JP3677847B2 - 有料道路のノンストップ料金支払いシステム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有料道路を通行する際に支払う料金を、料金所で停止することなく自動的に支払うことのできるシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有料道路を通過する際、料金所と車両との間で無線通信を行うことにより、車両を停止させることなく料金の支払いを行うノンストップ料金支払いシステムが提案されている(特開平1−259484号公報参照)。
このシステムは、車両が有料道路の料金所に入ってくると、車載応答機(以下「車載機」と略称する)は、車両の識別データを送信し、料金所がこの識別データを受信すると、通行料金を割り出して、車両の所有者等の口座に直接、又は車載機に挿入されているクレジットカードへの書込み等を通して通行料金を請求するシステムであり、料金所で車両を止めることがないので、有料道路の出入口における車両の渋滞をなくすことができるという利点を持っている。
【0003】
ところで、前記システムを変形させて、車載機にプリペイドカードを組み合わせ、車両が有料道路の出口を通過する際にプリペイドカードから料金に相当する金額を自動的に引き落とすという構成をとることも可能である。
以下、この明細書で「カード」といえば、料金前払いのプリペイドカード、後払いのクレジットカードを含むものとする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
後払いのクレジットカードを使う車載機の場合は、請求された料金の支払いが遅れがちであるとき、車両の識別データに含まれる利用者番号が道路管理者のブラックリストに掲載される。
従来のノンストップ料金支払いシステムでは、ブラックリストに掲載された利用者にノンストップ料金支払いシステムを使用させるのは好ましくないので、有料道路の入口で車両を止めて通行券を発行することにしている。
【0005】
また、料金前払いのプリペイドカードを使う車載機では、プリペイドカードの残高がなかったり、プリペイドカードが車載機に挿入されていなかったりした場合には、金額を自動的に引き落とすことができないので、上の場合と同様、有料道路の入口で車両を止めて通行券を発行することにしている。
このため、一部の車両を止めたために、料金所の入口での車両の流れが止まってしまい、有料道路における車両の渋滞をなくすことができるというノンストップ料金支払いシステムの利点が生かせない、という問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、有料道路の出口で車両を停車させて料金精算をする必要がある場合でも、有料道路の入口では当該車両を止めずに、車両をノンストップで通過させることのできるノンストップ料金支払いシステムを実現することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のノンストップ料金支払いシステムは、車両に、無線送受信装置及び識別情報を記憶するメモリを含む車載機を搭載している。
有料道路の入口ゲートの近くに、車載機から送信される識別情報を受信して、当該車両を出口ゲートで停車させて料金精算をすることの要否を判定する判定手段と、判定手段により停車料金精算が必要と判定された場合に、当該車両の車載機に停車料金精算指示情報を送信する送信手段とを備えている。
【0008】
車載機には、停車料金精算指示情報を記憶するメモリを付属させている。
有料道路の出口ゲートの近くに、車載機から停車料金精算指示情報を含む情報を受信する受信手段を備えている(請求項1)。
以上のシステム構成において、有料道路の入口ゲートに車両が差し掛かると、車載機は、識別情報を送信する。道路側が車載機から送信される識別情報を受信した場合、その車両に対して、出口ゲートでの停車及び料金精算の要否を判定する。停車して料金精算が必要と判定された場合には、当該車両の車載機に停車料金精算指示情報を送信し、当該車両をノンストップで通過させる。出口ゲートでの停車料金精算が不要と判定された場合も勿論、当該車両をノンストップで通過させる。
【0009】
有料道路の出口ゲートでは、車載機から停車料金精算指示情報を含む情報を受信することにより、停車料金精算指示情報を持つ車両を必要ならば停車させて料金を精算する。
以上のように、本発明のノンストップ料金支払いシステムでは、停車料金精算が必要な車両に対して、有料道路の入口で車両を止めて通行券を発行することはせず、それに代えて、当該車両の車載機に停車料金精算指示情報を送信し、当該車載機のメモリに停車料金精算指示情報を記憶させるという方法をとることにより、有料道路の入口ゲートでは、車両を、停車料金精算の要否にかかわらずノンストップで通過させることができる。
【0010】
なお、請求項1の記載において「識別情報」とは、料金徴収に必要な、車両及び利用者の識別情報をいい、例えば、支払い可能な金額の残高情報、車種区分情報(軽自動車、普通車、中型車、大型車等)、車両を特定する情報(車両番号等)、利用者の契約番号情報等をいう。「停車料金精算指示情報」は、出口ゲートで車両を止めて料金を精算することを指示する情報をいうが、車両の通行区分に応じて料金が変わる有料道路では、当該車両が通過した入口ゲートの情報を含んでいる。
【0011】
「当該車両を出口ゲートで停車させて料金精算をすることの要否を判定する」とは、当該車両の利用者が、請求された料金の支払いが遅れがちであるか否か、プリペイドカードを使用する車載機を使う場合では、プリペイドカードの残高があるか否か(プリペイドカードが車載機に挿入されていない場合を含む)等に基づいて判定することをいう。
【0012】
請求項1記載のノンストップ料金支払いシステムにおいて、車載機は、搭乗者が有料道路走行中に、料金を自動的に引き落とし可能な状態にした場合、停車料金精算指示情報を無効化する機能を備えていることが好ましい(請求項2)。
ここで「料金を自動的に引き落とし可能な状態にした場合」とは、例えば、プリペイドカードを、サービスエリア、パーキングエリア等で買って補充した場合をいう。「無効化する」とは、車載機を、当該車両が入口ゲートで、停車料金精算が不要と判定された場合と同じ状態にすること(例えば停車料金精算指示情報をメモリから消去してしまうこと)をいう。この場合には、停車料金精算指示情報はなくなるので、当該車両の通行料金は、有料道路の出口ゲートでノンストップで自動的に引き落とされる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、プリペイドカードを使用する車載機を用いた場合の、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、有料道路におけるノンストップ料金支払いシステムの概要を示す図であり、車両を進入させる車線が並んでいて、各車線に沿って路上設備を配置している。なお、車線数はいくつでもよいが、図1では便宜上1車線しか示していないことを予め断っておく。
【0014】
路上設備は、車両の第1ゾーンZ1 への進入を感知する車両進入感知器1aと、車両の第1ゾーンZ1 からの退去を感知する退去感知器1eと、車両の第2ゾーンZ2 への進入を感知する車両進入感知器1jとを備えている。これらの車両進入感知器1a、退去感知器1e、車両進入感知器1jは、光電センサ、超音波センサ等により車両の存在を感知するものであるが、これ以外に、地中に埋め込んだループ感知器により車両の通過による磁界の変化を検出するものであってもよい。
【0015】
そして路上設備は、第1ゾーンZ1 に進入した車両の車種を判別する車種判別装置1bと、車載機との交信を行う第1アンテナ1cと、車両番号認識用カメラ1dを備えている。車種判別装置1bは、垂直方向に設置した複数対の投受光器1b-1により車両の高さを計測し、道路に埋設した圧力センサ1b-2によりタイヤ幅、トレッド幅、軸数、輪数を検出するものである(特公平4−68680号公報参照)。車両番号認識用カメラ1dは、通行する車両を検出し、そのナンバープレート枠を切り出して、文字領域を抽出し、番号を認識する車番読み取りシステムに用いられるカメラである(特開平3−265999号公報参照)。
【0016】
さらに路上設備は、制御中枢となる路上機1gと、第1ゾーンZ1 から退去した車両のドライバに「停止して下さい」、「通過して下さい」の案内表示をする案内表示板1hと、表示終了感知器1fとを備えている。表示終了感知器1fは、車両のドライバが案内表示板1hの表示を見終わって、車両をさらに進めたことを確認するための、車両の感知器である。
【0017】
さらに路上設備は、第2ゾーンZ2 に進入した車両の車載機との交信を行う第2アンテナ1kと、通行券自動発行機1iと、車両撮影用カメラ1nとを備えている。通行券自動発行機1iは、料金自動収受ができないと判断した場合に、車両を止めて通行券を発行するために使用する設備であり、既存のものを使用できる。発進感知器1m及び車両撮影用カメラ1nは、通行券の発行時、不正行為があったときに使用するものである。
【0018】
図2は、路上機1gの機能を説明する図であり、路上機1gは、通信制御部1g1 と、情報処理部1g2 とに別れている。通信制御部1g1 は、車両の進入を検出して、車載機との通信を行うための部分、情報処理部1g2 は、車載機から得られた識別情報と車種判別装置1bからの識別情報との照合をとったり、車両のドライバに指示を出したりする部分である。通信制御部1g1 には、車両進入感知器1a、車両進入感知器1j、第1アンテナ1c、第2アンテナ1kが接続され、情報処理部1g2 には、車種判別装置1b、案内表示板1h及び通行券自動発行機1iが接続されている。
【0019】
図3は、車載機2及びそれに挿入して使用するプリペイドタイプのICカード3を示す機能ブロック図である。
車載機2は、第1アンテナ1c、第2アンテナ1kと交信するための通信制御部2b、カード残高を把握し、停車料金精算が必要な旨を液晶表示部2dに表示させるCPU2c、車種区分情報、車両番号情報等の識別情報を記憶したROM2f、液晶表示部及びブザー2d、ICカード3とのインターフェイスをとるICカードインターフェイス2eを備えている。ICカード3は、カード残高情報を書き込むRAM3aを有している。
【0020】
図4及び図5は、路上機1gから見た、料金収受処理の流れを示すフローチャートである。
路上機1gの通信制御部1g1 は、車両進入感知器1aから第1ゾーンZ1 に進入した車両を感知した旨の信号を受けると(ステップS1)、第1アンテナ1cを通して車載機に暗号キーを提示する(この手順を登録請求という)。
【0021】
車両が車載機を持っていない、又は暗号キーが分からない等の理由で交信ができなかったときは、その旨の信号を通信制御部1g1 から情報処理部1g2 に送る。情報処理部1g2 は、案内表示板1hに停止指示の表示を続けさせる(ステップS3)。この表示は、表示終了感知器1fが車両を感知したことを確認するまで続ける(ステップS4)。車両がこの表示を見て第2ゾーンZ2 へ進入し停止すると(ステップS5)、通常の手順どおり、通行券自動発行機1iを用いて、通行券発行の手続きをとらせる(ステップS6)。
【0022】
車載機が、登録請求に応じて登録応答を行ったときは(ステップS2のYES)、両者に通信符号の合意が成立する。路上機1gの通信制御部1g1 は、前記暗号キーを用いて車両1台ごとに暗号化したデータにより、第1アンテナ1cを通して、車載機に識別情報の送信を要求する(ステップS7)。車載機は、これに応答して車両番号、車種区分、利用者の契約番号、カードの残高情報等の情報を返信する。
【0023】
路上機1gは、車載機から送信されるカードの残高情報、車種区分情報、車両番号情報等の識別情報を受信して、通信制御部1g1 内蔵のメモリに記憶させる。そして、カードの残高をチェックして、有料道路の通過に必要な金額が残っているかどうか判断する(ステップS8)。「有料道路の通過に必要な金額」の判断は、例えば、少なくとも有料道路の最短区間通過料金(当該入口から入り次の出口で出る場合の料金)が残っているか否かに基づいて行うことができる。残っていれば、今回正常の旨の判定をし(ステップS10)、車両が第1ゾーンZ1 から退去するまで待つ(ステップS11)。
【0024】
車両が第1ゾーンZ1 から退去するとその後、案内表示板1hに「通過して下さい」との指示を表示させる(図5;ステップS15)。この表示は、表示終了感知器1fが車両を感知したことを確認するまで続ける(ステップS16)。その間、車種判別装置1bによって検知した車両の高さ等の情報を得て(車両が第1ゾーンZ1 にいる間に車両の高さ等の情報を得ることができない理由は車種判別装置1bによる車両の高さ判定のタイミングが遅れるからである)、通行車種を割り出し(ステップS17)、車載機から送信され記憶されている車両区分情報等と照合し(ステップS18)、一致していれば、第2アンテナ1kを通して、車載機に出口で通過料金精算可能の旨を書き込ませ(ステップS20)、車両を通過させる。この通過料金精算可能の旨は、入口通過後一定時間、車載機2の液晶表示部2dに表示される。
【0025】
ステップS18で車両区分情報が一致していないと判断されれば、車載機に出口で停車料金精算が必要な旨を書き込み(ステップS25)、車両を通過させる。一致していない場合に出口で停車料金精算をさせるのは、ステップS2で車載機から送信される車種区分情報と車種判別装置1bで判別した車種とが相違するときは、車載機に誤った車種区分情報が記憶されていると判断できるので、出口で車両を止めて現金精算をさせようという趣旨による。
【0026】
一方、ステップS9で、有料道路の通過に必要な金額が残っているかどうか判断して残っていなければ、第1アンテナ1cを通して、車載機に残高不足の旨を書き込ませ(ステップS12)、車両が第1ゾーンZ1 から退去するまで待つ(ステップS13)。車両が第1ゾーンZ1 から退去するとその後、案内表示板1hに「通過して下さい。ただし、出口では車両を止めて精算して下さい」との停車料金精算必要指示を表示させる(図5;ステップS22)。この表示は、表示終了感知器1fが車両を感知したことを確認するまで続ける(ステップS23)。この表示により、ドライバは、カードの残高が足りず、出口で停車料金精算が必要となることを知る。ドライバがこの表示を見て第2ゾーンZ2 へ進入すると(ステップS24)、車載機に停車料金精算が必要な旨を書き込ませ(ステップS25)、車両を通過させる。この停車料金精算が必要な旨は、入口通過後一定時間、車載機2の液晶表示部2dに表示される。
【0027】
以上の処理手順に示したように、有料道路の入口で車両を止めるのは、路車間で通信が成立せずに、通行券自動発行機1iを用いて、通行券発行の手続き(ステップS6)をとらせる場合に限られ、それ以外の場合は、すべて車両をノンストップで通過させることができる。
そして、有料道路の出口で車両を止めるのは、通行券発行の手続きをとらせた場合(ステップS6)及び車載機に停車現金精算が必要な旨が書き込まれた場合(ステップS25)となる。車載機に出口で通過精算可能の旨が書き込まれている場合は、出口で、現金の収受が無線交信を通して自動的に行われるので、出口でも車両はノンストップで通過できるようになる。
【0028】
なお、カードの残高が足りず、出口で停車料金精算が必要となることを知ったドライバは、旅行の途中でカードを買い足す行動をとることが考えられる。このため、新しいカードが車載機2に挿入された時点で、前記「停車料金精算が必要な旨」の情報を消去することが必要となる。この消去は、車載機2において行うようにすればよい。
【0029】
以上が、本発明の実施の形態の説明であるが、本発明は、他の実施の形態をとることも可能である。
例えば、クレジットカードを使用する車載機を用いても、本発明を実施することができる。この場合は、図6に示すように、ICカード3には、残高情報を書き込むRAM3aとともに、利用者番号を書き込むROM3bが設けられている。料金収受処理の流れを示すフローチャートでは、図4のステップS8で、残高チェックとともに、利用者番号のチェックを行う。利用者番号がブラックリストにある番号と一致すれば、図5のステップS22で停車料金精算必要指示を表示させる。そして車載機に停車料金精算が必要な旨を書き込ませ(ステップS25)、車両を通過させ、有料道路の出口で車両を止めて現金を精算させる。このようにすることによって、ブラックリストにある利用者は、クレジットカードの残高の多少にかかわらず、いつも有料道路の出口で車両を止められて現金精算させられることになる。
【0030】
【発明の効果】
以上のように請求項1または2記載のノンストップ料金支払いシステムによれば、車両を停車させて料金精算をする必要がある場合でも、有料道路の入口では、当該車両をノンストップで通過させることができるので、料金所での車両の流れをスムーズにすることができ、有料道路の入口における車両の渋滞をなくすことができる。
【0031】
特に、請求項2記載のノンストップ料金支払いシステムによれば、プリペイドカードを途中で買って補充した場合は、当該車両を有料道路の出口ゲートでわざわざ停車させる必要がなくなり、有料道路の出口での車両の流れをスムーズにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】有料道路の入口におけるノンストップ料金支払いシステムの概要を示す図である。
【図2】路上機1gの機能を説明するブロック図である。
【図3】車載機2及びそれに挿入して使用するプリペイドタイプのICカード3の機能を示すブロック図である。
【図4】路上機1gから見た、料金収受処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】路上機1gから見た、料金収受処理の流れを示すフローチャートである(図4の続き)。
【図6】クレジットカードとなるICカード3の機能を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 第1ゾーン
2 第2ゾーン
1a 車両進入感知器
1b 車種判別装置
1c 第1アンテナ
1d 車両番号認識用カメラ
1e 退去感知器
1f 表示終了感知器
1g 路上機1g
1h 案内表示器
1i 通行券自動発行機
1j 車両進入感知器
1k 第2アンテナ
1n 車両撮影用カメラ

Claims (2)

  1. 車両に、無線送受信装置及び識別情報を記憶するメモリを含む車載機を搭載し、
    有料道路の入口ゲートの近くに、車載機から送信される識別情報を受信して、当該車両を出口ゲートで停車させて料金精算をすることの要否を判定する判定手段と、判定手段により停車料金精算が必要と判定された場合に、当該車両の車載機に停車料金精算指示情報を送信する送信手段とを備え、
    車載機には、停車料金精算指示情報を記憶するメモリを付属させ、
    有料道路の出口ゲートの近くに、車載機から停車料金精算指示情報を含む情報を受信する受信手段を備えることにより、
    有料道路の入口ゲートでは、車載機から送信される識別情報を受信した車両を、停車料金精算の要否にかかわらずノンストップで通過させることを特徴とする有料道路のノンストップ料金支払いシステム。
  2. 前記車載機は、搭乗者が有料道路走行中に、料金を自動的に引き落とし可能な状態にした場合、停車料金精算指示情報を無効化する機能を備えていることを特徴とする請求項1記載のノンストップ料金支払いシステム。
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