JP3678433B2 - メソカーボンマイクロビーズの製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
メソカーボンマイクロビーズとはピッチ類を350〜450℃に熱処理した時にピッチ中に生成する巨大多環芳香族性高分子がピッチマトリックスから析出した、光学的に異方性を呈するメソフェーズ小球体を有機溶剤でピッチマトリックスから分離して得られる、粒径数〜数十μmの微細な炭素質微粉末を言う。メソカーボンマイクロビーズはコークスとピッチ類の中間的な性質を有し、バインダーレスの高密度炭素材原料として実用化されており、近年ではメソカーボンマイクロビーズをそのまま焼成し、黒鉛化してリチウムイオン二次電池負極用の炭素材料としての利用が注目を浴びている。本発明はリチウムイオン二次電池負極用の炭素材料として利用される焼成、黒鉛化されたメソカーボンマイクロビーズの製造方法に関わる。
【0002】
【従来の技術】
一般に、炭素材料は2000℃以上の高温処理して使用されることが多い。この高温処理は通常炭素材料が酸素と反応し、酸化消耗するために、Ar,N2 等の不活性ガス中あるいはコークスブリーズ等の還元雰囲気中で行われる。メソカーボンマイクロビーズはコークスとピッチ類の中間的な性質を有するためまだ化学的な活性が強く、焼成、黒鉛化時に加圧型を行わなくても容易に自己焼結し、一次粒子としてメソカーボンマイクロビーズを得るために焼成、黒鉛化後に解砕する必要があり、且つこの解砕工程が粒子間の強固な融着のため多大な労力を要している問題があった。
【0003】
一方で、既述したように近年、メソカーボンマイクロビーズの持つ物理特性を生かす新規用途が開発され、特に特開平4−115458号、特開平4−188559号、特開平4−190557号、特開平4−332484号等に示されるように、メソカーボンマイクロビーズを高温処理した炭素材料がリチウムイオン二次電池の負極に適していることが明らかになり、メソカーボンマイクロビーズの安価な高温処理技術が課題となっている。
【0004】
本発明はメソカーボンマイクロビーズの持つ本来の物理特性を損なうことなく安価で、再現性に優れた、焼成あるいは黒鉛化されたリチウムイオン二次電池負極用メソカーボンマイクロビーズの製造方法を提供するものである。
【0005】
すなわち、本発明は、メソカーボンマイクロビーズを空気中で120℃まで焼成した後、さらに不活性または非酸化性雰囲気中で10℃/hr以上の昇温速度で1000℃、必要に応じて3000℃まで黒鉛化処理することを特徴とするリチウムイオン二次電池負極用メソカーボンマイクロビーズの製造方法を提供するものである。
空気中での焼成後、600℃まで100℃/hr以下の昇温速度で焼成することが好ましい。
【0006】
【作用】
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
メソカーボンマイクロビーズがコークス類と異なり、自己焼結性を有するのは、その構成分子中に比較的低分子量留分を含有している為である。この低分子量留分は焼成時に350〜450℃の領域で軟化溶融し、かつ一定の残炭率を持つためにメソカーボンマイクロビーズ同士を強固に接着させる。この接着力は本発明者らの研究によれば焼成速度に依存する。通常、速い昇温速度は軽質分の溶融、蒸発を高温側にシフトさせるためより強固な接着をもたらす。
【0007】
しかし当然のことながら、焼成速度を高めることは強固に接着したメソカーボンマイクロビーズを解砕することが困難となり、結果的に製造コストが増加することとなり、安価なメソカーボンマイクロビーズの高温処理方法と言う初期の目標を達成することが出来ない。
【0008】
本発明者等は更に鋭意研究を重ねた結果、メソカーボンマイクロビーズ焼成時の120℃以下の低温領域で、一旦空気中で酸素と反応させることによりその後の焼成速度を大幅に増加させることが可能であることを発見した。メソカーボンマイクロビーズは勿論、空気中では容易に酸素と反応し、燃えてしまう。しかしながら、120℃以下の温度領域での反応は遅く、工業的に充分制御可能である。120℃以下の温度で空気中に暴露されたメソカーボンマイクロビーズは酸素によりその構成成分である低分子量留分が重質化し、急速に接着力を低下させる。120℃超の温度では酸化反応が急速に進行し、制御が困難となりメソカーボンマイクロビーズが燃焼してしまうばかりでなく、結晶構造の破壊をもたらす。一方、40℃以下の温度では酸化反応は極めて遅く、効果が得られないため好ましくは40℃以上の温度を選定することが好ましい。
【0009】
かかる空気中での酸化処理を実施したメソカーボンマイクロビーズは結晶構造を破壊することなくメソカーボンマイクロビーズ間の接着力が低下しており、その後焼成速度を10℃/hr以上、好ましくは100℃/hr以下と言う、炭素材料の焼成速度としては極めて速い昇温速度で例えば1000℃といった温度域まで焼成可能となる。さらに、必要に応じて3000℃まで黒鉛化処理することができる。尚、好ましくはかかる100℃/hr以下と言う条件は、温度600℃付近までであって、これ以上の温度領域では、更に速い昇温速度を採用することも可能である。こうした条件を採用することにより、従来、メソカーボンマイクロビーズ同士の融着を防止するために1〜3℃/hrと言う極めてゆっくりした昇温速度を採用し、それにも関わらず、最終工程で解砕操作を必要とする複雑な製造工程が極めて簡略化されることが明らかになった。なお、空気中での酸化処理後の焼成あるいは黒鉛化処理は従来と同様不活性または非酸化性雰囲気中で行なう。
【0010】
【実施例】
以下に本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
(実施例1)
フリーカーボン(QI)を1.5%含有するコールタールを、450℃で0.2hr熱処理してメソフェーズ小球体を生成させた。かかる熱処理ピッチをタール中油(bp:130〜250℃)を使用して抽出し、ピッチマトリックス中からメソフェーズ小球体を分離濾過し、溶剤を除去するために充分乾燥してメソカーボンマイクロビーズを得た。
かかるメソカーボンマイクロビーズ約5kgを15LのSUS製の焼成管に充填し、内部に空気を吹き込みながら、100℃で2分間処理した後、空気を窒素雰囲気に変え、20℃/hrの速度で1000℃まで焼成した。その後、黒鉛化炉を使用して、2800℃まで500℃/hrの速度で高温処理して目的とするメソカーボンマイクロビーズの黒鉛化品を得た。この時、メソカーボンマイクロビーズは互いに融着することなく、一次粒子のままであった。
かかる黒鉛化されたメソカーボンマイクロビーズは平均粒径が12.1μmで、X線の(002)回折線から得られる格子定数Coと結晶子の大きさLcはそれぞれ6.758Å、376Åであった。
【0011】
(実施例2)
実施例1と同様して得られたメソカーボンマイクロビーズ約5kgを15LのSUS製の焼成管に充填し、室温(23℃)から昇温速度15℃/hrで1000℃まで一定速度で焼成した。この時、120℃までは焼成管中に空気を流し、120℃を超える温度になった時、空気を窒素に切り換えた。その後は実施例1と同様の条件で黒鉛化処理を実施してメソカーボンマイクロビーズの黒鉛化品を得た。この時、メソカーボンマイクロビーズは実施例1と同様に互いに融着することなく、一次粒子のままであった。
かかる黒鉛化されたメソカーボンマイクロビーズは平均粒径が12.4μmで、X線の(002)回折線から得られる格子定数Coと結晶子の大きさLcはそれぞれ6.753Å、396Åであり、実施例1と同様の物性を示した。
【0012】
(比較例1)
実施例1と同様して得られたメソカーボンマイクロビーズ約5kgを15LのSUS製の焼成管に充填し、室温(23℃)から昇温速度15℃/hrで1000℃まで一定速度で焼成した。この時、1000℃までは焼成管中に窒素を流した。焼成が終了したメソカーボンマイクロビーズは強固に融着し、約5kgの塊として得られた。かかる焼成したメソカーボンマイクロビーズを実施例1と同様の条件で黒鉛化処理を実施した。黒鉛化したメソカーボンマイクロビーズを粉砕機で粉砕後、平均粒径が13.7μmとなった。また、X線の(002)回折線から得られる格子定数Coと結晶子の大きさLcはそれぞれ6.752Å、386Åであり、実施例と同等の結晶構造であった。
【0013】
従来法によると自己焼結してメソカーボンマイクロビーズが強固に接着された塊状となるため、多大な労力を必要とする解砕が必要であったが、本発明法によればその必要がなく、安価に、再現性よく、焼成あるいは黒鉛化されたメソカーボンマイクロビーズを製造することができ、リチウムイオン二次電池負極用の炭素材料などに好適に利用可能である。
Claims (2)
- メソカーボンマイクロビーズを空気中で120℃まで焼成した後、さらに不活性または非酸化性雰囲気中で10℃/hr以上の昇温速度で1000℃、必要に応じて3000℃まで黒鉛化処理することを特徴とするリチウムイオン二次電池負極用メソカーボンマイクロビーズの製造方法。
- 空気中での焼成後、600℃までは100℃/hr以下の昇温速度で焼成する請求項1に記載のリチウムイオン二次電池負極用メソカーボンマイクロビーズの製造方法。
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JP29178493A JP3678433B2 (ja) | 1993-11-22 | 1993-11-22 | メソカーボンマイクロビーズの製造方法 |
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- 1993-11-22 JP JP29178493A patent/JP3678433B2/ja not_active Expired - Fee Related
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