JP3677654B2 - 刃裏の凹曲を改良した鋏 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、鋏の発明に関し、詳しくは刃裏の裏スキの設け方に改良を施した鋏に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、図3に示す理容鋏100は2本の刃体1,1を枢着して成るが、図4に示すこの刃体1の刃部2(刃体の中の刃を設けられた部分)は、その刃裏5が図5の概念図に示す様な円筒20の内面状に形成されている。なお図5においては、円筒20から曲線21で切って部分22を切り落として、その残りの部分23が刃体を表している。この図中において一点鎖線で示された様な、円筒20内面の一番低い部分に引かれた線Lを、鋏の業界では「ひぞこ」と呼んでいる。つまり、鋏を開閉操作するときは、図6に示す様に、対峙する2つの刃10,10が接触しながら進行する面(進行面XY)を概念的に捉えることができるが、この様な仮想の進行面XYを基準とした場合、この進行面XYから一番低く離れた部分に引かれた線を云うのである。
【0003】
このひぞこLは、図4、5に示す様に刃先線4と平行に成るのが技術的に正しいとされている。またその際に、このひぞこLは刃体を枢着するネジ穴6を通るような平行に引かれている。従って、ひぞこLは刃部2の基端Dにおいては刃部2のほぼ幅中央に位置するが、刃部の先端Eにかけては刃体1の峰側3に寄り、峰3を通過して刃体幅の外に抜ける様に形成されている。
【0004】
なお以上の構成は刃部2に関するものであるが、このひぞこLは実際には、図4に示されている様に、刃部2に隣接するネジ穴6の周囲Aから引かれているのが一般である。刃裏5の裏スキは、一般には図7に示す様に円盤砥石30の頂点31付近で研削される。また円盤砥石30はその頂点31が、刃部2の基端Dにおいては略幅中央となる様にして、且つ刃先線4に略平行に通る様に移動させながら研削して形成される。その際には刃部2だけではなくネジ穴6の周囲Aも同時に研削され、できた刃裏の凹曲により、図4で黒く塗りつぶした面B(接触面B)で示した部分が相手刃体と触れ合う面となる。そして接触面B以外の刃裏のほぼ全体C(刃裏5の接触面B以外の部分)は、凹曲になって相手刃体とは接触しない部分となるのである。
【0005】
以上において、接触面Bの刃先部分Baは、2本の刃が噛み合う交点部分のみが接触するのであるが、これに対しネジ穴6の周囲Aの接触面Bbは、鋏の開閉操作されるときに常時接触していて、進行面を規定するのに寄与している。
【0006】
また以上のことは、理容鋏の一種である梳鋏でも同様である。
【0007】
梳鋏は図示しない櫛刃と棒刃を枢着させてなるが、図8に示す様に、棒刃の場合のひぞこLも上記同様に設けられる。即ちひぞこLは棒刃11の基端Dにおいては棒刃11のほぼ幅中央に位置するが、ひぞこLが刃先線14に平行であるために刃部の先端Eにかけては棒刃11の峰13側に寄り、峰13を通過して刃体幅の外に抜ける様に形成されている。
【0008】
以上述べた様なひぞこLにより、鋏は、刃部2の刃裏5の断面形状が円弧状に凹曲した裏スキ5aが図6に示す様に形成される。また裏スキ5aにより、刃の進行面XYと刃裏5の面とには図9に示す様な逃げ角Qと呼ばれる角度が生じる。この逃げ角Qは以下の点で重要である。
【0009】
1. この逃げ角Qがないと、刃裏5は平面となり、この平面同士が接触するので鋏の開閉動作が重くなる。
2. しかしこれよりも重要なのは、逃げ角が有ることは裏スキが凹設されていることを意味し、つまり刃裏全体が接触することはなく、刃先同士のみの確実な接触がなされ、これにより鋏の剪断力を生じさせることである。
3. さらに、この様な逃げ角があると、刃裏の接触面積が小さくなるので、刃先同士の接触圧力が大きくなる。そのためネジを強く締めるとか、刃体のひねりを強くするとかいう構造的な負担を軽減するので、鋏の操作が軽くなる。
4. また、逃げ角をつけると、刃先同士だけが接触し、刃先は摩耗する。しかし図7に示す様に摩耗するので、刃先が進行面XY面に沿った運動すことを維持することができ、結果的に刃先の寿命は長くなる。つまり切れ味が長く持続する。鋏の剪断性能を長く維持しよう
【0010】
この様に刃裏の逃げ角や、この逃げ角を決定する裏スキの凹曲形状、更にはひぞこの引き方は、鋏の剪断特性に大きく影響を与えるものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
以上の状況下において、本願発明の目的とするところは、裏スキの設け方を改良することにより、鋏の切断性能を向上させ、良好な切断性能を長く維持することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段と発明の効果】
以上の目的のために、刃部を有する2本の刃体を枢着してなる鋏において、本願発明は以下の手段を提供する。
即ち、請求項1記載の発明においては、刃部は刃裏の断面形状が円弧状に凹曲して形成されてなる裏スキを有する場合であって、裏スキは、この裏スキのひぞこが、ネジ穴の上を通過し且つ刃先線に略平行な線と、刃部の基端においては峰側に偏在して通り且つ刃先線に略平行な線と、を含む様に形成されたことを特徴とする。「ひぞこ」とは、鋏を開閉操作するときは、2つの刃体の刃部同士が接触しながら進行する面(進行面)を概念的に捉えることができるが、この様な仮想の進行面を基準とした場合、この進行面から一番低く離れた部分に引かれた面を云うのである。
【0013】
出願人が実際に上記構成の鋏を理容鋏として試作し、実際の理容店で理容技術者にモニタリングしてもらったところ、ひぞこが刃部の基端においては略幅中央を通る様にして裏スキが形成されている従来の鋏よりも良好な切断性能が得られた。
【0014】
また上記請求項1記載の発明を実現する手段の1つとして、次の様にした。この手段は、刃部の刃裏の凹曲が、円盤砥石の回転面を刃部長手の略直角となるようにして前記円盤砥石の周面を刃裏に当接させ、刃部の長手方向に移動させながら研削して形成された鋏における手段である。
即ち請求項2記載の発明では、円盤砥石を移動させながら刃裏を研削する際には、円盤砥石の頂点が、ネジ穴の上を通過し且つ刃先線に略平行な線と、刃部の基端においては峰側に偏在して通り且つ刃先線に略平行な線と、による不連続な線と、を通る様に移動させながら研削して形成されることを特徴とする。
【0015】
請求項1記載の鋏に関する上記試作品は、実際には、この請求項2記載の構成をも有したものであり、既に述べた様に、試作品の切断性能は良好であった。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に示す実施例は、刃部2を有する2本の刃体1,1を枢着してなる理容鋏に関し、図1にはその刃体1の刃裏側の図が示されている。この刃体1は、従来技術に関する図6で示したと同様に、刃部2の刃裏の断面形状が円弧状に凹曲して形成されてなる裏スキを有する。ただ図1の刃体1の裏スキは、この裏スキのひぞこLが、刃部2の基端Dにおいては略幅中央よりも峰3側に偏在させてあって、ほぼ峰3あたりを通過する様に設けてあり、この状態で刃先線4に略平行な線となる様にひぞこLを形成している。なお裏スキの凹曲形状は微少過ぎるので、図示して図6との違いを示すことはできないため図示を省略する。
【0017】
以上の様なひぞこLによる裏スキは、図7に示したと同様に円盤砥石30の回転面を刃部長手の略直角となるようにして前記円盤砥石の周面を5刃裏に当接させ、刃部の長手方向に移動させながら研削してその凹曲が形成されている。その際には、円盤砥石30の頂点31が、刃部2の基端Dにおいてはほぼ峰3あたりを通り且つ刃先線4に略平行に通る様に移動させながら研削している。
【0018】
なお、ネジ穴6の周囲Aも同じ円盤砥石で研削するのであるが、このときは図示されている様に、円盤砥石の頂点が(或いはひぞこLが)ネジ穴の上を通過する様に移動させて研削するのである。つまり、ネジ穴6の周囲Aの凹曲は、従来技術で説明した様な従来の一般的な鋏と同様の凹曲加工をするのである。これにより、刃部2とネジ穴6の周囲AとのひぞこLは図示した様に不連続な線となる。
【0019】
図2は、図示しない梳鋏に用いられる棒刃11の刃裏側を示す図である。この刃体としての棒刃11は、刃裏15の裏スキを形成する場合であっても、円盤砥石30の頂点31が、棒刃11の刃部12の基端Dにおいてはほぼ峰13あたりを通り、刃先線14に略平行に通る様に移動させながら研削している。
【0020】
この様な構成の刃体を枢着して得られる鋏は、その切断性能におい
て良好な性能が得られる。また、使う過程においても、良好な切断性能が長く持続する特徴がある。
【0021】
なお本願発明は上記実施例に限るものではなく、本願発明の趣旨の範囲においてどのように実施してもよい。ひぞこは、刃部の基端においては、略幅中央と峰との中間に位置させて設けてもよく、峰の外に位置させてもよい。また本願発明は刃部における裏スキに関する改良を提案したのであり、ネジ穴の周囲の設け方や、進行面の規定のされ方については様々に方法であってよく、上記実施例に限るものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この図は、本願発明の鋏を構成する刃体の実施例の図であり、ひこぞの設け方を説明している。
【図2】 この図は、本願発明を梳鋏に用いた場合の、その梳鋏の棒刃の図である。
【図3】 この図は、従来の理容鋏の図である。
【図4】 この図は、図4の理容鋏の刃体を示す図である。
【図5】 この図は、刃体の裏スキを説明する図である。
【図6】 この図は、鋏における2本の刃体が、開閉操作時にどの様な位置関係になるかを示し、併せてその際の、刃の進行により画される進行面を説明する図である。
【図7】 この図は、刃体の刃裏を円盤砥石で研削して裏スキを形成する行程を説明する図である。
【図8】 この図は、梳鋏を構成する刃体の1つである棒刃を示す図である。
【図9】 この図は、逃げ角を説明する図である。
【符号の説明】
1 刃体
11 刃体としての棒刃
2,12 刃部
3,13 峰
4,14 刃先線
5,15 刃裏
6 ネジ穴
D 刃部の基端
20 円筒
30 円盤砥石
Claims (2)
- 刃部を有する2本の刃体を枢着してなる鋏であって、前記刃部は刃裏の断面形状が円弧状に凹曲して形成されてなる裏スキを有する場合であって、
前記裏スキは、この裏スキのひぞこが、ネジ穴の上を通過し且つ刃先線に略平行な線と、前記刃部の基端においては峰側に偏在して通り且つ刃先線に略平行な線と、を含む様に形成されたことを特徴とする鋏。 - 刃部を有する2本の刃体を枢着してなる鋏であって、前記刃部の刃裏の断面形状が凹曲に形成されてなる裏スキを有する場合であって、
前記凹曲は、円盤砥石の回転面を刃部長手の略直角となるようにして前記円盤砥石の周面を刃裏に当接させて刃部の長手方向に移動させながら研削して形成され、
その際には、前記円盤砥石の頂点が、ネジ穴の上を通過し且つ刃先線に略平行な線と、前記刃部の基端においては峰側に偏在して通り且つ刃先線に略平行な線と、を通る様に移動させながら研削して形成されることを特徴とする鋏。
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