JP3767396B2 - エンジンマウントおよびそれを用いた自動車用パワーユニット支持機構 - Google Patents

エンジンマウントおよびそれを用いた自動車用パワーユニット支持機構 Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、自動車におけるパワーユニットのボデーに対する防振支持機構に係り、特に、衝突等に際してのパワーユニットの車室への突出による悪影響を軽減乃至は回避することの出来る、新規な構造の自動車用エンジンマウントを用いたパワーユニットの支持機構に関するものである。
【0002】
【背景技術】
一般に自動車においては、配設スペースや重量バランス等を考慮して、車体前部のボンネット内(エンジンルーム)に、エンジンやトランスミッション等を一体的に構成したパワーユニットを配設せしめた構造が採用されている。かかるパワーユニットは、剛性を有する金属等の大型のブロック構造を有しており、ボデーに設けられたサブフレーム等に対して複数のエンジンマウントを介して防振支持されている。そして、パワーユニットが配設されたエンジンルームは、パワーユニットで発生する音や熱等の車室への伝達を軽減乃至は防止するために、車体前部のダッシュパネルによって車室と仕切られている。
【0003】
ところが、このように車室の前方にパワーユニットを配設した構造の自動車においては、衝突等に際して車体前方に大荷重が及ぼされるとエンジンルームが潰されることにより、剛性のブロック体であるパワーユニットが車体後方に押し込まれて変位し、車室にまで突出することによって、ダッシュパネルを変形させ、或いはダッシュパネルを突き破って変位せしめられることにより、特に、運転席や助手席等の車室空間が押し潰されてしまい、安全上大きな問題となるおそれがあった。
【0004】
そこで、このような問題に対処するために、特開平7−81435号公報等に開示されているように、パワーユニットの後部を支持せしめる支持部位を車体ボデーの車室フロアより鉛直下方に位置せしめて、衝突等に際しての前方からの衝撃力が及ぼされた際に、パワーユニットの後部を車体後方に向かって斜め下方に変位させて落とし込むことにより剛性が高く安全な車室フロア側に変位させるようにした構造が提案されている。
【0005】
しかしながら、前記公報等に記載の従来技術においては、パワーユニット後部のボデーに対する支持位置を車室フロアよりも下方に位置せしめた構造が開示されてはいるが、衝突等の大荷重の入力に際してパワーユニットの後部が必ずしも有効に下方に変位せしめられ得ず、そのために、パワーユニットの後部の下方への落とし込みによる車室空間への悪影響の軽減乃至は防止するという目的が安定して発揮され難いという問題があった。
【0006】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、自動車の防振支持機構であって、パワーユニットの後部を衝突等の大荷重の入力に際して、より確実に下方に落とし込み車室へのパワーユニットの突出等に起因する悪影響を安定して回避せしめ得ることの出来る、新規な構造のエンジンマウントを用いた自動車用パワーユニット支持機構を提供することにある。
【0007】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0008】
すなわち、本発明の第一の態様は、自動車のパワーユニットの後部の下方への変位を許容しつつ、該パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるようにしたパワーユニット支持機構において、インナ軸部材の外周側に離隔してアウタ筒部材が配設されていると共に、それらインナ軸部材とアウタ筒部材が本体ゴム弾性体によって弾性連結されており、該インナ軸部材と該アウタ筒部材の何れか一方が自動車のボデー側に取り付けられると共に、他方が自動車のパワーユニット側に取り付けられることにより、該パワーユニットを該ボデーに対して防振支持せしめるエンジンマウントであって、略鉛直上方に向かって開口する溝形の底金具と該底金具の開口部を覆蓋する蓋金具によって前記アウタ筒部材を構成すると共に、前記本体ゴム弾性体を略逆V字形のブロック形状としてその頂部に前記インナ軸部材を貫通状態で加硫接着せしめる一方その逆V字形の両側下端部を該底金具に加硫接着し、且つ該底金具において該本体ゴム弾性体が加硫接着された両側隅壁部をそれぞれ該インナ軸部材に対峙するように傾斜させて該本体ゴム弾性体を介して該インナ軸部材から及ぼされる力を略直交する面で受けるようにすると共に、該底金具の開口部には略水平方向に延び出す固定板部を形成して該固定板部を該蓋金具と略鉛直方向に重ね合わせてかかる重ね合わせ部分をボルトやリベットで締付固定することにより、該アウタ筒部材の周上において、軸直角方向への大荷重の作用によって分断される分断予定部を形成し、自動車の衝突等に伴う大荷重の作用に際して該分断予定部が分断されて該アウタ筒部材が外周側に向かって開くことにより、前記インナ軸部材の該アウタ筒部材に対する大きな相対変位が許容されるようにしたエンジンマウントを採用して、前記インナ軸部材および前記アウタ筒部材の中心軸が自動車の左右方向に延びる状態で装着することにより、前記パワーユニットの後部を前記ボデーに対して防振支持せしめる後部用エンジンマウントを構成することにより、該自動車の衝突等に際して該後部用エンジンマウントに該大荷重が作用せしめられた際に、該後部用エンジンマウントの該アウタ筒部材における該分断予定部が分断して開くことにより、該インナ軸部材の該アウタ筒部材に対する相対変位に基づいて、該パワーユニットの後部が該ボデーの斜め下方に案内されるようにしたことを、特徴とする。
【0009】
このような本態様に従う構造とされたパワーユニット支持機構のエンジンマウントにおいては、大荷重が作用せしめられた際、アウタ筒部材の分断予定部が分断して外周側に向かって開くことにより、インナ軸部材がアウタ筒部材の分断予定部によって案内されるようにして、所定方向への大きな相対変位が許容されることとなる。
【0010】
従って、このようなエンジンマウントを、パワーユニットの変位させたい方向を考慮して適当な方向性をもって配設することにより、衝突等に際してパワーユニットを安全上の問題とならない方向にコントロールして変位させることが可能となるのであり、車室への問題となるような突出方向から逃がして変位方向をコントロールさせて車室を保護することが可能となる。
【0011】
また、本明においては、大荷重の作用に際して、底金具の湾曲乃至は屈曲せしめられた底部が拡開されるようにして、底金具の側壁部が蓋金具から外れて開くように変形せしめられるのであり、安定した変形状態が発現されてインナ軸部材とアウタ筒部材の相対変位の更なる安定化が図られ得る。
【0012】
さらに、本明においては、インナ軸部材を底金具側に連結したことにより、底金具が開いた際のインナ軸部材とアウタ筒部材の相対変位が底金具によって案内されて、インナ軸部材の変位量をより大きくすることが出来ると共に、インナ軸部材の変位方向をより一定方向に導くことが出来る。
【0013】
なお、本態様において、アウタ筒部材における分断予定部の具体的構造は、特に限定されるものでなく、通常の走行状態下に入力される荷重数に対しては十分な強度を確保しつつ、衝突時等の非常事態での大荷重入力に対して分断し得る強度を有していれば良い。例えば、分断予定部は、アウタ筒部材を薄肉としてアウタ筒部材自体の強度を低下させて形成することも可能であるが、特に本態様においては、以下の第の態様が有利に採用され得る。
【0014】
すなわち、本発明の第の態様は、前記第一の態様に従う構造とされたパワーユニット支持機構において、前記エンジンマウントの前記アウタ筒部材における分断予定部において、略鉛直方向に重ね合わせられる前記底金具の前記固定板部と前記蓋金具との重ね合わせ部分には、それら固定板部と蓋金具の少なくとも一方における前記ボルトやリベットの挿通孔を車両後方側に向かって延びて端縁部に開口するスリット形状とすることにより、前記大荷重の作用に際して該ボルトやリベットが該スリット形状の挿通孔から外れるようになっていることを、特徴とする。
【0015】
また、本発明の第一又は第二の態様において、エンジンマウント前記アウタ筒部材における分断予定部において、略鉛直方向に重ね合わせられる一対の締結板部を設けて、それら一対の締結板部を略鉛直方向に延びるリベットで相互に締付固定することにより、前記大荷重の作用によって該リベットが剪断破壊して該一対の締結板部に対する該リベットの締付固定力が解除されるようにしても良い。このような本態様においては、リベットの単体強度のみでアウタ筒部材の分断強度が決定されることから、強度のばらつきが少なく、安定した分断作動が実現され得る。
【0016】
さらに、本発明の第の態様は、自動車のパワーユニットの後部の下方への変位を許容しつつ、該パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるようにしたパワーユニット支持機構において、インナ軸部材の外周側に離隔してアウタ筒部材が配設されていると共に、それらインナ軸部材とアウタ筒部材が本体ゴム弾性体によって弾性連結されており、該インナ軸部材と該アウタ筒部材の何れか一方が自動車のボデー側に取り付けられると共に、他方が自動車のパワーユニット側に取り付けられることにより、該パワーユニットを該ボデーに対して防振支持せしめるエンジンマウントであって、略鉛直上方に向かって開口する溝形の底金具と該底金具の開口部を覆蓋する蓋金具によって前記アウタ筒部材を構成すると共に、前記本体ゴム弾性体を略逆V字形のブロック形状としてその頂部に前記インナ軸部材を貫通状態で加硫接着せしめる一方その逆V字形の両側下端部を該底金具に加硫接着し、且つ該底金具において該本体ゴム弾性体が加硫接着された両側隅壁部をそれぞれ該インナ軸部材に対峙するように傾斜させて該本体ゴム弾性体を介して該インナ軸部材から及ぼされる力を略直交する面で受けるようにすると共に、該蓋金具の長手方向端部には該底金具に向かって略鉛直方向に延び出す後方側壁部を形成して該後方側壁部を該底金具の開口端部と略水平方向に重ね合わせてかかる重ね合わせ部分を圧入軸部材で締付固定することにより、該アウタ筒部材の周上において、軸直角方向への大荷重の作用によって分断される分断予定部を形成し、自動車の衝突等に伴う大荷重の作用に際して該分断予定部が分断されて該アウタ筒部材が外周側に向かって開くことにより、前記インナ軸部材の該アウタ筒部材に対する大きな相対変位が許容されるようにしたエンジンマウントを採用して、前記インナ軸部材および前記アウタ筒部材の中心軸が自動車の左右方向に延びる状態で装着することにより、前記パワーユニットの後部を前記ボデーに対して防振支持せしめる後部用エンジンマウントを構成することにより、該自動車の衝突等に際して該後部用エンジンマウントに該大荷重が作用せしめられた際に、該後部用エンジンマウントの該アウタ筒部材における該分断予定部が分断して開くことにより、該インナ軸部材の該アウタ筒部材に対する相対変位に基づいて、該パワーユニットの後部が該ボデーの斜め下方に案内されるようにしたことを、特徴とする。このような本態様においては、鉛直方向におけるアウタ筒部材の強度を確保しながら分断方向となる水平方向の強度を比較的に低く設定することが出来、それによって、大荷重入力時における確実な分断作動が実現され得る。
【0017】
なお、本態様において、一般的な走行状態下における入力荷重の大きさおよび衝突等に際して入力される大荷重の大きさは、特に限定されるものでなく、要求される自動車の特性等に応じて適宜に設定されるものであるが、一般の自動車(乗用車)においては、分断予定部の分断強度が通常走行状態下で及ぼされる部材強度の二倍以上,好ましくは三倍以上,より好ましくは五倍以上に設定される。
【0018】
また一方、本発明の第の態様は、前記第一乃至第三の何れかの態様に従う構造とされたパワーユニット支持機構において、前記エンジンマウントにおける前記アウタ筒部材の前記蓋金具には、該蓋金具を前記自動車の装着面に対して固定するための固定ボルトが挿通されるボルト挿通孔が形成されていると共に、該蓋金具の該ボルト挿通孔の形成部位には、該固定ボルトが螺合される固定用ナットが溶着されていることを、特徴とする。
さらに、本発明の第五の態様は、上記第四の態様に従う構造とされたパワーユニット支持機構であって、前記蓋金具には、前記挿通孔の外周側に離隔して補強リブが一体形成されており、該補強リブによって溝形状や凹所形状とされた部分に該挿通孔が設けられていることを、特徴とする。
【0019】
上述の如き各態様に従う構造とされた、本発明に従うパワーユニット支持機構にあっては、車体前部のエンジンルームにパワーユニットを配設せしめた自動車において、前述の如き特定構造のエンジンマウントを採用することによって、衝突等の大荷重作用時に、パワーユニットの車室への突出が問題となるパワーユニットの後部を、車体の後方下方へ安定して導くことが出来るのであり、それによって、安全性がより有利に実現され得るのである。
【0020】
また、本発明の第の態様は、前記第一乃至第五の何れかの態様に従う構造とされたパワーユニット支持機構において、前記パワーユニットの慣性主軸付近に配設された複数の吊下支持用エンジンマウントによって、該パワーユニットを前記ボデーに対して防振支持せしめると共に、該パワーユニットの後部を該パワーユニットの重心よりも鉛直下方の位置で前記後部用エンジンマウントにおける前記インナ軸部材に取り付ける一方、該後部用エンジンマウントの前記アウタ筒部材を前記ボデーの下面に取り付け、それらインナ軸部材とアウタ筒部材の中心軸を略車両横方向に向けて配設して、衝突等の大荷重の作用に際して、該アウタ筒部材の前記分断予定部によって該アウタ筒部材が後方側に開くことによって、該インナ軸部材に取り付けられた前記パワーユニットの後部を車両の斜め後方で下方に向かって案内するようにしたことを、特徴とする。このような本態様においては、特にFF車において有利に採用される吊下支持構造のパワーユニットにおいて、後方下部の車室への突出を有利に回避せしめることが出来る。なお、本態様においては、パワーユニットの重心位置よりも鉛直下方に位置するようにして、後部用エンジンマウントのインナ軸部材を配設することが望ましく、それによって、衝突等の大荷重が作用せしめられた際に、パワーユニットの後部を安全上問題となりにくい斜め下方に向かって一層容易に案内させることが出来る。
【0021】
さらに、本発明の第の態様は、前記第一乃至第六の何れかの態様に従う構造とされたパワーユニット支持機構において、前記パワーユニットを、自動車のボデーの左右両側に配設された一対のサイドメンバに対して、複数の吊下支持用エンジンマウントを介して防振支持せしめる一方、該パワーユニットの後部を、前記ボデーにおいて該パワーユニットの後方に配設されたクロスメンバに対して、前記後部用エンジンマウントを介して防振支持せしめたことを、特徴とする。このような本態様においては、モノコック構造の自動車ボデーに対して、一対のサイドメンバと後方側のクロスメンバによってパワーユニットを有利に吊り下げ支持することが出来ると共に、衝突に際してのパワーユニット後部の後方下方への変位がより安定して生ぜしめられ得て、車室への悪影響が有利に回避され得る。
【0022】
【発明の実施形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0023】
先ず、図1〜3には、本発明の第一の実施形態としての自動車用エンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、インナ軸部材としての内筒金具12と、アウタ部材としての外筒金具14が、互いに径方向に所定距離を隔てて配設されていると共に、それらの間に介装された本体ゴム弾性体16によって連結されている。そして、かかるエンジンマウント10は、内筒金具12がパワーユニットに固定される一方、外筒金具14が車両ボデーに固定されることにより、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるようになっている。また、このようなエンジンマウント10は、図1中において、上下方向が車両上下方向に、左右方向が車両前後方向となる状態で自動車に装着されるようになっており、従って、以下の説明中では、原則として、図1中の上下,左右方向を車両の上下,前後方向という。
【0024】
より詳細には、内筒金具12は、厚肉小径の円筒形状を有している。また一方、外筒金具14は、底金具18と蓋金具20によって構成されており、全体として略矩形筒形状を有している。底金具18は、上方に向かって開口する略矩形の溝形状に曲成された帯板状を有しており、開口部分の両端縁部には、それぞれ外方に向かって延びる前後の固定板部22,24が一体形成されている。また、底金具18の幅方向両端縁部には、それぞれ、全長に亘って延びる補強リブ26,26が一体形成されている。更に、底金具18における前後の固定板部22,24には、それぞれ、連結用孔28,30が貫設されていると共に、これら連結用孔28,30と同心的に配された固定ナット32,34が、固定板部22,24の下面に溶着されている。
【0025】
また一方、蓋金具20は、長手矩形の略平板形状を有しており、図3にも示されているように、車両前方側となる図1,3中の左端部には、ブラケット部36が、幅方向一方の側に延び出して一体形成されている。なお、ブラケット部36の端縁部には補強リブ38,38が一体形成されている。また、ブラケット部36の中央部分には、取付用孔40が貫設されていると共に、該取付用孔40と同心的に配された固定ナット42が、ブラケット部36の下面に溶着されている。更にまた、蓋金具20の長手方向中間部分には、取付用ナット44が上面に溶着固定されている。
【0026】
さらに、蓋金具20の長手方向両端部には、連結用孔46,48が貫設されている。ここにおいて、車両前方側に位置せしめられる連結用孔46は、円形の貫通孔とされている一方、車両後方側に位置せしめられる連結用孔48は、図1,3に示されているように、蓋金具20の車両後方側の端縁部に開口して、略一定の幅寸法で蓋金具20の長手方向に延びる所定幅スリット形状とされている。
【0027】
そして、かかる蓋金具20は、底金具18の開口部に配設されて、底金具18の固定板部22,24に対して蓋金具20の長手方向両端部を重ね合わせられた状態で配設されており、蓋金具20の連結用孔46,48に挿通された連結ボルト50,52が、底金具18の連結用孔28,30に挿通されて固定ナット32,34に螺着されることによって、蓋金具20が底金具18に対して固定的に組み付けられている。そして、蓋金具20が底金具18に組み付けられることによって、底金具18の開口部が蓋金具20で覆蓋されており、以て、全体として矩形の筒形状を有する外筒金具14が形成されている。
【0028】
而して、外筒金具14は、内筒金具12に対して外挿されており、内筒金具12の径方向外方に離隔して略平行に配設されている。そして、これら内外筒金具12,14間に、本体ゴム弾性体16が配設されて、内外筒金具12,14が弾性的に連結されている。
【0029】
本体ゴム弾性体16は、全体として略逆V字形の断面で外筒金具14内を軸方向に延びるブロック形状とされており、その逆V字形の頂部に内筒金具12が貫通状態で加硫接着されていると共に、その逆V字形の両側下端部に外筒金具14が加硫接着されている。要するに、本実施形態において、本体ゴム弾性体16は、内筒金具12と底金具18を有する一体加硫成形品54として形成されている。
【0030】
なお、本体ゴム弾性体16の両側下端部が加硫接着される外筒金具14の両側隅壁部56,56は、内筒金具12に対峙するように傾斜せしめられており、本体ゴム弾性体16を介して内筒金具12から及ぼされる力を、略直交する面で受けるようになっている。また、内筒金具12の外周面上には、上方に向かって突出するリバウンドストッパ58が、本体ゴム弾性体16によって一体形成されて、蓋金具20に対して上下方向に離隔して対向位置せしめられており、このリバウンドストッパ58の蓋金具20への当接によって、内外筒金具12,14のリバウンド方向(パワーユニット荷重の入力方向と反対の方向)での相対変位量が緩衝的に制限されるようになっている。また一方、外筒金具14の底壁部には、内筒金具12に向かって上方に突出するバウンドストッパ60が形成されて、内筒金具12に対して上下方向に離隔して対向位置せしめられており、このバウンドストッパ60の内筒金具12への当接によって、内外筒金具12,14のバウンド方向での相対変位量が緩衝的に制限されるようになっている。なお、底金具18の表面には、被覆ゴム層62が被着形成されており、この被覆ゴム層62とバウンドストッパ60が、本体ゴム弾性体16によって一体形成されている。
【0031】
そして、上述の如き構造とされたエンジンマウント10は、前述の如く、内筒金具12がパワーユニット側に取り付けられる一方、外筒金具14がボデー側に取り付けられることにより、FF型自動車に装着されて、自動車におけるパワーユニット支持機構としてのパワーユニット懸架装置64の一部を構成するようにされる。かかるパワーユニット懸架装置64は、その概略構造が図4〜5に示されているように、ダッシュパネル66で車室68と仕切られて車体前部に形成されたエンジンルーム70において、パワーユニット72をボデー74のサブフレーム(メンバ)75に対して防振支持するものである。
【0032】
より詳細には、エンジンルーム70を形成するボデー74には、車両左右両側を前後方向に延びる一対のフロントサイドメンバ76,76と、車両前方先端部を左右方向に延びるフロントクロスメンバ78と、エンジンルーム70後部を車両左右方向に延びるサスペンションクロスメンバ80が、それぞれ、固着されている。サスペンションクロスメンバ80は、他のメンバ76,76,78よりも下方に位置せしめられている。
【0033】
また一方、パワーユニット72は、内燃機関と変速機構を含んで構成されたものであって、本実施形態では、クランク軸が車両横方向に延びる状態で配設されていると共に、その略慣性主軸上に配された一対のエンジンマウント82,82によって、左右のフロントサイドメンバ76,76に対して連結されることによって、吊り下げ状態で弾性支持せしめられている。なお、かかる吊下支持用のエンジンマウント82は、例えば、特開平10−169705号公報等に記載された公知のものであることから、その構造についての説明は省略する。
【0034】
また、パワーユニット72の後部には、ユニット下部84が斜め下方に向かって突出せしめられており、このユニット下部84が、後部用エンジンマウントとしての上述の如き特定構造のエンジンマウント10によって、サスペンションクロスメンバ80に対して連結されて弾性支持されている。
【0035】
そこにおいて、エンジンマウント10は、マウント10の中心軸(内外筒金具12,14の中心軸)が車両横方向(左右方向)となり、図1,3中の左右方向が車両前後方向となる状態で、パワーユニット72の左右方向略中央部分に配設されており、サスペンションクロスメンバ80の下面に取り付けられて、サスペンションクロスメンバ80から下方に垂れ下がった状態で装着されている。
【0036】
すなわち、かかるエンジンマウント10は、その内筒金具12がパワーユニット72に突設された取付アーム86に固定されることによって、内筒金具12がパワーユニット72に取り付けられている一方、図1,2に示されているように、外筒金具14の蓋金具20がサスペンションクロスメンバ80の下面に重ね合わせられて、ブラケット部36の取付用孔40および取付用ナット44に挿通される取付用ボルト88,90が、それぞれ、固定ナット42および取付用ナット44に螺着されることによって、外筒金具14がボデー74に取り付けられている。
【0037】
そして、このような車両への取付状態下においては、外筒金具14の蓋金具20に設けられたスリット形状の連結用孔48が、車両前後方向に延び、車両後方に向かって開口せしめられているのである。
【0038】
従って、このような構造とされたパワーユニット懸架装置64においては、車体前部から衝突等による大荷重が入力された際に、パワーユニット72に衝突荷重が及ぼされて、該パワーユニット72が後方の車室68側に変位せしめられることとなるが、その際、エンジンマウント10には、内外筒金具12,14間において、パワーユニット72に固定された内筒金具12を、ボデー74に固定された外筒金具14に対して、車両後方に向かう軸直角方向で相対変位せしめる方向に大荷重が及ぼされることとなる。
【0039】
すなわち、この内外筒金具12,14間に及ぼされる大荷重は、図1において、内筒金具12を外筒金具14に対して右方乃至は右斜め下方に向かって変位させる方向に及ぼされるのであり、かかる荷重は、外筒金具14に対して、該外筒金具14における底金具18の車両後方側の側壁部92を車両後方に向かって押し広げる方向に入力されることとなる。そして、このような荷重が外筒金具14に及ぼされると、底金具18と蓋金具20の分断予定部としての連結部94には、両金具18,20の略重ね合わせ面上で、底金具18の固定板部24を蓋金具20に対して車両後方に向かって相対変位させる方向の剪断的な外力が作用することとなる。
【0040】
ここにおいて、底金具18の固定板部24と蓋金具20を連結する連結ボルト52の蓋金具20側の連結用孔48が、車両後方に向かって開口するスリット形状とされていることから、底金具18の固定板部24と蓋金具20の連結部94において、上述の如き底金具18の固定板部24を蓋金具20に対して車両後方に向かって相対変位させる剪断方向の外力に対しては、実質的に連結ボルト52の軸方向締付力に対応した摩擦力だけが有効な抵抗力として作用する。それ故、この摩擦力を超えた剪断方向の外力が底金具18の固定板部24と蓋金具20の間に及ぼされることにより、連結ボルト52が蓋金具20の連結用孔48内を滑るようにして車両後方に変位せしめられて、連結用孔48から抜け出すこととなり、それによって、底金具18の固定板部24と蓋金具20の連結状態が解除されることとなる。
【0041】
その結果、底金具18の変形抵抗力が大きく低下し、パワーユニット72から内筒金具12に及ぼされる大荷重によって容易に変形し、特に底金具18の車両後方側の側壁部92が延びて、底金具18の車両前方側の固定板部22を固定点として展開するように変形せしめられることとなり、また、それに伴って、底金具18によって本体ゴム弾性体16を介して弾性連結された内筒金具12が、車両の斜め下方で後方に向かう大きな変位が許容されることとなる。
【0042】
そして、パワーユニット72の後端部の支持点を構成するエンジンマウント10の内筒金具12の位置が、このように変化せしめられることによって、パワーユニット72の後部が、大荷重の入力に際して斜め下方に変位せしめられることとなり、それ故、パワーユニット72の後部を車両の下方へ安定して落とし込むことが出来るのであり、それによって、パワーユニット72の車室68内への突出等が効果的に防止されて、車室68内の安全性を有利に確保することが可能となるのである。
【0043】
しかも、本実施形態では、パワーユニット72が、パワーユニット72の慣性主軸(重心)付近に配された一対のエンジンマウント82,82によって吊り下げ状態で弾性支持せしめられている一方、パワーユニット72の後部をボデー74に対して弾性支持せしめるエンジンマウント10が、パワーユニット72の重心よりも低い位置に配設されていることから、車体前部から衝突等による大荷重が作用せしめられた際に、パワーユニット72の慣性モーメントが、パワーユニット72の後部を下方に落とし込む方向に生ぜしめられることとなり、パワーユニット72の後部を車両の下方へ一層有利に落とし込むことが出来るのである。
【0044】
また、本実施形態では、分断予定部としての底金具18と蓋金具20の連結部94において、連結ボルト52による締付構造が採用されていることから、連結ボルト52の締付力を調節することによって、底金具18と蓋金具20の連結部94における分断強度を容易に調節することが出来るのである。
【0045】
次に、本発明の第二の実施形態としての自動車用エンジンマウントが、図6〜7に示されている。なお、以下の説明において、図1に示された第一の実施形態としての自動車用エンジンマウント(10)と同様な構造とされた部材および部位については、それぞれ、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0046】
すなわち、本実施形態におけるエンジンマウントは、外筒金具14の分断予定部としての底金具18と蓋金具20の連結部における別の具体例を示すものである。
【0047】
より詳細には、底金具18の後方側の固定板部24と蓋金具20が重ね合わされている部分には、両金具18,20を板厚方向に貫通する一対の連結用孔96,96が形成されており、これら連結用孔96,96にリベット98,98を挿通させて、底金具18と蓋金具20を相互に締付固定することにより、本実施形態における分断予定部としての連結部100が形成されている。
【0048】
このような構造とされたエンジンマウントは、前記第一の実施形態と同様に、パワーユニット72の後部を車両ボデー74に対して弾性的に支持する後部用エンジンマウントとして、パワーユニット懸架装置64の一部を構成するようにされる。
【0049】
従って、このような構造とされたパワーユニット懸架装置64においては、車体前部から衝突等による大荷重が入力された際に、底金具18および蓋金具20を連結固定するリベット98に対して、過大な剪断方向の外力が及ぼされると、底金具18の固定板部24が蓋金具20に対して車両後方に向かって相対変位せしめられて方向にリベット98が剪断破壊されることとなり、底金具18の固定板部24と蓋金具20の連結状態が解除されることとなる。
【0050】
その結果、前記第一の実施形態と同様な作用が何れも有効に発揮され得て、パワーユニット(72)の後部を車両の下方へ安定して落とし込むことが出来るのであり、それによって、パワーユニット(72)の車室(68)への突出等が効果的に防止されて、車室(68)の安全性を有利に確保することが可能となるのである。
【0051】
また、本実施形態においては、底金具18と蓋金具20の連結部100の分断作動が、リベット98の剪断破壊によって行われていることから、リベット98の単体強度のみで外筒金具14の分断強度を決定することが出来るのであり、それによって、強度のばらつきが少なく、安定した分断作動が実現され得る。
【0052】
次に、本発明の第三の実施形態としての自動車用エンジンマウントが、図8〜9に示されている。なお、以下の説明において、図1に示された第一の実施形態としての自動車用エンジンマウント(10)と同様な構造とされた部材および部位については、それぞれ、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0053】
すなわち、本実施形態におけるエンジンマウントは、外筒金具14の分断予定部としての底金具18と蓋金具20の連結部における別の具体例を示すものである。
【0054】
より詳細には、底金具18の開口部分の後方端縁部(図8中、右端部)には、上方に向かってストレートに延びる固定板部102が一体形成されている。また、固定板部102の中央部分には、連結用孔104が貫設されている。
【0055】
また、蓋金具20の後方端部(図8中、右端部)には、上方に突出した固定部106が一体形成されている。この固定部106は、下方に向かって開口するコ字形状を呈しており、固定部106の後方側壁部108には、連結用孔110が水平方向に貫通形成されている。また、連結用孔110の周縁部には、車両前方(図8中,左方)に向かって延び出す筒状の固定筒部112が一体形成されている。なお、本実施形態では、固定部106の上底部114には、取付用孔116が貫設されていると共に、該取付用孔116と同心的に配された固定ナット118が、上底部114の下面に溶着されており、サスペンションクロスメンバ80の取付用ボルト90が螺着されるようになっている。
【0056】
そして、かかる蓋金具20は、底金具18の開口部に配設されて、底金具18の前方固定板部22に対して蓋金具20の長手方向一方の端部(左端部)を重ね合わせられる一方、底金具18の固定板部102に対して蓋金具20の後方側壁部108を重ね合わせられた状態で配設されており、蓋金具20の連結用孔46に挿通された連結ボルト50が、底金具18の連結用孔46に挿通されて固定ナット32に螺着される一方、底金具18の連結用孔104に挿通された圧入軸部材としての連結ピン120が、蓋金具20の連結用孔110を通じて固定筒部112に圧入されることによって、蓋金具20が底金具18に対して固定的に組み付けられている。要するに、本実施形態では、底金具18の固定板部102と蓋金具20の後方側壁部108との連結部122によって、外筒金具14の分断予定部が形成されている。
【0057】
従って、このようなエンジンマウントを備えたパワーユニット懸架装置64においては、車体前部から衝突等による大荷重が入力された際に、底金具18と蓋金具20の分断予定部としての連結部122には、底金具18の固定板部102を蓋金具20に対して車両後方に向かって相対変位させる方向に外力が作用することとなる。
【0058】
ここにおいて、底金具18の固定板部102と蓋金具20が、車両の前後方向を圧入方向とする連結ピン120によって連結されていることから、底金具18の固定板部102と蓋金具20の後方側壁部108との連結部122において、上述の如き底金具18の固定板部102を蓋金具20に対して車両後方に向かって相対変位させる方向の外力に対しては、実質的に連結ピン120の摩擦力だけが有効な抵抗力として作用する。それ故、この摩擦力を超えた車両前後方向の外力が底金具18の固定板部102と蓋金具20の後方側壁部108の間に及ぼされることにより、連結ピン120が蓋金具20の固定筒部112から抜け出すこととなり、それによって、底金具18の固定板部102と蓋金具20の後方側壁部108との連結状態が解除されることとなる。
【0059】
その結果、前記第一の実施形態と同様な作用が何れも有効に発揮され得て、パワーユニット(72)の後部を車両の下方へ安定して落とし込むことが出来るのであり、それによって、パワーユニット(72)の車室(68)への突出等が効果的に防止されて、車室(68)の安全性を有利に確保することが可能となるのである。
【0060】
しかも、本実施形態においては、外筒金具14の分断作動が、連結ピン120の挿通方向で行われることから、鉛直方向での外筒金具14の強度を確保しながら分断方向となる水平方向の強度を比較的に低く設定することが出来、それによって、大荷重入力時における確実な分断作動が実現され得る。
【0061】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明はかかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものでない。
【0062】
例えば、前記実施形態では、パワーユニットの後部は、一つのエンジンマウント10でボデーに弾性支持されていたが、複数のエンジンマウントで支持することも可能である。
【0063】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0064】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされたエンジンマウントにおいては、大荷重が作用せしめられた際、アウタ筒部材の分断予定部が分断して外周側に向かって開くことにより、インナ軸部材とアウタ筒部材の相対変位量を所定方向へ大きく設定することが可能となるのであり、それによって、衝突時等によるパワーユニットの変位方向を車室の安全上の問題とならない方向に強制的に導いて、車室を保護することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としての自動車用エンジンマウントの側面図である。
【図2】図1におけるII―II断面図である。
【図3】図1に示されたエンジンマウントの平面図である。
【図4】本発明の第一の実施形態のエンジンマウントが装着された自動車の平面モデル図である。
【図5】図4に示されたエンジンマウントが装着された自動車の側面モデル図である。
【図6】本発明の第二の実施形態としての自動車用エンジンマウントの側面図である。
【図7】図6に示されたエンジンマウントの平面図である。
【図8】本発明の第三の実施形態としての自動車用エンジンマウントの側面図である。
【図9】図8に示されたエンジンマウントの平面図である。
【符号の説明】
10 自動車用エンジンマウント
12 内筒金具
14 外筒金具
16 本体ゴム弾性体
72 パワーユニット
74 車両ボデー
94 連結部

Claims (7)

  1. 自動車のパワーユニットの後部の下方への変位を許容しつつ、該パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるようにしたパワーユニット支持機構において、
    インナ軸部材の外周側に離隔してアウタ筒部材が配設されていると共に、それらインナ軸部材とアウタ筒部材が本体ゴム弾性体によって弾性連結されており、該インナ軸部材と該アウタ筒部材の何れか一方が自動車のボデー側に取り付けられると共に、他方が自動車のパワーユニット側に取り付けられることにより、該パワーユニットを該ボデーに対して防振支持せしめるエンジンマウントであって、略鉛直上方に向かって開口する溝形の底金具と該底金具の開口部を覆蓋する蓋金具によって前記アウタ筒部材を構成すると共に、前記本体ゴム弾性体を略逆V字形のブロック形状としてその頂部に前記インナ軸部材を貫通状態で加硫接着せしめる一方その逆V字形の両側下端部を該底金具に加硫接着し、且つ該底金具において該本体ゴム弾性体が加硫接着された両側隅壁部をそれぞれ該インナ軸部材に対峙するように傾斜させて該本体ゴム弾性体を介して該インナ軸部材から及ぼされる力を略直交する面で受けるようにすると共に、該底金具の開口部には略水平方向に延び出す固定板部を形成して該固定板部を該蓋金具と略鉛直方向に重ね合わせてかかる重ね合わせ部分をボルトやリベットで締付固定することにより、該アウタ筒部材の周上において、軸直角方向への大荷重の作用によって分断される分断予定部を形成し、自動車の衝突等に伴う大荷重の作用に際して該分断予定部が分断されて該アウタ筒部材が外周側に向かって開くことにより、前記インナ軸部材の該アウタ筒部材に対する大きな相対変位が許容されるようにしたエンジンマウントを採用して、
    前記インナ軸部材および前記アウタ筒部材の中心軸が自動車の左右方向に延びる状態で装着することにより、前記パワーユニットの後部を前記ボデーに対して防振支持せしめる後部用エンジンマウントを構成することにより、
    該自動車の衝突等に際して該後部用エンジンマウントに該大荷重が作用せしめられた際に、該後部用エンジンマウントの該アウタ筒部材における該分断予定部が分断して開くことにより、該インナ軸部材の該アウタ筒部材に対する相対変位に基づいて、該パワーユニットの後部が該ボデーの斜め下方に案内されるようにしたことを特徴とする自動車におけるパワーユニット支持機構。
  2. 前記エンジンマウントの前記アウタ筒部材における分断予定部において、略鉛直方向に重ね合わせられる前記底金具の前記固定板部と前記蓋金具との重ね合わせ部分には、それら固定板部と蓋金具の少なくとも一方における前記ボルトやリベットの挿通孔を車両後方側に向かって延びて端縁部に開口するスリット形状とすることにより、前記大荷重の作用に際して該ボルトやリベットが該スリット形状の挿通孔から外れるようになっている請求項1に記載の自動車におけるパワーユニット支持機構。
  3. 自動車のパワーユニットの後部の下方への変位を許容しつつ、該パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるようにしたパワーユニット支持機構において、
    インナ軸部材の外周側に離隔してアウタ筒部材が配設されていると共に、それらインナ軸部材とアウタ筒部材が本体ゴム弾性体によって弾性連結されており、該インナ軸部材と該アウタ筒部材の何れか一方が自動車のボデー側に取り付けられると共に、他方が自動車のパワーユニット側に取り付けられることにより、該パワーユニットを該ボデーに対して防振支持せしめるエンジンマウントであって、略鉛直上方に向かって開口する溝形の底金具と該底金具の開口部を覆蓋する蓋金具によって前記アウタ筒部材を構成すると共に、前記本体ゴム弾性体を略逆V字形のブロック形状としてその頂部に前記インナ軸部材を貫通状態で加硫接着せしめる一方その逆V字形の両側下端部を該底金具に加硫接着し、且つ該底金具において該本体ゴム弾性体が加硫接着された両側隅壁部をそれぞれ該インナ軸部材に対峙するように傾斜させて該本体ゴム弾性体を介して該インナ軸部材から及ぼされる力を略直交する面で受けるようにすると共に、該蓋金具の長手方向端部には該底金具に向かって略鉛直方向に延び出す後方側壁部を形成して該後方側壁部を該底金具の開口端部と略 水平方向に重ね合わせてかかる重ね合わせ部分を圧入軸部材で締付固定することにより、該アウタ筒部材の周上において、軸直角方向への大荷重の作用によって分断される分断予定部を形成し、自動車の衝突等に伴う大荷重の作用に際して該分断予定部が分断されて該アウタ筒部材が外周側に向かって開くことにより、前記インナ軸部材の該アウタ筒部材に対する大きな相対変位が許容されるようにしたエンジンマウントを採用して、
    前記インナ軸部材および前記アウタ筒部材の中心軸が自動車の左右方向に延びる状態で装着することにより、前記パワーユニットの後部を前記ボデーに対して防振支持せしめる後部用エンジンマウントを構成することにより、
    該自動車の衝突等に際して該後部用エンジンマウントに該大荷重が作用せしめられた際に、該後部用エンジンマウントの該アウタ筒部材における該分断予定部が分断して開くことにより、該インナ軸部材の該アウタ筒部材に対する相対変位に基づいて、該パワーユニットの後部が該ボデーの斜め下方に案内されるようにしたことを特徴とする自動車におけるパワーユニット支持機構。
  4. 前記エンジンマウントにおける前記アウタ筒部材の前記蓋金具には、該蓋金具を前記自動車の装着面に対して固定するための固定ボルトが挿通されるボルト挿通孔が形成されていると共に、該蓋金具の該ボルト挿通孔の形成部位には、該固定ボルトが螺合される固定用ナットが溶着されている請求項1乃至3の何れかに記載の自動車におけるパワーユニット支持機構。
  5. 前記蓋金具には、前記挿通孔の外周側に離隔して補強リブが一体形成されており、該補強リブによって溝形状や凹所形状とされた部分に該挿通孔が設けられている請求項4に記載の自動車におけるパワーユニット支持機構。
  6. 前記パワーユニットの慣性主軸付近に配設された複数の吊下支持用エンジンマウントによって、該パワーユニットを前記ボデーに対して防振支持せしめると共に、該パワーユニットの後部を該パワーユニットの重心よりも鉛直下方の位置で前記後部用エンジンマウントにおける前記インナ軸部材に取り付ける一方、該後部用エンジンマウントの前記アウタ筒部材を前記ボデーの下面に取り付け、それらインナ軸部材とアウタ筒部材の中心軸を略車両横方向に向けて配設して、衝突等の大荷重の作用に際して、該アウタ筒部材の前記分断予定部によって該アウタ筒部材が後方側に開くことによって、該インナ軸部材に取り付けられた前記パワーユニットの後部を車両の斜め後方で下方に向かって案内するようにした請求項1乃至5の何れかに記載の自動車におけるパワーユニット支持機構。
  7. 前記パワーユニットを、自動車のボデーの左右両側に配設された一対のサイドメンバに対して、複数の吊下支持用エンジンマウントを介して防振支持せしめる一方、該パワーユニットの後部を、前記ボデーにおいて該パワーユニットの後方に配設されたクロスメンバに対して、前記後部用エンジンマウントを介して防振支持せしめた請求項1乃至6の何れかに記載の自動車におけるパワーユニット支持機構。
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