JP3676710B2 - 幼児用歩行器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は幼児用歩行器に関し、詳しくは、座席を備えた上部枠体の高さを段階的に調整可能とした幼児用歩行器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、車輪付ベース体と座席付上部枠体の左右両側を、X状リンク機構を形成する2本1組の支持杆により連結すると共に、凹凸係合手段からなるロック機構によりX状リンク機構の折畳みを防止し、凹凸係合手段の係合位置を変更可能とすることで、上部枠体の高さ位置を段階的に調整し得るようにした幼児用歩行器が知られている。
前記ロック機構は、例えば支持杆と上部枠体の何れか一方にラックを設け、他方に係合部材を設け、係合部材のラックへの係合位置を移動させることにより、上部枠体の高さ位置(座席の高さ位置)を、使用する幼児の成長に合せて、段階的に調整可能としている。
上記係合部材のラックへの係合位置を移動させるための操作は、上部枠体の適所に設けた操作部の操作で、係合部材のラックへの係合を解除して行うようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
処で、上記した従来の歩行器においては、座席に座っている幼児が誤って操作部をいじるなどして係合部材のラックへの係合が解除されてしまうと、幼児が座ったままの状態で座席が下がってしまう虞れがある。その為、操作部を幼児の手が届かない箇所、例えば上部枠体の下面中心部等に設けることが考えられるが、その場合、上部枠体の端から下面へ手を入れて操作部を探さなければならないので、保護者による高さ調整作業が行いにくくなるという問題があった。
【0004】
本発明はこのような従来事情に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、上部枠体の高さ(座席の高さ)を調整可能な歩行器において、誤ってロックが解除されて座席が下がってしまうような虞れが無く、且つ高さ調整をする際の操作性にも優れた幼児用歩行器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、車輪に支持された枠状のベース体と、座席を備えた上部枠体との左右両側を、互いに交差し交差部分が軸支された2本1組の支持杆により連結すると共に、上記支持杆の後部上端を上部枠体に対し、後部下端をベース体に対し夫々回動自在とし、且つ支持杆の前部上端を上部枠体に対し、前部下端をベース体に対し夫々前後に摺動自在とし、
さらに上記支持杆の前部上端に前後方向のラックを設けると共に、上部枠体には、上記ラックに対して係脱すると共に付勢部材によりラック方向へ付勢されて支持杆の摺動を固定する係合部材を取り付け、該係合部材のラックへの係合位置を移動させることにより、上部枠体の高さ位置を段階的に調整可能に形成し、
上部枠体の前部下面に、上記係合部材を付勢部材の弾性に抗してラックとの係合が外れる方向へ回動させる操作レバーと、該操作レバーの作動を解除可能にロックするロック部材を設け、
且つ上記操作レバーの操作方向を上部枠体の前後方向とし、ロック部材の操作方向を上部枠体の左右方向としたことを特徴とする。
【0006】
このような構成によれば、上部枠体(座席)の高さを調整する場合、ロック部材を横方向(上部枠体の左右方向)へ操作して操作レバーの作動ロック状態を解除した上で、操作レバーを縦方向(上部枠体の前後方向)へ操作するようになるので、座席に座った幼児が誤って操作レバーを操作し、係合部材とラックとの係合が外れてしまうような虞れが少ない。又、操作レバーとロック部材を上部枠体の前部下面に設けたので、保護者による高さ調整作業が容易に行えるようになる。
【0007】
本発明の歩行器において、上部枠体の後部に、支持杆の後部上端が回動自在且つ前後摺動自在に収容されるカバーを設けると共に、該カバー内に、支持杆の後部上端を前方へ向けて弾性的に付勢する付勢部材を内装すると良い。
この場合、座席上で幼児が暴れたり飛び上がるなどしても、付勢部材の弾性によりその振動を吸収し、幼児に与える衝撃を低減することができる。
【0008】
本発明の歩行器において、ベース体の後部に転倒防止用のストッパー脚を突設すると良い。
この場合、座席上で幼児が暴れたり飛び上がるなどしても、ストッパー脚の働きにより歩行器の後方への転倒を防止することができる。
【0009】
本発明の歩行器において、ベース体における支持杆の前部下端が前後摺動自在に取り付けられる部分に、支持杆の前部下端を摺動可能に支持する摺動ガイド用の長孔を設けると共に、該長孔の内側に、支持杆の前部下端と一体に摺動して長孔を塞ぐ覆い板を設け、且つベース体における前記長孔の近傍に、長孔内にある支持杆の前部下端の位置に基づいて、上部枠体の高さ位置を段階的に認識し得る目盛りを設けると良い。
この場合、覆い板により長孔が常に塞がれるので、幼児が指などを挟まれる心配がなく、またベース体に設けた目盛りを目安として、上部枠体(座席)の高さ調整を行うことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る幼児用歩行器の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。
本例の歩行器Aは図1に示すように、下面に複数の車輪2を有する略方形枠状のベース体1と、このベース体1の上方に位置し前側部分がテーブル3となるように形成された上部枠体4と、この上部枠体4とベース体1を連結し、かつ左右の脚部5、6が互いに交差し交差部分が軸支7された2本の逆U字形の支持杆8、9と、上部枠体4内に取り付けられた座席10とで構成されている。
【0011】
上記2本の支持杆8、9のうちの一方の支持杆8は、左右の脚部5、5の下端部5a、5aが、ベース体1の両側部における内側面の前方の夫々に設けた長孔11に、前後摺動自在に挿入して保持されている。また両脚部5、5の上端を連結する上部横杆12が、上部枠体4の下面後端部において、周方向に回動自在に取り付けられている。
【0012】
上部枠体4の下面後端部には、図2〜図4に示すように、上部横杆12が回動自在且つ前後摺動自在に収容されるカバー13を設け、そのカバー13内に、上部横杆12を前方へ向けて弾性的に付勢するバネ14が内装されており、10上で幼児が暴れたり飛び上がるなどしても、バネ14によりその振動が吸収され、幼児に与える衝撃を低減することができるようになっている。
【0013】
他方の支持杆9は、左右の脚部6、6の下端部6a、6aが、ベース体1の後端部両側における内面側に回動自在に軸支されている。また両脚部6、6の上端を連結する上部横杆15は、図2、図5、図6に示すように、上部枠体4の下面前側に、調整機構20を介して前後摺動自在に取り付けられている。
【0014】
すなわち、上部枠体4の下面前側に設けた左右のレール21により前後摺動自在に支持される摺動部材22を上部横杆15に取り付けると共に、上部横杆15には、所定数の突起23aからなるラック23を上面に有するラック部材24を左右に設ける。また上部枠体4には、ラック23に対して係脱する左右の係合爪25を有すると共にバネ26により係合爪25をラック23方向へ付勢されて上部横杆15の摺動を固定する係合部材27を回動可能に軸支28する。さらに、上部枠体4の前部下面には、係合部材27(係合爪25)をバネ26の弾性に抗してラック23との係合が外れる方向へ回動させる操作レバー29を回動自在に軸30し、係合爪25のラック23への係合位置を移動させることにより、上部枠体4の高さ位置を段階的に調整し得るよう形成されている。
【0015】
操作レバー29は、軸30によりその操作方向が上部枠体4の前後方向となるように回動自在に支持されており、また操作レバー29は、ロック部材31により、その作動を解除可能にロックされるようになっている。
【0016】
ロック部材31は、上部枠体4の前端下面において、操作レバー29と干渉して操作レバー29の回動をロックするロック位置(図5、図6に示す位置)と、そのロック位置から上部枠体4の左右方向に沿って、操作レバー29と干渉しない箇所まで移動して操作レバー29の回動をフリーにするロック解除位置との間を摺動自在に設けられ、バネ32により付勢されて通常時は前記ロック位置に存在している。33はロック部材31をロック解除位置に摺動させるための摘みで、ロック部材31の下面に突設されている。
【0017】
ベース体1の後端部下面のほぼ中央には、転倒防止用のストッパー脚35が、設置面Gとの間に僅かな隙間を残して突設されており、歩行器Aの後方への転倒が防止されるようになっている。
【0018】
図8、図9に示すように、ベース体1に設けた長孔11の内側には、支持杆8の左右脚部5の下端部5aと一体に摺動して長孔11を塞ぐ覆い板40が設けられ、この覆い板40が常に長孔11を塞いで、幼児などが長孔11に指を入れて怪我などをすることがないよう考慮されている。
【0019】
またベース体1の両側部における内側面の長孔11の上方には、前述したラック23の各突起23aと対応させた目盛り41が形成されており、長孔11内にある上記下端部5aの位置に基づいて、上部枠体4の高さ位置を段階的に認識し得るように形成されている。
【0020】
尚、図中の符号42は支持杆8の左右脚部5の下端部5aの前後摺動をガイドする溝、43は上部枠体4のテーブル3に着脱自在に取り付けられたパネル型の玩具である。
【0021】
以上の構成になる本例の歩行器Aを使用する場合は、上部枠体4の下面前端部位にある摘み33を摘んで、バネ32の弾性に抗してロック部材31をロック解除位置まで摺動させ、その状態で操作レバー29を回動操作し、係合爪25をバネ26の弾性に抗してラック23との係合が外れる方向へ回動させれば、上部横杆15と、左右脚部5、5の各下端部5a、5aが前後摺動自在となる。この状態で上部枠体4を昇降させ、前記下端部5aの長孔11内における位置を目盛り41を見ながら、所望の目盛り位置で操作レバー29から手を外せば、バネ26の弾性で係合爪25が所定箇所にある突起23aに係合し、座席10の高さを任意に設定することができる。また摘み33から手を離せば、バネ32の弾性でロック部材31がロック位置に復帰し、操作レバー29の回動を阻止して、係合爪25と突起23aとの係合状態がロックされる。
【0022】
【発明の効果】
本発明に係る幼児用歩行器は以上説明したように構成したので、以下の効果を奏する。
【0023】
(請求項1)
座席の高さを調整するための操作レバーが上部枠体の前部にあるので、高さ調整作業を容易に行うことができる。また、操作レバーの作動をロックするロック部材を有すると共に、操作レバーの操作方向を前後方向とし、ロック部材の操作方向を左右方向としたので、幼児が誤って操作レバーを操作してしまう虞れがない。よって、使い勝手が良く安全性にも優れる等の効果がある。
【0024】
(請求項2)
座席上で幼児が暴れたり飛び上がるなどしても、その振動を吸収して幼児に与える衝撃を低減することができる。
【0025】
(請求項3)
座席上で幼児が暴れたり飛び上がるなどしても、ストッパー脚の働きにより歩行器の後方への転倒を防止することができる。
【0026】
(請求項4)
覆い板により長孔を常に塞いで、幼児が指などを挟まれる心配を無くすことができる。また、ベース体に設けた目盛りを目安として、座席の高さ調整をスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る幼児用歩行器の実施形態の一例を示す斜視図。
【図2】図1の底面図。
【図3】上部枠体における支持杆の後部上端が回動自在に取り付けられる部分を拡大して示す一部切欠底面図。
【図4】図3の中央縦断面図。
【図5】上部枠体における支持杆の前部上端が摺動自在に取り付けられる部分を拡大して示す一部切欠底面図。
【図6】図5の中央縦断面図。
【図7】転倒防止用ストッパー脚を示すベース体の要部拡大側面図。
【図8】目盛りを示すベース体の要部拡大側面図。
【図9】図8の平面図で一部切欠して表す。
【図10】座席を低くした状態の斜視図。
【符号の説明】
A:歩行器
1:ベース体
2:車輪
4:上部枠体
5、6:脚部
5a:脚部の下端部(支持杆の前部下端)
6a:脚部の下端部(支持杆の後部下端)
8、9:支持杆
10:座席
11:長孔
12:上部横杆(支持杆の後部上端)
13:カバー
14:バネ(付勢部材)
15:上部横杆(支持杆の前部上端)
23:ラック
27:係合部材
29:操作レバー
31:ロック部材
32:バネ(付勢部材)
35:ストッパー脚
Claims (4)
- 車輪に支持された枠状のベース体と、座席を備えた上部枠体との左右両側を、互いに交差し交差部分が軸支された2本1組の支持杆により連結すると共に、上記支持杆の後部上端を上部枠体に対し、後部下端をベース体に対し夫々回動自在とし、且つ支持杆の前部上端を上部枠体に対し、前部下端をベース体に対し夫々前後に摺動自在とし、
さらに上記支持杆の前部上端に前後方向のラックを設けると共に、上部枠体には、上記ラックに対して係脱すると共に付勢部材によりラック方向へ付勢されて支持杆の摺動を固定する係合部材を取り付け、該係合部材のラックへの係合位置を移動させることにより、上部枠体の高さ位置を段階的に調整可能に形成し、
上部枠体の前部下面に、上記係合部材を付勢部材の弾性に抗してラックとの係合が外れる方向へ回動させる操作レバーと、該操作レバーの作動を解除可能にロックするロック部材を設け、
且つ上記操作レバーの操作方向を上部枠体の前後方向とし、ロック部材の操作方向を上部枠体の左右方向としたことを特徴とする幼児用歩行器。 - 上部枠体の後部に、支持杆の後部上端が回動自在且つ前後摺動自在に収容されるカバーを設けると共に、該カバー内に、支持杆の後部上端を前方へ向けて弾性的に付勢する付勢部材を内装したことを特徴とする請求項1記載の幼児用歩行器。
- ベース体の後部に転倒防止用のストッパー脚を突設したことを特徴とする請求項1記載の幼児用歩行器。
- ベース体における支持杆の前部下端が前後摺動自在に取り付けられる部分に、支持杆の前部下端を摺動可能に支持する摺動ガイド用の長孔を設けると共に、該長孔の内側に、支持杆の前部下端と一体に摺動して長孔を塞ぐ覆い板を設け、且つベース体における前記長孔の近傍に、長孔内にある支持杆の前部下端の位置に基づいて、上部枠体の高さ位置を段階的に認識し得る目盛りを設けたことを特徴とする請求項1記載の幼児用歩行器。
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