JP3302422B2 - 剥離紙用下塗り剤及び剥離紙用下塗り層を有する剥離紙 - Google Patents

剥離紙用下塗り剤及び剥離紙用下塗り層を有する剥離紙

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JP3302422B2
JP3302422B2 JP35433892A JP35433892A JP3302422B2 JP 3302422 B2 JP3302422 B2 JP 3302422B2 JP 35433892 A JP35433892 A JP 35433892A JP 35433892 A JP35433892 A JP 35433892A JP 3302422 B2 JP3302422 B2 JP 3302422B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、剥離紙用水性下塗り剤
及び剥離紙用下塗り剤層を有する剥離紙に関し、更に詳
しくは、熱ブリスターを発生せず、溶剤バリヤー性に優
れた剥離紙用下塗り層を形成する特殊な合成樹脂水性分
散液を主剤とする剥離紙用水系下塗り剤及びこの下塗り
剤を使用した剥離紙に関する。
【0002】
【従来の技術】粘着シート、粘着ラベルには粘着層の保
護を目的として、剥離紙が積層されている。この剥離紙
は、基紙にシリコーン樹脂などの剥離剤の溶剤溶液を塗
布して製造されるが、剥離剤は剥離紙の表面にのみ存在
すれば良く、剥離剤溶剤溶液が基紙中に浸透するのを防
止するとともに、基紙に密着した剥離剤の均一な皮膜を
形成するために、基紙上に下塗り剤層が設けられ、下塗
り剤層上に剥離剤溶剤溶液を塗布して製造されている。
下塗り剤層を形成する方法としては、ポリビニルアルコ
ール水溶液に代表される合成樹脂水性液を塗工する方法
と、ポリエチレンを溶融し押出し塗工する方法とが知ら
れている。
【0003】また、最近では、ポリビニルアルコール水
溶液下塗り剤の塗工作業性や耐熱収縮性の欠点を改善す
るため、アクリル系樹脂エマルジョンを主剤とした水系
の下塗り剤も特願昭60−245683号や特開平4−
209682号に提案されている。下塗り剤として最も
重要な性質は、その目的から明らかなように第一に溶剤
バリヤー性であるが、剥離紙の用途が拡大するに伴い、
多様な性能が要求されるようになった。剥離紙として
は、片面に下塗り剤層と剥離剤層を設けた片面剥離紙
と、両面に下塗り剤層と剥離剤層を設けた両面剥離紙が
ある。片面剥離紙には下塗り剤として、前述のようにポ
リビニルアルコール水溶液の塗工やポリエチレンを溶融
し押出し塗工する方法が行なわれ、両面剥離紙にはポリ
エチレンを溶融し押出し塗工する方法が一般的に行なわ
れている。
【0004】両面剥離紙では、一般的にはまず片面に下
塗り剤を塗工後、裏面に下塗り剤を塗工するが、この
際、高温乾燥(120℃以上)とすると、熱ブリスター
が発生しやすいため水系の剥離紙用下塗り剤は使用が困
難とされていた。ポリエチレンを溶融し押出し塗工する
方法は、比較的熱ブリスターは発生しにくいため両面剥
離紙の下塗り剤層として使用されているのである。
【0005】ポリエチレンを溶融し押出し塗工する方法
では、塗工するのに専用の装置が必要でかつ高速化が困
難なことおよび塗布した下塗り層の耐熱性が劣ることか
ら水系の剥離紙用下塗り剤が望まれている。
【0006】熱ブリスターとは、下塗り剤を塗工後、高
温乾燥(120℃以上)した時に生じるフクレであり、
片面剥離紙や両面剥離紙における片面の下塗り剤におい
ては、下塗り剤塗工層からの気体や水分の飛散は、塗工
表面だけでなく基紙側からも起こるので、熱ブリスター
の問題は起こりにくい。しかしながら、両面剥離紙にお
ける裏面の下塗り剤の塗工では、基紙の片面にはすでに
下塗り剤層が設けられているため、基紙側からの気体や
水分の飛散が起こらないため、熱ブリスターが発生しや
すい。熱ブリスターが発生するとピンホールが出来、溶
剤バリヤー性が失われ、外観も著しく悪くなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】剥離紙用下塗り剤とし
て、溶剤バリヤー性に優れ、剥離剤であるシリコーン樹
脂との密着性が良好で高速塗工と着量コントロールがし
やすい高濃度で低粘度の水系下塗り剤で、しかも両面剥
離紙にも使用できる特に裏面の下塗り剤塗工時にも熱ブ
リスターが発生しにくい水系下塗り剤を提供しようとす
るものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、溶剤バリ
ヤー性に優れたポリビニルアルコールとポリビニルアル
コールとの相溶性が良い酢酸ビニル系樹脂に着目し、ポ
リビニルアルコールの種類と酢酸ビニル系樹脂の組成に
ついて検討を続け、更に酢酸ビニル系樹脂の粒子径が溶
剤バリヤー性や熱ブリスター性などに影響のあることを
解明し乳化重合方法についても鋭意研究を重ねた結果、
特定の低重合度のポリビニルアルコールを使用し、この
ポリビニルアルコール水溶液中で予め特定の水溶性単量
体を重合してから酢酸ビニルを主体とする単量体組成物
を乳化重合することにより得られた、平均粒子径0.1
〜1μmであり、かつ固形分濃度40重量%における粘
度が2000センチポイズ以下である合成樹脂水性分散
液が、溶剤バリヤー性に優れ、熱ブリスターが発生しに
くく、その他の要求特性も満足する剥離紙用下塗り剤と
なることを見出し本発明を完成した。
【0009】本発明は、 「1. (A)酢酸ビニル 50
〜99重量% (B)ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミド基から
選んだ基を1または2以上有する水溶性単量体から選ば
れた1種または2種以上 1〜20重量% (C)A、B、単量体と共重合する単量体 0〜
49重量% からなる単量体組成物を平均重合度800以下で鹸化度
60〜99モル%のポリビニルアルコール水溶液中で予
め(B)の水溶性単量体の一部または全部をポリビニル
アルコール水溶液中で重合し、その後に残りの単量体組
成物を加えて乳化重合して得た、平均粒子径が0.1〜
1μmであり、かつ固形分濃度40重量%における粘度
が2000センチポイズ以下である合成樹脂水性分散液
を主成分とする剥離紙用水性下塗り剤。 2. (C)共重合可能な単量体のうち0.1〜5重量
%が不飽和基を2以上有する単量体である、1項に記載
された剥離紙用水性下塗り剤。 3. ポリビニルアルコールを乳化重合時に使用した以
外に合成樹脂水性分散液に粘度が2000センチポイズ
以上とならない範囲で後添加した、1項または2項に記
載された剥離紙用水性下塗り剤。 4. 単量体組成物の重量と全ポリビニルアルコールの
重量比が100:10〜35である、1項ないし3項の
いずれか1項に記載された剥離紙用水性下塗り剤。 5. 合成樹脂水性分散液100重量部(固形分換算)
に水溶性ポリエステル(固形分換算)10〜50重量部
を添加した、1項ないし4項のいずれか1項に記載され
た剥離紙用水性下塗り剤。 6. 1項ないし5項のいずれか1項に記載された剥離
紙用水性下塗り剤を基紙上に塗布乾燥し、その上に剥離
剤溶剤溶液を塗布してなる剥離紙。 7. 剥離剤溶液がシリコーン樹脂をトルエンに溶解し
た溶液である、6項に記載された剥離紙。」に関する。
【0010】
【作用】本発明に使用される特定の低重合度のポリビニ
ルアルコールとしては、重合度800以下で鹸化度60
〜99モル%のポリビニルアルコールが使用される。特
に重合度が50〜600のものが適当である。アセトア
セチル化変性ポリビニルアルコール、アセタール化変性
ポリビニルアルコール、カルボキシル化変性ポリビニル
アルコールなどの変性ポリビニルアルコールでも重合度
800以下であれば使用することが出来る。重合度が8
00以上であると水性分散液の粘度が高くなり、固形分
濃度40重量%における粘度が2000センチポイズ以
下に保つことが出来ない。
【0011】本発明に使用される全単量体のうち50重
量%以上が酢酸ビニルである。酢酸ビニルが50重量%
以下となると、乳化重合時に使用するポリビニルアルコ
ールとの相溶性が低下して、均一な皮膜が得られなくな
り、溶剤バリヤー性が低下する。
【0012】本発明に使用される水溶性単量体として
は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミド基から選
んだ基を1または2以上有する水溶性単量体から選ばれ
た1種または2種以上が使用される。水溶性単量体の使
用量は1〜20重量%である。ヒドロキシ基を有する水
溶性単量体としては、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロ
キシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメ
タクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2
−ヒドロキシブチルメタクリレートなどが挙げられる。
カルボキシル基を有する水溶性単量体としては、アクリ
ル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマー
ル酸、イタコン酸などが挙げられる。アミド基を有する
水溶性単量体としては、アクリルアミド、メタクリルア
ミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロール
メタクリルアミドなどが挙げられる。水溶性単量体とし
て最も好ましいものは、2−ヒドロキシエチルメタクリ
レートである。水溶性単量体は全単量体中1〜20重量
%である。1重量%以下では、平均粒子径が0.1μm
以上の水性分散液が得られず、熱ブリスター性が悪い。
また、20重量%以上では、水性分散液の粘度が高くな
り、固形分濃度40重量%における粘度が2000セン
チポイズ以下に保つことが出来ない。
【0013】本発明に使用される共重合可能な単量体と
しては、プロピオン酸ビニル、α−位で分岐したカルボ
ン酸のビニルエステル、などの酢酸ビニル以外のビニル
エステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アク
リル酸ブチル、アクリル酸2エチルヘキシル、n−ラウ
リルアクリレート、トリデシルアクリレート、n−ステ
アリルアクリレート、などのアクリル酸エステル;メタ
クリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブ
チル、メタクリル酸2エチルヘキシル、n−ラウリルメ
タクリレート、トリデシルメタクリレート、n−ステア
リルメタクリレート、などのメタクリル酸エステル;マ
レイン酸ジブチル、フマル酸ジブチルなどの不飽和酸エ
ステル;などが挙げられる。共重合可能な単量体の使用
量は0〜49重量%である。共重合可能な単量体は全単
量体中49重量%以下でなけらばならない。49重量%
以上であると、乳化重合時に使用するポリビニルアルコ
ールとの相溶性が低下して、均一な皮膜が得られなくな
り、溶剤バリヤー性が低下する。
【0014】共重合可能な単量体のうち0.1〜5重量
%を不飽和基を2以上有する単量体に置き換えて使用す
ることも出来る。不飽和基を2以上有する単量体として
は、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリ
コールジメタクリレート、トリアリルシアヌレート、ト
リアリルイソシアヌレート、テトラアリルオキシエタン
などが挙げられる。
【0015】本発明の剥離用紙下塗り剤の主剤である合
成樹脂水性分散液を得るには、(A)酢酸ビニル50〜
99重量%、(B)水溶性単量体1〜20重量%、
(C)共重合可能な単量体0〜49重量%からなる単量
体組成物を平均重合度800以下で鹸化度60〜99モ
ル%のポリビニルアルコール水溶液中で乳化重合するに
あたり、予め水溶性単量体の一部または全部をポリビニ
ルアルコール水溶液中で重合し、その後に残りの単量体
組成物を乳化重合することにより得られる。
【0016】合成樹脂水性分散液は、平均粒子径0.1
〜1μmであり、かつ固形分濃度40重量%における粘
度が2000センチポイズ以下である。粘度が2000
センチポイズ以上となると、一般的な塗工機では高速塗
工を行なうことが出来ず、比較的に低速度で塗工しても
均一な皮膜になりにくく、溶剤バリヤー性が得られな
い。平均粒子径が0.1μm以下では緻密な皮膜とな
り、溶剤バリヤー性には効果的であるが、熱ブリスター
性が悪くなる。また、1μm以上では、熱ブリスターが
発生し難くなるが、ポーラスな皮膜表面となり、溶剤バ
リヤー性が悪くなる。
【0017】ポリビニルアルコールの乳化重合時の使用
量は全単量体組成物100重量部に対して10〜35重
量部が適当である。ポリビニルアルコールの使用量が3
5重量部を越えると合成樹脂水性分散液の粘度が高くな
り、固形分濃度40重量%における粘度が2000セン
チポイズを越える。また、これ以上ポリビニルアルコー
ルの使用量を多くしても溶剤バリヤー性などの硬化の向
上は期待出来ない。
【0018】合成樹脂水性分散液には、粘度が2000
センチポイズ以上とならない範囲においてさらにポリビ
ニルアルコールを後添加しても良く、後添加した場合も
単量体組成物の重量とポリビニルアルコールの重量との
垂量比は100:10〜35の範囲にあることが必要で
ある。後添加するポリビニルアルコールは前述の重合度
の800以下で鹸化度60〜99モル%のポリビニルア
ルコールでもよいが、粘度が2000センチポイズ以上
とならない範囲において重合度800以上のポリビニル
アルコールも使用される。
【0019】本発明の剥離紙用下塗り剤は、特定のポリ
ビニルアルコールと特定の水溶性単量体の高分子が保護
コロイドとして存在し、酢酸ビニル系樹脂粒子が平均粒
子径0.1〜1μmとして存在しているものであり、溶
剤バリヤー性に優れ、剥離剤であるシリコーン樹脂との
密着性が良好で、高速塗工と着量コントロールがしやす
く高濃度で低粘度のものである。更に耐熱性が良いこと
から、高温乾燥時において熱ブリスターが発生しないの
で両面剥離紙用にも使用出来る剥離紙用下塗り剤であ
る。
【0020】本発明の剥離紙用下塗り剤は、ポリエチレ
ンと比べて耐熱性に優れ、ポリビニルアルコールと比べ
て耐熱収縮性が優れている。特に、耐熱収縮性の悪ポリ
ビニルアルコールは剥離紙用基紙に薄い紙を用いると、
波打ち現象やカール現象の発生が問題となるが、耐熱収
縮性に優れている本発明の剥離紙用下塗り剤は、波打ち
現象やカール現象が起こりにくいので、剥離紙用基紙に
薄い紙を使用することが出来る。
【0021】本発明の剥離紙用下塗り剤は平均粒子径が
0.1〜1μmと比粒的大きいので剥離紙用基紙への浸
透が抑えられ、塗工した剥離紙用下塗り剤層の表面は、
平滑で光沢が良好である。優れた溶剤バリヤー性は、特
定のポリビニルアルコールとポリビニルアルコールとの
相溶性が良い酢酸ビニル系樹脂とからなり、更に、酢酸
ビニルとポリビニルアルコールとの間にはグラフト重合
的架橋が生じており、溶剤バリヤー性を高めている。ま
た、界面活性剤のような低分子化合物を含有していない
ことも優れた溶剤バリヤー性が得られる理由の一つであ
る。
【0022】ポリビニルアルコールを使用し高濃度、低
粘度の合成樹脂水性分散液を得るためには、ポリビニル
アルコールとして平均重合度800以下で鹸化度60〜
99モル%の特定のポリビニルアルコールが必要不可欠
である。平均重合度800以上のポリビニルアルコール
を使用すると水溶液の粘度が高くなり、低粘度に保つこ
とが出来ない。高濃度、低粘度であることは、高速塗工
が可能であり、工業的に効果が大きい。
【0023】熱ブリスター性が良好な理由はその全てが
明らかなわけではないが、乳化重合を行なって得られた
酢酸ビニル系樹脂の粒子径に要因のひとつがあり、平均
粒子径が0.1μm以下であると熱ブリスターを抑える
ことが出来なかった。剥離紙用下塗り剤を予め片面に塗
工して下塗り剤層を形成した基紙の裏面に塗布し高温乾
燥した場合、まず表面層から乾燥し、内部が未乾燥の状
態で表面に緻密で均一な層が形成されてしまえば、基紙
裏側に水蒸気が飛散できないことから水蒸気や水分は表
面のみしか飛散せず、結果として熱ブリスターが発生し
やすくなる。
【0024】本発明では、平均粒子径が適度に大きいた
め塗布した表面層の乾燥過程では水蒸気や水分が飛散し
やすく、その後、水層に存在するポリビニルアルコール
によって、粒子の融着が充分に進むため熱ブリスターが
良好で、かつ溶剤バリヤー性に優れた剥離紙用下塗り剤
層が形成されているものと考えられる。不飽和基を2以
上有する単量体を0.1〜5重量%使用して酢酸ビニル
系樹脂粒子に内部架橋を行なうと耐熱性が更にアップし
熱ブリスター性がより向上する。
【0025】本発明の下塗り剤を使用する剥離剤である
シリコーン樹脂との密着性が向上する。これは本発明の
剥離紙用下塗り剤中には、ポリビニルアルコールなどの
ヒドロキシル基が多量に存在するため、剥離剤であるシ
リコーン樹脂との密着性が向上する。また、密着性を阻
害する界面活性剤を含まないことも、密着性に優れてい
る理由のひとつである。シリコーン樹脂との密着性をよ
り向上するためには、水溶性単量体としてヒドロキシル
基を有する水溶性単量体を使用することが好ましい。
【0026】また、合成樹脂水性分散液に水溶性ポリエ
ステルを添加することにより、シリコーン樹脂との密着
性をより向上することが出来る。水溶性ポリエステルと
しては、ヒドロキシル基、カルボキシル基やスルホン酸
基などの親水性基をポリエステルポリマー中に導入した
自己乳化型ポリエステルの水溶液や水性分散液が使用さ
れる。ウレタン変性ポリエステルやアクリル変性ポリエ
ステルなども使用可能である。グリコールエーテルなど
の親水性有機溶剤を含まないものが好ましい。具体的に
は、互応化学株式会社製のプラスコートZ−446、プ
ラスコート Z−850などが挙げられる。水溶性ポリ
エステルの使用量は、合成樹脂水性分散液(固形分換
算)100重量部に対して10〜50重量部(固形分換
算)である。本発明の剥離紙用下塗り剤は、機械安定性
にも優れており、紙塗工機として一般的に使用されてい
るロールコーター、エアナイフコーター、グラビアコー
ター、バーコーターなどで基紙に塗工し乾燥される。基
紙としては特に限定されず、従来より剥離紙に用いられ
ているクラフト紙や上質紙などが使用される。塗工量は
固形分として3〜20g/m程度が適当である。シリ
コーンなどの剥離剤の溶剤溶液を下塗り剤層上に塗工し
剥離紙が得られる。
【0027】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。 製造例A 「合成樹脂水性分散液の製造」 温度計、撹拌機、還流冷却器および滴下ロートとを備え
た四つ口フラスコ中に次の組成のポリビニルアルコール
の水溶液を調整し、窒素置換を約15分間行なった。 ポリビニルアルコール(平均重合度300、鹸化度88モル%) 10重量部 ポリビニルアルコール(平均重合度600、鹸化度88モル%) 10重量部 脱イオン水 135重量部 四つ口フラスコを内温75℃に加熱し、10%過硫酸ア
ンモニウム2.0重量部と水溶性単量体として2−ヒド
ロキシエチルメタクリレート2重量部を添加し、0.5
時間重合を行なった。重合後、滴下ロートに準備した次
の組成の単量体組成物を3時間にわたって滴下し乳化重
合を行なった。 酢酸ビニル 70重量部 メチルメタクリレート 10重量部 ブチルアクリレート 13重量部 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 5重量部 その間に、10%過硫酸アンモニウム4.0重量部を滴
下中に分割して添加した。滴下終了後、さらに10%過
硫酸アンモニウム1.0重量部を加え約1時間内温を7
5℃に保ちながら撹拌を続け乳化重合反応を完結したの
ち冷却し、5%アンモニア水で約pH4.5に中和して
合成樹脂水性分散液を得た。得られた合成樹脂水性分散
液は平均粒子径0.3μmであり、固形分濃度45重量
%、粘度120センチポイズであった。
【0028】製造例B〜G 「合成樹脂水性分散液の製
造」 製造例Aにおいて、使用したポリビニルアルコール、使
用した水溶性単量体および使用した単量体組成物を表1
の通り代えた以外は、製造例Aと同様にして、合成樹脂
水性分散液を得た。得られた合成樹脂水性分散液の平均
粒子径、固形分濃度、粘度は表1の通りであった。
【0029】
【表1】
【0030】(註) TAE:テトラアリルオキシエタ
【0031】製造例イ 「比較のための合成樹脂水性分
散液の製造」 製造例Aにおいて、水溶性単量体を使用せずに、使用し
たポリビニルアルコールの量を多くした以外は、製造例
Aと同様にして、合成樹脂水性分散液を得た。得られた
合成樹脂水性分散液の平均粒子径、固形分濃度、粘度は
表2の通りであった。
【0032】製造例ロ 「比較のための合成樹脂水性分
散液の製造」 製造例Aにおいて、使用したポリビニルアルコールの半
分を平均重合度1,400、鹸化度88モル%のポリビ
ニルアルコールとした以外は、製造例Aと同様にして、
合成樹脂水性分散液を得た。得られた合成樹脂水性分散
液の平均粒子径、固形分濃度、粘度は表2の通りであっ
た。
【0033】製造例ハ 「比較のための合成樹脂水性分
散液の製造」 製造例Aにおいて、ポリビニルアルコールの一部を、界
面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルフェニルエ
ーテル硫酸ナトリウムに置き換えて使用した以外は、製
造例Aと同様にして、合成樹脂水性分散液を得た。得ら
れた合成樹脂水性分散液の平均粒子径、固形分濃度、粘
度は表2の通りであった。
【0034】
【表2】
【0035】(註) 界面活性剤:ポリオキシエチレン
アルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム
【0036】実施例1 製造例Aで得た合成樹脂水性分散液を水で希釈し固形分
濃度40重量%とし剥離紙用下塗り剤として使用した。
【0037】実施例2 製造例Aで得た合成樹脂水性分散液(固形分換算)10
0重量部に、ポリビニルアルコール(平均重合度50
0、鹸化度88モル%)5重量部および10重量部を添
加して、水で希釈し固形分濃度40重量%とし剥離紙用
下塗り剤とした。
【0038】実施例3 後添加のポリビニルアルコールを10重量部とした以外
は実施例2と同様にして剥離紙用下塗り剤とした。
【0039】実施例4 製造例Aで得た合成樹脂水性分散液(固形分換算)10
0重量部に、ポリビニルアルコール(平均重合度1,7
00、鹸化度88モル%)3重量部を添加して、水で希
釈し固形分濃度40重量%とし剥離紙用下塗り剤とし
た。
【0040】実施例5 製造例Aで得た合成樹脂水性分散液(固形分換算)10
0重量部に、水性ポリエステル(プラスコート Z−4
46:互応化学社製)を固形分換算で15重量部を添加
して、水で希釈し固形分濃度40重量%とし剥離紙用下
塗り剤とした。
【0041】実施例6〜9 製造例B,C,D,Fで得た合成樹脂水性分散液(固形
分換算)100重量部に、ポリビニルアルコール(平均
重合度500、鹸化度88モル%)10重量部を添加し
て、水で希釈し固形分濃度40重量%とし剥離紙用下塗
り剤とした。
【0042】実施例10 製造例Eで得た合成樹脂水性分散液(固形分換算)10
0重量部に、ポリビニルアルコール(平均重合度50
0、鹸化度88モル%)12重量部を添加して、水で希
釈し固形分濃度40重量%とし剥離紙用下塗り剤とし
た。
【0043】実施例11 製造例Gで得た合成樹脂水性分散液(固形分換算)10
0重量部に、ポリビニルアルコール(平均重合度50
0、鹸化度88モル%)5重量部を添加して、水で希釈
し固形分濃度40重量%とし剥離紙用下塗り剤とした。
【0044】比較例1,2 製造例イ〜ロで得た合成樹脂水性分散液を水で希釈し固
形分濃度40重量%として使用した。
【0045】比較例3,4 製造例イおよびハで得た合成樹脂水性分散液(固形分換
算)100重量部に、ポリビニルアルコール(平均重合
度500、鹸化度88モル%)10重量部を添加して、
水で希釈し固形分濃度40重量%として使用した。
【0046】試験1(塗工性試験) 実施例1〜11で得た剥離紙用下塗り剤及び比較例1〜
4で得た合成樹脂水性分散液をバーコーターで乾燥着量
5g/mおよび10g/mとなる量を坪量60g/
の上質紙の片面に塗布し、140℃、1分間乾燥
し、塗工性を試験した。 ○ …… 均一な塗工が出来、塗工面に光沢があった。 × …… 均一が塗工が出来ず、塗工面にはスジ目が出
来、光沢がなかった。 均一な塗工が出来た塗工紙を試料として下記の試験に供
した。
【0047】試験2(溶剤バリヤー性試験) 試料の塗工面に、有機染料を溶解したトルエン溶液(1
重量%)を塗布して裏抜けの有無を観察した。 ○ …… 裏抜け全く無し。 △ …… 裏抜けが部分的に認められる。 × …… 裏抜けが著しい。
【0048】試験3(熱ブリスター性試験) 試料の塗工面の裏面に、実施例1〜11で得た剥離紙用
下塗り剤及び比較例1〜4で得た合成樹脂水性分散液を
乾燥着量5g/mおよび10g/mとなる量を塗布
し、140℃、1分間乾燥し、塗装面の熱ブリスターを
観察した。 ○ …… 熱ブリスターが認められず、溶剤バリヤー性
も良好であった。 △ …… 熱ブリスターが部分的に認められ、熱ブリス
ターした部分の溶剤バリヤー性は低下した。 × …… 熱ブリスターが著しく溶剤バリヤー性も得ら
れなかった。
【0049】試験4(シリコーン樹脂の硬化性試験) 試料の塗工面に、下記のシリコーン樹脂のトルエン希釈
溶液(シリコーン分5重量%)を乾燥着量1g/m
なるように塗布し、140℃、45秒間乾燥してシリコ
ーン樹脂の硬化性を観察した。硬化性はセロハンテープ
が付着するか付着しないかで判断した。 ○ …… セロハンテープが付着しない。(シリコーン
樹脂は充分に硬化していた。) × …… セロハンテープが付着した。(シリコーン樹
脂の硬化が不充分であった) 付加重合型剥離紙用シリコーン 主剤 DK Q3−210(ダウコーニング社製) 硬化剤 FS KX−3020(ダウコーニング社製)
【0050】試験5(シリコーン樹脂の密着性試験) 試験4で硬化したシリコーン樹脂塗工面を脱脂綿で20
回ラビングして、シリコーン樹脂の密着性を観察した。
セロハンテープが付着するか付着しないかで判断した。 ○ …… 20回ラビング後もセロハンテープの剥離性
が変化なかった。 △ …… 剥離性が幾分失われラビング前よりセロハン
テープの剥離に抵抗があった。 × …… 剥離性が失われセロハンテープの剥離性は下
塗り層のみの場合とほとんど変わらなかった。 試験結果を表3、表4に示す。
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【発明の効果】本発明は剥離剤層の密着性が良好で、溶
剤バリヤー性も良く、熱ブリスターの発生のない優れた
効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−28203(JP,A) 特開 平6−145612(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21H 19/00 - 27/42 C08F 2/20

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)酢酸ビニル
    50〜99重量% (B)ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミド基から
    選んだ基を1または2以上有する水溶性単量体から選ば
    れた1種または2種以上 1〜20重量% (C)A、B、単量体と共重合する単量体 0〜
    49重量% からなる単量体組成物を平均重合度800以下で鹸化度
    60〜99モル%のポリビニルアルコール水溶液中で予
    め(B)の水溶性単量体の一部または全部をポリビニル
    アルコール水溶液中で重合し、その後に残りの単量体組
    成物を加えて乳化重合して得た、平均粒子径が0.1〜
    1μmであり、かつ固形分濃度40重量%における粘度
    が2000センチポイズ以下である合成樹脂水性分散液
    を主成分とする剥離紙用水性下塗り剤。
  2. 【請求項2】 (C)共重合可能な単量体のうち0.1
    〜5重量%が不飽和基を2以上有する単量体である、請
    求項1に記載された剥離紙用水性下塗り剤。
  3. 【請求項3】 ポリビニルアルコールを乳化重合時に使
    用した以外に合成樹脂水性分散液に粘度が2000セン
    チポイズ以上とならない範囲で後添加した、請求項1ま
    たは2に記載された剥離紙用水性下塗り剤。
  4. 【請求項4】 単量体組成物の重量と全ポリビニルアル
    コールの重量比が100:10〜35である、請求項1
    ないし3のいずれか1項に記載された剥離紙用水性下塗
    り剤。
  5. 【請求項5】 合成樹脂水性分散液100重量部(固形
    分換算)に水溶性ポリエステル(固形分換算)10〜5
    0重量部を添加した、請求項1ないし4のいずれか1項
    に記載された剥離紙用水性下塗り剤。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれか1項に記載
    された剥離紙用水性下塗り剤を基紙上に塗布乾燥し、そ
    の上に剥離剤溶剤溶液を塗布してなる剥離紙。
  7. 【請求項7】 剥離剤溶液がシリコーン樹脂をトルエン
    に溶解した溶液である、請求項6に記載された剥離紙。
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