JP3674896B2 - 気相薄膜形成装置及びそれを用いる気相薄膜形成法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、気相薄膜形成装置及びそれを用いる気相薄膜形成法に関し、より詳細には、シリコンウエハ等の基板表面上にCVD法やエピタキシャル法等により薄膜を形成するための改良された気相薄膜形成装置及びそれを用いた気相薄膜形成法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、枚葉式ウエハ処理装置はバッチ式装置に比べ多くの独特の特性を有しているため、半導体産業分野においてその使用が広がっている。
例えば、大口径化ウエハの処理に際しては、面内特性の均一な膜の形成のために、高速回転枚葉式気相薄膜形成装置が不可欠な存在となりつつある。
この高速回転枚葉式気相薄膜形成装置は、例えば図10に示すように、反応炉1上部に、炉1内に原料ガスやキャリアガスを供給する通常複数のガス供給口4と、ガスの流れを整える複数の孔が形成された整流板3(通常、多数の細孔を有するシーブプレート、又はワイヤメッシュプレート等から成る)が配置され、その下方に、ウエハ基体を載置した基体ホルダー13と、該基体ホルダー13を回転させるための回転軸を有する回転装置10と、基体ホルダー13に載置されたウエハ基体8を加熱する加熱用ヒータ9が配設され、反応炉1下部(通常底部近傍)に、前記回転軸を回転駆動させるモータ11と、反応炉内の未反応ガスを含む排ガスを排出する排気口6と、前記モ−タ11を制御する制御装置(図示せず)とから構成されている。
なお、図中2は、反応炉1の上部を閉塞すると共に、ガス供給路を構成する石英トッププレ−トであり、5は前記反応炉1の側壁を構成する石英ライナであり、7は前記反応炉1の基底を構成するベ−スプレ−トである。
【0003】
そして、この装置を使用して、例えばウエハ基体上に薄膜を気相成長させるには、まず複数のガス供給口4を介して、反応ガス、キャリアガス等を供給し、該ガスの運動量や圧力分布を均一化し、更に整流板3に形成した孔を通して均一な流速を有するガス流12をウエハ基体8上に供給し、ウエハ基体8上に薄膜を気相成長させる。
【0004】
したがって、この気相薄膜形成装置を使って、膜の全面にわたって電気特性等の物性の均一なCVD膜、エピタキシャル膜等の積層膜を得るには、炉のチェンバー内のガス流動を均一化させることが非常に重要である。
しかしながら、チェンバー内の有効部のガス流動を完全に均一化させることは非常に難しく、特に、大口径ウエハの取扱が可能な大容量炉の炉内ガス流動状態の完全な把握、及びその制御は現在においても、なお充分には達成されていない。
通常、ガスはチェンバーの上部から噴出流下し、最終的にはその底部から排ガスとして排出される。チェンバー上部からの噴出ガスは、ウエハに向かって流下しながら旋回状態で回転するウエハ基体の表面近傍に達し、該ウエハ基体表面上で、その外周方向に向きを変えて流れていく。
【0005】
この外周方向へのガス流は、高速回転するウエハ基体とそれを載置しているホルダーの上面の外周縁を越えてその延長上にあるチェンバー側壁面にぶつかり、方向を変えて、望ましくはそのまま底部の排気口に向けて流下する。
しかしながら、実際には、該チェンバー側壁面にぶつかったガス流は、往々にして上部方向に向けて逆流し、上方から流下するガス流と衝突して渦を形成したり、好ましくない乱流を発現させたりする。
この渦等のガス乱流が形成されると、膜の正常な成長を阻害するだけでなく、場合によっては、該雰囲気中で気相化学反応を起こしパーティクルを生成させたりすることもある。
【0006】
このような不都合を回避するための対策として、ガス流量を増大させたり、排気部でのガス圧を減少させる等の方法が提案されているが(例えば、特開平5−74719号公報、特開平5−90167号公報、特開平6−21604号公報、特開平7−50260号公報等)、このようなガス流動の制御方法では、膜形成に必要な原料ガスの消耗が非常に大きくなり、ガスの消費量増大によるコスト増や、ガス処理装置及び付帯装置等の大型化によるコスト増等を招来し、実用上問題がある。
また炉内圧を減少させる方法では、低圧部でのガス圧制御が困難であるという難点がある。
【0007】
上述した問題を解決するための他の改善策として、反応炉内の石英ライナーを段付き構造にし、その上部内径を下部内径より小さくすることにより全体流れの層流化を実現する気相成長装置の提案(特願平8ー354382号公報)、更に、最適構造を有する段付きライナーに関する提案等がなされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したガス流動の層流化(streamline flow )提案は、反応炉内ガス流の全体的な流動状態の改善に対しては有効であるが、特定の局所領域、例えば、ウエハ基体の周縁部近傍領域でのガス流の均質化には、必ずしも充分かつ有効な手段でないことが判った。
事実、従来のこの種の装置においては、ウエハ基体の外周縁部表面上に、特殊なガス流動を起こす局所領域の存在が認められる。
【0009】
ウエハ基体を保持するホルダーは、回転中においてもウエハ基体を安定的に保持できるためホルダー上面に、円盤状ウエハ基体に対し極僅かのクリアランスを持ってウエハ基体をはめ込めるように、例えば、図11に示したような、凹状座13aが設けられている(特開平5−275355号公報、特開平5−29230号公報参照)。
この凹状座13aは、高速回転時におけるウエハ基体8の飛び出し脱離等を防止し、安定的にウエハ基体8をホルダー13内に保持するために、ホルダー13の表面(座の側壁上端とホルダー上面との稜線部)がウエハ基体8表面より若干高くなるように構成されている。
これにより、回転するウエハ基体8の遠心力をホルダー13の段差側壁でうち消すと共にウエハ基体8のホルダー13からの飛び出しを防止している。
【0010】
しかし、ホルダー13上面とウエハ基体8の表面は同一平面にないため(ホルダーの方が高いため)、図11に示すように、ウエハ基体8の外周縁領域ではガス流動12に乱れが起こり、これにより、特に電気特性等に関し、形成されたウエハ基体8の表面膜層の膜面全体の均質性が失われてしまう。
【0011】
本発明は上記技術的課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的とするところは、大口径ウエハの取扱が可能な大容量炉であっても炉内ガス流動状態が全体として均質であることは勿論、上記した局部領域でのガス流の乱れの問題が解決され、結果として、ウエハ全面に均質な電気特性等の諸物性を有する高品質の薄膜を形成できる高性能な気相薄膜形成装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は本発明の装置を用いた気相薄膜形成法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためになされた本発明にかかる気相薄膜形成装置は、頂部に配置された反応ガス供給口と、底部近傍に配置された排気口とを有し、その内部上部、且つ供給口下部に配置されたガス整流板と、その下方に配置され、ウエハ基体載置用の収容座をその上面に有し且つ回転軸を中心に回転可能に形成されたウエハホルダーと、ウエハホルダーに収容されたウエハ基体を加熱する加熱用ヒーターとを備え、前記供給口より内部に反応ガスを供給し、ウエハ基体をホルダーと共に回転させながら、加熱下に、その表面に薄膜を気相成長させる反応炉からなる気相薄膜形成装置において、前記反応炉内のウエハホルダーの収容座が、ウエハ基体よりわずかに大きい直径を有し、ウエハ基体の厚さとほぼ同じ深さの側壁を有する凹型円筒形状に形成されていると共に、ウエハホルダーの上面上には該座の周縁に沿って少なくとも3個の突起部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
ここで、前記ウエハホルダーの収容座の深さと前記ウエハ基体の厚さとの差が±0.5mm以内であることが望ましく、また前記突起部の数が3個であり、第1突起部と他の2つの突起部はいずれも135度の中心角を形成するように各突起部が配置されることが望ましい。
また、前記突起部は、少なくとも隣接した2つの突起部により形成される中心角が90度の角度を有することが望ましく、また、前記突起部のうち1つの突起部は、シリコン単結晶ウエハのノッチに相対して配置され、他の突起部はノッチ部に対応するウエハホルダー上面上の点と他の突起部とにより形成される中心角が45度の整数倍になる位置に形成されるのが望ましい。
【0014】
また、上記目的を達成するためになされた本発明にかかる気相薄膜形成法は、前記請求項1乃至請求項5のいずれかに記載された気相薄膜形成装置を用いて、炉内上部供給口から整流板を経由して反応ガスをキャリアガスと共に流下させ、該整流板の下方に配設されたウエハホルダーの座内に載置されたウエハ基体を、加熱下にウエハホルダーと共に回転させながら、その表面に薄膜を気相させると共に未反応ガスを含む排ガスを底部近傍に設置された排気口から排出することを特徴とする。
【0015】
本発明は、従来の気相薄膜形成装置の問題点であった炉内局所領域でのガス流の乱れ、より具体的には、ホルダー上面とウエハ基体表面が同一平面にないため(ホルダーの方が高いため)に生ずるウエハ基体外周縁領域面上でのガス流の乱れを、ホルダー上面とウエハ基体表面とがほぼ同一平面となるように、ホルダーのウエハ基体載置座の深さをウエハ基体厚さとほぼ同一に形成することにより解消すると共に、このように形成することより生ずる弊害、即ち、該座の側壁深さをウエハ基体の厚さと同一にする(従来装置の座より側壁を低くする)ことにより、気相成長反応中に高速回転するウエハ基体が該座から飛び出したり、脱離したりする弊害を、座の側壁円周縁に沿って少なくとも3個の突起部を設けることにより解決したものである。
この突起部は、もし回転しているウエハ基体が、その回転による遠心力の作用でホルダーの座の側壁に当たり、その反力によって偶発的に歪み変形を生ずる等、何らかの原因で変形しホルダー座の側壁から外れても、ウエハ基体は側壁上端より高く設けられた前記突起部により保持され、ウエハ基体がホルダーから離脱するのを防止する。
【0016】
また、ホルダーの突起部は非常に小さく且つその数も少ないため、ウエハ基体表面の膜特性に重大な影響を与えるほど流動ガス気流を乱すことはない。
この突起部は、好ましくは、ウエハ結晶の転位のすべり系上の分解剪断応力を最小にするという観点から、例えば、突起部を3個設置する場合、第1突起部と他の突起部とが回転中心となす中心角がいずれも135度となるように配置する等、ウエハ基体がホルダーの突起部とある特定の方位関係を持つように配置される。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明は、炉内に配置されたウエハホルダーの構造に特徴を有する気相薄膜形成装置の発明であって、より具体的には、ウエハホルダーの上面に設けられたウエハ基体載置用収容座の側壁が特定の高さ(深さ)に形成されている点と、ウエハホルダーの上面上に該座の周縁に沿って複数(3個以上)の突起部が形成されている点とに特徴を有するものである。
【0018】
これにより、ウエハホルダー上面と収容座に載置されたウエハ基体表面との高さの相違に起因して生ずるウエハ基体外周縁近傍での局所的ガス流の乱れを最小限に抑制すると共に、ホルダー面をウエハ面に一致させる構造(公知装置のホルダーのウエハ収容座よりも側壁高さが低い)によって生ずる障害を、突起部を特定位置に設けることにより克服し、ウエハ基体のホルダー内での安定的保持を担保したものである。
【0019】
図1,2,3に基づいて、本発明のウエハホルダーの構造の一例を示す。
図1は、その斜視図であり、図2は図1に於ける線A−Aでの断面図であり、ガスの層流流れを実現した状態を表す。図3は、図1に於ける線B−Bでの断面図であり、本発明の突起部の態様を示す。
【0020】
図1,2から明らかなように、ウエハホルダー13の上面にはその回転軸に同心的に凹状円筒型のウエハ基体収容座13aが設けられ、その底面はこの図の例の場合、中心部に円形の貫通口13bが設けられ、ウエハ基体8はこの環状底面上に載置される。
この凹型円筒形状のウエハ基体収容座13aは、ウエハ基体8の収容脱離が容易にでき、しかも回転時の安定的定置が担保されるように、その直径が、ウエハ基体8の直径より僅かに大きく形成される(通常ウエハ基体の直径に対し1.0mm乃至2.0mm程度)。
本発明においては、図2からも明らかなように、座の側壁深さは、載置ウエハ基体8の厚さとほぼ同じ深さに設定される、即ち、収容座13aにウエハ基体8を挿入載置したときホルダー13上面とウエハ基体面がほぼ同一高さとなるように座13aの深さが設定される。
【0021】
本発明の場合、通常、座13aの深さとウエハ基体8の厚さとの差が±0.5mm以内、好ましくは±0.3mm以内、となるように座の深さを設定する。座13aの深さとウエハ基体8の厚さとの差が±0.5mmを越える場合には、ウエハ外周部表面上でガス流れの乱れが生じ、気相成長により形成された薄膜が不均一となるためである。
上記のように座13aの形状を構成することにより、ガス流12の層流化は、突起部14近傍の極限られた狭い領域を除き、ウエハ基体周縁部領域を含む全領域において達成される。
なお、ホルダー突起部14は非常に小さく、又その数も少ないのでそれによる気流の乱れが、ウエハ基体8の表面に形成される膜の特性、特にウエハ周縁部近傍の膜特性、に及ぼす影響は無視しうる程度に極小さい。
【0022】
本発明において、ウエハホルダー13上面の座13aの周縁に沿って設けられる突起部14は、ウエハ基体8が回転時の遠心力の作用で、座13aの側壁に当たり、反力を受け、それにより偶発的に歪み変形を生じる等により座13aの側壁上端(ホルダー上面)を越えて浮き上がった場合でも、この突起部14により保持され、回転したウエハ基体8がウエハホルダー13から飛び出し脱離するのを防ぐ作用をする。
この突起部14の大きさはウエハ基体8のサイズ、回転速度、装置構造等の要因を勘案して適宜定められるが、通常高さ1mm、幅10mm、長さ5mm程度の大きさに設定され、その形状は、必ずしも特定されるものではないが、前記ウエハ基体8の保持機能を損なわない限り、出来る限りガス流12を乱さない形状に形成されることが好ましい。
突起部14は、上記ウエハ基体8を安定保持するため少なくとも3個以上配置され、通常3個、4個、乃至8個設置される。
【0023】
また、これら3個以上の突起部14が夫々配置される位置関係(平面的)については、載置されるウエハ基体8との関係において、ウエハ結晶の転位のすべり系上の分解剪断応力を最小にし、高温でのウエハ単結晶中の欠陥発生の可能性を可及的に低減出来るように、ウエハ基体8と突起部とがある特定の方位関係を持つように配置されることが好ましく、例えば、本願出願人が先に提案した特開平8−181083号公報に開示されている理論に基き配置されるのが好ましい。すなわち、ウエハ基体8が結晶面(100)を有するシリコン単結晶ウエハである場合、突起部14は前記(100)シリコン単結晶ウエハに相対して図3に示したようなホルダー面上の位置(図4においては白丸点で示された位置)に配置されることが好ましい。
このウエハホルダー13の全体斜視図を図7に示す。
即ち、通常シリコン単結晶ウエハのノッチ15は結晶の[011]方向に形成されているため、突起部はノッチ15に相対して45度の角度の整数倍の中心角を有する8カ所(図4においては白丸点で示された位置)の位置に設置することにより分解剪断応力の極小化を図ることができる。なお、[011]の1の下線は負の成分を示し、本来、負の成分は本願の図4に示すように、数字の上にバ−を引くことによって表されるが、この明細書に置いては、数字の下に下線を引くことによって表している。
【0024】
もちろん、本発明においては、必ずしも前記8カ所全てに突起部14を設置する必要はなく、例えば、図1に示すように外周回転対称に位置する4個の突起部14を設置しても良い。突起部14の数は、隣接した2個の突起部14間の直線距離がウエハ基体8の直径より小さいという条件を満たすように定められ、この条件から最小の突起部の数は3となる。
【0025】
突起部14を最小の3個設置する場合、好ましくは、第1突起部と他の突起部とが回転中心となす中心角がいずれも45度の整数倍(3倍)である135度となるように配置する。
図8に基づいて突起部14を最小の3個設置する場合について説明する。図に示すように、このウエハホルダー13には3つの突起部14があり、突起部14aは他の隣接する突起部14b、突起部14cと135度の中心角を形成するように構成されている。なお、当然、突起部14bと突起部14cは90度の中心角を形成する。このウエハホルダー13に結晶方位(100)のシリコン単結晶ウエハ(ウエハ基体8)を載置する場合には、ウエハ基体8は、ウエハのノッチ15がいずれかの突起部と一致した位置に置かれるか、またはその位置から45度の整数倍に回転した位置に置かれる。
【0026】
本発明においては、外周回転対称に位置する4個の突起部14の設置が最も好ましい。
なお、本発明の気相薄膜形成装置を構成する反応炉には、上記ウエハホルダー構成部分を除き、それ自体公知の、所謂、縦型反応炉形式の炉を用いることができ、例えば、前記したような図10に示されているような反応炉を使用することができる。
【0027】
以上のように、本発明のこの気相薄膜形成装置を用いてウエハ基体8上に薄膜を気相成長により形成させるには、炉内上部供給口4から整流板を経由して反応ガスをキャリアガスと共に流下させ、整流板3の下方に位置するウエハホルダー13の収容座13a内に載置されたウエハ基体8を、加熱下にウエハホルダー13と共に回転させながら、その表面に薄膜を気相成長させると共に未反応ガスを含む排ガスを底部排気口6から排出する。
【0028】
なお、本発明のウエハホルダーの構造の具体的な寸法について、一例を図9に示す。なお、図9はウエハホルダーの断面図である。また図中の寸法の単位はmmである。更に、図において図示されていないが、突起部14の円周方向の長さは5mmである。
【0029】
【実施例】
図10に示すような気相薄膜形成装置にウエハホルダーとして図11に示した従来型のホルダー(ホルダー上の座の深さ:2.0mm、ウエハ基体厚さ:0.775mm)を装着したものを比較例1とし、また図1示したような本発明のホルダー(ホルダー上の座の深さ=ウエハ基体厚、突起部4個)を装着したものを実施例1とし、同様に、座の深さ=基体厚+0.3mm、突起部4個のホルダ−を装着したものを実施例2とし、更に、座の深さ=基体厚−0.3mm、突起部4個のホルダ−を装着したものを実施例3とした。
また、比較例2として、座の深さ=基体厚+0.7mmのホルダー(いずれも突起部4個)を装着したものを用い、比較例3として、座の深さ=基体厚−0.7mmの2種類のホルダー(いずれも突起部4個)を装着したものを用い、下記表1に示す処理条件下で夫々ウエハ基体上にシリコンのエピタキシャル薄膜を形成させた。なお、上記突起部は中心角90度をもって配置され、突起部は高さ1mm、幅10mmの矩形状に形成されものを用いた。
【0030】
【表1】
【0031】
実施例1〜3と比較例1〜3から得られた夫々のエピタキシャル薄膜の比抵抗を測定した評価結果を図5,6に線図として示した。
実施例1及び比較例1の結果を示した図5から明らかなように、本発明のホルダーを用いた装置により作製されたエピタキシャル膜は、ウエハの周縁部に至るまでほぼ全面にわたって均一な比抵抗値を示す。これに対し、従来のホルダーを用いた装置により作製されたエピタキシャル膜はウエハ周縁部中心から約70mm以上離れた周辺域で比抵抗値の上昇がみられ、比抵抗分布が均一でないことが判る。
また、実施例2、3及び比較例2、3のエピタキシャル薄膜の比抵抗を測定した評価結果を示す図6から明らかなように、ウエハ基体表面とホルダー上面の高さの差が大きい程、比抵抗値の面内分布の不均一性が増大することが認められた。
【0032】
【発明の効果】
上述した本発明のホルダーを装着してなる本発明の気相薄膜形成装置は、従来のこの種の装置では達成できなかったウエハ外周部表面上のガス流れの層流化が達成され、気相成長により形成された薄膜のウエハ全面にわたる電気特性等の諸物性の均質化が実現できる。
更に、ホルダーの表面の数カ所に突起部を設けることにより、回転したウエハ基体のホルダーからの飛び出しを完全に防止できる。
【0033】
更に、本発明の装置では、ホルダーの突起部はウエハの外周部の特定部位に当たるので、結晶格子欠陥の発生誘因となる応力ベクトル成分を最小限に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明にかかるホルダーの一例の構造を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1の線A−Aに沿った断面図でウエハ載置状態での該ホルダー面上のガス流れ挙動を示す図である。
【図3】図3は、図1の線B−Bに沿った断面図で、本発明の突起部を示す。
【図4】図4は、結晶面(100)を有するシリコン単結晶ウエハに適用する場合のホルダーの突起部配置を示す模式図である。
【図5】図5は、気相成長膜の面内抵抗値分布を示す線図である。
【図6】図6は、気相成長膜の面内抵抗値分布を示す線図である。
【図7】図4のホルダーを示す斜視図である。
【図8】図8は、本発明にかかるホルダーの他例の構造を示す斜視図である。
【図9】図9は、本発明にかかるホルダーの具体的寸法の一例を示した断面図である。
【図10】図10は、高速回転枚葉式気相薄膜形成装置の反応炉内構造を説明するための断面図である。
【図11】図11は、従来型ホルダー及びウエハ載置状態での該ホルダー面上のガス流れ挙動を示す説明図である。
【符号の説明】
1 反応炉
2 石英トッププレート
3 整流板
4 ガス供給口
5 石英ライナ
6 排気口
7 ベースプレート
8 ウエハ基体
9 ヒーター
10 回転装置
11 モーター
12 ガス流
13 ウエハホルダー
14 突起部
15 ノッチ
Claims (6)
- 頂部に配置された反応ガス供給口と、底部近傍に配置された排気口とを有し、その内部上部、且つ供給口下部に配置されたガス整流板と、その下方に配置され、ウエハ基体載置用の収容座をその上面に有し且つ回転軸を中心に回転可能に形成成れたウエハホルダーと、ウエハホルダーに収容されたウエハ基体を加熱する加熱用ヒーターとを備え、前記供給口より内部に反応ガスを供給し、ウエハ基体をホルダーと共に回転させながら、加熱下に、その表面に薄膜を気相成長させる反応炉からなる気相薄膜形成装置において、
前記反応炉内のウエハホルダーの収容座が、ウエハ基体よりわずかに大きい直径を有し、ウエハ基体の厚さとほぼ同じ深さの側壁を有する凹型円筒形状に形成されていると共に、ウエハホルダーの上面上には該座の周縁に沿って少なくとも3個の突起部が設けられていることを特徴とする気相薄膜形成装置。 - 前記ウエハホルダーの収容座の深さと前記ウエハ基体の厚さとの差が±0.5mm以内であることを特徴とする請求項1に記載された気相薄膜形成装置。
- 前記突起部の数が3個であり、第1突起部と他の2つの突起部はいずれも135度の中心角を形成するように各突起部が配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された気相薄膜形成装置。
- 前記突起部は、少なくとも隣接した2つの突起部により形成される中心角が90度の角度を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載された気相薄膜形成装置。
- 前記突起部のうち1つの突起部は、シリコン単結晶ウエハのノッチに相対して配置され、他の突起部はノッチ部に対応するウエハホルダー上面上の点と他の突起部とにより形成される中心角が45度の整数倍になる位置に形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された気相薄膜形成装置。
- 前記請求項1乃至請求項5のいずれかに記載された気相薄膜形成装置を用いて、炉内上部供給口から整流板を経由して反応ガスをキャリアガスと共に流下させ、該整流板の下方に配設されたウエハホルダーの座内に載置されたウエハ基体を、加熱下にウエハホルダーと共に回転させながら、その表面に薄膜を気相成長させると共に未反応ガスを含む排ガスを底部近傍に設置された排気口から排出することを特徴とする気相薄膜形成法。
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