JP3677693B2 - パン状機能性食品、冷凍生地およびパン状機能性食品の製造方法 - Google Patents

パン状機能性食品、冷凍生地およびパン状機能性食品の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はパン状機能性食品、冷凍生地およびパン状機能性食品の製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、殊に低蛋白組成を有しており且つ長期間にわたり常温で保存可能であって、嗜好性も良好であり、高カロリーで、水分の含有量が25重量%以下でスポンジ状であり、従って腎疾患患者用の主食として適するようなパン状機能食品、このようなパン状機能食品を容易に作れる冷凍生地、および、このようなパン状機能食品を製造する製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
食事療法は腎臓病の治療に欠くことのできない重要な事柄の一つであり、特に低蛋白質の食事が腎不全の進行を抑制することは、多くの臨床データが示している。そのため、医師は食事療法のために対象患者の疾患状況、部位、年齢、性別、体重等に応じて蛋白質、塩分、カリウム、燐等の一日当たりの摂取量を制限した食事療法を行うが、実際に調理を行う患者の家族にとっては調製が容易ではなく、特に蛋白質の制限食は通常の食品の組み合わせだけでは難しい点に課題があった。
このために、米、小麦、そば、これらの加工品等の基本的食材についての低蛋白化が研究されている[例えば、治療パンの製造法(特公昭60−6167号公報)や低蛋白パン用穀粉組成物及び低蛋白パンの製造法(特開平5−7448号公報等がある]。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、低蛋白米が注目され、パンについても要望が高い。しかしながら、パンは加工食品であるために賞味期間が短く、従って採算上の課題があった。更に、素材を加工して家庭内で焼成するような調理形態や、冷凍食品として提供しても調理上時間がかかったり、味覚上問題があったりして実用化にはほど遠く、低蛋白組成を有し、長期保存が可能であり且つ嗜好性が良好なパン状機能性食品が強く求められていた。
【0004】
従って、本発明の目的は、低蛋白組成を有しており且つ長期間にわたり常温で保存可能であって、嗜好性も良好であり、高カロリーで、水分の含有量が25重量%以下でスポンジ状であり、従って腎疾患患者用の主食として適するようなパン状機能食品を提供すること、また、このようなパン状機能食品を容易に作れる冷凍生地を提供すること、および前記パン状機能食品を製造する製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は低蛋白組成を有し且つ長期保存に耐え、新鮮度を失わないパン類を開発するために鋭意研究を重ねた結果、本発明者等により発見されたイタリアンケーキ用の発酵菌を用いることによって低蛋白性素材となるパン生地が得られること、得られたパン生地は比較的長時間焼成してもパンとしての風味が損なわれないことなどを見い出し、斯くして本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明の請求項1の発明は、少なくとも1ケ月の保存安定性を有し、高カロリーで、水分の含有量が25重量%以下、蛋白質の含有量が2.5〜5.0重量%で、スポンジ状であることを特徴とするパン状機能性食品である。
【0007】
本発明の請求項2の発明は、請求項1記載のパン状機能性食品を、腎疾患及び糖尿病疾患患者の食事療法に用いることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3の発明は、下記の(1)〜(5)の工程により製造することを特徴とする請求項1記載のパン状機能性食品を製造するための冷凍生地である。
(1)小麦粉と水分を必須成分として添加した培地に、サッカロミセス・イグジグース(Saccharomyces exiguus)ラクトバチルス・サンフランシスコ (Lactobacillus sanfrancisco) とラクトバチルス・コモエンシス(Lactobacillus comoensis)を接種し、混合した後、培養して得られた培養物の一部を用い、小麦粉と水を必須成分として添加して混合し、混捏し、発酵させた後、この発酵物の一部を用い、小麦粉と水を必須成分として添加して混合し、混捏し、発酵させる操作を5〜10回繰返して、元種を得る工程。
(2)上記元種を用い、小麦粉と水を必須成分として添加して混合し、混捏し、発酵させた後、その全量に対してさらに小麦粉と水を必須成分として添加して混合し、混捏し、発酵させて、元種増殖を行って増殖元種を得る工程。
(3)上記増殖元種に、小麦粉、油脂、糖類および水を必須成分として混合し、混捏し、発酵させることにより中種を得る工程。
(4)上記中種全量に、油脂、糖類、塩、水、小麦粉および低蛋白性食品成分を必須成分として添加して混合し、混捏する本捏配合を行った後、必要重量に分割して放置および/または冷蔵後、任意の形に成型する成型工程。
(5)成型した生地を冷凍して冷凍生地を得る工程。
本発明の請求項4の発明は、請求項3記載の冷凍生地において、上記低蛋白性食品成分として澱粉および/または増粘性多糖類を使用することを特徴とするものである。
【0009】
本発明の請求項の発明は、下記の(1)〜(5)の工程により製造することを特徴とする請求項1記載のパン状機能性食品を製造するための一般冷凍生地である。
(1)小麦粉と水分を必須成分として添加した培地に、サッカロミセス・イグジグース(Saccharomyces exiguus)ラクトバチルス・サンフランシスコ (Lactobacillus sanfrancisco) とラクトバチルス・コモエンシス(Lactobacillus comoensis)を接種し、混合した後、培養して得られた培養物の一部を用い、小麦粉と水を必須成分として添加して混合し、混捏し、発酵させた後、この発酵物の一部を用い、小麦粉と水を必須成分として添加して混合し、混捏し、発酵させる操作を5〜10回繰返して、元種を得る工程。
(2)上記元種を用い、小麦粉と水を必須成分として添加して混合し、混捏し、発酵させた後、その全量に対してさらに小麦粉と水を必須成分として添加して混合し、混捏し、発酵させて、元種増殖を行って増殖元種を得る工程。
(3)上記増殖元種に、小麦粉、油脂、糖類および水を必須成分として混合し、混捏し、発酵させることにより中種を得る工程。
(4)上記中種全量に、油脂、糖類、塩、水、小麦粉および低蛋白性食品成分を必須成分として添加して混合し、混捏する本捏配合を行った後、必要重量に分割して放置後、任意の形に成型して冷蔵する成型工程。
(5)成型した生地を、発酵させた後、冷凍する工程。
本発明の請求項6の発明は、請求項5記載の冷凍生地において、上記低蛋白性食品成分として澱粉および/または増粘性多糖類を使用することを特徴とするものである。
【0010】
本発明の請求項の発明は、下記の(1)〜(5)の工程により製造することを特徴とする請求項1記載のパン状機能性食品の製造方法である。
(1)小麦粉と水分を必須成分として添加した培地に、サッカロミセス・イグジグース(Saccharomyces exiguus) ラクトバチルス・サンフランシスコ (Lactobacillus sanfrancisco) とラクトバチルス・コモエンシス(Lactobacillus comoensis)を接種し、混合した後、培養して得られた培養物の一部を用い、小麦粉と水を必須成分として添加して混合し、混捏し、発酵させた後、この発酵物の一部を用い、小麦粉と水を必須成分として添加して混合し、混捏し、発酵させる操作を5〜10回繰返して、元種を得る工程。
(2)上記元種を用い、小麦粉と水を必須成分として添加して混合し、混捏し、発酵させた後、その全量に対してさらに小麦粉と水を必須成分として添加して混合し、混捏し、発酵させて、元種増殖を行って増殖元種を得る工程。
(3)上記増殖元種に、小麦粉、油脂、糖類および水を必須成分として混合し、混捏し、発酵させることにより中種を得る工程。
(4)上記中種全量に、油脂、糖類、塩、水、小麦粉および低蛋白性食品成分を必須成分として添加して混合し、混捏する本捏配合を行った後、必要重量に分割して放置および/または冷蔵後、任意の形に成型する成型工程。
(5)成型し冷蔵した生地を発酵させた後、焼成する工程。
本発明の請求項8の発明は、請求項7記載のパン状機能性食品の製造方法において、上記低蛋白性食品成分として澱粉および/または増粘性多糖類を使用することを特徴とするものである。
【0011】
本発明の請求項の発明は、請求項3記載の冷凍生地を解凍し、発酵させた後、焼成することを特徴とする請求項1記載のパン状機能性食品の製造方法である。
【0012】
本発明の請求項10の発明は、請求項記載の一般用冷凍生地を解凍した後、焼成することを特徴とする請求項1記載のパン状機能性食品の製造方法である。
【0013】
【本発明の実施の形態】
本発明の請求項1記載のパン状機能性食品の例としては、例えば、水分15〜25重量%、蛋白2.5〜5.0重量%、脂質15〜25重量%、糖質44〜67重量%を含むパン状機能性食品の例を挙げることができる。
【0014】
本発明の請求項3記載の(1)の工程における各成分の配合量、上記発酵菌の接種量、培養温度、培養時間などの培養条件、捏上温度および時間、発酵条件などは特に限定されるものではないが、例えば、具体的には、下記のような各種条件は好ましく用いることができる。
請求項3記載の(1)の工程の具体例:
水分13.5〜14.5重量%、灰分0.4〜0.45重量%、蛋白11〜11.5重量%の小麦粉100重量部に水40〜42重量部を添加した培地に、サッカロミセス・イグジグース(Saccharomyces exiguus) 約107 個/g、ラクトバチルス・サンフランシスコ (Lactobacillus sanfrancisco) 約108 個/gとラクトバチルス・コモエンシス(Lactobacillus comoensis)約106 個/gとなるように接種し、混合した後、温度を16〜18℃に保持しながら20〜24時間培養し、pHが3.9〜4.0になった時点で培養を停止し、得られた培養物100重量部を、小麦粉100〜200重量部、水40〜80重量部と混合し、捏上温度を23〜25℃に調節して、約5〜15分混捏し、その後、発酵室において16〜18℃で20〜24時間発酵させ、pHを3.9〜4.0とした。この操作を5〜10回繰返して、元種を得る。
【0015】
本発明の請求項3記載の(2)の工程における各成分の配合量、混捏温度および時間、発酵条件などは特に限定されるものではないが、例えば、具体的には、下記のような各種条件は好ましく用いることができる。
請求項3記載の(2)の工程の具体例:
工程(1)で得られた元種100重量部と、小麦粉100〜200重量部と、水40〜80重量部とを、混捏温度24〜25℃に調節して5〜15分間混捏し、発酵室にて3〜4時間発酵させ、生地のpHを4.1〜4.2に調節した後、さらに小麦粉100〜200重量部、水40〜80重量部を加え、捏上温度を24〜25℃に調節して5〜15分間混捏した後、3〜4時間発酵させ、生地のpHを4.30〜4.40に調節し、元種増殖を行って増殖元種を得る。
【0016】
本発明の請求項3記載の(3)の工程における各成分の配合量、混捏温度および時間、発酵条件などは特に限定されるものではないが、例えば、具体的には、下記のような各種条件は好ましく用いることができる。
請求項3記載の(3)の工程の具体例:
工程(2)で得られた増殖元種100〜130重量部と、小麦粉180〜200重量部と、油脂20〜25重量部と、糖類23〜33重量部と、水100〜150重量部とを混合し、捏上温度を20〜25℃に調節して混捏し、室温にて2〜3時間発酵させることにより中種を得る。
【0017】
本発明の請求項3記載の(4)の工程における各成分の配合量、混捏温度、放置条件、冷蔵条件などは特に限定されるものではないが、例えば、具体的には、下記のような各種条件は好ましく用いることができる。
請求項3記載の(4)の工程の具体例:
油脂200〜400重量部と、糖類100〜300重量部と、塩2〜12重量部と、水100〜300重量部と小麦粉100〜150重量部と、低蛋白性食品成分として例えば澱粉70〜180重量部とキサンタンガム0〜5重量部と工程(3)で得られた中種全量をミキサーにて20〜25℃で捏ね上げ、必要重量に分割して20〜26℃で10〜60分間放置後、0〜10℃にて5〜45時間冷蔵し任意の形に成形する、本捏配合及び成型工程。
【0018】
本発明の請求項3記載の(5)の工程における成型した生地を冷凍して冷凍生地を得る際の冷凍条件などは特に限定されるものではない。
【0019】
本発明の請求項4記載の一般冷凍生地を製造するための上記(1)〜(4)の工程における各成分の配合量、混捏温度、放置条件、冷蔵条件などは特に限定されるものではなく、具体的には、本発明の請求項3記載の(1)〜(4)の工程の具体例において記載した上記の各種条件は好ましく用いることができる。
本発明の請求項4記載の上記(5)の工程における発酵条件、冷凍条件なども特に限定されるものではなく、発酵条件としては具体的には、例えば、成型した生地を28〜35℃の発酵室で2〜10時間発酵させる条件を挙げることができる。
【0020】
請求項1記載のパン状機能性食品を製造するための本発明の請求項5記載の上記(1)〜(4)の工程における各成分の配合量、混捏温度、放置条件、冷蔵条件などは特に限定されるものではなく、具体的には、本発明の請求項3記載の(1)〜(4)の工程の具体例において記載した上記の各種条件は好ましく用いることができる。
本発明の請求項5記載の上記(5)の工程における発酵条件、焼成条件なども特に限定されるものではなく、発酵条件としては具体的には、例えば、成型した生地を28〜35℃の発酵室で2〜10時間発酵させた後に160〜320℃のオーブンで20〜40分間焼成する条件を挙げることができる。
【0021】
本発明の請求項6の発明において、本発明の請求項3記載の冷凍生地の解凍条件、発酵条件、焼成条件なども特に限定されるものではなく、発酵条件、焼成条件としては具体的には、例えば、解凍した生地を28〜35℃の発酵室で2〜10時間発酵させた後に160〜320℃のオーブンで20〜40分間焼成する条件を挙げることができる。
【0022】
本発明の請求項7の発明において、本発明の請求項4記載の一般用冷凍生地の解凍条件、焼成条件なども特に限定されるものではなく、焼成条件としては具体的には、例えば、解凍した後、160〜320℃のオーブンで20〜40分間焼成する条件を挙げることができる。
【0023】
本発明に使用される発酵菌の内でラクトバチルス・コモエンシス(L.comoens is) は本発明者等により発見されたイタリアンケーキ用乳酸菌であって微工研菌寄第9022号として寄託されており、又サッカロミセス・イグジグース(S.exiguus) 及びラクトバチルス・サンフランシスコ(L.sanfrancisco)は、“Microbiology”、Vol.21、page459(1971)に記載されているものと同種であり、イタリア国の法人から入手した。
【0024】
本発明により調製されるパンの使用原材料は小麦粉、油脂、砂糖、上記の乳酸菌及び酵母、小麦デンプン、麦芽糖、食塩、乳化剤、増粘多糖類、香料などであり、小麦粉の種類に関しては特に限定されない。例えば、薄力粉、中力粉、強力粉などが使用する例を挙げることができるが、生地の機械耐性の点より高粘度タイプの強力粉や薄力粉が望ましい。
【0025】
本発明に使用される油脂については、例えばショートニング、マーガリン、バター、ラード等が組み合わされて使用される。
【0026】
本発明に使用される糖質については、各種澱粉(コーンスターチ、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉等)、砂糖、還元糖、デキストリン、トレハローズ(林原製:商標)等を組合わせて使用できるが、味、甘味度の点から、小麦澱粉、デキストリン、トレハローズを組合わせて使用するのが望ましい。
【0027】
本発明に使用される低蛋白性食品成分としては炭水化物を主成分とするものであり、例えば上記各種澱粉(コーンスターチ、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、澱粉を抽出した食品用澱粉等)、キサンタンガムのような増粘性多糖類などを挙げることができる。これらの中でもポリデキストロース、コーンスターチ、澱粉を抽出した食品用澱粉などは蛋白質を少なく含むため好ましく使用できる。
【0028】
本発明によるパン状機能性食品は、従来の低蛋白パンが日持ちせず、パンとはいえ餅状であり、美味しくないのに対して、常温で長期保存できるために常温流通が可能であり、スポンジ状をした立派なパンで美味しく、高カロリーで、水分の含有量が低く、そして蛋白質の含有量が低いので、糖尿病性腎症、腎不全保存期(腎炎、腎症等)、人工透析、腹膜透析等の腎疾患患者に対する食事療法における低蛋白高エネルギー食として好適なものである。
【0029】
本発明によるパン状機能性食品を機能性食品として使用するに際しては、対象患者の疾患状況、部位、年齢、性別、体重等を考慮して決定されるが、使用に際しては、患者毎に定められた1日の蛋白摂取量の範囲で摂取する必要がある。その際、本発明によるパン状機能性食品は通常のパンに比べて蛋白量が半分のため、容易に蛋白制限が可能となる。
【0030】
【実施例】
次に実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(実施例1)
(本発明の低蛋白性パン状機能性食品の製造例)
(1)元種の製造
水分13.5〜14.5重量%、灰分0.4〜0.45重量%、蛋白11〜11.5重量%の小麦粉100重量部に水40〜42重量部を添加した培地に、サッカロミセス・イグジグース(Saccharomyces exiguus) 約107 個/g、ラクトバチルス・サンフランシスコ (Lactobacillus sanfrancisco) 約108 個/gとラクトバチルス・コモエンシス(Lactobacillus comoensis)約106 個/gとなるように接種し、混合した後、温度を16〜18℃に保持しながら20〜24時間培養した。pHが3.9〜4.0になった時点で培養を停止し、得られた培養物100重量部を、小麦粉100〜200重量部、水40〜80重量部と混合し、捏上温度を23〜25℃に調節して、約5〜15分混捏した。その後、発酵室において16〜18℃で20〜24時間発酵させ、pHを3.9〜4.0とした。この操作を5〜10回繰返して、元種を得た。
【0031】
(2)元種の増殖
(1)により得られた元種100重量部、小麦粉100〜200重量部、水40〜80重量部を、混捏温度24〜25℃に調節して5〜15分間混捏し、発酵室にて3〜4時間発酵させ、生地のpHを4.10〜4.20に調節した後、さらに小麦粉100〜200重量部、水40〜80重量部を加え、捏上温度を24〜25℃に調節して5〜15分間混捏した後、3〜4時間発酵させ、生地のpHを4.30〜4.40に調節し、元種増殖を行った。
【0032】
(3)中種の製造
(2)により得られた生地100〜130重量部、小麦粉180〜200重量部、油脂20〜25重量と、糖類23〜33重量部、水100〜150重量部を混合し、捏上温度を20〜25℃に調節して混捏し、室温にて2〜3時間発酵させ中種を得た。
【0033】
(4)本捏、分割、冷蔵
油脂200〜400重量部、糖類100〜300重量部、塩2〜12重量部、水100〜300重量部と小麦粉100〜150重量部、澱粉70〜180重量部と、キサンタンガム0〜5重量部と中種全量をミキサーにて20〜25℃で捏ね上げ、必要重量に分割して20〜26℃で10〜60分間放置後、0℃にて5〜45時間冷蔵し、任意の形に成形した。
【0034】
(5)焼成
成型した生地を28〜35℃の発酵室で2〜10時間発酵させた後160〜320℃のオーブンで20〜40分間焼成した。
【0035】
[試験例1(官能評価)]
パネラー30名に上記製造例により得た本発明による低蛋白性パン状機能食品を試食して貰い、味覚評価を行った。評価結果を表1に示した。
【0036】
【表1】
Figure 0003677693
【0037】
表1に示されるように、5段階評価で味覚評価を行ったところ、本発明による低蛋白性パン状機能食品は、6割のパネラーがやや美味しい、又は美味しいと回答した。
【0038】
[試験例2(保存試験)]
本発明による前記低蛋白性パン状機能性食品を製造した後、本品をOPP/CPPラミネート品で密封包装し、室温(25℃)における経時的保存安定性[味・風味、生菌数、過酸化物価、外観(色変)]について評価した。結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
Figure 0003677693
【0040】
表2に示されるように、3ケ月経過後においても製造直後とほとんど変化はなく、保存安定性は良好であった。
【0041】
【発明の効果】
本発明の低蛋白性パン状機能性食品は、従来の低蛋白パンが日持ちせず、パンとはいえ餅状であり、美味しくないのに対して、常温で3ケ月程度の長期保存できるために常温流通が可能であり、スポンジ状をした立派なパンで美味しく、高カロリーで、水分の含有量が低く、そして蛋白質の含有量が低いので、糖尿病性腎症、腎不全保存期(腎炎、腎症等)、人工透析、腹膜透析等の腎疾患患者に対する食事療法における長期間主食として使用可能な低蛋白高エネルギー食として好適なものであ。
【0042】
本発明の低蛋白性パン状機能性食品は、イタリアンケーキ用の発酵菌(サッカロミセス・イグジグース、ラクトバチルス・サンフランシスコ及びラクトバチルス・コモエンシス)を用いることにより製造できる。
【0043】
本発明の冷凍生地を解凍し、発酵させた後、焼成するか、あるいは、本発明の一般冷凍生地を解凍し、焼成すれば、家庭でも、病院などでも容易に本発明のパン状機能性食品を作ることができる。

Claims (10)

  1. 少なくとも1ケ月の保存安定性を有し、高カロリーで、水分の含有量が25重量%以下、蛋白質の含有量が2.5〜5.0重量%で、スポンジ状であることを特徴とするパン状機能性食品。
  2. 腎疾患患者の食事療法に用いることを特徴とする請求項1記載のパン状機能性食品。
  3. 下記の(1)〜(5)の工程により製造することを特徴とする請求項1記載のパン状機能性食品を製造するための冷凍生地。
    (1)小麦粉と水分を必須成分として添加した培地に、サッカロミセス・イグジグース(Saccharomyces exiguus)ラクトバチルス・サンフランシスコ (Lactobacillus sanfrancisco) とラクトバチルス・コモエンシス(Lactobacillus comoensis)を接種し、混合した後、培養して得られた培養物の一部を用い、小麦粉と水を必須成分として添加して混合し、混捏し、発酵させた後、この発酵物の一部を用い、小麦粉と水を必須成分として添加して混合し、混捏し、発酵させる操作を5〜10回繰返して、元種を得る工程。
    (2)上記元種を用い、小麦粉と水を必須成分として添加して混合し、混捏し、発酵させた後、その全量に対してさらに小麦粉と水を必須成分として添加して混合し、混捏し、発酵させて、元種増殖を行って増殖元種を得る工程。
    (3)上記増殖元種に、小麦粉、油脂、糖類および水を必須成分として混合し、混捏し、発酵させることにより中種を得る工程。
    (4)上記中種全量に、油脂、糖類、塩、水、小麦粉および低蛋白性食品成分を必須成分として添加して混合し、混捏する本捏配合を行った後、必要重量に分割して放置および/または冷蔵後、任意の形に成型する成型工程。
    (5)成型した生地を冷凍して冷凍生地を得る工程。
  4. 上記低蛋白性食品成分として澱粉および/または増粘性多糖類を使用することを特徴とする請求項3記載の冷凍生地。
  5. 下記の(1)〜(5)の工程により製造することを特徴とする請求項1記載のパン状機能性食品を製造するための一般冷凍生地。
    (1)小麦粉と水分を必須成分として添加した培地に、サッカロミセス・イグジグース(Saccharomyces exiguus)ラクトバチルス・サンフランシスコ (Lactobacillus sanfrancisco) とラクトバチルス・コモエンシス(Lactobacillus comoensis)を接種し、混合した後、培養して得られた培養物の一部を用い、小麦粉と水を必須成分として添加して混合し、混捏し、発酵させた後、この発酵物の一部を用い、小麦粉と水を必須成分として添加して混合し、混捏し、発酵させる操作を5〜10回繰返して、元種を得る工程。
    (2)上記元種を用い、小麦粉と水を必須成分として添加して混合し、混捏し、発酵させた後、その全量に対してさらに小麦粉と水を必須成分として添加して混合し、混捏し、発酵させて、元種増殖を行って増殖元種を得る工程。
    (3)上記増殖元種に、小麦粉、油脂、糖類および水を必須成分として混合し、混捏し、発酵させることにより中種を得る工程。
    (4)上記中種全量に、油脂、糖類、塩、水、小麦粉および低蛋白性食品成分を必須成分として添加して混合し、混捏する本捏配合を行った後、必要重量に分割して放置後、任意の形に成型して冷蔵する成型工程。
    (5)成型した生地を、発酵させた後、冷凍する工程。
  6. 上記低蛋白性食品成分として澱粉および/または増粘性多糖類を使用することを特徴とする請求項5記載の冷凍生地。
  7. 下記の(1)〜(5)の工程により製造することを特徴とする請求項1記載のパン状機能性食品の製造方法。
    (1)小麦粉と水分を必須成分として添加した培地に、サッカロミセス・イグジグース(Saccharomyces exiguus) ラクトバチルス・サンフランシスコ (Lactobacillus sanfrancisco) とラクトバチルス・コモエンシス(Lactobacillus comoensis)を接種し、混合した後、培養して得られた培養物の一部を用い、小麦粉と水を必須成分として添加して混合し、混捏し、発酵させた後、この発酵物の一部を用い、小麦粉と水を必須成分として添加して混合し、混捏し、発酵させる操作を5〜10回繰返して、元種を得る工程。
    (2)上記元種を用い、小麦粉と水を必須成分として添加して混合し、混捏し、発酵させた後、その全量に対してさらに小麦粉と水を必須成分として添加して混合し、混捏し、発酵させて、元種増殖を行って増殖元種を得る工程。
    (3)上記増殖元種に、小麦粉、油脂、糖類および水を必須成分として混合し、混捏し、発酵させることにより中種を得る工程。
    (4)上記中種全量に、油脂、糖類、塩、水、小麦粉および低蛋白性食品成分を必須成分として添加して混合し、混捏する本捏配合を行った後、必要重量に分割して放置および/または冷蔵後、任意の形に成型する成型工程。
    (5)成型し冷蔵した生地を発酵させた後、焼成する工程。
  8. 上記低蛋白性食品成分として澱粉および/または増粘性多糖類を使用することを特徴とする請求項7記載のパン状機能性食品の製造方法。
  9. 請求項3記載の冷凍生地を解凍し、発酵させた後、焼成することを特徴とする請求項1記載のパン状機能性食品の製造方法。
  10. 請求項記載の一般用冷凍生地を解凍した後、焼成することを特徴とする請求項1記載のパン状機能性食品の製造方法。
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