JP3678511B2 - 抄造用極細短繊維およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維の単糸直径が1〜10μmで、単糸の直径 [D] と長さ [L] の比、L/Dが300〜2000である均一な抄造用極細短繊維およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
複合繊維から1成分を分解除去して極細繊維の束を取り出す方法としては、例えば、複合繊維のトウに予めケン縮を付与し、有機溶剤で該複合繊維の海成分を除去して極細繊維のトウを得る方法(特公昭54ー28490号公報)、複合繊維を非アルカリ加水分解性多孔性ボビンに巻着し、チーズ染色機などを用いて、アルカリ液を循環させ、加水分解性樹脂を溶解除去して極細繊維の束を得る方法(特開平4ー65577号公報)などが知られている。
【0003】
また、抄造用極細短繊維の製造方法として、ポリエステル極細繊維発生型繊維の短繊維を水中分散し、叩解処理することにより極細短繊維を得る方法(特開平4ー100992号公報)、複合繊維をアルカリ性溶液で処理した後、叩解処理してポリエステル合成パルプを得る方法(特開昭56ー165012号公報)、溶融異方性芳香族ポリエステルを島成分とする海島繊維から易アルカリ減量性ポリエステルを溶解及び/又は分解除去して実質的に枝別れを有しないパルプ状物を得る方法(特開平7ー331581号公報)などが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
抄造用極細短繊維の製造方法は各種提案されてきたが、繊維直径10μm以下の極細繊維は短繊維にカットする際に融着したり、極細短繊維同士が絡み易い為に、スラリー塊を発生する。従って、均一な分散をする事が出来る様な抄造用の極細短繊維を得ることは非常に困難であり、今だ達成されていない。
例えば、前述の2件の特許文献に開示されているように、束状態の複合繊維から特定成分を溶解除去して得られる極細繊維束を、カッター等で短繊維にカットする方法がある。この方法では、得られる極細繊維の束を短繊維にカットする際、極細繊維の直径が細くなるとカット結着が起こる。その結果、水に分散した場合、カット結着面が分散せずに短繊維塊を生じ、良好な極細短繊維の抄造シートは得られない。
【0005】
一方、前述の2件の特許文献に開示されているように、予め短くカットした剥離型の複合短繊維を水中に分散し、パルパー、ビーター、或いはリファイナー等で叩解処理を施して極細短繊維を得る方法、及び線状芳香族ポリエステルとアルカリ可溶な特殊な有機化合物からなるアルカリ減量型複合繊維のカット糸を浸積法でアルカリ処理し、次いで水中で同様に叩解処理して極細短繊維を得る方法は、フィブリル化した状態のパルプ物が得られる。そのため、フィブリル化物が原因で極細短繊維の絡まりが発生する。また、パルプ状物であるので、得られる極細短繊維は様々な繊維径と繊維長の混在するものである。これらの方法では、水に単糸が均一に分散するような繊径及び繊維長が均一な抄造用極細短繊維は得られない。
【0006】
前述の最後の特許文献に開示されているように、溶融異方性芳香族ポリエステルを島成分とする海島繊維を短繊維にカットした後、易アルカリ減量性ポリエステル成分を浸積法で溶解及び/ 又は分解除去してパルプ状物を得る方法では、実質的に枝分かれは無いものの、得られるパルプ状物はその単糸直径分布が0.1〜4μmと非常に大きくなり、単糸直径が小さなものは絡まってしまう。
又、上記複合短繊維を浸漬法で直接アルカリ減量加工した場合、発生した極細短繊維が激しく高温のアルカリ水溶液中で攪拌される為、極細短繊維同士が複雑に絡み合ってしまうなどの問題が発生する。従って、この方法では均一な単糸の直径とL/Dを有し、均一に水に分散する様な良好な抄造用極細短繊維は得られない。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、繊維の単糸直径が1〜10μmで、かつ単糸直径のバラツキがR値で50%以下と小さく、単糸の直径[D]と長さ[L]の比、L/Dが300〜2000で、水への分散性が良好である均一な抄造用極細短繊維と、その簡便な製造方法を見出し、本発明を完成したものである。
本発明は易アルカリ加水分解性ポリマー(ポリマーA)と、該易アルカリ加水分解性ポリマーと加水分解性が異なる少なくとも1成分以上のポリマー(ポリマーB)からなる複合短繊維を非アルカリ加水分解性繊維製の袋に封入し、該袋及び/又はアルカリ水溶液を流動状態に晒しながら、易アルカリ加水分解性のポリマー成分を分解除去することによって得られる、繊維の単糸直径が1〜10μmで、かつ単糸直径のバラツキがR値で50%以下と小さく、単糸の直径[D]と長さ[L]の比、L/Dが300〜2000であり、水への分散性が良好である均一な抄造用極細短繊維を特徴とするものである。
【0008】
又、易アルカリ加水分解性ポリマー(ポリマーA)と、該易アルカリ加水分解性ポリマーと加水分解性が異なる少なくとも1成分以上のポリマー(ポリマーB)からなる複合繊維を長さ5mm以下にカットして得た複合短繊維を非アルカリ加水分解性繊維製の袋に封入し、該複合短繊維の重量の3倍以上のアルカリ水溶液に浸積し、該袋及び/又はアルカリ水溶液を流動状態に晒しながら、易アルカリ加水分解性のポリマー成分(ポリマーA)を分解除去することを特徴とする、繊維の単糸の直径が1〜10μmで、単糸の直径 [D] と長さ [L] の比、L/Dが300〜2000である均一な抄造用極細短繊維の製造方法、である。
【0009】
かかる製造方法によれば、穏和なアルカリ減量条件の下、容易に複合短繊維から均一な繊維径とL/Dを有する抄造用極細短繊維が得られるため、この極細短繊維を水に分散させると、通常の攪拌で容易に均一な繊維塊などの無いスラリーが得られる。従って、パルプ状物を水に均一分散させるため、一般的に用いられるパルパー、ビーター或いはリファイナーを必要とせず、本発明の極細短繊維は繊維塊が製品欠点となる人工皮革用の不織布シート及び電池セパレーターなどに好適に利用できる。
又、本発明の極細短繊維は均一な単糸の直径とL/Dを有するため、得られる抄造シートを柱状流交絡等の方法で不織布化することにより、均一な3次元交絡処理が達成され、高強度の不織布を得る事ができるなど予期せぬ優れた効果を示すものである。
【0010】
本発明の抄造用極細短繊維とは、実質的に様々な繊維径及び繊維長が混在し、且つフィブリル化状態のパルプ状短繊維とは全く異なるものであって、短繊維同士の絡まりが非常に少なく、欠点となる繊維塊がほとんど発生しない極細短繊維のことである。
本発明に用いられる複合繊維は、易アルカリ加水分解性ポリマー(ポリマーA)と、該易アルカリ加水分解性ポリマーと加水分解性を異にする少なくとも1成分以上のポリマー(ポリマーB)からなる複合繊維であり、繊維の断面形態は積層型、分割型、楔型、芯鞘分割型、海島型の群から選ばれた少なくとも1種類のものであれば良く、特に限定されるものではないが、本発明の極細繊維となるポリマーBは複合繊維の長さ方向に連続しており、且つ繊維径が均一であることが好ましい。
【0011】
例えば、この様な易アルカリ加水分解性ポリマー(ポリマーA)を例示すると、アルコール成分が平均分子量600〜6000のポリエチレングリコールを共重合したブロックポリエーテルエステルや、酸成分としてスルホイソフタル酸2モル%以上共重合したポリエステル、あるいは、これら両成分を組み合わせた共重合ポリエステルである。特に、ポリエチレングリコールを10重量%以上、好ましくは、15重量%以上共重合したブロックポリエーテルエステルはそのアルカリ溶解速度定数Kが極めて大きくなり、穏和な条件で易アルカリ加水分解性ポリマー(ポリマーA)を分解除去できるので好ましい。
【0012】
易アルカリ加水分解性ポリマー(ポリマーA)と、該易アルカリ加水分解性ポリマーと加水分解性を異にする少なくとも1成分以上のポリマー(ポリマーB)とのアルカリ分解速度比は、好ましくは1/1000倍以上、さらに好ましくは1/1500倍以上である。
なお、アルカリ溶解速度定数とは、試料を濃度が2重量%の水酸化ナトリウム水溶液で90℃で溶解処理して求めた溶解速度であり、ポリエステル繊維のアルカリ溶解速度定数Kの算出については、橋本(繊維学会誌、14、510.1958年)によって示されている。
すなわち、アルカリ処理に供するポリエステルフィラメントの処理前の繊維半径r0 (cm)、このフィラメントが完全に溶解消失するまでの処理時間をt(秒)とすると、K=r0 /t(cm/秒)で示される。
【0013】
ポリマーBとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類や、これらのポリエステル類成分にイソフタル酸、アジピン酸、ドデカン二酸、スルホイソフタル酸、シクロヘキサンジメタノールなどの酸成分や、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリコール成分を共重合させた改質ポリエステル類、ナイロン6、ナイロン6、6、ナイロン12、ポリーPーフェニレンテレフタラミド、ポリーmーフェニレンイソフタラミドなどのポリアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ポリアクリロニトリルなどのアクリル類等が挙げられる。
【0014】
複合繊維から本発明の製造方法で易アルカリ加水分解性ポリマー(ポリマーA)を分解除去して得られるポリマーBからなる抄造用極細短繊維としては、繊維の単糸の直径が1〜10μmの範囲内、好ましくは2〜9μmの範囲内、さらに好ましくは2〜7μmの範囲内の極細短繊維であれば良い。1μm未満の場合には、極細短繊維同士の絡まりが発生し、水単糸分散性が良好な抄造用極細短繊維は得られない。逆に、10μmを越える様な場合は、得られる繊維は、極細繊維と言い難く、直接紡糸法などの他の方法で紡糸する方法の方が安価に入手可能である。
【0015】
本発明に用いられる複合繊維は、易アルカリ加水分解性ポリマー(ポリマーA)と、該易アルカリ加水分解性ポリマーと加水分解性を異にする少なくとも1成分以上のポリマー(ポリマーB)からなる複合繊維であればよいが、その太さは通常、単糸デニールの太さが0. 2d〜10dの範囲内、好ましくは0. 3d〜5d程度のものである。単糸デニールが0. 2d未満の場合には、安定的に複合繊維を紡糸することが困難になる。逆に、10dを越える場合には、易アルカリ加水分解性ポリマー(ポリマーA)を分解除去して得られる極細繊維の繊維径を細くする為、複合繊維中に多くの島成分を作らなければならず、この様な複合繊維を紡糸することは困難である。
【0016】
複合繊維中の易アルカリ加水分解性ポリマー(ポリマーA)の組成は、全繊維に対し、10〜60重量%が好ましい。該割合が10重量%未満であると、複合繊維の長さ方向に連続的な極細繊維の形態をつくることが難しくなる。逆に、該割合が60重量%を越えると、アルカリ減量処理の際、抽出された易アルカリ加水分解性ポリマー(ポリマーA)の分解物が、頻繁に極細短繊維表面で界面接着を起こすため、極細短繊維同士の表面接着が発生し、水中への単糸の分散性が良好な抄造用極細短繊維は得られない。また、紡糸時に糸曲がりが起こりやすい、水分調整が難しい、毛羽立ちが起こりやすい、延伸、巻き取りで糸切れが起こりやすい等の原因で紡糸収率が著しく悪化する。他にも、該易アルカリ加水分解性ポリマーと加水分解性を異にする少なくとも1成分以上のポリマー(ポリマーB)がポリエステル類の場合、紡糸時にエステル交換反応が起こりやすくなるため、アルカリ減量後に得られる極細短繊維の耐候性が低下する等の問題が起こりやすくなる。
【0017】
上記記載複合繊維を、ロータリーカッター、ギロチンカッター、カッターなどのカッター類を使用して、繊維長1.0mm〜5.0mm、さらに好ましくは2.0mm〜3.0mmの複合短繊維にカットする。カット長が1.0mm未満の場合には、易アルカリ加水分解性ポリマー(ポリマーA)のアルカリ減量加工の際、複合短繊維及び/極細短繊維が非アルカリ加水分解性繊維から成る袋から抜け出してしまう。また、得られた極細短繊維を抄造シートにした際、極細短繊維間の絡まりが少なく十分な強度が得られなくなる。逆に、カット長が5.0mmを越える場合には、アルカリ減量後に得られる極細短繊維が絡まりやすく、水中への単糸の分散性が悪化する。
【0018】
引き続き、複合短繊維を非アルカリ加水分解性袋に封入する。ここで言う非アルカリ加水分解性袋とは、ポリアミド繊維、又はポリオレフィン繊維、又はアクリル繊維等の非アルカリ加水分解性繊維から製造された袋のことである。
非アルカリ加水分解性繊維は織物、編物の形態をとったものであれば良い。織物の場合は、その織り組織は後述の開口率を満足するものであれば、平織、斜文織、朱子織の中から自由に選択することができる。編物の場合は、その編組織は後述の開口率を満足するものであれば、平編、トリコット等から自由に選択することができる。
【0019】
本発明で使用する非アルカリ加水分解性袋は、その開口率(単位面積当たりの開口部分の面積のこと)が5%〜20%、好ましくは5%〜15%の範囲のものである。開口率が5%未満の場合は、複合短繊維に接触するアルカリ液量の置換が充分行われず不均一になり、減量時間が長くなって経済的でない。逆に、開口率が20%を越える場合は、易アルカリ加水分解性ポリマー(ポリマーA)のアルカリ減量加工の際、複合短繊維及び/極細短繊維が非アルカリ加水分解性繊維から成る袋から抜け出してしまう。
【0020】
複合短繊維を非アルカリ加水分解性袋に封入せずアルカリ減量する方法について種々検討した結果、反応器を循環するアルカリ水溶液の流れのため、減量加工途中で極細短繊維の絡まりが発生することが見出された。
特に、浴比が小さな条件下で回転する反応器を使用した場合には、反応器の器壁部分で減量途中の極細短繊維が擦られ、強固に絡まりあった繭玉状態の繊維塊ができる。この繭玉状態の繊維塊にパルパー、リファイナー、ビーター等の叩解処理を行っても、繊維塊中の極細短繊維の絡まりが解けないため、良好な水中への単糸の分散性は得られない。
【0021】
本発明では、非アルカリ加水分解性袋に前記複合短繊維を封入し、複合短繊維から易アルカリ加水分解性ポリマー(ポリマーA)を分解除去することが必要である。すなわち、非アルカリ加水分解性袋に前記複合短繊維を封入することで、アルカリ減量中、複合短繊維及び極細短繊維の動きが一定の拘束を受け、極細短繊維間の絡まりが抑制される為、水中に分散した際に繊維塊が発生しない。
従って、非アルカリ加水分解性袋に複合短繊維を封入しても、該袋を激しく流動させた場合、袋の封入効果が無くなり、極細短繊維が絡まり易く、繊維塊が生じる可能性がある。そのため、アルカリ水溶液の流動(反応機の回転による液循環、循環ポンプによる強制液循環など) も穏和な条件で行うことが好ましい。
【0022】
即ち、袋内の繊維が穏和に動くと共に、穏和にアルカリ水溶液が置換される様な流動状態を実現することが好ましい。
以上の理由から複合短繊維のアルカリ減量加工の際には、繊維塊を防ぐ目的で非アルカリ加水分解性袋に複合短繊維を封入する方法が有効であることを見出した。
本発明の抄造用極細短繊維の製造設備は、アルカリ水溶液、複合短繊維を封入した非アルカリ加水分解性袋に於いて、該袋及び/又はアルカリ水溶液を流動状態に晒すことができる設備でなければならない。流動状態に晒すことが出来る設備としては、回転ドラム染色機(図1に示唆)、ミルナー染色機、回転機構を有する回転オートクレイブ染色機、地球釜、チーズ染色機などが挙げられる。その中でも好ましい設備は回転ドラム染色機、ミルナー染色機、回転オートクレイブ染色機である。さらに好ましい設備は回転ドラム染色機である。
【0023】
ここで言う非アルカリ加水分解性袋及び/又はアルカリ水溶液を流動状態に晒す第1の方法は、非アルカリ加水分解性袋を固定し、アルカリ水溶液を流動させる方法であり、例えば、チーズ染色機又はドラム染色機、ミルナー染色機の染色槽に複合短繊維を封入した非アルカリ加水分解性の袋とアルカリ水溶液を入れ、該袋は動かさずにアルカリ水溶液のみを液流循環させて加水分解を行う方法である。更に、第2の方法は、非アルカリ加水分解性袋とアルカリ水溶液を反応槽内で共に流動させる方法であり、例えば、回転オートクレイブ染色機及び地球釜の反応槽に入れた非アルカリ加水分解性袋とアルカリ水溶液とを反応槽の回転により流動させる方法であり、又は回転ドラム染色機、ミルナー染色機でアルカリ水溶液を循環させるか又は循環させずに非アルカリ加水分解性袋をドラム槽を回転させることにより、該袋とアルカリ液を流動させる方法が考えられる。非アルカリ加水分解性袋及びアルカリ水溶液のいずれか一方のみを流動する第1の方法よりも、両方が流動している第2の方法がより好ましい。
【0024】
更に、流動状態に晒す条件について説明する。
先ずアルカリ水溶液を循環する場合は、アルカリ液の流動状態の強弱はアルカリ液総量と循環流量によって決められる。反応槽内のアルカリ水溶液の全量が置換される時間をアルカリ液総量を単位時間当たりの循環流量で割って求めると、該アルカリ液全量の置換時間が、10秒以上、好ましくは30秒以上、さらに好ましくは60秒以上の様な流動状態が好ましい。置換時間が10秒未満のような、激しい循環を行うと、反応槽内部で非アルカリ加水分解性袋が踊った様な状態になり、得られる極細短繊維の絡まりの原因になり易いので好ましくない。
【0025】
次に反応槽の回転により非アルカリ加水分解性袋及びアルカリ液を流動状態に晒す条件について述べる。
回転方向は同じ方向にのみ回転しても良いが、正逆に反転しても良い。又、連続回転でも間歇回転でも可能であるが、極細繊維の絡みを抑制する為に穏和な流動条件をとる場合は、間歇的に反応槽を回転する方がより好ましい。その際、回転時間が全反応時間の50%以下、好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下の間歇回転が本発明の流動状態を穏和に設定できるので好ましい。又、間歇回転の間隔は適宜選択することができ、周期的でも非周期的でも良い。
次に、反応槽の回転の速度(周速)は、周速0〜50m/分の範囲内が好ましい。より好ましくは周速1〜40m/分の範囲内で、更に好ましくは2〜30m/分の範囲内である。50m/分以上の激しい回転を行うと、反応層内部の非アルカリ加水分解性袋が踊った状態になり、極細短繊維同士が絡み易くなり好ましくない。
【0026】
本発明における流動状態の条件は以上の様なアルカリ水溶液の循環条件と、反応槽の回転条件を適宜組み合わせることにより選択することが可能であるが、本発明の好ましい態様としては、例えば、チーズ染色機、ミルナー染色機、回転ドラム染色機で非アルカリ加水分解性袋を固定し、アルカリ水溶液を循環する方法で流動状態に晒す場合は、アルカリ水溶液全量の置換時間は20秒以上に循環流量等を設定すればよい。又、更に好ましい態様として、回転ドラム染色機、ミルナー染色機で非アルカリ加水分解性袋とアルカリ水溶液を反応槽にいれ反応槽を回転することで流動状態に晒す場合は、回転速度(周速)を1〜50m/分の範囲に設定することができる。その際、連続的に回転するよりは、全反応時間の50%以下の間歇回転条件を取ることがより好ましい態様である。更に、好ましい態様として、前記回転ドラム染色機、ミルナー染色機で反応槽を回転させながら、且つアルカリ水溶液を循環させることで流動状態に晒す場合は、アルカリ水溶液の置換時間を20秒以上に循環流量を設定し、反応槽の回転速度(周速)を1〜50m/分で全反応時間の50%以下の間歇回転を選択することができる。
【0027】
アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸三ナトリウム等の強アルカリ水溶液が挙げられる。より好ましくは水酸化ナトリウムの水溶液である。
アルカリ水溶液の濃度は、アルカリ減量処理の温度、時間によっても異なるが、易アルカリ加水分解性ポリマー(ポリマーA)の溶解性、該易アルカリ加水分解性ポリマーと加水分解性を異にする少なくとも1成分以上のポリマー(ポリマーB)の浸食性を考慮して、1〜10重量%、さらに好ましくは2〜5重量%の範囲で選択することが可能である。
また、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等の弱アルカリ物質を併用することも可能である。
【0028】
他にも複合繊維のアルカリ浸透性を増す目的で、アニオン界面活性剤(例えば、第一工業製薬(株)製「シリケロールCAP」:商品名など)を添加することは効果的である。
アルカリ水溶液の処理温度は、70〜130℃の範囲内である。得られる極細短繊維の傷みを考慮し、さらに好ましくは80〜110℃の範囲内である。水溶液の処理温度が70℃未満では、アルカリ減量加工に要する時間が長くなり、また、温度が100℃を越える場合は、耐圧機構のオートクレイブ設備が必用になる。
アルカリ減量時間は20分〜120分である。得られる極細短繊維の傷み、加工のコストメリットを考慮すると、さらに好ましくは20分〜90分である。アルカリ減量時間が20分未満になると、アルカリ減量が不完全な部分が残る。逆に、アルカリ減量時間が120分を越えると、得られた極細短繊維の傷みが激しくなる。
【0029】
複合短繊維とアルカリ水溶液の浴比は、重量比で3倍以上、好ましくは5倍以上、さらに好ましくは10倍以上である。
また、反応層内部のアルカリ水溶液は、ポンプを使用して強制的に吸引、圧入循環するのがより好ましい。
浴比が3倍未満になると、複合短繊維表面に接触するアルカリ水溶液の量が減るため、均一にアルカリ減量処理ができない。また、浴比が20倍以上になると、加工に使用するアルカリ水溶液の液量が多くなってしまうため、その排水処理等考慮すると加工のコストメリットが薄すれてしまう。本発明の極細短繊維の製造方法は、従来の浸漬法によるアルカリ減量処理に比較して浴比が非常に小さくても、部分的な減量斑を生じることが無く均一な減量が達成されることに特徴がある。しかしながら、複合繊維に対するアルカリ濃度、温度等が不適正で絶対的に減量不十分な場合は、本発明の目的とする均一で繊維塊の発生しない抄造用極細短繊維は得られない。
【0030】
上記方法でアルカリ減量して得られた極細短繊維は、酢酸、シュウ酸などの有機酸を使用して酸中和処理を施した後、湯洗、又は水洗、その後脱水処理を行うのがより好ましい。また、乾燥処理を行っても良いが、得られる極細短繊維の単糸の分散性は若干低下する。
得られた極細短繊維の単糸の分散性評価は、常温下、水分を含んだ極細短繊維(乾燥重量で80重量%相当)、20重量%のポリアミド系熱融着繊維(2d×10mm、ユニチカ(株)製「ユニメルトUL60」芯部:ナイロン6、鞘部:共重合ナイロン、芯/鞘=2/1)を水中に分散させ、1%濃度のスラリー液を調整し、攪拌羽根で均一攪拌を施し、傾斜型長網抄造機で、目付30g/m2 、幅0.35m×長さ1.0mの抄造シートとして採取した。引き続き、抄造シート中の熱融着糸の鞘部分(共重合ナイロン)を融着するため熱処理(160℃)を行い、単糸の分散性評価用サンプルを作成した。
【0031】
単糸の分散性は、1).前述の評価サンプル表面の収束糸、結着糸に着目した目視判定と、2).電子顕微鏡写真観察よる極細短繊維の単糸の直径のバラツキ、単糸1本1本のばらけ具合の評価によって行った。
得られた極細短繊維の繊維塊評価は、常温下、水分を含んだ極細短繊維(100重量%)を水中に分散させ、1%濃度のスラリー液を調整し、攪拌羽根で均一攪拌し、傾斜型長網抄造機で、目付30g/m2 、幅0.35m×長さ4.7mの抄造シートとして採取した。抄造シートに存在する直径が2mm以上の繊維塊数を数えて、1m2 当たりに存在する繊維塊数に換算した値を繊維塊評価値とした。
【0032】
本発明方法によって製造された抄造用極細短繊維は、電子顕微鏡を使用して単糸分散性を評価した結果、極細短繊維の単糸の直径、その断面形態が均一に揃ったおり、極細短繊維の収束したもの、結着したものは存在していないことを確認した。また、直径2mm以上の繊維塊を数えた結果、繊維塊が実質的に発生していないことを確認した。
最後に、本発明方法によって得られる抄造用極細短繊維の特徴をまとめると、
1)単糸の直径が1〜10μmの範囲内、好ましくは2〜9μmの範囲内、さらに好ましくは2〜7μmの範囲内で、且つ
2)単糸の直径 [D] と長さ [L] の比、L/Dが300〜2000の範囲内、好ましくは300〜1500の範囲内のものであり、且つ
3)良好な単糸の水中への分散性を有し、且つ
4)直径2mm以上の繊維塊が1.5個/m2 以下、好ましくは1.0個/m2 、更に好ましくは0.5個/m2 の範囲内に収まる、実質的に繊維塊のない
均一な抄造用極細短繊維である。
【0033】
ここで言う均一なとは、単糸の直径及び繊維長のバラツキが小さく、Rの値で表現すれば、50%以下、好ましくは30%以下であることを意味する。
即ち、本発明の抄造用極細短繊維は、その単糸の直径や繊維長がまちまちなパルプ状物とは明らかに異なるものである。
本発明の製造方法で得られる抄造用極細短繊維は、単独で抄造しても単糸の分散性が良好であるが、各種有機合成繊維、天然繊維、ガラス繊維、無機繊維などと混抄して使用することも可能である。その際、必要で有れば一般的なパルパー、ビーター、リファイナー等の叩解処理を行ってもよい.
具体的な用途としては高機能産業用製紙分野、例えば、極細糸による集塵性を生かし、業務用、家庭用ワイパー、極細糸の細さによるカバー性を生かし、医療、衛生材料分野、液体、気体フィルター、スピーカーコーン、パッキング材、ブランケットワイパー、その強い交絡強度、均一極細短繊維から得られる平滑性を生かし、電池セパレーター、合皮基布材、コーティング基布材、銀面基布材などがあげられる。
【0034】
また、人工皮革分野では、例えば、紳士、婦人衣料、紳士、婦人靴、鞄、衣料装飾品、ゴルフ手袋、家具、カーシートなど様々な分野で使用することが可能である。例えば、本製造方法で得られた極細短繊維を抄造、柱状流処理し、ポリウレタンを付与して人工皮革の分野で使用すれば、極細の単糸が均一に分散することから、不織布強度に優れ、表面立毛のバラケが良く、立毛密度に優れ、優美なライティング効果を有するヌバック、スエード表面が得られる。また、繊維塊による製品欠点も発生しないものである。
【0035】
【実施の態様】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらにより何等限定されるものではない。
〔織物、編物の開口率の測定方法〕
マイクロスコープ(MORITEX製、SCOPEMAN MS803)で織物、編物の拡大写真を測定倍率50倍で撮影し、写真全体重量(A1 )を測定し、写真中に繊維が写っている部分をカッターナイフで切り抜いて残った部分の重量(A2 )を求め、全体重量(A1 )で割り返し百分率表示した値を開口率とする。
[開口率(%)] =(A2 /A1 )×100
【0036】
〔加工浴比の計算方法〕
複合短繊維の絶乾重量(A1 )とアルカリ水溶液の重量(A2 )から以下の式に従って求められる値を浴比とする。
浴比=A2 /A1
〔極細短繊維の減量率の測定方法〕
易アルカリ加水分解性ポリマー(ポリマーA)をアルカリ水溶液で分解除去する前の絶乾重量(W1 )と、分解除去後の絶乾重量(W2 )から以下の式に従って求められる値を減量率(%)とする。
減量率(%)=〔1ー(W2 /W1 )〕×100
【0037】
〔極細短繊維の単糸の分散性の評価〕
評価抄造シートの収束糸、結着糸に着目し、目視判定を行った。
○ 単糸が均一に分散している。
△ 所々に収束糸、結着糸が存在する。
× 収束糸、結着糸が多発している。
〔極細短繊維の単糸の直径測定〕
走査型電子顕微鏡(日立(株)製、S−570、測定倍率:1000倍〜3000倍)でランダムに抽出した繊維の単糸の直径を10点読みとり、その平均値を単糸の直径とした。
【0038】
(実施例1)
ポリエチレングリコールを15重量%共重合したブロックエーテルエステル(以後、共重合エステルと省略する)を海成分とし、ポリエチレンテレフタレートを37本の島成分とする3.0d/fの海島繊維(共重合ポリエステル分解除去後、0.05d/fになる、海/島=35重量%/65重量%)のフィラメント糸を約6000dまでリワインドした後、ロータリーカッターを使用して繊維長3mmの海島短繊維にカットした。
【0039】
得られた海島短繊維をポリプロピレン繊維からなる染色袋(75d/24fのポリプロピレン繊維を使用して、開口率が15%になる様設計したトリコット編物からなる染色袋である)へ2kgずつ12袋封入し、該袋と4.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液130(リットル)、及び130(cc)のアニオン界面活性剤(第一工業製薬(株)製「シリケロールCAP」:商品名)をドラム染色機のドラム槽に入れた。
【0040】
反応槽内のアルカリ水溶液が約4分間で1回置換される様、循環ポンプでアルカリ水溶液を液循環させながら、ドラム槽部分を穏和な回転条件、周速10(m/分)の間歇回転(回転10秒、停止60秒の繰り返し)で回転させ、海島短繊維を封入した袋とアルカリ水溶液を穏和な流動状態にした。
アリカリ減量処理温度90℃、処理時間40分間の条件で共重合ポリエステル成分を分解除去し、引き続き湯洗を3回繰り返し、最後に遠心脱水を行った。
得られた極細ポリエステル短繊維の単糸の直径はほぼ均一であり、極細ポリエステル短繊維が収束した様な部分は無く、単糸の分散は良好であった。繊維塊評価の結果、繊維塊は全く無い非常に良好なレベルであった。
【0041】
[浴比] 5.4
[減量率] 35.5(%)
[単糸の分散性評価] ○
[単糸の直径] 2.20(μm) [L/D] 1363
[繊維塊数] 0.0(個/m2 )
【0042】
(実施例2)
実施例1と同様に複合短繊維を封入した染色袋を準備し、回転ドラム染色機のドラム槽を回転させず、他の条件は全て実施例1と同様な流動状態で共重合ポリエステル成分を分解除去した。
得られた極細ポリエステル短繊維の単糸の直径はほぼ均一であり、単糸の分散もほぼ均一であった。繊維塊評価の結果、繊維塊数は実用的に問題がない良好なレベルであった。
【0043】
[浴比] 5.4
[減量率] 35.1(%)
[単糸の分散性評価] ○
[単糸の直径] 2.24(μm) [L/D] 1338
[繊維塊数] 0.4(個/m2 )
【0044】
(実施例3)
実施例1と同様に複合短繊維を封入した染色袋を準備し、回転ドラム染色機のドラム槽を穏和な回転条件、周速10m/分で連続回転させながら、アルカリ水溶液の循環ポンプによる液循環を止め、他の条件は全て実施例1と同様な流動状態で共重合ポリエステル成分を分解除去した。
得られた極細ポリエステル短繊維の単糸の直径の長さはほぼ均一であり、単糸の分散もほぼ均一であった。繊維塊評価の結果、繊維塊数は実用的に問題がない良好なレベルであった。
【0045】
[浴比] 5.4
[減量率] 36.1(%)
[単糸の分散性評価] ○
[単糸の直径] 2.19(μm) [L/D] 1372
[繊維塊数] 0.3(個/m2 )
【0046】
(比較例1)
実施例1と同様に複合短繊維を封入した染色袋を準備し、回転ドラム染色機のドラム槽を回転させずに、さらに循環ポンプによるアルカリ水溶液の循環も止めて、他の条件は全て実施例1と同様にして共重合ポリエステル成分を分解除去した。
得られた極細ポリエステル短繊維の単糸の分散性評価、繊維塊評価の結果、単糸の分散は良好であるが、一部、共重合エステル成分が未抽出なまま残っている複合短繊維が繊維塊を形成していた。
【0047】
[浴比] 5.4
[減量率] 32.3(%)
[単糸の分散性評価] ○
[単糸の直径] 2.32(μm) [L/D] 1295
[繊維塊数] 2.8(個/m2 )
【0048】
【表1】
【0049】
(実施例4)
実施例1と同様に複合短繊維を封入した染色袋を準備し、回転ドラム染色機のドラム槽をさらに穏和な回転条件、周速5m/分で連続回転させ、その他の条件は全て実施例1と同様な流動状態で共重合ポリエステル成分を分解除去した。
得られた極細ポリエステル短繊維の単糸の分散性評価、繊維塊評価の結果、単糸の分散は良好で、繊維塊も全く無い非常に良好なレベルであった。
[浴比] 5.4
[減量率] 35.6(%)
[単糸の分散性評価] ○
[単糸の直径] 2.20(μm) [L/D] 1351
[繊維塊数] 0.0(個/m2 )
【0050】
(実施例5)
実施例1と同様に複合短繊維を封入した染色袋を準備し、回転ドラム染色機のドラム槽を穏和な回転条件、周速10m/分で連続回転させ、その他の条件は全て実施例1と同様な流動状態で共重合ポリエステル成分を分解除去した。
得られた極細ポリエステル短繊維の単糸の分散性評価、繊維塊評価の結果、および単糸の分散は良好であった。繊維塊数も実用的に問題がない良好なレベルであった。
[浴比] 5.4
[減量率] 35.9(%)
[単糸の分散性評価] ○
[単糸の直径] 2.24(μm) [L/D] 1342
[繊維塊数] 0.6(個/m2 )
【0051】
(実施例6)
実施例1と同様に複合短繊維を封入した染色袋を準備し、回転ドラム染色機のドラム槽を穏和な回転条件、周速23m/分で連続回転させ、その他の条件は全て実施例1と同様な流動状態で共重合ポリエステル成分を分解除去した。
得られた極細ポリエステル短繊維の単糸の分散性評価、繊維塊評価の結果、および単糸の分散は良好であった。繊維塊数も実用的に問題がない良好なレベルであった。
[浴比] 5.4
[減量率] 36.2(%)
[単糸の分散性評価] ○
[単糸の直径] 2.19(μm) [L/D] 1371
[繊維塊数] 0.8(個/m2 )
【0052】
(実施例7)
実施例1と同様に複合短繊維を封入した染色袋を準備し、回転ドラム染色機のドラム槽を穏和な回転条件、周速23m/分で間歇回転(回転10秒、停止60秒の繰り返し)させ、その他の条件は全て実施例1と同様な流動状態で共重合ポリエステル成分を分解除去した。
得られた極細ポリエステル短繊維の単糸の直径はほぼ均一であり、単糸の分散もほぼ均一で良好であった。繊維塊数も実用的に問題がない良好なレベルであった。
[浴比] 5.4
[減量率] 35.7(%)
[単糸の分散性評価] ○
[単糸の直径] 2.21(μm) [L/D] 1355
[繊維塊数] 0.5(個/m2 )
【0053】
(比較例2)
実施例1と同様に複合短繊維を封入した染色袋を準備し、回転ドラム染色機のドラム槽を周速50m/分で激しく連続回転させ、その他の条件は全て実施例1と同様な流動状態で共重合ポリエステル成分を分解除去した。
得られた極細ポリエステル短繊維の単糸の分散性評価、繊維塊評価の結果、極細ポリエステル短繊維の単糸が絡み合って繊維塊が多発し、単糸の分散性が著しく悪化していた。
[浴比] 5.4
[減量率] 37.4(%)
[単糸の分散性評価] ×
[単糸の直径] 2.17(μm) [L/D] 1383
[繊維塊数] 5.3(個/m2 )
【0054】
【表2】
【0055】
(実施例8)
実施例1と同じ複合短繊維を実施例1と同じ染色袋に2kgずつ4袋封入し、アルカリ濃度を3.0重量%、アルカリ減量時間を30分間と短くし、その他の条件は全て実施例1と同様にした流動状態で共重合ポリエステル成分を分解除去した。
得られた極細ポリエステル短繊維の単糸の分散性は良好で、繊維塊も全く無い非常に良好なレベルであった。
[浴比] 16.3
[減量率] 35.3(%)
[単糸の分散性評価] ○
[単糸の直径] 2.25(μm) [L/D] 1335
[繊維塊数] 0.0(個/m2 )
【0056】
(比較例3)
実施例1と同じ複合短繊維を実施例1と同じ染色袋に2kgずつ30袋封入し、その他の条件は全て実施例1と同様な流動状態下で共重合ポリエステル成分を分解除去した。
得られた極細ポリエステル短繊維の単糸の分散性を評価した結果、共重合ポリエステル成分の抽出が不完全な繊維束(繊維長3mmの束)、短繊維の表面に於ける再結着による枝分かれしたパルプ状物の繊維塊、繊維塊と繊維塊が絡み合った双子スラリーが等多発した。また、双子スラリーの頭部を断面方向にカミシリの刃で切ると、ほとんど減量を受けていない部分があった。
[浴比] 2.2
[減量率] 34.4(%)
[単糸の分散性評価] ×
[単糸の直径] 2.30(μm) [L/D] 1304
[繊維塊数] 3.2(個/m2 )
【0057】
【表3】
【0058】
(比較例4)
実施例1と同じポリプロピレン繊維からなる開口率が25%のトリコット編物の染色袋に、実施例1と同じ海島短繊維を2kgずつ12袋封入し、その他の条件は全て実施例1と同様にした流動状態で共重合ポリエステル成分を分解除去した。
アルカリ減量減量開始からほぼ20分位で、アルカリ減量を受けた極細ポリエステル短繊維が染色袋の編目から抜け出てしまい、液循環ラインの循環ポンプの前に設置しているフィルターが目詰りし、回転ドラム染色機が自動停止した。
単糸の分散性評価、繊維塊評価は行わなかった。
[浴比] 5.4
【0059】
(実施例9)
実施例1と同じ海島短繊維を実施例1と同じ染色袋に0.2kgずつ4袋封入し、該袋と4.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液4(リットル)、4(cc)のアニオン界面活性剤を回転オートクレイブ染色機に入れ、回転オートクレイブ染色機自体を穏和な回転条件、周速7m/分で連続回転させ、該袋とアルカリ水溶液を流動状態にした。
アルカリ減量処理温度90℃、処理時間40分間の条件で共重合ポリエステル成分を分解除去した。
アルカリ減量終了後、該染色袋を取り出し、湯洗を3回繰り返し、最後に遠心脱水を行った。
【0060】
得られた極細ポリエステル短繊維の単糸の直径はほぼ均一であり、極細ポリエステル短繊維が収束した様な部分は無く、単糸の分散は良好であった。繊維塊数も実用的に問題がない良好なレベルであった。
[浴比] 5.0
[減量率] 35.3(%)
[単糸の分散性評価] ○
[単糸の直径] 2.23(μm) [L/D] 1348
[繊維塊数] 0.2(個/m2 )
【0061】
(実施例10)
ポリエチレングリコールを10重量%共重合したブロックエーテルエステルを海成分とし、ナイロン6を37本の島成分とする3.0d/fの海島繊維(共重合ポリエステル分解除去後、0.05d/fになる、海/島=35重量%/65重量%)のトウを繊維長3mmにロータリーカッターを使用してカットした。
得られた海島短繊維を実施例1と同じ染色袋に、0.2kgずつ4袋封入した。
アルカリ濃度を6.0重量%、アルカリ減量処理温度105℃、処理時間を30分間と短くし、その他の条件は全て実施例9と同様な流動状態で共重合ポリエステル成分を分解除去した。
【0062】
得られた極細ナイロン短繊維の単糸の直径はほぼ均一であり、極細ナイロン短繊維が収束した様な部分は無く、単糸の分散は良好であった。
繊維塊評価の結果、繊維塊数は実用的に問題がない良好なレベルであった。
[浴比] 5.0
[減量率] 35.1(%)
[単糸の分散性評価] ○
[単糸の直径] 2.37(μm) [L/D] 1264
[繊維塊数] 0.3(個/m2 )
【0063】
(実施例11)
ポリエチレングリコールを15重量%共重合したブロックエーテルエステルとポリプロピレンが交互に存在する2.0d/fの20分割繊維(共重合ポリエステル分解除去後、0.1d/fになる、共重合ポリエステル/ポリプロピレン=50重量%/50重量%)のトウをロータリーカッターを使用して繊維長3mmにカットした。得られた分割短繊維を実施例1と同様な染色袋に、0.2kgずつ4袋封入した。
アルカリ濃度を3.0重量%、アルカリ減量時間を30分間と短くし、その他の条件は全て実施例9と同様な流動状態で共重合ポリエステル成分を分解除去した。
【0064】
得られた極細ポリプロピレン短繊維の単糸の分散性評価結果、単糸の直径がほぼ均一であり、極細ポリプロピレン短繊維が収束した様な部分は無く、単糸の分散は良好であった。繊維塊評価の結果、繊維塊数は実用的に問題がない良好なレベルであった。
[浴比] 5.0
[減量率] 50.4(%)
[単糸の分散性評価] ○
[単糸の直径] 4.00(μm) [L/D] 750
[繊維塊数] 0.3(個/m2 )
【0065】
(実施例12)
実施例1と同じ海島短繊維を実施例1と同じ染色袋に、3kgずつ23袋封入し、該袋と4.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液300(リットル)、300(cc)のアニオン界面活性剤をチーズ染色機に入れた。
反応槽内のアルカリ水溶液が約7分間で1回置換される様、循環ポンプでアルカリ水溶液を液循環させながら、海島短繊維を封入した袋とアルカリ水溶液を穏和な流動状態にした。
アルカリ減量処理温度90℃、処理時間40分間の条件で共重合ポリエステル成分を分解除去した。
【0066】
引き続き、湯洗を3回繰り返した後、チーズ染色機から極細ポリエステル短繊維が封入された染色袋を取り出し、最後に遠心脱水を行った。
得られた極細ポリエステル短繊維の単糸の直径はほぼ均一であり、極細ポリエステル短繊維が収束した様な部分は無く、単糸の分散は良好であった。繊維塊評価の結果、繊維塊数は実用的に問題がない良好なレベルであった。
[浴比] 4.3
[減量率] 35.2(%)
[単糸の分散性評価] ○
[単糸の直径] 2.22(μm) [L/D] 1353
[繊維塊数] 0.8(個/m2 )
【0067】
【表4】
【0068】
(比較例5)
実施例1と同じ海島短繊維0.8kgを染色袋に入れず、その他の条件は全て実施例9と同様な流動状態で共重合ポリエステル成分を分解除去した。
アルカリ減量後、染色機の内容物をナイロン網上に移し取り、湯洗、遠心脱水を行った。
得られた極細ポリエステル短繊維は繭玉状態の形態を成していた。
繭玉状態のものを水中に分散させ、攪拌羽根で攪拌をしたが、最後まで短繊維の絡まりが解けないものがあった。
【0069】
繭玉状態のものを家庭用ミキサー(松下電器産業(株)製、MXーV350)で2分間叩解処理したが、まだ極細短繊維の絡まりが解けない部分があった。
[浴比] 5.0
[減量率] 36.6(%)
[単糸の分散性評価] ×
[単糸の直径] 2.26(μm) [L/D] 1325
[繊維塊数] 6.0(個/m2 )
【0070】
【表5】
【0071】
(比較例6)
短繊維にカットすることなく、実施例1と同じ海島繊維を多孔性のアクリルボビンに巻着しチーズ染色機に入れ、その他の条件は全て実施例12と同様な流動状態で共重合ポリエステル成分を分解除去した。
湯洗を3回繰り返した後、脱水処理することなく、チーズ染色機からアクリルボビンに巻かれた極細ポリエステル繊維の束を取り出した。
得られた極細ポリエステル繊維の束は、一部巻き形態が崩れ、部分的に単糸切れが起こりフィブリル状態になっている部分が存在した。
引き続き、濡れたままの極細ポリエステル繊維の束をロータリーカッターで繊維長3mmにカットしたが、極細ポリエステル繊維の単糸が一部糸切れを起こしたり、ロータリーカッターのガイド部分にフィブリル状態の毛羽が絡まりして、ロータリーカッターの連続運転が出来なかった。
【0072】
得られた極細ポリエステル短繊維はカット断面方向で多数融着していた。
融着した繊維長3mmの短繊維の束を水中に分散したが、単糸の分散は不良で、繊維長3mmの束のままであった。
[浴比] 4.3
[減量率] 35.5(%)
[単糸の分散性評価] ×
[単糸の直径] 5.67(μm) [L/D] 529
[繊維塊数] 00個以上(個/m2 )
【0073】
【表6】
【0074】
【発明の効果】
本発明によって得られた極細短繊維は、均一な繊維径とL/Dを有するので、水に分散させると、通常の攪拌で容易に均一な繊維塊などの無いスラリーが得られ、かつ得られる抄造シートを柱状流交絡等の方法で不織布化することにより、均一な3次元交絡処理ができ、高強度の不織布が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の均一な抄造用極細繊維を製造する設備の内、回転ドラム染色機について説明するための概略図である。
【符号の説明】
1 外胴
2 ドラム槽
3 蓋
4 覗き窓
5 循環ポンプ
6 熱交換機
7 ドラムの回転方向
8 複合短繊維を封入した非アルカリ加水分解性袋
9 アルカリ水溶液
Claims (2)
- 易アルカリ加水分解性ポリマー(ポリマーA)と、該易アルカリ加水分解性ポリマーと加水分解性が異なる少なくとも1成分以上のポリマー(ポリマーB)からなる複合短繊維を非アルカリ加水分解性繊維製の袋に封入し、該袋及び/又はアルカリ水溶液を流動状態に晒しながら、易アルカリ加水分解性のポリマー成分を分解除去することによって得られる、繊維の単糸直径が1〜10μmで、かつ単糸直径のバラツキがR値で50%以下であり、単糸の直径[D]と長さ[L]の比、L/Dが300〜2000であり、水への分散性が良好である均一な抄造用極細短繊維。
- 易アルカリ加水分解性ポリマー(ポリマーA)と、該易アルカリ加水分解性ポリマーと加水分解性が異なる、少なくとも1成分以上のポリマー(ポリマーB)からなる複合繊維を長さ5mm以下にカットして得た複合短繊維を非アルカリ加水分解性繊維製の袋に封入し、該複合短繊維の重量の3倍以上のアルカリ水溶液に浸漬し、該袋及び/又はアルカリ水溶液を流動状態に晒しながら、易アルカリ加水分解性のポリマー成分(ポリマーA)を分解除去することによる、繊維の単糸直径が1〜10μmで、単糸の直径[D]と長さ[L]の比、L/Dが300〜2000である請求項1に記載の均一な抄造用極細短繊維の製造方法。
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