JP3679859B2 - 剥離シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は剥離シートに関し、詳述すればプラスチックフィルムを基材として用いる場合に好適な剥離シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、粘着製品の粘着剤保護のために、紙やプラスチックフィルム等の基材にシリコーンを塗布した剥離シートが知られている。剥離剤として使用するシリコーンには、シリコーン基剤を好適な溶剤に溶解した溶剤型のシリコーン、溶剤を含有しない無溶剤型シリコーン、及び、シリコーン基剤を水性の分散媒に乳化分散したエマルジョン型シリコーンがある。
【0003】
溶剤型シリコーンは、各種基材への塗工性が良好で、剥離性能の調製が容易なことから幅広く使用されているが、有機溶剤を含有するため、取扱い時や保存時の安全性を確保する設備や作業条件を必要としていた。さらに、ポリスチレン、セルローストリアセテート、ポリカーボネート等の耐溶剤性の乏しい基材には適用しにくいという問題点を有していた。
【0004】
無溶剤型シリコーンは溶剤に関する問題はないものの、基材表面へ均一に薄く塗布することが困難であり、特に、フィルム状基材へ塗布する場合、塗布量が多くなると、ロール状にした場合に、塗工面と塗工背面とがブロッキングし、剥離不良となる虞がある。
【0005】
エマルジョン型シリコーンは、溶剤型シリコーンに比べ、剥離力の速度依存性、剥離力の経時変化が少なく、また、製造時に溶剤を使用しないことから環境的にも優れていることが知られている。即ち、溶剤型シリコーンを用いた剥離層を有する剥離シートを粘着剤に使用した場合、剥離速度が低いと軽剥離となり良好に剥離しうるが、高速で剥離すると重剥離となる傾向があり、剥離の際に接着剤が残存する虞があり、また、セパレーターエイジング即ち剥離シート形成後に保存することにより、剥離性能が重剥離から軽剥離へと経時的に変化する傾向があった。しかしながら、エマルジョン型シリコーンは、(1)エマルジョン即ち水性分散媒を用いているため、プラスチックフィルム基材への塗工性、密着性が十分でない、(2)シリコーン基剤を乳化分散するための乳化剤、界面活性剤、塗工性を改良するための増粘剤等が剥離層中に残存するため、貼着した粘着剤の物性に影響する虞があり、使用する粘着剤の選定が困難である、などの問題がありプラスチックフィルム基材の剥離剤としては汎用されていないのが現状であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような背景下においてなされたものであり、剥離力の速度依存性、剥離力の経時変化が少なく、溶剤を使用せず安全性の高いエマルジョン系のシリコーンを、プラスチックフィルム基材の剥離剤として好適に用いた、剥離層と基材との密着性が十分で、従来のシリコーンが硬化阻害をうけるようなフィルムや耐溶剤性の乏しいフィルムをも剥離シート基材として使用でき、且つ、セパレーターエージングでの軽剥離化が少ない、即ち、経時しても安定した剥離性能を示す剥離シートを提供することを目的とする。
【0007】
【問題を解決するための手段】
本発明者は、プラスチックフィルム基材上にエマルジョン型シリコーンからなる剥離層を設けるにあたり、水溶性高分子からなる中間層を介して剥離層を積層することにより前記問題点を解決し得ることを見出して本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明の剥離シートの製造方法は、プラスチックフィルム基材の少なくとも一面に、水溶性高分子からなる中間層及び、エマルジョン型シリコーンからなる剥離層を順次積層してなることを特徴とする。
【0009】
さらに、前記プラスチックフィルム基材の前記中間層を積層する面に接着向上処理を施したことを特徴とする。
【0010】
この発明に係る剥離シートは、水溶性高分子からなる中間層を設けたため、前記中間層はプラスチックフィルム基材との密着性が良好で、且つ、水溶性高分子がエマルジョン型シリコーンの分散媒である水性溶媒とも親和性が高いため、エマルジョン型シリコーンの塗工性が向上し、基材と剥離層との密着性が良好であり、且つ、シリコーンの硬化を阻害する物質を含有する基材をも使用することができ、エマルジョン型シリコーンの利点である剥離力の速度依存性が低い、剥離力の経時変化が少ないなどの優れた特性を損なうことなく、基材に対して密着性が良い剥離シートを提供しうるものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明の剥離シートは、前記の如くプラスチックフィルム基材の少なくとも一面に水溶性高分子からなる中間層を形成し、さらに、エマルジョン型シリコーンからなる剥離層を積層して構成されるが、各層について順次、説明する。
【0013】
本発明の剥離シートに使用するプラスチックフィルム基材としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン系フィルム、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、セルローストリアセテート等が挙げられ、特に、耐溶剤性の乏しいポリスチレン、ポリカーボネート、セルローストリアセテート等を基材とした場合には、本発明の効果が顕著に現れる。また、これらのフィルムに帯電防止剤や導電性塗料などを処理した基材用いてもよく、さらに、前記のフィルムに金属蒸着層を形成したもの基材として用いることができる。これらのプラスチックフィルム基材の厚さは、とくに限定されるものではないが、通常12〜200μmとすることが好ましい。
【0014】
また、本発明においてプラスチックフィルム基材とは、必要に応じて前記フィルム等を複数積層した複合フィルム、またはクラフト紙や上質紙、グラシン紙などの紙基材に前記のプラスチック材料を10〜30μm厚で片面あるいは両面にラミネートしたものなども包含する。さらに、本発明の範囲には属さないが、本発明は、例えば、アルミニウム箔等の金属箔の如く、水性分散媒との親和性の低い基材にも適用が可能である。
【0015】
本発明の剥離シートにおいては、前記のフィルム基材の少なくとも一面に水溶性高分子からなる中間層を形成するものであるが、本発明に利用しうる水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドンなどのビニル系高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどのセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、でんぷん、カゼイン、ゼラチンなどの蛋白質系高分子などの水溶性高分子から選ぶことができる。これらの水溶性高分子の塗布厚さはとくに制限されるものではないが、プラスチックフィルム基材の透明性を損なわない範囲、即ち樹脂の乾燥膜厚で約0.02〜20μmとすることが好ましい。
【0016】
これらの水溶性高分子を、基材であるプラスチックフィルムの塗布するにあたっては、層間の接着性向上のため、基材表面に、マット処理、コロナ放電処理、酸化炎処理等の表面処理をおこなうことが好ましい。
【0017】
また、この水溶性高分子の塗布液には、吸湿による表面のブロッキングを防止するため、クロム酸、グリオキザール等の硬化剤を、表面に塗布するエマルジョン型シリコーンとの接着性を阻害しない範囲で適宜添加配合してもよい。
【0018】
また、水溶性高分子を塗布するときに、その溶液中にプラスチックフィルムとの接着性を増加させるため、カップリング剤を配合してもよく、さらに紫外線防止剤、帯電防止剤等をプラスチックフィルムとの接着性を損なわない範囲で配合してもよい。さらに、この水溶性高分子溶液中に、エマルジョン型シリコーンとの接着性を確保するため、前記エマルジョン型シリコーンを塗布前に予め若干量添加してもよい。
【0019】
水溶性高分子を塗布する方法としては、水溶性高分子溶液を、メイヤーバーコーティング、グラビヤコーティング、ロールコーティング、リバースコーティング、エヤーナイフコーティング等の通常の塗布方法を適宜、採用し得る。
【0020】
中間層は、前記水溶性高分子液を塗布、乾燥することにより形成されるが、該中間層表面に、エマルジョン型シリコーンを塗布して剥離層を形成するに当たっては、該中間層表面を前記プラスチックフィルム基材と同様にコロナ放電処理、酸化炎処理等の接着向上のための表面処理を施してもよい。
【0021】
本発明に用い得るエマルジョン型シリコーンの代表的なものとしては、市販品では、東レダウコーニングシリコーン社製のSyl−Off7198、Syl−Off7900、東芝シリコーン社製のSM3000、SM3200、ダウコーニングアジア社製のFS XF−2984等が挙げられる。
【0022】
エマルジョン型シリコーンの塗布方法は、前記水溶性高分子液における塗布方法と同様に、公知の塗布方法を好適に適用しうる。
【0023】
エマルジョン型シリコーンを中間層表面に塗布する際には、さきに形成した水溶性高分子からなる中間層の表面が、エマルジョン型シリコーンに用いられた水性の分散媒によって、一部軟化または溶解するが、このことにより、中間層と剥離層を形成するエマルジョン型シリコーンとの接着性が向上する。
【0024】
エマルジョン型シリコーンを塗布する際の塗布量としては、溶液で5〜30g/m2 、シリコーン固形分で0.05〜2g/m2 程度であることが好ましい。塗布量がシリコーン固形分で0.05g/m2 未満であると、剥離性能が不安定であり、2g/m2 を超えるとロール状にしたときに塗工面と塗工背面とがブロッキングし易くなり、剥離性能も不安定となる。
【0025】
塗布したエマルジョン型シリコーンを硬化して剥離層を形成する工程においては、硬化手段として、加熱硬化、放射線照射による硬化などが採用できる。硬化は使用されるシリコーンの特性に応じて公知の方法で行えばよい。
【0026】
【実施例】
以下に、具体例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこの実施例に制限されるものではない。
【0027】
〔実施例1〜2〕
予め、片面にコロナ放電処理を行った、厚さ25μmのポリエステルフィルムの処理側表面に、下記表1に示す配合で調製した水溶性高分子の塗布液を、付着量14g/m2 となるようにメイヤーバーを用いて塗布し、140℃で60秒間加熱し、乾燥させて中間層を形成した。(固形分約0.13g/m2 )
その後、下記表1に示すエマルジョン型シリコーンの塗布液を調製し、前記中間層表面に付着量(固形分)0.2g/m2 となるように塗布し、140℃で60秒間加熱し、硬化させて剥離層を形成し、剥離シートを製造した。
【0028】
【表1】
【0029】
なお、実施例で用いた各配合成分は以下の通りである。
アルギン酸ナトリウム:昭和化学社製
セロゲン7A:カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、第一工業製薬社製
SM3000:付加反応型シリコーンエマルジョン、東芝シリコーン社製
SM3010:付加反応型シリコーンエマルジョン触媒、東芝シリコーン社製
〔比較例1〕
前記実施例1において、中間層を形成しなかった他は、実施例1と同様にして剥離層を形成し、剥離シートを製造した。
【0030】
〔比較例2〕
下記表2に示すエマルジョン型シリコーンの塗布液を調製し、実施例1で用いたのと同様の片面にコロナ放電処理を行った厚さ25μmのポリエステルフィルムの処理側表面に、付着量(固形分)0.2g/m2 となるように塗布し、140℃で60秒間加熱し、硬化させて剥離層を形成し、剥離シートを製造した。
【0031】
【表2】
【0032】
〔比較例3〜4〕
下記表3に示す溶剤型シリコーンの塗布液を調製し、実施例1で用いたのと同様のコロナ放電処理を行った厚さ25μmのポリエステルフィルムの処理側表面に、中間層としてエチルセルロースを付着量14g/m2 (固形分0.13g/m2 )となるように塗布した基材の中間層表面に、付着量(固形分)0.2g/m2 となるように塗布し、140℃で60秒間加熱し、硬化させて剥離層を形成し、剥離シートを製造した。
【0033】
【表3】
【0034】
なお、比較例3〜4で用いた各配合成分は以下の通りである。
DK Q3−210:付加反応型シリコーン、ダウコーニングアジア社製
DK XK−3020:付加反応型シリコーン触媒、ダウコーニングアジア社製
SRX211:付加反応型シリコーン、東レダウコーニングシリコーン社製
SRX212:付加反応型シリコーンエマルジョン触媒、東レダウコーニング
つぎに前記の製造方法により得られた実施例及び比較例の剥離シートについて密着性を下記に示す条件で測定した。また、得られた剥離シートを、温度20℃の雰囲気下に3日間放置した後、下記に示す剥離力、残留接着率試験に付した。結果を下記表4に示す。なお、剥離力については、製造された剥離シートを温度50℃の雰囲気下に7日間放置した後の剥離力を測定してその経時変化を確認した。
【0035】
1)塗工性
得られた剥離シートの中間層及びシリコーン塗工面を目視により観察し、下記の基準に従って評価した。
〇:塗工性良好、△:若干のムラ、ハジキが見られた、×:不良、××:極めて不良
【0036】
2)密着性
得られた剥離シートの塗工面を指の腹で強く5回擦った後、塗工面の変化を目視により観察し、下記の基準に従って評価した。
〇:良好、△:多少シリコーンの脱落が見られた、×:シリコーンが脱落する
【0037】
3)剥離力
坪量54g/m2 の上質紙の片面にSKダイン801B(創研化学(株)製)を、厚さ130μmとなるようにアプリケーターで塗布し、100℃の雰囲気内で2分間乾燥し、実施例および比較例で作成した剥離シートに2kg重のゴムロールで押圧しながら貼着したのち、40℃の条件で72時間放置し、幅50mm、長さ150mmに切断し、JIS Z 0237(粘着テープ・粘着シート試験方法)に規定された方法に従って引張試験機で剥離した時の抵抗値を読み取る。
【0038】
3)残留接着率
剥離シートに、ポリエステルテープ(日東電工株式会社製 31B)を貼り合わせて、20g/cm2 の荷重をのせて70℃で20時間加熱処理した後、これを剥離シートから剥してステンレス板に貼着する。一方、同テープをステンレス板に貼着したものをブランクとし、それぞれ引張試験機で剥れるときの抵抗値を測定してブランクを基礎として百分比を算出する。数値が100%に近い程残留接着率が良好であると判定する。
【0039】
【表4】
【0040】
表4の結果より明らかなように、本発明の製造方法により得られた剥離シートである実施例1〜2はいずれも、基材との密着性に優れ、経時後の剥離性能の変化が殆どなく、安定した剥離性能を有し、さらに、残留接着率も良好なことから、剥離剤であるシリコーンの粘着剤への移行に起因する接着力の低下も見られないことがわかった。一方、エマルジョン型シリコーンの剥離層のみが形成された比較例1は、基材シートであるPETフィルムへの塗工性が悪く、塗料のハジキを生じる。また、PETフィルムへの密着性に劣る。一方、エマルジョン型シリコーンに水溶性高分子を内添した比較例2は、塗工性、密着性ともに不十分なうえ、剥離性能が劣っていた。従来より汎用される溶剤型シリコーンを用いた比較例3〜4は、塗工性及び密着性は良好なものの、剥離力の速度依存性が大きく、且つ、高温雰囲気下での経時による剥離性能の軽剥離化が観察され、安定した剥離性能が得られなかった。
【0041】
【発明の効果】
以上のように、本発明の剥離シートによれば、安全性の高いエマルジョン系のシリコーンを剥離剤として用いた、剥離層と基材との密着性が十分で、経時しても安定した剥離性能を示し、特に、軽剥離化の少ない剥離シートを得ることができる。
Claims (2)
- プラスチックフィルム基材の少なくとも一面に、水溶性高分子からなる中間層及び、エマルジョン型シリコーンからなる剥離層を順次積層してなることを特徴とする剥離シート。
- 前記プラスチックフィルム基材の前記中間層を積層する面に接着向上処理を施したことを特徴とする請求項1記載の剥離シート。
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|---|---|---|---|
| JP11735796A JP3679859B2 (ja) | 1996-05-13 | 1996-05-13 | 剥離シート |
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| JP11735796A JP3679859B2 (ja) | 1996-05-13 | 1996-05-13 | 剥離シート |
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| JPH09300519A JPH09300519A (ja) | 1997-11-25 |
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| JP11735796A Expired - Fee Related JP3679859B2 (ja) | 1996-05-13 | 1996-05-13 | 剥離シート |
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Cited By (1)
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|---|---|---|---|---|
| CN109433551A (zh) * | 2018-10-18 | 2019-03-08 | 厦门安德立科技有限公司 | 一种魔术贴离型膜的涂硅工艺 |
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|---|---|---|---|---|
| JP5412745B2 (ja) * | 2008-04-11 | 2014-02-12 | 凸版印刷株式会社 | 剥離シート |
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1996
- 1996-05-13 JP JP11735796A patent/JP3679859B2/ja not_active Expired - Fee Related
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