JP3731844B2 - 気相薄膜成長装置及びそれを用いた気相薄膜成長方法 - Google Patents

気相薄膜成長装置及びそれを用いた気相薄膜成長方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気相薄膜成長装置及びそれを用いた気相薄膜成長方法に関し、より詳細には、シリコンウエハ等の基板表面上にCVD薄膜成長やエピタキシャル薄膜成長等により薄膜を形成するための改良された気相薄膜成長装置及びそれを用いた気相薄膜成長方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、枚葉式ウエハ処理装置はバッチ式装置に比べ多くの独特な特性を有しているため、半導体産業分野においてその使用が広がっている。
例えば、大口径化ウエハの処理に際しては、面内特性の均一な膜の形成のために、高速回転枚葉式気相薄膜成長装置が不可欠な存在となりつつある。
【0003】
この気相薄膜成長装置は、例えば図6に示すように、反応炉1の上部に、炉内に原料ガスやキャリアガスを供給する通常複数のガス導入管2と、ガスの流れを整える複数の孔を形成した整流板3が配置され、その下方に、ウエハ基体4を載置する基体ホルダー5と、該基体ホルダー5を回転させるための回転軸6と、前記ウエハ基体を加熱する加熱用ヒータ9とが配設され、反応炉1の下部(通常底部近傍)に、前記回転軸6を回転させるモータMと、反応炉内の未反応ガスを含む排ガスを排出する通常複数の排気口7と、排気口7に接続された排気管8とから構成されている。
このような装置を使用して例えばウエハ基体上に薄膜を気相成長させるには、まずガス導入管2を介して、反応ガス、キャリアガス等を供給し、該ガスの運動量や圧力分布を均一化し、更に整流板3に形成した孔を通して均一な流速を有するガス流を基体4上に供給し、基体4上に薄膜を気相成長させる。
【0004】
この高速回転枚葉式気相薄膜成長装置を使って、膜の全面にわたって電気特性等の物性の均一なCVD膜、エピタキシャル膜等の積層膜を得るには、炉のチャンバー内のガス流動を均一化させることが非常に重要である。
しかしながら、チャンバー内の有効部のガス流動を完全に均一化させることは非常に難しく、特に、大口径ウエハの取扱が可能な大容量炉の炉内ガス流動状態の完全な把握、及びその制御は現在においてもなお充分には達成されていない。
通常、ガスはチャンバー内でその上部から噴出流下し、最終的にはその底部から排ガスとして排出される。チャンバー上部からの噴出ガスは、ウエハ基体に向かって流下しながら旋回状態で回転するウエハ基体の表面近傍に達し、該ウエハ基体表面上で、その外周方向に向きを変えて流れていく。
【0005】
この外周方向へのガス流は、高速回転するウエハ基体の表面上を通過し、ウエハ基体を載置しているホルダーの上面の外周縁を越えてその延長上にあるチャンバー側壁面にぶつかり、方向を変えて、望ましくはそのままチャンバー側壁面とウエハ基体ホルダー側面との間の空間域を底部の排気口に向けて流下する。
しかしながら、実際には、該チャンバー側壁面にぶつかったガス流は、往々にして上部方向に向けて逆流し、上方から流下するガス流と衝突して渦を形成したり、好ましくない乱気流を発現させたりする。
この渦等のガス乱気流が形成されると、膜の正常な成長を阻害するだけでなく、場合によっては、該雰囲気中で気相化学反応を起こしパーティクルを生成させたりすることもある。
【0006】
このような不都合を回避するための対策として、ガス流量を増大させたり、排気部でのガス圧を減少させる等の方法が提案されている(例えば、特開平5−74719号公報、特開平5−90167号公報、特開平6−21604号公報、特開平7−50260号公報等)。
しかしながら前者のようなガス流動の制御方法では、膜形成に必要な原料ガスの消耗が非常に大きくなり、ガスの消費量増大によるコスト増や、ガス処理装置及び付帯装置等の大型化によるコスト増等を招来し、実用上問題がある。
また、炉内圧を減少させる方法では、低圧部でのガス圧制御が困難であるという難点がある。
更に、特開平7−50260号公報には、原料ガスやキャリアガスの反応炉内への導入方法を所定にすることにより、ガス運動量やガス圧を均一にして均一な流速で原料ガス等をウエハ基体上に供給し、膜厚の均一化を図る提案もなされている。
【0007】
しかしながら、本発明者等が知る限りにおいて、上記各種提案のいずれも未だ上述した炉チャンバー内の有効部のガス流動を完全に均一化させるという目的を達成するには不十分である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、上述した問題点を解決するため、その原因について鋭意探査した結果、上記した従来の気相薄膜成長装置においては、ウエハ基体ホルダー回転体側面から排気口へのガス流が特に周方向において均一化せず、ガス気流に乱れを生じ、これが結果的にウエハ基体が載置されているホルダー面上の気流に迄影響を及ぼし、最終的にはウエハ基体面上の薄膜の均一成長を阻害するに至ることを突き止めた。
また、上記ホルダー回転体側面から排気口へのガス気流の乱れは、炉の底部に設けられた排気口からガスが流出する際、排気口近傍とそれから若干離れた位置とではガス気流の流速、気流の流線方向が異なる等流れの態様を異にし、しかも、排気口近傍ではガスの流路径が急激に狭められることにより気流に乱れが生じ、これらの現象が相互作用してその上方の気流に影響を及ぼすため生ずることも判明した。
【0009】
すなわち、図7、図8に示すように、該チャンバー側壁面にぶつかったガス流は、必ずしも層流状態で均一に流下せず、往々にしてチャンバー側壁面と円筒型基体ホルダー5の側壁面の間に形成された空間域からその下方の排気口7が設けられているチャンバー底部域にかけての帯域で、特に周方向にガス流の乱れが発生する。このガス流の乱れが、その帯域の上部の気流に影響を与え、上方から流下するガス流と衝突して渦を形成したりして、好ましくない乱気流を発現させ、ウエハ基体表面上部のガス気流に迄影響を与えてこれを乱し、結果的に均質な薄膜の成長を阻害するという不都合が生じていることが判明した。
特に、図8に示すように、チャンバー底板部と排気口7との位置関係等に起因して生じるこの帯域のガス流の周方向における気流の乱れがウエハ基体のホルダー5上面にまで影響を及ぼし、該ホルダー面上のガス流が周方向に不均一となることが判明した。
【0010】
そこで、この不都合な現象の発現を防止するには、本願出願人らは、該ウエハ基体ホルダー回転体側面から排気口に至るガス気流移動帯の適当な位置にガス整流板を設置し、この帯域のガス流れを周方向に於いて均一化させることによりガス流の乱れを可及的に抑制できることを見出し、この知見に基き本発明を完成するに至った。
【0011】
上記したことから明らかなように、本発明の目的は、炉のチャンバー内の有効部のガス流動を全域にわたり完全に均一化させることができ、その結果、膜の全面にわたって電気特性等の物性の均一なCVD膜、エピタキシャル膜等の積層膜を得ることのできる改良された気相薄膜成長装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記気相薄膜成長装置を用いた気相薄膜成長方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためになされた本発明にかかる気相薄膜成長装置は、頂部に配置された反応ガス供給口と、底部あるいは底部近傍に配置された排気口と、その内部上部の供給口下部に配置され、反応ガスを整流する整流板と、その下方に配置され、ウエハ基体をその上面に載置すると共に、その上面周縁から下方に延びる側壁面とを有し、かつ回転軸を中心に回転可能に形成されたウエハホルダーと、前記ウエハホルダー上のウエハ基体を加熱する加熱用ヒーターとを備え、供給口より内部に反応ガスを供給し、ウエハ基体をホルダーと共に回転させながら、加熱下に、その表面に薄膜を気相成長させ、未反応ガスを含む排ガスを排気口から排出する反応炉からなる気相薄膜成長装置において、前記反応炉には、ウエハホルダー上面より下方であって、かつ排気口より上方に位置して、ガスを整流する整流板が所定の間隔を置いて2枚設けられていることを特徴とする。
【0013】
ここで、前記排ガス整流板は、盤面周方向に所定の間隔をもって均等に配列された複数の貫通開口を有しているのが望ましく、また前記排ガス整流板は、盤面周方向及び径方向に所定の間隔をもって均等に配列された複数の貫通開口を有しているのが好ましい。
また前記所定の間隔を置いて2枚配置された排ガス整流板の内、第1整流板はウエハホルダー上面から延びる側壁上部に、第2整流板は側壁下端部近傍にそれぞれ配設されているのが望ましい。
【0014】
上記目的を達成するためになされた本発明にかかる気相薄膜成長方法は、前記気相薄膜形成装置を用いて、炉内頂部供給口からの反応ガスを整流する整流板を経由して反応ガスをキャリアガスと共に流下させ、ウエハ基体ホルダー上面の座内に載置されたウエハ基体を加熱下に、ホルダーと共に回転させながら、その表面に薄膜を気相成長させると共に未反応ガスを含む排ガスを整流する整流板を経由して底部排気口から排出することを特徴とする。
【0015】
本発明は、炉内下部を流下する排ガス流が、通常炉底部乃至底部近傍に設けられている排気口より排出される際に、排気口に近い所とより遠い所とではガスの移動速度、流動方向が異なるために、特に周方向におけるガス流の均一性が損なわれること、及び、該排気口近傍ではガスの流路径が急激に狭められることにより渦等の気流の乱れが生ずること、及びこれらの現象が相互に作用しあってその上方のガス気流、即ち、炉チャンバーの側壁面とウエハ基体ホルダー側面との間の空間帯域を流下するガス気流に影響を及ぼし、特に周方向に気流乱れを生じさせること、そしてこの帯域のガス流の乱れが、更にウエハ基体基体面上のガス流の乱れを誘発し、結果的に、ウエハ基体上に形成される薄膜の均質な成長を阻害すること、等の事実関係を、研究実験の結果知得したことに基きなされたものである。
そして、この不都合な連鎖現象を断ち切り、面内物性の均一な良質薄膜を得るために、該気流帯域の所定位置に、貫通孔が周方向に均一に配置された整流板を設置し、これによりホルダー回転体側面から排気口へのガス気流の乱れがそれより上部に伝播しないようにしたものである。
【0016】
本発明は、構成的に比較的簡単であるにも関わらず、後記実施例を参照することにより明らかなように、極めて顕著な炉内ガス流均一化効果、及び結果としてのウエハ基体積層薄膜の面内物性均一化効果を奏する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を図1乃至図4に基づいて、より具体的に説明する。
なお、図1は、該帯域に整流板を設けた本発明にかかる気相薄膜成長装置の反応炉の概略を示す図であり、図2は本発明の気相薄膜成長装置のガス気流の流下状態を模式的に示した斜視図であり、図3は、図2の装置のガス気流の流下状態を上方から見た模式図(炉内上部)であり、図4は、図2の装置のガス気流の流下状態を上方から見た模式図(炉内底部)である。
【0018】
この図においては、排ガス整流板10は、ホルダー5円筒側面の上端部のすぐ下に位置する1枚(10A)と、該側面下端部近傍に位置するもう1枚(10B)の計2枚の整流板が設けられている。
この排ガス整流板10の作用により、そのガス流の流れ状態を模式的に示した図2,図3(上部整流板設置部),図4(底部)から容易に理解できるように、底部近傍で生じるガス流の乱れは上部第1整流板10Aの上部側には及ばず、従って、ホルダー5上のガス流が周方向に均一となる
【0019】
本発明で用いる、排ガス整流板10は、あまり多数枚設けることは、ガス流の圧損が増す等の不利益もあり、2枚設けるのが好ましい。
ガス整流板10は、ウエハ基体ホルダー5上面より下方で、かつ排気口より上方のガス流下帯域に設置され図1に示したようにホルダー5円筒側面の上端部のすぐ下に1枚と、該側面下端部近傍から排気口7の上部の間に位置してもう1枚が設けられることが好ましい。
本発明の排ガス整流板10には、図1、2に示されているように、盤面周方向及び径方向に所定の間隔をもって、均等に配列された複数の貫通開口10a、10bが設けられている。
【0020】
該貫通開口10a、10bは、流下するガス流に周方向の乱れが生じないように、整流板10A、10Bの外周縁近傍から中心部にかけて同心円状に少なくとも1列、盤面周方向に所定の間隔をもって均等に配列され、同一列内では、各開口はほぼ同一の有効開口径を有するほぼ同一な形状に形成される。
また、該貫通開口10a、10bは、それぞれ同心円状に複数列形成してもよく、貫通開口10a、10bは盤面周方向のみならず、盤面径周方向においても所定の間隔をもって均等に配列されるのが良い。
また、各列の開口10a、10bの配置は盤面の半径方向に引いた放射状線の線上に列の各開口10a、10bがそろうように配列して良く、又、千鳥状配置であっても良い。
更に、貫通開口10a、10bの大きさは、装置その他の条件により適宜設定されるが、通常有効径として3乃至15mm、有効開口率は、整流板10A、10Bの表面積に対し30乃至80%に設定される。
貫通開口10a、10bの形状は特に限定的でないが、一般にガス整流の見地から円形乃至楕円形が好ましい。
【0021】
排ガス整流板10を2枚設ける場合、第整流板10Aと、第整流板10Bは同一のものを用いても良いが、異なるものを用いても良く、この場合、上部の第1整流板10Aには、より開口径の大きいものを、下部の第2整流板10Bにはより開口径の小さいものを用いるのがガス流の乱れ抑制効果上からより好ましい。具体的には、第1整流板10Aの貫通開口10aの開口径は、3mm〜15mm、第2整流 板10Bの貫通開口10bの開口径は、3mm〜10mmが適している。
【0022】
本発明の気相薄膜成長装置を構成する反応炉には、上記排ガス整流板構成部分を除き、炉本体、ホルダー、その他の部分に関して、それ自体公知の、所謂、縦型反応炉形式の炉を用いることができる。
例えば、炉本体として、従来例として説明した図6に示されているような炉の上部から下部迄の胴部有効径が同一のほぼ円筒状のものを用いても良く、あるいは、図5に示したような炉の上部と下部とで有効直径が異なるタイプのものを使用しても良い。
すなわち、図5に示した気相薄膜成長装置の上部有効直径はD1 であり、下部有効直径は、D1 より大きなD3 である。このタイプの気相薄膜成長装置は、炉の上部下端部にガス導入口2が新たに設けられている点において、図6に示した気相薄膜成長装置と異なる。なお、図5において、図6と同一あるいは相当部材は、同一符号を付すこととし、その説明を省略する。
【0023】
本発明のこの気相薄膜成長装置を用いてウエハ基体上に薄膜を気相成長により形成させるには、炉内上部供給口から供給ガス整流板を経由して反応ガスをキャリアガスと共に、0.02乃至2.0m/sec程度の層流線速度で流下させ、整流板の下方に位置するウエハ基体ホルダーの凹状座内に載置されたウエハ基体を、800乃至1150℃の温度で、ホルダーと共に300乃至2000rpmの回転速度で回転させながら、その表面に薄膜を気相成長させ、未反応ガスを含む排ガスを本発明の排ガス整流板を経由して底部排気口から排出する。
【0024】
【実施例】
更に、本発明の理解を容易ならしめるため、以下の実施例に基づいて説明する。
[実施例1]
2枚の排ガス整流板を備えた図1に示す反応炉を用い、反応ガス供給口から反応ガス及びキャリアガス(反応ガス;SiH4 流量 0.3l/min、キャリアガス(H2 ガス)流量 30l/min、及びドーパントとしてB26 (濃度0.1ppm)含有H2 ガス0.01l/min)を供給し、気相成長温度1000℃、気相成長圧力40torr、ホルダー回転数2000rpmの操作条件下にシリコンウエハ基体上に薄膜を成長させた。
ここで用いた第整流板は、開口径10mmの貫通開口を径方向に2列、周方向に20個、総合計40個形成されている。また用いた第整流板は、開口径5mmの貫通開口を径方向に3列、周方向に30個、総合計90個形成されている。なお、第1、整流板は、共に板厚3mm、貫通開口は円形に形成されている。
そして、この第整流板を第整流板上面がホルダー円筒側面の上端部から10mm下になるように、また第整流板を第整流板下面が排気口上面より、30mm上になるように、それぞれ取り付けた。
そして、シリコンウエハ基体上に成長した薄膜の膜厚均一性、抵抗均一性、LPD(ウエハ基体表面レーザー散乱体)個数を測定した。
ここで、薄膜の膜厚均一性は、赤外干渉膜厚計により測定し、その最大厚さ(max )及び最小厚さ(min )を求め、薄膜の膜厚均一性を(max-min)/(max+min)×100として算出し、表1に示した。
また、抵抗均一性は、薄膜が形成されたウエハ基体の抵抗値をC−V法を用いて測定し、その最大値(max )及び最低値(min )を求め、ド−パント取込みによる抵抗値の均一性を(max-min)/(max+min)×100として算出し、表1に示した。
更に、LPD個数は、テンコール社製サーフスキャン6200を用いて、ウエハ基体1枚の上に存在する0.135μm以上のLPDの数を計測した。
以上得られた積層薄膜の評価結果を表1に示す。
【0025】
参考例1
実施例1において、下部排ガス整流板(第2整流板)を設置せず、1枚の排ガス整流板から成る反応炉を用いた以外は、実施例1と同様にして積層薄膜を得た。
この整流板を整流板下面が排気口上面より、30mm上になるように取り付けた。
そして、シリコンウエハ基体上に成長した薄膜の膜厚均一性、抵抗均一性、LPD個数を測定した。得られた積層薄膜の評価結果を表1に示す。
【0026】
[実施例3]
炉の上部と下部で内壁ライナー径が異る図5に示す構造の反応炉(排ガス整流板2枚設置)を用い、実施例1と同一反応条件下で、薄膜成長反応を実施した。
なお、ここで用いた反応炉は、ライナー(内壁)上部直径D1 とホルダー回転体直径D2 との比(D1 /D2 )が1.0であり、ライナー(内壁)下部直径D3 とライナー(内壁)上部直径D1 との比(D3 /D1 )が1.25であり、ライナー(内壁)下部直径D3 とホルダー回転体直径D2 との比(D3 /D2 )が1.25でり、ホルダー5の上部と、直径D1 のライナー上部の下端との距離Hが50mmである。
この第整流板を第整流板上面がホルダ−円筒側面の上端部から10mm下になるように、また第整流板を第整流板下面が排気口上面より、30mm上になるように、それぞれ取り付けた。
そして、シリコンウエハ基体上に成長した薄膜の膜厚均一性、抵抗均一性、LPD個数を測定した。得られた積層薄膜の評価結果を表1に示す。
【0027】
参考例2
実施例3において、下部排ガス整流板(第2整流板)を設置しなかった以外は実施例3と同様にして積層薄膜を得た。
そして、シリコンウエハ基体上に成長した薄膜の膜厚均一性、抵抗均一性、LPD個数を測定した。得られた積層薄膜の評価結果を表1に示す。
【0028】
[比較例1]
本発明の排ガス整流板を設けることなく、図6に示すような従来型の反応炉を用い、実施例1と同様の条件で薄膜成長反応を実施した。
そして、シリコンウエハ基体上に成長した薄膜の膜厚均一性、抵抗均一性、LPD個数を測定した。得られた積層薄膜の評価結果を表1に示す。
【0029】
[比較例2]
比較例1において、気相成長圧力を30torr、反応ガス(SiH4 )流量を2.0l/min、H2 ガス流量を200l/min、B26 (濃度0.1ppm)含有H2 ガス流量0.07l/minとした以外は比較例1と同様の条件で薄膜成長反応を実施した。
そして、シリコンウエハ基体上に成長した薄膜の膜厚均一性、抵抗均一性、LPD個数を測定した。得られた積層薄膜の評価結果を表1に示す。
【0030】
[比較例3]
排ガス整流板が設置されていない以外は実施例3で用いた反応炉と同じ構造の反応炉を用いて実施例3と同様の条件で薄膜成長反応を実施した。
そして、シリコンウエハ基体上に成長した薄膜の膜厚均一性、抵抗均一性、LPD個数を測定した。得られた積層薄膜の評価結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
Figure 0003731844
【0032】
上記結果から明らかなように、ガス整流板を配設した実施例1、3及び参考例1、2が、比較例1〜3に例に比べて、ウエハ基体上に成長した薄膜の膜厚均一性、抵抗均一性に優れ、またLPD個数が少ないことが認められた。また、実施例1、参考例1あるいは実施例3、参考例2を比べると、ガス整流板を2枚配設する方が、薄膜の膜厚均一性、抵抗均一性に優れ、またLPD個数が少ないことが認められた。
更に、実施例1、3あるいは参考例1、2とを比べると、図6に示した気相薄膜成長装置より、図5に示した様な炉の上部と下部とで有効直径が異なる気相薄膜成長装置の方が、薄膜の膜厚均一性、抵抗均一性に優れ、またLPD個数が少ないことが認められた。
【0033】
【発明の効果】
本発明の気相薄膜成長装置は、上述したように反応炉内の特定位置に均等に配列された貫通開口を有するガス整流板を配設した特定構成により、ウエハ基体ホルダー回転体側面から排気口へのガス流れが円周方向において均一化され、結果的に、ウエハ基体が載置されたホルダー上面のガス気流層が円周方向において均一な層流となり、ウエハ基体に形成される薄膜の面内均質化が達成出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明にかかる気相薄膜成長装置の概略斜視図である。
【図2】 図2は、本発明の気相薄膜成長装置のガス気流の流下状態を模式的に示した説明図(斜視図)である。
【図3】 図3は図2の装置のガス気流の流下状態を上方から見た模式図(炉内上部)である。
【図4】 図4は、図2の装置のガス気流の流下状態を上方から見た模式図(炉内底部)である。
【図5】 図5は、炉本体の形状の他の一例を示す概略断面図である。
【図6】 図6は、従来の気相薄膜成長装置の概略断面図である。
【図7】 図7は、従来の気相薄膜成長装置のガス気流の流下状態を模式的に示した説明図(斜視図)である。
【図8】 図8は、図7の装置のガス気流の流下状態を上方から見た模式図である。
【符号の説明】
1 反応炉
2 ガス導入管
3 整流板
4 ウエハ基体
5 ウエハ基体ホルダー
6 回転軸
排気
8 排気管
10 排ガス整流板

Claims (5)

  1. 頂部に配置された反応ガス供給口と、底部あるいは底部近傍に配置された排気口と、その内部上部の供給口下部に配置され、反応ガスを整流する整流板と、その下方に配置され、ウエハ基体をその上面に載置すると共に、その上面周縁から下方に延びる側壁面とを有し、かつ回転軸を中心に回転可能に形成されたウエハホルダーと、前記ウエハホルダー上のウエハ基体を加熱する加熱用ヒーターとを備え、供給口より内部に反応ガスを供給し、ウエハ基体をウエハホルダーと共に回転させながら、加熱下に、その表面に薄膜を気相成長させ、未反応ガスを含む排ガスを排気口から排出する反応炉からなる気相薄膜成長装置において、
    前記反応炉には、ウエハホルダー上面より下方であって、かつ排気口より上方に位置して、ガスを整流する整流板が所定の間隔を置いて2枚設けられていることを特徴とする気相薄膜成長装置。
  2. 前記排ガス整流板は、盤面周方向に所定の間隔をもって均等に配列された複数の貫通開口を有することを特徴とする請求項1に記載された気相薄膜成長装置。
  3. 前記排ガス整流板は、盤面周方向及び径方向に所定の間隔をもって均等に配列された複数の貫通開口を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載された気相薄膜成長装置。
  4. 前記所定の間隔を置いて2枚配置された排ガス整流板の内、第1整流板はウエハホルダー上面から延びる側壁上部に、第2整流板は側壁下端部近傍にそれぞれ配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された気相薄膜成長装置。
  5. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載された気相薄膜形成装置を用いて、炉内頂部供給口からの反応ガスを整流する整流板を経由して反応ガスをキャリアガスと共に流下させ、ウエハホルダー上面の座内に載置されたウエハ基体を加熱下に、ウエハホルダーと共に回転させながら、その表面に薄膜を気相成長させると共に未反応ガスを含む排ガスを整流する整流板を経由して底部排気口から排出することを特徴とする気相薄膜成長方法。
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