JP5315863B2 - 気相処理装置、気相処理方法および基板 - Google Patents

気相処理装置、気相処理方法および基板 Download PDF

Info

Publication number
JP5315863B2
JP5315863B2 JP2008221600A JP2008221600A JP5315863B2 JP 5315863 B2 JP5315863 B2 JP 5315863B2 JP 2008221600 A JP2008221600 A JP 2008221600A JP 2008221600 A JP2008221600 A JP 2008221600A JP 5315863 B2 JP5315863 B2 JP 5315863B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas
processing chamber
processing
reaction gas
susceptor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008221600A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009170868A (ja
Inventor
英良 高須賀
敏行 倉本
登志雄 上田
昌紀 上野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority to JP2008221600A priority Critical patent/JP5315863B2/ja
Priority to US12/330,904 priority patent/US8628616B2/en
Publication of JP2009170868A publication Critical patent/JP2009170868A/ja
Priority to US13/231,446 priority patent/US8349403B2/en
Priority to US13/270,891 priority patent/US8349083B2/en
Priority to US13/716,886 priority patent/US20130108788A1/en
Application granted granted Critical
Publication of JP5315863B2 publication Critical patent/JP5315863B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
  • Chemical Vapour Deposition (AREA)

Description

この発明は、気相処理装置、気相処理方法および基板に関し、より特定的には、処理表面の欠陥を低減し、かつ、処理の均一性を向上させることが可能な気相処理装置、気相処理方法および基板に関する。
従来、基板などの処理対象物の表面に膜を形成するといった処理を行なうための気相処理装置が知られている(たとえば、特開2002−371361号公報(以下、特許文献1と呼ぶ)、特開2006−13326号公報(以下、特許文献2と呼ぶ)参照)。特許文献1では、処理対象物としての基板表面に効率的に膜を気相成長させるため、原料ガスを基板表面に押圧するための押圧ガスを基板と対向する処理室壁部(上壁)から供給している。この押圧ガスの供給部においては、押圧ガスの供給方向を斜め下方向や水平方向に調整するため、ノズルのような器具を用いている。また、特許文献2でも、上述した押圧ガスに対応する整流ガスを処理室の上壁から処理室内部へ供給している。また、当該整流ガスの供給方向を斜め下方向へ調整するため、ノズルを用いている。
特開2002−371361号公報 特開2006−13326号公報
上述した従来の気相処理装置では、以下のような問題があった。すなわち、複数のノズルから押圧ガス(整流ガス)が供給されているが、これらのガスは処理室の壁部(上壁)を均一に覆うようなガス層を形成しない場合があった。このようなガス層が形成されない場合、原料ガスの一部が上壁に到達し、上壁に原料ガスに起因する堆積物が付着する場合があった。このような堆積物が上壁(壁部)から剥がれて破片となると、当該破片が処理対象物の表面に付着して、多数の欠陥を形成することがあった。
この発明は、上記のような課題を解決するために成されたものであり、この発明の目的は、処理表面での欠陥の発生が少ない処理を行なうことが可能な気相処理装置および気相処理方法を提供することである。
また、この発明のもう一つの目的は、上記気相処理方法を用いることで、均一性などに優れた処理を施された高品質の基板を提供することである。
この発明に従った気相処理装置は、反応ガスを流通させる処理室と、ガス導入部と、整流板とを備える。ガス導入部は、処理室の壁部において、反応ガスの流れる方向に沿って複数形成されている。整流板は、処理室の内部において、壁部の表面と平行に延びるとともにガス導入部を覆うように形成される。整流板は、ガス導入部から処理室の内部に供給されるガスを、反応ガスの流れる方向に沿った方向に流れるように案内する。整流板は、ガス導入部が形成された処理室の壁部において、反応ガスの流れる方向に対して交差する方向である幅方向に延びるように形成され、かつ、幅方向における長さが、処理室の幅方向における長さと同じになっている。
このようにすれば、整流板に案内されたガス(たとえばガス導入部が形成された壁部の表面(壁面)と整流板との間から噴出したガス)が、処理室の壁部表面にガス層を形成する。そして、このガス層が、処理室の壁部表面(たとえば処理対象物と対向する壁部表面)に反応ガスが到達する可能性を低減させる。この結果、壁部表面における反応ガスに起因する堆積物の堆積量を減少させることができる。このため、当該堆積物が壁部表面から剥がれることで形成される破片などの異物が処理室内部を浮遊し、処理対象物表面に付着する可能性を低減できる。そのため、当該異物の付着に起因する処理品質の低下を抑制できる。
また、幅方向に延在する整流板を用いるので、ガス導入部の数を極端に多くしなくても均一なガス層を形成することができる。
また、上記のような良好な(均一な)ガス層を壁部表面に形成すると、反応ガスの流れる方向における下流での反応ガスの流速増加の効果が著しい。このため、下流での処理速度(たとえば成膜処理であれば膜の成長速度)を増加することが出来る。ここで、基板支持台(サセプタ)を回転することによって処理対象物の一例である基板上の処理を均一化する(たとえば成膜処理を行なう場合には膜厚を均一化する)場合、下流での処理速度(たとえば膜の成長速度)の上昇が足りない場合には、サセプタの回転のみでは均一化が十分に出来ないことがある。しかし、本発明の気相処理装置を用いれば、下流での処理速度を増加し、基板上での処理の均一性(たとえば形成される膜の厚みや膜質の均一性)を確保することが可能になる。
この発明に従った気相処理方法は、上記気相処理装置を用いた気相処理方法であって、処理室の内部に処理対象物を配置する工程と、処理室の内部に反応ガスを供給して処理対象物に対する処理を行なう工程とを備える。処理を行なう工程では、処理対象物と対向する壁部の表面に沿って、反応ガスとは別に処理室に供給されたガスが流通する。反応ガスの流れる方向に対して交差する方向である幅方向におけるガスの流速分布は均一である。
ここで、ガスの流速分布が均一とは、幅方向におけるガスの流速のばらつきが、幅方向における平均の流速に対して10%以内であることを意味する。また、具体的な測定方法としては、幅方向において5点の測定点について流速を測定し、その結果得られたデータから平均値を算出するとともに、得られた平均値と各データとの差の絶対値を平均値で割った値の百分率が10%以下であれば、流速分布が均一であると判断する。
このようにすれば、壁部の表面に沿って流れるガスが当該壁部表面にガス層を形成する。そして、このガス層が、処理室の壁部表面(たとえば処理対象物と対向する壁部表面)に反応ガスが到達する可能性を低減させる。この結果、処理を行なう工程において、壁部表面にける反応ガスに起因する堆積物の堆積量を減少させることができる。このため、当該堆積物が壁部表面から剥がれることで形成される破片などの異物が処理室内部を浮遊し、処理対象物表面に付着する可能性を低減できる。そのため、当該異物の付着に起因する処理品質の低下を抑制できる。
また、上記のような良好な(均一な)ガス層を壁部表面に形成すると、反応ガスの流れる方向における下流での反応ガスの流速増加の効果が著しい。このため、下流での処理速度(たとえば成膜処理であれば膜の成長速度)を増加することが出来る。そのため、回転式のサセプタなどを用いた場合にも、基板上での処理の均一性(たとえば形成される膜の厚みや膜質の均一性)を確保することが可能になる。
この発明に従った基板は、上記気相処理方法を用いて製造される。このようにすれば、基板に対して、均一な処理を行なうことになるので、基板表面層(たとえば基板表面に形成された膜)の品質が良好な基板を得ることができる。
上述のように、本発明によれば、処理の均一性といった処理品質を向上させることができ、結果的に優れた品質の基板を得ることができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
(実施の形態1)
図1は、本発明に従った気相処理装置の実施の形態1を示す断面模式図である。図2は、図1に示した気相処理装置の処理室の上壁をサセプタ側から見た模式図である。図3は、図2の線分III−IIIにおける部分断面模式図である。図3は、図1に示した気相処理装置の処理室の上壁に形成されたガス供給口を説明するための模式図である。図1〜図3を参照して、本発明による気相処理装置の実施の形態1を説明する。
図1〜図3を参照して、本発明による気相処理装置1は、気相成長装置であって、処理室4と、処理室4の底壁の開口部7に設置されたサセプタ2と、処理室4の上壁6に形成された複数のガス供給口13と、ガス供給口13の出口側に設置された整流板20と、反応ガス供給部材9と、ガス排気部材10と、パージガスをガス供給口13に供給するためのガス供給部17とを備える。処理室4は、矢印11、12に示す反応ガスの流れる方向に対して垂直な方向における断面形状が矩形状の筒体である。
処理室4の底壁5には、平面形状が円形状の開口部7が形成されている。この開口部7の内部に、サセプタ2が配置される。サセプタ2の平面形状も円形状である。サセプタ2の上部表面は処理対象物である基板8を搭載する基板搭載面になっている。また、サセプタ2の上記基板搭載面と反対側の面である裏面の中央部には回転軸3が接続されている。回転軸3は図示しないモータなどの駆動源に接続されている。サセプタ2は、上述した駆動源からの動力が回転軸3を介して伝えられることにより、回転軸3が接続された中心部を中心として回転可能になっている。また、サセプタ2の裏面側には、サセプタ2を介して基板8を加熱するためのヒータ16が設置されている。
処理室4の上壁6には、矢印11、12に示す反応ガスの流れる方向に沿って複数のガス供給口13が形成されている。また、このガス供給口は、図2に示すように上述した反応ガスの流れる方向に対して交差する方向である幅方向(具体的には反応ガスの流れる方向に対して垂直な方向)に沿って、間隔(ピッチP)を隔てて複数並んだ状態で形成されている。すなわち、複数のガス供給口13は、処理室4の上壁6にマトリクス状に整列した状態で形成されている。そして、ガス供給口13の処理室4内部側の出口を覆うように整流板20が形成されている。整流板20は、図2に示すように処理室4の幅方向に沿って延在するように形成されている。図3に示すように、整流板20は、反応ガスの流れる方向におけるガス供給口13の上流側において上壁6に接続され、当該接続部からガス供給口13の下流側まで上壁6と間隔を隔てて延びるように(上壁6の表面と平行に延びるように)形成されている。また、異なる観点から言えば、整流板20は、処理室4の幅方向に並ぶ複数のガス供給口13の上流側において上壁6に接続されている。整流板20と上壁6との接続部は、幅方向に並ぶ複数のガス供給口13の上流側において、幅方向に延びるように配置されている。
また、図3に示すように、ガス供給口13の処理室4の内部側には、溝21が形成されている。この溝21は、図2および図3に示すように、(反応ガスの流れる方向において)ガス供給口13の直径よりも広い幅を有するとともに、処理室4の幅方向に沿って延在するように形成されている。すなわち、この溝21は、ガス供給口13から供給されるパージガスを一旦蓄えるバッファ室としての機能を有している。この溝21の高さMは、整流板20と処理室4の上壁6の間の距離Hよりも大きくなっている。また、ガス供給口13の端部から整流板20の先端部までの距離Lと、上述した整流板20と上壁6との間の距離Hと、図2に示す隣接したガス供給口13の間の距離であるピッチPとについて、L/PH≧20という関係を満足することが好ましい。なお、ここで長さL、距離H、ピッチPのそれぞれの単位はミリメートル(mm)とする。
また、整流板20の先端部25は、単純な矩形状であってもよいが、図3に示すように楔型の断面形状を有するようにしてもよい。また、この先端部25の角度は90°以下とすることが好ましい。また、この先端部25において鋭角となっている角部の位置は、図3に示すように整流板20の厚み方向のほぼ中央部に位置するようにしてもよいが、他の任意の場所に先端部が位置するようにしてもよい。
ガス供給口13のそれぞれには、ガス供給部17からパージガスが供給される。ガス供給部17は、それぞれのガス供給口13について独立して流量を制御したパージガスを供給するようにしてもよい。具体的には、それぞれのガス供給口13に繋がる配管に、それぞれ流量制御装置などを設置してもよい。また、複数のガス供給口13を2つまたは3つ以上の複数のグループに分け、各グループ毎に共通する配管を接続し、当該配管に流量制御装置を設置することで、各グループ毎に流量を異ならせるようにしてもよい。また、処理室4の幅方向に並ぶ複数のガス供給口13について、独立してパージガスの流量を制御するようにしてもよいし、当該幅方向に並ぶ複数のガス供給口13を上述のように複数のグループに分け、各グループ毎にパージガスの流量を異ならせてもよい。この場合も、幅方向に並ぶ複数のガス供給口13にそれぞれ繋がる配管、または各グループ毎に共用される配管に流量制御装置を設置することで、パージガスの流量を独立して制御することが出来る。
処理室4に反応ガスを供給する反応ガス供給部材9からは、矢印11に示すように反応ガスが処理室4の内部へと供給される。このとき、複数種類の反応ガスを処理室4の内部に供給するため、処理室4への反応ガスの供給部におけるガス流路を厚み方向に仕切るための仕切り板18、19が設置されている。この2枚の仕切り板18、19によって、処理室4の内部へと供給されるガスの流路は入口側で厚み方向の3層に分離された状態になっている。このようにして供給された反応ガスは処理室4の内部での処理に用いられた後、ガス排気部材10によって矢印12に示すように処理室4の内部から排気される。
次に、図1〜図3に示した気相処理装置を用いた気相処理方法を説明する。図4は、図1に示した気相処理装置を用いて実施される気相処理方法を説明するためのフローチャートである。図4を参照して、図1に示した本発明による気相処理装置を用いた気相処理方法は、気相成長方法であって、まず準備工程(S10)を実施する。この準備工程(S10)においては、サセプタ2上に処理対象物である基板8を搭載する。
次に、図4に示すように処理工程(S20)を実施する。具体的には、基板8が内部に配置された処理室4の内部を所定の圧力にまで減圧する。このとき、ガス排気部材10を用いて、処理室4の内部の雰囲気ガスを排気することにより処理室4の内部の圧力を調整する。そして、ヒータ16によってサセプタ2および基板8を加熱し、所定の温度条件とする。この状態で、反応ガス供給部材9から図1の矢印11に示すように処理室4の内部に反応ガスを供給する。また、このときガス供給部17からガス供給口13を介して、処理室4の上壁6側から処理室4へとパージガスを供給する。
たとえば、基板8としてGaN基板を用い、当該基板8上にGaN膜をエピタキシャル成長させる場合、反応ガス供給部材9から供給される反応ガスとしては、アンモニアガス、トリメチルガリウム(TMG)ガスなどを用いることができる。たとえば、処理室4の底壁5に最も近い位置の反応ガス供給部(仕切り板19の下側)からアンモニアガスを供給する。そして、処理室4の上流側における高さ方向の中央に位置する反応ガス供給部(仕切り板18と仕切り板19の間)からは有機金属であるトリメチルガリウム(TMG)とキャリアガス(水素ガス)とを供給する。そして、処理室4の上流側において、高さ方向の最も上方の反応ガス供給部(仕切り板18の上側)からは、キャリアガス(窒素ガス)を供給する。
また、このとき、ガス供給口13に流すパージガスとしては上述した反応ガス供給部材9から供給されるいずれかのガス(たとえば窒素ガスやアンモニアガス、またはそれらの混合ガス)を用いることができる。
この結果、基板8の表面上に所定の膜が形成される。この結果得られた基板は図5に示すように、基板8の表面上にエピタキシャル層48が形成されたエピタキシャル層付き基板49である。図5は、図4に示した気相処理方法を用いて形成されたエピタキシャル層付き基板を示す模式図である。
ここで、本実施例の処理を施されたエピタキシャル膜付き基板49は光学顕微鏡観察により見られる直径5μm以上の欠陥の表面密度が1cm−2以下であった。また同時に、ガス供給口13からのパージガスの流量を最適化した場合のエピタキシャル層48の均一性を示す指標(エピタキシャル層48の厚みの最大値と最小値の差をそれらの中間値で割った値)は1%以下であった。なお、上述した指標を算出するためのエピタキシャル層48の厚みのデータは、たとえば光干渉法やX線回折法を用いて得ることができる。具体的には、エピタキシャル層48が形成された基板全面について、光干渉法により1mmピッチでエピタキシャル層48の厚みを測定し、基板全面についての当該測定データから厚みの最大値および最小値、さらにそれらの中間値を算出する。そして、得られたデータから、上記指標の値を算出することができる。
(実施の形態2)
図6は、本発明による気相処理装置の実施の形態2を示す模式図である。図7は、図6の線分VII−VIIにおける部分断面模式図である。図6および図7を参照して、本発明による気相処理装置の実施の形態2を説明する。なお、図6は図2に対応し、図7は図3に対応する。
図6および図7に示すように、本発明による気相処理装置の実施の形態2は、基本的には図1〜図3に示した気相処理装置1と同様の構造を備えるが、処理室4(図1参照)の上壁6に形成されているパージガスを供給するための構造が異なる。すなわち、図6および図7に示した気相処理装置では、図1などに示す平面形状が円形状のガス供給口13ではなく、上壁6において幅方向に延在するようにガス供給スリット23が形成されている点が図1〜図3に示した気相処理装置と異なっている。このような構造とすれば、処理室4の幅方向におけるパージガスの供給流量をより均一化することが可能になる。
なお、ガス供給スリット23の下端(整流板20側)に、図3に示したような溝を形成してもよい。当該溝は、たとえば反応ガスの流れる方向において、ガス供給スリット23の幅より広い幅を有するようにしてもよい。この場合、当該溝がバッファ室としての役割を果たすことにより、パージガスの流速の均一性をより向上させることができる。
(実施の形態3)
図8は、本発明による気相処理装置の実施の形態3を示す断面模式図である。図8を参照して、本発明による気相処理装置の実施の形態3を説明する。なお、図8は図1に対応する。
図8に示した気相処理装置は1、基本的には図1〜図3に示した気相処理装置1と同様の構造を備えるが、処理室4の上壁6が、反応ガスの流れる方向(供給方向)を示す矢印11、12に沿った方向における上流側から下流側に向けて底壁5に近づくように傾斜して配置されている点が異なる。すなわち、処理室4の内部の高さは、反応ガスの供給方向における上流側から下流側に向けて、特にサセプタ2と対向する領域においては徐々に小さくなるようになっている。このようにすれば、図1〜図3に示した気相処理装置による効果に加えて、ガス供給口13から供給されるパージガスによって反応ガス供給部材9から供給される反応ガスを基板8側へと確実に押圧することになる。このため、基板8の表面における成膜処理などの反応の均一性や成膜速度などを向上させることができる。
図9〜図11は、図8に示した気相処理装置における整流板の先端部の形状の変形例を示す断面模式図である。図9〜図11を参照して、図8に示した気相処理装置1における整流板20の先端部25の変形例を説明する。
図9に示す整流板20の先端部25は、断面形状が半円状になっている。また、図10に示すように、整流板20の先端部25は、図示しない処理室4の上壁6(図8参照)側に向けて傾斜した端面を有する形状(すなわち、先端部25の端面の位置が整流板20の先端側に向かうにつれて上壁6(図8参照)側に徐々に近づくような形状)としてもよい。また、図11に示すように先端部25の端面が、上述した上壁6(図8参照)から徐々に離れるように傾斜していてもよい。これらの整流板20の先端部25の断面形状は、パージガスの流量や反応ガスの流量などに応じて適宜選択することができる。
(実施の形態4)
図12は、本発明による気相処理装置の実施の形態4を示す断面模式図である。図12を参照して、本発明による気相処理装置の実施の形態4を説明する。なお、図12は図1に対応する。
図12を参照して、気相処理装置1は、基本的には図1〜図3に示した気相処理装置1と同様の構造を備えるが、処理室4の上壁6に突出部30が形成されている点が異なる。すなわち、処理室4の上壁6においては、ほぼサセプタ2の上流側端部31と対向する位置に突出部30が形成されている。当該突出部30は、処理室4の上壁6において突出部30より上流側の領域における上壁6の表面から、高さHだけ底壁5に突出している。また、反応ガスの流れる方向(供給方向)において、突出部30は幅Wを有している。上記高さHおよび幅Wは任意に決定することができる。また、突出部30のピーク部(突出部30のうち最も底壁5に近くなっている部分)の位置は、反応ガスの供給方向においてサセプタ2の上流側端部31と重なる位置、あるいは当該上流側端部31より上流側に位置することが好ましい。突出部30には、上壁6の他の部分と同様にガス供給口13が形成されている。
また、突出部30は、反応ガスの供給方向に交差する方向(幅方向)に延在するように形成されている。当該突出部30は、上記幅方向に直線状に延びるように形成されていてもよいし、たとえばサセプタ2の外周に沿って円弧状に延びるように形成されていてもよい。また、突出部30の下流側の端部は、サセプタ2の中央部32より上流側に位置することが好ましい。
また、反応ガスの流れる方向に沿った方向における突出部30の断面形状の外形(最外周部を仮想線で繋ぐことにより形成される形状)は、半円状など表面が曲線状となっていることが好ましい。この場合、ほぼ層流状態で流れている反応ガスの流れを突出部30により乱す程度を少なくし、より効果的に反応ガスを基板8側へ向かわせることができる。
このような構成を採用することにより、図1〜図3に示した気相成長装置1と同様の効果を得られるとともに、サセプタ2の上流側において突出部30に沿ってパージガスや反応ガスが流れることになるので、サセプタ2上に保持された基板8の表面に、サセプタ2の上流側において十分な反応ガスを供給することができる。
上述した図12に示す気相処理装置1を用いた気相処理方法は、基本的に図1〜図3に示した気相処理装置1を用いた気相処理方法と同様である。ただし、図4に示した処理工程(S20)に対応する工程では、基板8と対向する壁部である上壁6と対向する他の壁部である底壁5と、上壁6との間の距離について、反応ガスの流れる方向においてサセプタ2の上流側端部31における距離が反応ガスの流れる方向においてサセプタ2の中央部32における上記距離より小さくなっているので、そこでの反応ガスの底壁へ向かう拡散が促進され、サセプタ2の中央部32より上流側において、基板に対する処理を促進できる。具体的には、気相処理としてたとえばInGaN膜の成膜処理を行なう場合、基板8上に成膜されるInGaNの成膜速度やIn組成を向上させることができる。
なお、上述した実施の形態では、気相処理装置1の例として気相成長装置を用いて説明したが、本発明の気相処理装置のガス供給口13、溝21、ガス供給スリット23や整流板20といった構成は、ドライエッチング装置など他の気相処理装置に適用してもよい。また、図9〜図11に示した整流板の先端部の形状の変形例は、上述した図1〜図3、図6、図7および図12に示した気相成長装置1に適用してもよい。また、上壁6の突出部30にガス供給口13、整流板20などを設けていない場合でも基板に対する処理を促進できる。
上述した実施の形態と一部重複する部分もあるが、本発明の特徴的な構成を列挙する。この発明に従った気相処理装置1は、反応ガスを流通させる処理室4と、ガス導入部(ガス供給口13、溝21、ガス供給スリット23)と、整流板20とを備える。ガス導入部は、処理室4の壁部(上壁6)において、反応ガスの流れる方向(矢印11、12に示す方向)に沿って複数形成されている。整流板20は、処理室4の内部においてガス導入部を覆うように形成される。整流板20は、ガス導入部から処理室の内部に供給されるガス(パージガス)を、反応ガスの流れる方向に沿った方向に流れるように案内する。整流板20は、ガス導入部が形成された処理室4の上壁6において、反応ガスの流れる方向に対して交差する方向である幅方向に延びるように形成されている。
このようにすれば、整流板20に案内されたパージガス(たとえばガス導入部が形成された上壁6表面と整流板20との間から噴出したパージガス)が、処理室4の上壁6表面にガス層を形成する。そして、このガス層が、処理室4上壁6表面に反応ガスが到達する可能性を低減させる。この結果、上壁6における反応ガスに起因する堆積物の堆積量を減少させることができる。このため、当該堆積物が上壁6表面から剥がれることで形成される破片などの異物が処理室4内部を浮遊し、処理対象物としての基板8表面に付着する可能性を低減できる。そのため、当該異物の付着に起因する成膜処理やエッチング処理などの処理品質の低下を抑制できる。
また、幅方向に延在する整流板20を用いるので、ガス供給口13などの数を極端に多くしなくても均一なガス層を形成することができる。また、幅方向に複数のガス導入部を形成しておき、これらの幅方向に並んだ複数のガス導入部(ガス供給口13を覆うとともに反応ガスの流れる方向(矢印11、12に示す方向)の下流側に開口を有するように整流板20が形成されているので、一層幅方向におけるパージガスの流速分布を均一化できる。
また、上記のような良好な(均一な)ガス層を上壁6表面に形成すると、反応ガスの流れる方向における下流での反応ガスの流速増加の効果が著しい。このため、下流側でのエピタキシャル膜などの成長速度)を増加することが出来る。ここで、サセプタ2を回転することによって基板8上に形成される膜の膜厚を均一化する場合に、下流での膜の成長速度の上昇が足りないときには、サセプタ2の回転のみでは膜厚の均一化が十分に出来ないことがある。しかし、本発明の気相処理装置1を用いれば、下流での成長速度を増加させ、基板8上での成膜処理の均一性(たとえば形成される膜の厚みや膜質の均一性)を確保することが可能になる。
上記気相処理装置1において、整流板20は、ガス供給口13やガス供給スリット23などのガス導入部を覆うと共に上壁6表面との間に間隙を介して配置される。上壁6表面と整流板20との間の間隙は反応ガスの流れる方向における下流側に位置する開口部を介して処理室4内部と連通している。この場合、ガス導入部から導入されたパージガスを、反応ガスの流れる方向における下流側に向けて整流板20により確実に案内することができる。
上記気相処理装置1において、整流板20は、図2に示すように、幅方向における長さが処理室4の幅方向における長さと同じになっている。この場合、幅方向において整流板20が複数に分割されている場合より、案内されるパージガスの幅方向における均一性を容易に高めることができる。また、気相処理装置1のメンテナンスを行なう場合にも、処理室4の幅方向に整流板20が分割されている場合より整流板20を構成する部材の数を少なくできるので、メンテナンスの手間を少なくすることができる。
上記気相処理装置1において、ガス導入部(ガス供給口13)は、図2に示すように幅方向に複数個形成されていてもよい。図3に示すように、反応ガスの流れる方向におけるガス供給口13の後端から整流板20の後端までの距離をL、整流板20と対向する壁部(上壁6)と整流板20との間の距離をH、図2に示すように幅方向において隣接するガス供給口13の間の距離(ピッチ)をPとしたとき、
L/PH≧20
という関係を満足するように、整流板20のサイズおよびガス供給口13の配置が決定されている。この場合、整流板20の後端からパージガスが上壁6表面に沿って放出されるまでに、幅方向においてパージガスの流速が十分に均一化する。
上記気相処理装置1において、図2および図3に示すように、ガス導入部は、上壁6に形成されたガス導入用穴としてのガス供給口13と、バッファ室としての溝21とを含んでいてもよい。溝21は、ガス供給口13に連なり、ガス供給口13の幅より広い幅を有する。この場合、ガス供給口13から溝21に一旦パージガスが貯溜されることにより、ガス供給口13から溝21に供給されるパージガスの圧力変動などの影響を軽減して、安定した流量のパージガスを処理室4内部へと供給することができる。また、幅方向においてガス供給口13の幅よりバッファ室としての溝21の幅が広くなっているので、幅方向におけるパージガスの流速分布をより均一化できる。
上記気相処理装置1では、図3に示すように、整流板20において反応ガスの流れる方向での後端部(先端部25)は、反応ガスの流れる方向に沿った断面形状が楔形である。整流板20の上記先端部25の断面形状における角部のなす角度は90°以下であってもよい。ここで、ガス供給口13などのガス導入部から供給されたパージガスが整流板20に沿って流れるときに、整流板20の先端部25において渦を発生させることがあるが、整流板20の先端部25を上述のように楔形にすることで、上記渦の発生を抑制することができる。また、上述のように角部のなす角度を90°以下とすることで、特に渦発生の抑制効果を顕著にすることができる。
上記気相処理装置1は、複数のガス導入部(ガス供給口13またはガス供給スリット23)において、一のガス導入部と、当該一のガス導入部と異なる他のガス導入部とのそれぞれから異なる流量でパージガスを処理室4の内部に供給可能なガス供給部17をさらに備えている。ここで、発明者は複数のガス供給口13またはガス供給スリット23から同じ流量のガスを供給した場合、反応ガスの流れる方向における下流側ほど上壁6表面での堆積物の発生が多くなるという知見を実験などにより得た。この場合、複数のガス供給口13などについてガスの流量をすべて同じにして制御する場合、上記のような堆積物の発生を抑制するためには全体でガスの流量を大幅に増加させる必要がある。そこで、上記のように複数のガス供給口13またはガス供給スリット23のうちの一部についてガスの流量を独立して制御できれば、上記のような下流側での堆積物の発生を抑制するために必要なガス供給口13またはガス供給スリット23についてのみガスの流量を大きくするといった対応(たとえば、下流側に位置するガス供給口13やガス供給スリット23のガス流量を上流側に位置するガス供給口13またはガス供給スリット23のガス流量より多くする、といった対応)が可能になる。このため、効率的に処理の均一化や質の向上を図ることができる。
上記気相処理装置1では、図8に示すように、処理室4のガス導入部が形成された上壁6と対向する他の壁部(底壁5)と、整流板20との間の距離は、反応ガスの流れる方向における下流側に向かうほど小さくなっていてもよい。この場合、底壁5側に基板8を搭載するサセプタ2などが配置される構成において、ガス層により上壁6表面を保護する機能に加えて、当該ガス層によって反応ガスを基板8側へ押圧する効果をより顕著に得ることができる。このため、基板8に対する成膜処理などの均一性をより向上させるといった効果を期待できる。
上記気相成長装置1では、図12に示すように、処理室4の内部において処理対象物としての基板8を保持するサセプタ2をさらに備えていてもよい。処理室4においてガス導入部(ガス供給口13)が形成された壁部(上壁6)と対向する他の壁部(底壁5)と、整流板20との間の距離について、反応ガスの流れる方向においてサセプタ2の上流側端部31における当該距離が、反応ガスの流れる方向においてサセプタ2の中央部32における当該距離より小さくなっていてもよい。つまり、サセプタ2の上流側端部31と対向する上壁6には突出部30が形成されていてもよい。
この場合、サセプタ2の上流側端部31近傍においては、処理室4の高さがサセプタ2の中央部32近傍での高さより低くなるため、上流側から流れてきた反応ガスが、サセプタ2の中央部32より上流側において、サセプタ2側(つまりサセプタ2に搭載されている処理対象物である基板8側)に近い領域を流れることになる。このため、サセプタ2の中央部32より上流側において相対的に基板8に対する反応ガスによる処理を促進することができる。したがって、サセプタの中央部32の上流側において処理速度が下流側より低下するといった問題の発生を抑制できる。たとえば、基板8としてGaN基板を用い、当該基板8上にInGaN膜をエピタキシャル成長させる場合を考える。このとき、たとえば処理室4の底壁5に最も近い位置の反応ガス供給部(仕切り板19の下側)からアンモニアガスを供給する。そして、処理室4の上流側における高さ方向の中央に位置する反応ガス供給部(仕切り板18と仕切り板19の間)からは有機金属であるトリメチルガリウム(TMG)およびトリメチルインジウム(TMI)とキャリアガス(水素ガス)とを供給する。そして、処理室4の上流側において、高さ方向の最も上方の反応ガス供給部(仕切り板18の上側)からは、キャリアガス(窒素ガス)を供給する。この場合、図12に示したような構成とすることで、サセプタ2の中央部32より上流側において、基板8上に成膜されるInGaNのIn組成を向上させることができる。
この発明に従った気相処理方法は、処理室4の内部に処理対象物(基板8)を配置する工程(準備工程(S10))と、処理室4の内部に反応ガスを供給して処理対象物(基板8)に対する処理を行なう工程(処理工程(S20))とを備える。処理工程(S20)では、基板8と対向する壁部(上壁6)の表面に沿って、反応ガスとは別に処理室4に供給されたガスが流通する。反応ガスの流れる方向に対して交差する方向である幅方向におけるガスの流速分布は均一である。
このようにすれば、上壁6表面に沿って流れるガスが当該上壁6表面にガス層を形成する。そして、このガス層が、処理室4の上壁6表面に反応ガスが到達する可能性を低減させる。この結果、処理工程(S20)において、上壁6表面における反応ガスに起因する堆積物の堆積量を減少させることができる。このため、当該堆積物が上壁6表面から剥がれることで形成される破片などの異物が処理室4内部を浮遊し、基板8表面に付着する可能性を低減できる。そのため、当該異物の付着に起因する処理品質の低下を抑制できる。
また、上記のような良好な(均一な)ガス層を上壁6表面に形成すると、反応ガスの流れる方向における下流での反応ガスの流速増加の効果が著しい。このため、下流での処理速度(膜の成長速度)を増加することが出来る。そのため、回転式のサセプタ2を用いた場合、基板8上での処理の均一性(形成されるエピタキシャル層48の厚みや膜質の均一性)を確保することが可能になる。
上記気相処理方法において、パージガスは、反応ガスの一部と同じガスであってもよい。ここで、反応ガスとは別に供給されたガスも、拡散によってある濃度で基板8に到達する。そのため、上述のようにすれば、処理の品質に対するパージガスの影響を低減できる。
上記気相処理方法において、処理工程(S20)では、上記処理として基板8の表面にV族の元素を含む膜を形成する処理(たとえば窒化ガリウム(GaN)膜)を行なってもよく、ガスは、V族の元素を含むガスである。具体的には、V族の元素を含むガスとしてアンモニアガスなど窒素を含有するガスを用いてもよい。この場合、下流側で反応ガスにおけるV族元素の供給源となるガスの濃度が低下して、GaN膜などの形成速度が低下するといった問題の発生を抑制できる。
上記気相成長方法において、処理対象物を配置する工程では、処理対象物としての基板8は前記処理理室の内部においてサセプタ2に保持されてもよい。図12に示す気相処理装置1のように、壁部としての上壁6と対向する他の壁部としての底壁5と、上壁6との間の距離について、反応ガスの流れる方向においてサセプタ2の上流側端部31における上記距離が反応ガスの流れる方向においてサセプタ2の中央部32における上記距離より小さくなっていてもよい。
この場合、上流側から流れてきた反応ガスが、サセプタ2の中央部32より上流側において、サセプタ2側(つまりサセプタ2に搭載されている処理対象物である基板8側)に近い領域を流れることになる。このため、サセプタ2の中央部32より上流側において相対的に基板8に対する反応ガスによる処理を促進することができる。したがって、サセプタの中央部32の上流側において処理速度が下流側より低下するといった問題の発生を抑制できる。
この発明に従った基板は、エピタキシャル層付き基板49であって、上記気相処理方法を用いて製造される。このようにすれば、基板8に対して、均一な処理を行なうことになるので、基板表面層(たとえば基板8表面に形成されたエピタキシャル層48)の品質が良好なエピタキシャル層付き基板49を得ることができる。
(実施例)
本発明の効果を確認するため、以下のような実験を行なった。
(実験内容について)
まず、図1〜図3に示す成膜装置を用いて成膜実験を行なった。用いた装置の条件を以下に説明する。成膜装置の流路の幅は約210mm、底壁5と上壁6との間の距離は約9mmである。サセプタの直径は約205mmである。通常のデバイス作製を目的とした成膜では、基板上に成長した膜の均一性を良くするために、サセプタを回転する。ガス流れ方向の成長速度、膜組成の分布を測定する場合は、サセプタの回転を停止して成膜する。基板の直径は約25mmで、サセプタに7枚載置する。基板は、サセプタ中央に1枚、その周囲にサセプタ中央を中心として点対称となるように6枚配置する。反応ガス供給部材からは3系統のガス供給を行い、仕切り板18、19によって3層の流れでガスを供給する。
実験では、GaN基板上にInGaN膜を成長した。反応ガス供給部材から供給するガスは、3層のうち一番下の層(底壁5に最も近い流路)からアンモニアガスを約20SLM、窒素ガスを約0.5SLM混合して流した。また、3層のうち中間の層(仕切り板18、19に囲まれた流路)からTMGを約39μmol/min、TMIを約145μmol/min、窒素を約15SLM混合して流した。また、3層のうち最も上の層(上壁6に最も近い流路)から窒素を約35SLM流した。サセプタ温度が約760℃になるように、サセプタ下から図示されていないヒータでサセプタを加熱した。成膜中は、サセプタの回転を止め、サセプタ上に載置した基板のうちの3枚が、流路の中心線上、つまりガス流れ方向に沿って直線状に並ぶようにサセプタの回転位置を保持した。成膜は約1時間行なった。
また、同様の実験を、図12に示した突出部30を形成した成膜装置においても実施した。成膜装置としては、突出部30と底壁5の間の距離が3mm、5mm、7mmと3条件の構造の成膜装置を用いた。なお、成膜装置における突出部30以外の構造は、上述した図1〜図3に示した成膜装置と全て同じである。
(測定条件)
形成されたInGaN層の膜厚およびIn組成はX線回折法により測定した。具体的には、得られた回折パターンに適合する膜厚とIn組成の組み合わせを、X線回折シミュレーションにより求めた。測定は、基板上において流路の中心線上の位置に当たる箇所について行なった。このようにして、ガス流れ方向でのInGaN層の膜厚およびIn組成の分布を求めた。
(実験結果)
実験結果を図13に示す。図13の横軸はサセプタの中心をゼロとして、上流側をマイナス、下流側をプラスとした反応ガスの流れる方向における位置(単位:mm)を示している。また、図13の縦軸は、形成された膜(InGaN膜)におけるIn組成を示している。
図13から分かるように、図12に示すような突出部30を形成していない場合(図1〜図3に示した成膜装置を用いた場合であって、絞り高さ9mmとして表示されたデータ参照)には、上流側でのIn組成が下流側でのIn組成より低下している。
次に、図12に示す突出部30を形成した成膜装置でInGaN膜を成膜した場合の、当該膜中でのIn組成と反応ガスの流れる方向での位置との関係について説明する。突出部30の形状は、図12に示すようにその断面形状がほぼ半円状である。反応ガスの流れる方向に対して交差する方向(垂直方向)に延びるように当該突出部30は形成されている。図13中の絞り高さとは、処理室4の底壁から突出部30のピーク位置までの距離を意味し、当該突出部30下に形成されるガス流路の高さに対応する。
なお、突出部30の幅Wは205mmとした。さらに、突出部30の図12に示す断面における中央部は、反応ガスの流れる方向においてサセプタ2の上流側端部31から上流側へ15mmだけずれた位置となるように、突出部30の位置は決定されている。
また、図13における下流9mmとは、サセプタ2の中央部におけるサセプタ2表面から上壁6までの距離が9mmであることを意味する。
図13に示すように、絞り高さを小さくするほど(つまり、突出部30の高さHを大きくするほど)上流側におけるIn組成が向上することがわかる。つまり、突出部30を形成することで、サセプタ2の中央より上流側での成膜条件を改善し、In組成の安定したInGaN膜を形成することができた。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、気相成長装置やドライエッチング装置等、気相処理装置および当該気相処理装置を用いた気相処理方法に有利に適用される。
本発明に従った気相処理装置の実施の形態1を示す断面模式図である。 図1に示した気相処理装置の処理室の上壁をサセプタ側から見た模式図である。 図2の線分III−IIIにおける部分断面模式図である。 図1に示した気相処理装置を用いて実施される気相処理方法を説明するためのフローチャートである。 図4に示した気相処理方法を用いて形成されたエピタキシャル層付き基板を示す模式図である。 本発明による気相処理装置の実施の形態2を示す模式図である。 図6の線分VII−VIIにおける部分断面模式図である。 本発明による気相処理装置の実施の形態3を示す断面模式図である。 図8に示した気相処理装置における整流板の先端部の形状の変形例を示す断面模式図である。 図8に示した気相処理装置における整流板の先端部の形状の変形例を示す断面模式図である。 図8に示した気相処理装置における整流板の先端部の形状の変形例を示す断面模式図である。 本発明による気相処理装置の実施の形態4を示す断面模式図である。 実験の結果を示すグラフである。
符号の説明
1 気相処理装置、2 サセプタ、3 回転軸、4 処理室、5 底壁、6 上壁、7 開口部、8 基板、9 反応ガス供給部材、10 ガス排気部材、11,12 矢印、13 ガス供給口、16 ヒータ、17 ガス供給部、18,19 仕切り板、20 整流板、21 溝、23 ガス供給スリット、25 先端部、30 突出部、31 上流側端部、32 中央部、48 エピタキシャル層、49 エピタキシャル層付き基板。

Claims (12)

  1. 反応ガスを流通させる処理室と、
    前記処理室の壁部において、前記反応ガスの流れる方向に沿って形成された複数のガス導入部と、
    前記処理室の内部において、前記壁部の表面と平行に延びるとともに前記ガス導入部を覆うように形成され、前記ガス導入部から前記処理室の内部に供給されるガスを、前記反応ガスの流れる方向に沿った方向に流れるように案内する整流板とを備え、
    前記整流板は、前記ガス導入部が形成された前記処理室の壁部において、前記反応ガスの流れる方向に対して交差する方向である幅方向に延びるように形成され、かつ、前記幅方向における長さが、前記処理室の前記幅方向における長さと同じになっている、気相処理装置。
  2. 前記ガス導入部は、前記幅方向に複数個形成され、
    前記反応ガスの流れる方向における前記ガス導入部の後端から前記整流板の後端までの距離をL、前記整流板と対向する前記壁部と前記整流板との間の距離をH、前記幅方向において隣接する前記ガス導入部の間の距離をPとしたとき、
    L/PH≧20
    という関係を満足するように、前記整流板のサイズおよび前記ガス導入部の配置が決定されている、請求項1に記載の気相処理装置。
  3. 前記ガス導入部は、
    前記壁部に形成されたガス導入用穴と、
    前記ガス導入用穴に連なり、前記ガス導入用穴の幅より広い幅を有するバッファ室とを含む、請求項1または2に記載の気相処理装置。
  4. 前記整流板において前記反応ガスの流れる方向での後端部は、前記反応ガスの流れる方向に沿った断面形状が楔形であり、
    前記後端部の断面形状における角部のなす角度は90°以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の気相処理装置。
  5. 前記複数のガス導入部において、一のガス導入部と、前記一のガス導入部と異なる他のガス導入部とのそれぞれから異なる流量でガスを前記処理室の内部に供給可能なガス供給部をさらに備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の気相処理装置。
  6. 前記処理室の前記ガス導入部が形成された壁部と対向する他の壁部と、前記整流板との間の距離は、前記反応ガスの流れる方向における下流側に向かうほど小さくなっている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の気相処理装置。
  7. 前記処理室の内部において処理対象物を保持するサセプタをさらに備え、
    前記処理室において前記ガス導入部が形成された壁部と対向する他の壁部と、前記整流板との間の距離について、前記反応ガスの流れる方向において前記サセプタの上流側端における前記距離が、前記反応ガスの流れる方向において前記サセプタの中央部における前記距離より小さくなっている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の気相処理装置。
  8. 請求項1に記載の気相処理装置を用いた気相処理方法であって、
    前記処理室の内部に処理対象物を配置する工程と、
    前記処理室の内部に反応ガスを供給して前記処理対象物に対する処理を行なう工程とを備え、
    前記処理を行なう工程では、前記処理対象物と対向する壁部の表面に沿って、前記反応ガスとは別に前記処理室に供給されたガスが流通し、
    前記反応ガスの流れる方向に対して交差する方向である幅方向における前記ガスの流速分布が均一である、気相処理方法。
  9. 前記ガスは、前記反応ガスの一部と同じガスである、請求項8に記載の気相処理方法。
  10. 前記処理を行なう工程では、前記処理として前記処理対象物の表面にV族の元素を含む膜を形成する処理を行ない、
    前記ガスは、V族の元素を含むガスである、請求項8に記載の気相処理方法。
  11. 前記処理対象物を配置する工程では、前記処理対象物は前記処理理室の内部においてサセプタに保持され、
    前記壁部と対向する他の壁部と、前記壁部との間の距離について、前記反応ガスの流れる方向において前記サセプタの上流側端における前記距離が前記反応ガスの流れる方向において前記サセプタの中央部における前記距離より小さくなっている、請求項8〜10のいずれか1項に記載の気相処理方法。
  12. 請求項8〜11のいずれか1項に記載の気相処理方法を用いて製造された基板。
JP2008221600A 2007-12-11 2008-08-29 気相処理装置、気相処理方法および基板 Expired - Fee Related JP5315863B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008221600A JP5315863B2 (ja) 2007-12-18 2008-08-29 気相処理装置、気相処理方法および基板
US12/330,904 US8628616B2 (en) 2007-12-11 2008-12-09 Vapor-phase process apparatus, vapor-phase process method, and substrate
US13/231,446 US8349403B2 (en) 2007-12-11 2011-09-13 Vapor-phase process apparatus, vapor-phase process method, and substrate
US13/270,891 US8349083B2 (en) 2007-12-11 2011-10-11 Vapor-phase process apparatus, vapor-phase process method, and substrate
US13/716,886 US20130108788A1 (en) 2007-12-11 2012-12-17 Vapor-phase process apparatus, vapor-phase process method, and substrate

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007326001 2007-12-18
JP2007326001 2007-12-18
JP2008221600A JP5315863B2 (ja) 2007-12-18 2008-08-29 気相処理装置、気相処理方法および基板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009170868A JP2009170868A (ja) 2009-07-30
JP5315863B2 true JP5315863B2 (ja) 2013-10-16

Family

ID=40971676

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008221600A Expired - Fee Related JP5315863B2 (ja) 2007-12-11 2008-08-29 気相処理装置、気相処理方法および基板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5315863B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6001443B2 (ja) * 2012-12-27 2016-10-05 昭和電工株式会社 成膜装置および膜の製造方法
JP6001444B2 (ja) * 2012-12-27 2016-10-05 昭和電工株式会社 成膜装置および膜の製造方法
JP6386901B2 (ja) * 2014-12-17 2018-09-05 株式会社ニューフレアテクノロジー 気相成長装置及び気相成長方法
KR20230035141A (ko) * 2017-04-10 2023-03-10 피코순 오와이 균일한 증착
JP7432465B2 (ja) * 2020-07-31 2024-02-16 大陽日酸株式会社 気相成長装置

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000277442A (ja) * 1999-03-29 2000-10-06 Nippon Sanso Corp 気相成長装置
JP2002371361A (ja) * 2001-06-18 2002-12-26 Japan Pionics Co Ltd 気相成長装置及び気相成長方法
JP3953984B2 (ja) * 2003-06-13 2007-08-08 有限会社マイクロシステム 半導体製造装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009170868A (ja) 2009-07-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8628616B2 (en) Vapor-phase process apparatus, vapor-phase process method, and substrate
TWI675119B (zh) 氣相成膜裝置
JP7136945B2 (ja) エピタキシャル成長装置用のチャンバ構成要素
US8664627B1 (en) Method for supplying gas with flow rate gradient over substrate
US6040011A (en) Substrate support member with a purge gas channel and pumping system
EP2913844B1 (en) Epitaxial growth apparatus
JP5315863B2 (ja) 気相処理装置、気相処理方法および基板
JP5018708B2 (ja) 気相処理装置、気相処理方法および基板
JP2011501409A (ja) 化学蒸着反応チャンバ
JP2014179466A (ja) エピタキシャル成長による成膜方法、および、エピタキシャル成長装置
US20150252475A1 (en) Cvd apparatus with gas delivery ring
JPH04348031A (ja) 化学気相成長装置
JP5413305B2 (ja) エピタキシャル成長装置
US20130288460A1 (en) Process chamber having separate process gas and purge gas regions
JP2009277730A (ja) 薄膜の気相成長方法および気相成長装置
KR20070098104A (ko) 가스커튼을 구비한 박막증착장치
JP2010238831A (ja) 気相成長装置及び気相成長方法
JP3731844B2 (ja) 気相薄膜成長装置及びそれを用いた気相薄膜成長方法
JP2014179581A (ja) エピタキシャル成長による成膜方法、および、エピタキシャル成長装置
JP2011066356A (ja) 薄膜製造装置
JP2021114541A (ja) 気相成長装置
JP5170056B2 (ja) エピタキシャル成長装置及びエピタキシャル成長方法
JP6179790B2 (ja) 気相成長装置及びエピタキシャルウェーハの製造方法
JP7336841B2 (ja) 気相成膜装置
JP2008071921A (ja) 気相成長用サセプタ、気相成長装置及び気相成長方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110224

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111212

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121120

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130116

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20130205

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130430

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20130509

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130611

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130624

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees