JP2021114541A - 気相成長装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】フローチャンネル内の基板における、ガス流れ方向の上流側の流速を上げつつ、均一な流速分布が得られ、結晶品質に優れた均一な半導体薄膜を歩留まり良く形成・成長させることが可能な気相成長装置を提供する。【解決手段】基板50を保持するサセプタ4と、反応ガスGを基板50上まで導くフローチャンネル3と、フローチャンネル3に接続され、該フローチャンネル3内に反応ガスGを噴出するノズル2と、を備え、フローチャンネル3は、ノズル2側の少なくとも一部が、反応ガスGの流れ方向における上流側から下流側に向かって、基板50の平面方向で漸次拡開する第1フローチャンネル31を有しており、ノズル2は、第1フローチャンネル31に接続される噴出口20cが、第1フローチャンネル31に対して、該第1フローチャンネル31の拡開方向における反応ガスGの流束のベクトルが均一になるように、反応ガスGを噴出する。【選択図】図2

Description

本発明は、気相成長装置に関し、特に、反応炉内において、加熱環境下でサセプタに保持された基板に対して、反応ガスを供給して作用させることにより、基板上に半導体薄膜を形成・成長させるための気相成長装置に関する。
従来から、基板上に半導体薄膜を成長させるための装置として気相成長装置が知られている。この気相成長装置は、反応炉内において、加熱環境下でサセプタ上に載置された基板に対して、反応ガスを供給して作用させることにより、当該基板上に半導体結晶薄膜を形成・成長させるための装置である。
上記のような気相成長装置を用いて結晶成長用の基板上に窒化ガリウムやガリウム砒素等の化合物半導体薄膜を形成する場合、基板の表面に、該基板の横方向から原料ガス(反応ガス)を供給して薄膜成長を行う。この際、上記の原料ガスを、V族原料となるアンモニア等の半導体材料ガスと有機金属化合物との激しい気相反応が生じるのを抑制しつつ、加熱された基板上を通過させることが求められる。特に、基板が大口径になるほど、基板上における反応ガスの流れの上流側で気相反応による影響が顕著となり、基板の表面全体に新鮮な原料ガスを行き渡らせることが困難になる場合がある。
一方、基板面内の膜厚分布あるいは混晶の組成分布を均一にして高い歩留りを得るためには、薄膜を成長させる際に基板上を通過する原料ガス及びキャリアガスを、層流であって、且つ、均等な流速分布で供給する必要がある。仮に、原料ガスが、流れ方向に対して垂直な方向で不均等な流速分布を持っていると、例え基板を回転させて平均化させたとしても、十分に均一とされた膜が得られず、また、膜中の組成変調等の問題を引き起こす可能性がある。
上記のような問題に対応するため、例えば、基板上に原料ガスを供給するフローチャンネルの上流側における形状を工夫し、ガス流れ方向で流路の寸法を変化させるか、あるいは、ガス流れ方向に対して直交する方向(鉛直方向)に流路の寸法を変化させることで、均質なガス流れを実現する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
また、反応ガスの流路中に扁平なガス通路を設けることにより、ガスの流れを均一にする技術も提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
特許第4474149号公報 特開平11−152572号公報
特許文献1によれば、ガスの流速分布を均一化することができ、その実施例には、結晶成長した窒化ガリウム(GaN)の面内分布が1%以下に改善されたことが記載されている。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、例えば、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)のような混晶系の膜を成長させる場合に、有機金属原料であるトリメチルガリウムやトリメチルアルミニウムとアンモニアとの化学反応において、激しい気相反応が生じることが避けられないことから、基板におけるガス流れ方向の下流側で原料ガスが枯渇してしまうという問題があった。
また、特許文献2によれば、扁平なガス通路により、ガスの流れを均一に広げることが記載されているが、この特許文献2に記載の技術でも、基板におけるガス流れ方向の上流側で激しい気相反応が生じるのを避けることができず、下流側で原料ガスが枯渇する問題が生じる。
上記のような原料ガスが枯渇する問題を回避するため、例えば、キャリアガスを増量して流速を高める方法もある。しかしながら、単にキャリアガスを増量しただけでは、例えば、原料ガスの濃度低下に伴う原料利用効率の低下が生じたり、大量のキャリアガスを投入することで基板の冷却効果が促進され、基板の表裏面の温度差が大きくなりすぎて基板が破損したりするおそれもある。
また、反応ガス全体の実効的な流速を高める方法として、例えば、ポンプを用いてチャンバ内から反応ガスを吸引することで、チャンバの内部圧力を下げる方法も考えられる。しかしながら、チャンバの内部圧力を下げると、成長する膜中における炭素等の不純物の濃度が上昇する等、結晶成長特有の問題が生じる。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、フローチャンネル内の基板における、ガス流れ方向の上流側の流速を上げつつ、均一な流速分布が得られ、結晶品質に優れた均一な半導体薄膜を歩留まり良く形成・成長させることが可能な気相成長装置を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記問題を解決するため、鋭意検討を重ねた。この結果、特に、窒化ガリウムやガリウム砒素等の化合物半導体薄膜を基板上に成長させる、反応ガスを水平方向に噴出させる横型の気相成長装置において、フローチャンネルの形状を最適化し、且つ、フローチャンネル内に向けて供給される反応ガスの噴出形態を最適化できるノズルを採用することにより、基板におけるガス流れ方向の上流側の流速を上げつつ、均一な流速分布が得られることを知見した。これにより、結晶品質に優れた均一な半導体薄膜を歩留まり良く成長させることが可能な気相成長装置が実現できることを見いだし、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の態様を包含する。
請求項1に係る発明は、基板上に半導体薄膜を成長させるための気相成長装置であって、反応炉内において、前記基板を保持するサセプタと、前記反応炉内に配置され、反応ガスを前記基板上まで導くフローチャンネルと、前記フローチャンネルに接続され、該フローチャンネル内に反応ガスを噴出するノズルと、を備え、前記フローチャンネルは、前記ノズル側の少なくとも一部が、前記反応ガス流れ方向における上流側から下流側に向かって、前記基板の平面方向で漸次拡開する第1フローチャンネルを有しており、前記ノズルは、前記第1フローチャンネルに接続される噴出口が、前記第1フローチャンネルに対して、該第1フローチャンネルの拡開方向における前記反応ガスの流束のベクトルが均一になるように、前記反応ガスを噴出することを特徴とする気相成長装置である。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の気相成長装置であって、前記フローチャンネルは、前記第1フローチャンネルの内部に前記基板の少なくとも一部を収容するように配置されていることを特徴とする気相成長装置である。
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の気相成長装置であって、前記フローチャンネルが、前記第1フローチャンネルの下流側に、さらに、前記反応ガス流れ方向における上流側から下流側に向かって均一な断面形状の流路、又は、側壁の少なくとも一部が下流側に向けて漸次縮閉してゆく形状の流路を有した第2フローチャンネルを備えていることを特徴とする気相成長装置である。
また、請求項4に係る発明は、請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の気相成長装置であって、前記ノズルは、1以上のガス導入路を有し、且つ、該ガス導入路は、前記反応ガスの導入口側が、前記基板の平面方向に対して直交する方向で延設した垂直流路とされ、且つ、該垂直流路と直交するように連通する水平流路を1以上で有することを特徴とする気相成長装置である。
また、請求項5に係る発明は、請求項4に記載の気相成長装置であって、前記ノズルは、前記ガス導入路の流路に、1以上のガス整流部を有することを特徴とする気相成長装置である。
また、請求項6に係る発明は、請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の気相成長装置であって、前記ノズルは、前記噴出口を複数で有し、該複数の噴出口が、前記基板の平面方向に対して直交する方向で積層されていることを特徴とする気相成長装置である。
また、請求項7に係る発明は、請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の気相成長装置であって、前記ノズルは、前記噴出口の少なくとも一部が、前記第1フローチャンネル側に向けて、平面視で突出する形状であることを特徴とする気相成長装置である。
また、請求項8に係る発明は、請求項7に記載の気相成長装置であって、前記ノズルは、前記噴出口が、平面視で円弧状であることを特徴とする気相成長装置である。
本発明に係る気相成長装置によれば、上記構成により、フローチャンネル内に供給される反応ガスの、基板におけるガス流れ方向の上流側の流速を上げつつ、流速分布を均一化できる。即ち、特に、窒化ガリウムやガリウム砒素等の化合物半導体薄膜を基板上に成長させる場合において、基板におけるガス流れ方向の上流側で激しい気相反応が生じるのを抑制し、基板におけるガス流れ方向の上流側及び下流側の何れの位置にも均等に反応ガスが供給されるので、結晶品質に優れた均一な半導体薄膜を歩留まり良く成長させることが可能になる。
本発明の一実施形態である気相成長装置を模式的に説明する図であり、ノズル及びフローチャンネルを平面視した状態を示す概略図である。 本発明の一実施形態である気相成長装置を模式的に説明する図であり、図1に示したA−A断面図である。 本発明の一実施形態である気相成長装置を模式的に説明する図であり、図1中に示したノズルを拡大して示す概略図である。 本発明の一実施形態である気相成長装置を模式的に説明する図であり、図2中に示したノズルを拡大して示す断面図である。 本発明の他の実施形態である気相成長装置を模式的に説明する図であり、図5(a)〜図5(c)は、ノズルに備えられるガス整流部の形状を示す平面図である。 本発明の他の実施形態である気相成長装置を模式的に説明する図であり、図6(a),(b)は、ノズルの他の例を示す概略図である。 本発明の他の実施形態である気相成長装置を模式的に説明する図であり、図7(a),(b)は、ノズルの他の例を示す概略図である。 本発明の他の実施形態である気相成長装置を模式的に説明する図であり、ノズル及びフローチャンネルを平面視した状態を示す概略図である。 本発明の他の実施形態である気相成長装置を模式的に説明する図であり、図8中に示したB−B断面図である。 本発明の実施例について説明する図であり、図10(a)は、本発明に係る実施例の評価で用いたノズルを示す概略図であり、図10(b)は、比較例で用いたノズルを示す概略図である。 本発明の実施例について説明する図であり、実施例で用いたフローチャンネルの構成並びに条件を示す概略図である。 本発明の実施例について説明する図であり、図10(a)に示す実施例のノズル、及び、図10(b)に示す比較例のノズルを用い、図11に示したフローチャンネルの条件で反応ガスを供給したときの、基板上の各位置における反応ガスの流速を測定した結果を示すグラフである。 本発明で得られる作用について模式的に説明する図であり、ノズルからフローチャンネルに導入された反応ガスの流れの均一性について説明する概略図である。
以下、本発明を適用した一実施形態である気相成長装置について、図1〜図9及び図13を適宜参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、その特徴をわかり易くするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
図1は、本発明の一実施形態である気相成長装置1を模式的に説明する図で、ノズル2及びフローチャンネル3を平面視した概略図であり、図2は、図1中のA−A断面図である。図3は、図1中に示したノズル2を拡大して示す概略図であり、図4は、図2中に示したノズル2を拡大して示す断面図である。また、図5(a)〜(c)は、ノズルに備えられるガス整流部の形状の例を示す平面図であり、図6(a),(b)、並びに、図7(a),(b)は、ノズルの他の例を示す概略図である。また、図8は、本発明の他の実施形態である気相成長装置10を模式的に説明する図で、ノズル2及びフローチャンネル30を平面視した概略図であり、図9は、図8中のB−B断面図である。また、図13は、本発明に係る気相成長装置における、ノズルからフローチャンネルに導入された反応ガスの流れの均一性について説明する概略図である。
なお、図1及び図2に示す気相成長装置1、並びに、図8及び図9に示す気相成長装置10においては、ノズル2、フローチャンネル3(30)、及びサセプタ4等、本発明の特徴を有する構成のみを示す一方、一般的な気相成長装置に備えられる他の構成、例えば、反応炉や排気ノズル等については、その図示を省略している。
また、本実施形態の気相成長装置1で用いる反応ガスG(G1,G2,G3)の流れについては図2中に示しており、本実施形態における反応ガスG(G1,G2,G3)の流れについての説明は、図2を引用して説明する。
<気相成長装置の構成>
本発明に係る気相成長装置の一例について説明する。
図1〜図4に示す気相成長装置1は、基板50上に図視略の半導体薄膜を成長させるためのものであり、ノズル2、フローチャンネル3及びサセプタ4を備えて概略構成される。また、これら、ノズル2、フローチャンネル3及びサセプタ4は、通常、気相成長装置に備えられる図視略の反応炉の内部に配置される。
より詳しくは、本実施形態の気相成長装置1は、反応炉内において、基板50を保持するサセプタ4と、反応炉内に配置され、反応ガスGを基板50上まで導くフローチャンネル3と、このフローチャンネル3に接続され、このフローチャンネル3内に反応ガスGを噴出するノズル2とを備える。
また、フローチャンネル3は、ノズル2側に配置される少なくとも一部が、反応ガスGの流れ方向における上流側から下流側に向かって、基板50の平面方向で漸次拡開する第1フローチャンネル31を有し、図1に示す例のフローチャンネル3は、上流開口端3aから排気口35に至るまでの流路全体が第1フローチャンネル31とされている。
そして、ノズル2は、第1フローチャンネル31に接続される噴出口20cが、第1フローチャンネル31に対して、この第1フローチャンネル31の拡開方向における反応ガスGの流束のベクトルが均一になるように、反応ガスGを噴出するように構成されている。
以下、本実施形態の気相成長装置1の各構成について詳細に説明する。
図視略の反応炉は、気相成長装置1の筐体としても機能するものであり、略円筒形や箱型筐体などの密閉容器を形成している。また、反応炉内における、ノズル2、フローチャンネル3及びサセプタ4の外側には、例えばパージガスが封入される。
なお、以下の説明においては、反応炉内に配置されたノズル2、フローチャンネル3及びサセプタ4における、その長手方向の位置を説明するにあたり、便宜上、反応ガス流れ方向の上流を、単に「ガス流れ方向の上流」、反応ガス流れ方向の下流を、単に「ガス流れ方向の下流」と称する場合がある。
サセプタ4は、基板50が載置され、該基板50を回転させるものであり、反応炉内において、図視略の架台上に支持されている。
サセプタ4は、通常、熱の良導体(例えば、カーボン等)で形成され、さらに好適には、原料ガスによる腐食を防止する観点から、SiC等のコーティングが施される。また、サセプタ4は、気相成長する薄膜の膜厚の平均化を図るため、その中心軸42に沿ってテーブル41が回転可能に構成されている。また、図2に示す例においては、サセプタ4(テーブル41)を下方から加熱することで、基板50を加熱するためのヒータ45が備えられている。また、サセプタ4の中心軸42には、図視略のモータの回転軸が歯車等を介して接続され、このモータの駆動によって、基板50が載置されたサセプタ4のテーブル41が回転するように構成されている。
また、サセプタ4は、テーブル41上に載置される基板50が、詳細を後述するフローチャンネル3の内部に収容されるように配置されている。
さらに、本実施形態においては、サセプタ4を、テーブル41上に載置される基板50の少なくとも一部が、フローチャンネル3に備えられる第1フローチャンネル31の内部に収容されるように配置する。図示例においては、基板50全体が、第1フローチャンネル31の内部に収容され、且つ、平面視で第1フローチャンネル31の概略中心部に配置されている。
サセプタ4のテーブル41のサイズは、薄膜を成長させる基板50のサイズによって決定することができるが、例えば、大径のサセプタ4を用いたうえで、この上に複数の小径基板を載置して、複数の小径基板の各々に薄膜を成長させることも可能である。
サセプタ4におけるテーブル41の直径aは、特に限定されず、薄膜を成長させる基板50のサイズや、1回のプロセスで薄膜の成長を行う基板50の個数に応じて決定できるが、例えば、25mmから450mmの範囲とすることができる。
フローチャンネル3は、反応炉内に配置され、後述のノズル2から噴出された反応ガスGを、基板50の成長面に平行な方向で供給するものである。フローチャンネル3も、サセプタ4と同様、図視略の反応炉内において架台に支持固定されている。また、図示例においては、フローチャンネル3の上流開口端3aが、後述するノズル2の噴出口20cと接続されている。
また、本実施形態の気相成長装置1に備えられるフローチャンネル3は、上述したように、ノズル2側に配置される少なくとも一部が、反応ガスGの流れ方向における上流側から下流側に向かって、基板50の平面方向で漸次拡開する第1フローチャンネル31を有する。そして、本実施形態においては、第1フローチャンネル31が、内部に基板50の少なくとも一部を収容するように配置される。
なお、図1中に示す例のフローチャンネル3は、排気口35に至るまでの流路全体が第1フローチャンネル31とされている。これに伴い、図示例においては、基板50全体が第1フローチャンネル31の内部に収容されている。
第1フローチャンネル31は平面視で漸次拡開する形状としては、特に限定されないが、図1に示す例のような、側壁3bが直線状とされた概略扇形状の他、側壁3bが外側に膨らむような形状や、側壁3bが内側にカーブしたラッパ形状としてもよい。
また、図1中に示す第1フローチャンネル31の拡開角度fとしても、特に限定されないが、ガス流れ方向の上流側における反応ガスGの流速を上げつつ、流速分布を均一にできる観点からは10°以上90°以下とすることが好ましく、60°前後とすることが最も好ましい。即ち、2つの側壁3bから上流開口端3aよりもさらにガス流れの上流側に向けて仮想線を描いたとき、これら仮想線が交わる頂点の位置が、上流開口端3aから可能な限り離間した位置となることが、上記の流速分布特性の観点からより好ましい。
排気口35は、フローチャンネル3内に導入された反応ガスGのうち、反応に供されなかったガス等を排ガスG4として外部に排出するものであり、フローチャンネル3におけるガス流れの下流側の端部において、平面視で細長の円弧状で設けられている。また、図2に示すように、排気口35は、下方に向けて排ガスG4を排出するように、フローチャンネル3におけるガス流れの下流側の端部において、下方に向けて垂直に折れ曲がった概略逆L字状に構成されている。排気口35は、反応炉内において、例えば、図視略の排気管に接続され、この排気管によって排ガスG4が気相成長装置1の外部に排出される。
フローチャンネル3の材質としては、特に限定されないが、例えば、石英、カーボン、SiC等が好適に用いられる。
ここで、図1中に示した気相成長装置1においては、基板50の上流側における第1フローチャンネル31の横幅方向の寸法、即ち、図中に示す、上流開口端3aから寸法eだけ下流側の位置の横幅寸法dが、基板50の直径a、もしくは、基板50を載置するサセプタ4の中心を通るフローチャネル3の横幅よりも小さい。このため、この領域における実効的な流速は、上記の特許文献1(特許第4474149号公報)に記載されているような直方体形状のフローチャンネルと比較して速い流速となる。
ノズル2は、反応炉内に配置され、上述したように、フローチャンネル3の上流開口端3aから、フローチャンネル3の内部に向けて反応ガスGを噴出する。
上述したように、ノズル2は、第1フローチャンネル31に接続される噴出口20cが、第1フローチャンネル31に対して、この第1フローチャンネル31の拡開方向における反応ガスGの流束のベクトルが均一になるように、反応ガスGを噴出するように構成されている。
図1及び図3に示すように、ノズル2は、噴出口20cの少なくとも一部が、第1フローチャンネル31側に向けて、平面視で突出する形状とされ、図示例では、噴出口20c全体が平面視で円弧状に形成されている。噴出口20cを上記形状とすることで、噴出口20cと第1フローチャンネル31とが相似形となるので、反応ガスGが均一な広がりをもちながら、噴出口20cから第1フローチャンネル31内に向けて噴出する。
本実施形態で用いられるノズル2は、少なくとも1以上のガス導入路を有してなり、図2及び図4に示す例では、第1ガス導入路21、第2ガス導入路22及び第3ガス導入路23の計3箇所でガス導入路を有している。これら第1ガス導入路21、第2ガス導入路22及び第3ガス導入路23は、それぞれ異なる反応ガスG(G1,G2,G3)が流通する導入路である。本実施形態で説明する例では、第1ガス導入路21に水素(H)及び窒素(N)が混合された反応ガスG1が流通し、第2ガス導入路22には有機金属化合物(MO)、窒素及び水素が混合された反応ガスG2が、第3ガス導入路23にはアンモニア(NH)、窒素及び水素が混合された反応ガスG3が流通する。ここで、Hは雰囲気ガスであり、MOはガリウム等の有機金属化合物を含む原料ガス、NHはV属原料ガスであり、また、Nはキャリアガスである。
また、本実施形態のノズル2は、上記のように複数のガス導入路を有していることに伴い、噴出口20cを複数で有している。そして、ノズル2は、複数の噴出口20c(21c,22c,23c)が、基板50の平面方向に対して直交する方向で積層されている。図2及び図4に示す例では、図中における上下方向の下側から、第3ガス導入路23の第3噴出口23c、第2ガス導入路22の第2噴出口22c及び第1ガス導入路21の第1噴出口21cの順で積層されている。
また、図示例のノズル2においては、上記の第1ガス導入路21、第2ガス導入路22及び第3ガス導入路23の何れにおいても、反応ガスG(G1,G2,G3)の導入口21i,22i,23i側が、基板50の平面方向に対して直交する方向で延設した垂直流路21a,22a,23aとされている。さらに、第1ガス導入路21、第2ガス導入路22及び第3ガス導入路23の何れにおいても、垂直流路21a,22a,23aとそれぞれ直交するように連通する水平流路21b、水平流路22b又は水平流路23cを有する。即ち、図示例のノズル2は、ノズル本体20の内部において、垂直流路21a,22a,23aの各々が、水平流路21b,22b,23bに突き当たるように連通されることで、第1ガス導入路21、第2ガス導入路22及び第3ガス導入路23の各流路が折り曲げられるように構成されている。図示例においては、第1ガス導入路21及び第3ガス導入路23が計3箇所で折り曲げられるように構成され、第2ガス導入路22が1箇所で折り曲げられるように構成されている。
そして、上記の水平流路21b,22b,23bは、ノズル本体20の内部において、垂直方向で下側から水平流路23b、水平流路22b及び水平流路21bの順で積層された3層(3段)構造とされ、各流路がノズル2の噴出方向に沿うように配置されている。
垂直流路21a,22a,23aは、各々、円管状の流路とされている。
また、水平流路21b,22b,23bは、水平方向(基板50の平面方向)に幅広であって、断面視矩形状の扁平流路とされている。また、図4中に示すような、水平流路21bに順次連通して設けられる垂直流路21d及び水平流路21e、並びに、水平流路23bに順次連通して設けられる垂直流路23d及び水平流路23eも、概略で扁平状の流路とされている。
まず、反応ガスG1が流通する第1ガス導入路21は、垂直流路21a,21dと水平流路21b,21eとからなり、ノズル本体20内において、まず、垂直に延設された垂直流路21aが水平流路21bに突き当たるように連通して配置される。さらに、水平流路21bは垂直流路21dに突き当たるように連通し、垂直流路21dは水平流路21eに突き当たるように連通して配置されている。垂直流路21d及び水平流路21eは、水平流路21bと同様、断面視矩形状の扁平流路とされている。
上記構成により、垂直流路21a側から導入された反応ガスG1は、水平流路21b、垂直流路21d及び水平流路21eの各流路内に順次突き当たることで整流され、拡散した状態となる。
そして、反応ガスG1は、水平流路21eを流通して、各方向に向けて均等に拡散した状態で、第1噴出口21c側からフローチャンネル3内に向けて噴出される。
また、反応ガスG2が流通する第2ガス導入路22は、垂直流路22aと水平流路22bとからなり、ノズル本体20内において、垂直方向で延設された垂直流路22aが水平流路22bに突き当たるように連通した構成とされている。また、水平流路22bは、第2噴出口22c側が垂直方向で狭くなるような扁平流路とされている。
上記構成により、垂直流路22a側から導入された反応ガスG2は、水平流路22b内に突き当たった後、垂直方向で縮寸する水平流路22bを通過することで整流され、拡散した状態となる。
そして、反応ガスG2は、水平流路22bを流通して、各方向に向けて均等に拡散した状態で、第2噴出口22c側からフローチャンネル3内に向けて噴出される。
同様に、反応ガスG3が流通する第3ガス導入路23は、垂直流路23a,23dと水平流路23b,23eとからなり、ノズル本体20内において、まず、図3中の下側から上側に向けて延設された垂直流路23aが水平流路23bに突き当たるように配置される。さらに、水平流路23bは垂直流路23dに突き当たり、垂直流路23dは水平流路23eに突き当たるように配置される。垂直流路23d及び水平流路23eは、水平流路23bと同様、断面視矩形状の扁平流路とされている。
上記構成により、垂直流路23a側から導入された反応ガスG3は、水平流路23b、垂直流路23d及び水平流路23eの各流路内に順次突き当たることで整流され、拡散した状態となる。
そして、反応ガスG3は、水平流路23eを流通して、各方向に向けて均等に拡散した状態で、第3噴出口23c側からフローチャンネル3内に向けて噴出される。
さらに、本実施形態で説明する第1ガス導入路21、第2ガス導入路22及び第3ガス導入路23は、各々の流路内、具体的には、水平流路21b,22b,23bの各流路内に、少なくとも1以上のガス整流部を有する。図示例においては、水平流路21b内における垂直流路21d寄りの位置に、ブロック状のガス整流部21Aが配置されている。同様に、水平流路22b内における第2噴出口22c寄りの位置にはガス整流部22Aが配置され、さらに、水平流路23b内における垂直流路23d寄りの位置にはガス整流部23Aが配置されている。これらブロック状のガス整流部21A,22A,23Aは、例えば、水平流路21b,22b,23b内におけるガス流れ方向の上流側から下流側を見たときに、噴出口20cが直接見えない配置位置で、各水平流路の底面又は上面に設置される。図示例においては、ガス整流部21Aが水平流路21bの底面側に設置され、ガス整流部22Aが水平流路22bの上面側に、ガス整流部23Aが水平流路23bの上面側に設置されている。
上記のようなガス整流部21A,22A,23Aが、各々、水平流路21b、水平流路22b又は水平流路23bの流路内に配置されていることにより、上記のような、各ガス導入路の折れ曲がり構造と同様の整流効果が得られる。即ち、水平流路21b,22b,23bの各流路内において、反応ガスG(G1,G2,G3)が、ガス整流部21A、ガス整流部22A又はガス整流部23Aの何れかに突き当たることで、上記同様、反応ガスGが各方向に向けて均等に拡散する効果が得られる。
上記のガス整流部21A,22A,23Aを用いた場合の、反応ガスGの流れの詳細については後述する。
なお、図示例においては、ガス整流部21A,22A,23Aの各々が、水平流路21b、水平流路22b又は水平流路23bの流路内において、ブロック状の別部品として配置されているが、これには限定されない。例えば、ガス整流部21A,22A,23Aを、ノズル本体20と一体化した構成としてもよい。
また、ガス整流部21A,22A,23Aは、図1及び図3に示す例のように、ガス流れ方向で下流側となる各々の先端21f,22f,23fが、噴出口20c(21c,22c,23c)と同様の形状、即ち、平面視で円弧状に形成されていることが好ましい。また、各々の先端21f,22f,23fの円弧形状は、上述したフローチャンネル3の第1フローチャンネル31における拡開角度fと同じ角度を持つ円弧状であることがより好ましい。これにより、上述したような、第1フローチャンネル31の拡開方向における反応ガスGの流束のベクトルが均一になるように、第1フローチャンネル31内に向けて反応ガスGを噴出する作用が、より効果的に得られる。
このように、ガス整流部21A,22A,23Aは、先端21f,22f,23fの平面視形状が上記のような円弧状であれば、ガス流れ方向の上流側となる後端21g,22g,23g側の平面視形状は、必要に応じて様々な形状とすることができる。ガス整流部21A,22A,23Aにおける後端21g,22g,23g側の平面視形状は、例えば、図5(a)に示すような平面視直線状であってもよいし、図5(b)に示すような、先端21f,22f,23fの平面視形状と対称となる円弧状であってもよい。あるいは、図5(c)に示すような、先端21f,22f,23fの平面視形状に対応して円弧状に凹んだ平面視形状としても構わない。
なお、図3及び図4等においては詳細な図示を省略しているが、第1噴出口21cの直前における水平流路21e及び垂直流路21d、及び、第1噴出口21cの垂直方向で上下に設置されたライナーは、何れも第1フローチャンネル31の拡開角度fに対応した角度を有する円弧状とされている。
また、ノズルの全体形状としても、図3及び図4に示すノズル2のようなものには限定されない。
例えば、図6(a)に示すように、先端12a側を平面視で円弧状としたうえで、後端12b側が概略台形状とされた構成のノズル12Aを採用してもよいし、図6(b)に示すように、先端12c側を円弧状としたうえで、後端12d側が鋭角な頂点を有する概略三角形状とされた構成のノズル12Bを採用してもよい。このように、後端側が非直方体形状とされたノズル12A,ノズル12Bを採用した場合でも、十分に均一な反応ガスGの流速分布が得られる。
一方、ノズルの製造工程において、金属材料の加工上、円弧の形成が困難である場合も考えられる。このような場合には、図7(a)に示すように、先端12e側が平面視で概略三角形状とされ、流路内に設けられるガス整流部12fの先端も同様の形状とされたノズル12Cを採用してもよい。あるいは、図7(b)に示すような、先端12g側が平面視で多角形状とされ、流路内に設けられるガス整流部12hの先端も同様の形状とされたノズル12Dを採用してもよい。図7(a),(b)に示すように、ノズルの噴出口側を多角形とした場合においても、十分に均一な反応ガスGの流速分布が得られる。
また、本実施形態の気相成長装置1においては、ノズル2を、図2及び図4に示すような複層構造(図示例では3層の積層構造)とすることで、ノズル2内において複数の反応ガスG同士が混じり合うのを防止できる。この場合、例えば、NH等のV族原料ガスを含む反応ガスG3と、Ga等の有機金属材料を含む反応ガスG2とが、ノズル2から噴出される前に、ノズル2内で混じり合ってしまい、薄膜の成長効率が低下するのを防止できる。
また、本実施形態では、第1フローチャンネル31における、上流開口端3aから寸法eだけ下流側の位置の横幅寸法dと、図3及び図5中に示すノズル2の流路幅bとが、次式{b<d}を満たす関係であることが、基板50におけるガス流れ方向の上流側の流速を効果的に上げつつ、均一な流速分布を得る観点からより好ましい。
また、図4に示すノズル2の構造において、第1ガス導入路21の第1噴出口21cの高さk1と、水平流路21bにおける高さg1とは、次式{k1<g1}で表される関係を満たすことが好ましい。同様に、第2ガス導入路22の第2噴出口22cの高さk2と、水平流路22bにおける高さg2とは、次式{k2<g2}で表される関係を満たすことが好ましく、第3ガス導入路23の第3噴出口23cの高さk3と、水平流路23bにおける高さg3とは、次式{k3<g3}で表される関係を満たすことが好ましい。各ガス導入路における、噴出口の高さと水平流路の高さとの関係を上記範囲とすることにより、反応ガスGの整流効果が顕著になり、基板50におけるガス流れ方向の上流側の流速を効果的に上げつつ、均一な流速分布が得られる。
なお、本明細書中で説明する「流速のベクトルが均一」、「ガスの流速分布を均一化」、及び「均一な流速分布」とは、基板上に結晶成長させる半導体薄膜の均一性を得るための、ガスの流れの均一性のことをいう。
即ち、図13の模式図中に矢印で示すように、ノズル2から噴出し、上流開口端3aからフローチャンネル3の内部に導入された反応ガスGは、拡開角度fに対応した円弧の法線方向に均等な流速でガスが噴き出す。この際、反応ガスGが基板50上に到達する時点での激しい反応に対しては、全ての反応ガスGが反応してしまうことがないように高い速度で通過させる一方、半導体薄膜を成長できる反応ガスGが基板50上の下流側の末端まで届くような流速を確保できるように、ガスの向きと流速、即ち、ガスの流速のベクトルが最適化された分布とする。上述した「均一」とは、このようなガスの流れの均一性のことをいう。
さらに、本実施形態の気相成長装置は、図1〜図4に示すような気相成長装置1の構成に限定されるものではない。
例えば、図8及び図9に例示する気相成長装置10のように、上流開口端3aからガス流れ方向で下流側に向けて、平面視で拡開する形状とされた第1フローチャンネル31に加え、その下流側に、側壁30bが平行で直方体形状とされた第2フローチャンネル32を有するフローチャンネル30を備えた構成を採用してもよい。上記の第2フローチャンネル32は、第1フローチャンネル31の下流側において、反応ガスGの流れ方向における上流側から下流側に向かって均一な断面形状の流路を有している。
そして、本実施形態においては、このような構成を採用した場合においても、基板50の少なくとも一部が、フローチャンネル30における第1フローチャンネル31の内部に収容された構成を採用する。図示例においては、基板50のうち、ガス流れ方向の上流側の約半分が第1フローチャンネル31の内部に収容されている。
上述したように、本実施形態においては、基板50の少なくとも一部が、フローチャンネル30における第1フローチャンネル31の内部に収容されていればよい。従って、気相成長装置10においても、上記の気相成長装置1と同様、反応ガスGの流れを、フローチャンネル30内の基板50における、ガス流れ方向の上流側の流速を上げつつ、均一な流速分布とする効果が得られる。
本実施形態においては、フローチャンネル3の形状を、基板50におけるガス流れ方向で下流側に対応する位置で、反応ガスGの流れが乱れないような形状とする必要がある。このため、本実施形態の気相成長装置1においては、図1中に示すような、漸次拡開する形状の第1フローチャンネル31を有するフローチャンネル3を用いる。また、図8及び図9に示す気相成長装置10においては、第1フローチャンネル31の下流側に第2フローチャンネル32が設けられたフローチャンネル30を用いることで、反応ガスGの流れが乱れない程度に、フローチャンネル横幅の広がりを抑制したうえで、反応ガスGを排気口35からスムーズに排気できる。
なお、第2フローチャンネル32は、上記のような形状には限定されず、流速分布の最適化のために、例えば、側壁30bの少なくとも一部が基板50の外周に沿うように曲線状とされ、下流の排気口35側に向けて漸次縮閉してゆく形状の流路を有した構成であっても良い。
<反応ガスの整流作用>
以下、本実施形態の気相成長装置1に備えられるノズル2が、第1フローチャンネル31の拡開方向における反応ガスGの流束のベクトルが均一になるように反応ガスGを噴出する作用について、図2及び図4を参照して説明する。なお、以下の説明においては、ノズル2に備えられる各ガス導入路のうち、H及びNが混合された反応ガスG1が流通される第1ガス導入路21における流れを例に挙げて説明する。
まず、第1ガス導入路21の垂直流路21aから供給される反応ガスG1は、水平流路21bの底面mに衝突して水平方向に流れを変える。ガス整流部21Aと水平流路21bの上面tとの隙間を通過した反応ガスG1は、垂直流路21dの側壁pに衝突して垂直方向に流れを変える。詳細な図示を省略するが、垂直流路21dの側壁pは、ノズル2を平面視する方向から見た断面形状が、第1フローチャンネル31の拡開角度fに対応した円弧状とされており、ガス流れの上流側から下流側に向かう方向の流路寸法は、垂直流路21dの横幅方向で一定である。
その後、反応ガスG1は、さらに、水平流路21eの底面qに衝突して水平方向に流れを変え、第1噴出口21cから噴出される。このとき、第1噴出口21cから噴出される反応ガスG1は、上記のような第1ガス導入路21の流路構造による整流作用により、層流の状態となる。
そして、平面視円弧状である第1噴出口21cから噴出された反応ガスG1は、第1フローチャンネル3の拡開方向における反応ガスGの流束のベクトルが均一になるように、フローチャンネル3の内部に導入される。
また、第2ガス導入路22及び第3ガス導入路23における反応ガスG2又は反応ガスG3の流れも、上記のような第1ガス導入路21の場合の流れと同様である。
<作用効果>
以上説明したように、本実施形態の気相成長装置1によれば、上記構成により、フローチャンネル3内に供給される反応ガスGの、基板50におけるガス流れ方向の上流側の流速を上げつつ、流速分布を均一化できる。即ち、特に、窒化ガリウムやガリウム砒素等の化合物半導体薄膜を基板上に成長させる場合において、基板50におけるガス流れ方向の上流側で激しい気相反応が生じるのを抑制し、基板50におけるガス流れ方向の上流側及び下流側の何れの位置にも均等に反応ガスGが供給されるので、結晶品質に優れた均一な半導体薄膜を歩留まり良く成長させることが可能になる。
以下、実施例により、本発明に係る気相成長装置についてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
<試験条件>
本実施例においては、実験用の気相成長装置として、図11に示すようなフローチャンネル3及びサセプタ4を準備するとともに、本発明に係る実施例として図10(a)に示すようなノズル2を、比較例として図10(b)に示すようなノズル102を準備した。
本実施例では、フローチャンネル3として、図11に示すような、ノズルの噴出口が接続される上流開口端3aから排気口35に至るまでの流路全体が、上流側から下流側に向かうに従って、基板50の平面方向で漸次拡開する第1フローチャンネル31とされたものを用いた。第1フローチャンネル31における、上流側から下流側に向かって拡開する角度は60°である。
また、サセプタ4は、基板50の全体が第1フローチャンネル31に収容されるように配置した。
また、サセプタ4上に載置する基板50として12インチ(300mm)径のシリコン基板を準備した。
そして、実施例のノズル2、並びに、比較例のノズル102をそれぞれ用いて、実際に反応ガスを基板50上に流して実験を行った。この際、図11中に示す風速測定位置Pの位置、即ち、基板50の中心点を通過するとともに、ガス流れ方向に対して直交する円弧状の線に沿った各位置で、3°ピッチで反応ガスの風速を測定し、その結果を図12のグラフに示した。
<実施例>
実施例においては、上記のように、図10(a)に示すノズル2を用いてフローチャンネル3内に反応ガスGを噴出させ、このときの反応ガスGの風速を、基板50上の各位置で測定した。本実施例では、流速測定は模擬反応装置を用いて実施し、反応ガスGとして簡易に用いることができるHとNを用いた。
実施例においては、ノズル2として、噴出口20cが、平面視で概略円弧状に形成されているとともに、基板50の平面方向に直交する方向で3箇所の噴出口(ガス導入路)が積層されたものを用いた(図4を参照)。このノズル2には、図10(a)中に示すような、流路内にブロック状のガス整流部21Aが備えられており、このガス整流部20Aにおける噴出口20c側は、該噴出口20cに対応して平面視で概略円弧状に形成されている。
また、図10(a)では詳細な図示を省略しているが、実施例では、3箇所の噴出口(ガス導入路)が積層されたノズル2に対し、反応ガスとして、垂直方向で下側からN、及びNとHの混合ガスを各ガス導入路に供給して実験を行った。
そして、基板50上の各位置における反応ガスの風速の測定結果を、図12のグラフに示した。
<比較例>
比較例においては、上述したように、図10(b)に示した従来の構成を有するノズル102を用いた点以外は、上記実施例と同様の条件並びに手順で実験を行った。
即ち、比較例においては、ノズル102を用いてフローチャンネル3内に反応ガスを噴出させ、このときの反応ガスの風速を、基板50上の各位置で測定した。
比較例においては、ノズル102として、噴出口102cが、平面視で直線状とされたものを用いた。また、ノズル102においては、上記実施例で用いたノズル2と同様に、基板50の平面方向に直交する方向で3箇所の噴出口(ガス導入路)が積層されている一方、各流路内にガス整流部が設けられていない。
そして、比較例においても、上記実施例と同様、ノズル102に備えられる3箇所のガス導入路に対し、反応ガスとして、垂直方向で下側からN、及びNとHの混合ガスを供給して実験を行った。
そして、基板50上の各位置における反応ガスGの風速の測定結果を、図12のグラフに示した。
<評価結果>
図12のグラフには、上記の実施例及び比較例における、各々の測定位置と風速の測定結果との関係を示している。
図12に示すように、従来の構成とされた比較例のノズル102を用いた実験においては、基板50の中心領域付近では反応ガスの風速が速くなっている一方、第1フローチャンネル31内における外側の領域に向かうに従って、風速が急激に低下している。これは、基板50の中心付近では大量の反応ガスが供給されている一方、基板50の外周側において反応ガスの供給量が少なくなっていることを示している。
これに対し、本発明に係る構成を有する実施例のノズル2を用いた実験においては、基板50上の全領域に渡って反応ガスの風速が均等化されていることが分かる。これは、基板50上の全領域において、反応ガスが均等に供給されていることを示している。
なお、本実施例においては、上記形状を有するフローチャンネル3を、MOCVD装置に適用して反応ガスGを導入し、さらに実験を行った。この実験においては、12インチ(300mm)径のシリコン基板50上に窒化物系化合物半導体薄膜を成長させる場合を想定した反応ガスの供給条件を採用し、3箇所の噴出口(ガス導入路)が積層されたノズル2に対し、反応ガスGとして、垂直方向で下側から順に、「NH及びH及びNの混合ガス」、「有機金属化合物であるGaを含むガスHとNの混合ガス」、「H及び窒素Nの混合ガス」を各ガス導入路に供給した。ここで、本実験においては、上述したような、12インチ径のシリコン基板上に窒化物系半導体薄膜を成長させる条件の代替条件として、12インチ径のシリコン基板に替えて6インチ径のサファイア基板2枚を、これらサファイア基板の中心間を結ぶ直線がサセプタの中心を通るように、該サセプタ上に設置した。その結果、サファイア基板2枚に対して下流側でもガスの枯渇がなく、結晶成長した窒化ガリウム(GaN)の面内膜厚分布が5%以下であることが確認された。
以上説明したような実施例の結果より、本発明の気相成長装置を用いて半導体薄膜等の気相成長プロセスを実施することで、反応ガスの流速分布を均一化できことがわかる。従って、本発明の気相成長装置を用いることで、基板におけるガス流れ方向の上流側及び下流側の何れの位置にも均等に反応ガスが供給され、結晶品質に優れた均一な半導体薄膜を歩留まり良く成長させられること明らかである。
本発明の気相成長装置は、フローチャンネル内の基板における、ガス流れ方向の上流側の流速を上げつつ、均一な流速分布が得られ、結晶品質に優れた均一な半導体薄膜を歩留まり良く形成・成長させることが可能なものなので、特に、発光ダイオードやレーザダイオードの発光デバイスや、高電子移動度トランジスタ等の電子デバイスに用いられる化合物半導体、例えば、窒化ガリウム系化合物半導体を製造するための気相成長装置として好適である。
1,10…気相成長装置
2…ノズル
20…ノズル本体
20c…噴出口
21…第1ガス導入路
21i…導入口
21a…垂直流路
21b…水平流路
m…底面
t…上面
21d…垂直流路
p…側壁
21e…水平流路
q…底面
21c…第1噴出口
21A…ガス整流部
22…第2ガス導入路
22i…導入口
22a…垂直流路
23b…水平流路
22c…第2噴出口
22A…ガス整流部
23…第3ガス導入路
23i…導入口
23a…垂直流路
23b…水平流路
23d…垂直流路
23e…水平流路
23c…第3噴出口
23A…ガス整流部
12A,12B,12C,12D…ノズル
12a,12c,12e,12g…先端
12b,12d…後端
12f,12h…ガス整流部
3,30…フローチャンネル
3a,30a…上流開口端
3b,30b…側壁
31…第1フローチャンネル
32…第2フローチャンネル
35…排気口
4…サセプタ
41…テーブル
42…中心軸
45…ヒータ
50…基板
G…反応ガス
G1…反応ガス(水素(H)及び窒素(N)の混合ガス)
G2…反応ガス(有機金属化合物(MO)及び窒素の混合ガス)
G3…反応ガス(アンモニア(NH)及び窒素の混合ガス)
G4…排ガス

Claims (8)

  1. 基板上に半導体薄膜を成長させるための気相成長装置であって、
    反応炉内において、前記基板を保持するサセプタと、
    前記反応炉内に配置され、反応ガスを前記基板上まで導くフローチャンネルと、
    前記フローチャンネルに接続され、該フローチャンネル内に反応ガスを噴出するノズルと、
    を備え、
    前記フローチャンネルは、前記ノズル側の少なくとも一部が、前記反応ガス流れ方向における上流側から下流側に向かって、前記基板の平面方向で漸次拡開する第1フローチャンネルを有しており、
    前記ノズルは、前記第1フローチャンネルに接続される噴出口が、前記第1フローチャンネルに対して、該第1フローチャンネルの拡開方向における前記反応ガスの流束のベクトルが均一になるように、前記反応ガスを噴出することを特徴とする気相成長装置。
  2. 前記フローチャンネルは、前記第1フローチャンネルの内部に前記基板の少なくとも一部を収容するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の気相成長装置。
  3. 前記フローチャンネルは、前記第1フローチャンネルの下流側に、さらに、前記反応ガス流れ方向における上流側から下流側に向かって均一な断面形状の流路、又は、側壁の少なくとも一部が下流側に向けて漸次縮閉してゆく形状の流路を有した第2フローチャンネルを備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の気相成長装置。
  4. 前記ノズルは、1以上のガス導入路を有し、且つ、該ガス導入路は、前記反応ガスの導入口側が、前記基板の平面方向に対して直交する方向で延設した垂直流路とされ、且つ、該垂直流路と直交するように連通する水平流路を1以上で有することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の気相成長装置。
  5. 前記ノズルは、前記ガス導入路の流路に、1以上のガス整流部を有することを特徴とする請求項4に記載の気相成長装置。
  6. 前記ノズルは、前記噴出口を複数で有し、該複数の噴出口が、前記基板の平面方向に対して直交する方向で積層されていることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の気相成長装置。
  7. 前記ノズルは、前記噴出口の少なくとも一部が、前記第1フローチャンネル側に向けて、平面視で突出する形状であることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の気相成長装置。
  8. 前記ノズルは、前記噴出口が、平面視で円弧状であることを特徴とする請求項7に記載の気相成長装置。
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