JP3675196B2 - モータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、低速で高トルクを発生し得るモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用の電動式パワーステアリングの動力源として直流モータが一般的に用いられている。ここで、該電動式パワーステアリングでは、低速で高いトルクが必要となるため、直流モータに減速機を取り付けて使用している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、減速機を用いると15%程度のパワー損出が発生するのに加えて、パワーステアリングのアシスト方向を切り替えるためモータを逆転させた際に、減速機においてバックラッシュが出て、振動がステアリング側へ伝わり易い。更に、当該減速機において、騒音が発生するという課題がある。
【0004】
係る減速機に伴う課題を解決するため、本発明者は、直流モータの代わりに低速で高トルクを発生し得るステッピングモータを用いることで、減速機を省略するとの着想を持った。しかしながら、ステッピングモータを駆動するためには、モータの回転角度を検出して励磁する必要があるため、回転角度検出用の高価なエンコーダが必要となる。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、回転角度の検出を行うことなく直流にて駆動し得るモータを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1のモータは、上記目的を達成するため、
ステータと、該ステータの回転磁界の1/N(Nは、ロータ歯数/極対数)の速度で回転するロータとからなり、前記ロータの回転角度に同期させて前記ステータの回転磁界の位置を切り替えるモータであって、
外部から直流の給電を受けると共に、前記ロータの回転速度のN倍で回転するブラシと、
該ブラシから受電し、ステータの巻線に給電を行い、前記ロータのN倍の速度で回転磁界を発生させるコンミテータと、を備えることを備えることを技術的特徴とする。
【0007】
また、請求項2のモータは、請求項1において、前記ブラシは、前記ロータ側に枢支されたギヤにより該ロータのN倍の速度で前記コンミテータと同心的に回転するブラシホルダに保持されることを技術的特徴とする。
【0008】
また、請求項3のモータは、請求項1又は2において、前記ロータのシャフトを支持するベアリングが、前記ブラシと対向するように配設されていることを技術的特徴とする。
【0009】
また、請求項4のモータは、永久磁石を内蔵するステータと、内蔵する巻線の回転磁界の1/N(Nは、ロータ歯数/極対数)の速度で回転するロータとからなり、前記ロータの回転角度に同期させて前記ステータの回転磁界の位置を切り替えるアウターマグネット型モータであって、
外部から直流の給電を受けると共に、前記ロータの回転速度のN倍で回転するブラシと、
該ブラシから受電し、ロータの巻線に給電を行い、前記ロータのN倍の速度の回転磁界を発生させるコンミテータと、を備えることを技術的特徴とする。
【0010】
請求項1のモータでは、ブラシが、外部から直流の給電を受け、ロータの回転速度のN倍で回転する。そして、コンミテータが、ブラシから受電し、ステータの巻線に給電して、ロータのN倍の速度の回転磁界を発生させる。このため、回転角度の検出を行うことなく、該モータに直流を印加し駆動することができる。
【0011】
請求項2のモータでは、ブラシがロータ側に枢支されたギヤにより該ロータのN倍の速度で回転するブラシホルダに保持される。
【0012】
請求項3のモータでは、ロータのシャフトを支持するベアリングが、ブラシと対向するように配設されているため、高速で回転するブラシを安定してコンミテータに接触させ得る。
【0013】
請求項4のモータでは、ブラシが、外部から直流の給電を受け、ロータの回転速度のN倍で回転する。そして、コンミテータが、ブラシから受電し、ロータの巻線に給電して、ロータのN倍の速度の回転磁界を発生させる。このため、回転角度の検出を行うことなく、該モータに直流を印加し駆動することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施形態に係るモータ(ステッピングモータ)について図を参照して説明する。図1は第1実施形態のステッピングモータ10の構成部品を示す斜視図であり、図2は、該ステッピングモータ10の縦断面図であり、図3は、図2に示すステッピングモータ10のA−A断面図である。
【0015】
該ステッピングモータ10は、ステータ30と、シャフト22に支持されたロータ20とからなる。ステータ30には、巻線34が収容されており、ロータ20は、永久磁石24と歯26の形成された円筒体28とからなる。図3に示すように、ステータ30に18個の歯36が配設され、ロータ20に21個の歯26が配設され、巻線34は6極(図示せず)に構成されている。ここで、ロータ歯数をR、ステータ歯数をS、極対数(極対数=磁極/2)をPとすると、S=R±Pの関係を成立させる必要があるため、この関係式を成立させるように歯26,36が形成されている。なお、ロータ20の回転速度は、回転磁界の回転速度のP/R(3/21=1/7)倍となる。
【0016】
ステッピングモータ10においては、ロータ20の回転角度に同期させてステータ30の回転磁界の位置を切り替え、ロータ20の回転数のR/P倍(本実施形態では7倍)の速度に回転磁界を設定する必要がある。本実施形態のステッピングモータは、ロータ20の回転角度に同期させ、且つ、ロータ20の回転数のR/P倍に回転磁界を設定するために、ロータ20の回転速度のR/P倍にブラシホルダ46を回転させ、ステータ30の巻線34にコンミテータ42を介して給電して、所望の回転磁界を発生させる。ここで、ブラシ44A、44Bをロータ20のR/P倍に回転させるため、ブラシ44A、44Bを保持するブラシホルダ46を、ロータ20の回転をR/P倍にするギヤ列60により回動させる。
【0017】
このブラシホルダ46をロータ20のR/P倍に回転させるためのギヤ列60を含むギヤ機構について、図1及び図2を参照して説明する。図2に示すようにロータ20に直結されたシャフト22に、フランジ56が取り付けられている。該フランジ56には、図1に示すように3つの通孔56aが穿設されている。そして、該3つの通孔56aには、3つのギヤ列60(図1中2台のみ示す)の軸60aがそれぞれ軸支されている。ここで、該ギヤ列60の小径ギヤ60cは、ハウジング80側に固定された内ギヤ54と噛合している。他方、ギヤ列60の大径ギヤ60bは、ブラシホルダ46を保持するボス付きフランジ50のギヤ52と噛合している。該ボス付きフランジ50は、ニードルベアリング58を介してシャフト22に対して回転可能に支持されている。ブラシホルダ46は、コンミテータ42に対して摺動可能にブラシ44A、44Bを保持する。コンミテータ42は、ステータ30の巻線34と電気的に接続されている。なお、ギヤ列60は、本実施形態では3組配設されているが、1つのギヤ列でブラシホルダ46を回転させることも可能である。
【0018】
該コンミテータ42は、断面がクランク状の保持部材82に保持されている。該保持部材82の内周には、シャフト22を支持するベアリング74が配設され、また、該シャフト22を支持する他方のベアリング72は、該ブラシ44A、44Bと反対側のハウジング80の端部に配設されている。
【0019】
外部からの直流給電線84A、84Bが、該保持部材82に形成されたスリップリング40A、40Bに接続されている。該スリップリング40Aは、副ブラシ48Aを介してブラシ44Aに接続されている。他方、スリップリング40Bは、副ブラシ48Bを介してブラシ44Bに接続されている。ここで、ブラシ44A、44Bは、一対のみを図中に示すが、二対以上備えることができる。
【0020】
ここで、上述したギヤ列60の小径ギヤ60cの歯数は、KP(K:定数、P:極対数=磁極/2(本実施形態では3))に形成されており、また、大径ギヤ60bの歯数は、KR(R:ロータ歯数(本実施形態では21))に形成されている。このため、ロータ20の回転に伴い、ギヤ列60は、該回転速度のR/P倍(本実施形態では7倍)にブラシホルダ46を回転させる。以上の構成における本実施形態のステッピングモータ10の動作について説明する。ステッピングモータ10のロータ20は次のように回転されシャフト22が回転される。外部から直流電流を、給電線84A、84B→スリップリング40A、40B→副ブラシ48A、48Bを介してブラシ44A、44Bに印加する。すると、ロータ20の転速度のR/P倍でブラシホルダ46が回転し、コンミテータ42を介してステータ30の巻線34にロータ20のR/P倍の速度の回転磁界が発生する。そして、図3に示すように、回転磁界により励磁されたステータ30の歯36に対向するように、ロータ20の歯26にトルクが発生し、回転磁界の回転に伴いロータ20にトルクが発生し続け、一定方向へ回転する。ここで、該ステッピングモータ10は、直流給電線84A、84Bによる直流の給電極性を逆転させることで、ロータ20の回転方向を逆にすることができる。
【0021】
本実施形態のステッピングモータ10では、上述したようにブラシ44A、44Bが、外部から直流の給電を受け、ギヤ列60によってロータ20の回転速度のR/P倍で回転する。そして、コンミテータ42が、ブラシ44A、44Bから受電し、ステータ30の巻線34に給電を行い、ロータ20のR/P倍の速度の回転磁界を発生させる。このため、回転角度検出用のエンコーダを用いることなく、該ステッピングモータに直流を印加し駆動することが可能になる。
【0022】
また、従来技術のように直流モータに減速機を接続する場合には、減速機により15%程度の損出が発生し、モータからの出力のうち利用可能な出力が低下したのに対して、本実施形態では、減速機を用いないためモータの出力が低下することがない。ここで、ギヤ列60を介してブラシ44A、44Bを回転させるが、この回転により発生する損出は僅かである。更に、減速機を用いないため、騒音が発生せず、また、回転方向を切り替えた際のバックラッシュも生じない。
【0023】
引き続き、第1実施形態の変形例について、図4を参照して説明する。この変形例は、図1〜図3を参照して上述した例とほぼ同様である。但し、この変形例では、ベアリング74が、ブラシ44A、44Bのシャフト22に対する垂線上に対向するように配設されている点で第1実施形態と異なっている。このため、シャフト22の回転に伴う振動が発生し難く、ロータのR/P倍の高速で回転するブラシ44A、44Bを安定してコンミテータ42に接触させることができる。
【0024】
引き続き、本発明の第2実施形態に係るステッピングモータ110について、図5を参照して説明する。上述した第1実施形態では、永久磁石24を備えるロータ20がシャフト22に固定されていたが、この第2実施形態では、ハウジング80側に固定されるステータ30側に永久磁石24を備える、いわゆるアウターマグネット型で構成されている。
【0025】
ステッピングモータ110においては、ロータの回転角度に同期させて回転磁界の位置を切り替え、更に、ロータ20の回転数のR/P倍(本実施形態では7倍)の速度に回転磁界を設定する必要がある。ロータ20の回転角度に同期させ、且つ、ロータ20の回転数のR/P倍に回転磁界を設定するために、ロータ20の回転速度のR/P倍にブラシ46を回転させ、ステータ30の巻線34にコンミテータ42を介して給電して、所望の回転磁界を発生させる。
【0026】
このブラシ44A、44Bをロータ20のR/P倍に回転させるためのギヤ列60を含むギヤ機構について説明する。ロータ20に直結されたシャフト22に、フランジ56が取り付けられている。該フランジ56には、3つのギヤ列60(図中1台のみ示す)がそれぞれ軸支されている。ここで、該ギヤ列60の小径ギヤ60cは、ハウジング80側に固定された内ギヤ54と噛合している。他方、ギヤ列60の大径ギヤ60bは、ブラシホルダ46を保持するボス付きフランジ50のギヤ52と噛合している。該ボス付きフランジ50は、ニードルベアリング58を介してシャフト22に対して回転可能に支持されている。ブラシホルダ46は、コンミテータ42に対して摺動可能にブラシ44A、44Bを保持する。コンミテータ42は、ロータ20側に取り付けられ、ロータ20の巻線90と電気的に接続されている。
【0027】
外部からの直流給電線84A、84Bが、保持部材82に形成されたスリップリング40A、40Bに接続されている。該スリップリング40Aは、副ブラシ48Aを介してブラシ44Aに接続されている。他方、スリップリング40Bは、副ブラシ48Bを介してブラシ44Bに接続されている。ここで、ブラシ44A、44Bは、一対のみを図中に示すが、二対以上備えることができる。
【0028】
ここで、上述したギヤ列60の小径ギヤ60cの歯数は、KP(K:定数、P:極対数=磁極/2)に形成されており、また、大径ギヤ60bの歯数は、KR(R:ロータ歯数)に形成されているため、ロータ20の回転に伴い、ギヤ列60は、該回転速度のR/P倍にブラシホルダ46を回転させる。以上の構成における第2実施形態のステッピングモータ110の動作について説明する。ステッピングモータ110のロータ20は次のように回転されシャフト22が回転される。外部から直流電流を、給電線84A、84B→スリップリング40A、40B→副ブラシ48A、48Bを介してブラシ44A、44Bに印加する。すると、ロータ20の転速度のR/P倍でブラシホルダ46が回転し、コンミテータ42を介してロータ20の巻線90にロータ20のR/P倍の速度の回転磁界が発生する。そして、第1実施形態とほぼ同様に、回転磁界により励磁されたロータ20の歯26が、ステータ30の歯36に対向するようにトルクが発生し、回転磁界の回転に伴いロータ20にトルクが発生し続け、一定方向へ回転する。ここで、該ステッピングモータ110は、直流給電線84A、84Bによる直流の給電極性を逆転させることで、ロータ20の回転方向を逆にすることができる。
【0029】
第2実施形態のステッピングモータ110では、上述したようにブラシ44A、44Bが、外部から直流の給電を受け、ロータ20の回転速度のR/P倍で回転する。そして、コンミテータ42が、ブラシ44A、44Bから受電し、ロータ20の巻線90に給電を行い、ロータ20のR/P倍の速度の回転磁界を発生させる。このため、回転角度検出用のエンコーダを用いることなく、該ステッピングモータに直流を印加し駆動することが可能になる。
【0030】
この第2実施形態においては、ハウジング80側に固定されるステータ30側に永久磁石24が備えるアウターマグネット型に構成されている。このため、ハウジング80側に冷却用フィンを配設することで、永久磁石24を効率的に冷却できるので、永久磁石として耐熱性の低い強磁性材料を用いることが可能になる。
【0031】
【発明の効果】
以上のように、請求項1のモータでは、ブラシが、外部から直流の給電を受けると共に、ロータの回転速度のN倍で回転する。そして、コンミテータが、ブラシから受電し、ステータの巻線に給電を行い、ロータのN倍の速度の回転磁界を発生させる。このため、回転角度を検出を行うことなく、該モータに直流を印加し駆動することができる。また、減速機を用いることなく低速で高トルクを発生させ得るため、減速機に伴う損出、騒音、バックラッシュ等の問題が生じない。
【0032】
請求項2のモータでは、ブラシがロータ側に枢支されたギヤにより該ロータのN倍の速度でコンミテータと同心的に回転するブラシホルダに保持されているため、ブラシをコンミテータと同心的に回転できるので、ブラシが回転してもブラシとコンミテータとの接触を確実に行える。
【0033】
請求項3のモータでは、シャフトを支持するベアリングが、ブラシと対向するように配設されているため、高速で回転するブラシを安定してコンミテータに接触させ得る。
【0034】
請求項4のモータでは、ブラシが、外部から直流の給電を受けると共に、ロータの回転速度のN倍で回転する。そして、コンミテータが、ブラシから受電し、ロータの巻線に給電を行い、ロータのN倍の速度の回転磁界を発生させる。このため、回転角度を検出を行うことなく、該モータに直流を印加し駆動することができる。また、外周のステータ側に永久磁石を備え、永久磁石を効率的に冷却できるので、永久磁石として耐熱性の低い強磁性材料を用いることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施態様に係るステッピングモータの構成部品を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態に係るステッピングモータの縦断面図である。
【図3】図2に示すステッピングモータのA−A断面図である。
【図4】本発明の第1実施態様の改変例に係るステッピングモータの縦断面図である。
【図5】本発明の第2実施態様に係るステッピングモータの縦断面図である。
【符号の説明】
10 ステッピングモータ
20 ロータ
22 シャフト
24 磁石
26 歯
30 ステータ
34 巻線
36 歯
40A、40B スリップリング
42 コンミテータ
44A、44B ブラシ
60 ギヤ列
Claims (4)
- ステータと、該ステータの回転磁界の1/N(Nは、ロータ歯数/極対数)の速度で回転するロータとからなり、前記ロータの回転角度に同期させて前記ステータの回転磁界の位置を切り替えるモータであって、
外部から直流の給電を受けると共に、前記ロータの回転速度のN倍で回転するブラシと、
該ブラシから受電し、ステータの巻線に給電を行い、前記ロータのN倍の速度で回転磁界を発生させるコンミテータと、を備えることを特徴とするモータ。 - 前記ブラシは、前記ロータ側に枢支されたギヤにより該ロータのN倍の速度で前記コンミテータと同心的に回転するブラシホルダに保持されることを特徴とする請求項1のモータ。
- 前記ロータのシャフトを支持するベアリングが、前記ブラシと対向するように配設されていることを特徴とする請求項1又は2のモータ。
- 永久磁石を内蔵するステータと、内蔵する巻線の回転磁界の1/N(Nは、ロータ歯数/極対数)の速度で回転するロータとからなり、前記ロータの回転角度に同期させて前記ステータの回転磁界の位置を切り替えるアウターマグネット型モータであって、
外部から直流の給電を受けると共に、前記ロータの回転速度のN倍で回転するブラシと、
該ブラシから受電し、ロータの巻線に給電を行い、前記ロータのN倍の速度の回転磁界を発生させるコンミテータと、を備えることを特徴とするモータ。
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JP29308898A JP3675196B2 (ja) | 1998-09-29 | 1998-09-29 | モータ |
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Family Applications (1)
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