JP3674650B2 - 樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は透明性が良好でガスバリヤー性に優れた樹脂組成物および該樹脂組成物から得られるフィルム、シート、および容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す)は透明性、耐薬品性、耐油性を有することから食品等の包装材料として広く利用されている。
しかしながら、酸化による劣化が速い食品の包装や内容物のシェルフライフをのばす必要がある場合にはPETの有するガスバリヤー性だけでは十分とはいえない。PETのガスバリヤー性を改善するためにガスバリヤー性の良好な樹脂を混合してPETにガスバリヤー性を付与する技術が知られている。
【0003】
特開昭58−90033号には二軸延伸ブローボトルにおいてPETとキシレン基含有ポリアミドとを混合した二軸延伸ブロー成形びん体が良好なガスバリヤー性を示すことが開示されている。しかしながら、単にPETとキシレン基含有ポリアミドを混合しただけではガスバリヤー性は向上するものの実用に適した透明性に優れるびん体は得られない。また、特開昭63−213529号では、PETとキシレン基含有ポリアミドおよび第3成分としてグラフト変性した共重合ポリエステルを混合させることによりPETの持つ透明性を保持しつつガスバリヤー性を向上させることが開示されている。しかし、この場合、共重合ポリエステルという特殊な第3成分の配合を必要とする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はPETとポリアミドとを相溶化剤等の第3成分を使用しないで溶融混練し、PETの持つ透明性、耐薬品性を保持したまま、ガスバリヤー性が改善された樹脂組成物および該樹脂組成物から得られるフィルム、シート、および容器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題の解決のため鋭意検討した結果、末端基濃度を特定の範囲に調製したポリアミドとPETとを溶融混練することにより透明性が良好でガスバリヤー性に優れた樹脂組成物が得られることを見いだし本発明に至った。
【0006】
すなわち本発明は、PET70〜98重量%とキシリレン基含有ポリアミド30〜2重量%とからなる(重量%の合計は100重量%である)混合樹脂を溶融混練して得られた樹脂組成物であって、溶融混練前のキシリレン基含有ポリアミドの末端アミノ基濃度a(μ当量/g)と末端カルボキシル基濃度b(μ当量/g)が以下の式(1)と(2)の条件を共に満足するものである透明性とガスバリヤー性に優れた樹脂組成物、および該樹脂組成物から得られるフィルム、シート、容器に関するものである。
50≦a−b≦300 (1)
a+b≦300 (2)
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に使用するPETは、その性質を本質的に変化させない範囲で、少量の他のエステル形成単位を含んでも良い。すなわち本発明におけるPETは、エチレンテレフタレート単位の他に、他のエステル形成単位を20モル%以下、好ましくは10モル%以下含有しても良い。
【0008】
他のエステル形成単位を構成するジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、3,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等の如き芳香族ジカルボン酸、またはコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸、または1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸類、テトラリンジカルボン酸類等の如きジカルボン酸が例示される。
【0009】
他のエステル形成単位を構成するジオールとしては、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール等の如き脂肪族グリコール、または1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,6−シクロヘキサンジオール等の如き脂環族グリコール、またはビスフェノールA等の如き芳香族グリコールが例示される。
【0010】
また、本発明に使用するPETには、例えば少量の安息香酸、メトキシポリエチレングリコール等の如き単官能化合物によって分子末端を封止されていてもよい。また、グリセリン、トリメシン酸、ペンタエリスリトール等の如き多官能化合物に由来する構成単位を少量含んでいてもよい。
尚、本発明に使用するPETは、末端カルボキシル基濃度が15〜50μ当量/gのものが好適に使用できる。
【0011】
本発明に使用するキシリレン基含有ポリアミドは、以下の(A)項と(B)項に記すキシリレンジアミン成分とジカルボン酸成分とを重縮合反応させて得られるポリアミドである。
【0012】
(A)キシリレンジアミン成分
キシリレンジアミン成分とは、ジアミン成分としてメタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン等のキシリレンジアミンを主成分とするものであり、本発明においてメタキシリレンジアミンを70モル%以上含有するジアミン成分が好ましく、特にメタキシリレンジアミンを80モル%以上含むものがガスバリヤー性と結晶性等の機能の点から好ましい。
【0013】
キシリレンジアミン成分中には、他のジアミン成分として、上記パラキシリレンジアミン以外にテトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、パラフェニレンジアミン等の芳香族ジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂環族ジアミン類等を使用することもできる。
【0014】
(B)ジカルボン酸成分
ジカルボン酸成分とは、α,ω−直鎖脂肪族二塩基酸を主成分とするジカルボン酸成分であり、炭素数が6〜12であるα,ω−直鎖脂肪族二塩基酸が好適に使用される。
【0015】
ジカルボン酸成分に使用できるものとして、具体的にはアジピン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸、その他テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類も本発明の機能を損なわない程度に配合して使用することができる。
尚、上記α,ω−直鎖脂肪族二塩基酸のなかでアジピン酸が好ましく、ジカルボン酸成分中アジピン酸を60モル%以上、特に80モル%以上含有するものが成形時に好適な流動性を得ることができる点からも好ましい。
【0016】
本発明において、PETと混合するキシリレン基含有ポリアミド(以下、MXナイロンと略す)は、その末端アミノ基濃度a(μ当量/g、以下「a」と記す)と末端カルボキシル基濃度b(μ当量/g、以下「b」と記す)が以下の式(1)と(2)の条件を共に満足するものである。
50≦a−b≦300 (1)
a+b≦300 (2)
【0017】
(1)式において、a−bが、50未満では混合された樹脂組成物の透明性が明確に改良された樹脂は得られない。また、a−bが300を越えると包装材料として十分な機械性能を有する高分子量のMXナイロンの合成が現実的に困難になる。また、式(1)の条件を満足するMXナイロンであっても、式(2)におけるa+bが300を越えると得られるMXナイロンの分子量が小さく実用的な機械的性能が得られない。
【0018】
本発明の樹脂組成物は、上記のようなPETとMXナイロンとを、PETが70〜98重量%、MXナイロンが30〜2重量%となるような割合に配合し(ここで、重量%の合計は100重量%である、以下同じ)、溶融混練して得られた樹脂組成物である。
尚、PETとMXナイロンとの配合割合は、更にPETが80〜98重量%、MXナイロンが20〜2重量%が好ましく、PETが85〜94重量%、MXナイロンが15〜6重量%が特に好ましい。
PETとMXナイロンとの配合において、PETの特徴である耐薬品性等の性質を保持するためにはMXナイロンの配合割合は30重量%以下であることが好ましい。また、ガスバリヤー性を付与するには少なくとも2重量%のMXナイロンを配合する必要がある。
【0019】
本発明に使用するMXナイロンとPETを溶融混練することにより透明性が向上する理由は定かではないが、MXナイロンの末端アミノ基とPETの末端カルボキシル基の反応が混合樹脂の透明性に関与しているものと推量される。
【0020】
本発明の樹脂組成物は、上記のPETとMXナイロンを溶融状態で混合して得られるが、上記PETとMXナイロンをペレットのような固体の状態で混合(ドライブレンド)したものを溶融混練して成形に用いてもよい。このとき混合樹脂は押出機、射出成形機等の一般にプラスチックに用いられる成形機中で溶融混練される。又、一度、一軸押出機、二軸押出機またはニーダー等により溶融状態で混練されてペレット化された樹脂を再び押出機や射出成形機で成形してもよい。このようにして得られたフィルム、シート、容器はいずれも良好な透明性とガスバリヤー性を有している。
尚、上記溶融混練の条件は、通常の溶融混練の条件で良く、特別の条件、操作等は必要としないが、実用上溶融混練温度は260〜300℃、好ましくは260〜280℃、溶融混練時間は30〜240秒、好ましくは50〜180秒である。
【0021】
本発明におけるフィルム、シートとは上記樹脂組成物を押出し等の公知の方法により得られる無延伸のシート、フィルムであり、また、このような無延伸のフィルム、シート(以下、単に「フィルム」ということがある)に延伸等の公知の方法で加工の施されたフィルム、シートのことである。
【0022】
フィルムはTダイ法、インフレーション法のような溶融押出し法やカレンダー法等の公知の方法を用いて得られる。例えばTダイ法では上記樹脂組成物を押出機内で溶融させTダイを通して押出し、冷却ロール、巻き取り機を介して無延伸フィルムが得られる。押出機は二軸押出機を使用してもよい。また、上記樹脂組成物を他の樹脂や紙との積層により複合化して使用してもよい。積層は共押出法、ラミネート法、押出しコーティング法等により行う。また、フィルムは公知である方法で延伸等の加工を行ってもよい。例えば、無延伸フィルムをPETまたはMXナイロンのガラス転移点以上の温度に加熱して延伸を行う。延伸は同時二軸延伸、逐次二軸延伸等従来公知の方法によって行うことができる。延伸倍率は一般に面積倍率で4〜25倍が好ましい。延伸フィルムは必要に応じて熱固定を行ってもよい。このようにして得られた延伸フィルムは良好な透明性、ガスバリヤー性を有している。
【0023】
本発明における容器は上記樹脂組成物を公知の方法により成形して得られる。例えば、真空成形、圧空成形等によりシートを熱成形してカップ、トレイ状の容器を成形する。また、熱融着等によりチューブ状の容器を成形してもよい。成形するシートは必要に応じて他の樹脂と積層したものを用いてもよい。積層は無延伸フィルムと同様の方法で行うことができる。
又、容器は押出ブロー成形、射出ブロー成形といったダイレクトブロー成形によって得ることもできる。例えば、押出しブロー成形では溶融押出ししたパイプを冷却しないうちにブロー成形する。押出しは他の樹脂と共押出ししてもよい。
【0024】
射出ブロー成形ではパリソンを射出成形により成形し、その後ブロー成形を行う。パリソンは他の樹脂と共射出してもよい。
更に、容器は射出延伸ブロー成形、押出延伸ブロー成形等の延伸ブロー成形によっても得られる。例えば射出延伸ブロー成形では予め射出成形された有底パリソンの温度調整を行いブロー成形して二軸延伸ブローボトルが得られる。射出成形されたパリソンをそのままガラス転移点以上融点未満の延伸に適した温度に調整してブロー成形を行う方法、パリソンを一度室温まで冷却し再加熱後ブロー成形する方法のどちらの方法で射出延伸ブロー成形を行ってもよい。パリソンは他の樹脂と共射出してもよい。又、押出延伸ブロー成形では、パイプを押出成形により成形し一定寸法に切断後、パイプの両端を加熱して口部と底部の成形を行い、次いで温度調整を行い延伸ブロー成形する。押出しは他の樹脂と共押出ししてもよい。この他に、シートブロー成形、圧縮延伸ブロー成形等によって容器を得ることもできる。得られた容器は良好な透明性、ガスバリヤー性を有している。
【0025】
【実施例】
以下に実施例を示す。実施例中の測定は、下記の方法によった。
1.曇り度(ヘイズ)
▲1▼測定規格:ASTM D1003、JIS K7105 に準拠
▲2▼測定機器:日本電色工(株)製、型式:Z-Σ80カラー・メージャリング・システム( Color Measuring System )
▲3▼測定条件:透過法
【0026】
2.酸素透過率測定(OTR)
▲1▼測定規格:ASTM D3985、JIS K7126に準拠
▲2▼測定機器:モダンコントロール社(MODERN CONTOROLS)製、型式: OX-TRAN 10/50A
▲3▼測定条件:
1)実施例1、2及び比較例1〜3において、測定温度は23℃、相対湿度は60%である。
2)実施例3、4及び比較例4〜6において、測定温度は23℃、相対湿度はボトルの外側が50%、内側が100%である。
ボトルの内容積は1.5リットル、外表面積は0.074m2 である。
【0027】
3.末端基濃度の測定方法
▲1▼ MXナイロンの末端カルボキシル基濃度
ベンジルアルコール溶媒30ccに、試料約0.3gを採り、窒素気流下で加熱して試料を溶解させた後冷却して、電位差滴定を行った。滴定には0.0
1NのNaOH水溶液を使用した。
▲2▼ MXナイロンの末端アミノ基濃度
溶剤(フェノール/エタノール混合溶剤(混合容積比:4/1))30ccに試料約0.6gを採り、溶解させた後電位差滴定を行った。
滴定には0.01Nの塩化水素水溶液を使用した。
▲3▼ PETの末端カルボキシル基濃度
溶剤(O−クレゾール/クロロホルム/1,1,2,2−テトラクロロエタン(混合重量比:70/15/15))50ミリリットルに試料約1.5gを採り、加温して試料を溶解させ、電位差滴定を行った。
滴定には0.1NのKOH−エタノール溶液を使用した。
【0028】
実施例1
PET(日本ユニペット(株)製、商品名:RT543、末端カルボキシル基濃度:30μ当量/g)80重量部とMXナイロン(三菱ガス化学(株)製、a:105μ当量/g、b:34μ当量/g、従ってa−b=71、a+b=139である)20重量部を二軸押出機(池貝鉄工(株)製、スクリュー径45mmφ)を用いて溶融状態で混練(以下、メルトブレンドと記す)して得られたペレットを一軸押出機(東洋精機(株)製、スクリュー径20mmφ)を用いシリンダー温度270℃〜280℃で溶融させTダイより押出し、冷却ロールを介して厚さ約300μmの無延伸フィルムを得た。このフィルムのヘイズは300μm厚み換算で9%であった。次いで得られたシートを二軸延伸機(東洋精機(株)製、二軸延伸装置、テンター法)を用い、同時二軸延伸(面積延伸倍率16倍)により延伸フィルムを得た。この延伸フィルムのヘイズは、30μm厚み換算で9%であった。
酸素透過率の測定値は、0.35cc・mm/m2・day ・atm であった。
【0029】
実施例2
PET(日本ユニペット(株)製、商品名:RU583、末端カルボキシル基濃度:19μ当量/g)80重量部とMXナイロン(三菱ガス化学(株)製、a:117μ当量/g、b:26μ当量/g、従ってa−b=91、a+b=143である)20重量部をメルトブレンドして得られたペレットを一軸押出機(実施例1に使用したもの)を用いシリンダー温度270℃〜280℃で溶融させTダイより押出し、冷却ロールを介して厚さ約300μmの無延伸フィルムを得た。このフィルムのヘイズは300μm厚み換算で9%であった。次いで得られたシートを二軸延伸機(実施例1に使用したもの)を用い同時二軸延伸(面積延伸倍率16倍)により延伸フィルムを得た。この延伸フィルムのヘイズは30μm厚み換算で3%であった。
酸素透過率の測定値は、0.36cc・mm/m2・day ・atm であった。
【0030】
比較例1
PET(日本ユニペット(株)製、商品名:RT543)80重量部とMXナイロン(三菱ガス化学(株)製、a:38μ当量/g、b:87μ当量/g、従ってa−b=−49、a+b=125である)20重量部をメルトブレンドして得られたペレットを一軸押出機(実施例1に使用したもの)を用いシリンダー温度270℃〜280℃で溶融させTダイより押出し、冷却ロールを介して厚さ約300μmの無延伸フィルムを得た。このフィルムのヘイズは300μm厚み換算で22%であった。次いで得られたシートを二軸延伸機(実施例1に使用したもの)を用い、同時二軸延伸(面積延伸倍率16倍)により延伸フィルムを得た。この延伸フィルムのヘイズは30μm厚み換算で30%であった。
酸素透過率の測定値は、0.40cc・mm/m2・day ・atm であった。
【0031】
比較例2
PET(日本ユニペット(株)製、商品名:RT543)80重量部とMXナイロン(三菱ガス化学(株)製、a:25μ当量/g、b:25μ当量/g、従ってa−b=0、a+b=50である)20重量部をメルトブレンドして得られたペレットを一軸押出機(実施例1に使用したもの)を用いシリンダー温度270℃〜280℃で溶融させTダイより押出し、冷却ロールを介して厚さ約300μmの無延伸フィルムを得た。このフィルムのヘイズは300μm厚み換算で20%であった。次いで得られたシートを二軸延伸機(実施例1に使用したもの)を用い同時二軸延伸(面積延伸倍率16倍)により延伸フィルムを得た。この延伸フィルムのヘイズは30μm厚み換算で20%であった。
酸素透過率の測定値は、0.39cc・mm/m2・day ・atm であった。
【0032】
比較例3
PET(日本ユニペット(株)製、商品名:RT543)を一軸押出機(実施例1に使用したもの)を用いシリンダー温度270℃〜280℃で溶融させTダイより押出し、冷却ロールを介して厚さ約300μmの無延伸フィルムを得た。このフィルムのヘイズは300μm厚み換算で1%であった。次いで得られたシートを二軸延伸機(実施例1に使用したもの)を用い同時二軸延伸(面積延伸倍率16倍)により延伸フィルムを得た。この延伸フィルムのヘイズは30μm厚み換算で1%であった。
酸素透過率の測定値は、1.94cc・mm/m2・day ・atm であった。
【0033】
実施例3
PET(日本ユニペット(株)製、商品名:RU583)96重量部とMXナイロン(三菱ガス化学(株)製、a:181μ当量/g、b:17μ当量/g、従ってa−b=164、a+b=198である)4重量部をドライブレンドして得られた混合樹脂から射出成形機(名機製作所(株)製、型式:M200成形機)を用いて重量55g、全長150mmの有底のプリフォームを成形した。得られたプリフォームをブロー成形機(コーポプラスト(Corpoplast)社製、LB−O1ブロー成形機)を用いて二軸延伸ブロー成形を行い全長305mm、内容量約1500mlのボトルを成形した。得られたボトルのヘイズは300μm厚み換算で4%であった。
酸素透過率の測定値は、0.19cc・mm/m2・day ・atm であった。
【0034】
実施例4
PET(日本ユニペット(株)製、商品名:RU583)80重量部とMXナイロン(三菱ガス化学(株)製、a:181μ当量/g、b:17μ当量/g、従ってa−b=164、a+b=198である)20重量部をドライトブレンドして得られた混合樹脂から射出成形機(実施例3に使用したもの)を用いて重量55g、全長150mmの有底のプリフォームを成形した。得られたプリフォームをブロー成形機(実施例3に使用したもの)を用いて二軸延伸ブロー成形を行い全長305mm、内容量約1500mlのボトルを成形した。得られたボトルのヘイズは300μm厚み換算で18%であった。
酸素透過率の測定値は、0.04cc・mm/m2・day ・atm であった。
【0035】
比較例4
PET(日本ユニペット(株)製、商品名:RT543)96重量部とMXナイロン(三菱ガス化学(株)製、a:15μ当量/g、b:65μ当量/g、従ってa−b=−50、a+b=80である)4重量部をドライブレンドして得られた混合樹脂から射出成形機(実施例3に使用したもの)を用いて重量55g、全長150mmの有底のプリフォームを成形した。得られたプリフォームをブロー成形機(実施例3に使用したもの)を用いて二軸延伸ブロー成形を行い全長305mm、内容量約1500mlのボトルを成形した。得られたボトルのヘイズは300μm厚み換算で11%であった。
酸素透過率の測定値は、0.21cc・mm/m2・day ・atm であった。
【0036】
比較例5
PET(日本ユニペット(株)製、商品名:RT543)80重量部と比較例4で使用したMXナイロン20重量部をドライブレンドして得られた混合樹脂から射出成形機(実施例3に使用したもの)を用いて重量55g、全長150mmの有底のプリフォームを成形した。得られたプリフォームをブロー成形機(実施例3に使用したもの)を用いて二軸延伸ブロー成形を行い全長305mm、内容量約1500mlのボトルを成形した。得られたボトルのヘイズは300μm厚み換算で33%であった。酸素透過率の測定値は、0.05cc・mm/m2・day ・atm であった。
【0037】
比較例6
PET(日本ユニペット(株)製、商品名:RT543)を使用して射出成形機(実施例3に使用したもの)を用いて重量55g、全長150mmの有底のプリフォームを成形した。得られたプリフォームをブロー成形機(実施例3に使用したもの)を用いて二軸延伸ブロー成形を行い全長305mm、内容量約1500mlのボトルを成形した。得られたボトルのヘイズは300μm厚み換算で1%であった。
酸素透過率を測定したところ0.37cc・mm/m2・day ・atm であった。
【0038】
【表1】
フィルムの評価結果
Figure 0003674650
【0039】
【表2】
二軸延伸ブローボトルの評価結果
Figure 0003674650
【0040】
【発明の効果】
本発明によりPETとMXナイロンを第3成分の存在なしで溶融混練して、PETの持つ透明性、耐薬品性を保持したままガスバリヤー性が改善された樹脂組成物を得ることができ、また、該樹脂組成物からフィルム、シートおよび容器を得ることができる。

Claims (5)

  1. ポリエチレンテレフタレート70〜98重量%とキシリレン基含有ポリアミド30〜2重量%とからなる(重量%の合計は100重量%である)混合樹脂を溶融混練して得られた樹脂組成物であって、溶融混練前のキシリレン基含有ポリアミドの末端アミノ基濃度a(μ当量/g)と末端カルボキシル基濃度b(μ当量/g)が以下の式(1)と(2)の条件を共に満足するものである透明性とガスバリヤー性に優れた樹脂組成物。
    50≦a−b≦300 (1)
    a+b≦300 (2)
  2. キシリレン基含有ポリアミドがメタキシリレンジアミンとアジピン酸とから得られたポリアミドである請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. ポリエチレンテレフタレート70〜98重量%とキシリレン基含有ポリアミド30〜2重量%とからなる(重量%の合計は100重量%である)混合樹脂を溶融混練し、成形して得られたフィルムであって、溶融混練前のキシリレン基含有ポリアミドの末端アミノ基濃度a(μ当量/g)と末端カルボキシル基濃度b(μ当量/g)が以下の式(1)と(2)の条件を共に満足するものである透明性とガスバリヤー性に優れたフィルム
    50≦a−b≦300 (1)
    a+b≦300 (2)
  4. ポリエチレンテレフタレート70〜98重量%とキシリレン基含有ポリアミド30〜2重量%とからなる(重量%の合計は100重量%である)混合樹脂を溶融混練し、成形して得られたシートであって、溶融混練前のキシリレン基含有ポリアミドの末端アミノ基濃度a(μ当量/g)と末端カルボキシル基濃度b(μ当量/g)が以下の式(1)と(2)の条件を共に満足するものである透明性とガスバリヤー性に優れたシート
    50≦a−b≦300 (1)
    a+b≦300 (2)
  5. ポリエチレンテレフタレート70〜98重量%とキシリレン基含有ポリアミド30〜2重量%とからなる(重量%の合計は100重量%である)混合樹脂を溶融混練し、成形して得られた容器であって、溶融混練前のキシリレン基含有ポリアミドの末端アミノ基濃度a(μ当量/g)と末端カルボキシル基濃度b(μ当量/g)が以下の式(1)と(2)の条件を共に満足するものである透明性とガスバリヤー性に優れた容器
    50≦a−b≦300 (1)
    a+b≦300 (2)
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