JP3826230B2 - 理容鋏の製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
この発明は、理容鋏の製造方法の改良に関し、詳しくはカット鋏や梳鋏で髪を切るときに生ずる髪の滑りを抑え、滑らかな閉じ操作のできる理容鋏の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
直線的な刃先線を有する理容鋏で髪を切るときには、図9に示す様に、2本の刃に挟まれた髪が、刃先線に沿って滑る傾向にある。この様な傾向は、理美容鋏がカット鋏の場合は勿論の事、梳鋏の場合においても櫛歯先端が直線的な刃先線を有するのであれば、同様の生ずる問題である。
【0003】
これに対しては、ノコギリ鋏と称される図10に示す様な鋏が提供されている(例えば、特許文献1)。このノコギリ鋏は、刃先がノコギリの歯の様に形成されており、歯と歯の間に形成されている溝に髪が捕らえられる事により、髪が滑らない様になっている。
【0004】
【特許文献1】
実開平7−37042号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ただこの様なノコギリ鋏であると、ノコギリ歯の溝20に捕らえられて髪が束と成り、この束を切る事となるために、理容鋏の操作が束を切る毎にゴツゴツとした感触となり好ましくない。つまり、カット鋏の様な直線的な刃先同士により切られるのではないのでこの様な問題が生ずる。
【0006】
この点、従来のカット鋏であれば刃先線が直線的で連続的であるので、鋏を閉じるときには、髪が刃先の基端側から先端側にかけた刃先の全長で、順次、連続的で滑らかに切る事ができる。つまり滑らかな切れ味となり、換言すれば、鋏を閉じる操作が滑らかになるのである。これは切る髪の量が刃先線上の各場所で増減せずほぼ均一だからであるが、これに比較し、ノコギリ鋏は、切る髪が溝20毎に束となるので、ゴツゴツし切れ味になってしまうのである。
直線的な刃先同士で切ると髪の切断が滑らかになるという利点は梳鋏でも同様である。つまり梳鋏の場合には、櫛歯先端の直線的な部分においては、短い長さながらもその部分に関しては滑らかなのである。
【0007】
またこの様なノコギリ鋏は、鋏を閉じるときにノコギリの凸21になった歯が相手刃体に引っ掛かり、これを原因として閉じる操作がゴツゴツしてしまう。この点、例えばカット鋏であれば、直線的な刃先同士が交叉するので閉じ作業が滑らかとなるが、ノコギリ鋏は、これに髪を挟まずに空の状態で行う閉じ操作においても、ゴツゴツと歯が引っ掛かりながら閉じることとなり、その操作性において異なる。
【0008】
以上の問題を鑑み、本願発明の目的とするところは、髪を切るときには髪の滑りが抑えられる理容鋏であって、しかも鋏を閉じる時には毛束を切るゴツゴツした感触がなく、またノコギリ鋏の歯が相手刃体に引っ掛かる様なゴツゴツした感触もなく、滑らかな閉じ操作が実現する理容鋏の製造方法を提供する事にある。
【0009】
【課題を解決するための手段と発明の効果】
上記課題を解決するために本願の理容鋏の製造方法の発明では、理容鋏の刃表側に、刃先線に至るレーザー痕が形成されるようにレーザーを照射することにより、
刃先線に至るレーザー痕と、このレーザー痕が到達した前記刃先線の箇所での微小な凹部と、が形成されることを特徴とする。
これにより、直線的な前記刃先線が前記凹部に区切られた直刃部が形成され、少なくとも前記凹部と前記直刃部とが前記刃先線上に所望な並びで配置されることを特徴とした。
「直線的な刃先線を有する理容鋏」とは、カット鋏の他に梳鋏も含む。即ち梳鋏の場合は、櫛歯先端の刃先が直線的でその直線の長さが数mmであれば、「直線的な刃先線を有す」こととなる。
これにより、カット鋏であればカット鋏の直線的な刃先で切る滑らかさを維持しながらも、髪の刃先線上の滑りが凹部により抑えられ、また梳鋏であれば、櫛歯先端の刃先で切る際はその箇所に関しては滑らかな切れ方となる理容鋏が製造できる。
【0010】
また凹部の微小さは、この凹部に髪が捕らえられても髪の束を形成する事の無い微小なものであることを特徴とした。
これによりノコギリ鋏の様な、髪の束の生ずる事を避ける事ができると共に、髪の滑り止めが担保される。
【0011】
なお凹部を含む刃先を刃先材料より硬い材料により皮膜加工してもよい。これにより、耐摩耗性が増し、鋏の切断性能が維持される。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に本願発明の実施例を説明する。
(実施例1);図1に示すカット鋏1Aは2本の刃体2a,2bを枢着させたものであり、直線的な刃先線Lを有する理容鋏として示されている。このカット鋏1Aは、一方の刃体2aには、図2に示す様にその刃先線L上に、その開口幅が略0.03mmで深さが約0.03〜0.10mm程度の微小な凹部3が1mm間隔で形成され、また直線的な刃先線Lがこの凹部3,3,…に区切られて直刃部4,4,…が形成される。そして凹部3,4と直刃部とが刃先線上に交互な並びで配置されている。
【0013】
また日本人など東洋人の髪の太さは平均で0.08mm程度であるが、この髪の太さとこれより細い開口幅の凹部3とは図3に示す様な大小関係となる。つまり凹部3の微小さは、この凹部3に髪10が捕らえられても、ノコギリ鋏の様な髪の束を形成する事の無い微小なものである。従って肉眼で見た場合にはこの凹部3の視認は困難であり、鋏の刃先に爪を立てて刃先線にそって撫でると、爪の引っかかりが指先で感じられるので、これにより凹部3の存在が確認できる程度の微小さである。そのため本願出願人は、凹部3の形状の確認を、顕微鏡を介して撮影した映像をテレビに表示させて確認しながら、本願発明の開発研究をしたのである。
【0014】
この凹部3は鋏1Aの刃先にレーザーの照射をする事により形成されている。つまりレーザービームを、刃表S側(図1参照)から刃先線に直角にあてる事により形成される。よって刃表Sには図に示す様にレーザー痕5の溝が形成されている。また凹部3の形状はレーザーの強さやレーザービームの太さを選択する事により、略V字状に形成される様になっている。
【0015】
なお図2においては凹部3の開口幅Wと凹部同士の間隔との縮尺が説明のために実物とは異なっている。つまり凹部同士の間隔は1mm程度であり、開口幅Wは0.03mm程度であるために、図1に示す様子と異なり、実際の間隔は図示された間隔よりが遙かに広いのである。またレーザー痕5も図示されたものより遙かに長いものである。
【0016】
またこのカット鋏1Aは、凹部3を含むその刃先に、クロムによる皮膜加工がしてある。皮膜厚は20オングストロング程度である。なお皮膜を形成させる材質はクロムに限らずプラチナ、プラチナクロムその他硬度のある材質を用いる事ができる。皮膜厚も適宜に選択する事ができる。
皮膜形成には、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどの方法により実施できる。
【0017】
この様なカット鋏1Aを用いて髪を切ると凹部に髪が引っ掛かり、つまり滑り止めの効いた髪の逃げない鋏となる。
また皮膜加工により、刃先や凹部の硬度が増し耐摩耗性がえられ、良好な切れ味と、良好な滑り止め効果が長く得られる。
【0018】
レーザービームの強度やビームの太さを変更すると、図4に示す様に略U字状の凹部3が形成できる。図4の凹部3を形成したカット鋏は、図2の凹部3(開口幅は同じ)のものに比べると、滑り止め効果が少し弱い。これにより略V字の形状が略U字の形状よりも滑り止め効果の高い事が分かる。この凹部の形状はこれ以外であってもよく、開口幅などとの関連により適宜選択すればよい。
【0019】
(実施例2);図5に示すのは、実施例1と同様のカット鋏に凹部3を2つ近接して設けた2連の様子を示しており、レーザー痕は省略してある。これにより滑り止めが一層確かなものとなる。図6は凹部3を3つ接近させて設けた3連のものであり、図5の2連凹部のものに比べ、さらに滑り止めが効いたものとなる。
ただ、滑り止めの効きがよくなるほど、鋏の閉じ抵抗が強くなる。これは、従来のカット鋏の様に髪が滑って逃げると、逃げた髪の量だけ切る量が減るのであるが、滑り止めが効いて逃げる量が少なくなると、それだけ切る量が増える事にもなり、増えた分だけ鋏の閉じ抵抗が増す事となるのである。従って、切る際には、理容師が鋏に挟み入れる髪の量を少なくするなりして調整すればよいのである。あるいは凹部の配置の1連、2連などを適宜に織り交ぜた配置とし、或いはこれら凹部の間隔を調整し、閉じ抵抗と滑り止め効果とのバランスを調整すればよい。
【0020】
(実施例3);図7に示す実施例の梳鋏1Bは、その櫛歯6,6,…の先端が直線的な刃先線L,L,L,…を有している理容鋏である。櫛歯6の刃先線L上には、図8に示す様に微小な凹部3を形成されると共に、直線的な刃先線Lが凹部3に区切られた直刃部4が形成され、凹部3と直刃部4とが刃先線L上に所望な並びで配置されている。図8も図2同様に、凹部開口幅と凹部間隔などの縮尺は実際と違えて図示してある。
【0021】
この凹部3は実施例1に示したのと同様に略V字型に形成されて凹部3の開口幅がやはり0.03mm程度に、レーザービーム加工されており、櫛歯6の刃表側にはレーザー痕5が視認できる程度に形成されている。
なお凹部は、櫛歯ではなく櫛歯の無い方の棒刃側に設けてもよい。
【0022】
なお本願発明は上記実施例に限るものではなく、本願発明の趣旨の範囲でどの様に実施されてもよい。
実施例では、凹部はその開口幅を、想定される髪の太さ0.08mmの半分以下の0.03mm幅にしたが、これに限らず、髪の太さ程度、或いはこれよりも大きな幅であってもよい。これは髪の引っ掛かり具合は単に凹部の開口幅だけで決まるものではなく、凹部の形状や配置によっても異なるものであり、或いは従来技術で述べた様な髪の束の生ずるがどうかも凹部の開口幅だけで決まるものではなく、凹部の形状や配置により異なるのであるため、よって開口幅は上述した様に、髪の髪の太さ程度、或いはこれよりも大きな幅であっても、髪の束ができることなく滑れ止め効果が得られる限りにおいてはかまわない。
【0023】
また凹部同士の間隔は実施例の様な等間隔でなくてもよく、粗密を適宜に設けてもよい。或いは凹部の1連、2連、3連などの設け方は自在であり、1連、2連、3連などの凹部を混在させて配置してもよい。
凹部は刃先の全長に亘って設けられたものでなくてもよく、刃先の部分だけに設けるなどしてもよい。
凹部は、2本の刃体の一方に形成しても、両方に形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この図は、実施例1に示すカット鋏の図である。
【図2】 この図は、刃先の拡大図である。
【図3】 この図は、凹部に髪が引っ掛かる様子の図である。
【図4】 この図は、レーザービームのあて方が変えた事により、凹部形状が図2〜3とは違えて形成されていることの説明図である。
【図5】 この図は、実施例2に示した凹部を2連に形成した図である。
【図6】 この図は、凹部を3連に形成した図である。
【図7】 この図は、実施例3に示した梳鋏のである。
【図8】 この図は、梳鋏の櫛歯先端の説明図である。
【図9】 この図は、従来のカット鋏により髪を切ると、髪が刃先上を滑る事を説明する図である。
【図10】 この図は、従来のノコギリ鋏の図である。
【符号の説明】
1A カット鋏
1B 梳鋏
2a、2b 刃体
3 凹部
4 直刃部
5 レーザー痕
6 櫛歯
10 髪
L 刃先線
Claims (1)
- 理容鋏の刃表側に、刃先線に至るレーザー痕が形成されるようにレーザーを照射することにより、
刃先線に至るレーザー痕と、このレーザー痕が到達した前記刃先線の箇所での微小な凹部と、が形成されることを特徴とする理容鋏の製造方法。
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