JP4450299B2 - 薄膜気相成長方法及び薄膜気相成長装置 - Google Patents

薄膜気相成長方法及び薄膜気相成長装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜気相成長方法、及び薄膜気相成長装置に関し、より詳細には、原料ガス、ドーパントガス等の成膜用ガスの有効利用性に優れ、かつ、排気管閉塞等の不都合が発生しない改良された薄膜気相成長方法とその方法に用いられる薄膜気相成長装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、半導体基板面上に薄膜を気相成長させるCVD法等に用いる薄膜気相成長装置は、大別して薄膜成長炉系統とガス供給系統とからなる。
例えば、図3にエピタキシャル薄膜気相成長装置の一例を概略断面図として示すように、薄膜成長炉系統は、石英チャンバ1内に、ガス整流板4、ヒータ(図示せず)及び半導体基板3を保持するサセプタ2及びガス排気管(図示せず)等からなる。
そしてまた、前記サセプタ2には通常回転機構が設けられ被処理半導体基板3を載置してその中心を軸に所定回転速度で回転するように構成されている。
【0003】
前記薄膜成長炉系統にはガス供給系統に接続されたガス供給口6が複数、石英チャンバ1上部に設けられており、ガス供給口6より原料ガス等の成膜用ガス9aが供給される。
薄膜気相成長においては、通常、成長させようとする薄膜成分を含む原料ガス及び形成薄膜の比抵抗制御のためのドーパントをキャリアである水素ガスで希釈したものを薄膜成長炉内に供給する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図3に示したような従来装置を用いた薄膜気相成長においては、薄膜気相成長炉頂部より供給される原料ガスは、半導体基板面の面積よりも広い範囲、通常、炉内全域に供給される。
そのため、半導体基板外周部に供給された原料ガスの利用効率は低く、これがひいては全原料ガスの利用効率を低下させる原因となっている。
また、未利用のガスは炉内壁面や排気管内等で反応してパーティクルを発生させたり排気管を閉塞させる原因ともなっている。
【0005】
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、半導体基板上に薄膜を気相成長させるにあたり、成膜用ガス、特に、原料ガスの利用効率を向上させることができる薄膜気相成長方法及び薄膜気相成長装置を提供することを目的とする。
また、原料ガスの利用効率向上により、未反応原料ガスによる排気管のつまりを減少させることができる薄膜気相成長方法及び薄膜気相成長装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するためになされた薄膜気相成長方法は、成長させるべき薄膜の成分を含む原料ガス、薄膜層の抵抗率を制御するためのドーパントを含むガス及びキャリアガスから成る成膜用ガスを、円筒状の反応炉の頂部に設けられた複数のガス供給口から整流板を介して流下させ、下方に配備された回転式サセプタ上に載置した半導体基板に接触させて該基板面上に薄膜を気相成長させる方法において、前記反応炉として、頂部内壁面と整流板との間隙が、前記載置ウエハ基板の中心点を対応中心とする同心円状に、該対応中心から最内部区画、中間部区画及び最外部区画と3区画に区分され、且つ、各区画の夫々にガス供給口が配設され、更に前記同心円区画の最内区画部の直径が、前記半導体基板の直径をDとしたとき、0.2D〜1.17Dの範囲にある構造のものを用い、前記成膜用ガスのうち、原料ガスとドーパントを含むガスを前記同心円区画の最内区画部からほぼ垂直に流下させ、前記中間部区画及び最外区画部からは前記キャリアガスのみを流下させると共に、前記中間部区画からのキャリアガスと最外区画部からのキャリアガスとの供給量が異なることを特徴としている。
【0007】
ここで、前記同心円区画の最内区画部の直径が、前記半導体基板の直径をDとしたとき、0.2D〜1.17Dの範囲にあることが望ましい。
また、前記各区画の夫々から供給される各成膜用ガスの単位面積あたりの供給量の各供給部位における差が25%以下であることが望ましい。
【0008】
また、上記技術的課題を解決するためになされた薄膜気相成長装置は、円筒状反応炉の頂部に複数のガス供給口、底部に排気口、内部にウエハ基板を載置する回転式サセプタ、及び内部上部にガス整流板を備え、原料ガス、ドーパントガス及びキャリアガスから成る成膜用ガスを、前記ガス供給口から整流板を介して炉内を流下させ、下方の回転式サセプタ上に載置したウエハ基板に薄膜を気相成長させる薄膜気相成長装置において、前記反応炉は、頂部内壁と整流板との間隙が隔壁により前記載置ウエハ基板の中心点に対応中心を有する同心円状に、該対応中心から最内部区画、中間部区画及び最外部区画と3区画に区分され、且つ、各区画の夫々にガス供給口が配設され、更に前記同心円区画の最内区画部の直径が、前記半導体基板の直径をDとしたとき、0.2D〜1.17Dの範囲にあり、前記成膜用ガスのうち、原料ガスとドーパントを含むガスを前記同心円区画の最内区画部からほぼ垂直に流下させ、前記中間部区画及び最外区画部からは前記キャリアガスのみを流下させると共に、前記中間部区画からのキャリアガスと最外区画部からのキャリアガスが異なる供給量で供給されることを特徴としている。
【0009】
ここで、前記同心円区画の最内区画部の直径が、前記半導体基板の直径をDとしたとき、0.2D〜1.17Dの範囲にあることが望ましい。
また、前記各区画の夫々から供給される各成膜用ガスの単位面積あたりの供給量の各供給部位における差が25%以下であることが望ましい。
【0010】
更に、前記隔壁が、反応炉頂部内壁と整流板との間から更に整流板を越えて下方に延び、異なる区画からの成膜反応ガスが整流板流出後もすぐには混合されないように構成されていることが望ましい。
更にまた、前記ガス供給口には、前記成膜反応ガスの流量を調整変更して供給する手段が接続されていることが望ましい。
【0011】
本発明は、薄膜気相成長炉の上部から反応ガス、ドーパントガス、キャリアガス等の成膜用ガスを下方の回転するサセプタ上に載置された半導体基板面に向けて流下させ、反応により、該基板面上に所定の薄膜を形成させる薄膜気相成長において、円筒状炉頂部にある成膜用ガス供給部を、例えば、隔壁を設ける等により、同心円状に2区画以上に区分し、その最内区画部(中央部)から、例えば、SiH4 等の反応ガスを供給し、その最外区画部からはキャリアガスのみを流下させ、反応ガスをできる限り有効に反応に利用し、炉内に残留する未反応ガスを極力減少させることにより、排気管系統の閉塞トラブルを抑制する点を特徴とする。
【0012】
即ち、本発明では、例えばSiH4 等の有効成分を含む反応ガスは、炉内を上方からほぼ垂直に、回転する半導体基板面の中心部に向けて流下し、該面中心部に衝突し、ここで90°方向を転換して回転する半導体基板面に沿って、その遠心力により面中心部より周辺部に向けて広がり、この間に反応して該面に薄膜を形成する。
【0013】
従って、従来の薄膜気相成長装置のように、反応ガスが半導体基板よりも広い範囲、通常、炉内全体に供給されることがなく、原料ガスの利用効率を向上させることができ、また、未反応ガスが炉内下部や排気管内等で反応して反応物が管壁内面に付着し、排気管等を閉塞させる等の不都合の発生を抑制することができる。
【0014】
特に、前記同心円区画の最内区画部の直径が、前記半導体基板の直径をDとしたとき、0.2D〜1.17Dの範囲にあることが望ましい。
同心円区画の最内区画部の直径が、0.2D未満の場合には、反応ガスが半導体基板全面に行きわたらないため、好ましくなく、また1.17Dを越える場合には、未利用反応ガスが生ずるため好ましくない。
【0015】
また、前記各区画の夫々から供給される各成膜用ガスの単位面積あたりの供給量の各供給部位における差が25%以下であることが望ましい。
この差が大き過ぎると、それぞれの部位での成膜速度差が大きくなり、膜厚分布が不均一となる。この差が25%以下である場合には、膜厚分布も許容範囲内となるため、好ましい。望ましくは、この差が10%以下であることが望ましい。
【0016】
また、本発明の方法に使用される薄膜気相成長装置としては、2以上に区分された各区画領域から供給される原料ガスの供給量、ドーパントガスの供給量及び水素ガス等のキャリアガスの供給量を調節する調整変更手段が設けられていることが好ましく、これにより半導体基板上に所望の均等厚さの均質薄膜を形成することができる。
【0017】
特に、上記した理由により、前記同心円区画の最内区画部の直径が、前記半導体基板の直径をDとしたとき、0.2D〜1.17Dの範囲にあることが望ましく、前記各区画の夫々から供給される各成膜用ガスの単位面積あたりの供給量の各供給部位における差(変動幅)が25%以下に制御可能に構成されることが好ましい。
【0018】
また、異なる区画から供給されたガスが、整流板流出後もすぐには混合されず、望ましくは半導体基板面上の近傍に達するまでに互いに混ざり合うことがないように、前記区画、例えば隔壁を、反応炉頂部内壁と整流板との間から更に整流板を越えて下方に延長して構成することがより好ましい。
更に、前記ガス供給口には、前記成膜反応ガスの流量を調整変更して供給する手段が接続されていることが望ましく、変動幅を極力少なくすることができる。
【0019】
このように構成された本発明の薄膜気相成長装置を用いた本発明の薄膜気相成長方法は、通常の方法と同様の条件、例えば、10乃至500Torr程度の減圧条件にも充分好適に適用でき、かつ、エピタキシャル結晶膜形成を含む単結晶膜形成反応にも好適に適用できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を図面を参照してより具体的に説明する。
図1は、本発明の薄膜気相成長方法で使用する薄膜気相成長装置の一実施形態の断面構造を示す概略図であり、図2は、別の形態例を示す概略図である。
【0021】
本発明の薄膜気相成長装置である図1及び図2の装置において、装置の主要部を構成する反応炉は、ほぼ円筒形状の通常石英製のチャンバー1からなり、上部に、炉内に原料ガス、ドーパントガス、キャリアガス等の成膜用ガスを供給するガス供給口6、7、8と、ガスの流れを整える複数の貫通孔を形成した整流板4が配置され、その下方に、半導体基板3を載置する座を上面に備えたサセプタ2と、該サセプタ2を回転させるための回転軸2a、座に載置されたウエハ基板3を加熱する加熱用ヒータ(図示せず)が配設され、チャンバー1下部(通常底部近傍)には、前記回転軸2aを回転駆動させるモータ(図示せず)と、チャンバー1内の未反応ガスを含む排ガスの排気口(図示せず)とその制御装置(図示せず)が接続された構成を有している。
【0022】
本発明の薄膜気相成長方法で用いる装置の特徴は、反応炉チャンバー1の頂部内壁と整流板4との間隙が、隔壁5により載置半導体基板3の中心点を対応中心とする同心円状に複数区画に区分され、各区画の夫々にガス供給口6,7、8等が配設され、かつ、好ましくは、ガス供給口に成膜反応ガス流量、組成のうち少なくとも一方を調整変更して供給できる手段が接続されている点にある。
【0023】
本発明の薄膜気相成長においては、図1、図2の装置の場合、ガス供給口6からは、成長させるべき薄膜の成分を含む原料ガスと薄膜層の抵抗率を制御するためのドーパントを含むガス9bとが供給される。
【0024】
前記原料ガスの有効成分としては、具体的には、シリコン(Si)単結晶薄膜形成の場合は、シランガス(SiH4 )やジクロロシランガス(SiH2 Cl2 )等が用いられる。
ドーパントガスとしては、例えば、ジボラン(B26 )等を水素ガス等のキャリアガスで50乃至200ppm程度の濃度に希釈したものが用いられる。
そして、この原料ガス及びドーパントガスは、最内区画域内に設置された整流板4により整流されて上方より半導体基板3の中央部に向かってほぼ垂直に流下し、基板表面の中心部に達し、該基板表面上で、外周方向に向きを変えて流れる。
【0025】
その際において、前記サセプタ2上に載置された半導体基板3はサセプタと共に、通常、500乃至3000rpmの回転速度で回転しているため、前記基板表面の中心部に達した原料ガス及びドーパントガスは、その遠心力により均等に外周方向に拡散しながら半導体基板面に沿って流れ、反応により該面上に薄膜層を形成してゆく。
【0026】
一方、ガス供給口7、8からは、水素ガス等のキャリアガス10が供給され、該ガスは、同様に夫々対応する区画内に設けられた整流板4により整流され、上方よりウエハ基板外周部、その外延側に向かって流下する。
【0027】
本発明の薄膜気相成長装置においては、図1、2に示すように、前記隔壁5が反応炉頂部内壁と整流板との間から更に整流板4を越えて下方に延びた延長部5aを備えていることが特に好ましい。
特に図2に示す形態のものは、異なる区画からのガス、即ち、供給口6と供給口7,8から供給された成分を異にする各成膜用ガスが整流板4流出後もすぐには混合されることがない。
そのため、薄膜形成に際して膜厚、面内抵抗率の均一化に優れた効果を奏するだけでなく、炉内を垂下するガス流の乱流化が抑制されるため、結果的にパーティクル発生を低減できる利点をも有する。
【0028】
本発明において、最内区画領域では、その直径が、被処理半導体基板の直径をDとしたとき、0.2D〜1.17Dの範囲、より好ましくは、0.2〜0.5Dの範囲にあることが原料ガス等の有効利用性改善の観点から好ましい。同心円区画の最内区画部の直径が、0.2D未満の場合には、反応ガスが半導体基板全面に行きわたらないため、好ましくなく、また1.17Dを越える場合には、未利用反応ガスが生ずるため好ましくない。
【0029】
また、本発明の薄膜気相成長装置においては、前記隔壁を交換することによって、前記区画領域を可変できるように構成されていることが、処理される半導体基板の径、形成すべき薄膜の種類、所望膜厚、所望の形成膜特性等種々の所望用件に対応して適宜最適成膜条件を設定できる観点からより好ましい。
【0030】
更に、2以上に区分された供給口から供給される原料ガスの供給量を調節する調整変更手段、ドーパントガスの供給量を調節する調整変更手段、水素ガス等のキャリアガス供給量を調節する調整変更手段が設けられていることがより好ましく、これにより半導体基板上により均等な厚さのより均質な薄膜を形成することができる。
特に、各成膜用ガスの供給量を調節する調整変更手段によって、前記各区画の夫々から供給される各成膜用ガスの単位面積あたりの供給量の各供給部位における差(変動幅)が25%以下に制御することが好ましい。
【0031】
本発明の方法において、薄膜形成に用いる基板としては、典型的にはシリコンウエハであるが、炭化珪素基板等のシリコン以外の半導体基板も使用できる。
更に、前記半導体基板上に形成される薄膜はシリコン膜が最も一般的であるがその他の薄膜、例えばGaAs膜等でもよく、また、該薄膜は、単結晶膜、多結晶膜、エピタキシャル結晶膜の何れでも支障なく適用され得る。
本発明で上記気相成長に用いる成膜ガスとしては、通常のCVD薄膜成長法による薄膜形成で用いる成膜用ガスが、特に限定されることなく使用でき、このような成膜ガスとして、例えば、シリコン薄膜形成の場合、シリコン成分を含む原料ガス、ドーパント、キャリアガスから成る成膜反応ガスを挙げることができる。
【0032】
上記原料ガスのシリコン成分としてはSiH4 、Si26 、SiHCl3 、SiCl4 、等を例示でき、ドーパントガスとしては、B26 の硼素化合物、PH3 のリン化合物の他AsH3 等を例示できる。
また、キャリアガスとしては一般に水素ガスAr等が使用される。
このように構成された本発明の薄膜気相成長装置を用いた本発明の薄膜気相成長方法は、通常の方法と同様の条件、例えば、10乃至500Torr程度の減圧条件にも充分好適に適用できる。
【0033】
【実施例】
[実施例1]
図1に示した薄膜気相成長装置を用い、ガス供給口6(最内部区画:内径D350mm)から成膜ガス50リットル/min(原料ガス;SiH4 1.5リットル/min、ドーパント;B26 0.4ppb、残部キャリアガス:H2 )を、また、ガス供給口8(中間部区画)からキャリアガス(H2 )24リットル/minを、及び、ガス供給口7(最外部区画)からキャリアガス(H2 )30リットル/minを夫々供給した。
このときの、最内部区画の流速(整流板4の直下の流速)は0.052リットル/cm2 ・minであり、中間部区画の流速(整流板4の直下の流速)は0.057リットル/cm2 ・minであり、最外部区画の流速(整流板4の直下の流速)は0.052リットル/cm2 ・minであった。
また、気相成長温度1000℃、気相成長圧力20torr、ホルダー回転数1500rpmの操作条件下に、直径300mmのシリコンウエハ基板上に薄膜を成長させる操作を繰り返し(約3000回、期間3ヶ月間)実施した。
そしてこの間の平均成膜速度、原料ガス利用効率及びメンテナンス回数を測定記録した。得られた結果を表1に示した。
【0034】
なお、平均成膜速度(μm/min)は、ウエハ面内の膜厚を測定し平均を求め、該平均値を成膜時間で割ることによって、得られる。
また、原料ガス利用効率を求めるには、まず次式によって堆積レートを求める。
堆積レート(μm3 /min)=ウエハ面積(mm2 )/10-6×成膜(成長)速度(μm/min)
この式から求められる堆積レートを単位(mol/min)換算し、次式から原料ガス利用効率を求める。
原料ガス利用効率=堆積レートを単位(mol/min)/原料ガス使用量(mol/min)×100
更に、メンテナンス回数とは、炉内の分解クリーニング回数を意味し、堆積物により排気圧が管理値より外れた状態になった時にメンテナンスが必要とし、その回数をカウントした。
【0035】
[実施例2及び実施例4]
実施例1において、ガス供給口6、8、7(図1参照)から夫々供給する各ガスの流量を表1に記載した値に変更した以外は実施例1と同様にして薄膜成長操作を実施し、実施例1と同様に評価した。その結果を表1に示す。
このときの、実施例2における最内部区画の流速(整流板4の直下の流速)は0.051リットル/cm2 ・minであり、中間部区画の流速(整流板4の直下の流速)は0.051リットル/cm2 ・minであり、最外部区画の流速(整流板4の直下の流速)は0.051リットル/cm2 ・minであった。
【0036】
同様に、実施例3における最内部区画の流速(整流板4の直下の流速)は0.064リットル/cm2 ・minであり、中間部区画の流速(整流板4の直下の流速)は0.045リットル/cm2 ・minであり、最外部区画の流速(整流板4の直下の流速)は0.050リットル/cm2 ・minであった。
また、実施例4における最内部区画の流速(整流板4の直下の流速)は0.035リットル/cm2 ・minであり、中間部区画の流速(整流板4の直下の流速)は0.015リットル/cm2 ・minであり、最外部区画の流速(整流板4の直下の流速)は0.036リットル/cm2 ・minであった。
【0037】
[参考例1]
参考例1において、ガス供給口6、8、7(図1参照)から夫々供給する各ガスの流量を表2に記載した値に変更した以外は実施例1と同様にして薄膜成長操作を実施し、実施例1と同様に評価した。その結果を表2に示す。
このときの、参考例1における最内部区画の流速(整流板4の直下の流速)は0.142リットル/cm2 ・minであり、中間部区画の流速(整流板4の直下の流速)は0.028リットル/cm2 ・minであり、最外部区画の流速(整流板4の直下の流速)は0.027リットル/cm2 ・minであった。
【0038】
[比較例1及び比較例2]
図3に示した従来の薄膜成長装置(比較例1)、図4に示すようにガス供給口6の内径を450mmとし、中間供給口8を除いた薄膜成長装置(比較例2)を夫々用い、その供給口から、表1の比較例1,比較例2の欄に記載された流量のガスを供給した以外は実施例1と同様の条件で薄膜成長反応を実施した。
その結果を表2に示す。
なお、このときの、比較例1における最内部区画の流速(整流板4の直下の流速)は0.051リットル/cm2 ・minであり、比較例2における最内部区画の流速(整流板4の直下の流速)は0.050リットル/cm2 ・minであり、最外部区画の流速(整流板4の直下の流速)は0.054リットル/cm2 ・minであった。
【0039】
【表1】
Figure 0004450299
【0040】
【表2】
Figure 0004450299
【0041】
表1、2から、実施例1〜4、参考例1の原料ガス利用率が従来装置用いた比較例に比べて向上していることが認められた。
特に、最内区画領域では、その直径が、処理されるウエハの直径をDとしたとき、0.2D〜1.17Dの範囲(実施例1〜4)の範囲にあることが原料ガス等の有効利用性改善の観点から好ましいことが認められた。
更に、成膜速度の点を考慮すれば、実施例3、4にように、ウエハの直径をDとしたとき、0.2D〜0.5Dの範囲にあることが好ましいことが認められた。
【0042】
「実施例4」
次に、実施例2の条件を基にして、夫々のガス供給区画から供給するガス流速のバラツキ(流速分布)と形成膜の厚さのバラツキ(膜厚分布)との関係を調べた。
各ガスの供給量は、表3に示すとおりであり、このときの実施例2、参考例1における各区画の流速は上記した通りである。
また、参考例2における、最内部区画の流速(整流板4の直下の流速)は0.051リットル/cm2 ・minであり、中間部区画の流速(整流板4の直下の流速)は0.051リットル/cm2 ・minであり、最外部区画の流速(整流板4の直下の流速)は0.051リットル/cm2 ・minであった。
【0043】
同様に、参考例3における、最内部区画の流速(整流板4の直下の流速)は0.051リットル/cm2 ・minであり、中間部区画の流速(整流板4の直下の流速)は0.047リットル/cm2 ・minであり、最外部区画の流速(整流板4の直下の流速)は0.038リットル/cm2 ・minであった。
また、参考例4における、最内部区画の流速(整流板4の直下の流速)は0.0510リットル/cm2 ・minであり、中間部区画の流速(整流板4の直下の流速)は0.0679リットル/cm2 ・minであり、最外部区画の流速(整流板4の直下の流速)は0.0400リットル/cm2 ・minであった。
また、膜厚は、フーリエ変換赤外分光装置(FTIR)を使用した装置により測定を行った。
【0044】
そして得られた測定結果から、下記式(1)及び(2)に基づいて、ガス流速分布及び膜厚分布を算出した。
ガス流速分布=(各区画ガス流速最大値−最小値)/(各区画ガス流速最大値+最小値)×100 …(1)
膜厚分布=(膜厚最大値−膜厚最小値)/(膜厚最大値+膜厚最小値)…(2)
その結果を表3に示す。
【0045】
【表3】
Figure 0004450299
【0046】
表3の実施例2、参考例2、参考例3から、供給するガスの流速分布(バラツキ)がない場合に良好な均等膜が得られることが認められる。なお、参考例1、4に示すようにカス流速分布が25%を越えると、膜厚分布が5%(規格値)を越えるため、不良品とされる。
したがって、ガス流速部分は25%以下が好ましい。
【0047】
【発明の効果】
以上詳述したように、同心円状に2区画以上に区分され、かつ、各区画の夫々にガス供給口が配設された構造の薄膜気相成長装置を用い、原料ガスとドーパントを含むガスを前記同心円区画の最内区画部からほぼ垂直に被処理半導体基板面の中心部に向けて流下させ、最外区画部からは前記キャリアガスのみを流下させることにより、原料ガスの利用効率を顕著に向上させることができると共に未反応ガスの減少により、排気管の閉塞等のトラブルを減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜気相成長方法で使用する薄膜気相成長装置の一実施形態の断面構造を示した概略図である。
【図2】本発明の薄膜気相成長方法で使用する薄膜気相成長装置の他の形態の断面構造を示した概略図である。
【図3】従来の薄膜気相成長装置の断面構造を示した概略図である。
【図4】比較例2において用いた薄膜気相成長装置を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 チャンバー
2 サセプタ
3 半導体基板
4 ガス整流板
5 隔壁
6 ガス供給口
7 ガス供給口
8 ガス供給口
9a 成膜ガス
9b 原料ガスとドーパントガス
10 キャリアガス

Claims (5)

  1. 成長させるべき薄膜の成分を含む原料ガス、薄膜層の抵抗率を制御するためのドーパントを含むガス及びキャリアガスから成る成膜用ガスを、円筒状の反応炉の頂部に設けられた複数のガス供給口から整流板を介して流下させ、下方に配備された回転式サセプタ上に載置した半導体基板に接触させて該基板面上に薄膜を気相成長させる方法において、
    前記反応炉として、頂部内壁面と整流板との間隙が、前記載置ウエハ基板の中心点を対応中心とする同心円状に、該対応中心から最内部区画、中間部区画及び最外部区画と3区画に区分され、且つ、各区画の夫々にガス供給口が配設され、更に前記同心円区画の最内区画部の直径が、前記半導体基板の直径をDとしたとき、0.2D〜1.17Dの範囲にある構造のものを用い、前記成膜用ガスのうち、原料ガスとドーパントを含むガスを前記同心円区画の最内区画部からほぼ垂直に流下させ、前記中間部区画及び最外区画部からは前記キャリアガスのみを流下させると共に、前記中間部区画からのキャリアガスと最外区画部からのキャリアガスとの供給量が異なることを特徴とする薄膜気相成長方法。
  2. 前記各区画の夫々から供給される各成膜用ガスの単位面積あたりの供給量の各供給部位における差が25%以下であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜気相成長方法。
  3. 円筒状反応炉の頂部に複数のガス供給口、底部に排気口、内部にウエハ基板を載置する回転式サセプタ、及び内部上部にガス整流板を備え、原料ガス、ドーパントガス及びキャリアガスから成る成膜用ガスを、前記ガス供給口から整流板を介して炉内を流下させ、下方の回転式サセプタ上に載置したウエハ基板に薄膜を気相成長させる薄膜気相成長装置において、
    前記反応炉は、頂部内壁と整流板との間隙が隔壁により前記載置ウエハ基板の中心点に対応中心を有する同心円状に、該対応中心から最内部区画、中間部区画及び最外部区画と3区画に区分され、且つ、各区画の夫々にガス供給口が配設され、更に前記同心円区画の最内区画部の直径が、前記半導体基板の直径をDとしたとき、0.2D〜1.17Dの範囲にあり、
    前記成膜用ガスのうち、原料ガスとドーパントを含むガスを前記同心円区画の最内区画部からほぼ垂直に流下させ、前記中間部区画及び最外区画部からは前記キャリアガスのみを流下させると共に、前記中間部区画からのキャリアガスと最外区画部からのキャリアガスが異なる供給量で供給されることを特徴とする薄膜気相成長装置。
  4. 前記各区画の夫々から供給される各成膜用ガスの単位面積あたりの供給量の各供給部位における差が25%以下であることを特徴とする請求項3に記載の薄膜気相成長装置。
  5. 前記隔壁が、反応炉頂部内壁と整流板との間から更に整流板を越えて下方に延び、異なる区画からの成膜反応ガスが整流板流出後もすぐには混合されないように構成されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の薄膜気相成長装置。
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