JP3678299B2 - エンジンマウント用弾性ストッパ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンマウントとこれを自動車の車体等に取付けるブラケットとが直接当接しないように両者間に挿着されるエンジンマウント用弾性ストッパ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車のエンジンは、防振機能をもつエンジンマウントを介して車体に取付けられている。例えば図5に示すように、一般にエンジンマウント105は、円筒状の主軸金具151と、主軸金具151の外側に同軸状に配置された外筒金具152と、主軸金具151と外筒金具152とを一体的に連結する略筒状のゴム弾性体153とから構成されている。このエンジンマウント105は、主軸金具151と外筒金具152にエンジン及び車体のいずれか一方を各種のブラケットを用いてそれぞれ固定して使用され、エンジンに発生する振動の伝達をゴム弾性体153の弾性変形により抑制する。なお、図5においては、外筒金具152に筒状ブラケット108でエンジン(図示せず)を懸架固定し、主軸金具151の両端を車体106に固定した枠状ブラケット107にボルト109等で取付けた状態を示している。
【0003】
ところで、上記のように取付けられるエンジンマウント105においては、車両の急激な加速や減速あるいは過大な振動等によりゴム弾性体153が過大に変形すると、ゴム弾性体153に亀裂や破損が発生し易い。そこで、かかるエンジンマウント105の過大な軸方向の変位あるいは枠状ブラケット107との当接を規制するために、エンジンマウント105の両軸端部と枠状ブラケット107との間に板状の弾性ストッパ101を配設することが従来より行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ゴム弾性体153の亀裂等の防止対策には、外筒金具152と枠状ブラケット107との過大な相対変位を抑制するために、弾性ストッパ101と外筒金具152及び枠状ブラケット197との間のクリアランスを小さくしたり、弾性ストッパ101の硬さを硬くすることが有効である。しかし、このようにすると、クラッキング時などにおいて外筒金具152や枠状ブラケット107が弾性ストッパ101に衝突したときに打音が生じるという問題がある。この打音は、特にエンジンの作動開始時や停止時にエンジンのトルク反力を受けてエンジンが大きく揺れることにより生じる。特にワンボックスタイプの車両においては、その打音がフロアから直接車室内に増幅されて入ってくるため、大きな問題となる。また、トルク反力の大きいディーゼルエンジンを搭載した車両には打音が発生し易い。
【0005】
一方、この打音は、弾性ストッパ101と外筒金具152及び枠状ブラケット107との間にクリアランスが存在することから発生するので、そのクリアランスをゼロにすれば打音の発生を回避することができる。しかし、弾性ストッパ101のクリアランスをゼロにした場合は、エンジンのアイドル運転時の振動が直接ボディーに伝達してしまうという問題がある。
【0006】
更に、昨今では、車体へのエンジンの組付は人手を用いず自動組付が行われており、この場合、組付時の位置ずれにより弾性ストッパ101が枠状ブラケット107とエンジンマウント105との間のクリアランス部にうまく入らず、噛込んだりはみ出したりしてしまうという問題もある。
本発明は上記問題に鑑み案出されたものであり、打音の発生を回避するとともにアイドル運転時の振動の増大をも回避することができるエンジンマウント用弾性ストッパ装置を提供することを解決すべき課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明は、一方の取付部材に取付けられる枠状ブラケットに両端が固定保持される主軸金具と、該主軸金具の外側に同軸状に配置され他方の取付部材に取付けられる筒状ブラケットの内側に固定保持される外筒金具と、前記主軸金具と前記外筒金具とを一体的に連結するゴム弾性体とからなるエンジンマウントに装着され、前記外筒金具と前記枠状ブラケットとの軸方向の相対変位を規制するエンジンマウント用弾性ストッパ装置であって、前記外筒金具の両端と前記枠状ブラケットとの間に配設される一対のストッパ本体部と、該一対のストッパ本体部の間に軸方向に延在して該一対のストッパ本体部を連結し周方向に間隔を隔てて配置された複数の連結部とを備えて、全体がゴム成形体により一体に形成され、前記ストッパ本体部は、その外側面より軸方向に突出し、該ストッパ本体部を前記枠状ブラケットの内側に挿入して組付けた取付初期状態において前記枠状ブラケットと接触した状態に配置される複数の山形突起部を有することを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の好適な態様として、前記ストッパ本体部は、該ストッパ本体部を前記枠状ブラケットの内側に挿入して組付ける際の挿入先端側に前記山形突起部よりも低い高さに形成されたガイド突起部を有する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は本実施形態に係るエンジンマウント用弾性ストッパ装置の平面図であり、図2はそのストッパ装置の側面図であり、図3は図1の III−III 線矢視断面図であり、図4はそのストッパ装置をエンジンマウントに取付けた状態を示す断面図である。
【0010】
本実施形態の弾性ストッパ装置は、図4に示すように、自動車の車体6に取付けられる断面コ字状の枠状ブラケット7に取付ボルト9を介して両端が固定保持される主軸金具51と、主軸金具51の外側に同軸状に配置されエンジン(図示せず)に取付けられる筒状ブラケット8の内側に固定保持される外筒金具52と、主軸金具51と外筒金具52とを一体的に連結するゴム弾性体53とからなるエンジンマウント5に装着するように構成されている。
【0011】
この弾性ストッパ装置は、図1〜図3に示すように、その外側面に山形突起部11及びガイド突起部12をもち所定間隔を隔てて配置された一対のストッパ本体部1と、一対のストッパ部1を連結する5つの連結部2とからなり、全体がゴムを加硫成形することにより一体に形成されている。
一対のストッパ本体部1は、この弾性ストッパ装置が装着されるエンジンマウントの外筒金具52の両端と枠状ブラケット7との間に配設される部分であって、外筒金具52の断面円形状に沿って略円弧状に形成されている。なお、各ストッパ本体部1の両端は、連結枠11によって連結されている。そして、各ストッパ本体部1の外側面には、軸方向に突出する複数の山形突起部12が設けられている。この山形突起部12は、ストッパ装置の取付初期状態においてその先端が枠状ブラケット7と接触した状態となるように高さが設定されている。また、各ストッパ本体部1の外側面には、ストッパ本体部1を枠状ブラケット7の内側に挿入して組付ける際の挿入先端側となる部分に、山形突起部12よりも低い高さに形成されたガイド突起部13が設けられている。
【0012】
連結部2は、一対のストッパ本体部1の間で軸方向に延び、各ストッパ本体部1の内側面の外周部に両端が接続するように形成されている。この連結部2は、ストッパ本体部1の外周部に周方向に略等間隔を隔てた状態で5つ設けられている。
以上のように構成された本実施形態の弾性ストッパ装置は、図4に示すように、一対のストッパ本体部1が外筒金具52の両端と枠状ブラケット7との間に位置し、ストッパ本体部1の各山形突起部12の先端が枠状ブラケット7と接触した状態に配設される。このとき、ストッパ本体部1を枠状ブラケット7の内側に挿入して組付ける際には、ストッパ本体部1の挿入先端側となる位置に山形突起部12よりも低い高さに形成されたガイド突起部13が設けられているため、挿入初期における摩擦抵抗が少なくなるので挿入組付け作業が容易となる。特に、自動組付を行う場合、組付部品に多少の位置ずれが生じても、噛込みやはみ出し等の問題も発生し難い。
【0013】
そして、エンジンの作動開始時や停止時、あるいは車両の急激な加速時や減速時にエンジンに過大な振動が発生した場合には、弾性ストッパ装置のストッパ本体部1によって外筒金具52と枠状ブラケット7との軸方向の過大な相対変位が規制されることにより、ゴム弾性体53の過大な変形が抑制され、ゴム弾性体53の亀裂や破損の発生が防止される。また、このとき、ストッパ本体部1の各山形突起部12の先端が枠状ブラケット7と接触した状態に配設されているため、打音の発生が回避される。さらに、ストッパ本体部1は、山形突起部12を有することにより柔らかいゴム特性となり、これによりエンジンのアイドル運転時における振動の増大も回避される。
【0014】
以上のように、本実施形態の弾性ストッパ装置によれば、ストッパ本体部1は、その外側面より軸方向に突出し枠状ブラケット7と接触した状態に配置される複数の山形突起部12を有するため、打音の発生を回避するとともにアイドル運転時の振動の増大をも回避することができる。
また、ストッパ本体部1は、山形突起部12よりも低い高さに形成されたガイド突起部13を有するため、ストッパ本体部1を枠状ブラケット7の内側に挿入して組付ける際に挿入組付け作業を容易に行うことができる。
【0015】
なお、本発明に係る山形突起部の数や大きさなどは、弾性ストッパ装置としての目的とするゴム特性等に対応して適宜設定することができる。
【0016】
本発明によれば、ストッパ本体部は、その外側面より軸方向に突出し、ストッパ本体部を枠状ブラケットの内側に挿入して組付けた取付初期状態において枠状ブラケットと接触した状態に配置される複数の山形突起部を有するため、打音の発生を回避するとともにアイドル運転時の振動の増大をも回避することができる。
【0017】
また、ストッパ本体部は、ストッパ本体部を枠状ブラケットの内側に挿入して組付ける際の挿入先端側に山形突起部よりも低い高さに形成されたガイド突起部を有するようにすれば、ストッパ本体部の挿入組付け作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る弾性ストッパ装置の平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る弾性ストッパ装置の側面図である。
【図3】図1の III−III 線矢視断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る弾性ストッパ装置をエンジンマウントに取付けた状態を示す断面図である。
【図5】従来の弾性ストッパ装置をエンジンマウントに取付けた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1…ストッパ本体部 11…連結枠 12…山形突起部
13…ガイド突起部 2…連結部 5…エンジンマウント
51…主軸金具 52…外筒金具 53…ゴム弾性体 6…車体
7…枠状ブラケット 8…筒状ブラケット 9…取付ボルト

Claims (2)

  1. 一方の取付部材に取付けられる枠状ブラケットに両端が固定保持される主軸金具と、該主軸金具の外側に同軸状に配置され他方の取付部材に取付けられる筒状ブラケットの内側に固定保持される外筒金具と、前記主軸金具と前記外筒金具とを一体的に連結するゴム弾性体とからなるエンジンマウントに装着され、前記外筒金具と前記枠状ブラケットとの軸方向の相対変位を規制するエンジンマウント用弾性ストッパ装置であって、
    前記外筒金具の両端と前記枠状ブラケットとの間に配設される一対のストッパ本体部と、該一対のストッパ本体部の間に軸方向に延在して該一対のストッパ本体部を連結し周方向に間隔を隔てて配置された複数の連結部とを備えて、全体がゴム成形体により一体に形成され
    前記ストッパ本体部は、その外側面より軸方向に突出し、該ストッパ本体部を前記枠状ブラケットの内側に挿入して組付けた取付初期状態において前記枠状ブラケットと接触した状態に配置される複数の山形突起部を有することを特徴とするエンジンマウント用弾性ストッパ装置。
  2. 前記ストッパ本体部は、該ストッパ本体部を前記枠状ブラケットの内側に挿入して組付ける際の挿入先端側に前記山形突起部よりも低い高さに形成されたガイド突起部を有する請求項1記載のエンジンマウント用弾性ストッパ装置。
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