JP3678462B2 - 熱転写シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は基材の一方の面に記録層が設けられ、他方の面に背面層が設けられている熱転写シートに関する。さらに詳しくは、背面層に帯電防止処理が施された熱転写シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、熱転写シートの一例であるポリエステルフィルムなどの基材の一方の面に熱溶融性インク層を設けた熱転写シートを基材の背面からサーマルヘッドで加熱して熱溶融性インク層を選択的に転写して被転写体上に印像を形成する熱転写記録方法が広く利用されている。
【0003】
前記熱転写シートにおいては、サーマルヘッドと摺接する基材の背面に耐熱性樹脂あるいはこれに滑剤を混入したものから構成される背面層(スティック防止層)を設けて基材がサーマルヘッドに融着するのを防止することが行なわれている。
【0004】
しかしながら、かかる従来の背面層は表面抵抗率が1019Ω/cm2 以上と大きく、そのため熱転写シートとサーマルヘッドとが摩擦する際に、該熱転写シートが摩擦帯電し、また熱転写シートと被転写体とが剥離する際には、該熱転写シートが剥離帯電する。このようにして熱転写シートに帯電した静電気の容量が大きいばあいには、サーマルヘッドとの間に放電が起こり、この放電のために、前記サーマルヘッドが損傷をうけるという不具合があった。
【0005】
また従来の背面層は、耐スティック性という観点からも充分な性能を有しておらず、耐熱性不足のため、熱転写シートがサーマルヘッドに融着するのを完全に防止しえなかった。さらに背面層がサーマルヘッドでしごき取られ、ヘッドにカス付着が発生し、印字品位が低下するという不具合があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記熱転写シートにおける静電気の帯電を防止するためには、リン酸エステルなどの帯電防止剤を該熱転写シートの背面層の表面に塗布する方法や背面層の中に含有させる方法が提案されている。
【0007】
しかしながら、前記帯電防止剤を背面層の表面に塗布する方法では、充分な帯電防止効果をえるためには多量の帯電防止剤を塗布する必要があり、そのために背面層の表面に過度のタック性が生じるので、熱転写シートの走行不良やブロッキングが起きるという不具合があり、さらに帯電防止効果の持続性に劣るという欠点があった。前記帯電防止剤を背面層の中に含有させる方法では、該帯電防止剤を背面層の表面にブリードさせる必要があり、充分な量の帯電防止剤をブリードさせるためには多量の帯電防止剤を背面層の中に含有させる必要があるが、背面層の中に多量の帯電防止剤を含有させると、該背面層の耐熱性が低下するという不具合があった。
【0008】
帯電防止効果の大きい方法の一例として背面層にカーボンブラックを含有させる方法が提案されており、この方法によれば背面層の表面抵抗率を1011Ω/cm2 以下にすることが可能である。しかしながら、カーボンブラックは背面層を構成する他の成分に比べ硬度が高いので、カーボンブラックを含有する背面層を有する熱転写シートを用いて熱転写を続けると、サーマルヘッドが摩耗、損傷を起こしやすく、とくに帯電防止効果を高めるためにカーボンブラックを多量に含有する背面層を有する熱転写シートを用いるばあい、サーマルヘッドが著しく摩耗、損傷を起こす傾向がある。
【0009】
そのため、カーボンブラックとして吸油量が400ミリリットル/100g以上の導電性カーボンブラックを用い、これをポリイソシアネートを主剤とする背面層に10重量%以下という少量含有させる方法が提案されている(特開平2−34393号公報参照)。
【0010】
しかしながら、この方法においてもカーボンブラックを含有する故、サーマルヘッドの摩耗、損傷の防止を充分に達成できない。
【0011】
また、背面層(スティック防止層)に加えて、帯電防止層または金属薄膜層を設ける方法があるが、この方法によると製造コストが高くなるという問題点がある。
【0012】
前記熱転写シートの耐スティック性を向上させる方法としては、耐熱保護層を設ける方法が種々提案されている。また、それら耐熱保護層にリン酸エステル、シリコンオイル等の常温で固形または液状の熱時離型性および熱時滑性を有する有機材料を含有させることが提案されている。
【0013】
前記耐熱保護層をもうける方法としては、たとえば特開昭60−201989号公報には、芳香族ポリアミドからなる耐熱保護層を設けることが、さらに特開昭63−203387号公報には、芳香族ポリスルフォン系樹脂からなる耐熱保護層を設けることが提案されている。しかしながら、これらの耐熱保護層は耐スティック性という観点から不充分であり、熱転写シートがサーマルヘッドに融着し、熱転写シートが安定して走行することが出来なくなると共に、印字品位を著しく低下させる。
【0014】
また、特開昭61−143195号公報には、シリコーングラフトまたはブロク−アクリル系共重合体からなる背面層を設けることが提案されている。シリコーングラフトまたはブロック−アクリル系共重合体からなる背面層は、硬度が他の樹脂類より硬く樹脂自体の耐熱性が高いため、耐スティック性に優れている。しかし、シリコーングラフトまたはブロック−アクリル系共重合体は成膜性が劣るため、該樹脂からなる背面層は印字の際サーマルヘッドにより削り取られ、サーマルヘッドの発熱体およびその近傍に背面層構成物が付着し、印字品位の低下が発生するなどの不具合が生じる。
【0015】
さらに、前記常温で固形の熱時離型性および熱時滑性を有する材料を背面層に含有する方法では、耐スティック性は良好であるが、ヘッドカス付着が発生しやすいという不具合があった。また前記常温で液状の熱時離型性および熱時滑性を有する材料を背面層に含有させる方法では、熱転写シートをロール状で保存したばあい、背面層材料が記録層側へ裏移りを起こし転写阻害を引き起す。また、背面層と記録層とが張り付いたりする、いわゆるブロッキング現象が発生することがあった。ブロッキング現象が発生すると、ロール状態の熱転写シートの巻き出し、搬送が円滑に行なわれなくなったり、背面層に移行、付着した記録層のインク成分がサーマルヘッドの発熱体およびその近傍に融着または付着し、印字品位を著しく低下させるという不具合があった。
【0016】
本発明は前記の点に鑑みて、帯電防止効果がすぐれ、サーマルヘッドの損傷を著しく低減することができ、かつ耐スティック性が良好な熱転写シートを提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基材の一方の面に記録層が設けられ、他方の面に背面層が設けられてなる熱転写シートにおいて、該背面層がバインダー樹脂とカーボンナノチューブとからなり、かつ該背面層の表面抵抗率が1011Ω/cm 以下であることを特徴とする熱転写シート(第1発明)に関する。
【0018】
また、本発明は、前記第1発明において、前記背面層中に前記バインダー樹脂の硬化剤が含有されていることを特徴とする熱転写シート(第2発明)に関する。
【0019】
さらに、本発明は、前記第発明において、前記硬化剤がポリイソシアネートであることを特徴とする熱転写シート(第3発明)に関する。
【0021】
本発明はさらに、前記第1、第2または第3発明において、前記背面層中のカーボンナノチューブの含有率が1〜10重量%の範囲にあることを特徴とする熱転写シート(第発明)に関する。
【0022】
【発明の実施の形態】
第1発明によれば、熱転写シートの背面層をバインダー樹脂とカーボンナノチューブとで構成することにより、該背面層の表面抵抗率が1011Ω/cm以下となり、該熱転写シートとサーマルヘッドとが摩擦する際または該熱転写シートと被転写体とが剥離する際に生じる静電気が帯電しない。そのため、前記静電気がサーマルヘッドへ放電せずサーマルヘッドが損傷することがない。また、背面層にカーボンブラックを含有させる従来技術に比べて、カーボンナノチューブの帯電防止効果が大きく、背面層における含有量が少なくてすむので、サーマルヘッドが損傷を受けにくい。さらに背面層を樹脂単独または樹脂と滑剤で構成する従来技術に比べて、成膜性が向上されているためスティッキングが発生しない。
【0023】
第2発明によれば、前記背面層中にバインダー樹脂の硬化剤が含有されているために、該背面層の耐熱性がよくなり、また該背面層を有する熱転写シートはロール状に巻いた状態で高温で保存しても、該背面層成分の裏移り量(ここで裏移りとはロール状に巻いたときに背面層に相対する面に、背面層成分が移る不都合な現象をいい、移った背面層成分の量を裏移り量という、以下同じ)を低減できる。
【0024】
第3発明によれば、前記硬化剤がポリイソシアネートであることにより、背面層の耐熱性がさらによくなり、また背面層の裏移り量をさらに低減できる。
【0026】
発明によれば、前記背面層中のカーボンナノチューブの含有率が1〜10重量%の範囲にあることにより、充分に背面層の表面抵抗率を減少させ、かつ背面層が充分な耐スティック性を有するために、サーマルヘッドに該背面層成分の粉が付着せず、スティッキングが発生しない。
【0027】
次に本発明を詳細に説明する。
【0028】
図1は本発明の熱転写シートの一実施例を示す概略部分断面図である。図1において、1は基材であり、基材1の背面に背面層2が設けられ、基材1の表面に記録層3が設けられている。
【0029】
本発明は、前記背面層が耐スティック性、耐熱性、滑性、セルフクリーニング性に優れ、かつ表面抵抗率が1011Ω/cm2 以下で、帯電防止効果のすぐれた熱転写シートを提供する。
【0031】
前記カーボンナノチューブは、中空繊維形状をしており、直径1〜50nm、長さ1〜40μm程度の大きさのものである。
【0032】
前記カーボンナノチューブの形状が中空繊維形状であることから、通常の導電性カーボンブラックより少ない含有量で帯電防止効果を発揮することができ、さらに背面層中に無数のカーボン繊維が編み目状に絡み合うことで、背面層の成膜強度が高められ、耐スティック性を向上させることができる。
【0033】
背面層中の前記カーボンナノチューブの含有率は、1〜10重量%の範囲、なかんづく2〜6%の範囲であることが好ましい。含有率が前記範囲より少ないと、背面層の表面抵抗率が高くなる傾向があると共に、耐スティック性が低下する傾向にある。一方、前記範囲より多いと、背面層の硬度が高くなりすぎ、サーマルヘッドを摩耗せしめたり、クラックを発生させる傾向がある。
【0034】
本発明における背面層のバインダー樹脂としては、従来より使用されているシリコーン樹脂、シリコーン変性ウレタン樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂、フッ素樹脂、ニトロセルロース、メラミン樹脂などの耐熱性樹脂がいずれも用いられるが、耐熱性、低摩擦抵抗カーボンナノチューブとの相乗効果などの点から、シリコーン変性ウレタン樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂がとくに好ましい。
【0035】
本発明において必要により用いられる前記バインダー樹脂の硬化剤としては、トリレンジイソシアネート(TDI)系、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)系、イソホロンジイソシアネート(IPDI)系、キシレンジイソシアネート(XDI)系、1−メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート(H6 XDI)系などのポリイソシアネートがあげられ、反応性とインクのポットライフのバランスの点から、TDI系のジイソシアネートがとくに好ましい。
【0036】
前記硬化剤の含有率は、バインダー樹脂の含有率、バインダー樹脂の種類、該硬化剤の種類によって適宜調節できるが、該バインダー樹脂に対して該硬化剤が1〜50重量%の範囲内、なかんづく5〜40重量%の範囲内にあることが好ましい。
【0037】
本発明の背面層には、本発明の目的を損なわない範囲内でリン酸エステル、シリコーンオイル、ステアリン酸亜鉛などの滑剤、メラミン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子などを配合してもよい。
【0038】
本発明の背面層は前記バインダー樹脂、前記カーボンナノチューブ、必要により硬化剤、他の配合剤を適宜の溶剤に溶解、分散したものを塗布、乾燥することによって形成できる。塗布量(乾燥後塗布量、以下同様)は0.1〜1.0g/mの範囲、なかんづく0.4〜0.6g/mの範囲が好ましい。塗布量が前記範囲未満では、耐熱性が劣り、スティッキングが発生しやすくなると共に、背面層中のカーボンナノチューブが背面層表面から突き出た状態になり、ヘッド摩耗が発生しやすくなる。一方前記範囲を超えるとサーマルヘッドへのカス(背面層成分の粉)付着が起こりやすくなる傾向があると共に、熱伝導が低下することにより印字不良(転写不足)を引き起こす原因になる。
【0039】
本発明に用いる基材としては、従来からこの種の熱転写シートの基材として使用されているものがとくに制限なく使用可能であり、たとえばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアリレートフィルムなどのポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアミドフィルム、アラミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリイミドフィルム、セロハンなどのプラスチックフィルム、グラシン紙、コンデンサー紙などの高密度紙などで、厚さが1.5〜10μm程度のものが好ましく用いられる。
【0040】
本発明に用いる記録層としては従来からこの種の熱転写シートにおける記録層として使用されているものがいずれも使用でき、たとえばつぎのものがあげられる。
【0041】
(1)ワンタイム用熱溶融性転写層
着色剤と熱溶融性ビヒクル(ワックス類および(または)熱溶融性樹脂からなるもの)とを主要成分とする熱溶融性インクの均質層からなるタイプのものなどがあげられる。
【0042】
(2)多数回使用型熱転写層
非転写性の多孔質樹脂層または多孔質粒子を樹脂バインダーで結着せしめた構成の非転写性の多孔質樹脂層に着色剤と熱溶融性ビヒクルとを主要成分とする熱溶融性インクを含有せしめ、加熱の毎に熱溶融性インクが多孔質樹脂層から徐々に滲出されるタイプのものや、着色剤と熱溶融性ビヒクルと充填剤とを主要成分として、加熱の毎にインク層が厚さ方向に徐々に転写されるタイプのものがあげられる。
【0043】
(3)熱移行性転写層
非転写性の樹脂層に昇華性染料などの熱移行性染料を含有せしめ、熱移行性染料のみを受容体に転移せしめるタイプのものなどがあげられる。
【0044】
前記着色剤としては、有機または無機の顔料あるいは染料のうち、記録材料として要求される着色濃度を有し、光、熱、温度などにより変褐色しないものが好ましい。また、加熱により発色するような物質や、被転写体に塗布されている物質と接触することにより発色するような物質を用いることもできる。そして、着色剤は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックなどの他に、種々の色の着色剤を使用することができる。
【0045】
前記ビヒクルは、ワックスを主成分とするもの、あるいはワックスと乾性油、樹脂、鉱油、セルロースまたはゴムの誘導体などとの混合物が用いられる。また、熱溶融性インクからなる記録層には、良好な熱伝導性および溶融転写性を与えるために、熱伝導性物質を含有させることができる。このような熱伝導性物質としては、カーボンブラックなどの炭素質物質、アルミニウム、銅、酸化スズ、二硫化モリブデンなどがあげられる。
【0046】
前記の熱溶融性インクを用いて基材上へ記録層を形成する方法としては、ホットメルトコート法、ホットラッカーコート法、グラビアコート法、グラビアリバースコート法、ロールコート法などの公知の方法があげられる。
【0047】
熱溶融性インクからなる記録層の厚さは、要求される印字濃度、熱感度などを考慮して適宜決定することができ、通常0.1〜30μm程度である。
【0048】
また、このような記録層の上にさらにワックスからなる表面層を形成してもよい。この表面層は、転写膜の一部をなして被転写体に接する側の表面を形成して、転写時の被転写体の印字部の目止め、地汚れ防止あるいは熱溶融性インクの被転写体に対する接着性向上の作用をなす。
【0049】
一方、熱移行性染料を含む記録層の形成に用いる染料としては、熱転写シートに用いられている従来公知の昇華性染料がいずれも使用できる。昇華性染料の具体的な例としては、赤色染料としてMS Red G、Macrolex Red Violet R、Ceres Red 7B、Samaron Red HBSL、Resolin Red F3BSなどがあげられ、黄色染料としてホロンブリリアントイエロー6GL、PTY−52、Macrolex Yellow 6Gなどがあげられ、また、青色染料としてカヤセットブルー714、ワクソリンブルーAP−FW、ホロンブリリアントブルーS−R、MSブルー100などがあげられる。
【0050】
前記の熱移行性染料を担持するためのバインダー樹脂としては、従来公知のものがいずれも使用でき、たとえばエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、硝化綿などのセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミドなどのビニル系樹脂、ポリエステル樹脂などがあげられる。これらのバインダー樹脂の中では、セルロース系、アセタール系、ブチラール系およびポリエステル系のものが特に好ましい。
【0051】
熱移行性染料を含む記録層の形成は、たとえば、適当な溶剤中に前記の熱移行性染料、バインダー樹脂、その他の必要な添加剤を加え、各成分を溶解または分散させて塗工液を調整し、この塗工液を基材フィルム上に塗布し、乾燥させることにより行うことができる。このような記録層の厚さは0.2〜5μm程度が好ましく、また、記録層中に含まれる昇華性染料の量は5〜90重量%程度が好ましい。
【0052】
【実施例】
つぎに実施例をあげて本発明を説明する。
【0053】
実施例1〜2および比較例1〜3
厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、表1に示す処方の背面層用塗工液をバーコーターで塗布し、乾燥して塗布量0.5g/m2 の背面層を形成した。
【0054】
前記ポリエチレンテレフタレートフィルムの背面層と反対面に下記の処方のインク組成物をホットメルトコーティング法で塗布して、乾燥後塗布量4.0g/m2 の熱溶融性インク層を形成し、熱転写シートをえた。
【0055】
Figure 0003678462
えられた熱転写シートについて背面層の表面抵抗率を測定し、さらに下記の条件で印字を行なったあとのサーマルヘッドの損傷、サーマルヘッドへの背面層成分の付着状態、スティック現象(基材の損傷)を下記のようにして調べた。結果を表1に示す。
【0056】
印字条件
プリンター:(株)東芝製JW95HP RUPO
印字スピード:100cps(高速モード)
印字走行距離:3000m
被転写紙:ベック平滑度50秒の上質紙
(1)表面抵抗率(Ω/cm2
三菱油化(株)製高抵抗抵抗率計Hiresta IPで測定した。
【0057】
(2)サーマルヘッドの損傷状態
金属顕微鏡((株)ニコン製HFX−II)を使用し、損傷状態を下記の評価基準で評価した。
【0058】
<評価基準>
○:未使用の状態と比べて変化が見られない。
△:発熱素子単体が判別可能であるが、未使用の状態と比べて若干変化が見られる。
×:発熱素子にクラックが生じている。
【0059】
○が実用域内である。
【0060】
(3)サーマルヘッドへの背面層成分の付着状態
前記金属顕微鏡を使用し、背面層成分の付着状態を下記の評価基準で評価した。
【0061】
<評価基準>
○:未使用の状態と比べて変化が見られない。
△:アルコールでふきとることで、ほぼ未使用の状態にもどる。
×:背面層成分がサーマルヘッド面に固着しており、アルコールでふきとることができない。
【0062】
○が実用域内である。
【0063】
(4)スティック現象
印字中に、サーマルヘッド面と接する熱転写シートの背面層の面が、溶融して、該サーマルヘッドに融着する現象(スティック現象)を下記の評価基準で評価した。
【0064】
<評価基準>
○:スティック現象が見られない。
△:スティック現象が少し発生する。
×:リボンの破断が生じる。
【0065】
○が実用域内である。
【0066】
【表1】
Figure 0003678462
【0067】
【発明の効果】
第1発明によれば、熱転写シートの背面層をバインダー樹脂とカーボンナノチューブとで構成することにより、該背面層の表面抵抗率が1011Ω/cm以下となり、該熱転写シートとサーマルヘッドとが摩擦する際または該熱転写シートと被転写体とが剥離する際に生じる静電気が帯電しない。そのため、前記静電気がサーマルヘッドへ放電せずサーマルヘッドが損傷することがない。また、カーボンナノチューブの帯電防止効果が大きいので、前記従来技術における背面層にカーボンブラックを含有する熱転写シートにくらべて、カーボンナノチューブの背面層における含有量が少なくてすみ、サーマルヘッドが損傷を受けにくい。さらに、背面層を樹脂単独または樹脂と滑剤で構成する従来技術に比べて、成膜性が向上されているためスティッキングが発生しない。
【0068】
第2発明によれば、前記背面層中にバインダー樹脂の硬化剤が含有されているために、該背面層の耐熱性がよくなり、また該背面層を有する熱転写シートはロール状に巻いた状態で高温で保存しても、該背面層成分の裏移り量を低減できる。
【0069】
第3発明によれば、前記硬化剤がポリイソシアネートであることにより、背面層の耐熱性がさらによくなり、また背面層の裏移り量をさらに低減できる。
【0071】
発明によれば、前記背面層中のカーボンナノチューブの含有率が1〜10重量%の範囲にあることにより、充分に背面層の表面抵抗率を減少させ、かつ背面層が充分な耐スティック性を有するために、サーマルヘッドに該背面層成分の粉が付着せず、スティッキングが発生しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱転写シートの一実施例を示す概略部分断面図である。
【符号の説明】
1 基材
2 背面層
3 記録層

Claims (4)

  1. 基材の一方の面に記録層が設けられ、他方の面に背面層が設けられてなる熱転写シートにおいて、該背面層がバインダー樹脂とカーボンナノチューブとからなり、かつ該背面層の表面抵抗率が1011Ω/cm 以下であることを特徴とする熱転写シート。
  2. 前記背面層中に前記バインダー樹脂の硬化剤が含有されていることを特徴とする請求項1記載の熱転写シート。
  3. 前記硬化剤がポリイソシアネートであることを特徴とする請求項記載の熱転写シート。
  4. 前記背面層中のカーボンナノチューブの含有率が1〜10重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1、2または3記載の熱転写シート。
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