の中心部を押圧して素材を成形テーブルとの間に挟んでセットするクランプと、自由回転する成形ロール、この成形ロールを互いに直交する方向に移動させる成形ロール移動機構、及びこの移動機構を制御して成形ロールの移動軌跡を調節可能な制御部を有する成形加工部とを具備し、成形ロールは、外周径に変化がないロール円周面及びこの円周面と成形テーブルの中心側を向いたロール端面と連続してつないだ曲面状のロール肩面とを有し、ディスク状部品の中央部から外周部にわたって成形される斜状面のアールの最小値よりもロール肩面のアールを小さくし、ロール円周面の幅は、素材の拡張されつつある外周部を成形テーブルに押えて圧縮応力を付加させる長さに設定されている本発明のディスク状部品の成形装置によれば、同じ成形テーブル上で素材からディスク状部品を成形できるとともに、成形ロールの移動軌跡調節により様々な仕様のディスク状部品を成形でき、しかも、これらの成形においてディスク状部品の余肉を少なくできる。したがって、簡単な工程で多種多様なディスク状部品を高精度に作ることができる。
又、成形ロールを交換することなく、ロール肩面による斜状面の成形及びそれに伴い素材の半径方向外側へ広がる材料をロール円周面で成形テーブル側に押さえつつディスク状部品を成形でき、更に、拡張されつつある外周部を成形テーブルに押えて圧縮応力が付加されるため、外周部に割れを生じることを防止できるという効果がある。
【0040】
又、上記の装置において、クランプのクランプ軸は、その先端部に形成された押さえ端部からこれを支持したクランプ軸主部への伝熱が抑制されていることにより、クランプ軸側への熱伝導を抑制して素材の温度低下を少なくし、加工性の低下を抑制できるという効果がある。
【0041】
又、上記の装置において、成形テーブルは、その上面に、中央部に放射状に設けられた線状突起と、その外側に位置する多数の島状突起とから形成された滑り止めが設けられていることにより、素材の加工時に素材が成形テーブルと一体的に回転されるように、それらの突起が素材の載置された面に食い込んで、素材の回り止めをすることができるという効果がある。
【0042】
又、上記の装置において、成形ロールを単一としたことにより、成形加工部の構成が簡単となるから、コストの低減に寄与できるという効果がある。
【0043】
又、上記の装置において、成形ロールをオフセットして配置したことにより、成形ロールが素材を半径方向に外側に広げ易いから、成形性能を高くできるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るインペラディスクの成形装置を示す断面図。
【図2】図1の成形装置が備える成形ロールと成形されるインペラディスクとの位置関係を平面的に見て示す図。
【図3】図1の成形装置が備える成形テーブルを示す平面図。
【図4】図1の成形装置が備える成形ロールを示す側面図。
【図5】(A)〜(C)は図1の成形装置を用いて行われる成形方法の工程を順を追って示す図。
【図6】(A)〜(D)はインペラディスクの従来の成形方法の工程を順を追って示す図。
【符号の説明】
1…成形装置
2…成形テーブル
3…クランプ
4…成形加工装置
5…テーブル駆動器
11…クランプ軸
12…クランプ軸昇降器
16…成形ロール
16a…ロール円周面
16b…ロール端面
16c…ロール肩面
r…ロール肩面のアール
17…成形ロール移動機構
18…制御部
A1、A2…素材
D…インペラディスク(ディスク状部品)
Da…斜状面
G…成形テーブルの移動軌跡
X…成形テーブルの中心軸線
Y…成形ロールの中心軸線
R…成形テーブルの任意半径線
L…オフセット量
Claims (6)
- 素材がセットされた成形テーブルを回転駆動させながら、前記素材に自由回転する成形ロールを押付け、この成形ロールを前記成形テーブルに次第に近づかせつつ前記成形テーブルの外周に向けて、前記成形ロールが前記素材に接しているときに、この成形ロールをディスク状部品の成形目標形状に沿うように移動させ、素材の成形に伴いその外周部拡張時に外周部が円周方向に沿って引張り応力下とならないようにして成形することを特徴とするディスク状部品の成形方法。
- 回転駆動される成形テーブルと、このテーブル上の素材の中心部を押圧して前記素材を前記成形テーブルとの間に挟んでセットするクランプと、自由回転する成形ロール、この成形ロールを互いに直交する方向に移動させる成形ロール移動機構、及びこの移動機構を制御して前記成形ロールの移動軌跡を調節可能な制御部を有する成形加工部とを具備し、前記成形ロールは、外周径に変化がないロール円周面及びこの円周面と前記成形テーブルの中心側を向いたロール端面と連続してつないだ曲面状のロール肩面とを有し、ディスク状部品の中央部から外周部にわたって成形される斜状面のアールの最小値よりも前記ロール肩面のアールを小さくし、ロール円周面の幅は、素材の拡張されつつある外周部を成形テーブルに押えて圧縮応力を付加させる長さに設定されていることを特徴とするディスク状部品の成形装置。
- 前記クランプのクランプ軸は、その先端部に形成された押さえ端部からこれを支持したクランプ軸主部への伝熱が抑制されていることを特徴とする請求項2に記載のディスク状部品の成形装置。
- 前記成形テーブルは、その上面に、中央部に放射状に設けられた線状突起と、その外側に位置する多数の島状突起とから形成された滑り止めが設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載のディスク状部品の成形装置。
- 前記成形ロールを単一としたことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のディスク状部品の成形装置。
- 前記成形テーブルの任意半径線に対して、前記成形ロールの中心軸線をオフセットして前記成形ロールを配置したことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のディスク状部品の成形装置。
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